(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
[DC−DCコンバータ装置の外観]
以下、図面を参照して、本発明のDC−DCコンバータ装置の一実施の形態を説明する。
図1は、本発明のDC−DCコンバータ装置100の外観斜視図である。
DC−DCコンバータ装置100は電気自動車やプラグインハイブリッド車等に適用される。車両にはライトやラジオなどの補機を作動させるための低電圧蓄電池が搭載されており、DC−DCコンバータ装置100は、高電圧蓄電池から低電圧蓄電池への電力変換または低電圧蓄電池から高電圧蓄電池への電力変換を行う。
ケース101の内部には、上記電力変換を行うための回路が収納されている。
ケース101の上部側には、上面蓋102がボルト等の締結部材により取付けられている。ケース101の下部側には底部101a(
図11参照)が一体に成形されており、この底部101aから所定の空間を設けて下面蓋103がボルト等の締結部材によりケース101に取付けられている。
【0011】
詳細は後述するが、ケース101の底部101aと下面蓋103との間の空間には、冷却水、冷却用気体等の冷却媒体が流れる冷却流路351(
図13参照)が形成されている。ケース101と下面蓋103との間には不図示のOリング等のシール部材が介装されており、冷却媒体を密封する構造とされている。
ケース101、上面蓋102および下面蓋103は、それぞれ、例えば、アルミダイキャスト等により形成される。
ケース101の一側面には、冷却媒体を上記冷却流路351に流入させる案内となる入口配管104、冷却媒体を冷却流路351から流出させる案内となる出口配管105が取り付けられている。
【0012】
ケース101の上記一側面には、高電圧蓄電池からケース101内部の電力変換回路へ、高電圧高電圧の電力を供給するための配線を接続するための入力コネクタ106が、ケース101に設けられた不図示の開口から導出されている。
ケース101の上記一側面には、ケース101内部の電力変換回路から直流低電圧を出力するための配線が接続された出力コネクタ107が設けられている。また、ケース101の上記一側面には、ケース101内部の電力変換回路と小電力の信号をやり取りするための信号配線が接続された信号コネクタ108が設けられている。
入力コネクタ106、出力コネクタ107、信号コネクタ108は、ケース101のそれぞれ異なる側面に設けてもよい。
【0013】
[DC−DCコンバータ装置の回路構成]
次に、DC−DCコンバータ装置100の回路構成を説明する。
図2は本発明のDC−DCコンバータ装置の回路図である。このDC−DCコンバータ装置100は高電圧の直流電圧を交流電圧に変換する高電圧側スイッチング回路(高電圧側回路)210、交流高電圧を交流低電圧に変換するトランス250、低電圧の交流電圧を直流電圧に変換する低電圧側整流回路(低電圧側回路)220を備えている。
【0014】
また、上記一実施の形態のDC−DCコンバータ装置100においては、低電圧側整流回路220のMOSFET(電界効果トランジスタ) S
1、S
2にかかるサージ電圧を抑制するためのアクティブクランプ回路230を備えている。アクティブクランプ回路230は、アクティブクランプ用MOSFET S
3、S
4、およびアクティブクランプ用コンデンサ209(C
c)を備えている。アクティブクランプ回路230を有していないDC−DCコンバータ装置100でも良い。
【0015】
高電圧側スイッチング回路210とトランス250との間には、共振チョークコイル203(L
r)が接続されており、この共振チョークコイル203のインダクタンスとトランス250の漏れインダクタンスの合成インダクタンスを用いて、高電圧側スイッチング回路210を構成するMOSFETのゼロ電圧スイッチングを可能としている。
【0016】
低電圧側整流回路220の出力側には出力電圧に重畳するノイズを除去するために、フィルタコイル207(L
1)とフィルタコンデンサ205(C
1)が設けられている。
なお、共振チョークコイル203、フィルタコイル207およびフィルタコンデンサ205は必ずしも必要ではなく、これらを省略した回路構成でも、効率低下やノイズ増加してしまう可能性があるが、DCDCコンバータ装置は電力を変換することが出来る。
