(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6045497
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】側方アクセスシステムおよび使用方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/56 20060101AFI20161206BHJP
【FI】
A61B17/56
【請求項の数】25
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2013-533013(P2013-533013)
(86)(22)【出願日】2011年10月11日
(65)【公表番号】特表2013-542778(P2013-542778A)
(43)【公表日】2013年11月28日
(86)【国際出願番号】US2011055742
(87)【国際公開番号】WO2012048337
(87)【国際公開日】20120412
【審査請求日】2014年10月3日
(31)【優先権主張番号】61/391,402
(32)【優先日】2010年10月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507349558
【氏名又は名称】ケー2エム, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(72)【発明者】
【氏名】ナンリー,ピアース
(72)【発明者】
【氏名】ナタリ,コリン
(72)【発明者】
【氏名】サンドュー,ファヒーム
(72)【発明者】
【氏名】チャイルズ,ロナルド
(72)【発明者】
【氏名】ムーア,ブランドン
【審査官】
槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2008/0021284(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0084844(US,A1)
【文献】
米国特許第05944658(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0149341(US,A1)
【文献】
特表2007−512853(JP,A)
【文献】
特表2010−510841(JP,A)
【文献】
特開昭48−029288(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1および第2のアームを有するフレームと、
前記第1および第2のアームに着脱可能に結合された第1の支持体と、
前記第1および第2のアーム上に摺動可能に搭載された第2の支持体であって、前記第1の支持体に隣接する第1の位置と前記第1の支持体から離間する第2の位置との間で可動である第2の支持体と、
ここで前記第1の支持体又は第2の支持体のいずれか一方は、キャビティを画定し、且つロック用スライダを備えることを特徴とし、
前記第1および第2のアーム間において前記第1および第2の支持体にそれぞれ着脱可能に結合された第1および第2のリトラクタブレードであって、前記第1又は第2のリトラクタブレードのいずれか一方が前記キャビティ内で受取られるように構成された突出部を含み、前記突出部が前記キャビティ内に配置されて前記第1又は第2の支持体のいずれか一方を固定する場合に、前記突出部が前記ロック用スライダを受け取るように構成された溝を画定し、第1および第2のリトラクタブレードのそれぞれが、椎体に係合するように構成されかつ適合された遠位端部を有する、第1及び第2のリトラクタブレードと、
を備える外科アクセスデバイスであって、
前記外科アクセスデバイスは、前記第1又は第2のアームのいずれか一方に横断的に搭載された補助ブレードを備え、それによって、前記補助ブレードが前記第1又は第2のアームのいずれか一方と固定された場合に、前記補助ブレードのブレード部が前記第1又は第2のアームに対して実質的に直交する、
外科アクセスデバイス。
【請求項2】
前記それぞれの第1および第2のリトラクタブレードの前記遠位端部は、前記椎体に係合するように構成されかつ適合された窪みを画定する請求項1に記載の外科アクセスデバイス。
【請求項3】
