特許第6045319号(P6045319)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6045319
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】乗客コンベア
(51)【国際特許分類】
   B66B 29/04 20060101AFI20161206BHJP
   B66B 23/22 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   B66B29/04 G
   B66B23/22 F
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-261015(P2012-261015)
(22)【出願日】2012年11月29日
(65)【公開番号】特開2014-105095(P2014-105095A)
(43)【公開日】2014年6月9日
【審査請求日】2015年4月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】000232944
【氏名又は名称】日立水戸エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】仲條 勇人
(72)【発明者】
【氏名】小原 考生
(72)【発明者】
【氏名】福島 絹代
【審査官】 三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−254776(JP,A)
【文献】 特開昭63−143188(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 21/00−31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端状に配置されて乗降口間を移動する踏み板と、この踏み板と同期して移動するハンドレールと、前記ハンドレールを案内支持する欄干パネルと、前記欄干パネルの下方の前記踏み板側に設けられる内デッキカバーと、前記乗降口の脇の前正面側に開口された前記ハンドレールが出入りする開口と、前記乗降口の脇の前正面側に設けられ前記ハンドレールの下方に配置された安全装置とを備えた乗客コンベアにおいて、
前記内デッキカバーは終端部の位置が前記安全装置の位置を越える位置まで延在するステンレス鋼板製の内デッキカバーであると共に、前記内デッキカバーの前記終端部と前記ハンドレールの外面との間の隙間を塞ぐための前記内デッキカバーとは別に構成された閉塞部材が前記内デッキカバーの前記終端部に固定されていると共に、
前記閉塞部材の前記内デッキカバーの終端部の裏面と密着する密着面は前記終端部の裏面の形状に沿った形状に形成され、前記密着面から直立した立ち上り部は前記終端部の側面と密着する形状に形成され、更に前記立ち上り部の高さは前記内デッキカバーの前記終端部の厚さとほぼ等しい長さに形成されて前記内デッキカバーの前記終端部と前記立ち上り部の面が面一になって繋がるように構成されていることを特徴とする乗客コンベア。
【請求項2】
請求項1において、
前記閉塞部材は合成樹脂製の閉塞部材であることを特徴とする乗客コンベア。
【請求項3】
請求項2において、
前記閉塞部材の前記ハンドレールの外面と対向する部分の形状は、前記ハンドレールの外面の形状に沿った形状に形成されていることを特徴とする乗客コンベア。
【請求項4】
請求項3において、
前記閉塞部材は前記内デッキカバーを形成するステンレス鋼板の色調と類似する色調に調色されていることを特徴とする乗客コンベア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は鉄道の駅舎や百貨店等の建築物の各階層をつなぐエスカレーター装置や、空港等で使用される可動道路等に代表される乗客コンベアに係り、特に、欄干の周縁に沿って移動するハンドレールを備えた乗客コンベアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
乗客や荷物を運ぶ乗客コンベア、例えばエスカレーター装置にあっては対となる階層の上部階層側に設けた機械室に電動機等の駆動機械を設置し、この駆動機械によって発生する駆動力により踏み板やハンドレール等を駆動する構成になっている。尚、以下ではエスカレーター装置の例を基に説明を行うようにする。
