(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6045327
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】缶用塗料組成物、その塗料組成物を塗布したボトル缶及びボトル缶の製造方法
(51)【国際特許分類】
C09D 167/00 20060101AFI20161206BHJP
C09D 161/26 20060101ALI20161206BHJP
C09D 163/00 20060101ALI20161206BHJP
B05D 7/14 20060101ALI20161206BHJP
B05D 7/24 20060101ALI20161206BHJP
B65D 23/08 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
C09D167/00
C09D161/26
C09D163/00
B05D7/14 F
B05D7/24 302V
B65D23/08 B
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-272525(P2012-272525)
(22)【出願日】2012年12月13日
(65)【公開番号】特開2014-118432(P2014-118432A)
(43)【公開日】2014年6月30日
【審査請求日】2015年11月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】305060154
【氏名又は名称】ユニバーサル製缶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101465
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 正和
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 幸人
(72)【発明者】
【氏名】田中 桃
(72)【発明者】
【氏名】増田 哲也
【審査官】
菅野 芳男
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−137846(JP,A)
【文献】
特開平01−299875(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/084833(WO,A1)
【文献】
特開2008−127519(JP,A)
【文献】
特開昭62−218454(JP,A)
【文献】
特開昭63−230779(JP,A)
【文献】
特開平10−067945(JP,A)
【文献】
特開平09−013178(JP,A)
【文献】
特開2004−175845(JP,A)
【文献】
特開2003−147263(JP,A)
【文献】
米国特許第06423771(US,B1)
【文献】
国際公開第94/017148(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 167/00
B05D 7/14
B05D 7/24
B65D 23/08
C09D 161/26
C09D 163/00
C09D 175/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量平均分子量800〜1000のアミノ樹脂を含む樹脂固形分45質量%〜65質量%の有機溶剤型塗料であって、質量平均分子量100〜600のポリエステルポリオールが前記樹脂固形分に対して1質量%〜10質量%添加されていることを特徴とする缶用塗料組成物。
【請求項2】
前記樹脂固形分が、ポリエステル樹脂:45質量%〜65質量%、アミノ樹脂:20質量%〜30質量%、エポキシ樹脂:5質量%〜15質量%であることを特徴とする請求項1記載の缶用塗料組成物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の缶用塗料組成物を塗布したボトル缶。
【請求項4】
