(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記デマンド物質が、活性炭、処理された活性炭、アルミナ、シリカゲル、ホプカリット、モレキュラーシーブ、有機金属構造体、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の装置。
【発明を実施するための形態】
【0007】
空気清浄化レスピレーターなどの空気清浄機の有用な耐用期間の終点をモニター及び検出するための方法、及び装置に対する必要性が存在する。ときには耐用期間の終点インジケータ又はESLIと呼ばれる、このような装置は、様々な環境で使用するのに充分堅牢で、かつこの装置の使用者と共に場所から場所に移動できるように充分に可搬型でなければならない。
【0008】
空気清浄機の有用な耐用期間の終点をモニター及び検出するための可搬型装置が開示される。これらの可搬型装置は、有機蒸気への暴露に対して防御するように設計されたレスピレーターの有用な耐用期間の終点のモニター及び検出に特に好適である。本明細書で使用される用語「有機蒸気」は、呼吸する空気中に存在する場合、人々に有害であり得る広範な揮発性の空中浮遊有機化合物を指す。有機蒸気の例には、イソプロパノール及びブタノールなどのアルコール;ヘキサン及びオクタンなどのアルカン;ベンゼン、トルエン、キシレン、及びスチレンなどの芳香族;クロロホルム及びメチレンクロリドなどのハロカーボン;アセトン及びメチルエチルケトンなどのケトン;テトラヒドロフランなどのエーテル;エチルアセテート及びエトキシエチルアセテートなどのエステル;メチルアクリレートなどのアクリレート;アセトニトリルなどのニトリル;トルエン−2,4−ジイソシアネートなどのイソシアネート等が挙げられるが、これらに限定されない。典型的には、有機蒸気レスピレーターは、有機蒸気を捕捉及び保持する吸収性媒体を含む。
【0009】
本開示の可搬型装置は、デマンド物質、検出点を持つ検出要素、この検出要素用の読み取り装置、及び流体送達装置を含む。この検出要素はこのデマンド物質内に又はそれに近接して配置される。この可搬型装置は、この検出要素の検出点がフィルターカートリッジの耐用期間に相当するように相関付けられる。一部の実施形態では,検出点は、例えば、色変化などの光学的変化を含む。一部の実施形態では、この可搬型装置は容器を含み、容器は、少なくともこのデマンド物質を収め、及びこの検出要素も収めてもよい。
【0010】
広範な材料がこのデマンド物質としての使用に好適であり得る。本明細書で使用されるとき、用語「デマンド物質」は、有機蒸気を吸収する能力のある物質を指す。一部の実施形態では、このデマンド物質は収着性材料を含む。他の実施形態では,このデマンド物質は層状フィルムを含む。なお他の実施形態では、このデマンド物質は顆粒状又はモノリシックであってもよい。
【0011】
このデマンド物質が収着性材料を含む実施形態では、この収着性材料は、典型的には、有機蒸気を吸収又は吸着する能力がある。この収着性材料は、有機蒸気レスピレーターのフィルターカートリッジで使用される収着性材料と同一又は類似であってもよい。好適な収着性材料の例には、例えば、活性炭、処理された活性炭、アルミナ、シリカゲル、ホプカリット、モレキュラーシーブ、金属有機構造体、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0012】
開示される装置は、様々な吸着媒体を使用してもよい。吸着媒体は、意図される使用条件下に存在すると予想される目的とする蒸気を吸着することができる。吸着媒体は、望ましくは空気又は他の気体が滞りなく流れて通過するのを可能にするほど充分に多孔質であり、微粉固体の形状(例えば、粉、ビーズ、フレーク、粒剤、又は粒塊)又は多孔質の固体(例えば、連続気泡発泡体又は多孔質のモノリシック材料)であってもよい。特に好ましい吸着媒体材料には、活性炭;アルミナ、及び目的とする蒸気を吸着によって除去することができるその他の金属酸化物;酢酸などの酸性溶液若しくは水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ性溶液で処理した粘土及び他の鉱物;モレキュラーシーブ及びその他のゼオライト;シリカなどのその他の無機吸着剤;並びに「スチロソルブズ」(例えばV.A.Davankov及び「P.Tsyurupa」のPure and Appl.Chem.,vol.61,pp.1881〜89、(1989)、及びL.D.Belyakova、T.I.Schevchenko、V.A.Davankov及びM.P.TsyurupaのAdv.in Colloid and Interface Sci.vol.25,pp.249〜66(1986)に記載されているようなもの)として知られている高度に架橋したスチレン性ポリマーなどの高架橋結合系を包含する有機吸着剤が挙げられる。活性炭及びアルミナは、特に好ましい吸着媒体である。例えば、目的の蒸気の混合を吸収するために、吸着媒体の混合物が使用され得る。微粉化した形態の場合、吸着剤の粒径は大きく変えることができ、通常は、意図される使用条件に一部基づいて選択される。一般的なガイドとして、微粉化した吸着媒体粒子の大きさは、平均直径約4〜約5000マイクロメートルまで、例えば、平均直径約30〜約1500マイクロメートルまで変化し得る。異なる寸法範囲の吸着媒体粒子の混合物を、(例えば、吸着媒体粒子の二峰性混合物で又は上流の層に大きい方の吸着剤粒子を利用し、下流の層に小さい方の吸着粒子を用いた多層配列で)利用することもできる。例えば、米国特許第3,971,373号(Braunら)、同第4,208,194号(Nelson)、及び同第4,948,639号(Brookerら)、及び米国特許出願公開番号2006/0096911 A1(Breyら)に記載されている、好適な結合剤(例えば、結合カーボン)と組み合わせた吸着媒体、又は好適な支持体の上又は内に捕捉された吸着媒体を使用してもよい。