【0003】
最近のエスカレーター装置に要請される機能や性能としては、人員輸送能力の向上、消費電力量の低減、構造の簡略化、安全性及び意匠性の向上等のように実に多様な項目が挙げられる。このような多くの要請項目の一つとして安全性に着目すると、特開昭63−143188号公報(特許文献1)にあるようなエスカレーター装置が提案されている。
【0004】
このエスカレーター装置はステンレス鋼板で製作されたデッキカバーの先端側に合成樹脂で作られたデッキカバーを接続して一体化することで正規のデッキカバーとしている。そして、このデッキカバーの前正面のハンドレールが出入りする開口の下に安全スイッチのボタンを配置するようにしている。このように例えば安全スイッチのボタンなどの安全装置をハンドレールの下側に配置することによって不用意に安全スイッチが作動しないようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭63−143188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載されたデッキカバーは乗客コンベアの長手方向の途中までステンレス鋼板で構成され、途中から安全装置が位置する部分を含めた先端まで(端部近傍)を合成樹脂で形成されている。この種のエスカレーター装置は手荷物を持たない乗客以外に重い荷物や硬くて大きいスーツケースを持った乗客も多く利用するが、重くて体格が大きい硬いスーツケースをエスカレーター装置の踏み板に乗せる時はかなり苦労することは良く経験するところである。
【0007】
したがって、エスカレーター装置の乗降床から踏み板の上にスーツケースを移動させる時に、スーツケースの角部がデッキカバーの先端側を構成する合成樹脂製のデッキカバーに衝突して強い外力が合成樹脂製のデッキカバーに作用することがしばしば起こる。合成樹脂はその表面の強度がステンレス鋼板に比べて弱いため、上述した外力によって合成樹脂製のデッキカバーが破損したり、場合によっては破損した所が安全スイッチを収納している部分だと安全スイッチが不作動になったり、意図せずに安全スイッチが作動するといった不具合を生じる恐れがある。
【0008】
このような不具合を解消するため、最近では安全装置が設けられている部分までステンレス鋼板のデッキカバーを延長して安全装置の保護や、特許文献1にあるような安全スイッチの誤作動をなくすようにしている。
【0009】
図6図7にこのような対策をしたエスカレーター装置の乗降床付近の構成を示している。図6においてエスカレーター装置の乗降床付近の構成は、無端状に配置された踏み板1とハンドレール2とから構成される移動体と、乗り口及び降り口を構成する床板3と、コーム(櫛板)4と、踏み板1の移動方向に沿って延び図示しない枠体に立設された欄干パネル5と、ステンレス鋼板で製作された内デッキカバー6と、鋼板で製作されたスカートガード7と、ステンレス鋼板で製作された外デッキカバー8と、ステンレス鋼板で製作された内側端部スカートガード9aと、外側端部スカートガード9bとからなっており、これらの構成部品が建屋床に支えられている。
【0010】
そして、図7に示してある通り、内デッキカバー6は、終端部6aの位置がハンドレール2の下側に配置された安全装置20の設置位置を越える位置まで延びている。言い換えれば、乗客コンベアの乗降口を前正面側から見た場合に、内デッキカバー6の終端部6aの方が安全装置20よりも手前に存在する。
【0011】
したがって、エスカレーター装置の乗降床から踏み板1の上にスーツケースを移動させる時に、スーツケースは安全装置20よりも先に内デッキカバー6に衝突するとともに、スーツケースの角部が内デッキカバー6に衝突することが起こっても、ステンレス鋼板はその表面の強度が合成樹脂に比べて強いため、安全スイッチを収納している部分の破損が発生せず、特許文献1で述べたような安全スイッチが不作動になったり、意図せずに安全スイッチが作動するといった不具合を生じることがなくなるものである。
【0012】
ところが、図7にあるように内デッキカバー6の終端部6aは、内デッキカバー6の表面の形状を維持して延びて来ているので、どうしてもハンドレール2の外面との間には隙間gが生じている。このため、ハンドレール2の出入する開口のうち入り込み口側では、ハンドレール2の流れ(移動方向)が内デッキカバー6と外デッキカバー8とで形成される収納空間内に流れ込む方向に移動しているため、乗客の衣服等がこの隙間gに偶然入り込んだ場合、衣服等を損傷するといったことが危惧される。
