特許第6045435号(P6045435)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社平和の特許一覧

<>
  • 特許6045435-遊技機 図000002
  • 特許6045435-遊技機 図000003
  • 特許6045435-遊技機 図000004
  • 特許6045435-遊技機 図000005
  • 特許6045435-遊技機 図000006
  • 特許6045435-遊技機 図000007
  • 特許6045435-遊技機 図000008
  • 特許6045435-遊技機 図000009
  • 特許6045435-遊技機 図000010
  • 特許6045435-遊技機 図000011
  • 特許6045435-遊技機 図000012
  • 特許6045435-遊技機 図000013
  • 特許6045435-遊技機 図000014
  • 特許6045435-遊技機 図000015
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6045435
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20161206BHJP
【FI】
   A63F7/02 326Z
   A63F7/02 334
【請求項の数】3
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2013-96671(P2013-96671)
(22)【出願日】2013年5月1日
(65)【公開番号】特開2014-217449(P2014-217449A)
(43)【公開日】2014年11月20日
【審査請求日】2016年2月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000154679
【氏名又は名称】株式会社平和
(74)【代理人】
【識別番号】100107113
【弁理士】
【氏名又は名称】大木 健一
(72)【発明者】
【氏名】丹保 尚之
【審査官】 福田 知喜
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−189032(JP,A)
【文献】 特開2010−005055(JP,A)
【文献】 特開2003−047760(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技に係る制御を実行する制御装置と、
前記制御装置で生成した情報に基づき所定の処理を実行する副制御装置と、
前記制御装置又は前記副制御装置からデータを受け、当該データをシリアルデータに変換して送信するとともに、戻された前記シリアルデータを受信するシリアル通信部と、
前記シリアル通信部からの前記シリアルデータを受け、当該シリアルデータをパラレルデータへ変換し、変換された前記パラレルデータを保持するとともに、前記シリアル通信部からの前記シリアルデータを所定時間遅延させて出力する第1シリアルパラレル変換部を含み、前記パラレルデータに基づき所定の処理を実行する第1周辺基板と、
前記シリアル通信部からの前記シリアルデータを受け、当該シリアルデータをパラレルデータへ変換し、変換された前記パラレルデータを保持する第2シリアルパラレル変換部を含み、前記パラレルデータに基づき所定の処理を実行する第2周辺基板と、
前記シリアル通信部からの前記シリアルデータを受け、当該シリアルデータを所定時間遅延させて出力するダミー回路と、
前記第1周辺基板の出力端に接続され、前記シリアル通信部からの前記シリアルデータを分岐する分岐部と、を備え、
前記シリアル通信部の出力端、前記第1周辺基板、前記ダミー回路及び前記シリアル通信部の入力端がループ状に接続され、
前記第2周辺基板の入力端は前記分岐部に接続され、前記第2周辺基板は前記分岐部から前記シリアルデータを受けることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記ダミー回路における遅延時間は、前記第2周辺基板が前記シリアルデータを前記パラレルデータへ変換するために要する時間に相当することを特徴とする請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記分岐部と前記第2周辺基板の間の部分は、他の部分と比べて前記シリアルデータの通信におけるエラーの発生頻度が高いことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、弾球遊技機(パチンコ機)や回胴式遊技機(スロットマシン)などの遊技機に関し、特に、シリアルデータ通信方式を採用するものに関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機設置営業店などにおいて設置されている弾球遊技機(いわゆるパチンコ機)は、遊技球(遊技媒体とも呼ぶ)を用いて遊技を行うものである。借り受けた遊技球を弾球遊技機の遊技盤に設けられている盤面へ打ち出し、当該遊技球が予め定められた入賞口(入賞装置)に入るごとに所定数の遊技球を払出すようになっている。払い出される遊技球は賞球と呼ばれる。
【0003】
弾球遊技機の特定の入賞口に遊技球が受け入れられると電子的な抽選が行われる。多くの場合、当該抽選にはカウンタやレジスタ等のハードウエアで発生された乱数又はソフトウエアで実行されるカウンタで発生された乱数が使用される。
【0004】
弾球遊技機は、電子的な抽選を含む遊技に関する処理を行うために、電気的な遊技制御の処理を行い主要な処理情報を生成する主制御装置及び前記主制御装置にて生成した処理情報を得ることにより所定の出力態様処理をさせる制御を行う副制御装置を備える。さらに、これらに接続される払出制御装置、電飾制御部及び音響制御部などの周辺基板を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-110240号公報 チェイン構造を持つシリアル通信路を用いて周辺基板から副制御装置へデータ送信を可能にした遊技機が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
遊技機内で接続されている主制御装置、副制御装置、周辺基板などの基板やデバイスは、特定の通信路を使用してデータの送信及び受信を行っている。伝送方式としてパラレル通信とシリアル通信があるが、最近では、高速な通信を行う必要やコスト削減のためにシリアル通信が多く採用されている。
【0007】
シリアル通信を行う場合、各基板の接続をループ構造(チェイン構造)にすることで多くのビットを含むデータを容易に転送できるようになったが、ループ構造のいずれか一箇所で断線したり、各基板のいずれかのICが故障すると、その影響が他の基板にも及ぶようになる。すなわち、ループ構造には不具合が広い範囲に波及するという問題がある。また、不具合箇所の特定に時間と労力を要するという問題がある。シリアル通信では断線検出やその他の不具合の対策のために通信路以外に別の構造を設ける必要があった。そのため、構成の簡素化および信頼度の向上が共に困難になるだけでなくコストの増加を招いてしまった。
【0008】
特許文献1は、シリアルデータとして、異常確認データ、出力データ及び入力ブランクデータを含むデータを送信し、シリアル通信部に、異常確認データ、出力データ及び入力値を戻し(ループバック)、シリアル通信部が戻された異常確認データを送信した異常確認データと比較することで、伝送系の不具合を検知するものである。これにより断線などの不具合の検知を容易かつ低コストで実現したものである。
【0009】
しかし、断線や基板の故障などの恒久的な不具合とは別に、ノイズの影響などにより送信されたデータが途中で変化し(データが化ける)、このため周辺基板が副制御装置からのデータを正しく受信できず、意図された正常な動作を行えないということがある。このような事態が生じたときは、ループバック構造であれば、副制御装置はループバックで戻されたデータが送信したデータと異なることを検知し、これに基づきデータを再送する、あるいは、不一致が検知された周期における送信データをすべて破棄し、化けたデータに基づく動作をキャンセルするなどといった対策を行うことができる。
