特許第6045475号(P6045475)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱重工環境・化学エンジニアリング株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6045475-破砕機用の回転刃 図000002
  • 特許6045475-破砕機用の回転刃 図000003
  • 特許6045475-破砕機用の回転刃 図000004
  • 特許6045475-破砕機用の回転刃 図000005
  • 特許6045475-破砕機用の回転刃 図000006
  • 特許6045475-破砕機用の回転刃 図000007
  • 特許6045475-破砕機用の回転刃 図000008
  • 特許6045475-破砕機用の回転刃 図000009
  • 特許6045475-破砕機用の回転刃 図000010
  • 特許6045475-破砕機用の回転刃 図000011
  • 特許6045475-破砕機用の回転刃 図000012
  • 特許6045475-破砕機用の回転刃 図000013
  • 特許6045475-破砕機用の回転刃 図000014
  • 特許6045475-破砕機用の回転刃 図000015
  • 特許6045475-破砕機用の回転刃 図000016
  • 特許6045475-破砕機用の回転刃 図000017
  • 特許6045475-破砕機用の回転刃 図000018
  • 特許6045475-破砕機用の回転刃 図000019
  • 特許6045475-破砕機用の回転刃 図000020
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6045475
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】破砕機用の回転刃
(51)【国際特許分類】
   B02C 18/18 20060101AFI20161206BHJP
【FI】
   B02C18/18 B
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-239916(P2013-239916)
(22)【出願日】2013年11月20日
(65)【公開番号】特開2015-98004(P2015-98004A)
(43)【公開日】2015年5月28日
【審査請求日】2016年3月25日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501370370
【氏名又は名称】三菱重工環境・化学エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100126893
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(72)【発明者】
【氏名】坂本 季治
(72)【発明者】
【氏名】上南 博
(72)【発明者】
【氏名】黒川 英章
(72)【発明者】
【氏名】深野 雄一
(72)【発明者】
【氏名】山村 司
(72)【発明者】
【氏名】宮下 達雄
【審査官】 小出 直也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−315648(JP,A)
【文献】 実開昭56−044843(JP,U)
【文献】 特開2003−144955(JP,A)
【文献】 実開平07−025944(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0029629(US,A1)
【文献】 米国特許第4966332(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C 13/00−13/31
B02C 18/00−18/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸に互いの軸線を同軸上に配した状態で固着される刃受台と、