【0013】
広範な検出要素が本開示の装置での使用に好適である。一部の実施形態では、検出要素は、デマンド物質と同一の容器内に配置される。他の実施形態では、検出要素は容器内に配置されないが、デマンド物質を出る流れが検出要素とぶつかる。
【0014】
デマンド物質が暴露の条件において検体と平衡化したとき、検出要素は、例えばその光学特性(比色分析変化(輝度、反射光の強度等)によって明かであり得るように)の少なくとも1つの変化を受けることによって、検体に光学的に応答する。
【0015】
検出要素の選択は、使用される検出要素用の読み取り装置の性状を含む、様々な基準に依存する。読み取り装置が人間の肉眼であるとすると、検出要素は容易に判別可能な光学的変化を示さなければならない。しかしながら、電子読み取り装置を使用する場合には、より複雑な又は微妙な光学的変化が好適である。
【0016】
一部の実施形態では、検出要素はフィルムである。フィルムは多層を有してもよく、及び比色フィルム(すなわち、このフィルムは有機検体への暴露時に色を変える)であってもよく、又は有機検体への暴露時にある他の検出可能な光学変化を受けてもよい。好適なセンサーフィルムの例は、米国特許第7,449,146号(Rakowら)及び米国特許公告第2008/0063575号及び第2008/0063874号(Rakowら)に記述されている。
【0017】
多層フィルム構成であるときには、検出要素は、典型的には多孔質検出層、半反射層、及び反射層を含む。多孔質検出層は、特別な化学的検体の存在下で変化する光学厚さを有する。半反射層は外部から視ることができ、一般的に検体蒸気が透過しない。反射層は、一般に検体蒸気に対して透過性であり、化学的検体が、反射層を通じて検出層に入り、半反射層を通じて見たときに、検出要素の外観に視覚的に認識可能な変化を生じるのに充分に検出層光学厚さを変化させることができる。
【0018】
反射層は、例えば、約1〜約500ナノメートル(nm)の物理的厚さ、500nmにおいて約0〜約80%の光透過性及び500nmにおいて約100〜約20%の反射性を有し得る。反射層は、一般に、多孔質、パターン形状、不連続的、半連続的、又は別の方法により充分に透過性であって、蒸気は、吸着媒体から反射層を通って検出層へと入ることができる。
【0019】
検出層の混合物は、均質、又は不均質であってもよく、例えば、無機化合物の混合物、有機化合物の混合物、又は無機及び有機化合物の混合物から作製することが可能である。構成成分の混合物から作製される検出層は、検体の群の改善された検出を提供できる。検出層は、望ましくは、吸着媒体の蒸気収着特性と同様な、蒸気収着特性をもたらすように選択される孔径、又は表面積の範囲を有する。好適な多孔質は、米国特許第6,573,305 B1号(Thunhorstら)に記載されるものなどのような、高内相エマルションから作製されるフォームなどの多孔質の材料を使用して得ることができる。多孔質は、また、微小多孔質材料を作製するために二酸化炭素発泡により(「Macromolecules」、2001、34巻、pp.8792〜8801を参照)、又はポリマーブレンドのナノ相分離(「Science」、1999、283巻、p.520参照)によって得ることもできる。一般的に、孔の直径は、好ましくは、望ましいインジケータ着色のピーク波長よりも小さい。例えば、約0.5〜約20nm、0.5〜約10nm、0.5〜約5nmの平均孔径のナノサイズの孔が好ましい。
【0020】
代表的な無機検出層材料としては、光学的干渉によって色、又は比色的変化を生じるのに適切な厚さの透明及び多孔質の層に形成可能な多孔質シリカ、金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物、及び他の無機材料が挙げられる。例えば、無機検出層材料は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、窒化チタン、酸窒化チタン、酸化スズ、酸化ジルコニウム、ゼオライト、又はこれらの組み合わせであってよい。多孔質シリカは、堅牢性及び湿式エッチング処理との適合性によって、特に望ましい無機検出層材料である。
【0021】
多孔質シリカを、例えば、ゾル−ゲル加工経路を使用して作製し、有機テンプレート有又は無のいずれでも製造してもよい。代表的な有機テンプレートとしては、当業者には明白な、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩などのアニオン性又は非イオン性界面活性剤、ポリ(エチレンオキシド−コ−プロピレンオキシド)ブロックコポリマー及び他の界面活性剤又はポリマーが挙げられる。ゾル−ゲル混合物をケイ酸塩に変え、有機テンプレートを取り除いてシリカ内のミクロ孔の網状組織を残してもよい。代表的な多孔質シリカ材料は、OgawaらのCehm.Commun.pp.1149〜1150(1996)、KresgeらのNature,Vol.359,pp.710〜712(1992)、JiaらのChemistry Letters,Vol.33(2),pp.202〜203(2004)、及び米国特許第5,858,457号(Brinkerら)に記述されている。様々な有機分子も有機テンプレートとして採用することができる。例えば、グルコースやマンノースなどの糖類を有機テンプレートとして使用して、多孔質シリケートを生成してもよく、これについては、WeiらのAdv.Mater.1998,Vol.10,p.313(1998)を参照のこと。微小孔をより疎水性にし、水蒸気の収着を制限するために、有機置換シロキサン又は有機−ビス−シロキサンを、このゾル−ゲル組成物内に含めてもよい。プラズマ化学蒸着を利用して、多孔質の無機検出材料を生成させてもよい。この方法論は、一般に、ガス状前駆体からプラズマを形成し、プラズマを基材に蓄積させて非晶質でランダムな共有網状組織層を形成した後、この非晶質の共有網状組織層を加熱して、微小多孔質の非晶質でランダムな共有網状組織層を形成することにより、検体検出層を形成することを伴う。このような材料の例は、米国特許第6,312,793号(Grillら)及び米国特許出願公開第2007/0141580(A1)号(Mosesら)に記述されている。