【0010】
データが化けることがごく稀にしか生じないのであればこのような対策も十分有効である。しかし、このような不具合が、故障とまでは言えないもののしばしば発生するようになると、データの再送による処理の遅れ、動作のキャンセルによる問題(周辺基板は演出に関するものが多く、演出がキャンセルされると遊技者が違和感を持ち興趣を損なう)が生じる。このような問題を、特許文献1の発明は解決することができない。特許文献1は不具合の検知及び故障箇所の特定を行うもので、データが化けたときの対策を講じるものではない。
【0011】
本発明は、送信したデータを循環して受信し、送信の成否を監視するシリアル通信(ループバック構造)を備える遊技機において、ループバック構造の一部でノイズの影響などにより送信されたデータが途中で変化したときに、これによる影響を軽減することのできる遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明は、
遊技に係る制御を実行する制御装置と、
前記制御装置で生成した情報に基づき所定の処理を実行する副制御装置と、
前記制御装置又は前記副制御装置からデータを受け、当該データをシリアルデータに変換して送信するとともに、戻された前記シリアルデータを受信するシリアル通信部と、
前記シリアル通信部からの前記シリアルデータを受け、当該シリアルデータをパラレルデータへ変換し、変換された前記パラレルデータを保持するとともに、前記シリアル通信部からの前記シリアルデータを所定時間遅延させて出力する第1シリアルパラレル変換部を含み、前記パラレルデータに基づき所定の処理を実行する第1周辺基板と、
前記シリアル通信部からの前記シリアルデータを受け、当該シリアルデータをパラレルデータへ変換し、変換された前記パラレルデータを保持する第2シリアルパラレル変換部を含み、前記パラレルデータに基づき所定の処理を実行する第2周辺基板と、
前記シリアル通信部からの前記シリアルデータを受け、当該シリアルデータを所定時間遅延させて出力するダミー回路と、
前記第1周辺基板の出力端に接続され、前記シリアル通信部からの前記シリアルデータを分岐する分岐部と、を備え、
前記シリアル通信部の出力端、前記第1周辺基板、前記ダミー回路及び前記シリアル通信部の入力端がループ状に接続され、
前記第2周辺基板の入力端は前記分岐部に接続され、前記第2周辺基板は前記分岐部から前記シリアルデータを受けることを特徴とするものである。
【0013】
前記ダミー回路における遅延時間は、前記第2周辺基板が前記シリアルデータを前記パラレルデータへ変換するために要する時間に相当する。
【0014】
前記分岐部と前記第2周辺基板の間の部分は、他の部分と比べて前記シリアルデータの通信におけるエラーの発生頻度が高い。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、前記分岐部と前記ダミー回路を備え、前記第2周辺基板をループバックの経路から分離したので、前記第2周辺基板を含むループバック構造の一部でノイズの影響などにより送信されたデータが途中で変化したときに、これによる影響を前記第2周辺基板に限定でき、複数の周辺基板全体への波及を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】遊技機の表面構造を示す斜視図である。
図2】遊技機の前扉を開けた状態の斜視図である。
図3】遊技機の裏面構造を示す背面図である。
図4】遊技者から見た盤面の様子を示す図(正面図)である。
図5】発明の実施の形態に係る遊技機のブロック図である。
図6】遊技機の特別図柄に関する処理のフローチャートである。
図7】発明の実施の形態に係るシリアル通信経路におけるループバック接続の説明図(ブロック図)である。
図8】シリアル通信部のブロック図である。
図9】シリアルパラレル変換部(IC)のブロック図である。
図10】発明の実施の形態に係るシリアル通信の説明図である(通信エラー有り)。
図11】発明の実施の形態に係るシリアル通信の説明図である(通信エラー有り)。
図12】比較例に係るシリアル通信経路におけるループバック接続の説明図(ブロック図)である。
図13】比較例に係るシリアル通信の説明図である(通信エラー無し)。
図14】比較例に係るシリアル通信の説明図である(通信エラー有り)。
【発明を実施するための形態】
【0017】
弾球遊技機の構造概略について図1図2及び図3を参照して説明を加える。
【0018】
まず、図1及び図2を参照して本発明の実施の形態に係る遊技機の外部的構造につき説明する。
【0019】
外枠50は、遊技機設置営業店に設けられた設置場所(島設備など)へと固定させるための縦長方形状からなる木製の枠部材である。
【0020】
本体部材51は、外枠50の内部に備えられ、ヒンジ部51aを介して外枠50に回動自在に装着された縦長方形状の遊技機基軸体となる部材である。この本体部材51は、枠状に形成されその内側に空間部を有している。
【0021】
開口枠扉52は、遊技機の前面側となる前記本体部材51の前面に、ロック機能付きで且つ開閉自在となるように装着され、枠状に構成されることでその内側を開口部とした扉部材である。
【0022】
なお、開口枠扉52の開口部にガラス製又は樹脂製からなる透明板部材が設けられ、開口部近傍及びその内部に電飾52a、スピーカ52b、などが取り付けられている。
【0023】
遊技盤10は、本体部材51の空間部に臨むように、本体部材51に所定の固定部材を用いて着脱自在に装着されている。遊技盤の本体部材51への装着後は、その遊技領域を前記開口部より観察することができる。
【0024】
球受皿付き扉53は、遊技機前面において本体部材51の下部に、ロック機能付きで且つ開閉自在となるように装着され、遊技球を貯留する球受皿を少なくとも備えた扉部材である。なお、本実施形態における球受皿付き扉53には、以下の部材が取り付けられている。
(1)複数の遊技球が貯留可能で且つ図示しない発射駆動装置へと遊技球を案内させる通路が設けられた球受皿。
(2)該貯留され発射駆動装置へと案内された遊技球を前記遊技盤10の盤面11に設けられた遊技領域へと打出す操作を行う回動式操作ハンドル48b。
(3)ブリペイドカード読込み処理関係及び借り受ける遊技球の貸出し処理関係の指示をするボタンを備えた球貸し関係の操作部。
(4)球受皿に貯留させた遊技球を遊技球収集容器(俗称、ドル箱)へと排出解除するための球受皿用の貯留球排出操作ボタン。
(5)画面に表示された選択肢の選択を行うために遊技者が操作するジョグダイヤルJD。
【0025】
次に、図3を参照して本発明の実施の形態に係る遊技機の内部的構成を説明する。
【0026】
100は、前述したように、本体部材51若しくは遊技盤10又はこれらに備え付けられる支持部材などを介して設けられ、電気的な遊技制御の処理を行い主要な処理情報を生成する主制御装置である。
【0027】
200は、前記本体部材51若しくは遊技盤10又はこれらに備え付けられる支持部材などを介して設けられ、前記主制御装置100にて生成した処理情報を得ることにより所定の出力態様処理をさせる制御を行う副制御装置である。
【0028】
110は、賞球の払い出し制御を行う払出制御装置である。
【0029】
図4は遊技機の遊技盤の正面図である。
【0030】
図4において、11は遊技盤10の盤面である。盤面11は、誘導レール12と、誘導レール12で区画された略円形の遊技領域を落下した遊技球を外部へ導く排出口(アウト口)13を備える矩形の盤面である。
【0031】
前述した盤面11の遊技領域は、誘導レール12(遊技球を滑走させる滑走部と遊技球を規制する規制部を含む)により略円形状となるように区画形成され、打出された遊技球の移動範囲を規制する領域である。前記滑走部に規制部が続くように設けられている。前記滑走部は全体として螺旋をなして盤面11に配設されている。
【0032】
前記排出口(アウト口)13は、遊技領域に投入された遊技球が集束する位置に設けられた回収開口部である。
【0033】
図示しないが、盤面11には、遊技領域を移動する遊技球の方向を変化せしめる釘や風車などの障害物が複数個設けられている。障害物としての遊技釘は、遊技球と接触させることにより移動方向を不規則にし、又は移動方向を規制するために、盤面11の適宜な位置に打込まれる複数の棒状部材である。
