(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
光源と、前記光源から照射される所望の検出光を伝搬可能な光ファイバと、前記光ファイバの一部に配置された被検出部と、前記光ファイバを通して伝搬された前記検出光を検出する光検出部とによって構成され、前記光ファイバの湾曲時に、前記光ファイバの曲率の変化に応じて、前記被検出部を経て検出される光の特性が変化することを利用する形状センサであって、自由な方向に湾曲可能で且つ湾曲方向に対する検出感度に指向性を有する形状センサと、
湾曲方向規制機構の中心線方向から外れた少なくとも特定の方向に湾曲しやすい湾曲容易性とそれ以外の方向には湾曲しにくい湾曲困難性とを備えた湾曲指向性を有する湾曲方向規制機構と、
を具備し、
前記形状センサは、前記光ファイバが、前記湾曲方向規制機構に沿うように一体的に装着され、前記被検出部と前記湾曲方向規制機構の曲がり部分とは、位置が合っている湾曲装置。
前記形状センサは前記被検出部の検出感度が前記光ファイバの湾曲方向に対して異なる感度指向性を有し、前記湾曲方向規制機構の本体の少なくとも前記中心線方向のある範囲においては、前記検出感度の最も高い検出指向方向が、前記湾曲方向規制機構本体の湾曲容易方向と略一致していることを特徴とする、請求項1に記載の湾曲装置。
前記湾曲方向規制機構本体は前記中心線方向において、その一部は、少なくとも前記湾曲容易方向が前記湾曲方向規制機構本体の前記中心線の軸回り方向に対して1方向のみに規制された1方向湾曲規制部、もしくは2方向のみに規制された2方向湾曲規制部のいずれか一方とを有する湾曲規制部と、前記湾曲方向規制機構本体の前記中心線の軸回り方向に対して全方向に自由に湾曲可能な自由湾曲部とによって構成され、
前記湾曲方向規制機構本体に設置される前記形状センサは前記湾曲規制部内においては、前記湾曲容易方向と略一致するように湾曲可能方向が規制される様に組み合わされ、
且つ前記自由湾曲部では、前記湾曲方向規制機構本体に設置される前記形状センサも自由な方向に湾曲可能となっている事を特徴とする、請求項2に記載の湾曲装置。
前記形状センサは、前記湾曲方向規制機構本体の前記1方向湾曲規制部と対応する部分ではその検出感度の最も高い検出指向方向が、前記1方向湾曲規制部の前記湾曲容易方向と略一致する様に前記被検出部が設置され、
さらに、前記湾曲規制部に隣接される前記自由湾曲部と対応する部分では、前記湾曲規制部に設置される前記検出指向方向と略一致する様に設置される第1の被検出部と、前記第1の被検出部の検出指向方向とは異なる方向に設置される第2の被検出部を有する事を特徴とする、請求項3に記載の湾曲装置。
前記第1の被検出部の検出指向方向と、前記第2の被検出部の検出指向方向とのなす角度が、前記湾曲方向規制機構本体の前記中心線の軸回り方向に対して概略90°である事を特徴とする、請求項4に記載の湾曲装置。
前記形状センサは、前記湾曲方向規制機構本体の前記2方向湾曲規制部と対応する部分ではその検出感度の最も高い検出指向方向が、前記2方向湾曲規制部の2方向の前記湾曲容易方向と略一致する様に、2つの前記被検出部が設置され、
さらに、前記湾曲規制部に隣接される前記自由湾曲部と対応する部分では、前記湾曲規制部に設置される前記2つの前記被検出部の検出指向方向と略一致する様に設置される事を特徴とする、請求項3に記載の湾曲装置。
前記2方向湾曲規制部における2方向の湾曲容易方向が互いになす角度が前記湾曲方向規制機構本体の前記中心線の軸回り方向に対して概略90°である事を特徴とする、請求項6に記載の湾曲装置。
前記形状センサは、前記自由湾曲部と対応する部分では、検出感度の最も高い検出指向方向が前記湾曲方向規制機構本体の前記中心線の軸回り方向に対して概略90°の角度をもって配置される2つの被検出部から構成される1組の被検出部ユニットが少なくとも1組み設置されており、
前記湾曲規制部に設置される前記形状センサの前記被検出部の検出指向方向と、前記自由湾曲部に設置される前記被検出部ユニットの前記2つの被検出部の検出指向方向とは、異なっている事を特徴とする、請求項3に記載の湾曲装置。
前記リング状部材は、内周面側に配置され、前記形状センサの少なくとも一部を保持する筒状保持部材、または外周面側に配置され、前記形状センサの少なくとも一部を保持するセンサ保持凹部の少なくともいずれか一方、あるいは前記筒状保持部材とセンサ保持凹部との組合せによって、前記形状センサの少なくとも一部が直接または間接的に保持されている事を特徴とする、請求項9に記載の湾曲装置。