前記軸線中心の径方向外側に切刃部を配して前記刃受台の外周に着脱可能に取り付けられ、前記軸線中心の周方向に複数並設される破砕刃とを備えてなる破砕機用の回転刃であって、
前記刃受台の外周端部、及び前記刃受台の外周端部に当接する前記破砕刃の当接部には、前記周方向を向き、互いに面接触して係合する係合面を備えた段部が形成され、
且つ、前記刃受台の外周端部、及び/又は前記破砕刃の当接部には、ピン孔が凹設されており、
前記段部が係合することにより、前記刃受台に対して前記破砕刃を位置決めしつつ前記破砕刃の前記周方向の移動を規制し、
前記ピン孔にピンを嵌合させることにより、前記刃受台に対して前記破砕刃の前記軸線方向の移動を規制し、前記破砕刃を位置決めするように構成され
前記ピン孔に前記ピンを嵌合させた状態で前記ピンと前記ピン孔の内面の前記周方向の間のみに隙間が形成されるように、前記ピン孔が長孔状に形成されていることを特徴とする破砕機用の回転刃。
【請求項2】
請求項1記載の破砕機用の回転刃において、
前記刃受台の外周端部と前記破砕刃の当接部にそれぞれピン孔が凹設され、
前記刃受台及び前記破砕刃と個別に形成されたピンを前記刃受台の外周端部と前記破砕刃の当接部に形成された一対のピン孔に嵌合させることにより、前記刃受台に対して前記破砕刃の前記軸線方向の移動を規制するように構成されていることを特徴とする破砕機用の回転刃。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の破砕機用の回転刃において、
前記刃受台の外周端部及び前記破砕刃の当接部に形成された一対の前記段部の互いに係合して面接触する一対の係合面がそれぞれ、前記軸線方向の厚さ方向中央に向かうに従い漸次前記周方向に突出あるいは凹むテーパー状に形成されていることを特徴とする破砕機用の回転刃。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、破砕機用の回転刃に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プラスチックや木片、紙、金属、ゴム、繊維、皮革などを破砕処理する手段として破砕機が用いられている。そして、この種の破砕機には、軸線周りに回転する断面多角形状の回転軸と、回転軸を多角形状の中心孔に挿入して回転軸に嵌着され、回転軸とともに軸線周りに回転して破砕対象物を破砕する複数の回転刃と、回転軸の軸線方向に隣り合う回転刃の間に介設される複数のスペーサとを備えて構成したものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、例えば一般廃棄物や産業廃棄物などの破砕に用いられる破砕機には、例えば2軸式破砕機が多用されている。すなわち、回転軸と複数の回転刃と複数のスペーサからなる複数の破砕機構を備え、これら破砕機構の互いの回転軸の軸線を並行にし、且つ互いの回転刃の一部が軸線方向に重なるように回転刃を千鳥状に配置して構成した破砕機が用いられている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
一方、このような破砕機用の回転刃Aには、図16に示すように、回転軸1を挿入させる多角形状の中心孔2を有して環状に形成するとともに、外周に複数の切刃部3を軸線O1中心の周方向に等間隔に形成して構成したものがある。
【0005】
しかしながら、この回転刃Aにおいては、例えば回転刃Aの切刃部(刃先)3などに摩耗が生じて交換する際、破砕機の回転軸1から回転刃A全体を取り外すことが必要になる。特に、2軸式破砕機などでは、複数の破砕機構の回転刃Aが千鳥状に配置されているため、ある1つの回転刃Aを交換する場合であっても、また、回転刃Aの一部の切刃部3が摩耗した場合であっても、破砕機の回転軸1に取り付けられた多数の回転刃Aやスペーサを回転軸1から取り外す必要が生じ、多大な労力と時間を要する。
【0006】