【0034】
30aは、遊技領域の中央やや上側に設けられ、演出用表示ランプやLCD(液晶表示装置)などの可変表示部をひとつ又は複数有する可変表示装置(センター役物)である。
【0035】
30bは、スルーチャッカーである。
【0036】
30cは、普通入賞口を有する普通入賞装置である。
【0037】
30dは、始動入賞口を有するスタートチャッカー(始動入賞装置)である。
【0038】
30eは、大入賞口を有するアタッカーである。
【0039】
以下の説明で、30b乃至30dをまとめて入賞装置30などと記すことがある。
【0040】
なお、図示されていないが、上記30b、30c、30dの内部には球通過検出器20b、20c、20dが設けられている(同図の括弧内の符号はそのことを意味する)。
【0041】
スタートチャッカー30dは特定入賞装置と、アタッカー30eの大入賞装置は特別入賞装置とも呼ばれる。
【0042】
スタートチャッカー(始動入賞口)30dは、入賞口の開口範囲の拡縮を行わせる可動片をその両側に備え、遊技球を入賞させることにより可変表示を行わせると共に賞球を遊技者に獲得させる入賞装置である。
【0043】
アタッカー(大入賞装置)30eは、入賞口を露出させる開口状態と入賞口を閉鎖する閉口状態となる可動扉が駆動制御されるものであり、通常遊技状態に遊技球の入賞を禁止する状態から、予め定められた所定条件が満足された特定遊技状態に遊技球を入賞させることにより他の入賞装置及び入賞口と比較してより多くの賞球を獲得させるものである。
【0044】
盤面11には、入賞装置30、図示しない釘や風車などの障害物とともに、興趣を高めるための様々なデザインの装飾部材が設けられている。装飾部材は入賞装置30などと一体にユニット化されている。
【0045】
図5は遊技機の機能ブロック図である。
【0046】
主制御装置100及び副制御装置200は、図示しないが、CPUを中心に構成され、ROM、RAM、I/O等を備えている。そして、CPUがROMに記憶されたプログラムを読み込むことで、以下に説明するように動作する。
【0047】
100は、遊技に係る処理を行う主制御装置である(「メイン基板」とも呼ばれる)。主制御装置100は、電気的な遊技制御の処理を行い主要な処理情報を生成する。主制御装置100は、遊技領域を移動(流下)して入賞装置30b〜30dを通過した入賞球をそれぞれ検出する球通過検出器20b〜20dの信号を入力とし、入賞装置30b〜30dの入賞球通過に応じた抽選・判定を行う。具体的には、入賞装置30b〜30dに関して次のような処理を行う。
【0048】
遊技球が遊技領域に設けられた入賞装置30b〜30dには、それぞれ内部に球通過検出器(例えばスイッチ)20b〜20dが設けられ、入賞球の通過を検出できるようになっている。入賞球がいずれかの入賞装置30b〜30dの検出可能位置を通過すると、これを球通過検出器20b〜20dが検出し、これを受けて入賞判定部40aが所定の抽選・判定処理を行う。例えば、球通過検出器20bがスルーチャッカー(入賞チャッカー)30bを通過した遊技球を検出したとき、所定の抽選を行い、当選したときはスタートチャッカー(始動入賞口)30dを所定時間開放する。すなわち、スタートチャッカー(始動入賞口)30dの左右両側に互いに対向して設けられた一対の可動片を、それぞれ外側へ開放させる。そして、遊技球がスタートチャッカー(始動入賞口)30dを通過したことを検出したとき、所定の抽選を行い、当選したときは、通常遊技状態の下では入賞不能な状態にあるアタッカー30eの大入賞装置を入賞可能に開放する。
【0049】
入賞装置30b〜30dの入賞球通過に応じた抽選・判定に関係して、次のような処理を行う。
【0050】
スタートチャッカーに入賞して抽選が行われた場合、主制御装置100は、遊技盤上に設けられた特別図柄表示装置(7セグメント表示器)120に特別図柄に関する抽選結果を表示するとともに、抽選の結果及び可変表示装置30aの画像表示装置(液晶表示装置)210での特別図柄(液晶表示装置上の変動図柄)の変動時間(変動パターン、特別図柄の変動時間は抽選により決定される)を副制御装置200に送信する。副制御装置200は、受信した抽選結果及び特別図柄の変動時間に基づいて特別図柄を変動表示させる。
【0051】
なお、大当たりとなった場合は、主制御装置100が副制御装置200に送った変動時間を把握しており、この変動時間を主制御装置100が計時し終わった際に、大当たり処理(アタッカー30eを所定時間、所定回数開放する処理)を行う。
【0052】
ちなみに、遊技球によるスルーチャッカー30bの通過が検出されたときは、盤面上に設けられた普通図柄表示装置130に普通図柄に関する抽選結果を表示し、当選の場合には、スタートチャッカー30dの可動片を開放させる。また、同時に可変表示装置(液晶表示装置)30aの所定領域においても、普通図柄に関する抽選結果を表示する。
【0053】
可変表示装置(センター役物)30aに設けられた画像表示装置(液晶表示装置)210は、大当たり状態に係わる特定図柄を変動表示すると共に背景画像や各種のキャラクタなどをアニメーション的に表示する装置である。スタートチャッカー(始動入賞口)30dを遊技球が通過したことが検出されると、表示される図柄が所定時間だけ変動し、遊技球のスタートチャッカー(始動入賞口)30dの通過時点において抽選された抽選用乱数値により決定される停止図柄を画像表示装置210に表示して停止するようになっている。アタッカー30eは、前方に開放可能な開閉板を備える。LCDの変動停止後の図柄が「777」などの当たり図柄で停止表示されたとき、「大当たり」と称する特別遊技が開始され、アタッカー30eの開閉板が入賞不能な閉鎖状態から、予め定めた回数だけ入賞可能な状態に移行するために開放されるようになっている。遊技球の入賞不能な状態にあるアタッカー30eの開閉板が、入賞可能な状態に移行するために開放された後、所定時間が経過し、又は所定数の遊技球が入賞すると開閉板が閉じることにより、入賞不能な状態に移行する。
【0054】
主制御装置100は、スタートチャッカー(始動入賞口)30dへの遊技球の入球(始動入賞球の検出)を契機として、この始動入賞球についての大当たり/外れの抽選が行われるが、始動入賞が検出されていながらその抽選結果に応じた処理が未実行の始動入賞球を保留球として記憶し、適時、その消化処理を行う。
【0055】
保留球は予め定められた上限値まで記憶される。例えば、保留球の発生順に、その保留球に係る大当たり抽選結果、具体的には保留球とされた始動入賞球が取得した大当たり判定用乱数が記憶される。保留球の記憶(保留球数)の上限値は、例えば、4個である。なお、各保留球とされた始動入賞球が検出されたことに基づいて取得された各大当り判定用乱数が大当たりに該当する場合を、以下、「保留球が当たり」あるいは「当たりに相当する保留球」などと表記することがある。
【0056】
記憶された保留球については、抽選結果に応じた演出画像表示(図柄変動表示)や大当たり動作の終了時に、消化処理、すなわちその保留球に係る図柄変動表示が行われる。
【0057】
保留球の有無や個数は、保留数表示部160に表示される。保留球数の上限値が4個とされた遊技機では、保留数表示部160は、例えばそれぞれ発光素子(LED)である4個の保留球表示素子を備え、それらの点消灯状態によって保留球の有無や個数を表示する。保留球数は、上記消化処理が行われる毎に1個ずつ減じられ、上限値未満、ここでは4個未満となったときは、その時点から4個を上限として再び積算される。
【0058】
保留球は、上述したように各々大当たり判定用乱数が取得されて記憶されており、また大当たり値は予め設定されているので、各保留球について、それらが大当たりに係るものであるか否かは容易に判定可能である(仮判定)。したがって、保留球の記憶内容から、各保留球が大当たりに係るものであるか否か、あるいは全保留球中に当たりに係るものがあるか否か(保留球当たりの有無)について、各保留球の消化処理前に読み込むこと(先読み)が可能である。遊技者の便宜を図るため、あるいは遊技の興趣を高めるために、例えば、保留数表示部160の保留球表示素子を点灯させて保留数を報知するとともに、当たりに相当する保留球に対応する保留球表示素子の発光色を他のものと異ならせることにより、当該保留球が当たりであることを報知することがある。
