特許第6045296号(P6045296)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6045296
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】RFフロントエンドモジュール
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/40 20150101AFI20161206BHJP
   H04B 1/18 20060101ALI20161206BHJP
   H04B 10/2575 20130101ALI20161206BHJP
【FI】
   H04B1/40
   H04B1/18 C
   H04B9/00 267
【請求項の数】3
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-235619(P2012-235619)
(22)【出願日】2012年10月25日
(65)【公開番号】特開2014-86946(P2014-86946A)
(43)【公開日】2014年5月12日
【審査請求日】2015年8月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】100121706
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128705
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147773
【弁理士】
【氏名又は名称】義村 宗洋
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 恭宜
(72)【発明者】
【氏名】楢橋 祥一
(72)【発明者】
【氏名】垂澤 芳明
【審査官】 野元 久道
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−175205(JP,A)
【文献】 特開2012−044408(JP,A)
【文献】 特開2006−060446(JP,A)
【文献】 特開平09−205332(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/40
H04B 1/18
H04B 10/2575
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
を2以上の整数とし、
Nバンドデュプレクサと、
前記Nバンドデュプレクサに接続されたN個のLNAと、
N個の前記LNAの出力端のそれぞれに接続され、LNA出力信号の平均電力を計測するN個の第1のモニタと、
所定時間経過毎にN個の前記第1のモニタのそれぞれから前記LNA出力信号の平均電力を取得するN個の自動レベル検出器と、
前記N個の自動レベル検出器のそれぞれが取得したLNA出力信号の平均電力と、予め定めた光回路への入力電力とが等しくなるように、前記LNA出力信号の利得の増幅、または減衰を実行するN個の利得調整器と、
N個の前記利得調整器から出力された電気信号を光信号に変換する電気光変換回路と、
前記Nバンドデュプレクサに接続されたN個の送信電力増幅器と、
N個の前記送信電力増幅器の入力端のそれぞれに接続されたN個の第2のモニタと、
N個の前記第2のモニタのそれぞれに接続され、入力された信号の振幅調整、および位相調整を実行するN個のベクトル調整器と、
N個の前記ベクトル調整器の入力端に接続された光電気変換回路と、
を備えるRFフロントエンドモジュール。
【請求項2】
請求項1に記載のRFフロントエンドモジュールであって、
すべての系統の前記第2のモニタから抽出された信号を用いて相関演算を行い、相関演算結果をすべての系統の前記ベクトル調整器に出力する送信系統用制御器と、
をさらに備えるRFフロントエンドモジュール。
【請求項3】
請求項1または2に記載のRFフロントエンドモジュールであって、
N個の前記利得調整器から出力された電気信号を合成して前記電気光変換回路に入力する合波回路と、
をさらに備えるRFフロントエンドモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は主に移動通信用の基地局装置に用いるRFフロントエンドモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
移動通信システムでは、複数の周波数帯を利用して、サービス提供が行われる。日本では、800MHz帯から2GHz帯までの周波数帯が利用される。基地局は、設置場所の観点から、複数の周波数帯をサポートすることが必要である。例えば、2GHz帯、1.5GHz帯、900MHz帯を同時に利用可能な状態にすることが必要である。
【0003】
基地局は、大きく分けて、アンテナと無線部(Remote Radio Headとも呼ばれる)にて構成される。複数の周波数帯をサポートする基地局は、一般的に複数の周波数帯に対応したアンテナ(いわゆるマルチバンドアンテナ)と、各周波数帯に対応する無線部とで構成される。例えば、3バンドに対応する基地局では、3バンド共用アンテナと、各周波数帯に対応する3つの無線部で構成される。