【0022】
代表的な有機検出層材料には、疎水性アクリレート及びメタクリレート、二官能性モノマー、ビニルモノマー、炭化水素モノマー(オレフィン)、シランモノマー、フッ素化モノマー、ヒドロキシル化モノマー、アクリルアミド、無水物、アルデヒド官能化モノマー、アミン官能化若しくはアミン塩官能化モノマー、酸官能化モノマー、エポキシド官能化モノマー、並びにこれらの混合物又は組み合わせを包含するモノマーの類から作製した又は作製可能な、ポリマー、コポリマー(ブロックコポリマーを包含する)、及びこれらの混合物が挙げられる。米国特許出願公開第2004/0184948号は、このようなモノマーの広範なリストを含み、更なる詳細についてはこれを参照のこと。固有微小多孔質(PIM)を有する上述のポリマーは、特に望ましい検出媒体を提供する。PIMは、典型的には、微小多孔質固体を形成する非網状ポリマーである。PIMは、典型的に高度に剛性で回旋状の分子構造のために、空間を有効に満たすことができず、したがって開示されている微小多孔質構造を提供する。好適なPIMには、Buddらの「Polymers of intrinsic microporosity(PIMs):robust,solution−processable,organic microporous materials」(Chem.Commun.,2004,pp.230〜231)に開示されたポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。更なるPIMは、Buddら、J.Mater.Chem.,2005,15,pp.1977〜1986、McKeownら、Chem.Eur.J.2005,11,No.9,2610〜2620、及びPCT国際特許出願第WO 2005/012397 A2(McKeownら)に開示されている。
【0023】
有機検出層内の1つ以上のポリマーは、少なくとも部分的に架橋されていてよい。架橋は、機械的安定性及び一定の検体に対する感度を向上するため、いくつかの実施形態では望ましい。架橋は、1つ以上の多官能モノマーを検出層に組み込むこと、検出層を例えば、電子線又はガンマ線処理に付すること、配位化合物又はイオン性化合物を検出層内に添加又は形成すること、又は水素結合を検出層内に形成することにより達成することができる。一つの代表的な実施形態では、架橋をポロゲンの存在下で行い、その後、ポロゲンを架橋系から抽出して、多孔質検出層が得られる。好適なポロゲンとしては、直鎖アルカン(例えば、デカン)又は芳香族(例えば、ベンゼン又はトルエン)などの、不活性有機分子が挙げられるが、これらに限定されない。他の架橋ポリマーとしては、上述の高度に架橋されたスチレンポリマーが挙げられる。
【0024】
所望ならば、検出層材料は、その表面特性又は吸着特性を変性するために処理されてもよい。様々な、このような処理は、例えば、無機検出層の微小細孔を好適なオルガノシラン化合物に暴露することにより利用されてもよい。検出媒体を、部分的反射層又は反射層と検出層との間の接着を促進するために、好適な接着促進材料(例えば、チタニウム又は別の好適な金属から作製される連結層)により処理してもよく、又は代わりに処理する。このような処理はまた、検出媒体との接着を促進するために、部分的に反射層又は反射層にも適用されてよい。
【0025】
多くの用途には、検出層は望ましくは疎水性である。これは、水蒸気(又は液体水)が、検出層の光学的厚さを変化させ、例えば有機溶媒蒸気の検出など、検体の検出を妨げる機会を低減する。検出層を単層又は2層以上の亜層から作製してもよい。
【0026】
検出要素は、また、2009年10月23日出願の代理人整理番号65867US002「Patterned Chemical Sensor Having Inert Occluding Layer」に記述されているものなどのパターン形の化学センサーであってもよい。これらのパターン形センサーは、検出層、及びフィルム体に結合し、この検出層の一部分を閉塞する閉塞層を含むフィルム体を含むフィルムを含む。検出層は有機化合物に対して応答性である、すなわち、検出層は有機化合物への暴露時に色を変える。閉塞層は、検出対象の化合物の閉塞領域への接近及び色変化の発生を妨げる。この配列の正味の効果は、単一のフィルム体においては、有機化合物への暴露時に検出層の「古い」色(すなわち、初期の色の状態)及び「新しい」色(すなわち、この検出層の変化した色の状態)が並列に存在し、変化が起こったかどうかの使用者による容易な決定を可能とさせるということである。
【0027】
変化のための検出要素を観察するために、様々な装置を読み取り装置として使用してもよい。読み取り装置の選択は、例えば、モニターの使用の容易さ、モニターの費用、モニターの可搬性、モニターの堅牢性、多様な信号(視覚及び音声信号などの)を提供するためのモニターの必要性等の様々な要素に依存することができる。
【0028】
一部の実施形態では、検出要素に対する読み取り装置は人間の眼であり、色変化などの検出要素の視覚的変化を観察するために検出要素のモニタリングは目視観察により行われる。この方法で、使用者、又は使用者のグループは、レスピレーターマスク又はレスピレーターマスク内のフィルターカートリッジの残りの耐用期間を容易にモニターすることができる。目視モニタリングはモニタリングの極めて単純で低廉な方法であり、追加の設備、電源、又は精巧な部品を必要としない。
