特許第6045418号(P6045418)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6045418
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】排水スリーブ設置用治具
(51)【国際特許分類】
   E04G 15/06 20060101AFI20161206BHJP
【FI】
   E04G15/06 A
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-65278(P2013-65278)
(22)【出願日】2013年3月26日
(65)【公開番号】特開2014-190009(P2014-190009A)
(43)【公開日】2014年10月6日
【審査請求日】2016年2月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】513073887
【氏名又は名称】大忠金物株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134533
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 夏香
(72)【発明者】
【氏名】横木 忠男
【審査官】 西村 隆
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3126312(JP,U)
【文献】 実開平07−010235(JP,U)
【文献】 実開平01−025594(JP,U)
【文献】 特開2012−154167(JP,A)
【文献】 実開昭53−083819(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 15/06
F16L 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水スリーブを型枠で区画されたところに設置する際に使用する排水スリーブ設置用治具であって、
外周側に前記排水スリーブの内周面へ当接可能である円弧面を有する半円形の湾曲部と、
前記湾曲部の一方の端面側に前記湾曲部の径方向外方へ半円扇形の鍔状に突設されており湾曲部側が前記排水スリーブの開口端部に当接可能な開口端接触面で前記開口端接触面と反対側が前記型枠表面に当接可能な型枠接触面であるフランジ部と、
前記湾曲部の前記フランジ部側の端面に前記フランジ部と平行にリブ状に立設されており前記湾曲部への前記排水スリーブ当接後に前記湾曲部の外周部を係止可能とする爪を前記湾曲部側に有する1又は複数の係合部と、
前記湾曲部より内側に設けられており前記型枠表面に前記型枠接触面を接触させた状態で固定するための食い込み部材取付用の貫通穴とを備えることを特徴とする排水スリーブ設置用治具。
【請求項2】
前記湾曲部は、前記フランジ部側から離れるにしたがって、径が小さくなるテーパ形状になっており、
前記係止部が弾性を有し前記湾曲部外周面から前記爪までの長さが前記排水スリーブの厚み分より僅かに長くなっており、
前記湾曲部の開口側両端を結ぶ支柱と前記支柱と垂直であって前記湾曲部の中央部と前記支柱の中央部とを結ぶ第二の支柱を有し、
前記貫通穴が前記湾曲部の内側面と前記第二の支柱に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の排水スリーブ設置用治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水スリーブを設置する際にスリーブ内に生コンクリートが流れ込むことを防止するための排水スリーブ設置用治具に関する。
【背景技術】
【0002】
高層ビルなどの建設現場において、耐圧盤や土間スラブに排水スリーブを設ける際、例えば、木製などのいわゆるコンパネ(コンクリートパネル:コンクリート型枠用合板の略称)間に半割パイプを載置し、型枠内に打設した生コンクリートが固まった後で型枠を取り外して形成する。このような方法で排水スリーブを設ける場合には、パイプの内部に流動性のある生コンクリートが流れ込まないように、パイプの開口端と型枠の面との間に隙間を開けないようにするなどの対策をとる必要がある。コンクリートが固化した後、パイプはコンクリートの中に埋設され、型枠のコンパネを取り外すことで排水スリーブの流水出入口が確保される。
【0003】
しかし、コンクリートを型枠内に流し込む際の流動圧力によって半割パイプの位置が所定の位置からずれてしまうという問題があり、また、半割パイプの両端とコンパネとの隙間に生コンクリートが流入し、排水スリーブ内にコンクリートが残留して固まってしまうという問題があり、これらの問題を解決する手段として、半割パイプの開口端を塞ぐ平面部を有し、キャップの左右両端から延在して地面に対して固定するためのフランジ部とを備える排水スリーブ用キャップが開発された(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実登3126312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1記載のキャップでは、生コンクリートを型枠に流し込んで固めて型枠を取り除いた状態では、排水スリーブの開口部は前記平面部によって隠蔽されたままであり、流水口を形成するためには前記平面部をハンマーで打ち付け、その衝撃力により破壊する必要があるという問題があった。開口部を形成しないと水が流れないため本作業は必須となるが、ハンマーを用意して破壊するのは手間であり、また、半割パイプが小径で当該平面部の面積が小さいとき等にはハンマーで当該平面部のみを破壊することが困難であるという問題があった。また、打ち抜くために平面部に設けられたスリットは、排水スリーブ内側の径より小径に形成されるため、打ち抜き後も残る部分が排水スリーブ内に張り出してしまい、排水の障害となるという問題があった。