【0059】
主制御装置100は、始動入賞の乱数抽出のタイミングで保留球の記憶内容である乱数を仮判定し(先読みし)、その結果を副制御装置200へ送っている。主制御装置100から仮判定結果を受けて、副制御装置200は画像表示装置210に表示された画面上の保留球の色や形状を変化させるといった制御を行う。
【0060】
仮判定後、主制御装置100は、次の特別図柄変動の開始時に正式な判定を保留球ごとに行う。
【0061】
後に正式な判定を行うのは次のような理由による。
【0062】
次の特別図柄変動の開始時の保留球数の増減に応じて、変動時間テーブルを変更する場合がある。
【0063】
当該変動が大当たりであって、次の特別図柄変動の開始時が確変等の状態変化時であるときは、変動時間テーブルを変更する場合がある。
【0064】
主制御装置100は、図示しないホールコンピュータと接続され、遊技状態の情報(遊技機情報)を、ホールの管理を行っているホールコンピュータへ送っている。ホールコンピュータとは、ホールに設置された複数の遊技機を監視し管理するコンピュータである。ホールコンピュータは公知であるので、その説明は省略する。
【0065】
遊技機情報として次のようなものがある。
【0066】
例えば、入賞により払い出された遊技球(セーフ球)に関するセーフ球情報を送信する。例えば、10個の遊技球が払い出される毎に1個のセーフ球パルス信号が出力される。
【0067】
例えば、始動口に遊技球が入賞したことに起因して行った抽選結果を表示するために、図示しない表示装置に図柄を変動表示するときに、1個の始動パルス信号が出力される。
【0068】
例えば、始動口に遊技球が入賞したことに起因して行った抽選の結果が当たりであり、大当たり遊技を実行するときに、大当たり遊技状態信号(デジタルのHレベルの信号)が出力される。
【0069】
1100は、スタートチャッカー(始動入賞口)30dを遊技球が通過したこと(正確にはその内部に設けられたセンサ20dで検知されたこと)が検出されたことに基づいて乱数を取得する乱数取得部である。
【0070】
1110は、ハード乱数発生器である。ハード乱数発生器1110は、例えば所定のクロックに基づき高速に動作するカウンタ(ICなどで構成されるハードウエア)である。乱数取得部1100は、ハード乱数発生器1110が出力する信号(値)を乱数値(ハードウエアによる乱数、ハード乱数)として抽選に用いる。
【0071】
1120は、ソフト乱数発生器である。ソフト乱数発生器1120はプログラムにより実現されるものであり、CPUが予め定められたプログラムに従ってメモリに記憶されている値を変化(インクリメント)させたものを乱数値(ソフトウエアによる乱数、ソフト乱数)として出力する。乱数取得部1100は、ソフト乱数発生器1120が出力する信号(値)を乱数値として抽選に用いる。
【0072】
カウンタICなどのハードウエアで発生させているハード乱数は高速で変化している。このため特定(当たり)の乱数値を狙って取得することができず、ハード乱数に対する不正行為は困難である。ソフト乱数は、ハード乱数ほど乱数値の更新は高速でないので、不正行為を困難にするために乱数の初期値を変動させるなどの対策が取られることがある。
【0073】
1200は、乱数取得部1100により取得された乱数にもとづいて、特別図柄表示装置120に図柄を変動表示させる図柄変動制御部である。
【0074】
1300は、特別遊技制御部である。特別遊技制御部1300は、乱数取得部1100により取得された乱数が当選乱数(大当たり)であることを条件に、特別図柄表示装置120に予め設定された賞態様を構成する図柄を停止表示させた後、遊技者に有利な特別遊技を行わせるためのものである。
【0075】
特別遊技は、例えば次のような遊技である。
【0076】
例えば、特別遊技の開始条件は、特別図柄表示装置120に停止表示された図柄が予め設定された態様である。この開始条件が達成されると、特別遊技の1ラウンド目が開始され、特別遊技制御部1300はアタッカー(大入賞装置、変動入賞装置)30eを開放する。
【0077】
各ラウンドの終了条件は、アタッカー30eの開放時間が所定時間(例えば30秒)に達したとき、又はアタッカー30eに入賞した一般入賞球の個数が所定個数(例えば10個)に達したとき、いずれか先に達成された条件に従って当該ラウンドを終了させる。
【0078】
特別遊技の継続中に、予め定められたラウンド更新条件を満たせば、アタッカー30eを一旦閉じた後、再び開放して次ラウンド目の特別遊技状態を開始させる。以後、ラウンド更新条件がラウンド毎の特別遊技の継続中に満たされれば、予め定められた最終ラウンド(上限回数)まで特別遊技を繰り返させる。ラウンド更新条件が途中で満たされなかった場合、又は最終ラウンドが終了した場合に、特別遊技状態を完了させる。
【0079】
ラウンド更新条件としては、例えば、特別遊技状態の開始後に、アタッカー30eに遊技球が10個入賞するか又は30秒経過するかのうち、いずれか早い時点までに予め定められた特定領域へ遊技球が通過すること等が挙げられる。ラウンドの上限(最終ラウンド)は、例えば第15ラウンドである。
【0080】
1400は、確率変動遊技制御部である。確率変動遊技制御部1400は、特別遊技制御部1300による特別遊技の終了後、乱数取得部1100により当選乱数を取得する可能性を増加させる確率変動遊技を行わせるためのものである。
【0081】
確率変動遊技においては、例えば当選乱数の個数を増加させることにより、当選確率を増加させている。なお、確率変動遊技は、当選乱数の個数を増加させる場合に限らず、単位時間当たりの抽選回数を増加させ、その結果、乱数を取得する回数を増加させる、例えば変動時間短縮遊技(いわゆる「時短遊技」)を含む概念である。時間短縮(時短)が行なわれることにより、一定時間内に変動表示が行なわれる回数の最大値が増大される。時短ができない機種では、一定時間内に変動表示を開始できる回数は2〜3回だが、時短ができる機種では、より多い回数(例えば、10回程度)が可能となる。
【0082】
確率変動遊技には、例えば次のような場合に移行する。
【0083】
(1)移行用乱数が所定値となった場合
保留球の発生時に並行して取得された乱数値が所定値となった場合、特別遊技終了後、確率変動遊技に移行する。あるいは、所定の契機(保留球の発生時から特別遊技の終了迄の間)で取得した乱数値が所定値となった場合、特別遊技終了後、確率変動遊技に移行する。
【0084】
(2)所定の当選乱数値を取得した場合
例えば、乱数範囲を「1」〜「640」とし、当選乱数値を「7」、「327」とした場合、「7」を取得したときは、特別遊技終了後、確率変動遊技に移行する。
【0085】
(3)予め定めたパターンによる場合
例えば、初回の特別遊技終了後は、必ず確率変動遊技に移行し、確率変動時に特別遊技に移行した場合には、当該特別遊技終了後は、一般遊技に移行する。
【0086】
(4)所定条件が達成された場合
特別遊技中のスタートチャッカー(始動入賞口)30dへの入賞数が所定個数を超えた場合、特別遊技終了後、確率変動遊技に移行する。あるいは、特別遊技中に所定の入賞口又はゲートを所定個数入賞又は通過した場合、特別遊技終了後、確率変動遊技に移行する。
【0087】
確率変動遊技制御部1400は、また、確率変動遊技中の図柄の変動回数を計数すること、及び、計数した図柄の変動回数が、予め設定された所定回数、例えば50回に達したことを条件に、確率変動遊技を終了させることを行う。確率変動遊技の終了条件は、図柄の変動回数に限らない。例えば、図柄の変動回数が、予め設定された所定回数に達するか、特別遊技に移行するか、いずれか先に達成された条件に従って、確率変動遊技を終了させるようにしてもよい。
【0088】
1500は、保留処理部である。保留処理部1500は、図示しないが、保留乱数記憶手段、保留乱数判定手段、及び、保留乱数処理手段を含む。
【0089】
保留乱数記憶手段は、図柄の変動表示中又は特別遊技中において、スタートチャッカー(始動入賞口)30dにより打球が検出されたことにもとづいて、乱数取得部1100により乱数を取得し、当該乱数を保留乱数として記憶する。