前記樹脂製チューブは、前記内視鏡に内蔵される処置具挿通用のチャンネルチューブ、送気送水用のチューブ、噴流水送水用のチューブのうちの少なくとも1つである事を特徴とする、請求項12に記載の湾曲装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、内視鏡形状検出プローブを構成する曲率検出用ファイバに設けられた光損失部の感度方向は、光損失部の向きによって内視鏡の湾曲方向に対する指向性を有している。そして、曲率検出用ファイバの中心点Oで直交するX軸、Y軸と平行になる様に光損失部が設けられることが望ましい。しかしながら、上記従来技術の内視鏡形状検出プローブを内視鏡に設置する際に、仮に内視鏡の湾曲可能方向(通常は、上下方向および左右方向の少なくとも1方向)と、曲率検出用ファイバのX軸、Y軸とが平行になるように調整したとしても、全ての光損失部の感度方向が、内視鏡の湾曲可能方向と平行にならない可能性が生じている。そして、曲率検出用ファイバは光損失部の向きによって内視鏡の湾曲方向に対する指向性を有しているため、光損失部の感度方向が内視鏡の湾曲可能方向と平行にならないと、曲率検出用ファイバのダイナミックレンジが小さくなり、検出感度が低下してしまう。検出感度が低下すれば、例えば、湾曲曲率が小さい(大きな曲げR)の場合、精度よく湾曲形状を検出できなくなり、内視鏡の形状を正確に検出する事が困難になる可能性がある。
【0005】
本発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的は、内視鏡などの湾曲装置の形状を正確に検出することができる湾曲装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面の態様は、光源と、前記光源から照射される所望の検出光を伝搬可能な光ファイバと、前記光ファイバの一部に配置された被検出部と、前記光ファイバを通して伝搬された前記検出光を検出する光検出部とによって構成され、前記光ファイバの湾曲時に、前記光ファイバの曲率の変化に応じて、前記被検出部を経て検出される光の特性が変化することを利用する形状センサであって、自由な方向に湾曲可能で且つ湾曲方向に対する検出感度に指向性を有する形状センサと、
湾曲方向規制機構の中心線方向から外れた少なくとも特定の方向に湾曲しやすい湾曲容易性とそれ以外の方向には湾曲しにくい湾曲困難性とを備えた湾曲指向性を有する湾曲方向規制機構
と、を具備し、前記形状センサは、前記光ファイバが、前記湾曲方向規制機構に沿うように一体的に装着され、前記被検出部と前記湾曲方向規制機構の曲がり部分とは、位置が合っている湾曲装置である。
【0007】
上記構成の湾曲装置では、自由な方向に湾曲可能で且つ湾曲方向に対する検出感度に指向性を有する形状センサを、湾曲指向性を有する湾曲方向規制機構とを組み合わせて構成されることにより、湾曲方向規制機構によって形状センサの湾曲可能方向を高感度方向に規制することにより、湾曲装置の形状検出精度を向上させるようにしたものである。
【0008】
好ましくは、前記形状センサは前記被検出部の検出感度が前記光ファイバの湾曲方向に対して異なる感度指向性を有し、前記湾曲方向規制機構の本体の少なくとも前記中心線方向のある範囲においては、前記検出感度の最も高い検出指向方向が、前記湾曲方向規制機構本体の湾曲容易方向と略一致している。
【0009】
上記構成では、湾曲方向規制機構の本体の少なくとも前記中心線方向のある範囲においては、前記検出感度の最も高い検出指向方向が、前記湾曲方向規制機構本体の湾曲容易方向と略一致させることにより、湾曲装置の形状検出精度を向上させることができる。
【0010】
好ましくは、前記湾曲方向規制機構本体は前記中心線方向において、その一部は、少なくとも前記湾曲容易方向が前記湾曲方向規制機構本体の前記中心線の軸回り方向に対して1方向のみに規制された1方向湾曲規制部、もしくは2方向のみに規制された2方向湾曲規制部のいずれか一方とを有する湾曲規制部と、前記湾曲方向規制機構本体の前記中心線の軸回り方向に対して全方向に自由に湾曲可能な自由湾曲部とによって構成され、前記湾曲方向規制機構本体に設置される前記形状センサは前記湾曲規制部内においては、前記湾曲容易方向と略一致するように湾曲可能方向が規制される様に組み合わされ、且つ前記自由湾曲部では、前記湾曲方向規制機構本体に設置される前記形状センサも自由な方向に湾曲可能となっている。
【0011】
上記構成では、湾曲方向規制機構本体に設置される前記形状センサは前記湾曲規制部内においては、前記湾曲容易方向と略一致するように湾曲可能方向が規制される様に組み合わされ、且つ前記自由湾曲部では、前記湾曲方向規制機構本体に設置される前記形状センサも自由な方向に湾曲可能にしたことにより、湾曲装置の形状検出精度を向上させることができる。
【0012】
好ましくは、前記形状センサは、前記湾曲方向規制機構本体の前記1方向湾曲規制部と対応する部分ではその検出感度の最も高い検出指向方向が、前記1方向湾曲規制部の前記湾曲容易方向と略一致する様に前記被検出部が設置され、さらに、前記湾曲規制部に隣接される前記自由湾曲部と対応する部分では、前記湾曲規制部に設置される前記検出指向方向と略一致する様に設置される第1の被検出部と、前記第1の被検出部の検出指向方向とは異なる方向に設置される第2の被検出部を有する。
【0013】
上記構成では、前記湾曲方向規制機構本体の前記1方向湾曲規制部と対応する部分では前記形状センサの検出感度の最も高い検出指向方向が、前記1方向湾曲規制部の前記湾曲容易方向と略一致する様に前記被検出部が設置され、前記湾曲規制部に隣接される前記自由湾曲部と対応する部分では、前記湾曲規制部に設置される前記検出指向方向と略一致する様に第1の被検出部が設置され、前記第1の被検出部の検出指向方向とは異なる方向に第2の被検出部が設置されることにより、湾曲装置の形状検出精度を向上させることができる。