前記それぞれの第1および第2のリトラクタブレードの前記それぞれの遠位端部内で画定された前記窪みは、前記椎体の曲率半径と同一の曲率半径を有する孤状部を含む請求項2に記載の外科アクセスデバイス。
【請求項4】
前記曲率半径は、0.1インチ〜1.0インチの範囲内にある請求項3に記載の外科アクセスデバイス。
【請求項5】
前記曲率半径は0.6インチである請求項4に記載の外科アクセスデバイス。
【請求項6】
前記第1および第2のリトラクタブレードはそれぞれ長手方向溝を画定し、それにより、前記第1および第2のリトラクタブレードが密接した協働的位置にあるときに、前記溝は管腔を画定する請求項1に記載の外科アクセスデバイス。
【請求項7】
前記長手方向溝は、前記長手方向溝を通して固定ピンを受取るように構成されかつ寸法決定される請求項6に記載の外科アクセスデバイス。
【請求項8】
前記第1および第2のアームはそれぞれ、前記第1および第2のアームの長さに沿って画定された長手方向キャビティを画定する請求項1に記載の外科アクセスデバイス。
【請求項9】
前記第2の支持体は、前記第1および第2のアームに沿う特定の位置に前記第2の支持体を移動させるように構成された並進ノブを含む請求項1に記載の外科アクセスデバイス。
【請求項10】
前記第2の支持体は、前記第1および第2のアームに沿う前記第2の支持体の一方向移動を可能にするように構成されかつ適合されたラチェット組立体を含む請求項9に記載の外科アクセスデバイス。
【請求項11】
前記第1または第2のアームの一方に沿う特定の位置に前記補助ブレードを固定されるように構成されかつ適合されたロック用ホイールをさらに含む請求項1に記載の外科アクセスデバイス。
【請求項12】
前記補助ブレードは、前記第1または第2のアームの前記一方に対して横断的に調整可能である請求項11に記載の外科アクセスデバイス。
【請求項13】
前記第1および第2のリトラクタブレードは、係合部および前記係合部から延在するブレード部をそれぞれ含み、前記係合部は、前記それぞれの第1および第2の支持体の下面に係合するように構成されかつ適合される請求項1に記載の外科アクセスデバイス。
【請求項14】
前記第1および第2のリトラクタブレードの前記係合部は、前記それぞれの第1および第2の支持体内で画定されたキャビティを通して受取られるように構成されかつ寸法決定された突出部を含む請求項13に記載の外科アクセスデバイス。
【請求項15】
脊椎手術用のキットであって、
リトラクタデバイスであって、
第1の支持体と、
前記第1の支持体に隣接する第1の位置と前記第1の支持体から離間する第2の位置との間で可動である、第2の支持体と、
前記第1および第2の支持体の中央部において前記第1および第2の支持体にそれぞれ着脱可能に結合された第1および第2のリトラクタブレードであって、前記第1および第2の支持体が前記第1の位置にあるときに密接した接近状態の位置をとり、前記第1および第2の支持体が互いに離間した前記第2の位置をとるときに第2の開口位置をとり、前記第1および第2のリトラクタブレードの遠位端部は、椎体に係合するように構成され適合された弧状部を有する窪みを画定する、第1および第2のリトラクタブレードと、
を有する、リトラクタデバイスと、
解剖器と、
ガイドワイヤと、
固定ピンと、及び
前記第1又は第2のアームのいずれか一方に横断的に搭載された補助ブレードであって、それによって、前記補助ブレードが前記第1又は第2のアームのいずれか一方と固定される場合に、前記補助ブレードのブレード部が前記第1又は第2のアームのいずれか一方に対して実質的に直交する、補助ブレードと、
を備えるキット。
【請求項16】
外科インプラントをさらに含む請求項15に記載のキット。
【請求項17】
椎間板開大器をさらに含む請求項16に記載のキット。
【請求項18】
前記それぞれの第1および第2のリトラクタブレードの前記遠位端部は、前記椎体の曲率半径と実質的に同一の曲率半径を有する孤状部を含む請求項15に記載のキット。
【請求項19】
前記曲率半径は、0.1インチ〜1.0インチの範囲内にある請求項18に記載のキット。
【請求項20】
前記第1および第2のリトラクタブレードはそれぞれ長手方向溝を画定し、それにより、前記第1および第2のリトラクタブレードが密接した協働的位置にあるときに、前記溝は管腔を画定する請求項15に記載のキット。
【請求項21】
前記長手方向溝は、前記長手方向溝を通して固定ピンを受取るように構成されかつ寸法決定される請求項20に記載のキット。