【0029】
他の実施形態では、電子的光学読み取り装置を使用して、変化の検出に検出要素をモニターしてもよい。電子システムを使用する利点は、検出要素を読み取る精度が高いことを含み、モニターは多様な信号を提供することができる。例えば、電子読み取り装置が検出要素の変化を検出した場合には、環境中の使用者への警報として光をフラッシュさせることができ、音声信号を発生することができ、又は環境中で使用者が携行する電子受信機に電子信号を送ることができる。
【0030】
好適な電子的光学読み取り装置システムの例は、例えば2010年4月2日出願の代理人整理番号66214US002「Filter Systems Including Optical Analyte Sensors And Optical Readers」に記述されている。代表的な光学読み取り装置を
図7に示し、下記に説明する。典型的には、好適な光学読み取り装置は、少なくとも1つの光源及び少なくとも1つの検出器を含む。光学読み取り装置は、少なくとも1つの光源により出射された光の少なくとも一部分が検出要素から反射され、及び少なくとも1つの検出器により捕捉されるように構成可能である。
【0031】
1つ以上の光源は、様々な光源のいずれかを含み得る。例えば、発光ダイオード(LED)が使用されてもよい。特定の実施形態では、1つ以上の光源は1つ以上の相対的に広帯域の光源(例えば白色源)を含み得る。他の実施形態では、光源は、特定の(例えば比較的狭い)波長範囲で光を出射し、その範囲内の特定波長においてピークを有する、1つ以上の狭帯域光源(例えばLED)を含んでもよい。様々な実施形態では、このような狭帯域光源は、最大約50nm、最大約40nm、又は最大約25nmの電力半値帯域によって特徴付けることができる。使用してもよい代表的なLEDには、Optek(Carrollton,TX)から商品名OVLBx4C7で入手可能なもの、並びにOsramからのLS T676、LA T676、LO T676、LY T676シリーズなどの表面実装LEDが挙げられる。
【0032】
電子的光学読み取り装置における使用に好適な検出器には、例えば、光電子増倍管、光電池、光ダイオード、光トランジスタ、電荷結合素子等の光検出器を含む、入射光の量を測定することができる、様々なデバイスのいずれかが挙げられる。好適な検知器は、検出される光の量(例えば、検出要素から受信される反射光の明度又は反射光の強さに関連した信号(例えば、電圧、電流等))、及び本明細書において後述されるように更に処理され得る信号を提供するように機能することができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の検出器は、特定(例えば、比較的狭い)波長範囲の光を検出し得る。他の実施形態では、1つ以上の検出器は、波長の比較的広い範囲にわたって光を検出することができる、広帯域検出器を含み得る。種々の実施形態では、このような広帯域検出器は、少なくとも約150nm帯域、250nmの帯域、又は500nmの帯域の波長範囲にわたって光を検出することが可能であり得る。使用可能な代表的な検知器としては、OSRAM(Regensburg,Germany)から商品名SFH 2430で入手可能な光ダイオードが挙げられる。
【0033】
多数個の光源が光学式読み取り装置の一部として使用されてもよい。例えば、第1及び第2の光源は、それぞれ、第1及び第2スペクトル(又は波長)範囲、並びに第1及び第2ピーク波長により特徴付けられ得る。第1のスペクトル範囲は、第2のスペクトル範囲と異なってもよく、第1及び第2の光源は異なるピーク波長の光を出射することができる。このような設計では異なる光源を共通の検出器の次に組み込んでもよい。
【0034】
第1及び第2の光源は、それらのスペクトルが異なる波長範囲A及びB、並びに異なるピーク波長によって特徴付けられるように選択されてもよい。このような実施形態では、単一の(広帯域)光検出器を検出器として使用してもよい。複数の波長範囲において、光学式検体センサーから反射される光をモニタリングすることは、有意な利点をもたらすことができる。このような検出の様々な詳細及び原理は、例えば同一所有者の米国特許仮出願第61/164,496号(Hulteenら)に説明される。
【0035】
あるいは、光学読み取り装置は2つの光源及び2つの検出器を含んでもよい。このような光学読み取り装置も、少なくとも1つの光源により出射された光の少なくとも一部分が検出要素から反射され、及び少なくとも1つの検出器により捕捉されるように構成可能である。光源は、それぞれ、他の光源によって出射されるものとは異なるピーク波長を有する異なる波長範囲において光を出射してもよい。各光源は、対応する光源により出射される特定の波長範囲の光を検出するように設計された光検出器組み合わせて使用されてもよい。
【0036】
電子的光学読み取り装置は更なる部品を含んでもよい。例えば、電子的光学読み取り装置は、電池、1つ以上の光源などの警報装置、又はモニタースクリーン、及びアクチュエーターを更に含んでもよい。使用者は、アクチュエーターを起動して、光学読み取り装置による検出要素の問い合わせを開始してもよい。光学読み取り装置をシリアルインターフェースによりコンピューターなどの他の電子装置に接続してもよい。このように、光学読み取り装置は、例えば、ディスプレイに様々な情報を通信してもよい。
【0037】
モニター装置を通して流量を高信頼性制御することができる限り、広範な装置を流体送達装置としてもよい。有用な流体送達装置の内にはファン及びポンプがある。ファン又はポンプは、典型的には電動型であるが、一部の実施形態では手動ポンプなどの手動装置が好適であることもある。
