特許第6045471号(P6045471)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6045471
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】PM発生方法及びPM発生装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/00 20060101AFI20161206BHJP
   G01N 15/08 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   G01N1/00 102A
   G01N15/08 A
【請求項の数】14
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-221256(P2013-221256)
(22)【出願日】2013年10月24日
(65)【公開番号】特開2015-81895(P2015-81895A)
(43)【公開日】2015年4月27日
【審査請求日】2015年8月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088616
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 一平
(74)【代理人】
【識別番号】100089347
【弁理士】
【氏名又は名称】木川 幸治
(74)【代理人】
【識別番号】100154379
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 博幸
(74)【代理人】
【識別番号】100154829
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 成
(72)【発明者】
【氏名】濱田 安彦
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 雅晃
【審査官】 土岐 和雅
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−189454(JP,A)
【文献】 特開昭63−063938(JP,A)
【文献】 特開2010−223877(JP,A)
【文献】 特開2007−155712(JP,A)
【文献】 特開2010−223882(JP,A)
【文献】 特開2011−209202(JP,A)
【文献】 特開2011−196909(JP,A)
【文献】 特開2012−117520(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N1/00〜1/44、15/00〜15/14、F01N3/00〜3/38、F02D41/00〜41/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼用空気の中に、メタンの含有量を90体積%以上とする燃焼ガスを、空気過剰率λを0.80〜1.05に特定して、連続して供給し、着火し、燃焼させた後に、冷却して、ガスAの中に、10〜20nmの間の粒径に略1つのピークがある粒径分布からなるパティキュレートマター(PM)を発生させるPM発生方法。
【請求項2】
前記冷却は、空気で行われる請求項1に記載のPM発生方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のPM発生方法によってPMを発生させたガスAと、
燃焼用空気の中に、軽油を、空気過剰率λを特定して、間欠で噴射し、750℃以上、1050℃以下、の温度で燃焼させた後に、冷却して、特定の粒径分布からなるPMを発生させたガスBと、
を混合して、ガスの中に、特定の粒径分布からなるPMを発生させる混合式PM発生方法。
【請求項4】
前記ガスBにかかる特定の粒径分布は、80〜100nmの間の粒径にピークがある請求項に記載の混合式PM発生方法。
【請求項5】
前記ガスBにかかる空気過剰率が、0.70〜1.25である請求項又はに記載の混合式PM発生方法。
【請求項6】
前記ガスBにかかる空気過剰率が、1.10〜1.20である請求項に記載の混合式PM発生方法。
【請求項7】
前記ガスBが、複数である請求項の何れか一項に記載の混合式PM発生方法。
【請求項8】
請求項1又は2に記載のPM発生方法又は請求項の何れか一項に記載の混合式PM発生方法において、前記ガスAのために用いられるPM発生装置であって、
燃焼用空気を供給するための空気入口及びPMを発生させたガスを排出するためのガス出口を有し、前記メタンの含有量を90体積%以上とする燃焼ガスが内部で燃焼されてPMが発生する燃焼室と、
その燃焼室に挿入され、前記メタンの含有量を90体積%以上とする燃焼ガスを前記燃焼室内に連続して供給するメインバーナと、
前記燃焼室に取り付けられ、前記燃焼室に供給された前記メタンの含有量を90体積%以上とする燃焼ガスに着火するパイロットバーナと、
を備えるPM発生装置。
【請求項9】
前記メインバーナは、前記メタンの含有量を90体積%以上とする燃焼ガスを供給する供給孔を1個有し、その供給孔の開口径が4〜10mmである請求項に記載のPM発生装置。
【請求項10】
前記供給孔の開口方向が、前記燃焼用空気が供給される側である請求項又はに記載のPM発生装置。
【請求項11】
前記燃焼室の前記空気入口に、略L字型の管が接続され、その略L字型の管を介して、前記燃焼用空気が前記燃焼室へ供給される請求項10の何れか一項に記載のPM発生装置。
【請求項12】
請求項の何れか一項に記載の混合式PM発生方法において、前記ガスBのために用いられるPM発生装置であって、
