特許第6045462号(P6045462)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6045462
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】鉄道車両用制御装置
(51)【国際特許分類】
   B61C 17/12 20060101AFI20161206BHJP
   F16B 39/10 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   B61C17/12 A
   F16B39/10 A
【請求項の数】5
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-181156(P2013-181156)
(22)【出願日】2013年9月2日
(65)【公開番号】特開2015-47970(P2015-47970A)
(43)【公開日】2015年3月16日
【審査請求日】2015年7月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100131152
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100137383
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 直樹
(72)【発明者】
【氏名】王 守人
(72)【発明者】
【氏名】宮本 直哉
【審査官】 畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−123685(JP,A)
【文献】 実開昭57−033313(JP,U)
【文献】 実開昭51−042366(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61C 17/12
F16B 39/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道車両に取り付けられる中空の箱体と、
前記箱体内に固定される制御ユニットと、
正六角柱状の頭部を有し、雌ネジ部と結合することによって前記制御ユニットを前記箱体に固定する固定ボルトと、
前記頭部に嵌る形状の切り欠き部が設けられる平板状の係止部、前記係止部に接続しており、3個の第1ロック孔部および3個の第2ロック孔部が設けられる平板状のロック部とを有し、前記頭部が前記切り欠き部に嵌められた緩み止め具と、
前記第1ロック孔部のいずれか1つに挿設されて雌ネジ部と結合することによって前記緩み止め具を前記箱体に固定する第1ロックボルトと、
前記第2ロック孔部のいずれか1つに挿設されて雌ネジ部と結合することによって前記緩み止め具を前記箱体に固定する第2ロックボルトとを備え
前記切り欠き部は、嵌められる前記固定ボルトの軸方向から見て、60/n(n:自然数)度の回転角で回転させたn個の正六角形の輪郭の全体又は当該輪郭のうち、各正六角形の少なくとも1つの角を含む部分と同じ形状であり、
前記切り欠き部は、前記頭部が20/n度回転することを許容する大きさのすき間を空けて嵌り、
前記第1ロック孔部の各々の中心は、前記軸方向から見て、前記切り欠き部の中心を中心とする円上に等間隔で位置し、
前記切り欠き部の中心から前記第1ロック孔部の各々の中心へ延びる直線のなす角は、20/n度であり、
前記第2ロック孔部の各々の中心は、前記軸方向から見て、前記切り欠き部の中心を中心とする円上、かつ、前記切り欠き部の中心から前記第1ロック孔部の各々の中心へ延びる各直線上に位置し、
前記第1ロック孔部の中心が位置する同心円と、前記第2ロック孔部の中心が位置する同心円とは異なる半径である、
鉄道車両用制御装置。
【請求項2】
前記切り欠き部は、前記頭部の側面が有する角の少なくとも1つに嵌る形状である請求項1に記載の鉄道車両用制御装置。
【請求項3】
前記頭部と前記箱体との間に設けられた座金をさらに備え、
前記ロック部は、前記第1ロック孔部および前記第2ロック孔部が設けられる平板状の平板部と、当該平板部と前記係止部とに接続し、前記座金の厚さに応じた段差を形成する段差部と、を有する
請求項1または2に記載の鉄道車両用制御装置。
【請求項4】
前記固定ボルトと螺合する雌ネジ部は、ナット、前記制御ユニットの部分又は前記箱体の部分である請求項1からのいずれか1項に記載の鉄道車両用制御装置。
【請求項5】
前記第1ロックボルトと螺合する雌ネジ部は、ナット、前記制御ユニットの部分又は前記箱体の部分である請求項1からのいずれか1項に記載の鉄道車両用制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両用制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両用制御装置は、鉄道車両の床下などに取り付けられる装置であって、箱体、制御ユニットなどから構成される。制御ユニットは、電力変換装置、遮断器、変圧器、リアクトルなどから構成され、箱体内に固定されている。制御ユニットは、重量が100〜500kg程度、大きいものでは長さ、幅、高さがそれぞれ2m、1m、1m程度である。
【0003】