【請求項22】
前記第1または第2のリトラクタブレードの一方の上に横断的に搭載されるように適合された補助ブレードをさらに備える請求項15に記載のキット。
【請求項23】
前記補助ブレードは、長手方向溝を含む請求項22に記載のキット。
【請求項24】
前記補助ブレードの前記長手方向溝に係合するように適合された椎間板内シムをさらに備える請求項23に記載のキット。
【請求項25】
前記開大器は、前記開大器の遠位端からの距離を示すマーキングを前記開大器上に含む請求項17に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2010年10月8日に出願された米国仮特許出願番号第61/391,402号への優先権、およびその利益を主張し、その全体の内容は、参照により本明細書に組込まれる。
【0002】
本開示は、脊椎作業場所にアクセスするときに使用されるデバイスに関する。より詳細には、本開示は、脊椎作業場所に側方にアクセスするためのデバイスおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
疾病、加齢の影響、または脊椎に損傷をもたらす身体的外傷は、多くの事例では、影響を受けた椎骨の固定または安定化によって処置されてきた。いろいろな脊椎固定装置が、脊椎損傷および脊椎疾病の影響を補正するための外科手技で使用されてきた。
【0004】
部分的なまたは完全な椎間板切除後に、隣接する椎体間の、通常占められている空間は、椎間板の全てまたは一部がないために圧壊および/またはミスアライメントを受ける。こうした状況では、医師は、影響を受けた椎骨間に1つまたは複数の人工スペーサを挿入して、影響を受けた領域において通常の椎間板間隔および/または通常量の前弯を維持することができる。
【0005】
通常、人工インプラントは、隣接する椎骨間に挿入され、隣接する椎骨が共に融合するまで隣接する椎骨間の骨成長を可能にする経路を含むことができる。典型的であるが、椎間板は、前方または後方にアクセスされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
側方アプローチによって椎骨間にアクセスすることが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のある実施形態によれば、外科アクセスデバイスが提供され、外科アクセスデバイスは、第1および第2のアームを有するフレームと、第1および第2の支持体と、第1および第2のリトラクタブレードとを含む。特に、第1の支持体は第1および第2のアームに着脱可能に結合され、第2の支持体は第1および第2のアーム上に摺動可能に搭載される。第2の支持体は、リトラクタブレードが密接した協働的アラインメントにある第1の位置と第1の支持体に対する離間した位置との間で可動である。第1および第2のリトラクタブレードは、第1および第2の支持体にそれぞれ着脱可能に結合され、第1および第2のリトラクタブレードはそれぞれ、椎体に係合するように構成され適合された遠位端部を有する。
【0008】
ある実施形態では、それぞれの第1および第2のリトラクタブレードの遠位端部は、椎体に係合するように構成され適合された窪みを画定することができる。さらに、第1および第2のリトラクタブレードのそれぞれの遠位端部内で画定された窪みは、椎体の曲率半径と実質的に同一の曲率半径を有する孤状部を含むことができる。
【0009】
第1および第2のリトラクタブレードはそれぞれ長手方向溝を画定することができ、それにより、第1および第2のリトラクタブレードが密接した協働的位置にあるときに、溝は管腔を画定する。さらに、長手方向溝は、長手方向溝を通して固定ピンまたはガイドワイヤを受取るように構成され寸法決定されることができる。
【0010】
別の実施形態では、第1および第2のアームはそれぞれ、第1および第2のアームの長さに沿って画定された長手方向キャビティを画定することができる。第2の支持体は、第1および第2のアームに沿う特定の位置に第2の支持体を移動させるように構成された並進ノブを含むことができる。外科アクセスデバイスは、第1および第2のアームの一方の上に横断的に搭載された補助ブレードをさらに含むことができる。さらに、外科アクセスデバイスは、第1および第2のアームの一方に沿う特定の位置に補助ブレードを固定するように構成され適合されたロック用ホイールをさらに含むことができる。補助ブレードは、横断的に調整可能とすることができる。