これに対し、例えば図17から図19に示すように、多角形状の中心孔2に回転軸1を挿通して嵌着される刃受台4と、刃受台4の外周4aに固定ボルト5で着脱可能に固着して、軸線O1中心の周方向に複数並設される破砕刃(刃先片)6を備えて構成した回転刃B、C、Dがある。すなわち、それぞれ切刃部6aを備えた複数の破砕刃6を分割して備え、これら複数の破砕刃6を刃受台4に対して個別に着脱可能に構成した回転刃B、C、Dがある。そして、このように構成した回転刃B、C、Dにおいては、破砕刃6(切刃部6a)を個別に取り外すことができるため、図16に示した刃先部一体型の回転刃Aと比較し、回転刃の交換作業を容易に行うことが可能になる。
【0007】
また、複数の破砕刃6を備えた回転刃には、例えば、図17に示すように、軸線O1中心の周方向に隣り合う破砕刃6同士を係合させるキータイプの回転刃Bや、図18に示すように、各破砕刃6の周方向の片側に段付き部6bを設け、破砕刃6と刃受台4を段付き部6bで係合させる片側段付きタイプの回転刃Cや、図19に示すように、インロー、テーパー構造のインロー6cを用いて破砕刃6を固定するインロー固定タイプの回転刃Dなどがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第2850999号公報
【特許文献2】特許第3639921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記従来の図17図18に示したキータイプの回転刃Bや片側段付きタイプの回転刃Cにおいては、各破砕刃6を刃受台4に取り付ける際に、単に固定ボルト5で固定しただけでは破砕刃6を高精度で位置決めすることができず、破砕刃6の交換作業に手間がかかる。
【0010】
また、周方向に隣り合う破砕刃6の互いに当接する係合面が破砕スラスト力の受け面となり、この破砕スラスト力の受け面の面積が小さい。このため、破砕時に各破砕刃6が不安定になりやすく、破砕刃6の位置が周方向にずれ、さらに、軸線O1方向(厚さ方向)にずれてしまうと破砕精度、破砕効率が大幅に低下するという不都合が生じる。
【0011】
一方、上記従来の図19に示したインロータイプの回転刃Dにおいては、インロー及びテーパー傾斜の合わせ加工が難しく、加工費用が高くなってしまう。また、テーパー部での高さ方向を同一にすることが難しく、隣り合う破砕刃6の周方向のレベルにバラツキが生じやすい。さらに、破砕刃6と刃受台4のテーパー部は相性があり、ロット部品によっては傾斜が合わないなどの不都合が生じる。また、図17図18に示した回転刃B、Cと同様、破砕スラスト力の受け面の面積が小さいため、やはり、破砕時に各破砕刃6が不安定になりやすく、破砕刃6の位置が周方向にずれ、さらに、軸線O1方向(厚さ方向)にずれてしまうと破砕精度、破砕効率が大幅に低下するという不都合が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の破砕機用の回転刃は、回転軸に互いの軸線を同軸上に配した状態で固着される刃受台と、前記軸線中心の径方向外側に切刃部を配して前記刃受台の外周に着脱可能に取り付けられ、前記軸線中心の周方向に複数並設される破砕刃とを備えてなる破砕機用の回転刃であって、前記刃受台の外周端部、及び前記刃受台の外周端部に当接する前記破砕刃の当接部には、前記周方向を向き、互いに面接触して係合する係合面を備えた段部が形成され、且つ、前記刃受台の外周端部、及び/又は前記破砕刃の当接部には、ピン孔が凹設されており、前記段部が係合することにより、前記刃受台に対して前記破砕刃を位置決めしつつ前記破砕刃の前記周方向の移動を規制し、前記ピン孔にピンを嵌合させることにより、前記刃受台に対して前記破砕刃の前記軸線方向の移動を規制し、前記破砕刃を位置決めするように構成され、前記ピン孔に前記ピンを嵌合させた状態で前記ピンと前記ピン孔の内面の前記周方向の間のみに隙間が形成されるように、前記ピン孔が長孔状に形成されていることを特徴とする。

【0013】
また、本発明の破砕機用の回転刃においては、前記刃受台の外周端部と前記破砕刃の当接部にそれぞれピン孔が凹設され、前記刃受台及び前記破砕刃と個別に形成されたピンを前記刃受台の外周端部と前記破砕刃の当接部に形成された一対のピン孔に嵌合させることにより、前記刃受台に対して前記破砕刃の前記軸線方向の移動を規制するように構成されていることが望ましい。