燃焼用空気を供給するための空気入口及びPMを発生させたガスを排出するためのガス出口を有し、前記軽油が内部で燃焼されてPMが発生する燃焼室と、
その燃焼室へ供給された前記燃焼用空気の中に前記軽油を間欠で噴射することが可能な軽油間欠噴射手段と、
前記燃焼室に取り付けられ、前記燃焼室に供給された前記軽油に着火するパイロットバーナと、
を備えるPM発生装置。
【請求項13】
請求項11の何れか一項に記載のPM発生装置と、そのPM発生装置のガス出口側に配設された、評価試料であるフィルタを収納する試料収納容器とを備え、
前記PM発生装置で発生したPMをガスとともに前記試料収納容器に送り、前記PMを含有する前記ガスを前記試料収納容器に収納されたフィルタに供給するフィルタ評価装置。
【請求項14】
前記の請求項11の何れか一項に記載のPM発生装置と、前記試料収納容器と、の間に集合管が備わり、その集合管に、前記請求項12に記載のPM発生装置が、1以上接続される請求項13に記載のフィルタ評価装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DPFや触媒等を備えた排気ガス浄化装置を評価するために、ガス中にパティキュレートマター(PM)を発生させる手段に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の内燃機関等から排出される排気ガス中の微粒子や有害物質は、人体、環境への影響が大きく、これらの大気への放出を防止する必要性が高まっている。特にディーゼルエンジンから排出される粒子状物質(Particulate Matter(PM))や窒素酸化物(NO)等は影響が甚大であり、それらにかかる規制は世界的に強化されている。
【0003】
このような状況の下、PMを除去するためのフィルタ(Particulate Filter(PF))やNOを窒素と水に還元するため等に有用な触媒を備えた排気ガス浄化装置の研究・開発が進められ、現在では、高性能な浄化装置が市場に提供されるようになっている。尚、PFには、ディーゼルエンジン用のDPF、ガソリンエンジン用のGPFがある。
【0004】
ところが、その排気ガス浄化装置を試験し、性能や耐久性を正確に高い精度で評価する手段は提案されていない、というのが現状である。又、このような技術に関連する先行文献も多くはない。
【0005】
このような現状を打破すべく、先に、本願出願人は、特許文献1〜5にかかる技術を開発し、これを開示している。これらにより、排気ガス浄化装置を評価するために、実際のエンジン等から排出される排気ガスを十分に模擬した排気ガスを、安定的に供給することが可能になっている。尚、他の先行技術文献として、特許文献6、非特許文献1を挙げることが出来る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−155712号公報
【特許文献2】特開2007−155708号公報
【特許文献3】特開2010−223877号公報
【特許文献4】特開2011−196909号公報
【特許文献5】特開2012−117520号公報
【特許文献6】特開2005−214742号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】ETH Conference on Nanoparticle Measurement 18-20 August 2003, CAST SOOT GENERATOR FOR LIQUID FUEL, L. JING
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、実際の排気ガスには、それを排出するエンジン等の条件によって、PMが特有な粒径分布を形成するものがある。そのため、あるエンジンの排気ガスに対する排気ガス浄化装置の性能や耐久性を、試験し、正確に高い精度で評価するために、PMが所望の粒径分布を有する排気ガスを供給することが、必要な場合がある。
【0009】
例えば、あるディーゼルエンジンや、ある直噴ガソリンエンジンでは、排出されるガス中のPMの粒径分布において、20nm程度の小さな粒径に1つのピークがあることがわかってきている。これは、特許文献3の図7に開示された、80〜90nmあたりに1つのピークがある粒径分布とは、大きく異なる。又、特許文献5の図9jでは、小さな粒径にピークを形成させているが、ダブルピークであり、80〜90nmあたりにもピークが存在している。即ち、先行技術文献に開示された手段では、PMを含む排気ガスにおけるPMの粒径分布において、小さな粒径(例えば20nm近傍)に主な1つのピークを形成することは、実現出来ていなかった。
【0010】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その課題は、排気ガス浄化装置へ供給する評価用の排気ガスであって、PMが所望の(特定の)粒径分布を有し、特に、小さな粒径に1つのピークがある粒径分布を有するPMが含まれる排気ガスを、製造し供給するために好適な手段を提供することである。研究が重ねられた結果、メタンの含有量を90体積%以上とする燃焼ガスの火炎を空気で急冷すると、小さな粒径(20nm近傍)を主な1つのピークとする、PMの粒径分布を得られるという知見を得た。又、そのメタンガスの燃焼装置と、軽油の間欠噴射燃焼装置とを、複数、作製し、それらが生み出すPMの粒径分布を重ねることによって、実際のエンジンの多様なPM粒径分布に近づけることが可能なことを見出し、本発明の完成に至った。具体的には、以下に示す手段により、上記課題を解決し得る。
【課題を解決するための手段】
【0011】