制御ユニットの固定には、ボルト・雌ネジ部の結合が採用されることが多い。例えば、制御ユニットには、ボルトを挿設するための孔が予め設けられる。箱体には、設計上定められた位置に配置された制御ユニットの孔と連通するように対応付けられた孔が予め設けられる。そして、制御ユニットを箱体にそれぞれの対応する孔が連通するように配置し、連通した孔にボルトを挿設する。このボルトに雌ネジ部としてのナットを螺合させ、予め定められた締め付け力で締め付けることによって、制御ユニットは箱体に固定される。ここで、制御ユニット又は箱体の孔を規定する壁面部が雌ネジ部として、ボルトと螺合する溝を有してもよい。
【0004】
このようなボルト・雌ネジ部の結合では、一般的に、振動などのために締め付けが次第に緩むことがある。上述のように制御ユニットは重くて大きいため、万が一、ボルト・雌ネジ部の結合が解かれて、制御ユニットが鉄道車両の走行路やその周辺に落下すると、大事故に繋がる危険がある。締め付けの緩みはメンテナンス時に確認されるが、緩みを未然に防止することが望ましい。
【0005】
例えば特許文献1では、ボルトとナットの締め付けが緩むことを防止する緩み止め座金が提案されている。従来の緩み止め座金は、螺軸挿入口を設けたプレートの周縁に、このプレートの一面側に屈曲し、被締結物に係合することでプレートを回り止め状にする係止片と、被締結物を締め付けたボルトの頭部もしくはナットの外面に重なるように折り曲げる可曲片とを備える。このプレートには、折り曲げ可能な厚さの金属板が用いられる。
【0006】
鉄道車両用制御装置の制御ユニットを箱体に固定するボルトの緩みを防止する緩み止め具として従来の緩み止め座金を採用した場合、緩み止め座金の可曲片は、ボルトの頭部に重なるように折り曲げられると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−225817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
制御ユニットは、メンテナンス時など必要に応じて、箱体から取り外され、その後、箱体に再び固定されることがある。上述のように制御ユニットを箱体に固定するボルトの緩み止めに従来の緩み止め座金を採用した場合、制御ユニットを箱体から取り外すには、通常、折り曲げられた可曲片が延ばされる。そして、制御ユニットを箱体に再び固定する際、従来の緩み止め座金を再利用するならば、可曲片を再び折り曲げることになる。従来の緩み止め座金は金属製であるため、通常、折り曲げられた可曲片の付け根部分は塑性変形をする。そのため、可曲片の曲げ延ばしを繰り返すと、その付け根部分が脆弱になる可能性がある。
【0009】
制御ユニットは、上述のように重くて大きく、その上、鉄道車両の走行に伴って振動することがある。このような環境下で従来の緩み止め座金を再利用した場合、脆弱になった可曲片の付け根部分が破損し、緩み止めとしての機能が十分に発揮されないおそれがある。
【0010】
そのため、従来の緩み止め座金の場合、制御ユニットを箱体から取り外した後に箱体に再び固定する際、取り外し時に使用していた緩み止め座金を再利用するのではなく、未使用のものに交換することが望ましい。しかし、これでは、制御ユニットを箱体から取り外す度に、緩み止め座金の交換に伴う費用が掛かる。また、未使用の緩み止め座金を常備しておく手間と費用も掛かる。
【0011】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたもので、再利用可能な緩み止め具を備えた鉄道車両用制御装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明に係る鉄道車両用制御装置は、鉄道車両に取り付けられる中空の箱体と、箱体内に固定される制御ユニットと、固定ボルトと、緩み止め具と、第1ロックボルトと、第2ロックボルトとを備える。
固定ボルトは、正六角柱状の頭部を有し、雌ネジ部と結合することによって制御ユニットを箱体に固定する。
緩み止め具は、固定ボルトの頭部に嵌る形状の切り欠き部が設けられる平板状の係止部、係止部に接続しており、3個の第1ロック孔部および3個の第2ロック孔部が設けられる平板状のロック部とを有し、固定ボルトの頭部が切り欠き部に嵌められている。
第1ロックボルトは、第1ロック孔部のいずれか1つに挿設されて雌ネジ部と結合することによって緩み止め具を箱体に固定する。
第2ロックボルトは、第2ロック孔部のいずれか1つに挿設されて雌ネジ部と結合することによって緩み止め具を箱体に固定する。
切り欠き部は、嵌められる固定ボルトの軸方向から見て、60/n(n:自然数)度の回転角で回転させたn個の正六角形の輪郭の全体又は当該輪郭のうち、各正六角形の少なくとも1つの角を含む部分と同じ形状である。
切り欠き部は、固定ボルトの頭部が20/n度回転することを許容する大きさのすき間を空けて嵌る。
第1ロック孔部の各々の中心は、固定ボルトの軸方向から見て、切り欠き部の中心を中心とする円上に等間隔で位置する。
切り欠き部の中心から第1ロック孔部の各々の中心へ延びる直線のなす角は、20/n度である。
第2ロック孔部の各々の中心は、固定ボルトの軸方向から見て、切り欠き部の中心を中心とする円上、かつ、切り欠き部の中心から第1ロック孔部の各々の中心へ延びる各直線上に位置する。
第1ロック孔部の中心が位置する同心円と、第2ロック孔部の中心が位置する同心円とは異なる半径である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、緩み止め具は、固定ボルトの頭部が切り欠きに嵌められるとともに、第1ロックボルトによって箱体に固定される。そのため、箱体に対する固定ボルトの頭部の回転が抑制されるので、固定ボルトの締め付けの緩みを防止することができる。