ボトル缶の外表面に塗膜を形成する塗装工程と、塗装工程後に塗膜を焼き付ける焼き付け工程とを有するボトル缶の製造方法であって、前記塗装工程では、請求項1又は2に記載の缶用塗料組成物をボトル缶に塗布することを特徴とするボトル缶の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、缶用塗料組成物、その塗料組成物を塗布したボトル缶及びボトル缶の製造方法に係り、特に缶の外表面の塗装に起因するヒュームの付着を防止した缶用塗料組成物、その塗料組成物を塗布したボトル缶及びボトル缶の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
缶の印刷面を保護しつつ、意匠性を向上させるために、印刷面の上にオーバーバーニッシュと称される塗膜が形成される。この塗膜を形成するための塗料には、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂等が用いられるが、塗装後の焼き付け乾燥時に、炉内にヒューム(低分子量樹脂が未硬化の状態で揮発して炉内面等に堆積したもの)が発生する問題がある。
外面塗膜に要求される性能は、樹脂組成や添加物によって決まってしまう。外面塗料を焼き付ける際に発生するヒュームの質も樹脂組成によって決まってしまう。ヒュームは塗料中の特に低分子の成分が焼き付け時に気体となり拡散して、オーブン炉内壁やピンチェーンなどの設備へ付着したものである。このヒュームが設備から落下して焼付け中の缶胴へ付着することで、缶の商品価値を損うという問題があり、ヒュームを低減する技術が検討されている。
【0003】
従来、このヒュームの発生を抑制する技術として、例えば特許文献1〜3に開示の方法がある。
特許文献1には、特定構造のベンゾグアナミン樹脂、アクリル系共重合体、ワックスを含む水性塗料組成物により、低分子量樹脂分の揮発を低減して、ヒューム量を低減することが開示されている。
特許文献2には、特定構造のアクリル系樹脂、アミノ樹脂、カルボジイミド基含有水性樹脂を配合した塗料により、ヒュームの発生を抑制することが開示されている。
特許文献3には、特定構造のベンゾグアナミン樹脂、アクリル樹脂、水性ポリエステル樹脂を含んだ水性塗料組成物を用いることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−77341号公報
【特許文献2】特開2011−144279号公報
【特許文献3】特開2009−203300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ボトル缶のようにネジ成形が施される場合は、加工性を高めるためにアミノ樹脂を多く含む樹脂組成とすることが一般的である。さらにレトルト適性が要求される場合、耐水性や加工密着性が求められ、塗膜の網目構造をより細かくすることが必要である。網目構造を細かくするためには樹脂の分子量を下げて塗料を設計することが必要であるが、低分子成分を多くすることでヒューム量は増えてしまう。また、ヒュームにアミノ樹脂やエポキシ樹脂が多く含まれる場合、硬い質のヒュームになり、設備から落下しやすくなるという問題もある。従って、レトルト適性を有するボトル缶用の塗料を焼き付ける際は硬い質のヒュームが発生してしまうことが避けられない。
このため、各特許文献記載の方法では、特にボトル缶のように高い成形性を必要とする缶におけるヒューム対策としては適用が難しい。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、成形性とレトルト適性が強く求められる缶において塗膜に起因するヒュームの付着を防止して商品価値の高い缶を製造することができる缶用塗料組成物、その塗料組成物を塗布したボトル缶及びボトル缶の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者はヒューム対策について鋭意研究した結果、以下の知見を得た。
ボトル缶で使用している有機溶剤型オーバーバーニッシュは、金属キャップ開栓性機能とネジ部加工密着性に対し、アミノ樹脂が大きく影響を及ぼす。また、レトルト性能が要求される外面塗料は、低分子アミノ樹脂を使用するため、高温焼付時にオーブン炉内へ気体となり飛散し、炉の内壁面に堆積したヒュームが落下して製品へ付着する不具合が生じることがある。この問題解決を行うには、発生物質を無くすことが根本的な解決であるが、特にレトルト性能が必要となるボトル缶は低分子アミノ樹脂を無くすことは缶体の性能低下と機能性に対し影響が大きな問題となる。そこで、発生するヒュームを設備から落下させにくくする方法として、ヒュームの質を軟らかくする低分子ポリエステルポリオールを導入し、低分子アミノ樹脂と結合させることで炉内に飛散したヒュームの質を改善させることで課題を解決した。