即ち、先ず、本発明によれば、燃焼用空気の中に、メタンの含有量を90体積(vol)%以上とする燃焼ガスを、空気過剰率λを特定して、連続して供給し、着火し、燃焼させた後に、冷却して、ガス(ガスA)の中に、特定の粒径分布からなるパティキュレートマター(PM)を発生させるPM発生方法が提供される。
【0012】
本発明に係るPM発生方法において、燃焼ガスにおけるメタンの含有量は95vol%以上であることが好ましい。燃焼ガスとは、燃焼するガスのことを意味し、不活性ガス等の燃焼しないガスは、含まれない。メタンの含有量を90vol%以上とする燃焼ガスとは、燃焼ガスのうちの90vol%以上をメタンが占めるということであり、メタン以外(0〜10%)も可燃焼物質(ガス)であることを意味する。例えば、メタンが90vol%であり残りが窒素ガス等の不活性ガスであるガスは、本発明に係るPM発生方法で利用することが出来るが、この場合は、燃焼ガスとしてはメタンが100vol%である。メタンの含有量を90vol%以上とする燃焼ガスとして好ましいものは、天然ガスである。天然ガスには、産地により、メタンの含有量が90vol%以上のものが多く存在し、これを好適に利用することが出来る。
【0013】
本発明に係るPM発生方法は、上記特定の粒径分布が、10〜20nmの間の粒径に略1つのピークがあるものである場合に用いられる。略1つのピークの意味は、分布の山が2つ以上に分かれていないということである。
【0014】
本発明に係るPM発生方法においては、上記(ガスAにかかる)空気過剰率が、0.80〜1.05である。又、本発明に係るPM発生方法においては、上記(ガスAにかかる)空気過剰率が、0.87であるか、又はその近傍であることが、特に好ましい。
【0015】
本発明に係るPM発生方法においては、上記冷却は、空気で行われることが好ましい。
【0016】
次に、本発明によれば、上記した何れかのPM発生方法によってPMを発生させたガスAと、燃焼用空気の中に、軽油を、空気過剰率λを特定して、間欠で噴射し、750℃以上、1050℃以下、の温度で燃焼させた後に、冷却して、特定の粒径分布からなるPMを発生させたガス(ガスB)と、を混合して、ガスの中に、特定の粒径分布からなるPMを発生させる混合式PM発生方法が提供される。
【0017】
本発明に係る混合式PM発生方法は、ガスBにかかる特定の粒径分布が、80〜100nmの間の粒径にピークがある場合に、好適に用いられる。
【0018】
本発明に係る混合式PM発生方法においては、上記ガスBにかかる空気過剰率が、0.70〜1.25であることが好ましい。又、本発明に係る混合式PM発生方法においては、上記ガスBにかかる空気過剰率が、1.10〜1.20であるか、又はその範囲の近傍であることが、特に好ましい。
【0019】
本発明に係る混合式PM発生方法においては、ガスBが、複数であることが好ましい。これは、例えば、粒径分布が異なるガスB1、ガスB2、・・・でガスBが構成されるということである。
【0020】
本発明に係るPM発生方法及び混合式PM発生方法は、ガスの中にPMを発生させる方法であり、換言すれば、PMを発生させたガス(PM含有ガス)を製造し供給する方法ということが出来る。
【0021】
次に、本発明によれば、上記した何れかのPM発生方法又は混合式PM発生方法において、ガスAのために用いられるPM発生装置であって、燃焼用空気を供給するための空気入口及びPMを発生させたガスを排出するためのガス出口を有し、メタンの含有量を90vol%以上とする燃焼ガスが内部で燃焼されてPMが発生する燃焼室と、その燃焼室に挿入され、メタンの含有量を90vol%以上とする燃焼ガスを燃焼室内に連続して供給するメインバーナと、燃焼室に取り付けられ、燃焼室に供給されたメタンの含有量を90vol%以上とする燃焼ガスに着火するパイロットバーナと、を備えるPM発生装置(PM発生装置Aと呼ぶ)が提供される。
【0022】
本発明に係るPM発生装置Aにおいては、メインバーナは、メタンの含有量を90vol%以上とする燃焼ガスを供給する供給孔を1個有し、その供給孔の開口径が4〜10mmであることが好ましい。
【0023】
本発明に係るPM発生装置Aにおいては、供給孔の開口方向が、燃焼用空気が供給される側であることが好ましい。
【0024】
本発明に係るPM発生装置Aにおいては、燃焼室の空気入口に、略L字型の管が接続され、その略L字型の管を介して、燃焼用空気が燃焼室へ供給されることが好ましい。
【0025】
次に、本発明によれば、上記した何れかの混合式PM発生方法において、ガスBのために用いられるPM発生装置であって、燃焼用空気を供給するための空気入口及びPMを発生させたガスを排出するためのガス出口を有し、軽油が内部で燃焼されてPMが発生する燃焼室と、その燃焼室へ供給された燃焼用空気の中に軽油を間欠で噴射することが可能な軽油間欠噴射手段と、燃焼室に取り付けられ、その燃焼室に供給された軽油に着火するパイロットバーナと、を備えるPM発生装置(PM発生装置Bと呼ぶ)が提供される。
【0026】
次に、本発明によれば、上記した何れかのPM発生装置Aと、そのPM発生装置Aのガス出口側に配設された、評価試料であるフィルタを収納する試料収納容器とを備え、PM発生装置Aで発生したPMをガスとともに試料収納容器に送り、PMを含有するガスを試料収納容器に収納されたフィルタに供給するフィルタ評価装置が提供される。フィルタの代表例として、多孔質セラミック構造体、ハニカム構造体を挙げることが出来る。更に具体的な例は、DPF、GPFである。
【0027】