【0014】
また、緩み止め具と固定ボルトの頭部とは、固定ボルトの頭部が切り欠き部に嵌ることで関連付けられている。そのため、第1ロックボルトを緩めて第1ロック孔部から抜き去れば、緩み止め具を変形させなくても、緩み止め具を鉄道車両用制御装置から取り外すことができる。そして、固定ボルトの締め付けの緩みを防止するために、緩み止め具を変形させなくてよい。そのため、取り外した緩み止め具を再利用することができる。
【0015】
従って、再利用可能な緩み止め具を備えた鉄道車両用制御装置の提供が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施の形態に係る鉄道車両用制御装置の内部の正面図である。
図2】一実施の形態に係る鉄道車両用制御装置のI−I線における断面図である。
図3】一実施の形態に係る鉄道車両用制御装置の平面図である。
図4】一実施の形態に係る緩み止め具の平面図である。
図5図2の楕円で囲った部分の分解図である。
図6】固定ボルトの頭部の向きが0度である場合に、その頭部に嵌められた緩み止め具の向きを示す図である。
図7】固定ボルトの頭部の向きが+5度である場合に、その頭部に嵌められた緩み止め具の向きを示す図である。
図8】固定ボルトの頭部の向きが+10度である場合に、その頭部に嵌められた緩み止め具の向きを示す図である。
図9】固定ボルトの頭部の向きが+15度である場合に、その頭部に嵌められた緩み止め具の向きを示す図である。
図10】固定ボルトの頭部の向きが+20度である場合に、その頭部に嵌められた緩み止め具の向きを示す図である。
図11】固定ボルトの頭部の向きが+25度である場合に、その頭部に嵌められた緩み止め具の向きを示す図である。
図12】固定ボルトの頭部の向きが−5度である場合に、その頭部に嵌められた緩み止め具の向きを示す図である。
図13】固定ボルトの頭部の向きが−10度である場合に、その頭部に嵌められた緩み止め具の向きを示す図である。
図14】固定ボルトの頭部の向きが−15度である場合に、その頭部に嵌められた緩み止め具の向きを示す図である。
図15】固定ボルトの頭部の向きが−20度である場合に、その頭部に嵌められた緩み止め具の向きを示す図である。
図16】固定ボルトの頭部の向きが−25度である場合に、その頭部に嵌められた緩み止め具の向きを示す図である。
図17】固定ボルトの頭部の向きが−30度である場合に、その頭部に嵌められた緩み止め具の向きを示す図である。
図18】本発明の変形例1に係る緩み止め具の平面図である。
図19】本発明の変形例2に係る緩み止め具の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。全図を通じて同一の要素には同一の符号を付す。以下の説明及び図面で用いる上、下、左、右、前、後などの方向を表す用語は、説明のために用いるものであって、本発明を限定する趣旨ではない。
【0018】
本発明の一実施の形態に係る鉄道車両用制御装置は、鉄道車両に供給する電力を制御するための箱状の装置であって、鉄道車両の床下などに固定される。鉄道車両用制御装置100は、正面図である図1、I−I線における側方断面図である図2、平面図である図3などに示すように、鉄道車両に取り付けられる中空の箱体101と、箱体101内に固定される制御ユニット102と、制御ユニット102を箱体101に固定する固定ボルト103及び固定ナット104と、座金105,106とを備える。鉄道車両用制御装置100は、さらに、固定ボルト103及び固定ナット104の結合の緩みを防ぐ緩み止め具107と、緩み止め具107を箱体101に固定する第1ロックボルト108、第1ロックナット109、第2ロックボルト110及び第2ロックナット111とを備える。
【0019】
詳細には、箱体101は、図1〜3に示すように、内部空間を囲む上部112、底部113、左側部114、右側部115、前部116及び後部117と、鉄道車両に固定される4つの取付部118とを有する。なお、図1では、内部の構造を分かり易くするため、前部116を取り外して前方を開放させた箱体101を示す。
【0020】
上部112、底部113、左側部114、右側部115、前部116及び後部117の各々は、例えば平板状の部材である。各部112〜117は、内部に収容された制御ユニット102などの内部に収容されるものを外部からの飛来物などから保護するように内部空間を囲んで互いに固定されている。
【0021】
各部112〜117の固定には、ボルト・ナットの結合、溶接などが適宜採用されてよい。ただし、左側部114、右側部115、前部116及び後部117の少なくとも1つは、ボルト・ナットの結合のように溶接よりも箱体101に容易に着脱できる方法で固定されることが望ましい。これにより、箱体101の内部に収容される制御ユニット102のメンテナンスなどを容易にすることができる。
【0022】
上部112は、制御ユニット102を固定するための4つの箱体側固定孔部119と、緩み止め具107を固定するための4組の箱体側第1ロック孔部120及び箱体側第2ロック孔部121とを有する(図5参照)。箱体側固定孔部119、箱体側第1ロック孔部120及び箱体側第2ロック孔部121の各々は、上下方向に貫通する孔である。
【0023】
箱体側固定孔部119の各々の位置は、制御ユニット102に応じて定められる。箱体側固定孔部119の1つの中心と、1組の箱体側第1ロック孔部120及び箱体側第2ロック孔部121の中心とは、上方から見て一直線上に並ぶように対応付けられている。1組の箱体側第1ロック孔部120及び箱体側第2ロック孔部121の各々の中心と、それらに対応する箱体側固定孔部119の中心との距離は、緩み止め具107に応じて定められる。