【0011】
第2の支持体は、第1および第2のアームに沿う第2の支持体の一方向移動を可能にするように構成され適合されたラチェット組立体を含むことができる。リトラクタブレードは、係合部および係合部から延在するブレード部を含むことができる。係合部は、それぞれの第1および第2の支持体の下面に係合するように構成され適合されることができる。リトラクタブレードの係合部はまた、それぞれの第1および第2の支持体内で画定されたキャビティを通して受取られるように構成され寸法決定された突出部を含むことができる。
【0012】
本開示の別の態様によれば、脊椎にアクセスする方法が提供される。方法は、外科アクセスシステムを設けることを含み、外科アクセスシステムは、リトラクタデバイスと、解剖器と、ガイドワイヤと、固定ピンとを含む。特に、リトラクタデバイスは、第1および第2の支持体と、第1および第2のリトラクタブレードを含む。特に、第2の支持体は、密接した協働的位置と第1の支持体に対する離間した位置との間で可動である。第1および第2のリトラクタブレードは、第1および第2の支持体にそれぞれ着脱可能に結合され、第1および第2のリトラクタブレードはそれぞれ、椎体に係合するように構成され適合された遠位端部を有する。方法は、脊椎までの経路を確立すること、リトラクタブレードが密接した協働的アライメントにある1つの配向で、経路を通して第1および第2のリトラクタブレードを導入すること、リトラクタを第2の配向に再配向させること、第2の支持体を第1の支持体から分離するためにリトラクタデバイスを牽引開口させる(retract open)ことであって、それにより、組織を分離するように支持体に搭載されたリトラクタブレードを分離する、牽引開口させること、椎体に対してブレード位置を維持するために椎体に固定ピンを挿入すること、牽引されたブレードによって画定された手術チャネルを通して手術を実施することをさらに含む。手術は、椎体間に脊椎インプラントを位置決めすることを含むことができる。
【0013】
ある実施形態では、切開を通してリトラクタを導入することは、第1および第2のリトラクタブレードを密接した協働的なアライメントで留置することを含むことができる。脊椎までの適切な経路を確立することは、解剖器を椎間板に挿入すること、および、解剖器を通して椎間板空間にガイドワイヤを挿入することを含むことができる。
【0014】
方法は、椎間板開大器を利用して椎間板を伸延することをさらに含むことができる。さらに、方法はまた、ブレードが密接した協働的アライメントにありかつ腰筋の線維の軸に沿って配向した状態でリトラクタを挿入すること、および、リトラクタブレードの配向が椎骨の端板に一直線に並びかつ腰筋の線維を実質的に横断するようにリトラクタデバイスを回転させることを含むことができる。リトラクタデバイスを回転させることは、リトラクタブレードの少なくとも1つの遠位端部が、椎体に一致しかつ接触する位置にリトラクタデバイスを回転させることを含むことができる。
【0015】
別の実施形態では、それぞれの第1および第2のリトラクタブレードの遠位端部は、椎体に係合するように構成され適合された凹状窪みを画定することができる。それぞれの第1および第2のリトラクタブレードの遠位端部内で画定された窪みは、椎体の曲率半径と実質的に同一の曲率半径を有する孤状部を含むことができ、それにより、リトラクタブレードが腰筋を横断して配向すると、各ブレードの孤状遠位端部は、対応する椎骨の孤状側方壁に実質的に一致しかつそれに接して位置決めされることができる。
【0016】
第1および第2のリトラクタブレードはそれぞれ長手方向溝を画定することができ、それにより、第1および第2のリトラクタブレードが密接した協働的アライメントに位置決めされると、溝は管腔を画定する。長手方向溝は、長手方向溝を通して固定ピンを受取るように構成され寸法決定されることができる。リトラクタデバイスは、第1および第2のリトラクタブレードの一方の上に横断的に搭載された補助ブレードをさらに含むことができる。特に、補助ブレードは長手方向溝を含むことができる。解剖器は、解剖器は、解剖器の遠位端からの距離を示すマーキングを解剖器上に含むことができる。
【0017】