本発明に係るフィルタ評価装置においては、上記した何れかのPM発生装置Aと、試料収納容器と、の間に集合管が備わり、その集合管に、上記したPM発生装置Bが、1以上(1基又は複数基)接続されることが好ましい。又、集合管の(ガスの)出口側に試料収納容器が接続され、集合管の(ガスの)入口側に、上記したPM発生装置Aが1以上(1基又は複数基)接続され、上記したPM発生装置Bが1つ接続されてもよいし、集合管の(ガスの)入口側に、上記したPM発生装置Aが2以上(複数基)接続され、上記したPM発生装置Bが2以上(複数基)接続されてもよい。集合管としては、例えばヘッダー管と呼ばれる円筒状の配管にフランジが付けられたものを採用することが出来る。集合管は、ガスAとガスBとの混合のために、十分な滞留空間を有することが望ましい。又、集合管の内部は空であってもよいが、ガスが混合し易くなるように充填材を詰めることも好ましい。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係るPM発生方法によれば、メタンの含有量を90vol%以上とする燃焼ガスを使用し、その連続した供給、着火、燃焼、冷却を行うことにより、20nm程度の小さな粒径に1つのピークがある粒径分布を有するPMが含まれる排気ガス(ガスA)を、製造し供給することが可能である。即ち、先行技術文献に開示された従来技術では達成出来なかったエンジン実機の(あるいはそれに近似した)PM粒径分布を実現させることが出来る。よって、エンジン等の条件によって、そのような20nm程度の小さな粒径に1つのピークがあるという、特有な粒径分布に対応することが出来、排気ガスに対する排気ガス浄化装置の性能や耐久性を試験し、正確に高い精度で評価することが可能である。具体的には、酸化触媒DOCのSOF分除去性能や酸化触媒を坦持したDPFのPM捕集性能を評価することが、容易に出来るようになる。
【0029】
本発明に係る混合式PM発生方法においては、燃焼用空気の中に、軽油を、空気過剰率λを特定して、間欠で噴射し、750℃以上、1050℃以下、の温度で燃焼させた後に、冷却することによって、80〜100nm程度の粒径にピークがある粒径分布を有するPMが含まれる排気ガス(ガスB)を、製造し供給することが可能である。そして、ガスA及びガスBを混合させることによって、より実際のエンジンから排出される排気ガス中のPMの粒径分布に近づけることが可能であり、排気ガス浄化装置の性能や耐久性の試験において、その正確性や精度が、更に向上する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明に係るPM発生装置(PM発生装置A)及び本発明に係るフィルタ評価装置の一実施形態を、模式的に示す側面図である。
図2】本発明に係るPM発生装置(PM発生装置B)の一実施形態を、模式的に示す側面図である。
図3A】参考例1の結果を示す図であり、自動車の排気ガス中のPMの粒径分布を表すグラフである。
図3B】参考例2の結果を示す図であり、自動車の排気ガス中のPMの粒径分布を表すグラフである。
図4】参考例1,3,4の結果を示す図であり、自動車の排気ガス中のPMの粒径分布を表すグラフである。
図5】実施例1,2,3の結果を示す図であり、PM含有ガス中のPMの粒径分布を表すグラフである。
図6】実施例4、参考例2の結果を示す図であり、PM含有ガス中のPMの粒径分布を表すグラフである。
図7】本発明に係るフィルタ評価装置の他の実施形態を、模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明について、適宜、図面を参酌しながら、実施形態を説明するが、本発明はこれらに限定されて解釈されるべきものではない。本発明に係る要旨を損なわない範囲で、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良、置換を加え得るものである。例えば、図面は、好適な本発明に係る実施形態を表すものであるが、本発明は図面に表される態様や図面に示される情報により制限されない。本発明を実施し又は検証する上では、本明細書中に記述されたものと同様の手段若しくは均等な手段が適用され得るが、好適な手段は、以下に記述される手段である。
【0032】
先ず、本発明に係るPM発生装置Aと、それを含む本発明に係るフィルタ評価装置の一の実施形態について、図1を参照して、説明する。本発明に係るフィルタ評価装置200は、本発明に係るPM発生装置100(PM発生装置A)と、試料収納容器31と、と備え、それらが整流管35で接続されている。試料収納容器31は、PM発生装置100のガス出口2側に配設され、評価試料であるフィルタ32を収納する。PM発生装置100で発生したPMは、ガスとともに試料収納容器31へ送られ、その試料収納容器31に収納されたフィルタ32へ供給される。
【0033】
PM発生装置100は、燃焼用空気F1を供給するための空気入口1及び燃焼したガスを排出するためのガス出口2を有する燃焼室3、その燃焼室3に挿入される筒状のメインバーナ4、燃焼室3に取り付けられるパイロットバーナ6、空気入口1に接続されるエルボ管36(略L字型の管)、燃焼用空気F1の流量を制御する燃焼用空気流量制御手段43、冷却空気導入ノズル33を側面に備えた冷却空気混合管34、空気供給手段41、その空気供給手段41から供給される冷却空気F3の流量を制御する冷却空気流量制御手段42、を備える。
【0034】
PM発生装置100において、燃焼室3の形状は、両端部がテーパー状に細く形成された円筒状である。燃焼室3の大きさは、特に限定されず、必要な範囲の燃焼用空気F1により、例えば天然ガス(メタンの含有量を90vol%以上とする燃焼ガス)を燃焼させ、PMを発生させることが可能な大きさであればよい。
【0035】