【0024】
本実施の形態では、上方から見て、箱体側第1ロック孔部120及び箱体側第2ロック孔部121の各組の中心は、対応する箱体側固定孔部119の中心の前方へ順に並んで設けられている。上方から見て、箱体側固定孔部119の各々とそれに対応する箱体側第1ロック孔部120の各々との中心間の距離は第1の距離であり、箱体側固定孔部119の各々とそれに対応する箱体側第2ロック孔部121の各々との中心間の距離は第2の距離である。
【0025】
取付部118は、例えば図1及び3に示すように、平板状の部材であって、上部112の上面の四隅近傍に溶接などで固定されている。上部112の左側に固定される取付部118は左側部114よりも左方へ、上部112の右側に固定される取付部118は右側部115よりも右方へ延びる部分を含み、その部分の各々に上下方向に貫通する、鉄道車両取付用孔部122が設けられている。
【0026】
鉄道車両取付用孔部122は、鉄道車両用制御装置100を鉄道車両に固定する際、鉄道車両の予め定められた箇所に設けられた孔と連通するように配置される。鉄道車両取付用孔部122とそれに連通した鉄道車両の孔にはボルトが挿設され、そのボルトとナットとが螺合することで結合する。これによって、鉄道車両用制御装置100は鉄道車両の床下に固定される。
【0027】
なお、取付部118は、補強のため左側部114又は右側部115に固定されるリブなどを含んでもよい。また、鉄道車両取付用孔部122は、例えば上部112に設けられてもよく、この場合取付部118は設けられなくてよい。
【0028】
制御ユニット102は、例えば図1に示すように、電車に供給される電力を制御する部品を含んで構成される部品部123と、箱体101に固定するための固定部124とを有する。ここでの部品の例として、例えば電力変換装置、遮断器、変圧器、リアクトルなどを挙げることができる。制御ユニットは、重量が100〜500kg程度、大きいものでは長さ、幅、高さがそれぞれ2m、1m、1m程度である。
【0029】
本実施の形態の部品部123は、図1〜3に示すように、概ね直方体状に構成される。固定部124は、部品部123の左右それぞれの側面の上部から左方又は右方へ延びる平板状の部材であり、例えばボルトとナットの結合、溶接などで部品部123に固定される。固定部124の各々には、前後それぞれの端部近傍に、上下方向に貫通する制御ユニット側固定孔部125が設けられている(図5参照)。
【0030】
固定ボルト103及び固定ナット104は、設計上定められた締め付け力で結合することによって、制御ユニット102を箱体101に固定する。
【0031】
より詳細には、固定ボルト103は、一般的に用いられる六角ボルトであって、例えば図1〜3に示すように、正六角柱状の頭部126と、頭部126に基端が同軸で固定され外周面にネジ溝が設けられた円柱状の雄ネジ部127とを有する。
【0032】
固定ボルト103は、例えば図2に示すように、頭部126を上にして、その軸を上下方向に向けて設けられる。雄ネジ部127は、上から下へ順に連通する2枚の座金105,106の孔、箱体側固定孔部119及び制御ユニット側固定孔部125に挿設される。雄ネジ部127に雌ネジ部としての固定ナット104が螺合することで、固定ボルト103及び固定ナット104は結合する。これにより、頭部126と固定ナット104とが、座金105,106、箱体101の上部112及び制御ユニット102の固定部124を挟持することになる。そして、固定ボルト103を締め付け力で締め付けることによって、制御ユニット102は箱体101に固定される。
【0033】
緩み止め具107は、図4に拡大した平面図を示すように、固定ボルト103の頭部126に嵌る係止部128と、箱体101に固定するためのロック部129とを有する。本実施の形態に係る緩み止め具107は、1つの平板状の部材を図2に示すように屈曲して形成される。
【0034】
緩み止め具107の材料は、例えば金属であって、固定ボルト103と同じ材料であることが望ましい。また、緩み止め具107の板厚は、固定ボルト103の頭部の高さ(上下方向の長さ)の1/3程度が望ましい。これにより、鉄道車両の走行に伴う振動などのために、固定ボルト103の頭部126と係止部128とが擦れ合ったとしても、頭部126及び係止部128のいずれかが摩耗又は破損することを抑制することができる。なお、緩み止め具107は、本実施の形態のように1つの部材から形成されるだけでなく、固着する複数の部材から形成されてもよい。
【0035】
係止部128は、図4に示すように、上方から見て固定ボルト103の頭部126に嵌る形状の切り欠き部130を有する矩形平板状の部分である。
【0036】
切り欠き部130は、上方から見て、凹凸のある環状をなしており、60/n(n:自然数)度の回転角で回転させたn個の正六角形の輪郭の全体と同じ形状を有する。本実施の形態の切り欠き部130は、n=2、すなわち、30度の回転角で回転させた2個の正六角形の全体の輪郭と同じ形状を有する。
【0037】
ここで回転させる正六角形は、上方から見た固定ボルト103の頭部126の外形がなす正六角形よりも大きい。すなわち、切り欠き部130と固定ボルト103の頭部126とは緩み嵌め(すきま嵌め)の関係にあり、切り欠き部130は、上方から見て、固定ボルト103の頭部126が20/n度回転することを許容する大きさのすき間を有する。