方法は、側方切開を形成すること、後腹膜空間を探索すること、組織を緩め、椎間板空間への側方経路を形成するために1つまたは複数の解剖器を挿入すること、ガイドワイヤまたはピンを、解剖器を通して椎間板空間に挿入すること、解剖器を除去すること、および、第1および第2のリトラクタブレードの一方または両方内の長手方向溝によって画定された管腔を通してガイドワイヤまたはピンを挿入することによって、ガイドワイヤまたはピンの上にリトラクタを搭載することをさらに含むことができる。ブレードが密接した協働的アライメントにある状態で、リトラクタブレードは、リトラクタブレードの遠位端が椎間板空間に隣接するまで、腰筋の長手方向軸に沿うまたは実質的に平行な第1の位置にブレードが配向した状態で、組織を通してガイドワイヤの上を伝って挿入される。ブレードは、密接した接近状態に位置決めされると、実質的に平坦であり、腰筋の線維を、筋肉を通してブレードを挿入する間に分割することが可能である。密接した接近状態にあるときのリトラクタブレードの実質的に平坦なプロファイルは、解剖器などの任意のタイプの導入器の上を伝ってリトラクタを挿入する必要性をなくす。リトラクタは、第1の位置に対して実質的に横断的な第2の位置まで回転されて、第1のリトラクタブレードが第1の椎体に隣接した状態で、腰筋に対して実質的に横断的になるようリトラクタブレードを配向させる。第1のリトラクタブレードの遠位端は、椎体側方表面に一致する。任意選択で、1つまたは複数の固定ピンが、一方または両方のブレード内の溝によって形成された管腔を通して挿入され、固定ピンを側方に椎体内に押しやることまたはネジ込むことは、椎体に関する第1のブレードの位置を固定する。第2のブレードは、第1のブレードから離して移動されて、椎間板空間にまたがるブレード間のギャップを形成し、それにより、第2のブレードは、椎間板空間を横切って第2の隣接する椎体に隣接し、そのとき、第2のリトラクタブレードの遠位端は第2の椎体の形状に一致する。任意選択で、第2の固定ピンは、第2の椎体内に押しやられるまたはネジ込まれて、第2の椎体に対する第2のブレードの位置を固定し、それにより、皮膚から椎間板空間まで延在する手術チャネルを画定する。椎間板空間に関する手術は、手術チャネルを通して実施されることができ(その手術は、椎間板物質を除去すること、および、椎体間空間内に骨または合成インプラントを挿入することを含むことができる)、その手術に続いて、オプションの固定ピンが(使用される場合)除去され、リトラクタが取り出され、切開が従来の方法で閉鎖されることができる。有利には、リトラクタは、リトラクタまたは器具の部品によって遮られない明瞭な開口チャネルを画定し、明瞭な開口チャネルは、視覚的にまたX線透視などのイメージング下で椎間板空間に対する良好な可視性を提供する。
【0018】
方法は、補助ブレードの溝を通しかつ椎間板空間内に椎間板内シムを導入することをさらに含むことができる。方法はまた、第1および第2のリトラクタブレードのブレード長を決定することを含むことができる。さらに、方法はまた、手術テーブル上で側臥位で患者を配置することを含むことができる。
【0019】
さらに別の実施形態では、リトラクタデバイスを牽引開口させることは、第2の支持体を、第1の支持体に関する離間した位置に位置決めすることを含むことができる。さらに、固定ピンを椎体に挿入することは、固定ピンをそれぞれの第1および第2のリトラクタブレードの長手方向溝を通して挿入することを含むことができる。
【0020】
本開示の種々の実施形態は、図面を参照して以下で述べられる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本開示のある実施形態によるリトラクタシステムの平面図である。
【
図2】
図1の2−2の断面線に沿って切り取られたリトラクタシステムの側断面図である。
【
図3】
図1の3−3の断面線に沿って切り取られたリトラクタシステムの側断面図である。
【
図4】
図1のリトラクタシステムと共に使用するためのリトラクタブレードの側面図である。
【
図5】
図1のリトラクタシステムと共に使用するための
図4のリトラクタブレードの正面図である。
【
図6】
図1のリトラクタシステムと共に使用するための
図4のリトラクタブレードの平面図である。
【
図7】
図1のリトラクタシステムと共に使用するための補助ブレードの斜視図である。
【