高電圧側スイッチング回路210、低電圧側整流回路220およびアクティブクランプ回路230は、制御回路240によりスイッチ制御が行われる。
【0017】
(高電圧側スイッチング回路の回路構成)
高電圧側スイッチング回路210は、Hブリッジ型として接続された4つのMOSFET H
1〜H
4と平滑用入力コンデンサ202(C
in)とから構成されている。各MOSFET H
1〜H
4には、スナバコンデンサが並列に設けられている。
高電圧側スイッチング回路210の4つのMOSFET H
1〜H
4を位相シフトPWM制御することで、トランス250の一次側には交流電圧が発生する。
【0018】
(低電圧側整流回路の回路構成)
低電圧側整流回路220は、MOSFET S
1、S
2で構成される二つの整流相と、チョークコイル206(L
out)および平滑用コンデンサ208(C
out)から構成される平滑回路と、を有している。それぞれの整流相の高電位側(すなわちMOSFET S
1、S
2のドレイン側配線は、トランス250の二次側へ接続されている。トランス250の二次側センタタップ端子は、チョークコイル206(L
out)に接続され、チョークコイル206(L
out)の出力側に平滑用コンデンサ208(C
out)が接続されている。
【0019】
[DC−DCコンバータ装置の全体構造]
図3は、
図1に図示されたDC−DCコンバータ装置の分解斜視図である。
ケース101は、アルミニウム、アルミニウム合金等のアルミニウム系金属により形成され、周囲に側壁101bを有する、ほぼ直方体状形状のボックス状に形成されている。ケース101の内部には、高電圧側回路基板アセンブリ210A、トランス250、共振チョークコイル203、チョークコイル206、フィルタコイル207、低電圧側回路基板アセンブリ220A、金属フレーム300および制御回路基板アセンブリ240Aが収納される。
【0020】
高電圧側回路基板アセンブリ210Aは、高電圧側回路基板211に、高電圧側回路を210構成するMOSFET H
1〜H
4、平滑用入力コンデンサ212および不図示のゲート抵抗等の電子部品が実装されて構成されている。高電圧側回路基板211に実装されたMOSFET H
1〜H
4は、絶縁シート(図示せず)を介し、ケース101の底部101aに締結部材(図示せず)により固定される。不図示の絶縁シートは、一側面がケース101の底部101aに接触した状態で固定され、ケース101の底部101a側に設けられた冷却流路351を流れる冷却媒体により冷却される。
【0021】
低電圧側回路基板アセンブリ220Aは、低電圧側回路基板221に、低電圧側整流回路220を構成するMOSFET S
1、S
2、平滑用コンデンサ208(C
out)、およびアクティブクランプ回路230を構成するアクティブクランプ用MOSFET S
3、S
4、アクティブクランプ用コンデンサ209(C
c)および不図示のゲート抵抗等の電子部品が実装されて構成されている。
【0022】
低電圧側回路基板221は、図示はしないが、例えば、金属基板の一面に絶縁膜を形成し、絶縁膜上に配線パターンが形成された構造を有する。MOSFET S
1〜S
4は、スイッチング部が樹脂で封止され、樹脂の一面にドレイン電極に接続されたドレイン端子が設けられたパッケージ構造を有し、各MOSFET S
1〜S
4のドレイン端子は、金属基板のドレインパターンに半田付けされている。低電圧側回路基板221は、実装面と反対面を直接、または、熱伝導部材を介してケース101の底部101aに固定されており、各MOSFET S
1〜S
4から発生する熱は、金属基板を介して、ケース101の底部101aに伝達される。ケース101の底部101aに伝達された熱は、ケース101の底部101a側に設けられた冷却流路351を流れる冷却媒体により冷却される。
【0023】
トランス250、チョークコイル206およびフィルタコイル207は、ケース101の底部101a上に配置され、締結部材(図示せず)により固定される。ケース101内に収納されたトランス250、チョークコイル206およびフィルタコイル207を覆って金属フレーム300が取り付けられる。