【0014】
さらに、本発明の破砕機用の回転刃においては、前記ピン孔に前記ピンを嵌合させた状態で前記ピンと前記ピン孔の内面の前記周方向の間に隙間が形成されるように、前記ピン孔が長孔状に形成されていることがより望ましい。
【0015】
また、本発明の破砕機用の回転刃においては、前記刃受台の外周端部及び前記破砕刃の当接部に形成された一対の前記段部の互いに係合して面接触する一対の係合面がそれぞれ、前記軸線方向の厚さ方向中央に向かうに従い漸次前記周方向に突出あるいは凹むテーパー状に形成されていることがさらに望ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の破砕機用の回転刃においては、まず、破砕刃のみの交換を行うことができるため、従来の切刃部一体型の破砕刃と比較し、回転刃(切刃部)の交換作業を容易にし、回転刃の交換に要する時間、ひいてはコストを大幅に低減することが可能になる。
【0017】
また、本発明の破砕機用の回転刃においては、刃受台の外周端部及び破砕刃の当接部に互いに面接触して係合する段部が形成されていることにより、互いの段部を係合させるだけで各破砕刃の周方向の位置決めを行うことができる。さらに、刃受台の外周端部及び/又は破砕刃の当接部のピン孔にピンを嵌合させながら破砕刃を刃受台に取り付けることで、軸線方向(厚さ方向)の位置決めを行うことができる。これにより、刃受台に破砕刃を取り付ける際に、破砕刃の周方向、軸線方向、高さ方向(前後、左右、高さ)の位置決めを容易に且つ精度よく行うことができ、芯出し作業を不要にすることが可能になる。
【0018】
また、このように容易に且つ高精度で破砕刃の取付けを行えるとともに、段部だけでなくピンによって破砕刃が刃受台に係合、接続されるため、段部(段部の係合面)とピン、ピン孔とにより、大きな面積で破砕スラスト力を受けることができる。これにより、従来の回転刃と比較し、破砕刃を安定した状態で保持することができ、破砕精度、破砕効率を大幅に向上させることが可能になる。
【0019】
さらに、段部を係合させたり、ピン孔にピンを嵌合させるだけで、破砕刃と刃受台の合わせ部(当接部、外周端部)の形成精度に高精度を求める必要がなく、すなわち、破砕刃と刃受台の相性がなく、どのロット部品の破砕刃でも取り付けることが可能になりうる。
【0020】
さらに、本発明の破砕機用の回転刃においては、刃受台の外周端部と破砕刃の当接部にそれぞれピン孔を凹設し、個別に形成されたピンを刃受台と破砕刃の一対のピン孔に嵌合させるように構成すると、これらのピン孔やピンを単独で形成することができ、刃受台及び破砕刃やピンを容易に形成、製造することができる。これにより、回転刃の低コスト化を図ることが可能になる。
【0021】
また、本発明の破砕機用の回転刃においては、ピン孔を長孔状に形成し、ピン孔にピンを嵌合させた状態でピンとピン孔の内面の周方向の間に隙間が形成されるようにすると、刃受台の外周端部及び破砕刃の当接部の互いの段部によって破砕刃の周方向の位置決め、刃受台の外周端部及び/又は破砕刃の当接部のピン孔とピンによって破砕刃の軸線方向の位置決めを行うことができる。これにより、破砕刃の周方向、軸線方向、高さ方向の位置決めを容易に且つ精度よく行うことができる。
【0022】
そして、このとき、ピン孔が長孔状に形成されていることで、破砕刃の周方向の移動は段部だけで規制されることになる。このため、ピン孔やピンを高精度で形成しなくても、破砕刃の位置決め精度を高精度で確保することが可能になる。これにより、刃受台や破砕刃(回転刃)の製造歩掛りの向上、製造コストの低減を図ることが可能になる。
【0023】
さらに、本発明の破砕機用の回転刃においては、刃受台及び破砕刃の一対の段部の一対の係合面がそれぞれ、軸線方向の厚さ方向中央に向かうに従い漸次周方向に突出あるいは凹むテーパー状に形成されていると、刃受台の段部に破砕刃の段部を係合させるとともに、互いのテーパー状の係合面によって破砕刃を所定の位置に誘導して位置決めすることができる。これにより、さらに容易に且つ高精度で破砕刃を位置決めして刃受台に取り付けることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態に係る破砕機用の回転刃を示す図(上半図)である。