【0038】
本実施の形態では、切り欠き部130は、上方から見て、固定ボルト103の頭部126が10度(±5度)回転することを許容する大きさのすき間を有する。なお、説明のため、上方から見て左回りを正方向の回転、右回りを負方向の回転とする。
【0039】
このような切り欠き部130の凸部(上方から見て切り欠きの中心へ向かって突き出す部分)131は12個形成される。各凸部131は、形状及び大きさが同じであり、上方から見て、なす角120度で頂点132から延びる等しい長さの線分133の対で形成される。
【0040】
ロック部129は、係止部128の端部に接続する部分であり、箱体101に固定される平板部134と、平板部134と係止部128とを接続する段差部135とを有する。
【0041】
平板部134は、箱体101の上面に沿って配置される平板状の部分であって、3組の第1ロック孔部136a〜cと第2ロック孔部137a〜cとを有する。
【0042】
上方から見て、第1ロック孔部136a〜c及び第2ロック孔部137a〜cの各組の中心は、切り欠きの中心(切り欠き中心)138から延びる直線139a〜c上に配置される。上方から見て、直線139aと直線139b,cそれぞれとのなす角の大きさは20/n度である。すなわち、本実施の形態では、上方から見て、直線139cは直線139aと+10度の角度をなし、直線139bは直線139aと−10度の角度をなす。
【0043】
また、上方から見て、第1ロック孔部136a〜cの各々の中心は、切り欠き中心138を中心とする円上に位置し、その円の半径は第1距離である。上方から見て、第2ロック孔部137a〜cの各々の中心は、切り欠き中心138を中心とする円上に位置し、その円の半径は、第1距離より長い第2距離である。
【0044】
段差部135は、上下方向の位置が異なる係止部128と平板部134とを接続する部分であって、上端部が係止部128に接続し、下端部が平板部134に接続する。本実施の形態の段差部135は、上下方向に延びる平板状の部分である。
【0045】
なお、段差部135は、座金105の上面に当接する固定ボルト103の頭部126に係止部128が嵌り、かつ、平板部134が箱体101の上面に当接するように、高さ(上下方向の長さ)が変化すればよい。従って、段差部135は、例えば斜めに傾斜していてもよく、湾曲していてもよい。段差部135の高さは、固定ボルト103の頭部126の高さと座金105,106の厚さとに応じて決定されればよい。
【0046】
第1ロックボルト108及び第1ロックナット109と、第2ロックボルト110及び第2ロックナット111とは、設計上定められた締め付け力で結合することによって、緩み止め具107を箱体101に固定する。
【0047】
より詳細には、第1ロックボルト108と第2ロックボルト110は、いずれも一般的に用いられるボルトであって、例えば六角ボルトである。
【0048】
第1ロックボルト108と第2ロックボルト110は、それぞれ、頭部を上にして、その軸を上下方向に向けて設けられる。第1ロックボルト108の雄ネジ部は、上から下へ連通する第1ロック孔部136a〜cのいずれかと箱体側第1ロック孔部120とに挿設され、第2ロックボルト110の雄ネジ部は、上から下へ連通する第2ロック孔部137a〜cのいずれかと箱体側第2ロック孔部121とに挿設される。
【0049】
第1ロックボルト108の雄ネジ部、第2ロックボルト110の雄ネジ部のそれぞれに、雌ネジ部としての第1ロックナット109、第2ロックナット111が螺合する。これにより、第1ロックボルト108と第1ロックナット109が結合し、第2ロックボルト110と第2ロックナット111が結合する。その結果、緩み止め具107は、2箇所で箱体101に固定される。
【0050】
これまで、本発明の一実施の形態に係る鉄道車両用制御装置100の構成を説明した。ここから、鉄道車両用制御装置100の組み立て方法を説明する。
【0051】
図5は、図2の楕円140で囲った部分(制御ユニット102が箱体101に固定される部分)の分解図である。
【0052】
同図に示すように、固定部124に設けられた4つの制御ユニット側固定孔部125の各々が、設計上対応付けられた箱体側固定孔部119の下方にて連通するように、制御ユニット102が箱体101の下方に配置される。4つの固定ボルト103の各々が、制御ユニット側固定孔部125及び箱体側固定孔部119に挿入され、固定ナット104に結合する。これによって、制御ユニット102が4箇所で箱体101に固定される。
【0053】
より詳細には、雄ネジ部127の各々は、例えば上方から、座金105,106孔に挿入された後、制御ユニット側固定孔部125及び箱体側固定孔部119に挿入される。固定部124から下方へ突き出した雄ネジ部127の各々に固定ナット104を螺合させた後、固定ナット104を工具などで固定した状態で固定ボルト103の頭部126が所定の締め付け力で締め付けられる。
【0054】
緩み止め具107の切り欠き部130が固定ボルト103の頭部126に嵌められる。このとき、第1ロック孔部136a〜cと第2ロック孔部137a〜cのいずれか1組が箱体側第1ロック孔部120及び箱体側第2ロック孔部121に連通するように緩み止め具107は、固定ボルト103の頭部126に嵌められる。
【0055】
ここで、固定ボルト103の頭部126に嵌める際の緩み止め具107の方向の決め方について、図6〜17を参照して説明する。