【0090】
保留乱数判定手段は、保留乱数記憶手段に記憶された保留乱数を読み込み、当該保留乱数の抽選結果を判定する。
【0091】
保留乱数処理手段は、図柄の変動表示の終了後、保留乱数記憶手段に記憶された保留乱数を所定の順番で読み出し、当該保留乱数にもとづいて図柄を変動表示させる。保留乱数処理手段は、確率変動遊技中、判定した保留乱数に当選乱数が含まれている場合に、その保留乱数の分として記憶された当選乱数の読み出し順番を変更する。
【0092】
1600は、先読み処理部である。保留球は、上述したように各々大当たり判定用乱数が取得されて記憶されているから、先読み処理部1600は、各保留球について、それらが大当たりに係るものであるか否かを判定する。つまり、「保留球が当たり」あるいは「当たりに相当する保留球」であるかどうかを判定する。始動入賞の乱数抽出のタイミングで保留球の記憶内容である乱数を仮判定し(先読みし)、その結果を副制御装置200へ送っている。
【0093】
110は、遊技利益として入賞装置30b〜30dの遊技球入賞に応じた及び/又はこれによる抽選・判定の結果に応じた所定数の遊技球を払出すための払出制御装置である。
【0094】
120は、可変表示装置(センター役物)30aに設けられた表示装置(例えば7セグメント表示器など)である特別図柄表示装置である。
【0095】
130は、可変表示装置(センター役物)30aに設けられた表示装置(例えば7セグメント表示器など)である普通図柄表示装置である。
【0096】
140は、遊技者から視認できるように遊技機の盤面に設けられた状態表示装置である。状態表示装置140は、ラウンド数を表示するラウンド数表示部150と保留数を表示する保留数表示部160を含む。保留数表示部160は、遊技盤に配置され、図柄の変動表示中に保留球を表示するものである。
【0097】
200は、主制御装置100にて生成した処理情報を得ることにより、光の点滅・音響の発生などの演出を含む所定の出力態様処理をさせる制御を行う副制御装置である(「サブ基板」とも呼ばれる)。
【0098】
2100は、画像表示装置210を制御して演出に係る画像を表示させる演出図柄制御部である。
【0099】
2200は、遊技盤10に設けられた可動体220を制御する役物駆動部である。
【0100】
2300は、遊技盤10、可変表示装置30aあるいは遊技機筐体などに設けられたランプ・電飾230などを点灯制御するためのランプ制御部である。
【0101】
2400は、音発生装置240を制御する音制御部である。
【0102】
2500は、先読み関する演出を行う先読み演出処理部である。例えば、画像表示装置210の当たりに相当する保留球に対応する表示(保留球表示の発光色など)を他のものと異ならせることにより、当該保留球が当たりであることを報知する。保留数表示部160の保留球表示素子を点灯させて保留数を報知することも同時に行われるが、これは主制御装置100により制御される。
【0103】
2600は、リアルタイムクロック2700の出力(時刻信号)に基づき主制御装置100の遊技状態とは関係のない演出である特定演出に関する処理を行う特定演出処理部である。例えば、毎正時あるいは予め定められた時刻に、遊技状態とは独立して所定の楽曲が流されるとともに、そのビデオ映像が画像表示装置210に表示される。
【0104】
2700は、時刻信号を出力するリアルタイムクロックである。
【0105】
210は、液晶表示装置(LCD)などの画像表示装置である。
【0106】
220は、可動体である。可動体220は、例えば、通常状態とこれと異なる状態の2つを相互に行き来するものである。可動体とは、例えば、平板状、円柱状、円盤状、凹凸を有する歯車状、等のものである。なお、図示しないが可動体220を駆動するための動力部を備える。役物駆動部2200は、実際には、当該動力部を駆動する。動力部は、例えば、モータ、ソレノイドなどの電力又は磁力を用いた駆動装置又は駆動源を備えた制御装置などである。
【0107】
画像表示装置210及び可動体220は、可変表示装置(センター役物)30aに設けられている。
【0108】
230は、ランプ・電飾である。
【0109】
240は、音発生装置である。音発生装置240は、スピーカ52bと、副制御装置200の音制御部2400からの信号に基づきスピーカ52bの駆動信号を生成するサウンドプロセッサ(図示せず)を含んでいる。
【0110】
JDは、演出ボタン(ジョグダイヤル)である。副制御装置200には、演出ボタン(ジョグダイヤル)JDからの信号が入力されている。演出ボタン(ジョグダイヤル)JDからの信号により、例えば、副制御装置200において、画像表示装置210に表示される選択肢のいずれが選択されるといった処理がなされる。
【0111】
SSWは、音量スイッチである。副制御装置200には、音量スイッチSSWからの信号が入力される。音量スイッチSSWは例えば遊技機の筐体内部に設けられ、ホール店員のみが操作することができる。なお、音量スイッチSSWを副制御装置200上に設けるようにしてもよい。音量スイッチSSWは、例えば1、2、・・・10のいずれかの段階を選択するものである。これで選択された数値に対応する音量に設定される。例えば、数値が大きいほど音量が大きくなる。
【0112】
図6は、特別図柄に関する処理(特に乱数の処理)のフローチャートである。以下、この図に基づき当該処理について説明する。
【0113】
S1:主制御装置100は、始動入賞口へ入賞(あるいは予め定められた領域を通過する遊技球)があったかどうか判定する。入賞があったとき(YES)、S2に進む。
なお、普通図柄の場合は、S1は「ゲート(予め定められた領域)の遊技球通過」となり、賞球がないこと以外は特別図柄による抽選手順と同等の処理を行う。なお、普通図柄表示装置130が当たり図柄を表示するとき、すなわちゲートの通過することに基づいて取得される乱数値が当たりに該当するときは、スタートチャッカー30dの可動片を所定秒間開くことを所定回数行う。
「入賞」は遊技球が遊技機に回収されるが、「ゲートの通過」は遊技球が遊技機に回収されることはなく、遊技盤に設けられたセンサによって検出後、遊技盤に戻される。また、両者は賞球の有無でも相違する。しかし、両者は、図柄表示され、遊技球の通過に基づく当落が抽選される点で共通する。
【0114】
S2:主制御装置100は、スタートチャッカー(始動入賞口)30dの入賞フラグを設定する。そして、賞球信号を生成する。
【0115】
S3:乱数取得部1100は、ハード乱数発生器1110及びソフト乱数発生器1120から複数の乱数を抽出する。複数の乱数は下記S6〜S9で使用される。
ハード乱数発生器1110からは、特別図柄(その1)の当たり乱数、特別図柄(その2)の当たり乱数、普通図柄の当たり乱数が抽出される。ハード乱数は、ソフト乱数より更新速度が速いため、初期値更新処理は省略される。
ソフト乱数発生器1120からは、当たり図柄乱数、当たり図柄用の初期値更新乱数、リーチ等の演出態様決定乱数、変動パターン乱数が抽出される。
【0116】
S4:主制御装置100は、特別図柄が変動中であるかどうか判定する。変動中であればS5に進み(YES)、そうでなければS6に進む(NO)。
【0117】
S5:主制御装置100は、保留処理部1500に抽出した複数の乱数を保留記憶させる。
記憶数が4つを超えた分は無効となる。賞球はある。
【0118】
S6:主制御装置100は、S3で取得した当たり乱数、又は、S5で保留した当たり乱数の当否を判定する。
主制御装置100は、特別図柄(その1)の当たり乱数、特別図柄(その2)の当たり乱数、普通図柄の当たり乱数について判定を行う。ハード乱数発生器1110からの当たり乱数を、遊技状態(通常/確変)に応じた「通常当否判定テーブル」「確変当否判定テーブル」(図示せず)と照合することで当否を判定する。
【0119】
S7:主制御装置100は、当たり図柄乱数の当否を判定する。当たりに応じた表示図柄の組み合わせを設定するか、又はハズレに応じた表示図柄の組み合わせを設定する。
【0120】
S8:主制御装置100は、リーチ等の演出態様決定乱数の当否を判定する。当たりに応じた演出態様を設定するか、又は(保留の記憶数を勘案して)ハズレに応じた演出態様を設定する。