PM発生装置100において、メインバーナ4が配置される位置は、パイロットバーナ6が配置される位置から下流側に向かって100mmの位置から、パイロットバーナ6が配置される位置から上流側に向かって200mmの位置までの範囲内である。そして、メインバーナ4は、天然ガスを供給する(図示しない)供給孔を1個有する。その供給孔の開口径は4〜10mmであり、特に好ましい開口径は6mmである。又、その供給孔の開口は、燃焼用空気が供給される側にある。即ち、供給孔の開口方向は、下流ではなく、上流に向いている。これは、燃焼用空気の流れに略対向しているということである。更に、供給孔が形成された筒状のメインバーナ4は、その中心軸が燃焼用空気F1の流れる方向に直交するように、燃焼室3の側面から燃焼室3内部に挿入される。
【0036】
PM発生装置100では、燃焼室3の空気入口1に、エルボ管36が接続され、それが略L字型であることによって、燃焼用空気F1が、燃焼室3内へ供給される際に、偏流する。エルボ管36(略L字型の管)は、不可欠のものではないが、設けると、それがもたらす偏流によって、PMが発生し易くなる。
【0037】
空気供給手段41としては、具体的には、コンプレッサーによる空気の供給、ブロアによる空気の供給等を挙げることが出来る。燃焼用空気流量制御手段43、冷却空気流量制御手段42としては、具体的には、減圧弁や流量制御バルブ等を挙げることが出来る。
【0038】
次に、本発明に係る混合式PM発生方法に使用される本発明に係るPM発生装置Bについて、図2を参照して、説明する。本発明に係るPM発生装置300(PM発生装置B)の主な構成要素は、燃焼室103である。燃焼室103の形状は、片端部がテーパー状に細く形成された、軸長の短い円筒状である。燃焼室103の大きさは、特に限定されず、必要な範囲の燃焼用空気F11により、軽油(燃料)を燃焼させ、PMを発生させることが可能な大きさであればよい。
【0039】
PM発生装置300では、燃焼室103にはノズルが設けられ、そこが燃焼用空気F11を供給するための空気入口11になっている。又、テーパー状に細く形成された部分が、燃焼したガスを排出するためのガス出口12となっている。その燃焼室103の空気入口11付近には、燃焼用空気F11の中に軽油を間欠で噴射することが可能な軽油間欠噴射手段14が備わる。その具体例は、電子式又は電磁式のインジェクタである。又、その軽油間欠噴射手段14に接続される(図示しない)軽油供給系には、流量計144が設けられる。そして、円筒状の燃焼室103において、テーパー状ではない側には、軽油に着火するパイロットバーナ16が取り付けられる。
【0040】
PM発生装置300は、更に、燃焼用空気F11の流量を制御する燃焼用空気流量制御手段143、冷却空気導入ノズル133を側面に備えた冷却空気混合管134、空気供給手段141、その空気供給手段141から供給される冷却空気F13の流量を制御する冷却空気流量制御手段142、を備える。
【0041】
空気供給手段141としては、具体的には、コンプレッサーによる空気の供給、ブロアによる空気の供給等を挙げることが出来る。燃焼用空気流量制御手段143、冷却空気流量制御手段142としては、具体的には、減圧弁や流量制御バルブ等を挙げることが出来る。
【0042】
次に、本発明に係るフィルタ評価装置の他の実施形態について、図7を参照して、説明する。本発明に係るフィルタ評価装置500は、本発明に係るPM発生装置100(PM発生装置A)と、2基の本発明に係るPM発生装置300(PM発生装置B)と、を備え、それらPM発生装置100,300が、整流管35,135で集合管501に接続され、更に、その集合管501が試料収納容器31に接続されているものである。換言すれば、フィルタ評価装置500は、上記フィルタ評価装置200において、PM発生装置100と試料収納容器31との間の、整流管35の手前(PM発生装置100側)に、集合管501を設け、その集合管501に、2基のPM発生装置300を接続したものといえる。図7に示される形態では、集合管501に対し、三方から、PM発生装置100と2基のPM発生装置300が接続されているが、整流管35,135を近づけて、集合管501の同一面に接続してもよい。
【0043】
フィルタ評価装置500における、PM発生装置100,300や試料収納容器31それぞれについては、既に説明した通りであるので、ここでは省略する。フィルタ評価装置500では、空気供給手段41は共有され、燃焼用空気F1,F11及び冷却空気F3,F13の空気源になっており、更に、二次空気F53の空気源にもなっている。又、フィルタ評価装置500は、空気供給手段41から供給される二次空気F53の流量を制御する二次空気流量制御手段541を備える。二次空気流量制御手段541として、具体的には、減圧弁や流量制御バルブ等を挙げることが出来る。
【0044】
次に、本発明に係るPM発生方法について、上記PM発生装置100を用いる場合を例にして、説明する。先ず、空気供給手段41を稼動させ、空気入口1から燃焼用空気F1を燃焼室3へ連続的に供給し、冷却空気F3を冷却空気混合管34へ連続的に供給する。併せて、メインバーナ4から天然ガスを連続的に供給する。そして、パイロットバーナ6で天然ガスを着火して、燃焼させる。そうすると、燃焼したガスは、ガス出口2から排出され、冷却空気F3で冷却され、10〜20nmの間の粒径に略1つのピークがある粒径分布となるように、PMを発生させて、PMを含有するガス(PM含有ガス)F2となる。
【0045】
本発明に係るPM発生方法において、PM発生装置100では、空気過剰率が0.80〜1.05になるように、空気入口1から燃焼用空気を供給する。空気過剰率は、0.87近傍であることが、特に好ましい。
【0046】