【0056】
本実施の形態では、図6に示すように、上方から見て、固定ボルト103の頭部126の向きは、箱体側固定孔部119(固定ボルト103の頭部126)の中心から基準線141aに最も近い、固定ボルト103の頭部126の角へ向かう直線と基準線141aとのなす角によって規定されることとする。基準線141aは、上方から見て、箱体側固定孔部119の中心から前方へ向かう方向に延びる直線である。また、緩み止め具107の向きは、切り欠き部130の中心から第1ロック孔部136a及び第2ロック孔部137aへ延びる直線(139a)と基準線141aとのなす角によって規定されることとする。
【0057】
頭部126の向きが0〜+5度である場合、緩み止め具107は0度で頭部126に嵌められる。これにより、箱体側第1ロック孔部120及び箱体側第2ロック孔部121のそれぞれには、第1ロック孔部136a及び第2ロック孔部137aが連通する。頭部126の向きが0度である場合の例を図6に、頭部126の向きが5度である場合の例を図7に示す。
【0058】
頭部126の向きが+5〜+15度である場合、緩み止め具107は+10度で頭部126に嵌められる。これにより、箱体側第1ロック孔部120及び箱体側第2ロック孔部121のそれぞれには、第1ロック孔部136b及び第2ロック孔部137bが連通する。頭部126の向きが+10度である場合の例を図8に、頭部126の向きが+15度である場合の例を図9に示す。
【0059】
頭部126の向きが+15〜+25度である場合、緩み止め具107は−10度で頭部126に嵌められとよい。これにより、箱体側第1ロック孔部120及び箱体側第2ロック孔部121のそれぞれには、第1ロック孔部136c及び第2ロック孔部137cが連通する。頭部126の向きが+20度である場合の例を図10に、頭部126の向きが+25度である場合の例を図11に示す。
【0060】
頭部126の向きが0〜−5度である場合、緩み止め具107は0度で頭部126に嵌められる。これにより、箱体側第1ロック孔部120及び箱体側第2ロック孔部121のそれぞれには、第1ロック孔部136a及び第2ロック孔部137aが連通する。頭部126の向きが−5度である場合の例を図12に示す。
【0061】
頭部126の向きが−5〜−15度である場合、緩み止め具107は−10度で頭部126に嵌められる。これにより、箱体側第1ロック孔部120及び箱体側第2ロック孔部121のそれぞれには、第1ロック孔部136c及び第2ロック孔部137cが連通する。頭部126の向きが−10度である場合の例を図13に、頭部126の向きが−15度である場合の例を図14に示す。
【0062】
頭部126の向きが−15〜−25度である場合、緩み止め具107は+10度で頭部126に嵌められる。これにより、箱体側第1ロック孔部120及び箱体側第2ロック孔部121のそれぞれには、第1ロック孔部136b及び第2ロック孔部137bが連通する。頭部126の向きが−20度である場合の例を図15に、頭部126の向きが−25度である場合の例を図16に示す。
【0063】
頭部126の向きが−25〜−30度、又は+25〜+30度である場合、緩み止め具107は0度で頭部126に嵌められる。これにより、箱体側第1ロック孔部120及び箱体側第2ロック孔部121のそれぞれには、第1ロック孔部136a及び第2ロック孔部137aが連通する。頭部126の向きが−30度である場合の例を図17に示す。
【0064】
本実施の形態に係る緩み止め具107は、上述のように、切り欠き部130が上方から見て、30度の回転角で回転させた2つの正六角形の全体の輪郭と同じ形状をなし、かつ、切り欠き中心138から10度(20/n度)ずつ異なる3方向に位置する第1ロック孔部136及び第2ロック孔部137を有し、かつ、切り欠き部130は、上方から見て、固定ボルト103の頭部126が10度(20/n度)回転することを許容する大きさのすき間を有する。そのため、固定ボルト103の頭部126が上方から見ていずれの方向を向いていても、第1ロック孔部136及び第2ロック孔部137のそれぞれが箱体側第1ロック孔部120及び箱体側第2ロック孔部121と連通するように、緩み止め具107を固定ボルト103の頭部126に嵌めることができる。
【0065】
緩み止め具107が固定ボルト103の頭部126に嵌められると、第1ロックボルト108が、図5に示すように、第1ロック孔部136a〜cのいずれかとそれに連通する箱体側第1ロック孔部120に例えば上方から挿入される。
【0066】
箱体101の上部112から下方へ突き出した第1ロックボルト108の雄ネジ部に第1ロックナット109を螺合させた後、第1ロックナット109を工具などで固定した状態で第1ロックボルト108の頭部が所定の締め付け力で締め付けられる。
【0067】
第2ロック孔部137a〜cのいずれかとそれに連通する箱体側第2ロック孔部121とについても、同様に、第2ロックボルト110が挿入され、第2ロックナット111を螺合させた後に所定の締め付け力で締め付けられる。
【0068】
これによって、緩み止め具107は、2箇所で箱体101に固定される。
【0069】
このように、緩み止め具107を固定ボルト103の頭部126にはめ込み箱体101に固定することによって、固定ボルト103の緩みが防止される。これを4つの固定ボルト103の各々について同様に行なわれる。
【0070】