【0006】
加えて、キャップは排水スリーブには密接させるものの型枠に対しては密接されていないため、キャップと型枠との間に隙間があると、その隙間に入り込んだセメントが当該平面部を形成する複数のスリットを介して排水スリーブ内部に流れ込むおそれがあるという問題があった。
【0007】
また、特許文献1記載のキャップでは、半割パイプにかぶせた後、キャップ左右端外側に延在して張り出したフランジ部をねじ等で床面に固定する必要があり、床面がコンクリートであると釘打ち固定が難しいという問題があった。フランジ部が半割パイプの外側キャップの側面外側に張り出して形成されているため、壁面に沿って或いは壁面近傍に排水スリーブを設けようとしても、フランジ部の分だけ壁から離れてしまうかキャップを使用できないという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、排水スリーブ設置時の位置ずれを防止し、排水スリーブ内への生コンクリートの流入を阻止するとともに、排水スリーブ形成後に簡易に排水スリーブから取り外すことを可能とする排水スリーブ設置用治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様は、排水スリーブを型枠で区画されたところに設置する際に使用する排水スリーブ設置用治具であって、
外周側に前記排水スリーブの内周面へ当接可能である円弧面を有する半円形の湾曲部と、
前記湾曲部の一方の端面側に前記湾曲部の径方向外方へ半円扇形の鍔状に突設されており湾曲部側が前記排水スリーブの開口端部に当接可能な開口端接触面で前記開口端接触面と反対側が前記型枠表面に当接可能な型枠接触面であるフランジ部と、
前記湾曲部の前記フランジ部側の端面に前記フランジ部と平行にリブ状に立設されており前記湾曲部への前記排水スリーブ当接後に前記湾曲部の外周部を係止可能とする爪を前記湾曲部側に有する1又は複数の係合部と、
前記湾曲部より内側に設けられており前記型枠表面に前記型枠接触面を接触させた状態で固定するための食い込み部材取付用の貫通穴とを備えることを特徴とする排水スリーブ設置用治具を提供する。
【0010】
前記湾曲部は、前記フランジ部側から離れるにしたがって、径が小さくなるテーパ形状になっており、
前記係止部が弾性を有し前記湾曲部外周面から前記爪までの長さが前記排水スリーブの厚み分より僅かに長くなっており、
前記湾曲部の開口側両端を結ぶ支柱と前記支柱と垂直であって前記湾曲部の中央部と前記支柱の中央部とを結ぶ第二の支柱を有し、
前記貫通穴が前記湾曲部の内側面と前記第二の支柱に設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の排水スリーブ設置用治具は上述したように構成されており、本発明の排水スリーブ設置用治具によれば、貫通孔に釘などの食込み部材が取り付けられることにより型枠に固定されるので、排水スリーブ設置時の位置ずれを防止し、排水スリーブ形成後に簡易に排水スリーブから取り外すことを可能とする。
【0012】
加えて、本発明の排水スリーブ設置用治具は、排水スリーブの内周面に接触する湾曲部と、型枠とともに排水スリーブの開口端部を覆うフランジ部とにより、排水スリーブの開口部が密閉されるので、スリーブ内へのコンクリート等の流入を阻止できる。
【0013】
また、本発明の排水スリーブ設置用治具によれば、排水スリーブの開口端部外表面に係合する係合体により、半割パイプが排水スリーブ設置用治具に対して密着し、半割パイプの内周面とフランジ部との間に隙間が形成されるのを防ぐことができる。
【0014】
また、本発明の排水スリーブ設置用治具は、湾曲部を排水スリーブの内周面から徐々に離れる方向に傾斜させることにより、型枠と一体として取り外し易いようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施例1の排水スリーブ設置用治具の(a)正面図(b)側面図(C)要部A-A断面図である。
図2】本発明の実施例1の排水スリーブ設置用治具の取付手順を示す図である。
図3】本発明の実施例1の排水スリーブ設置用治具の反割パイプへの取付状態を示す斜視図である。
図4】本発明の実施例2の排水スリーブ設置用治具の(a)正面図(b)要部A´-A´面断面図である。
図5】本発明の実施例2の排水スリーブ設置用治具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の排水スリーブ設置用治具の一実施形態について、図面を参照し実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例1】
