(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記導光体は板状に形成され、前記入射面は前記導光体の一つの側面であり、前記散乱面は、前記入射面と対向しない面に形成される、請求項1または2に記載の調色装置。
入射面から入射して内部を伝搬した光を散乱させ、印加される電圧に応じて屈折率が変化する複数の屈折率可変体を内部に有し、該複数の屈折率可変体で散乱された光を出射する導光体と、
前記導光体を挟んで対向するように設けられた二つの透明電極と、
前記二つの透明電極間に電圧を印加し、かつ該電圧を調整することにより前記複数の屈折率可変体の屈折率と前記導光体の屈折率の差を変えることにより、前記導光体から出射する光の色を変更可能なコントローラと、
を有することを特徴とする調色装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図を参照しつつ、第1の実施形態による調色装置について説明する。この調色装置は導光体を有する。導光体の少なくとも一つの面には、ミー散乱を生じさせる入射光の波長オーダーの微細構造が形成され、導光体の一端から入射した光は、その微細構造で散乱されてから導光体を出射する。また導光体の微細構造を有する面に接するように、印加する電圧に応じて屈折率を変化させることが可能な屈折率可変層が設けられる。そしてこの調色装置は、屈折率可変層に印加する電圧を調節して導光体と屈折率可変層との間の屈折率差を調節することで、導光体と屈折率可変層の境界面の微細構造により生じるミー散乱の波長ごとの効率を変化させる。これにより、この調色装置は、導光体から出射する光の色を調節する。
【0017】
図1は、一つの実施形態による調色装置の概略構成図である。
図1に示すように、この調色装置1は、調色素子11と、コントローラ12とを有する。そして光源10から発した光は、調色素子11に含まれる導光体を透過する。その際、コントローラ12が調色素子11に含まれる屈折率可変層に印加する電圧を調節することにより、導光体から出射する光の色が調節される。
なお、本実施形態では、調色素子11自体は発光しないので、調色素子11から出射する光の波長は、光源10から発した光の波長範囲に含まれる。したがって、調色素子11から出射する光の色を様々に変化させるために、光源10は、比較的広い発光帯域を持つことが好ましい。そこで、光源10は、例えば、蛍光灯あるいは水銀灯あるいはRGBの三色のLEDを加法混色させた白色LEDあるいは青色LEDとYAG蛍光体の組合せによる白色LEDといった、可視光域全体にわたる発光帯域を持つ白色光源とすることが好ましい。
【0018】
図2(a)は、調色素子11の一例の概略斜視図であり、
図2(b)は、調色素子11の一例の概略側面断面図である。調色素子11は、光が出射する側を上側として、上側から順に、導光体21と、液晶層22と、透明基板23と、反射板24とを有する。導光体21、透明基板23及び反射板24は、例えば、光源10からの光が入射する側の側面を除いてそれらの外周を囲むように設けられた鏡枠(図示せず)によって互いの位置関係が変わらないように保持される。あるいは、導光体21、透明基板23及び反射板24は、例えば、それらの4隅に設けられた支持部材によって互いの位置関係が変わらないように固定されてもよい。
【0019】
導光体21は、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネートまたはガラスといった、光源10から発する光に対して透明な材質により形成された、厚さが約0.1mm〜1mmの平行平板である。そして光源10から発した光は、導光体21の側面の一つであり、光源10と対向する入射面21aから入射し、導光体21の内部を伝搬する。そしてその光は導光体21の下側の面である散乱面21bに設けられた微細構造21cにより散乱されて導光体21の上側の面である出射面21dから出射する。あるいは、導光体21に入射した光は、導光体21の散乱面21bを透過して反射板24により反射されるか、透明基板23の下面で全反射された後、再度導光体21に入射してその出射面21dから出射する。この導光体21の散乱面21bを透過する光の一部も、微細構造21cにより散乱される。
【0020】