【0014】
好ましくは、前記第1の被検出部の検出指向方向と、前記第2の被検出部の検出指向方向とのなす角度が、前記湾曲方向規制機構本体の前記中心線の軸回り方向に対して概略90°である。
上記構成では、前記湾曲方向規制機構本体の前記中心線の軸回り方向に対して概略90°の方向で前記形状センサの被検出部を経て光の特性変化を検出させることができ、湾曲装置の形状検出精度を向上させることができる。
【0015】
好ましくは、前記形状センサは、前記湾曲方向規制機構本体の前記2方向湾曲規制部と対応する部分ではその検出感度の最も高い検出指向方向が、前記2方向湾曲規制部の2方向の前記湾曲容易方向と略一致する様に、2つの前記被検出部が設置され、さらに、前記湾曲規制部に隣接される前記自由湾曲部と対応する部分では、前記湾曲規制部に設置される前記2つの前記被検出部の検出指向方向と略一致する様に設置される。
【0016】
上記構成では、前記湾曲方向規制機構本体の前記2方向湾曲規制部と対応する部分では前記形状センサの検出感度の最も高い検出指向方向が、前記2方向湾曲規制部の2方向の前記湾曲容易方向と略一致する様に、2つの前記被検出部が設置され、前記湾曲規制部に隣接される前記自由湾曲部と対応する部分では、前記湾曲規制部に設置される前記2つの前記被検出部の検出指向方向と略一致する様に設置されることにより、湾曲装置の形状検出精度を向上させることができる。
【0017】
好ましくは、前記2方向湾曲規制部における2方向の湾曲容易方向が互いになす角度が前記湾曲方向規制機構本体の前記中心線の軸回り方向に対して概略90°である。
上記構成では、前記湾曲方向規制機構本体の前記中心線の軸回り方向に対して概略90°の方向で前記形状センサの被検出部を経て光の特性変化を検出させることができ、湾曲装置の形状検出精度を向上させることができる。
【0018】
好ましくは、前記形状センサは、前記自由湾曲部と対応する部分では、検出感度の最も高い検出指向方向が前記湾曲方向規制機構本体の前記中心線の軸回り方向に対して概略90°の角度をもって配置される2つの被検出部から構成される1組の被検出部ユニットが少なくとも1組み設置されており、前記湾曲規制部に設置される前記形状センサの前記被検出部の検出指向方向と、前記自由湾曲部に設置される前記被検出部ユニットの前記2つの被検出部の検出指向方向とは、異なっている。
【0019】
上記構成でも前記形状センサの被検出部を経て光の特性変化を検出させることができ、湾曲装置の形状検出精度を向上させることができる。
好ましくは、 前記湾曲方向規制機構本体は内視鏡の一部であり、前記1方向湾曲規制部は、前記湾曲方向規制機構本体の前記中心線方向に沿って複数のリング状部材が並設され、前記中心線方向に沿って隣接状態で配置された一対のリング状部材間が前記湾曲方向規制機構本体の前記中心線方向と直交する方向に延設された回動軸を中心に前記内視鏡の上下方向、あるいは左右方向のいずれか一方に湾曲可能方向が規制されたリング状部材の連結構造体であり、前記2方向湾曲規制部は、前記中心線方向に沿って上下方向用の回動軸および左右方向用の回動軸が交互に配置され、前記内視鏡の上下方向および左右方向の4方向に湾曲可能方向が規制されたリング状部材の連結構造体によって形成され、前記自由湾曲部は、可撓性チューブによって形成され、前記湾曲方向規制機構本体の前記湾曲容易方向は、前記1方向湾曲規制部の前記回動軸と、前記2方向湾曲規制部の前記上下方向用の回動軸および前記左右方向用の回動軸とによって決定される前記リング状部材の連結構造体の湾曲可能方向と平行である。
【0020】
上記構成では、湾曲方向規制範囲においては、内視鏡の湾曲可能方向と形状センサの検出感度が平行な為、検出感度を最大限高めた状態(広いダイナミックレンジで)で内視鏡の形状を検出可能になる。
好ましくは、前記2方向湾曲部は、前記2方向湾曲部の曲率を測定可能な位置に前記形状センサの被検出部が1つ設置され、前記4方向湾曲部および前記自由湾曲部は、前記第2湾曲部位および前記自由湾曲部の曲率を測定可能な所望の位置に複数個設置される。
【0021】
上記構成でも前記形状センサの被検出部を経て光の特性変化を検出させることができ、内視鏡の形状検出精度を向上させることができる。
好ましくは、前記リング状部材は、内周面側に配置され、前記形状センサの少なくとも一部を保持する筒状保持部材、または外周面側に配置され、前記形状センサの少なくとも一部を保持するセンサ保持凹部の少なくともいずれか一方、あるいは前記筒状保持部材とセンサ保持凹部との組合せによって、前記形状センサの少なくとも一部が直接または間接的に保持されている。
【0022】
上記構成では、前記リング状部材の筒状保持部材、またはセンサ保持凹部の少なくともいずれか一方、あるいは前記筒状保持部材とセンサ保持凹部との組合せによって、前記形状センサの少なくとも一部が直接または間接的に保持することにより、内視鏡と形状センサとを位置決め状態で適正に組み付けるようにしたものである。
【0023】