使用するポリエステルポリオールは、質量平均分子量を100〜600に制御する。分子量を制御することで高温焼付時に炉内に飛散したアミノ樹脂と結合及び被覆を可能とさせる。これから発生するヒュームの質は、粘性を持ち炉内の飛散を防止し製品への付着を防止し、商品価値のある安定した缶体を供給することが可能となる。
かかる知見の下、以下の解決手段とした。
【0008】
すなわち、本発明の缶用塗料組成物は、質量平均分子量800〜1000のアミノ樹脂を含む樹脂固形分45質量%〜65質量%の有機溶剤型塗料であって、質量平均分子量100〜600のポリエステルポリオールが前記樹脂固形分に対して1質量%〜10質量%添加されていることを特徴とする。
【0009】
質量平均分子量800〜1000のアミノ樹脂を含む樹脂固形分45質量%〜65質量%の塗料は、低分子量のアミノ樹脂の存在によりレトルト適性があるボトル缶の製造に好適である。
このような塗料を塗布した缶において、焼き付け時に発生するヒュームは硬くてもろい性状であり、これがオーブン内で粉状に舞うことで缶に付着している。ポリエステルポリオールは、質量平均分子量100〜600に制御することにより、高温焼き付け時に炉内に飛散したアミノ樹脂と結合し、これを被覆するように閉じ込めることが可能となる。これにより、発生するヒュームの質は、粘性を持ち、炉内面等に付着して炉内での再飛散が防止される。したがって、ヒュームの製品への付着を防止し、衛生的に安定した缶体を供給することが可能となる。
【0010】
ポリエステルポリオールの分子量が600を超えると、揮発しにくくなり、飛散したアミノ樹脂と結合することが難しくなる。分子量が100未満のものはヒュームを抑え込む効果が期待できない。
また、質量平均分子量100〜600に制御したポリエステルポリオールの添加量は、塗料固形分に対し1重量%〜10重量%が好ましい。10重量%を超えると、ヒュームの発生量が多くなり粘性も低くオーブン炉内で垂れが生じ逆に缶体への付着が発生し易くなる。1重量%未満では、ヒュームの質を改質するまでの時間がかかり硬いヒュームが発生し易くなる。
なお、有機溶剤型塗料であるので乾燥性がよく、缶の外面を光沢に優れる塗装面とすることができる。
【0011】
本発明の缶用塗料組成物において、前記樹脂固形分が、ポリエステル樹脂:45質量%〜65質量%、アミノ樹脂:20質量%〜30質量%、エポキシ樹脂:5質量%〜15質量%であるものとしてもよい。
また、本発明は、前記缶用塗料組成物を塗布したボトル缶である。
さらに、本発明のボトル缶の製造方法は、ボトル缶の外表面に塗膜を形成する塗装工程と、塗装工程後に塗膜を焼き付ける焼き付け工程とを有するボトル缶の製造方法であって、前記塗装工程では、前記缶用塗料組成物をボトル缶に塗布することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、現在の塗膜性能とボトル缶としての機能性を維持しつつヒュームを設備から落下させにくくすることの出来る分子量の小さいポリエステルポリールを導入することで、缶体としての意匠性と衛生性及び機能性を保つことの出来る金属印刷容器を提供できる。また、ポリエステルポリオールには、粘性がある為オーブン内での炉壁からの飛散はなく缶体への付着を極力低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明のボトル缶の製造方法を概略的に示した工程図であり、(a)(b)は断面図、(c)は正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係るボトル缶の製造方法の一実施形態について説明する。
ボトル缶1は、アルミニウム又はアルミニウム合金の薄板金属をプレス加工することにより、有底円筒状の胴部2の上端に、縮径した口金部3が一体に形成され、その口金部3の外周にねじ部4が形成されたものである。
【0015】
このボトル缶1を製造するには、まず、アルミニウム板材を打ち抜いて絞り加工することにより、
図1(a)に示すように比較的大径で浅いカップ5を成形した後、このカップ5に再度の絞り加工及びしごき加工(DI加工)を加えて同図(b)に示すように筒体6を成形する(筒体成形工程)。