詳細は後述するが、トランス250、チョークコイル206およびフィルタコイル207は、金属フレーム300によってケース101の底部101aに押し付けられた状態で固定される。
【0024】
高電圧側回路基板アセンブリ210Aの上部側に対応するケース101の底部101aには凹部(図示せず)形成されており、共振チョークコイル203は、その凹部内に収容されている。共振チョークコイル203の上部側に、高電圧側回路基板アセンブリ210Aが配置される。
【0025】
制御回路基板アセンブリ240Aは、制御回路基板241に制御回路240を構成する電子部品が実装されて構成されており、金属フレーム300上に締結部材(図示せず)により固定される。制御回路基板アセンブリ240Aには、上面蓋102がケース101に締結部材により締結される。
【0026】
[トランスの構造]
図4は、
図3に図示されたトランスの拡大斜視図であり、
図5は、
図4に図示されたトランスの分解斜視図である。
図5に図示されるように、トランス250は、一次巻線254を巻いたボビン255と、上下一対の二次巻線252とを、一対のE型コア251で挟み込んだ構造を有する。
一次巻線254には一対の端子254aが形成され、各端子254aには、ボルト等の締結部材を挿通するための貫通孔254bが形成されている。各二次巻線252は、銅板をプレス成形して二次巻線部とバスバーとを一体に形成したものであり、端部に端子252aとセンタタップ端子252bとを有している。端子252aとセンタタップ端子252bには、それぞれ、ボルト等の締結部材を挿通するための貫通孔252cが形成されている。上下の二次巻線252のセンタタップ端子252bは積層されている。
【0027】
上部側におけるコア251と二次巻線252との間、および下部側におけるコア251と二次巻線252との間には、それぞれ、シリコン等から形成された弾性を有する材料により形成された伝熱シート253が配置されている。
図4に図示されるように、コア251は、伝熱シート253よりも幅狭に形成されており、各伝熱シート253は、コア251の側部から露出している。一次巻線254の端子254aおよび二次巻線252の端子252a、センタタップ端子252bは、伝熱シート253の側方に延出されている。
【0028】
トランス250の一次巻線254の一方の端子254aは、貫通孔254bに挿通される締結部材により共振チョークコイル203に接続される。トランス250の一次巻線254の他方の端子254aは、貫通孔254bに挿通される締結部材により、直接、またはバスバーを介して高電圧側回路基板アセンブリ210Aに電気的に接続される。また、トランス250の二次巻線252の端子252aおよびセンタタップ端子252bは、各貫通孔252cに挿通される締結部材により、直接、またはバスバーを介して低電圧側回路基板アセンブリ220Aに電気的に接続される。
【0029】
[ケース内における配置構造]
図6は、
図2に図示された制御回路基板と金属フレームの斜視図であり、
図7は、
図6に図示された金属フレームを裏面からみた斜視図であり、
図8は、ケース内に、高電圧側回路基板アセンブリおよび金属フレームを収納した状態の平面図である。また、
図9は、
図8における金属フレームを透過した、内部部品の配置を示す平面図である。
図9に図示されるように、高電圧側回路基板アセンブリ210Aは、ケース101内の左下の角部に配置されている。トランス250は、高電圧側回路基板アセンブリ210Aの上方に配置されている。トランス250の左上の角部は、ケース101の左上の角部に近接している。
【0030】
上述した如く、共振チョークコイル203は、高電圧側回路基板アセンブリ210Aの上部側付近の下方に配置されている。なお、
図8および
図9においては、高電圧側回路基板アセンブリ210Aの上部側を除去し、共振チョークコイル203が表出された状態で図示されている。
【0031】