【0038】
広範な好適なファン及びポンプが市販されている。1つの好適な部類のポンプは、KNF Neuberger,Inc.,(Trenton,NJ)から商品名NMP 05 S(ブラシ型モーター付きの)、NMP 09 M(無鉄心モーター付きの)、及びNMP 015 B(ブラシレスDCモーター付きの)で市販されている、マイクロダイアフラム気体サンプリングポンプである。他の好適なファン及びポンプは空気清浄化技術において公知である。
【0039】
この装置は容器を更に収めてもよい。この容器はデマンド物質を収めてもよく、又はデマンド物質及び少なくとも1つの検出要素を収めてもよい。広範な容器が可能である。容器は、装置の全体的な形状及び設計に依存して、例えば、管、カートリッジ、箱、又は円板であってもよい。
【0040】
一部の実施形態では、容器は管である。管は、ガラス又はプラスチックでできていてもよく、及び検出要素が容器中に含まれる場合には、管が透明であることが望ましいこともある。
【0041】
モニター装置全体はケース内に格納されていてもよい。ケースはデマンド物質を収めた容器を保持することができる。容器は、また、少なくとも1つの検出要素を収めてもよく、又はケース内の容器と流体連通した検出要素が存在する場合もある。ケースは流体送達装置も保持できる。上述のように、流体送達装置はファン又はポンプであってもよく、及び電池などの電源による電動でもよく、又は手動であってもよい。ケースは、また、検出要素用の読み取り装置を収めることができる。検出要素を人間の眼により読み取る一部の実施形態では、読み取り装置は、窓又は他の開口部であってもよく、それを通して検出要素がモニター可能である。窓又は他の開口部は開口であってもよく、又は透明なカバーにより覆われていてもよい。検出要素が電子的にモニターされる他の実施形態では、読み取り装置は、例えば、ディスプレイスクリーン又は他の電子データ送達手段と相互作用してもよい。
【0042】
本開示のモニターのいくつかの実施形態を図に示す。
図1は、本開示の代表的な可搬型モニターの斜視図を示す。
図1中で可搬型モニター100は、流体入口110、読み取り装置窓120及び制御ボタン130を収める。流体入口110は単純な開口部であってもよく、カバー(図示せず)付きの開口部であってもよい。このカバーはスクリーン又は複数のより小さい開口部であってもよく、あるいはスクリーン又は複数のより小さい開口部を収容してもよい。カバーは、存在する場合には、取り外し可能であってもよい。この相対的に単純な可搬型モニターにおいては、モニター対象の気体は流体入口110を入り、使用者は、読み取り装置窓120から検出要素を観察することにより、検出要素(図示せず)をモニターしてもよい。読み取り装置窓120の場所及び大きさは、検出要素を容易に視ることが可能となるように、異なる実施形態でいろいろ変わってもよいということを注目のこと。読み取り装置窓120は単純に開口であってもよく、又はガラス又はポリマー材料(例えば、ポリカーボネート又はポリアクリレート)などの透明なカバーを有してもよい。制御ボタン130は可搬型モニター(図示せず)内で流体送達装置を制御する。流体送達装置はファン又はポンプであってもよく、典型的にはポンプである。2つの制御ボタンを
図1に示すが、より少ない又はより多い制御ボタン並びに制御スイッチ又は更にダイアルが存在してもよい。
図1に示す実施形態では、この2つの制御ボタンは、流体送達装置をオン及びオフでき、及び/又は流体が可搬型モニターを通る速度を制御することができる。
【0043】
図2は、
図1に示す面2に沿って切断された、
図1の可搬型モニターの破断図である。この実施形態では、流体入口110の中に流入する気体は、デマンド物質150及び検出要素160を収めた容器140の中に流入する。気体は、本実施形態ではポンプであり、制御ボタン130により制御される、流体送達装置170により容器に引き込まれる。
【0044】
図3は、
図1に示す面2に沿って切断された、
図1の可搬型モニターの代替の実施形態の破断図である。この実施形態では、流体入口110に流入する気体は、流体送達装置170に流入し、デマンド物質150及び検出要素160を収めた容器140に入る。この実施形態では、気体は、この実施形態ではポンプであり、及び制御ボタン130により制御される流体送達装置170により容器に押し込まれる。
【0045】
図4は本開示の異なる代表的な可搬型モニターの斜視図を示す。
図4では、可搬型モニター200は、流体入口210、読み取り装置スクリーン220、制御ボタン230、スピーカー290、及び光295を含む。このより複雑な可搬型モニターでは、モニター対象の気体は流体入口110に入り、使用者は、様々なメッセージ及び情報を含み得る電子スクリーンである、読み取り装置スクリーン220を観察することにより、検出要素(図示せず)をモニターしてもよい。例えば、読み取り装置スクリーンは、モニターの状態(オン又はオフ)、使用された時間、耐用期間の終点の前に放置されていた時間などの情報を伝達することができる。制御ボタン230は、可搬型モニター100中などの流体送達装置を制御することができ、並びに読み取り装置スクリーン220の関数を制御することができる。スピーカー290及び光295は、可搬型モニターと共に使用可能な任意の追加の警報装置である。スピーカーは、可搬型モニターの状態の変化又は耐用期間の終点に到達したか、又は接近しつつあるということを使用者に警告するために、音声信号又はメッセージを放送することができる。同じように、光は、可搬型モニターを点検しなければならないという使用者への追加のインジケータとして点灯又はフラッシュし始める。
【0046】
図5は、
図4に示す面5に沿って切断された、