図8】
図1のリトラクタシステムと共に使用するためのオプションのテーブルマウントの斜視図である。
【
図9A】
図1のリトラクタシステムと共に使用するための解剖器の斜視図である。
【
図9C】
図1のリトラクタシステムと共に使用するための別の解剖器の側面図である。
【
図9E】
図1のリトラクタシステムと共に使用するためのさらに別の解剖器の側面図である。
【
図10】
図1のリトラクタシステムと共に使用するための脊椎椎体間スペーサの平面図である。
【
図12】
図11の12−12の断面線に沿って切り取られた
図10の脊椎椎体間スペーサの断面図である。
【
図13A】
図1のリトラクタシステムと共に使用するための脊椎椎体間スペーサの別の実施形態の平面図である。
【
図14】
図10〜12または
図13A〜13Bの脊椎椎体間スペーサと共に使用するための挿入器の斜視図である。
【
図15】部品が分離された状態の、
図14の挿入器の分解斜視図である。
【
図16】
図1のリトラクタシステムと共に使用するための椎間板内シムの斜視図である。
【
図17】
図16の椎間板内シムと共に使用するための椎間板内シム挿入器の側面図である。
【
図18】
図16の椎間板内シムと共に使用するための椎間板内シム取出し器の側面図である。
【
図19】
図1のリトラクタシステムと共に使用するための椎間板開大器の斜視図である。
【
図21】
図1のリトラクタシステムと共に使用するための固定ピンの側面図である。
【
図22】
図21の固定ピンと共に使用するための固定ピンドライバの側面図である。
【
図23】
図1のリトラクタシステムと共に使用するためのガイドワイヤの側面図である。
【
図24】
図9Aの解剖器の斜視図であり、解剖器の使用を示す。
【
図25】
図9Aの解剖器の斜視図であり、解剖器の使用を示す。
【
図26】
図24の解剖器および
図23のガイドワイヤの斜視図であり、解剖器を通したガイドワイヤの挿入を示す。
【
図27】
図24の解剖器および
図23のガイドワイヤの斜視図であり、解剖器を通したガイドワイヤの挿入を示す。
【
図28】
図26のガイドワイヤの斜視図であり、椎間板に挿入されたガイドワイヤを示す。
【
図29】
図28のガイドワイヤならびに
図9Cおよび
図9Dの解剖器の斜視図であり、組織内の開口を拡大するためにガイドワイヤの上を伝う解剖器の挿入を示す。
【
図30】
図28のガイドワイヤならびに
図9Cおよび
図9Dの解剖器の斜視図であり、組織内の開口を拡大するためにガイドワイヤの上を伝う解剖器の挿入を示す。
【
図31】
図30の解剖器およびガイドワイヤの斜視図であり、軟部組織を払いのけるための解剖器の回転を示す。
【
図32A】
図1のリトラクタシステムであって、リトラクタシステムに取付けられた
図4のリトラクタブレードを含む、
図1のリトラクタシステムの斜視図であり、ガイドワイヤの上を伝うリトラクタシステムの挿入を示す。
【
図33】
図32Aのリトラクタシステムの斜視図であり、脊椎まで直接進められたリトラクタシステムを示す。
【
図34A】
図33のリトラクタシステムの斜視図であり、約90°のリトラクタシステムの回転を示す。
【
図35A】
図34Aのリトラクタシステムの斜視図であり、部分的に開口した位置まで牽引されたリトラクタシステムを示す。
【
図36A】
図35Aのリトラクタシステムおよび
図21の固定ピンの斜視図であり、リトラクタブレードの長手方向チャネルを通した第1の椎骨内への固定ピンの挿入を示す。
【
図37】
図36Aのリトラクタシステムの斜視図であり、ガイドワイヤの除去を示す。
【
図38A】
図36Aのリトラクタシステムの斜視図であり、ガイドワイヤの除去を示す。
【
図39A】より完全に開口した位置にある
図38Aのリトラクタおよび
図21の固定ピンの斜視図であり、第2の椎骨内への固定ピンの挿入を示す。
【
図40A】