【0004】
マルチバンドアンテナはマルチバンド対応のアンテナ素子で構成される。アンテナ素子には、バンドごとの無線部出力をフィルタリング機能をもつ合波回路で合成した信号が入力される。基地局アンテナには、コリニアアレイアンテナが利用されることから、アンテナ素子数、アンテナ素子間隔、反射板形状にて、その放射特性が決まる。マルチバンドアンテナでは、それぞれの周波数帯にて所定の放射特性を具体化できるように、アンテナ素子形状などが設計される。アンテナレドーム内には、アンテナ素子、反射板、合波回路等が配置され、必要に応じてチルト角を制御する可変位相器を備える場合もある(特許文献1参照)。
【0005】
無線部(送受信回路)はデュプレクサ、電力増幅器、LNA、周波数変換器、アナログ・ディジタル変換回路、CPRI対応回路、制御回路、電源回路で構成され、外観は放熱フィンを持つ筺体である。無線部(送受信回路)は送信ダイバーシチ対応基地局向けに送信系統を2つもつ構成もある。マクロセル向け無線部での電力増幅器は、平均電力20W程度を出力することができる。デュプレクサは、FDDシステム対応であり、一つの周波数帯のアップリンクとダウンリンクを分離する。例えば、2GHz帯であれば、1940MHzから1960MHzのアップリンクと、2130MHzから2150MHzのダウンリンクに対応する。
【0006】
従来、マルチバンドアンテナと無線部(送受信回路)の接続にはRFケーブルを用いていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−153967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来、マルチバンドアンテナと無線部とを接続(結線)するRFケーブルについては、一つの周波数帯に対して、それぞれ送信用ケーブル、受信用ケーブルが必要となるため、基地局がサポートする周波数バンド数の2倍の本数のRFケーブルが必要となる。このため、アンテナ直下に無線部を設置する場合でもアンテナレドーム内に多数のケーブルが配置接続される。RFケーブルには、低損失、かつ低パッシブインターモジュレーション(PIM)が求められるため、ケーブル径の太いケーブルを用いる必要がある。このため、アンテナ内の配線に柔軟性が失われ、アンテナレドーム内のスペースの多くをケーブルが占有することとなる。また、現在の基地局構成では運用する周波数帯の追加に伴い、追加された周波数帯に対応する無線部とマルチバンドアンテナとを接続するRFケーブルを追加することが必要となる。しかしながら、無線部とアンテナを一体化したレドーム内に設置している場合、既に他の周波数帯のRFケーブルによってレドーム内のスペースの多くが占有されており、新たなRFケーブルをレドーム内に収容する空間的余裕が確保できない場合があった。そこで、本発明では、アンテナレドーム内の省スペースを実現するRFフロントエンドモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のRFフロントエンドモジュールは、Nを1以上の整数とし、Nバンドデュプレクサと、Nバンドデュプレクサに接続されたN個のLNAと、LNAの出力端に接続され、LNA出力信号の平均電力を計測する第1のモニタと、所定時間経過毎に第1のモニタからLNA出力信号の平均電力を取得する自動レベル検出器と、自動レベル検出器が取得したLNA出力信号の平均電力と、予め定めた光回路への入力電力とが等しくなるように、LNA出力信号の利得の増幅、または減衰を実行する利得調整器と、利得調整器から出力された電気信号を光信号に変換する電気光変換回路とを備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明のRFフロントエンドモジュールによれば、アンテナレドーム内の省スペースを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例1の基地局装置の構成を示す図。
図2】実施例1のRFフロントエンドモジュールと送受信回路の詳細を示す図。
図3】実施例1の送信電力増幅器の構成を示す図。
図4】実施例1のLNAの構成を示す図。
図5】実施例1の利得調整器の構成を示す図。
図6】実施例1のベクトル調整器の構成を示す図。
図7】実施例1の電気光変換回路の構成を示す図。
図8】実施例1の光電気変換回路の構成を示す図。
図9】実施例1の送信系統用制御器の構成を示す図。
図10】実施例1の受信系統用制御器の構成を示す図。
図11】実施例2のRFフロントエンドモジュールと送受信回路の詳細を示す図。
図12】実施例3のスイッチの構成を示す図。
図13】光回路の入出力特性を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、同じ機能を有する構成部には同じ番号を付し、重複説明を省略する。
【実施例1】
【0013】
