特許第6045366号(P6045366)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6045366
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】信号入力装置
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/05 20060101AFI20161206BHJP
【FI】
   G05B19/05 L
【請求項の数】7
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2013-9807(P2013-9807)
(22)【出願日】2013年1月23日
(65)【公開番号】特開2014-142740(P2014-142740A)
(43)【公開日】2014年8月7日
【審査請求日】2015年12月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000167288
【氏名又は名称】光洋電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086737
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 和秀
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 義広
【審査官】 川東 孝至
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−038075(JP,A)
【文献】 特開昭59−072507(JP,A)
【文献】 特開平07−036368(JP,A)
【文献】 特開平04−190404(JP,A)
【文献】 特表2006−524423(JP,A)
【文献】 特開2012−207756(JP,A)
【文献】 特開昭58−203510(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/04−19/05
H03K 17/74−17/98
H03K 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の2線式のセンサが択一的に複数のセンサ接続端子のいずれかに接続される信号入力装置であって、
接続状態とされた前記センサのそれぞれにつき、非動作状態にある前記センサに流れるオフ状態電流と動作状態にある前記センサに流れるオン状態電流との電流差に応じて回路状態を遷移させる回路状態遷移手段と、
前記回路状態遷移手段に接続されて、前記回路状態の変化に応じて複数の出力信号の組み合わせが変化する複数の出力端子と、
を備え、
前記回路状態遷移手段は、それぞれが生じさせた複数の遷移状態における、前記複数の出力端子での出力の組み合わせがすべて互いに異なるように構成されている、ことを特徴とする信号入力装置。
【請求項2】
前記複数のセンサは、少なくとも2つの第1および第2のセンサを含み、また、前記複数のセンサ接続端子は、少なくとも3つの第1ないし第3のセンサ接続端子を含み、前記複数の出力端子は、2つの第1および第2の出力端子を含み、前記第1のセンサは前記第1、第2のセンサ接続端子間に、また、前記第2のセンサは前記第2、第3のセンサ接続端子間に、それぞれ、択一的に接続される構成において、
前記回路状態遷移手段は、
前記第1、第2のセンサ接続端子間に前記第1のセンサが接続されている状態において、非動作状態にある前記第1のセンサに流れるオフ状態電流と動作状態にある前記第1のセンサに流れるオン状態電流との電流差に応じて回路状態を遷移させる第1の回路状態遷移手段と、
前記第2、第3のセンサ接続端子間に前記第2のセンサが接続されている状態において、非動作状態にある前記第2のセンサに流れるオフ状態電流と動作状態にある前記第2のセンサに流れるオン状態電流との電流差に応じて回路状態を遷移させる第2の回路状態遷移手段と、
を備え、
前記第1、第2の回路状態遷移手段は、それぞれが生じさせた2つずつで合計4つの遷移状態における、前記第1、第2の出力端子での出力の組み合わせがすべて互いに異なるように構成されている請求項1に記載の信号入力装置。
【請求項3】
前記第1の回路状態遷移手段は、高電位電源から前記第1のセンサ接続端子に導通時に給電し、非導通時に給電しない第1の給電ラインと、高電位電源から前記第2のセンサ接続端子に導通時に給電し、非導通時に給電しない第2の給電ラインとの間に介装されたスイッチ手段を有し、
前記スイッチ手段は、前記第1の給電ラインが導通状態にあるとき、前記第2の給電ラインを非導通状態とし、逆に、前記第1の給電ラインが非導通状態であるとき、前記第2の給電ラインを導通状態とするように構成され、
前記第2の回路状態遷移手段は、前記第2の出力端子にその出力部が接続されたコンパレータと、前記第2のセンサ接続端子からの電流の変化を電圧降下によって検出するための第1の負荷抵抗と、前記高電位電源から前記第2のセンサ接続端子への流入電流を制限するための第2の負荷抵抗と、を備え、
前記第1の負荷抵抗は、一端が前記スイッチ手段を介して前記高電位電源に接続され、他端が低電位電源に接続され、
前記第1の負荷抵抗と前記スイッチ手段との接続ノードは、前記コンパレータの入力部に接続されているとともに、前記第2の負荷抵抗を介して前記第2のセンサ接続端子に接続されている請求項2に記載の信号入力装置。
【請求項4】
前記スイッチ手段は、
前記第1の給電ラインに挿入されたフォトダイオードおよび前記第2の給電ラインに接続されかつ前記第1の出力端子をプルダウンするためのフォトトランジスタを有するフォトカプラと、
前記高電位電源に入力部が接続され、かつ前記フォトトランジスタの導通/非導通に応じて非導通/導通となって出力部から前記高電位電源を出力するスイッチング素子と、
低電位電源側に接続された第1の負荷抵抗と、
前記第2のセンサ接続端子側に接続された第2の負荷抵抗と、
前記スイッチング素子の前記出力部に接続された第1の抵抗と、
前記第1の抵抗と前記第1の負荷抵抗と前記第2の負荷抵抗との接続ノードに入力部が接続され、前記第2の出力端子に出力部が接続されたコンパレータと、
を備えた請求項3に記載の信号入力装置。
【請求項5】
前記コンパレータの基準電圧を構成する抵抗分割された上位の抵抗の抵抗値(R9)と下位の抵抗の抵抗値(R10)との比率k(=R10/R9)が、
前記第1の負荷抵抗の抵抗値(R1)と、前記第2の負荷抵抗の抵抗値(R2)と、前記第1の抵抗の抵抗値(R8)とを用いて、
R1・R2/{R8・(R1+R2)}<k<R1/R8
の範囲に設定されている請求項4に記載の信号入力装置。
【請求項6】