好ましくは、前記形状センサは、前記内視鏡に内蔵される樹脂製チューブの外周面に、少なくともその一部が固定保持されている。
上記構成では、内視鏡と形状センサとを位置決め状態で適正に組み付けるようにしたものである。
好ましくは、前記樹脂製チューブは、前記内視鏡に内蔵される処置具挿通用のチャンネルチューブ、送気送水用のチューブ、噴流水送水用のチューブのうちの少なくとも1つである。
【0024】
上記構成では、内視鏡と形状センサとを位置決め状態で適正に組み付けるようにしたものである。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、内視鏡などの湾曲装置の湾曲曲率が小さくても(大きな曲げRでも)、精度よく湾曲形状を検出でき、内視鏡などの湾曲装置の形状を正確に検出することができる湾曲装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
[第1の実施の形態]
(構成)
図1乃至
図5は、本発明の第1の実施の形態を示す。本実施の形態は、本発明の湾曲装置を内視鏡1に適用したものである。
図1は内視鏡1のシステム全体の概略構成図を示す。内視鏡1のシステムは、内視鏡1と、複数のシステム構成機器2とによって構成されている。内視鏡1は、主に管腔内に挿入される細長い先端挿入管4と、この先端挿入管4の基端部に連結された手元操作部5と、ユニバーサルコード6とによって構成されている。
【0028】
システム構成機器2は、光源装置7と、ビデオプロセッサ8と、形状検出装置9と、モニター10によって構成されている。そして、内視鏡1は、ユニバーサルコード6のコネクタ部6aが光源装置7に接続されるとともに、電気ケーブル6b、6cを介してビデオプロセッサ8と、形状検出装置9とにそれぞれ電気的に接続され、適宜必要な信号を制御可能になっている。
【0029】
先端挿入管4は、硬質な先端部11と、中心線方向(
図2〜
図5中でZ軸方向)から外れた少なくとも特定の方向に湾曲しやすい湾曲容易性とそれ以外の方向には湾曲しにくい湾曲困難性とを備えた湾曲指向性を有する湾曲方向規制機構の本体としての可撓性湾曲構造物12とから構成されている。先端部11には
図2に示すように照明部18と観察部19とが設けられている。照明部18にはライトガイド18aが設けられている。このライトガイド18aの基端部は、ユニバーサルコード6のコネクタ部6a側に延設されている。そして、コネクタ部6aが光源装置7に接続されることで、光源装置7から出射される照明光がライトガイド18aを通して照明部18に供給され、外部に照射されるようになっている。観察部19には、対物光学系19aと、イメージセンサ19bとが設けられている。そして、イメージセンサ19bに結像される前方の画像情報である内視鏡観察像が光電変換され、イメージセンサ19bから出力される画像信号が信号線19cを介してビデオプロセッサ8側に伝送され、モニター10に内視鏡観察像が表示されるようになっている。
【0030】
前記可撓性湾曲構造物12は、湾曲規制部13と、自由湾曲部14とから構成されている。前記湾曲規制部13は、操作湾曲部15と、第2湾曲部16とからなっている。操作湾曲部15は、例えば内視鏡1の上下(up−down)の2方向に湾曲可能な2方向湾曲部によって形成されている。第2湾曲部16は、例えば内視鏡1の上下(up−down)および左右(left−right)の4方向に湾曲可能な4方向湾曲部によって形成されている。
【0031】
手元操作部5には、湾曲操作ダイアル17が設けられている。そして、手元操作部5のダイアル17の操作によって、湾曲規制部13は、所望の2方向(up−down)に所望の曲率によって湾曲可能になっている。
図2を用いて、先端挿入管4の内部構造を説明する。先端部11には、前記照明部18と、観察部19と、図示しない処置具等を挿入可能な処置具挿通用のチャンネル20と、図示しない送気送水用のノズルと、図示しない噴流水送水用の開口部などが配設されている。先端部11の後端側には、操作湾曲部15の先端部が連結されている。
【0032】
操作湾曲部15は、可撓性湾曲構造物12の中心線方向(
図2〜
図5中でZ軸方向)に沿って複数のリング状部材15aが並設されているリング状部材15aの連結構造体である。各リング状部材15aの前端部には前方に突出する舌片状の一対の前方突出部15a1、後端部には後方に突出する舌片状の一対の後方突出部15a2がそれぞれ形成されている。一対の前方突出部15a1は各リング状部材15aの周方向に180°離れた位置に配置されている。一対の後方突出部15a2も同様に、各リング状部材15aの周方向に180°離れた位置に配置されている。さらに、各リング状部材15aの一対の前方突出部15a1と一対の後方突出部15a2とは、前後方向に対応する位置(各リング状部材15aの周方向に同一位置)に配置されている。そして、
図3に示すように隣接する前側のリング状部材15aの後方突出部15a2と、後方のリング状部材15aの前方突出部15a1との間が重ね合わされた部分(2箇所)に、ヒンジピンやリベット等の上下方向湾曲用の回動軸15bが挿入されて前後のリング状部材15a間が回動軸15bを中心に1方向にのみ(
図2および