以下、図1を参照して、本発明の実施例1に係る基地局装置の構成について説明する。図1は本実施例の基地局装置9の構成を示す図である。図1に示すように本実施例の基地局装置9は、蒲鉾形筒状のレドーム7と、レドーム7内に収容されるアンテナ素子1−1、1−2、1−3、1−4と、反射板2と、RFフロントエンドモジュール3−1、3−2、3−3、3−4と、放熱板4と、送受信回路5と、光ファイバ6とを備える。光ファイバ6は、RFフロントエンドモジュール3−1、3−2、3−3、3−4と送受信回路5とを接続する。
【0014】
反射板2の一方の面にはアンテナ素子1−1、1−2、1−3、1−4が反射板長手方向一列に配置され、反射板2の他方の面にはRFフロントエンドモジュール3−1、3−2、3−3、3−4が反射板長手方向一列に配置される。レドーム下部には、Nバンド(Nは1以上の整数)の送受信回路5が設置される。本実施例ではN=3としておく。RFフロントエンドモジュール3−1、3−2、3−3、3−4と送受信回路5は光ファイバ6にて接続される。3バンドかつ4素子(12系統)であることから、光ファイバ総数は12本となる。本発明の構成によれば光ファイバ配線はレドーム内に限られるため、1本あたりの光ファイバ長はレドーム長2mとすれば高々5m程度となる。
【0015】
ここでアンテナ素子1−1、1−2、1−3、1−4は、例えば1.5GHz帯、1.8GHz帯、2.1GHz帯の3バンド対応であるものとする。アンテナ素子間隔は、3バンドの指向性を設計値にするよう設定される。アンテナ素子1−1、1−2、1−3、1−4は銅張プリント基板で構成され、3バンドで共振を持つ構造である。
【0016】
以下、図2から図10を参照してRFフロントエンドモジュール3−1、3−2、3−3、3−4(以下、符号3で代表させる)と、送受信回路5の詳細について説明する。図2は、本実施例のRFフロントエンドモジュール3と送受信回路5の詳細を示す図である。図3は本実施例の送信電力増幅器30の構成を示す図である。図4は本実施例のLNA31の構成を示す図である。図5は本実施例の利得調整器35の構成を示す図である。図6は本実施例のベクトル調整器37の構成を示す図である。図7は本実施例の電気光変換回路39の構成を示す図である。図8は本実施例の光電気変換回路38の構成を示す図である。図9は本実施例の送信系統用制御器365の構成を示す図である。図10は本実施例の受信系統用制御器535の構成を示す図である。
【0017】
上述したように本実施例ではN=3としたため、RFフロントエンドモジュール3は、3バンドのフロントエンドモジュールである。図2に示すように、RFフロントエンドモジュール3は、Nバンドデュプレクサ3A(N=3であるため、以下、3バンドデュプレクサ3Aという)と、送信電力増幅器30−1、30−2、30−3(以下、符号30で代表させる)と、LNA31−1、31−2、31−3(以下、符号31で代表させる)と、プリアンプ32−1、32−2、32−3(以下、符号32で代表させる)と、モニタ33−1、33−2、33−3(以下、符号33で代表させる)と、自動レベル検出器34−1、34−2、34−3(以下、符号34で代表させる)と、利得調整器35−1、35−2、35−3(以下、符号35で代表させる)と、モニタ36−1、36−2、36−3(以下、符号36で代表させる)と、ベクトル調整器37−1、37−2、37−3(以下、符号37で代表させる)と、光電気変換回路38−1、38−2、38−3(以下、符号38で代表させる)と、電気光変換回路39−1、39−2、39−3(以下、符号39で代表させる)とを備える。
【0018】
送受信回路5は、電気光変換回路51−1、51−2、51−3(以下、符号51で代表させる)と、光電気変換回路52−1、52−2、52−3(以下、符号52で代表させる)と、ベクトル調整器53−1、53−2、53−3(以下、符号53で代表させる)と、モニタ54−1、54−2、54−3(以下、符号54で代表させる)と、送信モジュール55−1、55−2、55−3(以下、符号55で代表させる)と、受信モジュール56−1、56−2、56−3(以下、符号56で代表させる)とを備える。光電気変換回路38−1と電気光変換回路51−1とは光ファイバ61−1で接続されている。電気光変換回路39−1と光電気変換回路52−1とは光ファイバ62−1で接続されている。光電気変換回路38−2と電気光変換回路51−2とは光ファイバ61−2で接続されている。電気光変換回路39−2と光電気変換回路52−2とは光ファイバ62−2で接続されている。光電気変換回路38−3と電気光変換回路51−3とは光ファイバ61−3で接続されている。電気光変換回路39−3と光電気変換回路52−3とは光ファイバ62−3で接続されている。
【0019】
なお、以下の説明では、電気光変換回路、光ファイバ、光電気変換回路の3つを合わせて光回路と総称する。
【0020】
<3バンドデュプレクサ3A>