【0013】
本発明の目的は、終端部の位置が安全装置の位置を越える位置まで延在する内デッキカバーの終端部とハンドレールの外面とで形成される隙間から衣服等の異物が入り込まない乗客コンベアを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の特徴は、終端部の位置が安全装置の位置を越える位置まで延在するステンレス鋼板製の内デッキカバーの終端部とハンドレールの外面との間の隙間を塞ぐ、内デッキカバーとは別に形成された閉塞部材(例えば、合成樹脂で形成された閉塞部材)を内デッキカバーの終端部に固定すると共に、閉塞部材の内デッキカバーの終端部の裏面と密着する密着面は終端部の裏面の形状に沿った形状に形成され、密着面から植立した立ち上り部は終端部の側面と密着する形状に形成され、更に立ち上り部の高さは内デッキカバーの終端部の厚さとほぼ等しい長さに形成されて内デッキカバーの終端部と立ち上り部の面が面一になって繋がるように構成されている、ところにある。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、終端部の位置が安全装置の位置を越える位置まで延在する内デッキカバーをステンレス鋼板で構成したため、外力が作用しても内デッキカバーが破損することがなくなると共に、内デッキカバーの終端部とハンドレールの外面との間が閉塞部材によって塞がれているので衣服等の異物が入り込まなくなるものである。また、立ち上り部の高さは内デッキカバー終端部の厚さとほぼ等しい長さであるので、内デッキカバーの終端部と立ち上り部の面が面一になって両者が円滑に繋がるようにすることができる。
【0016】
更に、内デッキカバーが破損することがないので、安全スイッチが誤作動をするといった恐れが解消されるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施例になる乗客コンベアの乗降床付近の構成を示す構成図である。
図2図1のA‐A断面を示す断面図である。
図3図1の内デッキカバー周辺を拡大した拡大構成図である。
図4図1のB‐B断面を示す断面図である。
図5】内デッキカバーと閉塞部材の構成を示す外観斜視図である。
図6】本発明の前提となる乗客コンベアの乗降床付近の構成を示す構成図である。
図7図6の内デッキカバー周辺を拡大した拡大構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されることなく、本発明の技術的な概念の中で種々の変形例や応用例をもその範囲に含むものである。
【0019】
図1は本実施例になるエスカレーター装置の乗降床付近を示している。図6が下側の階床付近の構成を示していたのに対し、本実施例では上側の階床付近を示しているが、構成は実質的に同一であるので詳しい説明は省略する。図1図6と異なる部分は、本実施例の特徴である内デッキカバーの終端部に閉塞部材が取り付けられているところであるが、これについては後で詳細に説明する。
【0020】
閉塞部材の説明を行なう前にデッキカバー付近の構成を図2において説明する。図2図1のA-A断面を示しており、デッキカバーからハンドレールまでの構成部品を表している。
【0021】
図2において、欄干パネル5の上端には案内フレーム10が取り付けられ、ハンドレール2を案内している。更に、欄干パネル5の下端には両側に化粧用の凸部11aを有するパッキン11が設けてある。パッキン11は支持ベース13に挟み込まれており、この支持ベース13によって欄干パネル5が踏み板1の進行方向に沿って立設されている。
【0022】
また、踏み板1側(内側)には内デッキカバー6、スカートガード7が配置されている。内デッキカバー6は欄干パネル5の下部付近を覆うように配置されており、一方の端面側はパッキン11の凸部11aの下に潜り込んでいる。
【0023】
更に、踏み板1の反対側(外側)には外デッキカバー8と外装板12が配置されている。外デッキカバー8は欄干パネル5を内デッキカバー6と協働して挟み込むように欄干パネル5の下部付近を覆うように配置されており、一方の端面側はパッキン11の凸部11aの下に潜り込んでいる。また、内デッキカバー6は欄干パネル5の位置から踏み板1側に向けて徐々に低くなる傾斜角θを持っており、ビス15で支持ベース13に固設されている。