前記第1の抵抗と前記スイッチング素子の出力部との間に逆流防止ダイオードが挿入されている請求項4または5に記載の信号入力装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の信号入力装置を入力回路として備えたプログラムコントローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2線式の近接センサ、光電センサ、光ファイバセンサ等の2線式センサを接続して、その2線式センサからの信号を取り込んだ上で、CPU(中央演算処理装置)やPLC(プログラムコントローラ)などの制御装置に伝える信号入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
信号入力装置の一例として、PLCの入力回路がある。従来の入力回路では、少なくとも3つの第1〜第3のセンサ接続端子を持ち、2線式の近接センサを第1、第2のセンサ接続端子間に接続する第1の接続状態と、第2、第3のセンサ接続端子間に接続する第2の接続状態とを、択一的に切り替えている。ここで択一的とは、1つの近接センサを第1の接続状態でセンサ接続端子間に接続したときは、他の近接センサは第2の接続状態でセンサ接続端子に、同時には、接続することができないことである。
【0003】
そして、PLCにおいて入力回路の後段の内部回路では、近接センサの接続態様が前記第1の接続状態か前記第2の接続状態かに対応して、近接センサからの入力信号を処理してシーケンスプログラムの実行等を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−149294号公報
【特許文献2】特開2006−48481号公報
【特許文献3】特開2010−4155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
かかる入力回路を備えたPLCにおいては、センサ接続端子間での近接センサの接続態様に対応して作業者が手動で設定する必要があった。
【0006】
しかしながら、このような設定を近接センサの接続態様に合わせて行うことは煩わしいだけでなく、誤認識の結果として誤設定を引き起こす可能性も指摘される。
【0007】
そこで、本発明は、入力回路等の信号入力回路のセンサ接続端子に対するセンサの接続態様を自動検出し、その検出結果に基づいて後段側のPLC等では各種設定を自動的に確実に行うことができるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明による信号入力装置は、
複数の2線式センサ(以下、センサ)が択一的に複数のセンサ接続端子のいずれかに接続される信号入力装置であって、
接続状態とされた個々の前記センサのそれぞれにつき、非動作状態にある前記センサに流れるオフ状態電流と動作状態にある前記センサに流れるオン状態電流との電流差に応じて回路状態を遷移させる回路状態遷移手段と、
前記回路状態遷移手段に接続されて、前記回路状態の変化に応じて複数の出力信号の組み合わせが変化する複数の出力端子と、を備え、
前記回路状態遷移手段は、それぞれが生じさせた複数の遷移状態における、前記複数の出力端子での出力の組み合わせがすべて互いに異なるように構成されている。
【0009】
上記の構成において、回路状態遷移手段は、複数のセンサのうち、いずれのセンサが前記複数のセンサ接続端子のいずれかに択一的に接続されているかに応じて回路状態を自動的に遷移させるとともに、接続したセンサの非動作状態と動作状態の切り替えに応じても回路状態を自動的に遷移させるので、これら複数のセンサを択一的に複数のセンサ接続端子間に接続して使用する信号入力装置において、その回路状態の設定を自動化することが可能となる。
【0010】
なお、前記センサは、2線式の近接センサ、光電センサ、光ファイバセンサ等の各種の2線式センサを含む。
【0011】
本発明の好ましい1つの態様では、
前記複数のセンサは、少なくとも2つの第1および第2のセンサを含み、また、前記複数のセンサ接続端子は、少なくとも3つの第1ないし第3のセンサ接続端子を含み、前記複数の出力端子は、少なくとも2つの第1および第2の出力端子を含み、前記第1のセンサは前記第1、第2のセンサ接続端子間に、また、前記第2のセンサは前記第2、第3のセンサ接続端子間に、それぞれ、択一的に接続される構成において、
前記回路状態遷移手段が、
前記第1、第2のセンサ接続端子間に前記第1のセンサが接続されている状態において、非動作状態にある前記第1のセンサに流れるオフ状態電流と動作状態にある前記第1のセンサに流れるオン状態電流との電流差に応じて回路状態を遷移させる第1の回路状態遷移手段と、
前記第2、第3のセンサ接続端子間に前記第2のセンサが接続されている状態において、非動作状態にある前記第2のセンサに流れるオフ状態電流と動作状態にある前記第2のセンサに流れるオン状態電流との電流差に応じて回路状態を遷移させる第2の回路状態遷移手段と、
を備え、
前記第1、第2の回路状態遷移手段は、それぞれが生じさせた2つずつで合計4つの遷移状態における、前記第1、第2の出力端子での出力の組み合わせがすべて互いに異なるように構成されている。
【0012】
上記態様の作用は次のとおりである。
【0013】
第1、第2のセンサ接続端子に第1のセンサを接続すると、第1の回路状態遷移手段が活性化される。この状態で、第1のセンサに被検出物を作用させない第1のセンサの非動作状態と、被検出物を作用させる第1のセンサの動作状態とを切り替えると、第1の回路状態遷移手段は回路状態を切り替える。
【0014】
すなわち、第1の回路状態遷移手段は、非動作状態にある第1のセンサに流れるオフ状態電流を検出して回路状態を遷移させ、2つの第1および第2の出力端子での出力の組み合わせを第1状態の組み合わせ〈1〉=(X1、Y1)とする。また、第1の回路状態遷移手段は、動作状態にある第1のセンサに流れるオン状態電流を検出して回路状態を遷移させ、2つの第1および第2の出力端子での出力の組み合わせを第2状態の組み合わせ〈2〉=(X2、Y2)とする。
【0015】
あるいは、第2の回路状態遷移手段は、非動作状態にある第2のセンサに流れるオフ状態電流を検出して回路状態を遷移させ、2つの第1および第2の出力端子での出力の組み合わせを第3状態の組み合わせ〈3〉=(X3、Y3)とする。また、第2の回路状態遷移手段は、動作状態にある第2のセンサに流れるオン状態電流を検出して回路状態を遷移させ、2つの第1および第2の出力端子での出力の組み合わせを第4状態の組み合わせ〈4〉=(X4、Y4)とする。
【0016】
上記の4つの出力組み合わせ〈1〉、〈2〉、〈3〉、〈4〉は互いに識別可能である。
【0017】
2値の場合について例示すると、X1=X2=L(またはX1=X2=H)であれば第1のセンサが接続されているとし(ここで“L”、“H”は論理レベル)、X3=X4=H(またはX3=X4=L)であれば第2のセンサが接続されているとする(一例)。これにより、いずれのセンサが接続されたかが識別される。
【0018】
さらに、Y1=H(またはY1=L)であれば第1のセンサが非動作状態であるとし、Y2=L(またはY2=H)であれば第1のセンサが動作状態であるとする(一例)。これにより、接続状態にある第1のセンサの非動作状態と動作状態とが識別される。