3バンドデュプレクサ3Aは各バンドの送受信波を分離するための構成である。3バンドデュプレクサ3Aは7端子回路であって、アンテナ素子に接続される端子、各バンドの送信電力増幅器30に接続される3つの端子、各バンドのLNA31に接続される3つの端子である。3バンドデュプレクサ3Aは、3つの各バンド用デュプレクサをトーナメント合成する構成である。詳細には、第1の周波数帯である1.5GHz帯デュプレクサ33Aと、第2の周波数帯である1.8GHz帯デュプレクサ34Aと、第3の周波数帯である2.1GHz帯デュプレクサ35Aと、第1の周波数帯(1.5GHz帯)と第2の周波数帯(1.8GHz帯)の分波回路32Aと、第1/第2周波数帯(1.5GHz帯/1.8GHz帯)と第3の周波数帯(2.1GHz帯)の分波回路31Aをトーナメント合成する構成である。なお、分波回路はパッシブ素子で構成されることから、合波回路でもある。
【0021】
各バンドのデュプレクサ33A、34A、35Aは、3つの端子(共通端子、送信電力増幅器30に接続される端子、LNA31に接続される端子)を持つ回路である、1.5GHz帯デュプレクサ33Aは、アップリンクの1448MHzから1463MHz、ダウンリンクの1496MHzから1511MHzの送受信波を分離または合波する。1.8GHz帯デュプレクサ34Aは、アップリンク1765MHzから1788MHz、ダウンリンクの1860MHzから1880MHzの送受信波を分離または合波する。2.1GHz帯デュプレクサ35Aは、アップリンクの1940MHzから1960MHz、ダウンリンクの2130MHzから2150MHzの送受信波を分離または合波する。各バンドのデュプレクサ33A、34A、35Aは、送信電力増幅器30の最大出力が2.5Wであることから、小型化に適した誘電体共振器を利用できる。デュプレクサ33A、34A、35Aには空洞共振器も利用できるが、空洞共振器は通過電力に対して共振器寸法が著しく大きいため、レドーム内にRFフロントエンドモジュールを収容する観点からは、誘電体共振器を用いるのが好適である。
【0022】
分波回路32Aは、3つの端子(1.5GHz帯デュプレクサ33Aの共通端子に接続される端子と、1.8GHz帯デュプレクサ34Aの共通端子に接続される端子と、分波回路31Aに接続される端子)を有する。分波回路32Aは、1.5GHz帯と1.8GHz帯の送受信波を同時に入力し、1.5GHz帯と1.8GHz帯に分波する。なお、分波回路32Aはパッシブ素子で構成されることから可逆性を有し合波回路でもある。分波回路32Aは、図示を省略したが1.5GHz帯ノッチフィルタまたはバンドパスフィルタと1.8GHz帯ノッチフィルタとバンドパスフィルタをT分岐で接続した構成である。1.5GHz帯送受信波と1.8GHz帯送受信波はノッチフィルタまたはバンドパスフィルタにて分離される。従って、1.5GHz帯デュプレクサ33Aに接続する端子からみて、1.8GHz帯デュプレクサ34Aの共通端子に接続する端子がRF的に見えない。分波回路32Aは小型かつ最大通過電力2.5Wに耐えることが必要であり、誘電体共振器を利用することができる。または十分な分離度を確保できるのであれば、プリント基板による平面回路で構成することができる。
【0023】
分波回路31Aは、3つの端子(分波回路32Aに接続する端子と、2.1GHz帯デュプレクサ35Aの共通端子に接続する端子と、アンテナ素子に接続する端子)を持つ。分波回路31Aは、1.5GHz帯〜1.8GHz帯の送受信波と2.1GHz帯の送受信波をアンテナ素子から同時に入力し、1.5GHz帯〜1.8GHz帯の送受信波と2.1GHz帯送受信波に分離する。分波回路31Aは、図示を省略したが1.5GHz帯〜1.8GHz帯のノッチフィルタまたはバンドパスフィルタと、2.1GHz帯ノッチフィルタまたはバンドバスフィルタをT分岐にて合成する構成である。従って、1.5GHz帯〜1.8GHz帯の送受信波は2.1GHz帯デュプレクサ35Aに出力されない。同様に2.1GHz帯の送受信波は1.5GHz帯〜1.8GHz帯の分波回路32Aに出力されない。分波回路31Aは、小型かつ最大通過電力2.5Wに耐えうることが求められるため、誘電体共振器または平面回路にて構成することが最善である。
【0024】
<送信電力増幅器30>
図3に示すように、送信電力増幅器30は、入力整合回路30aと、マイクロ波半導体30bと、バイアス回路30cと、出力整合回路30dにて構成される。送信電力増幅器30は動作周波数帯ごとに入力整合回路30aを調整し、動作周波数にて最大出力電力2.5Wを得つつ、高効率動作を図る。送信電力増幅器30には低歪動作が求められることから、少なくとも最大出力電力から出力バックオフ8dB程度高い飽和出力22.5Wが必要である。1.5GHz帯から2.1GHz帯マイクロ波トランジスタには、例えば22.5W以上、GaAs_MESFETまたはGaN_HEMTを利用することができる。入力整合回路30aと出力整合回路30dの設計は、動作周波数にて入力整合回路30aの入力側反射と出力整合回路30dの出力側反射をそれぞれ10dBから1.5dB程度、送信電力増幅器30の利得をなるべく最大になるようにする。送信電力増幅器30の出力側に再放射を防ぐためアイソレータを設けても良い。送信電力増幅器30で発生する歪み成分を低減するために、バランス型電力増幅器の利用、プリディストータなどの線形化回路を利用することができる。プリディストータを利用する場合、送信電力増幅器30の入力側にプリディストータを配置する。プリディストータは1.5GHz帯から2.1GHz帯で動作することが必要である。