図3中のX軸を中心に)回動自在に連結されている。これにより、操作湾曲部15によって
図3中に矢印Aで示すように湾曲容易方向が可撓性湾曲構造物12の中心線の軸回り方向に対して1方向のみに規制され、内視鏡1の上下(up−down)の2方向に湾曲可能な1方向湾曲規制部130が形成されている。
【0033】
なお、先端部11の後端側には、リング状部材15aの後方突出部15a2と同じ構造の後方突出部11a2が突設されている。この後方突出部11a2と操作湾曲部15の最前端位置のリング状部材15aの前方突出部15a1との間が重ね合わされた部分(2箇所)に、上下方向用の回動軸15bが挿入されて先端部11の後端側と操作湾曲部15の最前端位置のリング状部材15aとの間が回動軸15bを中心に1方向にのみ(
図2および
図3中のX軸を中心に)回動自在に連結されている。
【0034】
さらに、リング状部材15aの内周面には2つのワイヤ保持部材15dが固定されている。これら2つのワイヤ保持部材15dは、各リング状部材15aの周方向に180°離れた位置に配置され、かつ一対の前方突出部15a1間の中間位置(前方突出部15a1に対して周方向に90°離れた位置)に配置されている。
【0035】
各ワイヤ保持部材15dに操通される2つの操作ワイヤ21の先端部は、先端部11に固定されている。また、2つの操作ワイヤ21の基端部は、手元操作部5のダイアル17の上下方向の湾曲操作ノブに連結されており、ダイアル17を操作することで、操作湾曲部15はX軸である回動軸15bを中心とした上下方向の回動方向に所望の角度で湾曲させる事が可能になっている。操作湾曲部15の後端側には、第2湾曲部16の先端部が連結されている。
【0036】
第2湾曲部16は、可撓性湾曲構造物12の中心線方向に沿って複数のリング状部材16aが並設されているリング状部材16aの連結構造体である。各リング状部材16aの前端部には前方に突出する舌片状の一対の前方突出部16a1、後端部には後方に突出する舌片状の一対の後方突出部16a2がそれぞれ形成されている。一対の前方突出部16a1は各リング状部材16aの周方向に180°離れた位置に配置されている。一対の後方突出部16a2も同様に、各リング状部材16aの周方向に180°離れた位置に配置されている。
【0037】
さらに、第2湾曲部16では、各リング状部材16aの一対の前方突出部16a1と一対の後方突出部16a2とは、前後方向に対応する位置(各リング状部材16aの周方向に同一位置)から90°ずらした位置に配置されている。そして、
図4Aに示すように隣接する前側のリング状部材16aの後方突出部16a2と、後方のリング状部材16aの前方突出部16a1との間が重ね合わされた部分(2箇所)に、ヒンジピンやリベット等の例えば左右方向湾曲用の回動軸16b1が挿入されて前後のリング状部材16a間が回動軸16b1を中心に1方向にのみ(
図2および
図4A中のY軸を中心に)回動自在に連結されている。
【0038】
また、第2湾曲部16では、各リング状部材16aの一対の前方突出部16a1と一対の後方突出部16a2とは、前後方向に対応する位置(各リング状部材16aの周方向に同一位置)から90°ずらした位置に配置されていることにより、左右方向用の回動軸16b1の隣には
図4Bに示すように上下方向湾曲用の回動軸16b2が配置される。そして、この上下方向用の回動軸16b2を中心に1方向にのみ(
図2および
図4B中のX軸を中心に)回動自在に連結されている。このため、第2湾曲部16では、可撓性湾曲構造物12の中心線方向に沿って左右方向用の回動軸16b1と、上下方向用の回動軸16b2とが交互に配置されている。これにより、第2湾曲部16によって内視鏡1の上下方向および左右方向の4方向に湾曲容易方向が規制され、湾曲容易方向が可撓性湾曲構造物12の中心線の軸回り方向に対して
図4B中に矢印Aで示す内視鏡1の上下(up−down)の2方向と、
図4A中に矢印Bで示す左右(left−right)の2方向とに規制された2方向湾曲規制部140が形成されている。
【0039】
なお、操作湾曲部15の後端側と、第2湾曲部16の先端部との連結部では、操作湾曲部15の最後端位置のリング状部材15aの後方突出部15a2と、第2湾曲部16の最前端位置のリング状部材16aの前方突出部16a1との間が重ね合わされた部分(2箇所)に、上下方向用の回動軸16b2が挿入されて操作湾曲部15の最後端位置のリング状部材15aと第2湾曲部16の最前端位置のリング状部材16aとの間が回動軸16b2を中心に1方向にのみ(
図2および
図4B中のX軸を中心に)回動自在に連結されている。
【0040】
第2湾曲部16のリング状部材16aには、操作ワイヤ21は接続されていないため、操作ワイヤ21を牽引操作させてもリング状部材16aは回動することはないが、先端挿入管4が外部構造物に押し付けられる等により先端挿入管4に外力が働くと、左右方向用の回動軸16b1と、上下方向用の回動軸16b2とを中心に所望の2方向(
図4A,4BのX軸、Y軸を回転中心とする方向)に湾曲可能となっている。第2湾曲部16の後端側には、自由湾曲部14の先端部が連結されている。
【0041】
自由湾曲部14は、