本実施の形態によれば、切り欠き部130は、30度(60/n)の回転角で回転させた2(n)個の正六角形の輪郭の全体と同じ形状を有する。そのため、切り欠き部130の凸部131を、頭部126の周辺であって、固定ボルト103を緩める方向へ回転する場合に頭部126の側面が通過する領域に配置することができる。ロック部129が箱体101に固定されると、固定ボルト103の頭部126の回転は凸部131によって係止される。従って、緩み止め具107によって、固定ボルト103の締め付けの緩みを防止することができる。
【0071】
本実施の形態によれば、緩み止め具107と固定ボルト103の頭部126とは、その頭部126が切り欠き部130に嵌ることで関連付けられている。そのため、上述の鉄道車両用制御装置100の組み立て方法と逆の手順で、第1ロックボルト108と第2ロックボルト110を緩めて第1ロック孔部136と第2ロック孔部137から抜き去れば、緩み止め具を変形させなくても、緩み止め具107を鉄道車両用制御装置100から取り外すことができる。
【0072】
しかも、それまで使用していた緩み止め具は着脱の前後で塑性変形など変形をしていない。そのため、制御ユニット102を箱体101に再び固定する場合、上述の鉄道車両用制御装置100の組み立て方法と同じ手順で固定ボルト103を締め付けた後、緩み止め具107を再利用して固定ボルト103の頭部126に嵌めることができる。そして、第1ロックボルト108と第2ロックボルト110を締め付けることで、緩み止め具107を再び箱体101に固定することができる。すなわち、緩み止め具107を再利用できる。
【0073】
従って、再利用可能な緩み止め具107を備えた鉄道車両用制御装置の提供が可能になる。
【0074】
実施の形態に係る緩み止め具107は、段差部135を備える。これにより、固定ボルト103と箱体101との間に座金105,106が設けられる場合であっても、固定ボルト103と固定ナット104との結合の緩みを防止することが可能になる。
【0075】
以上、本発明の一実施の形態について説明したが、本発明はこの実施の形態に限られず、種々の変更が加えられてよい。
【0076】
例えば、実施の形態では、固定ナット104が固定ボルト103と螺合する雌ネジ部として備えられる例により説明したが、この雌ネジ部は、制御ユニット102の一部(部分)である制御ユニット側固定孔部125であってもよい。すなわち、この場合、制御ユニット側固定孔部125の壁面に螺旋状の溝が設けられる。
【0077】
例えば、実施の形態では、第1ロックナット109(第2ロックナット111)が第1ロックボルト108(第2ロックボルト110)と螺合する雌ネジ部として備えられる例により説明したが、この雌ネジ部は、箱体101の一部(部分)である箱体側第1ロック孔部120(箱体側第2ロック孔部121)であってもよい。すなわち、この場合、箱体側第1ロック孔部120(箱体側第2ロック孔部121)の壁面に螺旋状の溝が設けられる。
【0078】
例えば、実施の形態では、制御ユニット102が上部112に固定される例により説明したが、箱体101は、制御ユニット102を固定するための部材(ユニット固定用部材)を備えてもよい。この場合、制御ユニット102がユニット固定用部材に固定されるとよい。ユニット固定用部材は、例えば箱体101の内部で位置を固定して設けられる水平な平板である。ユニット固定用部材には、制御ユニット102の固定部124が下方に固定されてもよく、制御ユニット102の固定部124が載置されて上方に固定されてもよい。固定部124が上方に固定される場合には、固定ナット104に代わる雌ネジ部が箱体101の一部(部分)であるユニット固定用部材に設けられてもよく、第1ロックナット109、第2ロックナット111に代わる雌ネジ部が制御ユニット102の一部(部分)である固定部124に設けられてもよい。
【0079】
雌ネジ部が、固定ナット104、第1ロックナット109、第2ロックナット111に代えて箱体101の部分、又は、制御ユニット102の部分に設けられることで、鉄道車両用制御装置100の部品点数を減らすことが可能になる。
【0080】
例えば、実施の形態では、固定部124は、部品部123に固定される別部材により構成される例により説明したが、制御ユニット側固定孔部125は、部品部123(部品部123の例えば上部)に設けられてもよい。
【0081】
例えば、本実施の形態では、緩み止め具107は、第1ロックボルト108及び第1ロックナット109と、第2ロックボルト110及び第2ロックナット111とによって2箇所で箱体101に固定される例により説明した。しかし、緩み止め具107は、第1ロックボルト108及び第1ロックナット109のみによって、1箇所で箱体101に固定されてもよい。或いは、さらに、第3ロックボルト及び第3ロックナットが設けられて、緩み止め具107は、3箇所以上で箱体101に固定されてもよい。
【0082】
しかし、緩み止め具107を箱体101に1箇所で固定した場合、例えば第1ロックボルト108を締め付ける際に、緩み止め具107がその頭部126とともに回転(とも回り)し、その結果、切り欠き部130と固定ボルト103の頭部126が押し合って損傷するおそれがある。また、緩み止め具107を箱体101に3箇所で固定した場合、箱体101にそれに応じた孔を設ける必要があり、加工の手間が増える。
【0083】
実施の形態のように緩み止め具107を箱体101に2箇所で固定すると、少ない加工であっても、とも回りを防ぐことができ、とも回りによる切り欠き部130と固定ボルト103の頭部126の損傷を防ぐことが可能になる。
【0084】