【0025】
<LNA31>
図4に示すように、LNA31は、入力整合回路31aと、低雑音マイクロ波半導体31bと、バイアス回路31cと、出力整合回路31dにて構成される。LNA31は低雑音増幅動作が求められるので、入力整合回路31aを50Ohm程度にするように設計する。また低雑音マイクロ波半導体31bには、低雑音増幅特性に優れるGaAs HEMTを利用することができる。
【0026】
<モニタ33、自動レベル調整器34、利得調整器35>
モニタ33は、LNA31の出力端に接続される。なお、モニタ33は後述するモニタ36と区別するために第1のモニタ33と呼んでもよい。モニタ33は、LNA31出力信号の平均電力を測定する。自動レベル検出器34は、モニタ33と利得調整器35に接続される。利得調整器35は、モニタ33と、自動レベル検出器34に接続される。図5に示すように、利得調整器35は可変利得増幅器35aと可変減衰器35bと利得制御回路35cにて構成される。自動レベル検出器34は、常に(所定時間経過毎に)モニタ3が計測したLNA出力信号の平均電力を取得し、利得調整器35の利得制御回路35cに通知する。利得調整器35の利得制御回路35cは光回路への入力電力と自動レベル検出器34が取得した平均電力とを比較し、それらを一致させるように可変利得増幅器35aと可変減衰器35bを制御する。自動レベル検出器34はダイオードを用いた簡易なレベル検出回路でよい。利得調整器35の可変利得増幅器35aは増幅器の段数を制御するまたは増幅器を構成するトランジスタのバイアス電圧を調整する構成としても良い。利得調整器35の可変減衰器35bはPI型に減衰器を構成した回路であり、利得制御回路35cにより減衰器の段数を制御可能である。制御周期はLNA出力の平均電力変動に追従するが、フェージングの長期変動に追従できる程度でよい。
【0027】
<利得調整器35が実行する利得調整の詳細>
利得調整器35は、+20dBから−20dB程度の範囲で利得を調整し、LNA出力を光回路入力に適正なレベルに維持する。利得調整器35は、レーザーで発生する相互変調歪み成分と、光回路の雑音(ほぼ熱雑音に相当する)を考慮して光回路入力レベルを設定する。これについて図13を参照して詳細に説明する。図13は、光回路の入出力特性を示す図であって、横軸は光回路の1波あたりの入力電力、縦軸は光回路の1波あたりの出力電力を表す。ここでは、入力信号を等振幅ずつ100kHz離調したCW2波とした。実線で示したのは基本波であり、一点鎖線で示した3次相互変調歪み成分は入力信号により生じる基本波近傍の3次相互変調歪み成分である。破線で光回路の雑音レベルの特性を示す。図13から明らかなように、もっとも相互変調歪み成分と基本波のレベル差を取れる箇所は光回路の雑音レベルと3次相互変調歪み成分の交差する点になる。言い換えれば、相互変調歪み成分と基本波のレベル差を最も大きく取れる箇所は、光回路の雑音レベルと、入力信号により生じる基本波近傍の3次相互変調歪み成分とが等しくなる箇所である。利得調整器35は、3次相互変調歪み成分と基本波のレベル差を最大に取れるように、光回路への入力電力を制御する。入力信号は変調波のため瞬時電力と平均電力が異なるが、図13は平均電力で評価しており、利得調整器35では入力信号の平均電力に着目して利得調整を行う。本実施例の利得調整器35の動作は、無線電波などのアナログ信号をアナログ信号のまま光ファイバを用いて伝送する場合に好適である。
【0028】
なお、本実施例のRFフロントエンドモジュール3は、系統ごとに複数の利得調整器を有する。複数の受信系統で適切に制御されたアレイファクタでぞれぞれの受信信号を合成する必要があるため、すべての利得調整器において、それぞれの受信系統における利得調整量がほぼ同一になるように設定することが必要である。例えば、第一系統の利得調整器で設定した可変減衰器と可変利得増幅器の設定値は、第一系統の利得制御回路を通して、他系統の利得制御回路に通知される。他系統の利得制御回路は通知された設定値を用いてそれぞれの可変減衰器と可変利得増幅器を設定する。上記では第一系統を例に説明したが、他系統を基準として可変減衰器と可変利得増幅器を設定してもよい。
【0029】
上記では、複数の利得調整器を協調して動作する例を述べたが、以下のように複数の利得調整器を独立して動作させてもよい。複数の利得調整器が独立して動作する場合、それぞれの可変減衰器と可変利得増幅器の設定値が異なる。受信機にて複数の受信系統出力信号を適切なアレイファクタで合成するには、利得制御回路で指示した可変減衰器と可変利得増幅器の設定値を受信機に通知し、その設定値を考慮して複数の受信系統出力信号を合成すればよい。この通知は利得制御回路から受信機の複数の受信系統出力信号を合成する回路に行えばよい。このように、複数の利得調整器を独立動作させても、適切なアレイファクタで複数の受信系統出力信号を合成することができる。