【0017】
図1は、本発明の実施例1の排水スリーブ設置用治具の(a)正面図(b)側面図(C)要部A-A断面図である。また、図2は、本発明の実施例1の排水スリーブ設置用治具の取付手順を示す図である。図3は、本発明の実施例1の排水スリーブ設置用治具の反割パイプへの取付状態を示す斜視図である。
【0018】
排水スリーブ設置用治具1は、塩化ビニル製で円筒状のパイプを断面が半円の円弧状となるように半分に切断した形状の半割パイプからなる排水スリーブ2をコンパネ3で四方を囲んで形成される型枠で区画されたところに設置する際に使用する排水スリーブ設置用治具である。なお、図2等において排水スリーブ2の開口端接触面122と反対側の長手方向に延在する部分は図示を省略している。排水スリーブ設置用治具1は、湾曲部11とフランジ部12と係合部14と貫通孔13とを備えるものであり、これらは一体として樹脂材料の金型成形で製造できる。排水スリーブ設置用治具1は、図2に示されるとおり、生コンクリートを流し込むための型枠を形成するコンパネ3すなわち型枠のコンクリート型枠用合板の表面に対して立設して固定し、排水スリーブ設置用治具1の外側から、排水スリーブを形成する排水スリーブ2を嵌合して使用するものである。
【0019】
湾曲部11は、半円形で、外周側に排水スリーブ2の内周面22へ当接可能である円弧面を有する。円弧面の曲率は排水スリーブ2の内周面22の曲率と概ね一致する曲率としてある。本実施例においては、外周全体が排水スリーブ2の内周面22に当接する内周接触円弧面である。また、フランジ部12側から離れるにしたがって、径が小さくなるテーパ形状になっている。本実施例では湾曲部11とフランジ部12のなす角は、排水スリーブ2載置側で91°であるが、これに限られない。本実施例において、湾曲部11の幅は20mm程度であるがこれに限定されない。
【0020】
フランジ部12は、湾曲部11の一方の端面側に湾曲部11の径方向外方へ半円扇形の鍔状に突設されている。フランジ部12では、湾曲部11側が排水スリーブ2の開口端部21に当接可能な開口端接触面122となっている。また、フランジ部12では、開口端接触面122と反対側が型枠であるコンパネ3の表面に当接可能な型枠接触面121となっている。湾曲部11とフランジ部12と、排水スリーブ設置用治具1に固定されたコンパネ3とにより、排水スリーブ2の開口端部21が密閉される。本実施例において、フランジ部12の厚みは3mm程度であるがこれに限定されない。
【0021】
貫通孔13は、コンパネ3の表面に型枠接触面121を接触させた状態で固定するための食い込み部材(図示しない)を取付するための穴である。貫通孔13は湾曲部11の内側面左右2か所に設けられている。本実施例の排水スリーブ設置用治具1は、湾曲部11の開口側両端を結ぶ支柱15aと支柱15aと垂直であって湾曲部11の中央部と支柱15aの中央部とを結ぶ支柱15bを有し、貫通孔13が湾曲部11の内側面の他に支柱15bにも設けられているが、支柱15bのみに貫通孔13があってもよい。貫通孔13は、湾曲部11の内周接触円弧面よりも内側に設けてある。
【0022】
係合部14は、湾曲部11のフランジ部12側の端面にフランジ部12と平行にリブ状に立設されている。また、係合部14は、湾曲部11へ排水スリーブ2を当接させた後、湾曲部11の外周面23を係止可能とする爪を開口端接触面122側に有する。開口端接触面122側の爪の上部は湾曲部11方向に裾広がりの傾斜があり、爪の突出した部分の下面は平らになっている。なお、図1(b)の側面図においては、係合部14の図示を省略してある。本実施例において、係合部14のリブ部分の厚みは1mm程度であるがこれに限定されない。
【0023】
係合部14は本実施例では2か所設けてあるが、中央部だけでもよいし、3か所以上設けてもよい。係合部14は、弾性を有しているので、フランジ部12の型枠接触面121がコンパネ3の表面に密着した状態で排水スリーブ2を挿入するときにも、爪の上部傾斜が排水スリーブ2開口端に押されると反って挿入しやすくすることができる。係合部14で固定されるため、フランジ部12と開口端部21との間に隙間が形成されることを防止できる。
【0024】
係合部14は、また、排水スリーブ2を挿入して湾曲部11に当接して嵌合した後には浮き上がって外れないように、湾曲部11の外周面から前記爪までの長さが排水スリーブ2の厚みより僅かに長くなっており、排水スリーブ2を排水スリーブ設置用治具1に嵌めた後に型枠内に生コンクリートを流し込んだ際に排水スリーブ2が排水スリーブ設置用治具1から外れてしまうことを防止できる。
【0025】
本実施例の排水スリーブ設置用治具1は、コンパネ3を、高層ビルなどの建設現場や家屋の最下層における、土間スラブなどの排水スリーブ設置場所に型枠を立設して区画した床面に排水スリーブ2となる半割パイプを、コンパネ3の向かい合う面に排水スリーブ2の両端が接するように、かつ排水スリーブ2の開口部が床面に当接するように載置し、型枠内に生コンクリートを打設し、型枠内に流し込まれた生コンクリートが固まった後で型枠を取り外して形成する。生コンクリートの他、流動性があって静置して一定時間経過後に固化する他の固化剤でもよい。型枠には固化剤が固まった後、剥離可能な表面を有するものを用いる。コンクリートが固化した後、排水スリーブ2はコンクリートの中に埋設され、型枠のコンパネ3を取り外すことで排水スリーブ2の流水出入口が確保される。排水スリーブ2を使って集められた排水は揚水ポンプなどで外部に放出できる。