【0019】
また、Y3=L(またはY3=H)であれば第2のセンサが非動作状態であるとし、Y4=H(またはY4=L)であれば第2のセンサが動作状態であるとする(一例)。これにより、接続状態にある第2のセンサの非動作状態と動作状態とが識別される。
【0020】
以上のように、第1、第2の回路状態遷移手段は、第1および第2のセンサのうち、いずれのセンサが第1および第2のセンサ接続端子間、または、第2および第3のセンサ接続端子間に接続されているかに応じて回路状態を自動的に遷移させるとともに、接続したセンサの非動作状態と動作状態の切り替えに応じても回路状態を自動的に遷移させるので、2種類のセンサを択一的に接続して使用する信号入力装置において、その回路状態の設定を自動化することが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、複数の2線式のセンサが複数のセンサ接続端子のいずれに択一的に接続されているかを自動的に検出し、その検出結果に基づいて、後段側でのセンサの接続態様に応じた設定を適切にかつ自動的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施の形態にかかる信号入力装置の構成を概念的に示す構成概念図
図2】本発明の実施の形態にかかる信号入力装置の概略的な構成図
図3】本発明の実施例にかかる信号入力装置の両センサ未接続状態を示す回路図
図4】本発明の実施例にかかる信号入力装置の第1のセンサの接続・非動作状態を示す回路図
図5】本発明の実施例にかかる信号入力装置の第1のセンサの接続・動作状態を示す回路図
図6】本発明の実施例にかかる信号入力装置の第2のセンサの接続・非動作状態を示す回路図
図7】本発明の実施例にかかる信号入力装置の第2のセンサの接続・動作状態を示す回路図
図8】本発明の実施例にかかる信号入力装置の遷移条件の図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態にかかる信号入力装置を、図面を参照して、詳しく説明する。図1は、本発明の実施の形態にかかる信号入力装置の構成を概念的に示す構成概念図である。なお、以下の説明では、説明の都合で2線式の近接センサを単にセンサと称し、また、各図中でも、近接センサを単にセンサで示す。
【0024】
図1に示すように、信号入力装置10は、第1のセンサAと第2のセンサBとを、その第1、第2、第3のセンサ接続端子T1、T2、T3に対して択一的に接続し得るものとして構成されている。
【0025】
前記両センサA、Bは、共に、同一構成のものであり、センサ信号を出力する出力トランジスタTrを備えている。そして、これらセンサA、Bの出力端子a、bは、第1、第2のセンサ接続端子T1、T2間、第2、第3のセンサ接続端子T2、T3間のいずれかに出力トランジスタTrのコレクタ−エミッタが接続することができるようになっている。トランジスタTrの型式は、図1ではNPNであるが、この型式に限定されない。
【0026】
センサA、BのトランジスタTrのコレクタ電位は、当該センサA、Bの信号となり、また、これらセンサにおいては、信号入力装置10側からトランジスタTrのコレクタに接続されたセンサ内部回路に給電される。ただし、図1では、前記給電のための回路の図示を略している。
【0027】
図1では、説明の都合で、第1のセンサAはその出力端子a、bが第1、第2のセンサ接続端子T1、T2に接続され、また、第2のセンサBはその出力端子a、bが第2、第3のセンサ接続端子T2、T3間に接続されるものとしている。この接続は以下の説明でも同様である。
【0028】
また、上記の「択一的に接続」とは、第1、第2両センサA、Bのうちのいずれか一方の出力端子a、bを第1〜第3のセンサ接続端子T1〜T3に接続したときは、第1、第2両センサA、Bのうちのいずれか他方の出力端子a、bは第1〜第3のセンサ接続端子T1〜T3に接続することができない、つまり、両センサA、Bを第1〜第3のセンサ接続端子T1〜T3に同時接続はできないということである。
【0029】
信号入力装置10はまた、接続状態とされた第1のセンサAまたは第2のセンサBのそれぞれにつき、非動作状態(動作OFF)でのセンサ内のオフ状態電流(トランジスタTrのコレクタ−エミッタ間を流れる電流)と、動作状態(動作ON)でのセンサ内のオン状態電流(トランジスタTrのコレクタ−エミッタ間を流れる電流)との電流差に応じて回路状態を遷移させる回路状態遷移手段11を備えているとともに、回路状態の変化に応じて2組の出力信号のハイレベル(“H”)と、ローレベル(“L”)の組み合わせが変化する2つの出力端子O1、O2を有している。
【0030】
回路状態遷移手段11は、第1、第2のセンサ接続端子T1、T2に第1のセンサAが接続されている状態において、非動作状態にある第1のセンサAに流れるオフ状態電流と、動作状態にある第1のセンサAに流れるオン状態電流との電流差に応じて回路状態を遷移させる。また、回路状態遷移手段11は、第2、第3のセンサ接続端子T2、T3に第2のセンサBが接続されている状態において、非動作状態にある第2のセンサBに流れるオフ状態電流と、動作状態にある第2のセンサBに流れるオン状態電流との電流差に応じて回路状態を遷移させる。
【0031】
回路状態遷移手段11が生じさせるのは、4つの遷移状態であり、これら4つの遷移状態における、2つの出力端子O1、O2での出力の組み合わせがすべて互いに異なるように構成されている。
【0032】
第1、第2のセンサ接続端子T1、T2に第1のセンサAが接続されている状態で、その第1のセンサAが非動作状態にあるとき、第1の回路状態遷移手段11aは回路状態を遷移させて、2つの出力端子O1、O2での出力の組み合わせを第1出力組み合わせ〈1〉=(X1、Y1)とする。
【0033】
また、第1、第2のセンサ接続端子T1、T2に第1のセンサAが接続されている状態で、その第1のセンサAが動作状態にあるとき、第1の回路状態遷移手段11aは回路状態を遷移させて、2つの出力端子O1、O2での出力の組み合わせを第2出力組み合わせ〈2〉=(X2、Y2)とする。
【0034】
ここで留意するべきは、出力X1と出力X2とが同じであれば、出力Y1と出力Y2とは必ず異なっており、逆に、出力Y1と出力Y2とが同じであれば、出力X1と出力X2とは必ず異なっているということである。要するに、第1状態の出力組み合わせ〈1〉=(X1、Y1)と第2状態の出力組み合わせ〈2〉=(X2、Y2)とは互いに識別可能となっている。なお、出力X1と出力X2とが異なり、かつ出力Y1と出力Y2とが異なる場合もあり得る。出力X1と出力X2とが同じで、かつ出力Y1と出力Y2とが同じということはない。
【0035】
次に、第2、第3のセンサ接続端子T2、T3に第2のセンサBが接続されている状態で、その第2のセンサBが非動作状態にあるとき、回路状態遷移手段11は回路状態を遷移させて、2つの出力端子O1、O2での出力の組み合わせを第3出力組み合わせ〈3〉=(X3、Y3)とする。