【0030】
<電気光変換回路39、光電気変換回路38>
電気光変換回路39は、利得調整器35の出力端に接続され、利得調整器35から出力された電気信号を光信号に変換する。電気光変換回路39は、図7に示すように、レーザー39a、バイアス回路39b、温度安定化回路39cにて構成される。レーザー39aは半導体素子で構成され、バイアス回路39bにて適切なバイアス電圧を設定する。また温度安定化回路39cはレーザー39a動作時の電気光変換回路39の温度安定化を図る。
【0031】
光電気変換回路38は、送受信回路5の出力信号(光信号)を電気信号に変換する。光電気変換回路38は、図8に示すように、フォトダイオード38a、バイアス回路38b、温度安定化回路38cにて構成される。光信号は適切なバイアス電圧を設定したフォトダイオード38aにて電気信号に変換される。光電気変換回路38は電気光変換回路39と同じく温度安定性が求められるため、温度安定化回路38cにて光電気変換回路38の温度安定化を図る。
【0032】
<ベクトル調整器37、モニタ36>
本実施例の基地局装置9のアクティブアンテナは、送信12系統、受信12系統で構成されている。アクティブアンテナで形成する指向性は、トリプルバンドアンテナ素子に給電する振幅と位相と、トリプルバンドアンテナ素子間隔などにより決定する。所定の指向性を得るには、トリプルバンドに給電する振幅と位相を所定の範囲に設定することが必要である。また、系統間の偏差も同様に所定の範囲に設定することが必要である。
【0033】
送信系統において、光電気変換回路38の出力端にベクトル調整器37の入力端を接続し、ベクトル調整器37の出力端にモニタ36の入力端を接続する。モニタ36は前述したモニタ33と区別するために、第2のモニタ36と呼んでも良い。さらに、モニタ36とベクトル調整器37の間(図2で矢印Aとして表記)に図9に示す送信系統用制御器365を備える。送信系統用制御器365は、アレイファクタの参照テーブルを備えており、12系統のすべてのモニタ36から抽出された信号を入力とし、相関演算などの処理を行い、12系統すべてのベクトル調整器37に出力する。送信系統用制御器365の動作について説明する。送信系統用制御器365は抽出された信号を用いて相関演算を行う。例えば、2系統の場合、2つの信号がCWであり、同一振幅かつ同一位相であれば、相関値は1となる。もし振幅にずれがあったり、位相にずれがあるときには、相関値は1以下となり、振幅または位相にずれがあることがわかる。一方の信号の振幅と位相を固定し、他方の信号の振幅と位相をベクトル調整器37で調整することで、相関値を1に近づけることができる。ベクトル調整器37での調整手段は、振幅調整、位相調整である。振幅が等振幅になれば、位相ずれを感度よく検出できる。振幅ずれがあると、位相ずれの感度劣化となり、ベクトル調整が良好に行うことができない。ベクトル調整器37は、図6に示すように、可変位相器37aと可変減衰器37bにて構成される。可変減衰器37bは可変増幅器としても良い。12系統すべてのベクトル調整を行う場合は、基準となる系統を決めておき、その系統の信号に対して他の系統の信号と相関値を計算する。ベクトル調整が完了後に系統を切り替えて、再度相関値を計算する。このプロセスを12系統に対して行うことで、12系統すべての信号の振幅と位相を一致させることができる。アクティブアンテナでは指向性制御を行うことから、送信系統用制御器365はアレイファクタの参照テーブルから各系統の振幅値と位相値を読み出し、ベクトル調整器37にて上記にてすでに設定されている振幅値と位相値からその振幅値と位相値を設定する。ベースバンド処理部でアレイファクタを与える場合、光電気変換回路出力の信号にアレイファクタが与えられているものとする。送信系統用制御器365は相関演算を行う前に、アレイファクタの参照テーブルから当該系統の振幅値と位相値を読み出し、当該系統の信号からその振幅値と位相値を補正し、相関演算を行う。また、モニタ36は送信電力増幅器30の出力側に設置してもよい。この場合、ベクトル調整器37はプリアンプ32と送信電力増幅器30の振幅偏差と位相偏差を含めて上述のアレイファクタを設定できる。周知のように、プリアンプ32と送信電力増幅器30は個体により振幅特性と位相特性にわずかな差、いわゆる個体差がある。モニタ36を送信電力増幅器30の出力側に設置することで、このような個体差を均一化してアレイファクタを設定できる。
【0034】
<ベクトル調整器53、モニタ54>
本実施例の送受信回路5の受信系統において、同様に光電気変換回路52の出力側にベクトル調整器53とモニタ54を設ける。さらに、モニタ54とベクトル調整器53の間(図2で矢印Bとして表記)に図10に示す受信系統用制御器535を備える。受信系統用制御器535は、アレイファクタの参照テーブルを備えており、12系統のすべてのモニタ54から抽出された信号を入力とし、相関演算などの処理を行い、12系統すべてのベクトル調整器53に出力する。受信系統用制御器535、ベクトル調整器53の動作については、前述した送信系統用制御器365、ベクトル調整器37の動作と同様であるから説明を略する。