図4の可搬型モニターの1つの実施形態の破断図である。気体は気体入口210から可搬型モニターに入り、流体送達装置(ポンプ)270に入り、及びデマンド物質250及び検出要素260を含む容器240に入る。検出要素260を読み取り装置280によりモニターすることができる。読み取り装置280は、検出要素260の変化を検出するための電子読み取り装置である。読み取り装置280は、読み取り装置スクリーン(図示しないが、
図4で要素220として示す)に出力を送る。
【0047】
図6は、
図4に示す面5に沿って切断した、
図4の可搬型モニターの代替の実施形態の破断図である。上記に掲げた要素並びに追加の検出要素260b及び追加の読み取り装置280bは、全て存在する。追加の検出要素及び読み取り装置は、可搬型モニターに追加の有機蒸気を検出する能力を与え、追加の検出出力又は両方をもたらす。検出要素260bは検出要素260と同一であっても,類似であっても又は異なってもよい。同じように、検出要素260bの性状に依存して,読み取り装置280bは、検出要素280と同一であっても、類似であっても又は異なってもよい。
【0048】
図7は、本開示のモニターと共の使用に好適な代表的な光学読み取り装置300を示す。光学式読み取り装置300は、少なくとも1つの光源(ここでは312及び314)、並びに少なくとも1つの検出器320を含む。1つ以上の光源(例えば312及び314)、並びに1つ以上の検出器320は、同じ支持体350上に実装されてもよい。光学読み取り装置300を本開示によるモニターのケースに取り付けるように構成することができる。検出要素330は、円板として示されているが、任意の好適な形状のものであってよく、及び容器(図示せず)中に収められるか又は容器からの出口流れが検出要素330にぶつかるように、配置されてもよい。少なくとも1つの光源312、314により出射される光312a、314aの少なくとも一部分は、検出要素330から反射され、少なくとも1つの検出器320により捕捉される。
【0049】
モニター装置をフィルターカートリッジの有用な耐用期間に相関付ける方法は、モニター装置を準備し、及びモニター装置の耐用期間を較正して、フィルターカートリッジの耐用期間に対応させることを含む。好適なモニター装置を以下に述べる。モニター装置はフィルターカートリッジを模倣しているが、フィルターカートリッジの有用な耐用期間が終わる時点を決定するためにモニター可能である。モニター装置をモニターし、及びモニター装置のセンサー応答をフィルターカートリッジの耐用期間の終点に相関付けることにより、使用者は、フィルターカートリッジの有用な耐用期間を決定することができる。
【0050】
モニター装置のフィルターカートリッジの耐用期間の終点への相関付けは、モニター装置をフィルターカートリッジの耐用期間の終点に対して較正することにより決定される。この較正は、H.J.Cohen及び共同研究者による以前の研究、ジャーナルリファレンスAm.Ind.Assoc.J.;486〜495(1989)において使用された方法、レスピレーター活性炭管、すなわちRCTを使用して、レスピレーターカートリッジに対する耐用期間を予測する方法に類似している。このような装置は、RCTの出力流れ中の有機蒸気の存在を測定するためにベンチトップ規模の赤外分光計などの大きな装置を必要とする。Cohen及び共同研究者により記述された装置は、本発明のハンドヘルド装置での使用には不適であるが、較正方法は類似している。
【0051】
この較正は、フィルターカートリッジの滞留時間、モニター装置の滞留時間及びフィルターカートリッジの滞留時間及びモニター装置の滞留時間の比を求めることにより行われる。用語「滞留時間」は、本明細書で使用されるとき、濾過媒体を横断する空気の分子又は塊が媒体を完全に横断する時間を指す。滞留時間は、様々な流体送達パラメーターを制御することにより制御可能である。これらの流体送達パラメーターの一部は、フィルター媒体を収めた容器の大きさを制御するより確立される。これらのパラメーターには、容器の断面積、容器容積、及び容器長さが挙げられる。他のこれらの流体送達パラメーターは、フィルター媒体及びフィルター媒体を容器中に配置する方法の選択により制御される。これらのパラメーターにはフィルター媒体の重量及びフィルター媒体の充填密度が挙げられる。流量などの更に他の流体パラメーターは、装置の使用者により制御される。レスピレーターカートリッジ内の滞留時間は、主として使用者の呼吸速度により決定される。
【0052】
典型的には,フィルター媒体はデマンド物質を含む。本明細書で使用されるとき、用語「デマンド物質」は、有機蒸気を吸収する能力のある物質を指す。一部の実施形態では、モニター装置のデマンド物質は、フィルターカートリッジのデマンド物質と同一であるということが望ましい。他の実施形態では、モニター装置のデマンド物質は、フィルターカートのリッジデマンド物質と異なる。好適なデマンド物質を以下に述べる。
【0053】
モニター装置は、検出点を持つ検出要素、検出要素用の読み取り装置、及び流体送達パラメーターを上述のように含む、流体送達装置を更に含む。モニター装置のこれらの要素の各々を下記に詳述する。モニター装置の容器が模倣するように設計されているフィルターカートリッジの寸分も違わないレプリカである、モニター装置を組み立てることができる。例えば、モニター装置の容器は、使用者が装着するフィルターカートリッジと同一であることができる。この場合には、モニターの流量をフィルターカートリッジの流量と同一であるように設定するならば、モニター装置及びフィルターカートリッジの滞留時間の比は1:1である。このような装置は本開示の範囲内のものであるが、典型的には、模倣するように設計されているモニター装置の容器は、フィルターカートリッジよりも小さく、高多孔質である。加えて、モニター装置用の容器としての実際のフィルターカートリッジの使用は、より小さくかつより安価な容器の使用よりもずっと費用がかかる可能性がある。