【0026】
まずは対向する2枚のコンパネ3の表面それぞれに排水スリーブ設置用治具1を型枠接触面121がコンパネ3に接触するようにして排水スリーブ2を設けたい位置に置いて、貫通孔13に食込み部材を差し込んでコンパネ3までねじ込み等により貫入して排水スリーブ設置用治具1をコンパネ3に固定する。食込み部材としては、釘が好適に用いられるが、ネジ等を用いることも可能である。排水スリーブ設置用治具1を取り付けた2枚のコンパネ3を排水スリーブ2の流入口となる側に平行に置き、他の複数のコンパネを排水スリーブ2の長手方向となる側等に立設してすべてのコンパネで排水スリーブ2を取り囲むようにして、生コンクリートを打設するための型枠を形成する。床面にねじ止めする必要がないため、床面が硬質でも設置可能となり、壁面に沿って或いは壁面近傍に設置することも可能となる。
【0027】
あとは、排水スリーブ2を排水スリーブ設置用治具1に、開口端部21が開口端接触面122に接した状態で内周面22が湾曲部11の内周接触円弧面に密着するように嵌め込むだけで型枠内に生コンクリートを流し込んで固め、型枠を取り外すだけで、容易にコンクリート内に埋設された排水スリーブの設置が完成し排水トンネルを形成する。係合部14の爪で排水スリーブ2が固定されるため、生コンクリートを型枠内に流し込む際の流動圧力によって排水スリーブ2の位置が所定の位置からずれてしまうおそれがない。排水スリーブ2の両端とコンパネ3との間はフランジ部12で密着されているため、生コンクリートが排水スリーブ2内に流入して内部にコンクリートが残留して固まってしまうおそれがない。
【0028】
型枠の壁であるコンパネ3を外す際には、食込み部材によってコンパネ3側に固定された排水スリーブ設置用治具1を一体として取り外せるので、ハンマー等で叩き割る等の作業を要しない。本実施例においては、湾曲部11はテーパ状になっており、すなわち排水スリーブ2の内周面22から徐々に離れる方向に傾斜しているので、コンパネ3を外す時に係合部14の爪に引っかからず無理な力を与えなくても、極めて容易に外れる。コンパネ3を外すと排水スリーブ2内は完全な空洞で張り出しなどが残らないため排水の障害となることがない。
【0029】
本実施例によれば、排水スリーブ設置時の位置ずれを防止し、排水スリーブ内への生コンクリートの流入を阻止するとともに、排水スリーブ形成後に簡易に排水スリーブから取り外すことを可能とする。本実施例によれば、ピットに溜まった水の水抜きのための排水トンネルを手間なく美しい仕上がりで設置することができる。
【実施例2】
【0030】
図4は、本発明の実施例2の排水スリーブ設置用治具の(a)正面図(b)要部A´-A´面断面図である。図5は、本発明の実施例2の排水スリーブ設置用治具の斜視図である。実施例2の排水スリーブ設置用治具1´は湾曲部の形状以外実施例1の排水スリーブ設置用治具1の構造と一致するので、説明は省略する(図4及び図5において、実施例1と一致する部分については同一の番号を付する)。実施例2の湾曲部11´は、図4及び図5に示すとおり、周方向に連続して形成することを要せず、排水スリーブ2の径に対応させた内周接触円弧面111´を他の部分と分断して湾曲部11´を形成することができる。内周接触円弧面111´の方が他の部分の半径より大きい。排水スリーブ2に用いられる塩化ビニル製の半割パイプは、VP管とVU管があり、径にも75、100、150、200といった種類がある。実施例1の金型成形に使用される金型の湾曲部11部分を、使用する排水スリーブ2のうち最小の径となるようにしておき、湾曲部11´の内周接触円弧面111´に対応する部分だけ独立したコマとしておくことにより、排水スリーブ2の径に対応してコマの位置を変更することができ、同一の金型を用いて、様々な半割パイプに装着可能な排水スリーブ設置用治具を成形することができる。金型作成にはコストがかかるため、コマの位置変更だけで様々な径用の排水スリーブ設置用治具が製造できることによってコストダウンを実現できる。なお、半割パイプの代わりに円筒状のパイプで排水スリーブを設ける場合、2つの排水スリーブ設置用治具を用いて設置することもできる。
【0031】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず、その発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々と変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0032】
1 排水スリーブ設置用治具
11、11´ 湾曲部
111´ 内周接触円弧面
12 フランジ部
121 型枠接触面
122 開口端接触面
13 貫通孔
14 係合部
15 支柱
2 排水スリーブ
21 開口端部
22 内周面
23 外周面
3 コンパネ
図1
図2
図3
図4
図5