【0024】
このように、内デッキカバー6、スカートガード7、外デッキカバー8、及び外装板12は欄干パネル5の下部付近、支持ベース13及び本体枠14等の内部構造物を体裁よく被う構成になっている。
【0025】
尚、欄干パネル5には透明な強化ガラスが用いられ、内デッキカバー6、外デッキカバー8には薄板状のステンレス鋼板が用いられ、スカートガード7は粉末の低摩擦材料を含有する塗料を塗布した化粧鋼板が用いられている。これらの構成部品は外部に露出する構成部品であるのでそれぞれ意匠部品として美麗な表面を形成している。
【0026】
次に本発明が対象とする内デッキカバーの終端部に設けられる閉塞部材の構成について図3図4、及び図5を用いて説明する。図3は、図1の内デッキカバー周辺を拡大した拡大構成図である。図4は、図1のB‐B断面を示す断面図である。図5は、内デッキカバーと閉塞部材の構成を示す外観斜視図である。
【0027】
図3において、ステンレス鋼板製の内デッキカバー6の先には終端側のステンレス鋼板製の内デッキカバー17が設けられており、両者は適切な結合方法で一体的に構成されている。尚、内デッキカバー6と終端側の内デッキカバー17は最初から一体的に構成されていても良いものである。したがって、ステンレス鋼板製の内デッキカバー17は内デッキカバー6と同等と扱って良いものであるが、本実施例において以下では内デッキカバー17として説明する。
【0028】
図3図4にあるように、スカートガード7の先端には内側端部スカートガード9aが結合されており、この内側端部スカートガード9aは先端側でほぼ直角に曲げられて前側スカートガード9cを形成している。また、図3では図示していないが図2に示した外装板12の先端には外側端部スカートガードが結合されており、この外側端部スカートガードは先端側でほぼ直角に曲げられて前側スカートガード9bを形成している。
【0029】
図4は、乗降口の脇の前正面側の様子を示したものであり、図4に示すように、乗降口の脇の前正面側に配置された前側スカートガード9b、9cにはハンドレール2が出入りする開口21が設けられており、この開口21を通ってハンドレール2が循環するものである。また、この開口21の下には安全装置20が設けられている。すなわち、乗降口の脇の前正面側に開口されたハンドレールが出入りする開口21と、乗降口の脇の前正面側に設けられハンドレールの下方に配置された安全装置20とを有した構成になっている。この安全装置20が作動すると、内側端部スカートガード9aと外側端部スカートガード9bによって形成された収納空間に配置された安全スイッチが作動して踏み板1やハンドレール2の駆動が停止されるものである。安全装置20の安全スイッチとしては例えばマイクロスイッチが用いられ、図4で示した安全装置20が露出している部分は例えばマイクロスイッチを覆うゴムなどであるが、これに限定されるものではない。
【0030】
図3にあるように、内デッキカバー17は、終端部17aの位置が安全装置20の位置を越える位置まで延在して、ハンドレール2側に延びており、安全装置20が不用意に作動しないようにされると共に、安全装置20を上からの外力から保護するようにしている。
【0031】
例えば、エスカレーター装置の乗降床から踏み板1の上にスーツケースを移動させる時に、スーツケースの角部が内デッキカバー17に衝突することが起こっても、ステンレス鋼板はその表面の強度が強いため安全スイッチを収納している部分の破損が発生せず、また、安全スイッチが不作動になったり、意図せずに安全スイッチが作動するといった不具合を生じることがなくなるものである。
【0032】
また、内デッキカバー17の終端部17aには閉塞部材16が固定されており、この閉塞部材16はハンドレール2の外面に向かって延びている。本実施例においては閉塞部材16とハンドレール2の外面とがほぼ直交する位置関係になるように内デッキカバー17の終端部17aに閉塞部材16が固定されている。したがって、内デッキカバー17の終端部17aとハンドレール2との間に形成された隙間gを塞ぐ壁としての機能を備えていることになる。
【0033】