【0036】
また、第2、第3のセンサ接続端子T2、T3に第2のセンサBが接続されている状態で、その第2のセンサBが動作状態にあるとき、第2の回路状態遷移手段11bは回路状態を遷移させて、2つの出力端子O1、O2での出力の組み合わせを第4出力組み合わせ〈4〉=(X4、Y4)とする。
【0037】
ここで留意するべきは、出力X3と出力X4とが同じであれば、出力Y3と出力Y4とは必ず異なっており、逆に、出力Y3と出力Y4とが同じであれば、出力X3と出力X4とは必ず異なっているということである。要するに、第3状態の出力組み合わせ〈3〉=(X3、Y3)と第4状態の出力組み合わせ〈4〉=(X4、Y4)とは互いに識別可能となっている。なお、出力X3と出力X4とが異なり、かつ出力Y3と出力Y4とが異なる場合もあり得る。出力X3と出力X4とが同じで、かつ出力Y3と出力Y4とが同じということはない。
【0038】
さらに、上記の4つの出力組み合わせ〈1〉、〈2〉、〈3〉、〈4〉は互いに識別可能となっている。つまり、出力組み合わせ(X1、Y1)と出力組み合わせ(X2、Y2)と出力組み合わせ(X3、Y3)と出力組み合わせ(X4、Y4)とは互いに識別可能である。
【0039】
ここで一例として出力組み合わせを2値の“H”レベルと“L”レベルの組み合わせとして例示すると、第1状態の出力組み合わせ〈1〉=(L、H)、第2状態の出力組み合わせ〈1〉=(L、L)、第3状態の出力組み合わせ〈3〉=(H、L)、第4状態の出力組み合わせ〈4〉=(H、H)とすれば、これら第1〜第4の4つの組み合わせ(L、H)、(L、L)、(H、L)、(H、H)は、相互に識別可能である。
【0040】
これは、次のように考えることができる。出力端子はO1とO2の2つがあるが、これを2ビットと捉え、それぞれに“H”、“L”の2ビットがあるならば、2の2乗=4で、4通りの組み合わせが生じることになる。
【0041】
第1〜第4の4つの組み合わせは、上記の、
(L、H)、(L、L)、(H、L)、(H、H)
以外に、
(L、H)、(L、L)、(H、H)、(H、L)
(L、L)、(L、H)、(H、L)、(H、H)
(L、L)、(L、H)、(H、H)、(H、L)
(H、L)、(H、H)、(L、H)、(L、L)
(H、H)、(H、L)、(L、H)、(L、L)
(H、L)、(H、H)、(L、L)、(L、H)
(H、H)、(H、L)、(L、L)、(L、H)
などもあり得る。要するに、4つの組み合わせは、互いに識別可能であれば、どのような組み合わせであってもよい。
【0042】
以上のように、回路状態遷移手段11は、第1、第2のセンサA、Bのいずれが接続されているかに応じて回路状態を自動的に遷移させるとともに、接続したセンサの非動作状態と動作状態の切り替えに応じても回路状態を自動的に遷移させるので、2種類のセンサを択一的に接続して使用する信号入力装置10において、その回路状態の設定を自動化することが可能となる。
【0043】
信号入力装置10の出力信号は出力端子O1、O2から図示略の制御装置内部のCPUに取り込まれる。なお、信号入力装置10はPLC(PLCまたはプログラマブルコントローラ)において、近接センサ等のセンサが接続される入力回路とし、この入力回路からPLC内部の制御部に取り込まれるようにするとよい。
【0044】
第1、第2のセンサA、Bのいずれかを対応するセンサ接続端子のいずれか(T1、T2またはT2、T3)に接続した状態で、そのセンサを非動作状態と動作状態とに切り替えてみて、それぞれの場合に制御装置が信号入力装置10の2つの出力端子O1、O2から取り込んだ出力組み合わせを確認する。
【0045】
もし、センサ非動作状態でその出力組み合わせが(X1、Y1)であり、かつセンサ動作状態でその出力組み合わせが(X2、Y2)であるならば、そのときに信号入力装置10に接続されているのは第1のセンサAであると識別することが可能である。センサを接続しているのは、第1、第2のセンサ接続端子T1、T2であることも分かる。
【0046】
また、もし、センサ非動作状態でその出力組み合わせが(X3、Y3)であり、かつセンサ動作状態でその出力組み合わせが(X4、Y4)であるならば、そのときに信号入力装置10に接続されているのは第2のセンサBであると識別することが可能である。センサを接続しているのは、第2、第3のセンサ接続端子T2、T3であることも分かる。
【0047】
図1で図示略の制御装置は、このようにして接続されているセンサの種別を自動的に判別し、その判別結果に基づいて他の回路部への設定信号や制御信号などを生成することになる。
【0048】
目視等による接続状態の確認の難しい場所にセンサがある場合等であっても、接続されているセンサの種類を容易に判別することができる。
【0049】
なお、両センサA、Bとも未接続状態のときの出力組み合わせ(X0、Y0)は、上記の4つの出力組み合わせ(X1、Y1)、(X2、Y2)、(X3、Y3)、(X41、Y4)のいずれかと一致していても構わない。その場合に、出力組み合わせが一致するのは、4つの出力組み合わせのどれであってもよい。
【0050】
上記の本発明の構成において、好ましいいくつかの態様につき、次に図2を用いて説明する。図2は、本発明の実施の形態にかかる信号入力装置の概略的な構成図である。
【0051】
図2では、図1の回路状態遷移手段11は、説明の都合で、第1の回路状態遷移手段11aと、第2の回路状態遷移手段11bとに分けられる。第1、第2のセンサ接続端子T1、T2は、高電位電源VDDから給電される。第3のセンサ接続端子T3は低電位電源VSS(または接地部)に接続される。
【0052】
第1の回路状態遷移手段11aは、高電位電源VDDから第1のセンサ接続端子T1までの給電ラインL1と、高電位電源VDDから第2のセンサ接続端子T2までの給電ラインL2との間に介装されたスイッチ手段Swをもって構成されている。
【0053】
このスイッチ手段Swは、高電位電源VDDから第1のセンサ接続端子T1までの給電ラインL1が導通状態(ON)にあるとき、高電位電源VDDから第2のセンサ接続端子T2までの給電ラインL2を非導通状態(OFF)とし、逆に、第1高電位電源VDD1から第1のセンサ接続端子T1までの給電ラインL1が非導通状態であるとき、第2高電位電源VDD2から第2のセンサ接続端子T2までの給電ラインL2を導通状態とする。
【0054】
すなわち、給電ラインL1から第1のセンサAに給電が行われているとき、そのときの回路状態の変化に伴うスイッチ手段Swの動作によって、給電ラインL2の給電は停止され、また、給電ラインL1を介して第1のセンサAに給電が行われていないとき、そのときの回路状態の変化に伴うスイッチ手段Swの動作によって、給電ラインL2から第2のセンサ接続端子T2への給電が行われる。
【0055】