図2図1のX1−X1線矢視図であり、本発明の一実施形態に係る破砕機用の回転刃の刃受台の外周端部を示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係る破砕機用の回転刃の破砕刃を示す正面図である。
図4図3のX1−X1線矢視図である。
図5図3のX2−X2線矢視図である。
図6図3のX3−X3線矢視図である。
図7】本発明の一実施形態に係る破砕機用の回転刃において、刃受台に破砕刃を取り付ける方法を示す図である。
図8】本発明の一実施形態に係る破砕機用の回転刃を示す図(上半図)である。
図9図8のX1−X1線矢視図であり、破砕機用の回転刃の刃受台の外周端部を示す図である。
図10】本発明の一実施形態に係る破砕機用の回転刃の変更例を示す図(上半図)である。
図11図10のX1−X1線矢視図であり、破砕機用の回転刃の刃受台の外周端部を示す図である。
図12図10の破砕機用の回転刃の破砕刃を示す正面図である。
図13図12のX1−X1線矢視図である。
図14図12のX2−X2線矢視図である。
図15図12のX3−X3線矢視図である。
図16】従来の破砕機用の回転刃を示す正面図である。
図17】従来の破砕機用の回転刃を示す正面図である。
図18】従来の破砕機用の回転刃を示す正面図である。
図19】従来の破砕機用の回転刃を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図1から図9を参照し、本発明の一実施形態に係る破砕機用の回転刃について説明する。
【0026】
はじめに、本実施形態の破砕機は、例えば一般廃棄物や産業廃棄物などの大型の破砕対象物の破砕に用いられる周知の2軸式破砕機などであり、回転軸と複数の回転刃と複数のスペーサからなる複数の破砕機構を備え、破砕機構の互いの回転軸の軸線を並行にし、且つ互いの回転刃の一部が軸線方向に重なるように回転刃を千鳥状に配し、各破砕機構の回転軸とともに回転刃を軸線周りに回転させることによって、廃棄物などをせん断破砕できるように構成されている。
【0027】
一方、このような破砕機に具備される本実施形態の回転刃(破砕機用の回転刃)Eは、図1に示すように、破砕機の破砕機構の軸線O1周りに回転する回転軸1を、多角形状の中心孔2に挿通して嵌着され、回転軸1に互いの軸線O1を同軸上に配した状態で固着される刃受台10と、軸線O1中心の径方向外側に切刃部11aを配して刃受台10の外周に着脱可能に取り付けられ、軸線O1中心の周方向に隙間なく複数並設される破砕刃11とを備えて構成されている。
【0028】
また、本実施形態の回転刃Eは、図1に示すように、刃受台10と破砕刃11にそれぞれ、ボルト挿通孔7、8が形成され、ボルト挿通孔7、8に固定ボルト5を挿通し、螺着させることにより、刃受台10の外周端部10aの所定位置に破砕刃11を着脱可能に固着するように構成されている。
【0029】
さらに、この回転刃Eは、図1図2図3から図6に示すように、刃受台10の外周端部10a、及び刃受台10の外周端部10aに当接する破砕刃11の当接部11bに、軸線O1中心の周方向(略周方向を含む)を向き、互いに面接触して係合する係合面12a、13aを備えた段部12、13が形成されている。また、本実施形態では、これら段部12、13の係合面12a、13aが軸線O1に沿う平面状で形成されている。
【0030】
さらに、本実施形態において、回転刃Eの刃受台10の外周端部10a及び破砕刃11の当接部11bにはそれぞれ、所定位置に円形孔のピン孔14、15が凹設されている。
【0031】
そして、図7に示すように、本実施形態の回転刃Eにおいて、刃受台10に破砕刃11を取り付ける際には、刃受台10及び破砕刃11と個別に形成され、ピン孔14、15と略同径の円柱状のピン16の一端部側を破砕刃11のピン孔15に嵌合させ、破砕刃11とともにピン16の他端部側を刃受台10のピン孔14に嵌合させる。
【0032】