【0054】
上述のように、モニター装置のフィルターカートリッジを耐用期間の終点に相関付けることは、モニター装置をフィルターカートリッジの耐用期間の終点に対して較正することにより決定される。この較正は、フィルターカートリッジの滞留時間、モニター装置の滞留時間及びフィルターカートリッジの滞留時間及びモニター装置の滞留時間の比を求めることにより行われる。一部の実施形態では、この比は1:1と決められる。他の実施形態では、この比は1:1未満であることが望ましいこともある。比が1:1であるならば、モニター及びフィルターカートリッジに対する耐用期間の終点は同一である。比が1:1未満である場合には、モニターに対する耐用期間の終点は、フィルターカートリッジの耐用期間の終点よりも早く、使用者がフィルターカートリッジの耐用期間の終点の前に有害な環境から立ち退く安全性の任意の限界を提供する。
【0055】
デマンド物質を収めた容器内に検出要素を配置した実施形態において、使用者に対して安全性の限界を提供するための追加の方法は、検出要素の場所により決定される。検出要素を容器内で更に上流に配置する場合には、検出要素は、レスピレーターカートリッジの耐用期間の終点よりも早く有機検体に暴露される。応答をモニター装置の検出要素中で検出する場合、検出要素の場所のフィルターカートリッジの耐用期間の終点への較正を数学的に行って、安全性限界、すなわちレスピレーターカートリッジの耐用期間の終点の前に残されている時間を決定することができる。例えば、検出要素を、検出要素応答の検出が20分の耐用期間がレスピレーターカートリッジに残ることに対応するような位置に配置することができる。
【0056】
モニター装置は、加えて2つ以上の検出要素を含んでもよい。2つ以上の検出要素を含む場合には、モニター装置の耐用期間以上を検出することができる。例えば、2つの検出要素を使用する場合には、一方をデマンド物質を収めた容器の終点に配置し、他方をデマンド物質を収めた容器の終点の前の点に配置することができる。この方法では、検出要素の検出点が容器の終点前に検出される場合には、使用者は、フィルターカートリッジの耐用期間の終点が近づいているという追加の表示を受け取る。同一の方法で、一連の検出要素を使用して、フィルターカートリッジの耐用期間の終点が近づいているという一連の表示を提供することができる。
【0057】
所定のフィルターカートリッジに対する滞留時間の決定は、フィルターカートリッジの流体送達パラメーター、すなわち、カートリッジの寸法、デマンド物質の充填密度及び重量、及びフィルターカートリッジを通る流量により決められる。モニター装置を開発して、このフィルターカートリッジの動作を模倣するためには、モニター装置の流体送達パラメーターを全て制御して、モニター装置の滞留時間を制御することができる。滞留時間は実験的に決定可能であるか又は数学的に計算又は評価可能である。例えば、一部の実施形態では、フィルターカートリッジと同一のデマンド物質及びデマンド物質充填密度の、しかしフィルターカートリッジの寸法よりもずっと小さい容器寸法の容器を開発することが望ましいこともある。容器寸法を様々な異なる方法で制御することができる。例えば、容器の断面積は、フィルターカートリッジの断面積の10分の1であるが、容器長さはフィルターカートリッジと同一である場合もある。このようなモニター容器に対しては、フィルターカートリッジの流量の10倍の流量は、約1:1のモニターの滞留時間:フィルターカートリッジの比をもたらすことができる。
【0058】
同一のデマンド物質を使用し、及びデマンド物質の充填密度が類似若しくは同一である実施形態では、モニター装置をフィルターカートリッジの耐用期間の終点に相関付けるための単純な代替の方法は下記の式1により記述される:
【0059】
t
SL=t
b(W
カートリッジQ
モニター/W
モニターQ
カートリッジ)
式1
式1中、t
SLはフィルターカートリッジの耐用期間であり、t
bはモニターの耐用期間であり、W
カートリッジはカートリッジ中のデマンド物質の重量であり、Q
モニターはモニター中の流量であり、W
モニターはモニター中のデマンド物質の重量であり、及びQ
カートリッジはカートリッジ中の流量である。用語t
bは、モニターに対する「破過時間」、又はデマンド物質が飽和する点として記述可能である。典型的には、t
bはこのようにモニターの検出点である。言い換えれば、デマンド物質が飽和し、それゆえ有機蒸気がデマンド物質を通り抜けることができ、及び検出要素の引き金が引かれるときである。W
カートリッジ及びQ
カートリッジが対象とする所定のカートリッジに対して既知であることを仮定すると、Q
モニター及びW
モニターを制御して、t
bのt
SLへの所望の相関を得ることができる。
【実施例】
【0060】
これらの実施例は単にあくまで例示を目的としたものであり、添付した特許請求の範囲に限定することを意味するものではない。
【0061】
(実施例1)
試験モニター管を作製して、3M Company(St.Paul,MN)から市販されている6001シリーズOVフィルターカートリッジに対する耐用期間を予測した。
【0062】
試験試料の作製:
デマンド物質を含む一連の試験モニター管をガラス管中で作製した。使用したデマンド物質は、Kuraray GG 12×20活性炭(6001シリーズOVカートリッジで使用したのと同一の活性炭)であった。管のデマンド物質を装填した部分の寸法は、長さ110ミリメートル及び直径9.4ミリメートルであった。
【0063】
有機蒸気試験:
有機蒸気試験のために、最初に有機蒸気を含まない窒素を試料管に通して、流れを確立した。次いで、表1に示す有機蒸気流れを試料管に通し、及びMIRAN Sapphire XL赤外分光計を用いて、50%破過までモニターした。破過時間を表1に示す。窒素ガスを対象の溶媒を含む冷却したインピンジャーに流すことにより、有機蒸気流れを生じさせ、引き続いて流れを追加の窒素により希釈(マスフローコントローラーにより制御)し、及びMIRAN Sapphire XL赤外分光計を用いてモニターした。最初に、分光計を使用して、入力流れの正確なppm送達を求め、次いで管出口に接続して、出口濃度を追跡した。
【0064】
相関計算:
活性炭フィルター床に対する予期されたカートリッジ耐用期間を蒸気の内容及び濃度の関数として計算することを可能とせしめる、数学モデルがGerry Wood(Am.Ind.Hyg.Assn.J.55(1):11〜15,1994を参照のこと)により確立されている。
【0065】
このモデルは、破過時間t
bを、
t
b=(W
eW/C
oQ)−(1000W
eρ
β/k
vC
o)ln[(C
0−C
x)/C
x]と述べている。
式中、
C
x=出口濃度(g/L)であり、
C
o=入口濃度(g/L)であり、
Q=容積流量(L/min)であり、
W=活性炭(g)の重量であり、
ρ
β=活性炭床の充填密度(g/cc)であり、
W
e=平衡吸着容量(g/g活性炭)であり、
K
v=吸着速度係数(1/min)である。
【0066】
50%破過点は、C
o=2C
xである、点として定義される。50%破過点において、ln[(C
0−C
x)/C
x]項はゼロとなり、t
b=(W
eW/C
oQ)となる。3M 6001フィルターカートリッジの予測破過時間を所定の有機蒸気濃度及び流量に対して計算することができる。これらの計算値を表2に示す。
【0067】
活性炭管破過時間に(W
カートリッジQ
管/W
管Q
カートリッジ)を掛けることにより、試料カートリッジに対する実験的な破過時間を相関付けて、3M 6001フィルターカートリッジに対する50%破過時間(予測)を得た。試料管の実験的な破過時間から計算されるフィルターカートリッジに対する予測破過時間も表2に示す。試料管の実験的な破過時間から計算されるフィルターカートリッジに対する予測破過時間と、下式から計算される計算フィルターカートリッジ破過時間との間のパーセント差異も表2に示す。
【0068】
%差異=(予測時間−計算時間)/計算時間×100%
【0069】
滞留時間相関計算:
計算を行って、試験モニター管及び3M 6001シリーズOVフィルターカートリッジに対する滞留時間を求めた。試験モニター管の寸法及び3.2L/minの実験的な流量を用いて、滞留時間を0.14秒と計算した。32L/minのカートリッジ呼吸速度を仮定し、及び3M 6001カートリッジ寸法を用いて、滞留時間を0.19秒と求めた。この滞留時間によって、試験モニター管上の50%破過時間に滞留時間管に対する滞留時間カートリッジの比を掛けることにより、試験モニター管の50%破過時間(実測)から6001カートリッジに対する50%破過時間を表3に示すように予測することが可能となる。
【0070】
【表1】
【0071】
【表2】
【0072】
【表3】
【0073】
(実施例2)
試験モニター管を作製して、3M Company(St.Paul,MN)から市販されている6001シリーズOVフィルターカートリッジに対する耐用期間を予測した。
【0074】
検出フィルムの作製:
最初にベンチトップスパッタコーターを用いて厚さ127マイクロメートル(5mil)のMelinex ST 504 PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムの試料をAu/Pd(35mAmp、20秒)で被覆することにより、センサーフィルムを作製した。文献(Chem.Comm.,2004,pp.230〜231)で以前に述べられている方法を用いて、固有微小多孔質ポリマー(PIM)を作製した。このポリマーをテトラヒドロピラン(THP)中4重量%濃度に溶解し、Au/Pd層上に1000rpmでスピンコートした。銀ナノ粒子インキ(Cabot Labsから入手したストック溶液、バッチ457010、20.1重量%)を希釈(0.5グラムの入手したストック溶液プラス1ミリリットルのエタノール)し、PIM層上に1000rpmでスピンコートして、センサー堆積体を完成させた。次いで、多層フィルムを使用前に125℃で2時間加熱した。
【0075】
試験試料作製:
検出フィルムを収めた試験モニター管を作製して、3M Company(St.Paul,MN)から市販されている6001シリーズOVフィルターカートリッジを模倣した。センサーフィルムを、充填前に実施例1で上述のように管の中に入れ、押し込んで、ガラス表面とできるだけきっちりと形を合わせるようにした。次いで、Kuraray GG 12×20活性炭(6001シリーズOVカートリッジで使用されている同一の活性炭)を管の中に装填した。センサーフィルム及びファイバプローブを管の入口の点から88ミリメートル(又は管の110ミリメートルの全長80%、残りの20%を活性炭容量に提供)に配置した。
【0076】
有機蒸気試験:
MIRAN赤外分光計により管終点から出る出口ガスを分析し、Ocean Opticsファイバ光学分光計を使用して、センサーフィルムをモニターしたことを除いて、実施例1で上述したようにトルエンによる有機蒸気試験を行った(854ppm,3.2L/minの流れ)。IRで測定した50%破過時間(管の終点での)並びにセンサーフィルム応答からの50%破過時間(実測)(20%の活性炭が残る)を表4に示す。
【0077】
相関計算:
計算を上述のように行って、フィルターカートリッジに対する20%の活性炭が残った破過時間(計算)及びセンサーフィルムの実験データからの20%の活性炭が残った破過時間(予測)を得た。実施例1で上述したように計算したこれらの値を%差異と共に表4に示す。
【0078】
【表4】