図5に示すように自由な方向に湾曲可能な例えば挫屈防止用コイルが巻かれたフッ素チューブ等の可撓性チューブ22によって構成されている。自由湾曲部14にも、操作ワイヤ21は接続されていないため、
図1に示すダイアル17の操作によって湾曲させることはできないが、例えば先端挿入管4を挿入している外部構造物の形状に即して自由な形状に湾曲可能になっている。
【0042】
なお、自由湾曲部14の先端部には、リング状部材16aの前方突出部16a1と同じ構造の前方突出部22a1が突設されている。この前方突出部22a1と第2湾曲部16の最後端位置のリング状部材16aの後方突出部16a2との間が重ね合わされた部分(2箇所)に、上下方向用の回動軸16b2が挿入されて先端部11の後端側と操作湾曲部15の最前端位置のリング状部材15aとの間が回動軸16b2を中心に1方向にのみ(
図2および
図3中のX軸を中心に)回動自在に連結されている。
【0043】
また、本実施の形態の湾曲装置は、可撓性湾曲構造物12と
図6に示す形状センサ23とを組み合わせて構成されている。形状センサ23は、主に光を射出する光源24と、光源24から射出された光を導光する光ファイバ25と、被検出部26と、前記光ファイバ25を通してを伝搬された検出光を検出する受光部(光検出部)27とによって構成されている。光源24は、例えば、発光ダイオード(LED)若しくはレーザ光源である。
【0044】
光ファイバ25は、結合部28で3方に分岐され、検出用光ファイバ25aと、光供給用光ファイバ25bと、受光用光ファイバ25cとによって構成されている。検出用光ファイバ25aの先端には、導光されてきた光を反射する反射部29が設けられている。ここで、光ファイバ25は、
図7に示すように、コア101と、コア101の外周を覆うクラッド102により構成され、さらに最外装に被覆部材103を有していても良い。
【0045】
結合部28は、2本の導光路部材である光供給用光ファイバ25bと、受光用光ファイバ25cが1本の導光路部材である検出用光ファイバ25aに接続されて形成されている。光供給用光ファイバ25bは、光導入路であり、端部に設けられた光源24から射出された光を結合部28に導光する。結合部35は、光供給用光ファイバ25bから入射した光の多くを検出用光ファイバ25aに導光し、反射部29で反射された光の少なくとも一部を受光用光ファイバ25cに導光する機能を有している。
【0046】
本実施の形態の形状センサ23は、被検体である例えば、長尺な可撓性湾曲構造物12に沿うように検出用光ファイバ25aを一体的に装着することにより、その可撓性湾曲構造物12の屈曲状態、及び、屈曲方向を検出する。ここで、被検体に形状センサ23を装着する際に、被検体の曲がり部分を、形状センサ23の被検出部26と位置合わせすることにより、被検体の適正な位置に設置される。そして、検出用光ファイバ25aは、被検体のフレキシブルな動作に追従し、光供給用光ファイバ25bから入射した光を先端の光を反射部29で反射し、光を往来させる。即ち、結合部28を経た光供給用光ファイバ25bからの光を反射部29まで導光し、その反射部29で反射された反射光を結合部28まで戻すように導光する。
【0047】
受光用光ファイバ25cは、光導出路であり、端部に設けられた受光部27へ、反射部29で反射されて結合部28にて分岐された反射光を導光する。検出用光ファイバ25aは、少なくとも1つの被検出部26を有する。
図7に示すように、被検出部26は、検出用光ファイバ25aの外周からクラッド102の一部が除去され、コア101の一部が露出している開口部112と、開口部112に配置された光特性変換部材113と、を有する。尚、被検出部26は、コア101が露出していなくても、導光路を通る光が開口部112まで到達していればよい。
【0048】
光特性変換部材113は、導光された光の特性を変換する機能を有する。光特性変換部材113は、例えば、導光損失部材若しくは波長変換部材などである。例えば、導光損失部材ならば、光吸収体であり、波長変換部材ならば、蛍光体等が挙げられる。本実施形態では、光特性変換部材は導光損失部材として扱う。
【0049】
光源24から照射された光は、光供給用光ファイバ25b、結合部28及び検出用光ファイバ25aを経て導光され、反射部29で反射される。反射部29で反射された反射光は、検出光として、結合部28で分岐されて、受光用光ファイバ25cを導光して受光部27に到達する。受光部27は、受光した検出光を光電変換し、光量を示す電気信号を出力する。
【0050】
本実施形態の形状センサ23では、光ファイバ25内を導光される光が光特性変換部材113に入射した場合には、損失が生じる。この導光損失量は、受光用光ファイバ25cの屈曲及び振れの方向と屈曲量とによって変化する。
検出用光ファイバ25aが直線状の状態であっても、開口部112の幅に従い、ある程度の光量が光特性変換部材113で損失される。この光の損失量を基準とした場合には、例えば、光特性変換部材113が屈曲する検出用光ファイバ25aの屈曲方向における外周面上に配置されていれば、基準とした導光損失量よりも多い導光損失量が生じる。反対に、光特性変換部材113が屈曲する検出用光ファイバ25aの屈曲方向における内周面上に配置されていれば、基準とした導光損失量よりも少ない導光損失量が生じる。