尚、一般に、空気過剰率とは、実際の空燃比が理論値から、どれだけ離れているかを示す割合であり、(供給される(燃焼用)空気の量)/(理論的に必要な(燃焼用)空気の量)で求められる。本明細書にいう空気過剰率は、燃焼室内の平均空気過剰率であり、燃焼室を流れる燃焼用空気全体の流量(体積)と、供給している燃料(燃焼ガス)全体の流量(体積)と、を用いて算出する。
【0047】
本発明に係るPM発生方法において、PM発生装置100では、(燃焼室3内における)燃焼用空気F1の平均流速は、0.1〜4.0m/秒であることが好ましい。0.1〜2.0m/秒であることが、特に好ましい。4.0m/秒より速いと、PMの発生量が少なくなることがある。
【0048】
次に、本発明に係る混合式PM発生方法について、上記フィルタ評価装置500を用いる場合を例にして、説明する。フィルタ評価装置500は、1基のPM発生装置100と2基のPM発生装置300を有する。但し、本発明に係る混合式PM発生方法を実施する場合には、1基のPM発生装置100と3基以上のPM発生装置300を用いてもよく、2基以上のPM発生装置100と1基のPM発生装置300を用いてもよく、2基以上のPM発生装置100と2基以上のPM発生装置300を用いてもよい。又、本発明に係る混合式PM発生方法を行う場合に、上記フィルタ評価装置500のように、空気供給手段は、PM発生装置100,300において、共有することが出来る。
【0049】
PM発生装置100の使用については、上記の単独で使用する場合(本発明に係るPM発生方法)と同じであるので、ここでは説明を省略する。以下においては、上記PM発生装置300の使用方法について、説明する。先ず、空気供給手段141を稼動させ、空気入口11から燃焼用空気F11を燃焼室103へ連続的に供給し、冷却空気F13を冷却空気混合管134へ連続的に供給する。併せて、軽油間欠噴射手段14から軽油を間欠で噴射する。そして、パイロットバーナ16で軽油を着火して、750℃以上、1050℃以下、の温度で燃焼させる。そうすると、燃焼したガスは、ガス出口12から排出され、冷却空気F13で冷却され、80〜100nmの粒径にピークがある粒径分布となるように、PMを発生させて、PMを含有するガス(PM含有ガス)F12となる。
【0050】
本発明に係る混合式PM発生方法において、PM発生装置300では、空気過剰率を0.70〜1.25に特定することが望ましい。これは、換言すれば、空気過剰率が0.70〜1.25になるように、空気入口11から燃焼用空気を供給するということである。
【0051】
フィルタ評価装置500を用いた場合に、PM発生装置300によるPM発生の役割は、PM発生装置100で発生させたPMの粒径分布を修飾して、実機の自動車から排出されるPMの粒径分布に近づけることにある。従って、その目的となるPMの粒径分布(実機の自動車の分布)に近づけるために、PM発生装置100で発生させたPMの量に基づいて、PM発生装置100で発生させるべきPMの量が定まる。そして、PM発生装置100における燃焼用空気F11の流量、軽油の噴射量、間欠噴射数(頻度)が定まる。尚、本発明に係る混合式PM発生方法においては、PM発生装置300で発生させたPMの粒径分布を基準として、PM発生装置100に、PM発生装置300で発生させたPMの粒径分布を修飾する役割を持たせてもよい。実機の自動車から排出されるPMの粒径分布によっては、そのような混合方法が有効なことも有り得る。
【0052】
次に、本発明に係るフィルタ評価装置の使用について、フィルタ評価装置200を用いる場合を例にして説明する。既述のように、PM発生装置100でPMを発生させることが出来るので、PM含有ガスF2を、試料収納容器31に送り、試料収納容器31内に収納されたフィルタ32に供給すれば、フィルタ32について、PMを捕集して行う試験を、効果的に行うことが可能である。この試験によって、自動車等に搭載した場合に近い結果を得ることが出来る。
【0053】
本発明に係るフィルタ評価装置の使用につき、フィルタ評価装置500を用いる場合は、既述のように、PM発生装置100,300でPMを発生させることが出来るので、PM含有ガスF2,F12を、集合管501へ送り、それらを混合させ、更に、混合されたガスを試料収納容器31に送り、試料収納容器31内に収納されたフィルタ32に供給する。そうすると、フィルタ32について、PMを捕集して行う試験を、効果的に行うことが可能である。この試験によって、自動車等に搭載した場合に近い結果を得ることが出来る。特に、フィルタ評価装置500を用いると、既述のように、PM発生装置100の使用によって、10〜20nmの間の粒径に略1つのピークがあるPM粒径分布となったPM含有ガスF2が得られ、PM発生装置300の使用によって、80〜100nmの粒径にピークがあるPM粒径分布となったPM含有ガスF12が得られる。又、2基のPM発生装置300において、80〜100nmの範囲で、PM粒径のピークを変えることも可能である。そして、PM含有ガスF2及び2基のPM含有ガスF12は、それぞれ、燃焼用空気流量制御手段43,143、冷却空気流量制御手段42,142によって、流量を調節することが出来るので、PM含有ガスF2、PM含有ガスF12(その1)、PM含有ガスF12(その2)の混合比を、自在に調整することが可能である。従って、PMの粒径分布の細かな調整が可能であり、実際のエンジンから排出される排気ガス中のPMの粒径分布に、より近づけることが出来る。加えて、試料収納容器31の入口において、上記混合されたガスに、更に混合する二次空気F53の流量を調整することによって、所望のPM粒径分布はそのままに、PMの濃度を変更することも可能である。
【0054】