次いで、筒体6の外周面のうち胴部2となる外周面に、必要な印刷を施すとともに、その印刷面を含んで筒体6のほぼ全面に透明な塗膜(オーバーバーニッシュ)を形成する(外面塗装工程)。そして、その塗装後の缶をオーブン内に通して塗膜を焼き付け、乾燥する(外面塗膜焼き付け工程)。
また、筒体6の内周面にスプレー等により塗料を吹き付けて内面塗装を行い(内面塗装工程)、焼き付け、乾燥する(内面塗膜焼き付け工程)。
その後、筒体6の上端部を成形して、
図1(c)に示すように、胴部2より小径の口金部3を形成し、その口金部3の外周にねじ部4を形成する(口金部成形工程)。
【0016】
以上の一連の製造工程において、口金部成形工程では、筒体6の上端部が大きく成形され、過酷な成形となる。このため、口金部成形工程より前に施される外面塗装工程において、密着性と成形性の向上を目的として、アミノ樹脂の混合比率を多くした塗料が用いられる。具体的には、樹脂固形分45質量%〜65質量%の有機溶剤型オーバーバーニッシュであり、その樹脂固形分における樹脂の比率が、ポリエステル樹脂:45質量%〜65質量%、アミノ樹脂:20質量%〜35質量%、エポキシ樹脂:5質量%〜15質量%からなり、さらに、ヒュームの質を改善する方法として、樹脂固形分に対して1質量%〜10質量%の比率で質量平均分子量100〜600の低沸点ポリエステルポリオールが添加されている。
各樹脂の質量平均分子量は、ポリエステル樹脂が6000〜10000、アミノ樹脂が800〜1000、エポキシ樹脂が600〜1200である。ポリエステル樹脂及びエポキシ樹脂の質量平均分子量は特に限定されるものではないが、エポキシ樹脂は、缶への密着力向上のため、質量平均分子量600〜1200が好ましい。
アミノ樹脂としては、例えば、メラミン、尿素、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、ステログアナミン、スピログアナミン、ジシアンジアミド等が用いられ、ボトル缶としての加工性向上のため、質量平均分子量800〜1000の低いものが使用される。
【0017】
また、ポリエステルポリオールは、多価カルボン酸とエチレングリコールが原料とされ、酸とアルコールの比率を1:2とし、質量平均分子量を100〜600に制御したものである。多価カルボン酸としてはテレフタル
酸が用いられる。
有機溶剤としては、例えば、シクロヘキサノン、ソルベッソ100、ソルベッソ150、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が用いられる。その他、滑り性向上のため、ワックスが含有される。
【0018】
この外面塗装後に、オーブン炉にて焼き付け工程を施す(焼き付け条件としては、例えば200℃×30秒とされる)と、塗料中の特にアミノ樹脂が揮発して炉の内壁面に堆積することによりヒュームとなるが、このとき、塗料中に含まれているポリエステルポリオールも揮発して炉の内壁面に付着する。このポリエステルポリオールは、低分子量で揮発し易く、粘性を有しているので、飛散したアミノ樹脂と結合して、これを被覆するように閉じ込めることが可能である。このため、炉の内壁面に付着したアミノ樹脂にポリエステルポリオールが結合し、粘性を持ったヒュームとなって炉内面に存在することになる。粘性を持っているので、炉内面から脱落することが抑制され、その結果、缶に付着することが防止される。したがって、ヒュームが付着していない、衛生的に安定した缶体を製造することができる。
ポリエステルポリオールの質量平均分子量が600を超えると、揮発しにくくなり、飛散したアミノ樹脂と結合することが難しくなる。質量平均分子量が100未満のものはヒュームを抑え込む効果が期待できない。
また、ポリエステルポリオールの添加量は、樹脂固形分に対して10質量%を超えるとヒュームの発生量が多くなり、1質量%未満にすると効果が得られなくなる。
【実施例】
【0019】
ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂の配合比、ポリエステルポリオールの質量平均分子量と添加量を変化させた種々の塗料を作製した。アミノ樹脂にはベンゾグアナミンを用い、ポリエステルポリオールはステアリン酸とエチレングリコールから生成した。樹脂固形分は45質量%〜65質量%となるように調整した。その塗料をアルミニウム合金板に塗布して焼き付け、その塗膜性能とヒューム質を評価した。