このとき、本実施形態では、ピン16を刃受台10のピン孔14に嵌合させ、破砕刃11の当接部11bが刃受台10の外周端部10aに密着するとともに、刃受台10の段部12の係合面12aと破砕刃11の段部13の係合面13aとが面接触して係合する。
【0033】
このように互いの段部12、13が係合することにより、刃受台10に対して破砕刃11が位置決めされ、且つ破砕刃11の周方向の移動が規制される。また、ピン孔14、15にピン16が嵌合することにより、刃受台10に対して破砕刃11の軸線O1方向(厚さ方向)の移動が規制される。さらに、本実施形態では、刃受台10と破砕刃11に形成されたピン孔14、15とピン16とが略同径の円形で形成されているため、ピン孔14、15にピン16が嵌合することにより、刃受台10に対して破砕刃11の軸線O1方向(厚さ方向)の移動も規制される。よって、ピン孔14、15にピン16を嵌合させるだけで、破砕刃11を位置決めしながら刃受台10の所定位置に配置して取り付けることができる。また、固定ボルト5で容易に固着することができる。
【0034】
ここで、図8及び図9に示すように、ピン16を嵌合させた状態でピン16とピン孔14(15)の周方向の間に隙間が形成されるように、刃受台10と破砕刃11に形成される少なくとも一方のピン孔14(15)を長孔状に形成することが好ましい。
【0035】
この場合には、例えば、破砕刃11のピン孔15にピン16の一端部側を嵌合し、破砕刃11とともにピン16の他端部側を刃受台10の長孔状のピン孔14に他端部側を嵌合させ、破砕刃11の当接部11bを刃受台10の外周端部10aに密着させる。そして、破砕刃11をスライド移動させて刃受台10の段部12の係合面12aと破砕刃11の段部13の係合面13aとを面接触させ、刃受台10と破砕刃11の段部12、13を係合させる。
【0036】
これにより、互いの段部12、13が係合することで、刃受台10に対して破砕刃11が位置決めされ、且つ破砕刃11の周方向の移動が規制される。また、ピン孔14、15にピン16が嵌合することにより、さらに少なくとも一方のピン孔14、15が長孔状であることにより、刃受台10に対して破砕刃11の軸線O1方向の移動(のみ)が規制される。よって、この場合においても、ピン孔14、15にピン16を嵌合させるだけで、破砕刃11を位置決めしながら刃受台10の所定位置に配置して取り付けることができる。また、固定ボルト5で容易に固着することができる。
【0037】
したがって、本実施形態の破砕機用の回転刃Eにおいては、まず、破砕刃11のみの交換を行うことができるため、従来の切刃部一体型の破砕刃と比較し、回転刃(切刃部)の交換作業を容易にし、回転刃の交換に要する時間、ひいてはコストを大幅に低減することが可能になる。
【0038】
また、刃受台10の外周端部10a及び破砕刃11の当接部11bに互いに面接触して係合する段部12、13が形成されていることにより、互いの段部12、13を係合させるだけで各破砕刃11の周方向の位置決めを行うことができる。さらに、刃受台10の外周端部10a及び(又は)破砕刃11の当接部11bのピン孔14、15にピン16を嵌合させながら破砕刃11を刃受台10に取り付けることで、軸線O1方向の位置決めを行うことができる。これにより、刃受台10に破砕刃11を取り付ける際に、破砕刃11の周方向、軸線方向、高さ方向(前後、左右、高さ)の位置決めを容易に且つ精度よく行うことができ、芯出し作業を不要にすることが可能になる。
【0039】
また、このように容易に且つ高精度で破砕刃11の取付けを行えるとともに、段部12、13だけでなくピン16によって破砕刃11が刃受台10に係合、接続されるため、段部12、13(段部12、13の係合面12a、13a)とピン16、ピン孔14、15とにより、大きな面積で破砕時に作用する破砕スラスト力を受けることができる。これにより、従来の回転刃と比較し、破砕刃11を安定した状態で保持することができ、破砕精度、破砕効率を大幅に向上させることが可能になる。
【0040】