閉塞部材16の材料、形状は任意の形状であるが、望ましくは合成樹脂で、閉塞部材16のハンドレール2の外面と対向する部分の形状がハンドレール2の外面の形状に沿った形状に形成されている。また、閉塞部材16とハンドレール2の外面とが対向する隙間は出来るだけ狭い方が良いが、これは設計的に適切に決定すれば良いものである。要は、閉塞部材16によって異物が入り難い構成になっていれば良いものである。また、閉塞部材16としては合成樹脂の他に、ステンレス鋼板や、めっき鋼板を所望の形状に成形して用いることができる。
【0034】
図5に本実施例になる内デッキカバー17と閉塞部材16の構成を示しており、内デッキカバー17の終端部17aには合成樹脂からなる閉塞部材16がねじ、或いはボルト等によって固定される構成である。閉塞部材16は合成樹脂であるため形状形成が容易であり、内デッキカバー17の終端部17aの裏面に密着する終端部17aの裏面の形状に合わせた密着面16aと、この密着面16aから直立した立ち上り部16bを備えることができる。立ち上り部6bは終端部17aの側面部と密着する形状となっている。
【0035】
また、立ち上り部16bの高さは内デッキカバー17の終端部17aの厚さとほぼ等しい長さにしてやれば内デッキカバー17の終端部17aと立ち上り部16bの面が面一になって両者が円滑に繋がるようにすることができる。
【0036】
このように、内デッキカバー17の終端部17aに閉塞部材16を固定し、閉塞部材16によって、内デッキカバー17の終端部17aとハンドレール2の外面との間の隙間gを塞ぐようにしたので、ハンドレール2の流れ(移動方向)が内デッキカバーと外デッキカバーとで形成される収納空間内に流れ込む方向に移動しても、乗客の衣服等が巻き込まれて衣服等を損傷するといったこと現象をなくすことができるようになる。
【0037】
ここで、『隙間gを塞ぐ』とは完全に隙間を無くすことを意味しているのではなく、所定の隙間を有していても良いものであり、要は、図7に示す構成に対して閉塞部材16によって異物が入り難い構成になっていれば良いものである。
【0038】
尚、図7に示す内デッキカバー6ではその終端部6aがステンレス鋼板のむき出しであるため、先端が鋭利なエッジ形状であり、取り扱いに注意が必要であったが、閉塞部材16は合成樹脂でインジェクション成形法などによって製作されており、閉塞部材16の形状上の角部はある程度の丸みを持っているので取り扱いが容易である。
【0039】
また、閉塞部材16が合成樹脂であるため、ハンドレール2の外面形状に沿った形状に成形ができ、複雑な形状の隙間を塞ぐことができる。
【0040】
更に、閉塞部材16はパッキン11と同一、或いは類似の色調とすることや、内デッキカバー17と同一、或いは類似の色調に調色することで一体感が得られ、且つ、質感も金属製のものと同等にすることができる。
【0041】
繰り返しなるが、図7にあるように内デッキカバー6の終端部6aは、内デッキカバーの表面の形状を維持して延びて来ているので、どうしてもハンドレール2の外面の間には隙間gが生じている。このため、ハンドレール2の流れ(移動方向)が内デッキカバー6と外デッキカバー8とで形成される収納空間内に流れ込む方向に移動していると、乗客の衣服等がこの隙間gに偶然入り込んだ場合、衣服等を損傷するといったことが危惧される。
【0042】
これに対して、本発明によれば、終端部の位置が安全装置の位置を越える位置まで延在するステンレス鋼板製の内デッキカバーの終端部とハンドレールの外面との間の隙間を塞ぐ合成樹脂製の閉塞部材を内デッキカバーの終端部に固定したことによって、外力が作用しても内デッキカバーが破損することがなくなる共に、内デッキカバーの終端部とハンドレールの外面との間が閉塞部材によって塞がれているので衣服等の異物が入り込まなくなるものである。
【0043】
以上、本発明の実施形態を、乗客コンベアの一種であるエスカレーター装置を例に用いて説明してきたが、本発明は、可動道路等の他の形式の乗客コンベアに適用してもよい。
【符号の説明】
【0044】
1…踏み板、2…ハンドレール、3…床板、4…コ−ム、5…欄干パネル、6…内デッキカバー、7…スカートガード、8…外デッキカバー、9a…内側端部スカートガード、9b…外側端部スカートガード、11…パッキン、11a…化粧用の凸部、12…外装板、13…支持ベース、14…本体枠、15…ビス、16…閉塞部材、16a…密着面、16b…立ち上り部、17…内デッキカバー、20…安全装置、21…開口。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7