微細構造21cは、本実施形態では、導光体21の散乱面21bに、2次元状に配列された複数の半球状の窪みとして形成される。各窪みの半径は、光源10から発した光の波長のオーダー、例えば、約100nm〜2μmの範囲内の何れかの値に設定される。また、隣接する窪み間の間隔に制限は無いが、例えば、その間隔は、個々の窪みの直径と同程度またはそれ以上に設定される。特に、調色装置全体の輝度を均一とするためには、光源10から遠ざかるにつれて間隔が密になるように窪み間の間隔が設定されることがより好ましい。
【0021】
透明基板23は、アクリルなどの透明樹脂またはガラスにより形成された平行平板であり、透明基板23の上側の面が導光体21の散乱面21bと略平行となるように配置される。
【0022】
液晶層22は、屈折率可変層の一例であり、透明基板23と導光体21の間に設けられ、液晶分子27が封入されている。また、液晶分子27が液晶層22から漏れ出さないように、導光体21と透明基板23の外縁に沿って、封止材28が設けられている。
また液晶層22を挟むように、導光体21の散乱面21bの表面と、透明基板23の液晶層22側の表面には、それぞれ、透明電極25、26が設けられる。透明電極25、26は、例えば、ITOと呼ばれる、酸化インジウムに酸化スズを添加した材料により形成される。なお、透明電極25、26は、それぞれ、液晶層22内の液晶分子を駆動するアクティブ領域全体を覆うように形成される。
【0023】
透明電極25、26は、それぞれ、コントローラ12と接続されている。そしてコントローラ12は透明電極25と透明電極26の間に電圧を印加することで、液晶層22に電圧を印加することが可能となっている。なお、液晶層22の厚さは、例えば、数μm程度である。液晶層22が薄いほど、印加する電圧を変更したときの液晶層22の屈折率変化の応答速度は速くなる。
【0024】
透明電極25と透明電極26の間に電圧が印加されていない状態では、液晶層22に封入された液晶分子27は、例えば、ホモジニアス配向によって、導光体21の散乱面21bと液晶分子27の長軸方向が略平行となるように配向されている。そのために、透明電極25及び透明電極26の液晶層22側の表面に、配向膜が形成されてもよい。
【0025】
透明電極25と透明電極26の間に印加される電圧に応じて、液晶分子27は、その長軸方向が導光体21の散乱面21bの法線方向に近づくように向きを変える。これにより、透明電極25と透明電極26の間に印加される電圧に応じて、液晶層22の屈折率が変化する。液晶分子27の長軸方向と、電圧が印加された方向、すなわち、散乱面21bの法線方向とがなす角をψとする。このとき、液晶分子27が配向された方向と平行な偏光成分に対する液晶分子の屈折率をn
ψとすると、n
o≦n
ψ≦n
eとなる。ただし、n
oは液晶分子27の長軸方向に直交する偏光成分に対する屈折率であり、n
eは液晶分子27の長軸方向に平行な偏光成分に対する屈折率である。
なお、液晶分子27は、ホモジニアス配向にかかわらず、液晶層22に印加される電圧に応じて液晶層22の屈折率が変化するどのような配向方法に従って配向されていてもよい。
【0026】
上述したように、微細構造21cの窪みは、波長オーダーの半径を有している。そのため、導光体21の散乱面21bに達した光の微細構造21cによる散乱は、ミー散乱となる。したがって、波長ごとの散乱効率は、導光体21の屈折率と、導光体21の散乱面21bに接するように設けられる液晶層22の屈折率の差Δnによって変化する。特に、微細構造21cの窪みの半径は、液晶層22と導光体21との間の屈折率差Δnをその下限から上限まで変化させる間に、光源10からの光の波長域内で散乱効率が最大となる波長が入れ替わるように設定されることが好ましい。これにより、液晶層22に印加する電圧に応じて散乱効率が最大となる波長が変わるので、その電圧の違いによる出射光の色の違いが明りょうとなる。
【0027】
図3(a)〜
図3(c)は、それぞれ、液晶層22の屈折率から導光体21の屈折率を減じた屈折率差Δnが0.15、0.125、0.1の場合における、3種類の波長の光についての、微細構造21cの窪みの半径と散乱効率の関係を示すグラフである。
図3(a)〜
図3(c)において、横軸は窪みの半径を表し、縦軸は散乱効率を表す。
図3(a)において、曲線301〜303は、それぞれ、屈折率差Δnが0.15の場合における波長465nm、545nm、625nmの光についての窪みの半径と散乱効率の関係を表す。また
図3(b)において、曲線311〜313は、それぞれ、屈折率差Δnが0.125の場合における波長465nm、545nm、625nmの光についての窪みの半径と散乱効率の関係を表す。さらに、