【0121】
S9:主制御装置100は、変動パターン乱数の当否を判定する。当たりに応じた変動パターンを設定するか、又はハズレに応じた変動パターンを設定する。
変動パターンは、「リーチ付きの当たり演出」「リーチ付きのハズレ演出」「リーチ無しの当たり演出」「リーチ無しのハズレ演出」「リーチ付き30秒当たり/ハズレ演出」「リーチ付き15秒当たり/ハズレ演出」・・・といったものである。
【0122】
この抽選の際に、結果を表示(確定)するタイミング(何秒後に表示(確定)するか)についても抽選しているので、変動パターンは、抽選の結果を表示(確定)するまでの時間要素(時間情報)を包含している。
【0123】
S9では、予め用意された演出の中から変動パターンの時間要素が示す時間に適した演出が選択され、この情報に他の要素(例えば、「リーチ付きの当たり演出」「リーチ付きのハズレ演出」などの演出のうち、どのような演出を行うかを指示する演出パラメータ)が加味されたコマンドが、演出用のコマンドとして副制御装置200に送られ、選択された演出が画像表示装置210に表示されるための制御が行われる。副制御装置200から画像表示装置210へ選択された演出に係る画面データが送られ、そこでその画面が表示される。
【0124】
S7〜S9において、主制御装置100は、ソフト乱数発生器1120から抽出した乱数を、当たりハズレ、及び、遊技状態に応じた複数のテーブルと照合することで当否を判定する。複数のテーブルは、「当たり図柄テーブル」「ハズレ図柄テーブル」「当たり演出態様テーブル」「ハズレ演出態様テーブル」「当たり変動パターンテーブル」「ハズレ変動パターンテーブル」などである(図示せず)。
【0125】
S10:主制御装置100は、変動時間等の処理時間を管理する。変動時間の終了後、終了信号を送信する。
【0126】
S11:主制御装置100は、払出制御装置110,アタッカー(大入賞装置)30eの開閉、特別図柄表示装置120、普通図柄表示装置130、状態表示装置140に対して駆動信号ないしは制御信号を出力するとともに、副制御装置200へコマンドを送信する。
【0127】
図7は、発明の実施の形態に係る遊技機におけるシリアルデータ転送に係る系統(ループバック構造)を示す概略図である。図7は、図6で機能的に示されていた副制御装置200と、周辺基板(画像表示装置210、可動体220、音発生装置240など、特にランプ・電飾230)との接続関係を書きなおしたものであり、実際の接続関係の概略を示している。2つの周辺基板44−1、44−2は同じもの、例えば2つのランプ・電飾230であってもよい。ランプ・電飾230は、LEDなどの発光素子、これの駆動回路、駆動回路を制御する制御部などを含むものである。図7では、発光素子の表示は省略している。
【0128】
説明の便宜上、図7では副制御装置200に2つの周辺基板44−1、44−2が接続されている構成を示しているが、周辺基板の数は3つ以上であってもよい。例えば、副制御装置200と、画像表示装置210、可動体220、ランプ・電飾230、音発生装置240の4つの装置を周辺基板としてループバック接続するようにしてもよい。
【0129】
図7において、少なくとも周辺基板44−1とシリアル通信部40Sの関係について、チェイン接続かつループバック接続されている。シリアル通信部40Sからのデータは、まず周辺基板44−1で受信されここで処理される。そして、周辺基板44−1は受信したデータをそのままのかたちで出力する(転送する)。当該データはシリアル通信部40Sに戻される。
【0130】
チェイン接続とは、n個(n段)の周辺基板が鎖状に連結(接続)されていることである。ループバック接続とは、シリアル通信部40S及びn個(n段)の周辺基板を含めて、それらの接続が環状になっていることであり、言い換えれば、チェイン接続の末端に位置する周辺基板の出力が送信元であるシリアル通信部40Sに戻されることである。
【0131】
なお、周辺基板をチェイン接続かつループバック接続することは、副制御装置200だけでなく、主制御装置100についても適用することができる。例えば、主制御部100に接続されている装置をチェイン接続かつループバック接続するようにしてもよい。以下において、便宜上、副制御装置200の接続を例にとり説明を加える。
【0132】
40Sは、副制御装置200からデータを受け、当該データをシリアルデータに変換して周辺基板44−1、44−2へ送信するとともに、戻されたシリアルデータを受信するシリアル通信部である。図7では、シリアル通信部40Sは副制御装置200の内部に設けられているが、その外部に設けるようにもできる。また、主制御装置100からデータを受けて同様に動作するようにしてもよい。シリアル通信部40Sはループバックされたシリアルデータを受信しデータに異常がないかどうか判断することができる。
【0133】
44−1、44−2は、画像表示装置210、可動体220、ランプ・電飾230、音発生装置240などに相当する周辺基板である。
【0134】
周辺基板44−1は、入力端(IN)でシリアル通信部40Sからのシリアルデータを受け、当該シリアルデータをパラレルデータへ変換し、変換されたパラレルデータを保持するとともに、シリアル通信部40Sからのシリアルデータを所定時間遅延させて出力端(OUT)から出力する第1シリアルパラレル変換部44−11と、パラレルデータに基づき所定の処理(例えばランプ・LEDの点滅)を実行するための駆動回路44−12とを含む。
【0135】
周辺基板44−2は、入力端(IN)でシリアル通信部40Sからのシリアルデータを受け(図7の例では周辺基板44−1を経由してシリアルデータを受けている)、当該シリアルデータをパラレルデータへ変換し、変換されたパラレルデータを保持する第2シリアルパラレル変換部44−21と、パラレルデータに基づき所定の処理(例えばランプ・LEDの点滅)を実行するための駆動回路44−22とを含む。
【0136】
第2シリアルパラレル変換部44−21は、第1シリアルパラレル変換部44−11と同様に、受けたシリアルデータを所定時間遅延させて出力端(OUT)から出力するものであってもよい。図7の例ではこの出力端(OUT)は無接続であり、結果として使用されていないが、周辺基板の仕様を共通にして管理を容易にするという観点から、そのように構成してもよい。
【0137】
44Dは、シリアル通信部40Sからのシリアルデータを受け(図7の例では周辺基板44−1を経由してシリアルデータを受けている)、当該シリアルデータを所定時間遅延させて出力するダミー回路である。仕様を共通にして管理を容易にするという観点から、ダミー回路44Dに、第1シリアルパラレル変換部44−11と同じ回路(IC)を用いるようにしてもよい。
【0138】
45は、周辺基板44−1の出力端に接続されてシリアル通信部40Sからのシリアルデータを分岐する分岐部である。分岐部45は、電線で構成することができる。例えば、第1シリアルパラレル変換部44−11の出力端OUTに2本の電線を接続し、これら2本の電線を分岐部45とすることができる。図7の例では、電線の一方は周辺基板44−2の入力端に接続され、電線の他方はダミー回路44Dの入力端に接続されることになる。周辺基板44−2は分岐部45からシリアルデータを受けている。
【0139】
シリアル通信部40S、周辺基板44−1、ダミー回路44D及びシリアル通信部40Sがループ状に接続されている。すなわち、シリアル通信部40Sの出力端OUTとシリアルパラレル変換部44−11の入力端INとが接続され、シリアルパラレル変換部44−11の出力端OUTとダミー回路44Dの入力端INとが分岐部45を介して接続され、ダミー回路44Dの出力端OUTとシリアル通信部40Sの入力端INが接続されている。
【0140】
ダミー回路44Dにおける遅延時間は、周辺基板44−2がシリアルデータをパラレルデータへ変換するために要する時間に相当している。変換は、パラレルデータのビット数に相当するシリアルデータを受信して行われるので、当該時間はその受信時間である。例えば、パラレルデータが8ビットであり、シリアル通信における通信速度がA(bit/s)であるとき、当該時間は概ね8÷A(s)である。
【0141】