第2の回路状態遷移手段11bは、コンパレータC1と第1の負荷抵抗R1と第2の負荷抵抗R2とを備えている。第1、第2のセンサ接続端子T1、T2間に第1のセンサAが接続されている状態で、第1のセンサAが非動作状態にあるとき、第2のセンサ接続端子T2からの電流は充分に小さくされ、第1のセンサAが動作状態にあるとき、第2のセンサ接続端子T2からの電流は増加する。
【0056】
この電流の大小変化を捕捉するために、コンパレータC1の入力端子に、第2のセンサ接続端子T2からの電流の変化を電圧降下によって検出するための第1の負荷抵抗R1を接続し、この第1の負荷抵抗R1に第2のセンサ接続端子T2からの電流を流すようにする。
【0057】
第1の負荷抵抗R1の両端電圧つまりコンパレータC1の入力電圧VINが基準電圧Vthと比較され、その比較結果がコンパレータC1の出力端子から第2の出力端子O2へと出力される。
【0058】
第2、第3のセンサ接続端子T2、T3間に第2のセンサBが接続されている状態で、第2のセンサBが非動作状態にあるとき、高電位電源VDDから給電ラインL2を介して給電される電流の一部を第2のセンサ接続端子T2を介して第2のセンサBへ供給するとともに、その電流の残りの部分を前記の第1の負荷抵抗R1へ供給する。
【0059】
このとき、第2高電位電源VDD2から第1の負荷抵抗R1への電流は比較的大きなものとする。第2のセンサBが動作状態にあるとき、第2のセンサBの内部抵抗は充分小さく、これを流れる電流でショートを起こさないようにするため、第1の負荷抵抗R1とコンパレータC1の入力端子との接続ノードN1と第2のセンサ接続端子T2との間に第2の負荷抵抗R2を挿入する。
【0060】
前記の接続ノードN1から分流して第1の負荷抵抗R1に流れる電流は、第2のセンサBが非動作状態のときは大きく、動作状態のときは小さくなる。
【0061】
そして、第1の負荷抵抗R1の両端電圧つまりコンパレータC1の入力電圧VINが基準電圧Vthと比較され、その比較結果がコンパレータC1の出力端子から第2の出力端子O2へと出力される。
【0062】
この実施の形態の動作を説明する。
【0063】
(A1)信号入力装置10の第1、第2のセンサ接続端子T1、T2に第1のセンサAを接続すると、第1のセンサAが非動作状態であれば、高電位電源VDD、第1のセンサ接続端子T1、第1のセンサA、第2のセンサ接続端子T2、第2の負荷抵抗R2、第1の負荷抵抗R1、低電位電源VSSの経路に電流が流れる。このとき、第1のセンサAが非動作状態であれば、第1のセンサAに流れる電流は微弱なオフ状態電流iA0となる。
【0064】
第1の回路状態遷移手段11aを構成しているスイッチ手段Swは、微弱なオフ状態電流iA0の検出をもって高電位電源VDDから第2のセンサ接続端子T2への給電ラインL2を遮断する。よって、第1の出力端子O1における論理は“L”レベル(一例)へと遷移する。
【0065】
第1のセンサAに流れる微弱なオフ状態電流iA0は第1の負荷抵抗R1にも流れ、コンパレータC1の入力電圧VINは低いレベルとなる。その結果、コンパレータC1の出力つまりは第2の出力端子O2の論理は“H”レベル(一例)となる。
【0066】
制御装置20は、第1の出力端子O1の論理“L”の入力により、信号入力装置10に接続されているのが第1のセンサAであり、それは第1、第2のセンサ接続端子T1、T2に接続されていると認識できる。また、制御装置20は、第2の出力端子O2の論理“H”の入力により、接続されている第1のセンサAが非動作状態にあると認識できる。
【0067】
(A2)第1、第2のセンサ接続端子T1、T2に接続された第1のセンサAが動作状態に遷移すると、第1のセンサAに流れる電流は増加する。これが第1のセンサAのオン状態電流iA1である。スイッチ手段Swの状態は変わらず、第1の出力端子O1の論理は“L”レベルのままである。
【0068】
第1のセンサAに流れる大きなオン状態電流iA1が第1の負荷抵抗R1に流れ、コンパレータC1の入力電圧VINは上昇する。その結果、コンパレータC1の出力つまりは第2の出力端子O2の論理は“L”レベルへと反転する(一例)。
【0069】
制御装置20は、第1の出力端子O1の論理“L”の入力により、信号入力装置10に接続されているのが第1のセンサAであり、それは第1、第2のセンサ接続端子T1、T2に接続されていると認識できる。また、制御装置20は、第2の出力端子O2の論理“L”の入力により、接続されている第1のセンサAが動作状態にあると認識できる。
【0070】
(B1)信号入力装置10の第2、第3のセンサ接続端子T2、T3に第2のセンサBを接続する。このとき、第1、第2のセンサ接続端子T1、T2は開放されており、高電位電源VDDから給電ラインL1を介して第1のセンサ接続端子T1への電流の流入がないため、スイッチ手段Swは、第2高電位電源VDD2から第2のセンサ接続端子T2への給電ラインL2を導通状態へ切り替える。その結果として、第1の出力端子O1における論理は“H”レベルへと反転する(一例)。
【0071】
第2のセンサBが非動作状態であれば、高電位電源VDD、第2の負荷抵抗R2、第2のセンサ接続端子T2、第2のセンサB、低電位電源VSSの経路に電流が流れるが、その電流は微弱であり、高電位電源VDDからの電流の大部分は第1の負荷抵抗R1に流れることなる。結果、コンパレータC1の入力電圧VINは高いレベルとなり、コンパレータC1の出力つまりは第2の出力端子O2の論理は“L”レベル(一例)となる。
【0072】
制御装置20は、第1の出力端子O1の論理“H”の入力により、信号入力装置10に接続されているのが第2のセンサBであり、それは第2、第3のセンサ接続端子T2、T3に接続されていると認識できる。また、制御装置20は、第2の出力端子O2の論理“L”の入力により、接続されている第2のセンサBが非動作状態にあると認識できる。
【0073】
(B2)第2、第3のセンサ接続端子T2、T3に接続された第2のセンサBが動作状態に遷移すると、第2のセンサBに流れる電流は増加し、それに連動して第1の負荷抵抗R1に流れる電流が減少する。それは、第1の負荷抵抗R1と第2の負荷抵抗R2との並列抵抗に抵抗R8が直列に接続されていることによる。コンパレータC1の入力電圧VINは低下し、コンパレータC1の出力つまりは第2の出力端子O2の論理は“H”レベルへと反転する(一例)。スイッチ手段Swの状態は変わらず、第1の出力端子O1の論理は“H”レベルのままである。
【0074】
制御装置20は、第1の出力端子O1の論理“H”の入力により、信号入力装置10に接続されているのが第2のセンサBであり、それは第2、第3のセンサ接続端子T2、T3に接続されていると認識できる。また、制御装置20は、第2の出力端子O2の論理“H”の入力により、接続されている第2のセンサBが動作状態にあると認識できる。
【0075】