低電圧側回路基板アセンブリ220Aは、トランス250の右側に配置されている。低電圧側回路基板アセンブリ220Aの右上の角部は、ケース101の右上の角部に近接している。チョークコイル206およびフィルタコイル207は、低電圧側回路基板アセンブリ220Aの下側の側辺に近接して、チョークコイル206がケース101の中央側に、フィルタコイル207がケース101の右側の側辺に近接して、左右方向に並んで配置されている。
【0032】
金属フレーム300は、低電圧側回路基板アセンブリ220A、チョークコイル206およびフィルタコイル207を覆う矩形形状の大面積部300aと、この大面積部300aから延出され、トランス250を覆う矩形形状の小面積部300bとを有する。
図8に図示されるように、小面積部300bは、トランス250のみを覆う程度の面積を有する。金属フレーム300は、高電圧側回路基板アセンブリ210Aの配置領域を除く、ケース101内の全領域を覆う面積を有する。
【0033】
図6に図示されるように、金属フレーム300には、制御回路基板アセンブリ240A側に向けて植立された複数のボス部301が形成されている。制御回路基板アセンブリ240Aは、不図示のボルト等の締結部材により、金属フレーム300のボス部301に締結されて固定される。
図7に図示されるように、金属フレーム300における制御回路基板アセンブリ240A側の反対面側(裏面側)には、3つの板ばね311〜313が、ボルト等の締結部材により取り付けられている。板ばね311〜313は、ステンレスにより形成されている。板ばね311は、小面積部300bの裏面側におけるトランス250に対応する位置に取り付けられている。板ばね312、313は、大面積部300aの裏面側における、それぞれ、重量の比較的大きい電子部品であるチョークコイル206、フィルタコイル207に対応する位置に取り付けられている。
【0034】
金属フレーム300には、高電圧側回路基板アセンブリ210A側の側辺に、ケース101の底部101a側に向けて屈曲された仕切部302が設けられている。仕切部302は小面積部300bの領域全体まで延出されており、小面積部300bは、仕切部302の段差分、大面積部300aより、ケース101の底部101a側に位置している。
金属フレーム300には、複数の貫通孔303が設けられており、この貫通孔303を挿通するボルト等の締結部材(図示せず)により、ケース101の底部101aに植立されたボス部101c(
図3参照)に固定される。
【0035】
金属フレーム300および高電圧側回路基板アセンブリ210Aの上部には、制御回路基板アセンブリ240Aが取り付けられる。
図10は、
図8に図示された高電圧側回路基板アセンブリ210Aおよび金属フレーム300上に、制御回路基板アセンブリ240Aを取り付けた状態を示す平面図である。
上述した如く、制御回路基板アセンブリ240Aは、ボルト等の締結部材により、金属フレーム300のボス部301に固定される。
【0036】
上記構造により、制御回路基板アセンブリ240Aは、金属フレーム300によって、トランス250、低電圧側回路基板アセンブリ220A、チョークコイル206およびフィルタコイル207と仕切られる。従って、制御回路基板アセンブリ240Aは、トランス250、低電圧側回路基板アセンブリ220A、チョークコイル206およびフィルタコイル207から発生する電磁ノイズからシールドされる。
【0037】
[トランスの固定構造]
次に、トランス250の固定構造の一実施の形態を説明する。
図11、
図12は、それぞれ、
図10のXI−XI線断面図、XII−XII線断面図である。
金属フレーム300には、トランス250のコア251に対応する領域に隆起部304が形成されている。隆起部304には、
図11における上方側である外側に向かってボス部301aが形成されている。また、隆起部304の内側には板ばね311が取り付けられている。板ばね311は、ボス部301aに形成されためねじ部に螺合されたボルト等の締結部材361により金属フレーム300に取り付けられる。
【0038】
金属フレーム300がケース101に固定された状態で、板ばね311は、トランス250のコア251をケース101の底部101aに押し付ける。これにより、トランス250は、板ばね311とケース101の底部101a間に固定される。