【0035】
なお、送受信回路5の電気光変換回路51の入力端には送信モジュール55が接続される。モニタ54の出力端には受信モジュール56が接続される。
【0036】
このように、本実施例のRFフロントエンドモジュール3の各種構成により、RFフロントエンドモジュール3と、送受信回路5とを光回路で接続した場合であっても適切に通信信号の送信および受信を実行することが可能となり、光ファイバ6を利用できるため、従来のRFケーブルよりもはるかに細い径とすることができる。これにより、配線の柔軟性の獲得とアンテナケース内のスペースを削減できる。また、光ファイバの低損失特性も利用できる。PIMの発生メカニズムは金属のヒステリシスに依存する。光ファイバを利用することで、金属を利用しないケーブルによりPIMの発生原因を除去することができる。
【0037】
実施例1のRFフロントエンドモジュール3、および後述する実施例2、3のRFフロントエンドモジュールは単一周波数帯で動作する無線回路を集成したモジュールである。本発明のRFフロントエンドモジュールはこのような構成に限られず、例えば単一の無線回路にて複数の周波数帯で同時動作を可能する無線回路で構成することとしてもよい。この場合、例えば送信電力増幅器30は複数周波数帯で整合する整合回路と広帯域のGaN HEMTを用いて、複数の周波数帯で同時増幅が可能である。また、LNA31も同様に入力整合回路にて複数の周波数帯に共振することで低雑音で複数の周波数帯で同時増幅が可能である。ベクトル調整器37と利得調整器35は、それぞれ複数の周波数で同時動作するように回路を具備する。例えば、各帯域を抽出するフィルタと各帯域で動作するベクトル調整器37と利得調整器35を並列に構成することで、同時動作が可能である。デュプレクサ3Aは図2の構成にて、送信系統と受信系統に合波する回路を各帯域のデュプレクサ33A、34A、35Aの出力側に設ければよい。例えば、送信系統であれば、送信電力増幅器30−1、30−2、30−3の端子を1端子に合波する回路を設ける。図2であれば、32A、31Aに相当するブロックになる。受信系統についても同様である。
【実施例2】
【0038】
以下、図11を参照して、実施例1のRFフロントエンドモジュール3の一部を変更した実施例2のRFフロントエンドモジュール300、および実施例1の送受信回路5の一部を変更した実施例2の送受信回路500について説明する。図11は本実施例のRFフロントエンドモジュール300と送受信回路500の詳細を示す図である。本実施例のRFフロントエンドモジュール300は、実施例1のRFフロントエンドモジュール3と同様に、3バンドデュプレクサ3Aと、送信電力増幅器30と、LNA31と、プリアンプ32と、モニタ33と、自動レベル検出器34と、利得調整器35と、モニタ36と、ベクトル調整器37とを備える。本実施例では、実施例1の光電気変換回路38の代わりに、Nバンド対応光電気変換回路38’と、実施例1の電気光変換回路39の代わりに、Nバンド対応電気光変換回路39’とを備える。さらに、本実施例では、実施例1のRFフロントエンドモジュール3が備えないN+1端子の分波回路301、N+1端子の合波回路302を備える。
【0039】
送受信回路500は、Nバンド対応電気光変換回路51’と、当該Nバンド対応電気光変換回路51’に接続された送信モジュール55’と、Nバンド対応光電気変換回路52’と、当該Nバンド対応光電気変換回路52’に接続されたベクトル調整器53’、モニタ54’、送信モジュール56’を備える。
【0040】
分波回路301はN個(周波数帯ごと)の出力端子を備え、各出力端子は、それぞれベクトル調整器37の入力側に接続される。本実施例ではN=3であるため、分波回路301は3個(周波数帯ごと)の出力端子を備え、各出力端子は、ベクトル調整器37−1、37−2、37−3の入力側にそれぞれ接続される。また、分波回路301の入力端子は、Nバンド対応光電気変換回路38’の出力端に接続される。同様に、合波回路302はN個(周波数帯ごと)の入力端子を備え、各入力端子は、それぞれ利得調整器35の出力側に接続される。本実施例ではN=3であるため、合波回路302は3個(周波数帯ごと)の入力端子を備え、各入力端子は、利得調整器35−1、35−2、35−3の出力側にそれぞれ接続される。また、合波回路302の出力端子は、Nバンド対応電気光変換回路39’の入力端に接続される。
【0041】
また、本実施例では、Nバンド対応光電気変換回路38’と、送受信回路500のNバンド対応電気光変換回路51’とはNバンド対応光ファイバ61’で接続されている。同様に、本実施例では、Nバンド対応電気光変換回路39’と、送受信回路500のNバンド対応光電気変換回路52’とはNバンド対応光ファイバ62’で接続されている。
【0042】