以上のように、信号入力装置10に第1のセンサAを接続しているか、それとも第2のセンサBを接続しているかの識別は、第1の出力端子O1の論理によって行われる。また、第1のセンサAの接続状態であるか第2のセンサBの接続状態であるかにかかわらず、第2の出力端子O2に現れる論理の変化に応じて、その接続しているセンサが非動作状態であるか動作状態であるかを識別することができる。
【0076】
より具体的な好ましい実施の形態として、次のようなものがある。
【0077】
第1のセンサA、第2のセンサBが択一的に接続されるべき第1のセンサ接続端子T1、第2のセンサ接続端子T2および第3のセンサ接続端子T3と、給電ラインL1に挿入されたフォトダイオードおよび第1の出力端子O1をプルダウンする給電ラインL2に挿入されたフォトトランジスタを有するフォトカプラ(図2では図示せず:図3のPC1参照)と、フォトトランジスタの導通/非導通に応じて非導通/導通となるスイッチング素子(図2では図示せず:図3のTr2参照)と、このスイッチング素子と低電位電源VSSとの間に挿入された第1の負荷抵抗R1と、スイッチング素子と第1の負荷抵抗R1との接続ノードN1と第2のセンサ接続端子T2との間に挿入された第2の負荷抵抗R2と、第1の負荷抵抗R1と第2の負荷抵抗R2との接続ノードN1とスイッチング素子との間に挿入された抵抗R8とを備えた信号入力装置である。
【0078】
上記のフォトダイオード、フォトトランジスタからなるフォトカプラは、前述のスイッチ手段Swを構成している。
【0079】
第1の負荷抵抗R1と第2の負荷抵抗R2との接続ノードN1とスイッチング素子との間に挿入された抵抗R8は、コンパレータC1における基準電圧Vthを設定する上で有用となるものである(これについては以下の実施例で詳述する)。
【実施例】
【0080】
以下、本発明の実施例にかかる信号入力装置を、図3図8を参照して説明する。この実施例では、2線式センサとして2線式近接センサに適用しているが、近接センサに限定されない。なお、以下の説明では、2線式近接センサを単にセンサと称する。図3図7は、信号入力装置の回路図であり、図8は、信号入力装置の遷移条件を示す図である。図3図7を参照して信号入力装置の構成および動作の説明に先立ち、図8を簡単に説明すると、「未接続」は、センサをセンサ接続端子に接続していない状態であり、「接続、動作OFF」は、センサをセンサ接続端子間に接続し、かつ、センサが動作していない状態であり、「接続、動作ON」はセンサをセンサ接続端子間に接続し、かつ、センサが動作している状態を意味する。「H」は出力端子O1、O2の電位がハイレベル(“H”)、「L」はローレベル(“L”)を意味する。
【0081】
図3において、PC1はフォトカプラ、PDはフォトダイオード、PTはフォトトランジスタ、R1は第1の負荷抵抗、R2は第2の負荷抵抗、R3〜R12は抵抗、Tr1はトランジスタ、Tr2はトランジスタ、D1は逆流防止ダイオード、C1はオペアンプ利用のコンパレータ、T1は第1のセンサ接続端子、T2は第2のセンサ接続端子、T3は第3のセンサ接続端子、Aは第1のセンサ、Bは第2のセンサ、O1は第1の出力端子、O2は第2の出力端子、VDDは高電位電源、VSSは低電位電源(または接地部)である。
【0082】
センサ接続端子T1、T2間には、第1のセンサAが接続され、センサ接続端子T2、T3間には、第2のセンサBが接続される。
【0083】
高電位電源VDDにフォトカプラPC1のフォトダイオードPDのアノードが接続され、そのカソードが第1のセンサ接続端子T1に接続されている。第3のセンサ接続端子T3は低電位電源VSSに接続されている。
【0084】
第2のセンサ接続端子T2は、第1のセンサAの接続と第2のセンサBの接続とに兼用されるが、同時に両センサA、Bが接続されないものであり、第2の負荷抵抗R2の一端に接続されている。第2の負荷抵抗R2の他端は第1の負荷抵抗R1の一端に接続され、第1の負荷抵抗R1の他端は低電位電源VSSに接続されている。
【0085】
フォトカプラPC1におけるフォトトランジスタPTのエミッタは低電位電源VSSに接続され、コレクタが抵抗R3を介して高電位電源VDDに接続されている。抵抗R3とフォトトランジスタPTとの接続ノードN2は、抵抗R4を介して低電位電源VSSに接続されているとともに、抵抗R5を介してトランジスタTr1のベースに接続されている。接続ノードN2はさらに図外のCPUに接続される第1の出力端子O1にも接続されている。
【0086】
トランジスタTr1のコレクタは抵抗R7の一端に接続され、抵抗R7の他端は抵抗R6を介して高電位電源VDDに接続されている。抵抗R6と抵抗R7との接続ノードN3は、トランジスタTr2のベースに接続され、そのエミッタは高電位電源VDDに接続されている。トランジスタTr2のコレクタは逆流防止ダイオードD1のアノードに接続され、逆流防止ダイオードD1のカソードは抵抗R8の一端に接続され、抵抗R8の他端は第1の負荷抵抗R1と第2の負荷抵抗R2との接続ノードN1に接続されている。
【0087】
第1、第2の負荷抵抗R1、R2と抵抗R8との接続ノードN1は、コンパレータC1の反転入力端子(−)に接続されている。コンパレータC1の非反転入力端子(+)には基準電圧を作る抵抗R9と抵抗R10との接続ノードN4に接続され、抵抗R9の他端は高電位電源VDDに接続され、抵抗R10の他端は低電位電源VSSに接続されている。コンパレータC1の出力端子は抵抗R11を介して非反転入力端子(+)に接続されている。コンパレータC1の出力端子はまた、抵抗R12を介して高電位電源VDDに接続されているとともに、図外のCPUに接続される第2の出力端子O2にも接続されている。
【0088】
次に、図3図8を参照して動作を説明する。
【0089】
(1)図3を参照して、第1のセンサAおよび第2のセンサBの未接続状態での動作を説明する。
【0090】
両センサA、Bとも未接続の状態では、高電位電源VDDからフォトカプラPC1のフォトダイオードPDへの電流の流れがなく、フォトダイオードPDは非発光状態のため、フォトトランジスタPTがオフ状態となっている。そのため、接続ノードN2の電位は“H”レベルである。
【0091】
接続ノードN2の電位が“H”レベルであると、第1の出力端子O1は“H”レベルとなる。接続ノードN2が“H”レベルであると、トランジスタTr1が導通状態にあり、接続ノードN3が“L”レベルであるため、トランジスタTr2は導通状態となっている。
【0092】
その結果、高電位電源VDDから、トランジスタTr2、逆流防止ダイオードD1の抵抗R8、第1の負荷抵抗R1の経路に電流i0 が流れ、コンパレータC1の非反転入力端子(+)には第1の負荷抵抗R1の両端間電圧が印加される。このときのコンパレータC1の入力電圧VIN=R1・i0 で、これは非反転入力端子(+)に印加されている基準電圧Vthよりも大きいことから、コンパレータC1の出力端子電圧つまりは第2の出力端子O2から図外のCPUに送出される検出電圧は"L"レベルである。
【0093】
以上をまとめると、第1のセンサAの未接続状態では、第1、第2の出力端子O1、O2に現れる電圧レベルの組み合わせは、図8に示すように(H、L)となる。