別の表現として、当該時間はシリアルパラレル変換部44−21の入力端INに入った特定のデータが、その出力端OUTに現れるまでの時間と言うことができる。
【0142】
図7示す周辺基板44−2又は分岐部45と周辺基板44−2の間の部分(配線、図7の太線で示した符号Wの部分)は、他の部分、例えば周辺基板44−1に比べてシリアルデータの通信におけるエラーの発生頻度が高い。
【0143】
例えば、周辺基板44−1はLEDを点滅させるものであり、スイッチングノイズが存在しないとともに駆動電流が小さくそのオンオフに伴う電圧変動が小さいものとする。これに対し、周辺基板44−2の駆動対象は役物(可動体220)などを動かすための図示しないモータであり、そのブラシから発生するノイズ及び/又は周辺基板44−2から当該モータの間に設けられたスリップリングのような接点から発生するノイズが存在し、このノイズの影響により、周辺基板44−2においてデータが途中で変化する(データが化ける)ことが生じやすい。あるいは、モータの駆動電流が大きいため電源電圧が変動し、周辺基板44−2の動作においてエラーが生じることもある。
【0144】
また、遊技機の内部構造上、配線Wをノイズ源であるモータやスリップリングの近くを通さざるを得ず、この結果、配線Wにおいてデータがしばしば化けることもある。
【0145】
このようなデータの化けやエラーが生じても、図7の構成によればデータの化けやエラーが生じる箇所の手前でループをクローズしているので、その影響を周辺基板44−2に限定することができる。図7の例では、周辺基板44−2における誤動作は周辺基板44−1及びシリアル通信部40Sに影響を与えない。
【0146】
したがって、発明の実施の形態によれば、データの化けやエラーによる影響を一部の周辺基板に限定でき、複数の周辺基板全体への波及を防止することができる。このことは接続されている周辺基板の数が多いとき、特に意義のあることである。例えば、6つの周辺基板がありそのひとつで上記トラブルが生じやすいのであれば、その周辺基板について図7のような接続関係(ダミー回路を含む)とすることで、他の5つの周辺基板を正常に動作させることができる。データの再送を行わないので、そのための処理の遅れ、動作のキャンセルによる問題(周辺基板は演出に関するものが多く、演出がキャンセルされると遊技者が違和感を持ち興趣を損なう)が生じない。
【0147】
図8は、シリアル通信部40Sの構成を示すブロック図である。
【0148】
シリアル通信部40Sは、周辺基板44−1と周辺基板44−2などの周辺基板へ送信すべきデータを格納している送信データバッファ40S−1、送信データバッファ40S−1からデータを読み出し、当該データをシリアルデータに変換して送り出すパラレル−シリアル変換部40S−2、送信データバッファ40S−1から読み出して送信したデータを格納する送信済データ格納レジスタ40S−3、ダミー回路44D(あるいは末端に接続された図示しない周辺基板)から戻されたシリアルデータ(周辺基板からループバックされたシリアルデータ)をパラレルデータに変換するループバックシフトレジスタ40S−4、変換されたパラレルデータを格納するループバックレジスタ40S−5、送信済データ格納レジスタ40S−3のデータとループバックレジスタ40S−5のデータを比較する比較部40S−6及び比較部40S−6の出力に基づきエラー報知を行う報知部40S−7を含む。
【0149】
シリアル通信部40Sは、CPUがプログラムを実行することによりソフトウエアで、あるいは、複数のICを組み合わせることによりハードウエアで実現される。
【0150】
図7に示したシリアルパラレル変換部44−11、44−21やダミー回路44Dは、ICなどの電子回路である。その内部構成例を図9に示す。
【0151】
シリアルパラレル変換部44−11は、8つ(8ビットの場合、以下同じ)のDタイプフリップフロップDFF1と、8つのDタイプフリップフロップDFF2と、8つのバッファBUFとを含む。8つのDFF1は8ビットのシフトレジスタ(以下の説明において、シフトレジスタの符号にDFF1を用いることがある)を構成する。8つのDFF2は8ビットのストレージレジスタ(以下の説明において、ストレージレジスタの符号にDFF2を用いることがある)を構成する。8つのBUFはストレージレジスタの出力を制御する(出力するか出力しないか(L又はHレベルを出力するかハイインピーダンス状態にするか))ものである。シリアルパラレル変換部44−11は他にも複数のバッファ(NOTゲート)を含むが、これらの説明は省略する。
【0152】
シフトレジスタとは、シリアルデータをパラレルデータに変換するものである。ストレージレジスタとは、変換されたパラレルデータを保持するものである。
【0153】
DFF1のR端子はリセット端子、D端子はデータ入力端子、Q端子はデータ出力端子、SCKはクロック入力端子である。DFF2のD端子はデータ入力端子、Q端子はデータ出力端子、RCKはストレージレジスタへのデータのストア端子である。
【0154】
QH’は末端のDFF1の出力端子(出力端OUT)であり、これが次段のICの入力端子に接続される。SI端子は入力端子(入力端IN)である。SCK端子はクロックの入力端子である。クロックは、例えばシリアル通信部40Sから周辺基板44−1,44−2、ダミー回路44Dへ供給する(そのための配線の表示は図7において省略している)。/SCLR端子はシフトレジスタのクリア端子である。なお、/SCLR端子は使用されていないものとする(電源電圧にプルアップされている)。RCK端子はストレージレジスタへのデータのストア端子である。ストア信号(ラッチ信号)は、例えばシリアル通信部40Sから周辺基板44−1,44−2へ供給する(そのための配線の表示は図7において省略している)。/G端子はストレージレジスタの出力イネーブル端子である。なお、/G端子は使用されていないものとする(接地され、常に出力が有効になっている)。
【0155】
RCK端子はシリアル通信部40Sの図示しないストア信号出力端子に接続されている。ストア信号は、予め定められたワード単位で、例えば図7のように周辺基板が2つであり、各8ビットのデータを扱うとして2×8=16ビット(クロックの16周期)ごとに発生する。ストア信号に従ってシフトレジスタDFF1はその内部に保持している内容をストレージレジスタDFF2に転送させる(図10などのt1、t2のタイミングで転送される)。なお、1ワード=16ビットつまり1サイクル=クロックの16周期は一例である。
【0156】
なお、ダミー回路44Dにおいては、DFF2はなくてもよい。
【0157】
図10及び図11は、図7の構成におけるシリアルデータ伝送の説明図(タイミングチャートである。
【0158】
図12は、比較例(従来例)のループバック構造を示す。図12において、図7と同一又は相当部分については同一符号を付し、その説明は省略する。
【0159】
図13及び図14は、図12の比較例におけるシリアルデータ伝送の説明図(タイミングチャートである。
【0160】
説明の便宜上、まず、従来のループバック構造におけるデータ伝送の手順について説明を加える。
【0161】
図13及び図14では、データの送信をk,k+1などの「サイクル」を単位として示している。ひとつのサイクルで1ワードのデータ(例えば(周辺基板44−2用の8ビット、図のA,C)+(周辺基板44−1用の8ビット、図のB,D)=16ビット)が伝送される。つまり、2つのサイクル、例えばクロックの16周期において16ビットのデータが送信され、その最後のクロックに同期してストア信号が出力され(全16ビットのデータが揃ったタイミングt1、t2)、シフトレジスタDFF1のデータがストレージレジスタDFF2に取り込まれる。図13及び図14において、A〜Dの符号を含む四角形は、それに対応するサイクルにおいてA〜Dのワードのデータがシリアル伝送され、その最後(時間軸が右を向いているとしてその右端t1、t2)でデータがストレージレジスタDFF2に取り込まれることを意味する。
【0162】
一方、シリアル通信部40Sのループバックシフトレジスタ40S−4は、戻されたデータ(図12の例ではシリアルパラレル変換部44−21の出力端OUTから戻される)を、例えば8ビット単位でループバックレジスタ40S−5に取り込ませる。図13などのt11〜t14はその取り込みタイミングを示す。なお、取り込みタイミングは例示であり、t1、t2のように16ビット単位であってもよい。