【0051】
この導光損失量の変化は、受光部27で受光される検出光量に反映される。即ち、受光部27の出力信号に反映される。従って、受光部27の出力信号によって、形状センサ23の被検出部26の位置、即ち被検体の光特性変換部材113の設けられた位置での屈曲方向及び屈曲量(角度)を検出することができる。
【0052】
そして、形状センサ23は、例えば、長尺で可撓性を有する部材である被検体に沿うように検出用光ファイバ25aを一体的に装着することにより、その被検体の屈曲状態、及び、屈曲方向を検出する。また、被検体に形状センサ23を装着する際に、被検体の曲がり部分を、形状センサ23の被検出部26と位置合わせすることにより、被検出部26が被検体の適正な位置に設置される。本実施の形態の湾曲装置では、可撓性湾曲構造物12の内部に配設されたチャンネル20に、形状センサ23の検出用光ファイバ25aが少なくともその1部において接着等により固定保持されている。
【0053】
さらに、本実施の形態の湾曲装置で使用される形状センサ23には、操作湾曲部15の範囲において少なくとも1個の被検出部26a、第2湾曲部16の範囲において少なくとも2個の被検出部26b1,26b2、自由湾曲部14の範囲において少なくとも2個のの被検出部26c1,26c2が設置されている。
【0054】
これら被検出部26a、被検出部26b1,26b2、被検出部26c1,26c2は、同様に湾曲率の検出感度に指向性を有している。被検出部26aはその検出感度が最大になる方向が上下方向湾曲用の回動軸15bによって規定される湾曲方向と平行になる様に設置されている。また、被検出部26b1,26b2は左右方向湾曲用の回動軸16b1および上下方向湾曲用の回動軸16b2によって規定される湾曲方向と平行になる様にそれぞれ設置される。回動軸16b1と16b2とは概略90°交差する様に交互に配置されるため、被検出部26b1,26b2のうち1つの被検出部26b1(第1の被検出部)はX軸と平行に、残りの1つの被検出部26b2(第2の被検出部)はY軸と並行になる様に設置される。同様に被検出部26c1,26c2も1つの被検出部26c1はX軸と平行に、残りの1つの被検出部26c2はY軸と並行になる様に設置される。ただし、自由湾曲部14に設置される被検出部26c1,26c2に関しては、必ずしもX軸、Y軸に平行になる様に設置する必要はなく、例えば
図8に示す変形例のようにX軸、Y軸と異なる角度で配置されていても構わないが、一対の被検出部26c1,26c2がなす角度は、Z軸を中心にして略90°であることが望ましい。
【0055】
なお、操作湾曲部15の被検出部26aと、第2湾曲部16の被検出部26b1,26b2、自由湾曲部14の被検出部26c1,26c2は、
図2中のZ軸方向において、本実施形態では1箇所にのみそれぞれ配置してあるが、必要に応じて(例えば、長さ等に応じて)複数箇所に設置されていても構わない。
【0056】
また、本実施の形態では、形状センサ23は、チャンネル20に設置されているが、可撓性湾曲構造物12内に配設された他の湾曲可能な内蔵物、例えば、
図3〜5に示すように、先端部11の送気送水用のノズルに接続された送気送水用のA/Wチューブ31や、先端部11の噴流水送水用の開口部に接続された噴流水送水の為のJチューブ32等に設置されていても構わない。
【0057】
(作用)
次に、上記構成の作用について説明する。
(操作湾曲部15における作用)
図2および
図3を用いて、本実施の形態の操作湾曲部15における作用を説明する。操作湾曲部15を構成する複数のリング状部材15aは、それぞれ同軸に配置された回動軸15bを中心に回動可能に連結されているため、リング状部材15aで構成される操作湾曲部15の湾曲容易方向は
図3中に矢印Aで示すようにY軸方向になる1方向湾曲規制部が形成されている。そのため、操作湾曲部15が湾曲すると、内蔵されるチャンネル20上に設置される形状センサ23も操作湾曲部15と相似形に湾曲する。このとき、形状センサ23に設けられた被検出部26aの検出指向方向d1は、
図3中に矢印Aで示す操作湾曲部15の湾曲容易方向と平行である(一致している)ため、操作湾曲部15の湾曲率を最も高感度に検出する事が可能になる。
【0058】
(第2湾曲部16における作用)
図2および
図4A,4Bを用いて、第2湾曲部16における作用を説明する。第2湾曲部16では、可撓性湾曲構造物12の中心線方向に沿って左右方向用の回動軸16b1と、上下方向用の回動軸16b2とが交互に配置されている。これにより、第2湾曲部16によって内視鏡1の上下方向および左右方向の4方向に湾曲容易方向が規制されている。すなわち、第2湾曲部16の湾曲容易方向は、可撓性湾曲構造物12の中心線の軸回り方向に対して
図4B中に矢印Aで示す内視鏡1の上下(up−down)の2方向(Y軸に平行な方向)と、
図4A中に矢印Bで示す左右(left−right)の2方向(X軸に平行な方向)とに規制されている。そのため、第2湾曲部16が湾曲すると、内蔵されるチャンネル20上に設置される形状センサ23も第2湾曲部16と相似形に湾曲する。このとき、形状センサ23に設けられた一方の被検出部26b1の検出指向方向d2は、上下方向用の回動軸16b2を中心とする