さらに、段部12、13を係合させたり、ピン孔14、15にピン16を嵌合させるだけで、破砕刃11と刃受台10の合わせ部(当接部11b、外周端部10a)の形成精度に高精度を求める必要がなく、すなわち、破砕刃11と刃受台10の相性がなく、どのロット部品の破砕刃11でも刃受台10の外周端部10aに好適に取り付けることが可能になる。
【0041】
さらに、本実施形態の破砕機用の回転刃Eにおいては、刃受台10の外周端部10aと破砕刃11の当接部11bにそれぞれピン孔14、15を凹設し、個別に形成されたピン16を刃受台10と破砕刃11の一対のピン孔14、15に嵌合させるように構成した。この場合には、これらのピン孔14、15やピン16を単独で形成することができ、刃受台10及び破砕刃11やピン16を容易に形成、製造することができる。これにより、回転刃Eの低コスト化を図ることが可能になる。
【0042】
また、ピン孔14(15)を長孔状に形成し、ピン孔14(15)にピン16を嵌合させた状態でピン16とピン孔14、15の内面の周方向の間に隙間が形成されるようにすると、刃受台10の外周端部10a及び破砕刃11の当接部11bの互いの段部12、13によって破砕刃11の周方向の位置決め、刃受台10の外周端部10a及び破砕刃11の当接部11bのピン孔14、15とピン16によって破砕刃11の軸線O1方向の位置決めを行うことができる。よって、この場合においても、破砕刃11の周方向、軸線方向、高さ方向の位置決めを容易に且つ精度よく行うことができる。
【0043】
そして、このとき、ピン孔14(15)が長孔状に形成されていることで、破砕刃11の周方向の移動は段部12、13で規制され、軸線O1方向の移動がピン16で規制される。このため、ピン孔14、15やピン16を高精度で形成しなくても、破砕刃11の位置決め精度を高精度で確保することが可能になる。これにより、刃受台10や破砕刃11(回転刃E)の製造歩掛りの向上、製造コストの低減を図ることが可能になる。
【0044】
以上、本発明に係る破砕機用の回転刃の一実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0045】
本実施形態では、ピン孔14、15が円形孔(長孔/楕円形孔含む)で形成され、ピン16が円柱状に形成されているものとしたが、ピン及びピン孔は刃受台10に対して破砕刃11の少なくとも軸線O1方向の移動を規制することが可能に形成されていればよい。例えば、ピン孔を溝等にしたり、ピンを板状に形成してもよい。
【0046】
また、本実施形態では、ピン16が刃受台10や破砕刃11と個別に形成されているものとしたが、予めピン16を刃受台10又は破砕刃11に一体に設けて、刃受台10又は破砕刃11を形成してもよい。この場合においても、本実施形態と同様の作用効果を得ることが可能である。
【0047】
さらに、本実施形態では、刃受台10及び破砕刃11の一対の段部12、13の一対の係合面12a、13aが軸線O1に沿う平面状で形成されているものとした。これに対し、例えば図10から図15に示すように、係合面12a、13aをそれぞれ、軸線O1方向の厚さ方向中央に向かうに従い漸次周方向に突出あるいは凹むテーパー状に形成してもよい。そして、この場合には、刃受台10の段部12に破砕刃11の段部13を係合させるとともに、互いのテーパー状の係合面12a、13aによって破砕刃11を所定の位置に誘導して位置決めすることができる。これにより、さらに容易に且つ高精度で破砕刃11を位置決めして刃受台10に取り付けることが可能になる。
【符号の説明】
【0048】
1 回転軸
2 中心孔
3 切刃部
4 刃受台
4a 外周
5 固定ボルト
6 従来の破砕刃
6a 切刃部
7 ボルト挿通孔
8 ボルト挿通孔(雌ネジ孔)
10 刃受台
10a 外周端部
11 破砕刃
11a 切刃部
11b 当接部
12 段部
12a 係合面
13 段部
13a 係合面
14 ピン孔
15 ピン孔
16 ピン
A 従来の破砕機用の回転刃
B 従来の破砕機用の回転刃
C 従来の破砕機用の回転刃
D 従来の破砕機用の回転刃
E 破砕機用の回転刃
O1 軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19