次に、本発明に係るPM発生装置及びフィルタ評価装置を製造する方法について、PM発生装置100,300を含むフィルタ評価装置500を作製する場合を例にして、説明する。PM発生装置100は、既述の説明及び図1図7に示された形状並びに特許文献4の開示に基づいて、公知の加工手段を用いて作製することが出来る。燃焼室3、メインバーナ4、エルボ管36の好ましい材料は、ステンレス鋼、ニッケル合金等であり、パイロットバーナ6の好ましい材料は、ステンレス鋼、炭素鋼等である。PM発生装置300は、既述の説明及び図2図7に示された形状並びに特許文献1〜3,5(特に特許文献2)の開示に基づいて、公知の加工手段を用いて作製することが出来る。燃焼室103の好ましい材料は、ニッケル合金(特にインコネル:商標)、セラミック(特に窒化珪素)等であり、パイロットバーナ16の好ましい材料は、ステンレス鋼、炭素鋼等である。試料収納容器31は、既述の説明及び図1図7に示された形状並びに特許文献4の開示に基づいて、公知の加工手段を用いて作製することが出来、その好ましい材料は、ステンレス鋼等である。整流管35,135、冷却空気導入ノズル33,133、冷却空気混合管34,134は、既述の説明及び図7に示された形状に基づいて、公知の加工手段を用いて作製することが出来、その好ましい材料は、ステンレス鋼、ニッケル合金等である。以上により、各構成要素を得た後に、既述の説明及び図7に示された構成に基づいて、接続、組立を行い、必要な電源供給を行えば、フィルタ評価装置500を得ることが出来る。
【実施例】
【0055】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0056】
(参考例1)DOC(前段、酸化触媒)及びDPF(後段)を装着した2.0Lの(ユーロ4準拠の)ディーゼルエンジン自動車(実際の自動車、起亜自動車製のSportage)を、PMPに準拠したNEDCモードで運転し、DOCの入口側において排気ガスを採取した。そして、対象をその排気ガスとし、粒径分布測定装置としてTSI社製の型番3091(FMPS)を用いて、PMの粒径分布を測定した。結果を、図3A図4に示す。尚、図、表、明細書等において、指数の表示として、コンピュータ向けの慣用表示を用いることがある。例えば、1.0×10を、1.0E+5と表すが、何れも100000のことである。
【0057】
(参考例2)GPFを装着した1.4Lのガソリンエンジン自動車(フォルクスワーゲン製のGOLF)を、PMPに準拠したNEDCモードで運転し、DPFの入口側において排気ガスを採取した。そして、参考例1と同様に、PMの粒径分布を測定した。結果を、図3B図6に示す。
【0058】
(考察1)図3A及び図3Bより、自動車から排出されるガス中のPMの粒径分布が、20nm程度の小さな粒径に1つのピークがあることがわかる。又、図3Aをみると、粒径の大きな側(図3Aにおける右側)において、小さな山の膨らみを確認することが出来る。
【0059】
尚、PM濃度は、単位体積あたりのPMの個数である。又、PMPとは、国際連合(略称UN)の欧州経済委員会(略称ECE)における自動車基準調和世界フォーラム(略称WP29)の排出ガスエネルギー専門家会議(略称GRPE)による粒子測定プログラムの略称である。NEDCモードは、PMPによるPN測定方法における、ディーゼルエンジン自動車の運転モードであり、New European Driving Cycleモードの略称である。このNEDCモードは、プレコンディショニング期間、ソーキング期間、及びメジャーメント(測定)期間からなる。
【0060】
(参考例3)可溶有機成分(SOF)除去装置として、デカティ(Dekati)社製のサーモデニューダ(型式TD3)を用い、採取した排気ガスのSOFを除去してから、PMの粒径分布を測定した。それ以外は、参考例1と同じである。結果を、図4に示す。
【0061】
(参考例4)DPFの入口側(DOCの出口側)において排気ガスを採取し、PMの粒径分布を測定した。それ以外は、参考例1と同じである。結果を、図4に示す。
【0062】
(考察2)図4より、SOFを除去すると、PMの粒径分布が大きく変わることから、自動車から排出されるガスには、SOFが多量に含まれていることがわかる。粒径の大きな側(図3Aにおける右側)における小さな山の膨らみは、SOF以外の成分である。
【0063】
(実施例1)図1に示すような構造の、PM発生装置100を含むフィルタ評価装置200を、主に厚さ9mmのステンレス鋼を材料として用い、作製した。燃焼室3のガスの流れる方向における長さを900mmとし、空気入口1(図1参照)における内径(直径)を70mmとし、ガス出口2(図1参照)における内径を106mmとし、燃焼室3の中央の平行部分(テーパになっていない部分)の内径(直径)を130mmとした。燃焼室3は、空気入口1側及び空気出口2側がテーパー状に細く形成された構造とし、テーパー状に形成された部分の、ガスの流れる方向における長さを100mmとした。冷却空気混合管34のガスの流れる方向における長さを450mmとし、内径を燃焼室3のガス出口2における内径と同じ長さにした。冷却空気混合管34に配設される冷却空気供給ノズル33は、内径(直径)を106mmとした。冷却空気混合管34及び冷却空気供給ノズル33は、円筒状とした。試料収納容器31は、内径(直径)を313mm、長さを360mmの、円筒状とした。空気供給手段としては、コンプレッサーを用い、空気を加圧して冷却空気を生成させた。冷却空気流量制御手段としては、減圧弁と流量制御弁を用いた。空気供給手段によって発生させた空気(冷却空気)を、燃焼用空気及び冷却空気として用いた。メインバーナ4は、直径(内径)が10.5mmの円筒状とし、直径6mmの供給孔を1つ形成した。メインバーナ4は、ガスの流れる方向に直交する断面において供給孔が燃焼室3の中心に位置するように配置した。供給孔の開口は、空気入口1側(上流側)に向けた。メインバーナ4は、パイロットバーナ6の位置から、ガスの流れる方向における下流側に向かって50mmの位置に配置した。パイロットバーナ6は、自動点火が可能で、圧縮空気の使用が可能であり、火炎検知器の取り付けが可能であるものとした。パイロットバーナ6は、ガスの流れる方向に直交するように、燃焼室3の壁面に設置した。パイロットバーナ6は、燃焼室3のガスの流れる方向において、空気入口1から400mmの位置に、配置した。その他のPM発生装置100の詳細は、特許文献4を参照されたい。