塗膜性能としては、塗膜に対する加工密着性、耐レトルト性を以下のように評価し、そのうちの全てが合格であれば○、一つでも不合格であれば×とした。
【0020】
1.塗膜性能
(1)加工密着性
a 鉛筆硬度 JIS K5600−5−4
室温で鉛筆硬度を測定した。2H以上を合格、それ以下を不合格とした。
b 剥離試験 JIS K5600−5−6
室温で、塗装板にカッターを使用し1mm間隔の碁盤目状に切り込みを入れて100個の枡を形成し、付着テープを付着させた後、付着テープを剥離し、碁盤目状に切り込みを入れた部分の塗膜の剥離状態を目視評価した。
一つの枡も剥離しなかったものを合格、一つでも剥離したものを不合格とした。
c 衝撃試験 JIS K5600−5−3
デュポン衝撃試験機を用いて、撃芯径1/2インチ、荷重300g、落下高さ30cmの条件にて塗装板を加工し、加工した部分に付着テープを付着させた後、付着テープを剥離し、衝撃部の塗膜の剥離状態を目視評価した。
剥離が認められなかったものを合格、剥離が認められたものは不合格とした。
d 耐屈曲試験
塗装板をφ1mmの芯棒を用い、180°に折り曲げ、折り曲げ部分の剥離状態を目視評価した。
剥離が認められなかったものを合格、剥離が認められたものは不合格とした。
(2)耐レトルト性
塗装板をレトルト処理(125℃×30分間の加圧スチーム処理)した後の塗膜の白化状態を目視評価した。
白化が認められたものを不合格とした。
【0021】
2.ヒューム質評価
15cm×15cmのブリキ板(厚さ0.2mm)に、乾燥塗膜量が300mg/dm
2になるように塗料組成物を塗布し、230℃にセットしたホットプレート上に塗膜面が上になるように乗せ、更にこの塗膜の上側に15cm×15cmのブリキ板を、両者の間隔が3cmとなるように対面させ、焼き付け時に塗膜から発生するヒュームを2分間にわたり付着させていった。これを、20枚繰り返した。(但し、塗膜面上に対面させているブリキ板は交換しない)。塗膜面上に対面させヒュームを付着させたブリキ板を220℃で24時間熱履歴をかけ、常温に戻し、ヒューム付着部に付着テープを付着させ、次いで付着テープを剥離し、ヒュームの熱履歴後のブリキ板に対しての密着性を評価した。
剥離が認められないか、剥離した面積がブリキ板全体面積の5%未満であったものを◎、剥離した面積が全体面積の5%以上20%未満であったものを○、剥離した面積が20%以上であったものを×とした。
剥離しやすいものほど、飲料缶等の製造時にオーブン内を飛散しやすく、缶の内面を汚染する可能性が高い。また、ポリエステルポリオールの添加量が増える程、ヒュームが垂れやすくし易くなりヒューム付着板より剥離しやすくなる。
【0022】
以上の結果を表に示す。以下の表1〜表6はポリエステルポリオールの質量平均分子量の相違であり、表1が質量平均分子量100、表2が質量平均分子量200、表3及び表6が質量平均分子量400、表4が質量平均分子量が600、表5が質量平均分子量800のものを使用した。アミノ樹脂は、表1が質量平均分子量800、表2〜表5が同1000、表6が同1200のものを使用した。いずれも、ポリエステル樹脂は質量平均分子量8000、エポキシ樹脂は質量平均分子量1000のものをそれぞれ使用した。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】
【表3】
【0026】
【表4】
【0027】
【表5】
【0028】
【表6】
【0029】
これらの結果に示されるように、質量平均分子量800〜1000のアミノ樹脂を含む樹脂固形分45質量%〜65質量%の塗料に、質量平均分子量100〜600のポリエステルポリオールを塗料の樹脂固形分に対して1質量%〜10質量%添加することにより、塗膜性能、ヒューム質ともに良好であった。ポリエステルポリオールの質量平均分子量が800になると(表5参照)、ヒューム質の不良が認められ、実用上、限られた範囲でしか使用できないと判断される。表6では、ポリエステルポリオールの質量平均分子量が400、アミノ樹脂の質量平均分子量が1200であり、塗膜性能が悪化している。
【0030】
なお、本発明は前記実施形態の構成のものに限定されるものではなく、細部構成においては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0031】
1 ボトル缶
2 胴部
3 口金部
4 ねじ部