【0163】
比較部40S−6は、ループバックレジスタ40S−5に取り込んだデータを、送信済データ格納レジスタ40S−3の2サイクル前のデータ(この数は周辺基板の数に対応している)と比較する。
【0164】
図13などでは6つのサイクルk〜(k+5)を示している。サイクルk〜(k+3)にかけてシリアル通信部40SからデータA〜Dがそれぞれ送信される。ひとつのサイクルの時間は、例えば、パラレルデータが8ビットであり、シリアル通信における通信速度がA(bit/s)であるとき、当該時間は概ね8÷A(s)である。
【0165】
サイクル(k+2)〜(k+5)にかけてループバックレジスタ40S−5にデータA〜DあるいはEが格納される。なお、図14のデータEは、不具合によりデータDが化けたものである。
【0166】
図13に示すようにシリアル通信部40SからA,B,C,Dのデータが順番に送信される。ここで、A,Cは周辺基板44−2用のデータであり、B,Dは周辺基板44−1用のデータである。所定のt1、t2でシリアル通信部40Sからストア信号が出力され、これに基づき各シリアルパラレル変換部において、シフトレジスタDFF1からストレージレジスタDFF2に取り込まれる。シリアルパラレル変換部44−11ではB、Dが取り込まれ、シリアルパラレル変換部44−21ではA,Cが取り込まれる。ストレージレジスタDFF2が保持したデータに基づき各周辺基板は所定の動作を行う。
【0167】
シリアルデータは、周辺基板44−1と44−2を順番に巡るので、送信したデータが戻されるまでには、2サイクルの時間を要する。
【0168】
他方、比較部40S−6は、所定のタイミングt11〜T14においてループバックレジスタ40S−5にループバックされたデータを取り込み、このデータを送信済データ格納レジスタ40S−3の送信データと比較する。両者が一致していれば正常にデータ送信が行われたと判断するが、不一致であれば、データの再送、報知部40S−7による報知処理などの処理を行う。
【0169】
図13などの例では、比較部40S−6は、サイクルごとに比較を行っている。図中の矢印で示すように、あるサイクルを基準として(例えばサイクル(k+5))、ループバックレジスタ40S−5に格納されているデータを、その2つ前のサイクル(例えばサイクル(k+3))で送信されたデータと比較する。
【0170】
データ伝送が正しく行われていれば、シリアル送信部40Sから送出されたデータは、前述のように2サイクル後にループバックされる。遅延を示す数字「2」サイクルは、周辺基板の数に対応している。したがって、一般的には、直列に接続されている周辺基板の数がn個(n段)であるとき、比較部40S−6は、ループバックされたデータを、nサイクル前の送信済データと比較する。
【0171】
なお、t11〜t14は8ビット単位で比較する場合を示している。16ビット単位の場合はt1、t2のタイミングで比較を行うようにする。
【0172】
図14は、ノイズ等の影響で周辺基板44−1と44−2の間(図12の符号w)において、サイクル(k+4)の通信の際にエラーが発生し、データDがデータEに化けた場合を示す(図14の符号w)。伝送の途中で、ノイズの影響、コネクタの接触不良、IC不良などの不具合によりデータDを正しく送ることが出来ず、誤ったデータEが送られたとする。すなわち、サイクル(k+5)の最後のt14において、ループバックされたデータEがループバックレジスタ40S−5に格納される。このデータEがデータDと一致しないから、比較部40S−6は、シリアル伝送が正しく行われなかったと判定し、報知部40S−7を通じてエラー報知を行うとともに、データの再送などの所定の処理を行うことになる。
【0173】
図14では周辺基板44−2がデータEを受けているものの、データEに元データであるデータDは自分自身宛のデータではない(周辺基板44−1用のデータである)ので使用されず、周辺基板44−2は誤動作しない。しかし、誤ったデータEがシリアル通信部40Sにループバックされるので問題となる。
【0174】
すなわち、データの再送による処理の遅れ、動作のキャンセルによる問題(周辺基板は演出に関するものが多く、演出がキャンセルされると遊技者が違和感を持ち興趣を損なう)が生じる。
【0175】
次に、発明の実施の形態に係るデータ伝送について説明する。
【0176】
図10及び図11は、図7の構成におけるシリアルデータ伝送の説明図(タイミングチャートである。
【0177】
基本的な動作は図13で説明したものと同じであるが、以下の点で異なる。
【0178】
まず、シリアルパラレル変換部44−21の出力端OUTには何も接続されていない。
【0179】
次に、ダミー回路44Dが設けられ、シリアル通信部40Sは、ダミー回路44Dからループバックのデータを受けている。
【0180】
このため、図10に示すように、ノイズ等の影響で分岐部45と周辺基板44−2の間(図7の符号W)において、サイクル(k+4)の通信の際にエラーが発生し、データDがデータEに化けた場合であっても、上述のような問題は生じない。
【0181】
すなわち、周辺基板44−1、ダミー回路44Dの通信経路ではエラーが発生しておらず、ダミー回路44Dはデータを正しく受信しており、その送信データも正常である。したがってシリアル通信部40Sへのループバックに問題はなく、図14のような不一致は生じず、エラー報知も行われない。
【0182】
周辺基板44−2は誤ったデータEを受信するが、これの元のデータであるデータDは自分自身宛のデータではない(周辺基板44−1用のデータである)ので使用されず、周辺基板44−2は誤動作しない。
【0183】
したがって、図10のような通信障害が発生しても、遊技機の動作には問題は全く生じない。
【0184】
図11は、データCがデータEに化けた場合を示す。
【0185】
ノイズ等の影響で分岐部45と周辺基板44−2の間(図7の符号W)において、サイクル(k+3)の通信の際にエラーが発生し、データCがデータEに化けたとする。
【0186】
この場合も、ダミー回路44Dはデータを正しく受信しており、その送信データも正常である。したがってシリアル通信部40Sへのループバックに問題はなく、図14のような不一致は生じず、エラー報知も行われない。
【0187】
周辺基板44−2は誤ったデータEを受信する。これの元のデータであるデータCは自分自身宛のデータであるから、周辺基板44−2は誤動作する。しかし、他の周辺基板には影響はない。
【0188】
したがって、図11のような通信障害が発生したとしても、その影響を通信エラーが生じた周辺基板に限定することができる。ループバック構造の一部でノイズの影響などにより送信されたデータが途中で変化したときに、これによる影響を一部の周辺基板に限定でき、複数の周辺基板全体への波及を防止することができる。
【0189】
なお、以上の説明では、周辺基板の数としてn=2を例示したが、n=3,4,5、・・・でもよいのは言うまでもない。
【0190】
上記説明においてパチンコ機を例に取ったが、本発明の実施の形態は回胴式遊技機(スロットマシン)にも適用することができる。
【0191】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0192】
100 主制御装置
200 副制御装置
40S シリアル通信部
40S−1 送信データバッファ
40S−2 パラレル−シリアル変換部
40S−3 送信済データ格納レジスタ
40S−4 ループバックシフトレジスタ
40S−5 ループバックレジスタ
40S−6 比較部
40S−7 報知部
44−1 周辺基板(第1周辺基板)
44−11 シリアルパラレル変換部
44−12 駆動回路
44−2 周辺基板(第2周辺基板)
44−21 シリアルパラレル変換部
44−22 駆動回路
44D ダミー回路
45 分岐部
DFF1 シフトレジスタ
DFF2 ストレージレジスタ
W 通信エラー発生部位
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14