【0064】
このようなフィルタ評価装置200を用いて、PMを発生させた(PM含有ガスを製造した)。使用した天然ガスのメタン含有量は、約95vol%である。天然ガスの流量は、41Nリットル/分とし、燃焼用空気は、0.35Nm3/分で供給した。冷却空気を加えた後の混合ガスのガス総量は、7.11Nm3/分であった。燃焼室3内の空気過剰率は、0.87であった。パイロットバーナ6は、メインバーナ4を着火して20秒後に、消火した。そして、試料収納容器31の入口側にて、PM含有ガスを採取し、参考例1と同様に、PMの粒径分布を測定した。結果を、図5に示す。
【0065】
(考察3)この実施例1の結果(図5)より、PM発生装置100(フィルタ評価装置200)によれば、ガス中のPMの粒径分布を、10〜20nmの間に略1つのピークがあるものにすることが出来ることがわかる。換言すれば、PM発生装置100によって、10〜20nmの間に略1つのピークがある粒径分布を有するPMを含有するガスを、製造することが可能である。但し、参考例1(図3A)と比較すると、粒径の大きな側におけるPM濃度が小さい(小さな山の膨らみが無い)。
【0066】
(実施例2)図2に示すような構造の、PM発生装置300を、インコネル材料を用いて作製し、そのPM発生装置300を使用して、PMを発生させた(PM含有ガスを製造した)。PM発生装置300の詳細は、特許文献2を参照されたい。
【0067】
軽油として米国市販の軽油(Ultra Low Sulfur Diesel、硫黄成分15ppm以下のもの)を用い、これを1.98リットル/時間の量で使用し、空気過剰率が1.13になるように燃焼用空気を供給した。又、PM発生装置300に備わる軽油間欠噴射手段14による軽油の噴射圧力を0.25Mpa、開弁時間(軽油の噴射時間)を1.3ミリ秒、開弁周期(軽油の噴射周期)を51.3ミリ秒とした。又、予め、PM発生装置300の燃焼室103の壁内温度を、プロパンガス燃料と燃焼用空気で燃焼させて、350〜400℃に昇温し、その温度になった燃焼室103において、上記軽油を軽油間欠噴射手段14(電磁インジェクタ)を用いて噴射し、燃焼させ、更に、800℃以上まで昇温させた。そして、PM含有ガスを採取し、参考例1と同様に、PMの粒径分布を測定した。結果を、図5に示す。
【0068】
(実施例3)実施例2とは別に、図2に示されるPM発生装置300を使用して、PMを発生させた(PM含有ガスを製造した)。運転条件は、軽油の使用量が1.23リットル/時間、空気過剰率が1.19、軽油の噴射圧力が0.25Mpa、開弁時間(軽油の噴射時間)が4.5ミリ秒、開弁周期(軽油の噴射周期)が54.5ミリ秒であり、それ以外は実施例2と同じである。そして、PM含有ガスを採取し、参考例1と同様に、PMの粒径分布を測定した。結果を、図5に示す。
【0069】
(実施例4)本発明に係る混合式PM発生方法でPM含有ガスを発生させ、その中のPMの粒径分布を求めた。具体的には、図7に示すような構造の、PM発生装置100,300を含むフィルタ評価装置500を作製した、そして、そのフィルタ評価装置500を用い、そのうちの1基のPM発生装置100は、実施例1と同様にして、PMを発生させ(PM含有ガスを製造し)、2基のPM発生装置300については、それぞれ実施例2,3と同様にして、PMを発生させた(PM含有ガスを製造した)。そして、集合管501で混合されたPM含有ガスを採取し、参考例1と同様に、PMの粒径分布を測定した。結果を、図6に示す。尚、PM発生装置100、2基のPM発生装置300において製造されたPM含有ガスの混合比(体積比)は、全て、等分である。
【0070】
(考察4)実施例1(図5)と実施例4(図6)の比較でわかるように、実施例4では、実施例1よりも、粒径の大きな側におけるPM濃度が大きくなっている。即ち、本発明に係る混合式PM発生方法によれば、より実際のエンジンから排出される排気ガス中のPMの粒径分布(参考例2:図3B)に、近づけることが可能なことがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明に係るPM発生方法及びPM発生装置は、排気ガス中の微粒子を除去するフィルタや、排気ガス中の有害物質を分解するための触媒を備えた排気ガス浄化装置の、性能や耐久性の評価を行うために、好適に利用される。
【符号の説明】
【0072】
1,11:空気入口
2,12:ガス出口
3,103:燃焼室
4:メインバーナ
6,16:パイロットバーナ
14:軽油間欠噴射手段
31:試料収納容器
32:フィルタ
33,133:冷却空気導入ノズル
34,134:冷却空気混合管
35,135:整流管
36:エルボ管
41,141:空気供給手段
42,142:冷却空気流量制御手段
43,143:燃焼用空気流量制御手段
100,300:PM発生装置
144:流量計
200,500:フィルタ評価装置
501:集合管
541:二次空気流量制御手段
F1,F11:燃焼用空気
F2,F12:PMを含有するガス(PM含有ガス)
F3,F13:冷却空気
F53:二次空気
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7