【0094】
この電圧レベルの組み合わせ(H、L)を入力した図外のCPUは、現在、第1のセンサAが未接続の状態にあると確認することになる。
(2)図4を参照して第1のセンサAを接続した状態で、被検出物Mに対する検出動作が非検出の状態であるときの動作を説明する。
【0095】
第1、第2のセンサ接続端子T1、T2間に第1のセンサAを接続すると、被検出物Mの検出がなされない状態であっても、第1のセンサAの出力端子a、b間には微弱なオフセット電流iA0が流れる。すなわち、高電位電源VDDからフォトカプラPC1のフォトダイオードPD、第1のセンサ接続端子T1、第1のセンサA、第2のセンサ接続端子T2、第1、第2の負荷抵抗R1、R2、低電位電源VSSの経路に微弱な電流iA0が流れる。
【0096】
その結果、フォトカプラPC1が動作し、フォトトランジスタPTが導通することになるため、接続ノードN2の電位がそれまでの"H"レベルから"L"レベルへと反転し、第1の出力端子O1がそれまでの“H”レベルから“L”レベルへと反転する。一方、接続ノードN2が“L”レベルになると、それまで導通状態にあったトランジスタTr1が非導通状態となり、接続ノードN3が“L”レベルから“H”レベルへと反転するため、それまで導通状態にあったトランジスタTr2が非導通状態に切り替わる。すると、それまで高電位電源VDD、トランジスタTr2、逆流防止ダイオードD1の抵抗R8の経路を経て第1の負荷抵抗R1に流れ込んでいた電流が遮断される。つまり、第1の負荷抵抗R1に対して流れ込む電流は、高電位電源VDDからフォトダイオードPD、第1のセンサA、第2の負荷抵抗R2の経路を経た微弱な電流iA0のみとなる。
【0097】
第1の負荷抵抗R1の両端間電圧つまりはコンパレータC1の非反転入力端子(+)に印加されるコンパレータC1の入力電圧VINは、VIN=R1・iA0で、これは、電流iA0が微弱であることから、図3の場合のコンパレータC1の入力電圧VIN=R1・i0 よりも大幅に減少する。その結果、コンパレータC1において、コンパレータC1の入力電圧VINは基準電圧Vthを下回ることになり、コンパレータC1の出力端子電圧つまりは第2の出力端子O2から図外のCPUに送出される検出電圧はそれまでの"L"レベルから"H"レベルに反転する。
【0098】
以上をまとめると、第1のセンサAの接続状態でかつ被検出物Mの非検出状態(動作OFF)では、第1、第2の出力端子O1、O2に現れる電圧レベルの組み合わせが、図8に示すように(L、H)となる。
【0099】
この電圧レベルの組み合わせ(L、H)を入力した図外のCPUは、現在、第1のセンサAが接続された状態にあって、しかもその第1のセンサAは被検出物Mを検出していない状態であると確認することになる。
【0100】
(3)図5を参照して第1のセンサAの接続状態で、被検出物Mを検出したときの動作を説明する。
【0101】
第1のセンサAに被検出物Mが検出領域の境界より内側まで接近して、第1のセンサAが検出動作を行ったとする。その結果、第1のセンサAの出力端子a、b間には大きな電流iA1が流れる(iA1>iA0)。この大きな電流iA1は第1の負荷抵抗R1にも流れ、コンパレータC1の入力電圧VIN=R1・iA1はそれまでのR1・iA0に比べて上昇し、基準電圧Vthを上回ることになり、コンパレータC1の出力端子電圧つまりは第2の出力端子O2から図外のCPUに送出される検出電圧はそれまでの“H”レベルから“L”レベルに反転する。一方、第1の出力端子O1の電圧レベルは図4の場合と同じく“L”レベルのままである。
【0102】
以上をまとめると、第1のセンサAの接続状態でかつ被検出物Mの検出状態(動作ON)では、第1、第2の出力端子O1、O2に現れる電圧レベルの組み合わせが、それまでの(L、H)から図8に示すように(L、L)へと変化する。この電圧レベルの組み合わせ(L、L)を入力した図外のCPUは、現在、第1のセンサAが接続された状態にあって、しかもその第1のセンサAが被検出物Mを検出した状態であると確認することになる。
【0103】
(4)図6を参照して第2のセンサBを接続した状態で、被検出物Mに対する検出動作が非検出の状態(動作OFF)であるときの動作を説明する。
【0104】
第2、第3のセンサ接続端子T2、T3間に第2のセンサBを接続すると、被検出物Mの検出がなされない状態であっても、第2のセンサBの出力端子a、b間には微弱なオフセット電流iB0が流れる。すなわち、高電位電源VDDからトランジスタTr2、逆流防止ダイオードD1の抵抗R8の経路で接続ノードN1に流れ込んだ電流は、第1の負荷抵抗R1の経路と第2の負荷抵抗R2および第2のセンサBの経路とに分流される。
【0105】
非検出状態にある第2のセンサBの内部抵抗が充分に大きいものとして、コンパレータC1の入力電圧VINを求めると、
IN≒{R1/(R1+R8)}・VDD
これは、図3の場合のコンパレータC1の入力電圧VIN={R1/(R1+R8)}・VDDと同程度であり、コンパレータC1において、コンパレータC1の入力電圧VINは基準電圧Vthを上回ることになり、コンパレータC1の出力端子電圧つまりは第2の出力端子O2から図外のCPUに送出される検出電圧はそれまでと同じく"L"レベルのままである。
【0106】
以上をまとめると、第2のセンサBの接続状態でかつ被検出物Mの非検出状態(動作OFF)では、第1、第2の出力端子O1、O2に現れる電圧レベルの組み合わせが、図8に示すように(H、L)となる。この電圧レベルの組み合わせ(H、L)は、図3に示す両センサA、Bともに未接続のときと同じである。よって、電圧レベルの組み合わせ(H、L)を入力した図外のCPUは、現在の状況につき、確定的な確認は行えないことになる。しかし、両センサA、Bのうちいずれかが接続されているのであれば、それは第2のセンサBであるということは分かる。
【0107】
(5)図7を参照して第2のセンサBの接続状態で、被検出物Mを検出したときの動作を説明する。
【0108】
被検出物Mが第2のセンサBに対してその検出領域の境界から外側まで離間して、第2のセンサBが検出動作を行ったとする。その結果、高電位電源VDD、トランジスタTr2、逆流防止ダイオードD1の抵抗R8、第2の負荷抵抗R2、第2のセンサB、低電位電源VSSの経路で、第2のセンサBの出力端子a、b間には大きな電流iB1が流れる(iB1>iB0)。逆に、第1の負荷抵抗R1に流れる電流iR1は、図6の場合に流れる電流よりも減少する。その結果、コンパレータC1の入力電圧VIN=R1・iR1はそれまでの入力電圧に比べて低下し、基準電圧Vthを下回ることになり、コンパレータC1の出力端子電圧つまりは第2の出力端子O2から図外のCPUに送出される検出電圧はそれまでの"L"レベルから"H"レベルに反転する。一方、第1の出力端子O1の電圧レベルは図6の場合と同じく"H"レベルのままである。
【0109】