図3(c)において、曲線321〜323は、それぞれ、屈折率差Δnが0.1の場合における波長465nm、545nm、625nmの光についての窪みの半径と散乱効率の関係を表す。
【0028】
図3(a)〜
図3(c)から明らかなように、窪みの半径が一定の値であれば、Δnを変化させることによって、散乱効率の高い波長を変化させることができることが分かる。例えば、窪みの半径が約1.4μmであれば、Δnが0.15の場合、波長625nmの光に対する散乱効率が最も高くなり、Δnを0.15から0.1へ低下させるにつれて、散乱効率が最も高くなる波長が徐々に短くなる。したがって、光源10が白色光源であれば、Δnが0.15の場合には、導光体21から出射する光は比較的赤色に近い色合いとなり、Δnが小さくなるにつれて、導光体21から出射する光の色は、黄色から青色へ変化していく。
【0029】
図4(a)および
図4(b)は、本実施形態による調色装置において、導光体21と液晶層22の屈折率の差と出射光の色の関係を表す色度図である。
図4(c)は光源10の波長成分を示すスペクトル図である。
図4(a)の点400は、光源10が白色光源であり、かつ、液晶層22の屈折率と導光体21の屈折率の差Δnが0の場合の出射光の色、すなわち、光源10からの光の色そのものを表す。点400の色を示す光源10には任意の白色光源を選ぶことができるが、ここでは
図4(c)に示すように465nm,545nm,625nmにピークを持つ光源を用いて説明する。
【0030】
図4(a)において点401〜403は、それぞれ、光源10からの光の色が点400で表される場合における、液晶層22の屈折率から導光体21の屈折率を減じた屈折率差Δnが0.15、0.125、0.1のときの出射光のうち、ミー散乱によって導光体21の出射面21dから出射した出射光の色を表す。屈折率差Δnが小さくなるほど、色合いが青に近づくことが分かる。
【0031】
図4(b)において点411〜413は、それぞれ、屈折率差Δnが0.15、0.125、0.1のときのミー散乱による出射光と、ミー散乱によらない出射光とを混色した出射光の色を表す。すなわち、
図4(a)の各屈折率差Δnにおける点401〜403の色と、それぞれ、点400の色とが混色された出射光全体の色に対応する。ミー散乱による出射光の割合は出射光全体のおおよそ半分のため、点411〜413の色は、それぞれ、点401〜点403と点400との中間となる。
【0032】
なお、光源10として、
図4(c)に示すような、465nm,545nm,625nmのそれぞれにピーク421〜423を持つ光を加法混色した白色光源を用いた。しかし、光源10として、可視光領域に連続スペクトルをもつ白色光源あるいは青色と黄色の光を混色した白色光源などを用いてもよい。その場合、ミー散乱は光源に含まれる各波長の散乱効率に依るため、光源のスペクトルが異なれば各屈折率差Δnにおける色度図の座標、すなわち出射光の色が異なることは言うまでもない。
【0033】
反射板24は、平行平板状に形成され、例えば、透明基板23側の表面である反射面にアルミニウムなどの金属の薄膜あるいは多層膜を有する。そして反射板24は、透明基板23の下面との間に空気層を挟んで、透明基板23の下面と反射板24の反射面が略平行となるように配置される。そして反射板24は、導光体21から液晶層22及び透明基板23を通って下側へ出射してきた光をその反射面で反射し、再度透明基板23及び液晶層22を介して導光体21へ入射させることで、光の利用効率を向上させる。
【0034】
コントローラ12は、例えば、プロセッサと、メモリとを有する。そしてコントローラ12は、光源10に対して所定の電力を供給することにより、光源10を発光させる。
【0035】
またコントローラ12は、図示しない駆動回路を有し、その駆動回路を介して液晶層22に印加する電圧を制御することで、導光体21の屈折率と液晶層22の屈折率との差Δnを調節する。これにより、導光体21から出射する光が調色される。そのために、コントローラ12が有するメモリには、例えば、液晶層22に印加する電圧と導光体21から出射する光の色との関係を表すテーブルが記憶される。そしてコントローラ12が有するプロセッサは、そのプロセッサ上で動作する調色制御用のコンピュータプログラムまたは図示しないユーザインターフェースを介した利用者による出射光の色を指示する信号に従って、そのテーブルを参照することにより、出射光の色が所望の色になるように印加する電圧を決定する。そしてプロセッサは、駆動回路にその電圧を液晶層22に印加させる。