図4B中に矢印Aで示すX軸に平行な方向の湾曲容易方向と平行である(一致している)。同様に、形状センサ23に設けられた他方の被検出部26b2の検出指向方向d3は、
図4A中に矢印Bで示す左右方向用の回動軸16b1を中心とするY軸に平行な方向の湾曲容易方向と平行である(一致している)。そのため、第2湾曲部16の湾曲率を最も高感度に検出する事が可能になる。
【0059】
(自由湾曲部14における作用)
図2および
図5を用いて自由湾曲部14における作用を説明する。可撓性チューブ22は、自由な方向に湾曲可能であり、操作湾曲部15の1方向湾曲規制部130および第2湾曲部16の2方向湾曲規制部140のような湾曲規制部は設けられていない。従って、湾曲容易方向も存在せず、自由にあらゆる方向に湾曲可能である。形状センサ23の自由湾曲部14の範囲に設けられる被検出部26c1,26c2の検出指向方向d4、d5は、被検出部26aや被検出部26b1,26b2と同じX軸Y軸と平行に設けられている(90°直交している)ので、被検出部26c1,26c2の出力を元に演算すれば、いずれの方向に湾曲しても自由湾曲部14の湾曲方向および曲率を検出する事が可能になる。
【0060】
以上のようにして、可撓性湾曲構造物12の湾曲方向および曲率を形状センサ23によって検出する事が可能になり、内視鏡1の先端挿入管4の形状を検出する事が可能になる。特に、湾曲容易方向が定められている湾曲規制部13の形状に関しては、形状センサ23の検出感度を最大限に活用した検出が可能になる。
【0061】
(効果)
そこで、上記構成のものにあっては次の効果を奏する。すなわち、本実施の形態の湾曲装置では、可撓性湾曲構造物12の湾曲方向規制範囲においては、内視鏡1の湾曲容易方向と形状センサ23の検出指向方向が平行な為、形状センサ23の検出感度を最大限高めた状態(広いダイナミックレンジで)で内視鏡1の形状を検出可能になる。そのため、内視鏡1の湾曲曲率が小さくても(大きな曲げRでも)、内視鏡1の先端挿入管4の形状をより高精度に検出できる可能性が高い内視鏡1を提供することができる。
【0062】
[第2の実施の形態]
(構成)
図9および
図10(A)は、本発明の第2の実施の形態を示す。本実施の形態は、第1の実施の形態(
図1乃至
図7参照)の内視鏡1の構成を次の通り変更した変形例である。
すなわち、本実施の形態の内視鏡1では、
図9に示すように可撓性湾曲構造物12の湾曲規制部13を構成する湾曲部201に可撓性湾曲構造物12の中心線方向に沿って複数並設されたリング状部材202の外周面側に
図10(A)に示すように内側に陥没させた複数、本実施の形態では4つのセンサ保持凹部203が形成されている。4つのセンサ保持凹部203は、リング状部材202の周方向に例えば90°間隔で配置されている。
【0063】
各センサ保持凹部203には、形状センサ23がそれぞれ直接/間接的に収納され、少なくともどこか1箇所で形状センサ23とリング状部材202は、例えば接着により保持固定されている。また、複数のリング状部材202の中の一部にはセンサ保持凹部203の溝幅を形状センサ23よりも大きくした幅広部204が形成されている。そして、この幅広部204に収容された形状センサ23には、たるみ205が形成されている。
【0064】
(作用・効果)
本実施の形態では湾曲部201のリング状部材202に形状センサ23を保持させたので、リング状部材202の回動動作と一緒に、可撓性湾曲構造物12の湾曲動作に倣って(沿って)形状センサ23が直接に湾曲する。そのため、可撓性湾曲構造物12の内部に配設されたチャンネル20に形状センサ23を固定した場合のように可撓性湾曲構造物12内で偏って湾曲する可能性が少なく、可撓性湾曲構造物12の湾曲形状をより正確に検出する事が可能になる。したがって、本実施の形態では第1実施形態の効果に加え、より正確に先端挿入管4の形状を検出することが可能になる。
【0065】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、
図10(B)に示す第2の実施の形態の変形例のように湾曲部201の各リング状部材202の内周面にセンサ筒状保持部材206を設け、このセンサ筒状保持部材206内に形状センサ23を挿通させることで、湾曲部201のリング状部材202に形状センサ23を保持させる構成にしてもよい。また、上記湾曲部201の各リング状部材202の内周面にセンサ筒状保持部材206を設ける構成と、リング状部材202の外周面側にセンサ保持凹部203を設ける構成を混在して設けてもよい。そして、形状センサ23は、センサ保持凹部203、もしくはセンサ筒状保持部材206のいずれか、もしくは組合せで直接/間接的に収納され、少なくともどこか1箇所で形状センサ23とリング状部材202は、例えば接着により保持固定されている構成にしてもよい。さらに、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施できることは勿論である。