合波回路302は、利得調整器35の出力信号を合成する。Nバンド対応電気光変換回路39’は、合成された電気信号を光信号に変換する。合波回路302はN=3であるため、上述した3バンドデュプレクサ3Aの合波回路と同一構成である。すなわち、1.5GHz/1.8GHz/2.1GHzの受信波を分配損失なしに周波数多重に相当する合成ができる。Nバンド対応電気光変換回路39’は、実施例1の電気光変換回路39と同様に、レーザー、バイアス回路、温度安定化回路にて構成される。レーザーは半導体素子であり、バイアス回路にて適切なバイアス電圧を設定する。また温度安定化回路はレーザー動作時のNバンド対応電気光変換回路39’の温度安定化を図る。
【0043】
分波回路301は、Nバンド対応光電気変換回路38’から出力された電気信号を3バンドに分波して、ベクトル調整器37に入力する。分波回路301は、N=3であるため、上記で述べた3バンドデュプレクサ3Aの分波回路をそのまま利用できる。例えば、各バンドの3出力端子と、3バンド合成した入力端子の4端子回路において、各バンドの端子には他バンドの周波数成分を除去するノッチフィルタと3バンド合成する端子までを他バンドの周波数に相当する1/4波長線路で構成される。1.5GHz帯と1.8GHz帯を阻止するには、1.5GHz帯ノッチフィルタと1.8GHz帯ノッチフィルタと、3バンド合成する端子にて1.5GHz帯と1.8GHz帯を開放にする伝送線路を設ける。ほかの端子も同様に構成する。また、複数のノッチフィルタの代替として、抽出する周波数のみ通過される帯域通過フィルタで構成してもよい。すなわち、1.5GHz/1.8GHz/2.1GHzの送信波を分配損失なしに周波数多重に相当する分波ができる。Nバンド対応光電気変換回路38’は、実施例1の光電気変換回路38と同様に、フォトダイオード、バイアス回路、温度安定化回路にて構成される。光信号は適切なバイアス電圧を設定したフォトダイオードにて電気信号に変換される。Nバンド対応光電気変換回路38’はNバンド対応電気光変換回路39’と同じく温度安定性が求められるため、温度安定化回路にてNバンド対応光電気変換回路38’の温度安定化を図る。
【0044】
上述の実施例ではN=3として、3バンド対応のアクティブアンテナを例にして説明したが、4バンド以上でも周波数帯が異なる限り、上記と同様の考え方で対応可能である。また、本実施例の3バンド対応電気光変換回路または3バンド対応光電気変換回路では、1.5GHz/1.8GHz/2.1GHzの送受信波を周波数多重にて分波または合波を行うこととしたが、光ファイバを用いた多重化技術に波長多重技術があるため、上記の分波または合波は波長多重で行ってもよい。
【0045】
本実施例のRFフロントエンドモジュール300、送受信回路500は上記のように構成されているため、Nバンド対応光ファイバ61’、62’を用いることができる。これにより実施例1ではバンドごとに光ファイバを必要としていたが、本実施例ではNバンドを1本の光ファイバにて構成することができるため、さらなる配線の柔軟性の獲得とアンテナケース内のスペース削減を実現できる。また、Nバンドの合波回路302と分波回路301には、電力分配器または方向性結合器で構成することなく、Nバンド対応デュプレクサに適用されている分波回路と合波回路と同じものを利用することができる。これにより電力合成器のように分配損失または合成損失を本質的になくすことができる。
【実施例3】
【0046】
以下、図12を参照して、実施例1の3バンドデュプレクサ3Aの一部を変更してスイッチを追加し、時分割方式とした3バンドデュプレクサ3000について説明する。図12は本実施例のスイッチ10−1、10−2、10−3(符号10で代表させる)の構成を示す図である。図12に示す通り、3バンドデュプレクサ3000は7端子回路であって、アンテナ素子に接続される端子、各バンドの送信電力増幅器30に接続される3つの端子、各バンドのLNA31に接続される3つの端子である。3バンドデュプレクサ3000は、実施例1の3つの各バンド用デュプレクサ33A、34A、35Aの代わりに、スイッチ10−1、10−2、10−3を備える構成である。
【0047】
本実施例は、実施例1のアクティブアンテナをTDDシステム用としたものである。TDDシステムでは同一周波数で時間帯を分けて送受信を行う。従って、RFフロントエンドモジュールのマルチバンドデュプレクサ33A、34A、35Aは不要となり、その代わりにRFスイッチモジュール(スイッチ10)が必要となる。スイッチ10はSPDTスイッチ、MEMSスイッチなどのように機械式スイッチを適用できる。バンド間を合波・分波する回路(31A、32A)は実施例1の3バンドデュプレクサ3Aにおける同一符号を付した回路と同一構成である。
【0048】
このように、本実施例の3バンドデュプレクサ3000を用いて、RFフロントエンドモジュールを構成することにより、TDDシステム用のアンテナを構成することが可能となる。
図1
図2
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図7
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図10
図11
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図13