なお、駆動回路から液晶層22に対して印加される駆動電圧は、例えば、パルス高さ変調(PHM)またはパルス幅変調(PWM)された交流電圧であってもよい。
【0036】
以上説明してきたように、本発明の一つの実施形態に係る調色装置は、液晶層に印加する電圧を調節することにより、調色素子の導光体から出射する光の色を変えることができる。また、コントローラが液晶層に印加する電圧を時間的に変化させることで、出射光の色も時間的に変化させることができる。さらにこの調色装置では、光源からの光は導光体の側面から入射するのに対して、導光体の上面から散乱光を出射させるので、利用者は、入射光を直接見ずに散乱光のみを観察できるので、出射する散乱光の色の変化をより明りょうに知覚できる。
【0037】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されない。例えば、導光体の散乱面に形成される微細構造は、それぞれ半球状の窪みでなく、円筒状、あるいは円錐状であってもよく、あるいは、その窪みの断面形状が楕円状、あるいは多角形状となっていてもよい。また、微細構造は、1次元状の構造であってもよい。
【0038】
図5(a)は、調色素子11の他の一例の概略斜視図であり、
図5(b)は、調色素子11の他の一例の概略側面断面図である。この例では、導光体21の散乱面に形成される微細構造21cは、光源10からの光の入射面21aに対して略平行な複数の三角
波状の格子として形成される。この場合、入射面21aと直交する方向に沿った格子の各溝の幅が、光源10からの光がその溝でミー散乱されるように、光源10からの光の波長のオーダーに設定される。なお、各溝の形状は三角
波状に限られず、矩形波状であってもよく、あるいは、正弦波状であってもよい。この例では、液晶層22内の液晶分子は、例えば、格子方向と垂直な方向に沿って配向されることが好ましい。格子状の散乱体の場合において、格子方向と平行な偏光成分にとっては、散乱体粒径が波長のオーダーとはいえないためミー散乱が生じない。従って、格子方向と垂直な偏光成分の変調を主体的に考えるのがよいためである。
【0039】
なお、変形例によれば、液晶層22の屈折率よりも、導光体21の屈折率の方が高くてもよい。また、液晶層22に印加される電圧の変動範囲内で、光源10から発する光の波長範囲内の何れかの波長について、液晶層22の屈折率と導光体21の屈折率の差Δnが0となるように、導光体21及び液晶分子の材質が選択されてもよい。この場合、液晶層22に印加される電圧を調節することによって特定の波長の光が散乱されなくなると、出射光の色はその特定の波長の色の補色に近い色となる。
【0040】
また、他の変形例によれば、導光体21の散乱面21bの微細構造21cは、液晶層22側へ向けた突起状の構造であってもよい。
【0041】
さらに他の変形例によれば、透明電極25、26の少なくとも一方は、複数の部分電極に分割され、部分電極ごとに独立して印加する電圧が制御されるようになっていてもよい。
【0042】
図6は、変形例による、複数の部分電極を有する透明電極25の平面図である。透明電極25は、8の字型に配置された、7個の長方形上の部分電極251〜257と、部分電極251〜257の内部に配置された部分電極258、259と、部分電極251〜257を囲むように配置された部分電極260を有する。各部分電極は、互いに絶縁され、独立してコントローラ12と接続される。なお、
図6では、簡略化のために、各部分電極とコントローラ12とを接続する導線は省略されている。
コントローラ12が部分電極ごとに電圧を調整することで、調色装置は、その部分電極のパターンに応じて出射光の色を空間的に変えることができる。例えば、出射光に、部分電極251〜257の配置パターンに相当する8の字状のパターンを浮かび上がらせることができる。
【0043】
さらに他の変形例によれば、導光体21の出射面に接して液晶層が設けられるとともに、導光体と液晶層の境界面に、光をミー散乱させる微細構造が形成されてもよい。この変形例でも、上記の実施形態と同様に、液晶層に印加する電圧を変えることによって、導光体から液晶層を通って出射する光の色が調節される。
なお、この変形例でも、光の利用効率を高めるために、液晶層と導光体を挟んで対向する側の面に反射板が配置されることが好ましい。