以上をまとめると、第2のセンサBの接続状態でかつ被検出物Mの検出状態では、第1、第2の出力端子O1、O2に現れる電圧レベルの組み合わせが、それまでの(H、L)から図8に示すように(H、H)へと変化する。この電圧レベルの組み合わせ(H、H)を入力した図外のCPUは、現在、第2のセンサBが接続された状態にあって、しかもその第2のセンサBが被検出物Mを検出した状態であると確認することになる。
【0110】
図6図7の状態を切り替えることにより、第1、第2の出力端子O1、O2に現れる電圧レベルの組み合わせが、(H、L)と(H、H)との間で遷移するため、図外のCPUは、現在、第2のセンサBが接続された状態にあって、しかもその第2のセンサBの被検出物Mに対する検出の動作が、非検出状態と検出状態との間で遷移していることを確認することができる。
【0111】
次に、状態識別のための基準電圧Vthの条件範囲を検討する。ここでは、表現を簡略化するため、高電位電源VDDの電位をVH とし、高電位電源VDDの電位をVL と記載することにする。
【0112】
図3の状態の場合、第1の負荷抵抗R1を流れる電流i0 は、
0 =VL /(R1+R8)
コンパレータC1の入力電圧VINは、
IN=R1・i0 =VL ・R1/(R1+R8)
このとき、コンパレータC1の出力が“L”レベルであるためには、基準電圧Vthは、
Vth<VL ・R1/(R1+R8)………[1]
である必要がある。
【0113】
図4の状態の場合、第1のセンサAの内部抵抗を実質的に無限大とみなしてもよくて、第1の負荷抵抗R1を流れる電流iA0は、実質的に、
A0 ≒0
コンパレータC1の入力電圧VINは、実質的に、
IN≒0
このとき、コンパレータC1の出力が“H”レベルであるためには、基準電圧Vthは、
0<Vth………[2]
これは、実質的に無条件である。
【0114】
図5の状態の場合、第1の負荷抵抗R1を流れる電流iA1は、
A1=VH /(R1+R2)
コンパレータC1の入力電圧VINは、
IN=R1・iA1=VH ・R1/(R1+R2)
このとき、コンパレータC1の出力が“L”レベルであるためには、基準電圧Vthは、
Vth<VH ・R1/(R1+R2)………[3]
である必要がある。
【0115】
図6の状態の場合、第2のセンサBの内部抵抗を実質的に無限大とみなしてもよくて、第1の負荷抵抗R1を流れる電流iR1は、実質的に、
R1≒VL /(R1+R8)
コンパレータC1の入力電圧VINは、実質的に、
IN≒R1・iB0=VL ・R1/(R1+R8)
このとき、コンパレータC1の出力が“L”レベルであるためには、基準電圧Vthは、
Vth<VL ・R1/(R1+R8)………[4]
である必要がある。この[4]の条件範囲は図3の場合の条件範囲[1]と同じである。
【0116】
図7の場合、抵抗R8を流れる電流iB1が第1の負荷抵抗R1と第2の負荷抵抗R2とに分流する関係から、計算を容易にするため、電流iB1を利用してみる。第1の負荷抵抗R1と第2の負荷抵抗R2との並列合成抵抗はR1・R2/(R1+R2)であり、抵抗R8を流れる電流iB1は、
B1=VL /{R1・R2/(R1+R2)+R8}
コンパレータC1の入力電圧VINは、VL から抵抗R8による電圧降下分を差し引いて、
IN=VL −VL ・R8/{R1・R2/(R1+R2)+R8}
このとき、コンパレータC1の出力が“H”レベルであるためには、基準電圧Vthは、
L −VL ・R8/{R1・R2/(R1+R2)+R8}<Vth………[5]
である必要がある。
【0117】
さて、コンパレータC1における基準電圧Vthは、抵抗R9と抵抗R10の比率で決まる。いま、
R10=k・R9
つまり、
R9:R10=1:k
とすると、基準電圧Vthは、
Vth=VL ・R10/(R9+R10)=VL ・k/(1+k)………[6]
[5]式と[6]式より、
R1・R2/R8・(R1+R2)<k………[7]
また、[4]式と[6]式より、
k<R1/R8………[8]
[8]が成立するときは、[1]も保証される。
【0118】
L <VH
であるから、
Vth<VL ・R1/(R1+R8)<VH ・R1/(R1+R2)
であり、[1]が保証されれば、[3]も保証される。
【0119】
以上を総合して、[7]と[8]が成立すればよいことになる。すなわち、
R1・R2/{R8・(R1+R2)}<k<R1/R8………[9]
つまり、抵抗R9と抵抗R10の比率k(k=R10/R9)が[9]を満たすとき、図8に示す遷移条件が成立し、図外のCPUは、両出力端子O1、O2から入力されてくる電圧レベルの組み合わせ(H、L)、(L、H)、(L、L)、(H、H)のいずれであるかの確認をもって、現在、第1、第2のセンサ接続端子T1、T2または第2、第3のセンサ接続端子T2、T3のいずれにセンサ(AまたはB)が接続されているのを自動的に判別することができる。
【0120】
具体的には、第1、第2のセンサ接続端子T1、T2に第1のセンサAが接続されていると判定したとき、図外のCPUは、使用のセンサがノーマリオープン型のセンサであるとして、それに合わせて、関連する他の回路部分の回路設定を実行する。
【0121】
また、第2、第3のセンサ接続端子T2、T3に第2のセンサBが接続されていると判定したとき、図外のCPUは、使用のセンサがノーマリクローズ型のセンサであるとして、それに合わせて、関連する他の回路部分の回路設定を実行する。
【0122】
[9]をより具体的レベルで考える。ここで、仮に、
R1=R2=R8=R
とすれば、[9]は、
1/2<k<1
であり、抵抗R10を抵抗R9の1/2より大きく定めておけばよいことになる。
【0123】
ちなみに、k=2/3とすれば、
R9:R10=3:2
となる。つまり、上位の抵抗R9の抵抗値を下位の抵抗R10の抵抗値よりも小さく設定すればよいことになる。
【産業上の利用可能性】
【0124】
本発明は、センサ、光電センサなどのセンサを接続して、そのセンサからの信号を取り込んだ上でCPUやPLCなどの制御装置に伝える信号入力装置において、第1のセンサと第2のセンサのいずれが接続されているかを自動的に検出し、その検出結果に基づいて内部回路に対する接続センサ種類に応じた設定を適切にかつ自動的に行うための技術として有用である。
【符号の説明】
【0125】
10 信号入力装置
11の回路状態遷移手段
11a 第1の回路状態遷移手段
11b 第2の回路状態遷移手段
A 第1のセンサ
B 第2のセンサ
C1 コンパレータ
D1 逆流防止ダイオード
O1 第1の出力端子
O2 第2の出力端子
PC1 フォトカプラ
PD フォトダイオード
PT フォトトランジスタ
R1 第1の負荷抵抗
R2 第2の負荷抵抗
Sw スイッチ手段
T1 第1のセンサ接続端子
T2 第2のセンサ接続端子
T3 第3のセンサ接続端子
Tr1 トランジスタ
Tr2 トランジスタ(スイッチング素子)
VDD 高電位電源
VSS 低電位電源
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8