この状態で、金属フレーム300の隆起部304の周囲の放熱用接触部305が上部側の伝熱シート253に接触する。また、ケース101の底部101aに形成されたボス部101c
1が下部側の伝熱シート253に接触する。
従って、トランス250の二次巻線252から発生した熱は、コア251および板ばね311を介して金属フレーム300に伝達され放熱される。また、トランス250の二次巻線252から発生した熱は、伝熱シート253を介して金属フレーム300に伝達され放熱される。
【0039】
トランス250の上下の二次巻線252であるバスバー上には、シリコン等の弾性を有する材料により形成された伝熱シート257が配置されている。上部側の伝熱シート257には、金属フレーム300の放熱用当接部306が接触し、下部側の伝熱シート257には、ケース101の底部101aに形成されたボス部101c
2が接触する。
【0040】
ケース101の底部101aと下面蓋103との間には、冷却媒体が循環する冷却流路351が形成されている。
このため、トランス250から発生した熱は、伝熱シート253、257を介して、ケース101の底部101aに伝達され、冷却流路351を流れる冷却媒体によって冷却される。
【0041】
上述した如く、金属フレーム300に取り付けられた板ばね312、313は、それぞれ、チョークコイル206、フィルタコイル207の上部に対応する。
チョークコイル206およびフィルタコイル207は、トランス250と同様に、金属フレーム300がケース101に固定された状態で、それぞれ、板ばね312、313によってケース101の底部101aに押し付けられて固定される。従って、チョークコイル206およびフィルタコイル207から発生した熱も、金属フレーム300またはケース101に伝達され、冷却流路351を流れる冷却媒体によって冷却される。
【0042】
[冷却流路の構造]
トランス250、共振チョークコイル203、チョークコイル206、フィルタコイル207、高電圧側回路基板アセンブリ210A,低電圧側回路基板アセンブリ220A等の電源用電子部品から発生する熱を冷却媒体により冷却する冷却能力は、冷却流路の構造により、その効率を向上することが可能である。
以下に、冷却効率を向上することができる冷却流路の構造の一実施の形態を説明する。
図13は、ケースの底部に形成された冷却流路の平面図であり、
図14は、ケースの底部を透過した、内部部品の配置と冷却流路との関係を示す平面図である。なお、
図13および
図14においては、下面蓋103は除去されている。
【0043】
図13に図示されるように、ケース101の底部101aには、冷却流路351を流れる冷却媒体の流れ方向のガイドとなる複数のガイド壁352が、ケース101と一体に形成されている。
冷却流路351は、それぞれが冷却媒体を還流させる領域Iおよび領域IIを備えている。すなわち、入口配管204から流入した冷却媒体は、領域Iにおいて、
図13、
図14における上下方向に往復し、領域IIにおいても、上下方向に往復した後、すなわち、それぞれの領域で還流した後、出口配管105から流出する。
【0044】
図14に図示されるように、冷却流路351の領域Iには、高電圧側回路基板アセンブリ210Aと、共振チョークコイル203と、トランス250とが、高電圧側回路基板アセンブリ210Aを入口配管104側にして配置されている。
冷却流路351の領域IIには、チョークコイル206、フィルタコイル207および低電圧側回路基板アセンブリ220Aが配置されている。チョークコイル206、フィルタコイル207は、出口配管105側に左右方向に配列され、低電圧側回路基板アセンブリ220Aは、チョークコイル206、フィルタコイル207よりも上方に配列されている。
【0045】
入口配管104から冷却流路351の領域I内に流入した冷却媒体は、高電圧側回路基板アセンブリ210Aと、共振チョークコイル203と、トランス250とを冷却する。そして、入口配管104側に戻った位置から領域II内に流入し、低電圧側回路基板アセンブリ220A側に流動してから、低電圧側回路基板アセンブリ220Aおよびチョークコイル206、フィルタコイル207を、順次、冷却するように領域II内を左右方向に流れて出口配管105に達する。
【0046】