【0044】
次に、第2の実施形態による調色装置について説明する。第2の実施形態による調色装置は、第1の実施形態による調色装置と比較して、導光体と別個に液晶層が設けられる代わりに、導光体がPDLC(Polymer Dispersed Liquid Crystal)によって形成される点で異なる。第2の実施形態による調色装置の他の構成要素については、第1の実施形態による調色装置の対応する構成要素の説明を参照されたい。
【0045】
図7は、第2の実施形態による調色装置が有する調色素子の概略側面断面図である。第2の実施形態による調色素子13は、平行平板状に形成された二つの透明基板31、32と、その透明基板31と透明基板32の間に設けられた導光体33とを有する。また調色素子13は、透明基板31と導光体33の間に配置された透明電極34と、導光体33と透明基板32の間に配置された透明電極35とを有する。さらに、透明基板32の導光体33と反対側の面には、空気層を挟んで、透明基板32と平行平板状に形成された反射板36が配置される。
【0046】
透明基板31、32は、例えば、ガラスまたは樹脂など、光源が発する光に対して透明な材料により形成される。また透明電極34、35は、例えば、ITOにより形成される。なお、透明電極34、35は、それぞれ、導光体33全体を覆うように形成される。
さらに、各基板及び導光体の外周のうち、光源からの光が入射する一端を除いて、各基板及び導光体を保持するための鏡枠(図示せず)が配置されてもよい。
【0047】
導光体33は、例えば、光源からの光に対して透明な樹脂と、樹脂と相分離した液晶滴33aにより形成され、例えば、数μm〜数十μmの厚さを持つ。液晶滴33a中にはある一定の方向に配向している液晶分子37が含まれる。また、液晶滴33a中の液晶の配向方向は、液晶滴33aごとに異なっている。液晶滴33aは、屈折率可変体の一例である。各液晶滴33aの半径は、その液晶滴33aによって導光体33に入射した光がミー散乱するように、その入射光の波長のオーダーに設定される。したがって、導光体33の側面に設けられ、光源10と対向する入射面33bから入射した光は、液晶滴33aによりミー散乱されて、透明基板31を通って出射する。一方、導光体33の下側の面から出た光は、反射板36により反射されるか、透明基板32と空気層の境界により全反射されて再度導光体33に入射した後、導光体33の上側の面から透明基板31を通って出射する。
【0048】
前述したように、電圧無印加の状態では、液晶滴33aごとに液晶の配向方向が異なっている。そしてコントローラにより、透明電極34と透明電極35の間に電圧が印加されるとその印加された電圧に応じて、全ての液晶滴33a内の液晶分子の長軸方向が透明基板31と透明基板32に対してある一方向を向くように、液晶分子37が傾く。そのため、透明電極34と透明電極35の間に印加される電圧に応じて、全ての液晶滴33aの屈折率が変化し、樹脂と液晶滴33aの間で屈折率差が生じ入射した光の散乱性を制御することができる。
液晶滴33aの屈折率が変化すると、液晶滴33aの屈折率と樹脂の屈折率との差Δnも変化する。そのため、第1の実施形態による調色素子と同様に、コントローラが導光体33に印加する電圧を変えることで、導光体33から出射する光の色も変化する。
【0049】
この実施形態によれば、導光体と別個に液晶層を設ける必要が無いので、調色素子を薄くすることができる。
【0050】
なお、上記の実施形態または変形例において、屈折率可変層及び屈折率可変体は、液晶に限られず、電気光学素子といった、印加される電圧によって屈折率が変化する他の素子によって形成されてもよい。
【0051】
また、上記の各実施形態または変形例において、導光体の形状は板状に限られず、例えば、棒状であってもよい。あるいは、導光体は、光源が入射する側が厚く、光源から離れるにつれて薄くなるように形成されてもよい。
また、上記の各実施形態または変形例において、反射板と透明基板の間の空気層をなくして調色素子を薄型化するために、透明基板と反射板とを密着させてもよい。
また、導光体の入射面は、導光体の側面に限られず、導光体の出射側の面と反対側の面が入射面となっていてもよい。さらに調色素子に入射する光は、太陽光などの自然光であってもよい。
【0052】
以上のように、当業者は、本発明の範囲内で、実施される形態に合わせて様々な変更を行うことができる。