例えば、実施の形態では、分かり易くするため、1つの制御ユニット102が箱体101に収容される例により説明した。しかし、箱体101には複数の制御ユニット102が収容されてもよい。この場合、各制御ユニット102を固定する固定ボルト103の一部又は全部に実施の形態で説明した緩み止め機構が採用されてもよい。緩み止め機構は、固定ボルト103と固定ナット104の結合の緩みを防止する機構であって、緩み止め具107、第1ロック孔部136、第2ロック孔部137、第1ロックボルト108、第1ロックナット109、第2ロックボルト110、第2ロックナット111などから構成される。
【0085】
例えば、実施の形態では、座金105,106が設けられる例により説明したが、座金105,106が設けられなくてもよい。この場合、ロック部129が段差部135を備えず、緩み止め具107は、係止部128とロック部129とで平板状に構成されるとよい。
【0086】
(変形例1)
実施の形態では、緩み止め具107の切り欠き部130が、30度の回転角で回転させた2つの正六角形の全体の輪郭と同じ形状をなす例により説明した。しかし、切り欠き部の形状は、これに限られず、固定ボルト103の頭部126の側面が有する角の少なくとも1つに嵌る形状であればよい。これにより、切り欠き部を頭部126の周辺であって、固定ボルト103を緩める方向へ回転する場合に頭部126の側面が通過する領域に配置することができる。その結果、固定ボルト103と固定ナット104の結合の緩みを防ぐことが可能になる。
【0087】
変形例1,2では、上方から見て、固定ボルト103の頭部126の側面が有する角の少なくとも1つに嵌る形状を有する切り欠き部の他の例を、図を参照して説明する。
【0088】
変形例1に係る緩み止め具207の係止部228は、図18に示すように、20度の回転角で回転させた3個の正六角形の輪郭の全体と同じ形状を有する。切り欠き部230は、上方から見て、固定ボルト103の頭部126が(20/3)度(±(10/3)度)回転することを許容する大きさのすき間を有する。
【0089】
また、ロック部229は、3組の第1ロック孔部236a〜cと第2ロック孔部237a〜cを有する。上方から見て、第1ロック孔部236a〜c及び第2ロック孔部237a〜cの各組の中心は、切り欠き中心238から延びる直線239a〜c上に配置される。
【0090】
直線239a〜cは、直線139a〜cと異なり、なす角の大きさが(20/3)度である。すなわち、上方から見て、直線239cは直線239aと+(20/3)度の角度をなし、直線239bは直線239aと−(20/3)度の角度をなす。
【0091】
本変形例によっても、実施の形態の切り欠き部130と同様に、切り欠き部230の凸部231を、頭部126の周辺であって、固定ボルト103を緩める方向へ回転する場合に頭部126の側面が通過する領域に配置することができる。ロック部229が箱体101に固定されると、固定ボルト103の頭部126の回転は凸部231によって係止される。従って、緩み止め具207によって、固定ボルト103の締め付けの緩みを防止することができる。
【0092】
直線239a〜cは、なす角の大きさが(20/3)度であり、かつ、切り欠き部230は、上方から見て、固定ボルト103の頭部126が(20/3)度回転することを許容するすき間を有する。すなわち、直線239a〜cのなす角の大きさが(20/n)度であり、かつ、切り欠き部は、上方から見て、固定ボルト103の頭部126が(20/n)度回転することを許容する大きさのすき間を有する。
【0093】
これにより、実施の形態と同様に、固定ボルト103の頭部126が上方から見ていずれの方向を向いていても、第1ロック孔部236a〜c及び第2ロック孔部237a〜cのいずれかが箱体側第1ロック孔部120及び箱体側第2ロック孔部121と連通するように、緩み止め具207を固定ボルト103の頭部126に嵌めることが可能になる。
【0094】
これらの効果以外にも、変形例1に係る緩み止め具207を採用することによって、実施の形態に係る鉄道車両用制御装置100と同様の効果を奏する。
【0095】
(変形例2)
変形例2に係る緩み止め具307が有する係止部328の切り欠き部330は、図19に示すように、30度の回転角で回転させた2個の正六角形の輪郭のうち、各正六角形の少なくとも1つの角を含む部分と同じ形状である。
【0096】
本変形例に係る緩み止め具307を採用することによって、実施の形態に係る緩み止め具107より小さい緩み止め具307で、実施の形態に係る鉄道車両用制御装置100と同様の効果を奏する。
【符号の説明】
【0097】
100 鉄道車両用制御装置、101 箱体、102 制御ユニット、103 固定ボルト、104 固定ナット、105,106 座金、107,207,307 緩み止め具、108 第1ロックボルト、109 第1ロックナット、110 第2ロックボルト、111 第2ロックナット、112 上部、119 箱体側固定孔部、120 箱体側第1ロック孔部、121 箱体側第2ロック孔部、125 制御ユニット側固定孔部、126 頭部、127 雄ネジ部、128、228、328 係止部、129、229 ロック部、130、230、330 切り欠き部、134 平板部、135 段差部、136a〜c、236a〜c 第1ロック孔部、137a〜c、237a〜c 第2ロック孔部、138,238 切り欠き中心。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19