入口配管104から流入する冷却媒体は、ケース101内に収納された電源用電子部品からの熱を吸収しておらず、低温である。このため、発熱量が大きい高電圧側回路基板アセンブリ210A、共振チョークコイル203およびトランス250を効率的に冷却することができる。
このように、発熱量が大きい電源用電子部品を冷却した後、領域II内に流動して低電圧側回路基板アセンブリ220A、チョークコイル206、フィルタコイル207を、順次、冷却する。
【0047】
冷却能力は、冷却流路351の深さにも関連する。浅い冷却流路351aでは、冷却媒体の流速が速くなり流量が増大するので、冷却能力が大きくなる。従って、冷却能力を大きくしたい部品の領域における冷却流路351の深さを、周囲の領域よりも浅くするようにして、冷却媒体の流量を少なくして全体の冷却能力を向上する、すなわち、冷却効率を向上するようにすることが好ましい。
【0048】
[実施形態の効果]
上記実施形態によれば下記の効果を奏する。
(1)DC−DCコンバータ装置100の電力変換回路部を構成する基板アセンブリを、高電圧側回路基板アセンブリ210Aと、低電圧側回路基板アセンブリ220Aと、制御回路基板アセンブリ240Aとに分けた。そして、制御回路基板アセンブリ240Aを、金属フレーム300により、トランス250、低電圧側回路基板アセンブリ220A、チョークコイル206およびフィルタコイル207と仕切った。このため、制御回路基板アセンブリ240Aを、トランス250、低電圧側回路基板アセンブリ220A、チョークコイル206およびフィルタコイル207から発生する電磁ノイズからシールドすることができる。
【0049】
(2)重量の大きいトランス250、チョークコイル206およびフィルタコイル207を、それぞれ、金属フレーム300に取り付けた板ばね311、312、313によりケース101の底部101aに押し付け、各板ばね311〜313と底部101aとの間に固定した。
板ばね311〜313は、弾性を有するので、DC−DCコンバータ装置100に衝撃や振動が加わった場合でも、トランス250、チョークコイル206およびフィルタコイル207が破損する可能性を低減することができる。
【0050】
(3)板ばね311〜313は、熱伝導性のあるステンレス等の金属部材で形成されている。このため、トランス250、チョークコイル206およびフィルタコイル207から発生する熱を、金属フレーム300に伝達して放熱することができる。
【0051】
(4)トランス250を、上下一対のコア251の直下に、それぞれ、伝熱シート253が内蔵される構造とし、上部側の伝熱シート253に金属フレーム300の放熱用当接部306が接触する構造とした。これにより、トランス250の二次巻線252から発生する熱が、コア251を介して金属フレーム300に伝達されると共に、直接、金属フレーム300の放熱用当接部306に伝達されて放熱される。このため、トランス250から金属フレーム300への放熱性が向上する。また、伝熱シート253がトランス250に一体化されているので、修理、サービス時における分解、組立を能率的に行うことができる。
(5)トランス250の上部側の二次巻線252と金属フレーム300の放熱用当接部306との間に伝熱シート257を介在させた。これにより、トランス250の二次巻線252から発生する熱を、放熱用当接部306からも金属フレーム300に伝達することができ、放熱性が向上する。
【0052】
(6)トランス250の下部側の伝熱シート253にケース101の底部101aに形成されたボス部101c
1を接触させた。これにより、トランス250から発生する熱を、伝熱シート253を介してケース101の底部101aに伝達することができ、トランス250の放熱性が向上する。
(7)トランス250の下部側の二次巻線252とケース101の底部101aに形成されたボス部101c
2との間に伝熱シート257を介在させた。これにより、トランス250から発生した熱を、伝熱シート257を介して金属フレーム300に伝達させることができ、トランス250の放熱性が向上する。
【0053】
(8)ケース101の底部101aと下面蓋103との間に、冷却媒体が流動する冷却流路351を形成した。これにより、トランス250、共振チョークコイル203、チョークコイル206およびフィルタコイル207で発生し、ケース101に伝達された熱を、冷却流路351を流動する冷却媒体により冷却することができる。
(9)ケース101の底部101aには、高電圧側回路基板アセンブリ210Aの絶縁シート(図示せず)および低電圧側回路基板アセンブリ220Aにおける低電圧側回路基板221の金属基板が接触している。このため、高電圧側回路基板アセンブリ210AのMOSFET H
1〜H
4、低電圧側回路基板アセンブリ220AのMOSFET S
1〜S
4等から発生する熱を、ケース101の底部101aに伝達し、冷却流路351を流動する冷却媒体により効率的に冷却することができる。絶縁シートは熱伝導率の高い、シリコンゴムシートや、窒化ケイ素等のセラミック板を使用する事が出来る。
【0054】
なお、上記一実施の形態では、低電圧側整流回路220における整流素子を、MOSFET S
1、S
2として例示したが、整流素子をダイオードに置換してもよい。また、各整流相を、それぞれ、1つの整流素子で構成した回路で例示したが、各整流相を複数の整流素子を並列に接続した回路で構成するようにしてもよい。
【0055】
上記一実施の形態では、板ばね111〜113により、トランス250、チョークコイル206およびフィルタコイル207をケース101の底部101aに固定した構造として例示した。しかし、板ばね111〜113に代えて、絶縁性樹脂により形成されたクッション部材を用いてもよい。要は、弾性を有する部材であればよい。
また、チョークコイル206およびフィルタコイル207をケース101の底部101aに押し付ける部材として、弾性部材を用いる必要はなく、金属フレーム300自体により押し付けるようにしてもよい。要は、少なくとも、トランス250を弾性部材によりケース101の底部101aに押し付けて固定するようにすればよい。
【0056】
上記一実施の形態では、金属フレーム300により、トランス250、制御回路基板アセンブリ240A、高電圧側回路基板アセンブリ210A、低電圧側回路基板アセンブリ220Aを、金属フレーム300により相互にシールドする構造として例示した。しかし、少なくとも、制御回路基板アセンブリ240Aに対して、トランス250からの電磁ノイズを金属フレーム300によりシールドするようにすればよい。
【0057】
上記一実施の形態では、ケース101は底部101aと下面蓋103との間に冷却流路351が形成された構造として例示した。しかし、DC−DCコンバータ装置100が連結される、例えば、インバータ装置等の別の装置に設けられた冷却ジャケットによりケース101の底部101aを締結するようにして、冷却流路351を備えていないDC−DCコンバータ装置100とすることもできる。
【0058】
上記一実施の形態では、板ばね311を金属フレーム300に固定する構造として例示した。しかし、板ばね311に代えてクッション部材等を用い、このクッション部材をトランス250に接着等により固定する構造としてもよい。
【0059】
上記一実施の形態では、トランス250等を、直接、ケース101の底部101aに固定した構造として例示した。しかし、トランス250等とケース101の底部101aとの間に熱伝導性部材を取り付け、この熱伝導性部材にトランス250等を押し付けるようにしてもよい。要は、金属フレーム300とトランス250等との間に介装された弾性部材により、トランス250等をケース101の底部101a側に押し付けて固定する構造であればよい。
【0060】
また、上述した如く、共振チョークコイル203およびフィルタコイル207を備えていないDC−DCコンバータ装置100としてもよい。逆に、フィルタコンデンサ205等、他の電子部品を付加したDC−DCコンバータ装置100としてもよい。
【0061】
その他、本発明は、本発明の趣旨の範囲内において、種々、変形して適用することが可能であり、要は、ケース内に配置されたトランスと制御回路基板アセンブリとの間に金属フレームを配置し、金属フレームとトランスの間に弾性部材を介装し、金属フレームとトランスの間に介装された弾性部材により、トランスがケースの底部側に押し付けられて固定されているものであればよい。