図39Aのリトラクタシステムの斜視図であり、椎間板のアクセスおよび可視化を提供するリトラクタシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本開示の実施形態が、ここで図面を参照して詳細に述べられる。図面では、同じ参照数字は、いくつかの図のそれぞれにおいて同一または対応する要素を指定する。本明細書で述べるように、用語「遠位の(distal)」は、慣例的であるが、ユーザから遠い、器具、装置、デバイス、またはその構成要素の部分を指すことになり、一方、用語「近位の(proximal)」は、ユーザに近い、器具、装置、デバイス、またはその構成要素の部分を指すことになる。さらに、用語「頭方の(cephalad)」は、本アプリケーションでは、患者の頭に向かう方向を示すために使用され、一方、用語「尾方の(caudal)」は、患者の脚に向かう方向を示す。なおさらに、本アプリケーションのために、用語「内方の(medial)」は、患者の身体の正中に向かう方向を示し、一方、用語「側方の(lateral)」は、患者の身体の側面に向かう、すなわち患者の身体の正中から離れる方向を示す。用語「後方の(posterior)」は、患者の背面に向かう方向を示し、一方、用語「前方の(anterior)」は、患者の前面に向かう方向を示す。以下の説明では、不必要な詳細において本開示を曖昧にすることを回避するために、よく知られている機能または制限は詳細に述べられない。
【0023】
図1〜3を参照すると、本開示の実施形態が、たとえば胸椎または腰椎にアクセスするための最小侵襲外科手技のために構成され適合されたリトラクタシステム100として全体的に示される。リトラクタシステム100は、第1の支持体110であって、第1の支持体110から延在するアーム130、132、および、アーム130、132上に摺動可能に搭載される第2の支持体120を含む。第2の支持体120は、第1の支持体110に対して複数の場所で固定されることができる。各支持体110、120は、以下で詳細に論じるように、各支持体110、120に着脱可能に固定されたリトラクタブレード200(
図4〜6)を受取り支持するように構成され寸法決定される。アーム130、132に沿う第2の支持体120の運動は、第2の支持体120上のリトラクタブレード200が、第1の支持体110に搭載されたブレードに密接に隣接する位置と、第1の支持体110に着脱可能に固定された対向するリトラクタブレード200に関する離間した位置との間で移動することを可能にする。
【0024】
特に
図1を参照して、各アーム130、132は、第1の支持体110に結合される。アーム130、132は、各アーム130、132の長さに沿って少なくとも部分的に延在するそれぞれのキャビティ133、134を画定する。アーム130のキャビティ133は、第2の支持体120の並進ノブ122に動作可能に係合する歯136を有する部分を含む。並進ノブ122は、並進ノブ122が回転すると、アーム130上の特定の場所に第2の支持体120を固定するように構成され適合される。さらに、各キャビティ133、134は、各キャビティ133、134内に並進的に配設されたロック用ホイール135、137を収容するように構成され寸法決定される。各ロック用ホイール135、137は、以下で述べるように、各アーム130、132に沿う位置で補助ブレード400(
図7)を固定するように構成され適合される。キャビティ133だけが、第2の支持体のホイールおよびラチェットと相互作用するための歯を持つ状態で示されるが、別法としてまたは付加的に、第2の支持体120の他の側のラチェットおよび/またはホイールに係合するための、キャビティ134に関連する歯が存在しうる。
【0025】
リトラクタブレード200は、第1の支持体110に着脱可能に取付けられる。リトラクタブレード200の係合部202(
図4)は、第1の支持体110の下面に係合する。さらに、第1の支持体110は、キャビティ119であって、リトラクタブレード200の突出部204(
図4)をキャビティ119内で着脱可能に固定するように構成され寸法決定された、キャビティ119を画定する。さらに、第1の支持体110は、ロック用スライダ118を含み、ロック用スライダ118は、リトラクタブレード200の突出部204に摺動可能に係合して、リトラクタブレード200の突出部204をキャビティ119内に着脱可能に固定する。ロック用スライダ118は、ロック用スライダ118がロック状態に向かって付勢されるように付勢部材115(
図3)に動作可能に結合される。ロック用スライダ118の係合部121(
図3)は、突出部204内で画定された溝206(
図4)に係合する。こうして、リトラクタブレード200は、第1の支持体110に着脱可能に固定される。
【0026】
引き続き
図1を参照すると、第1の支持体110は、キャビティ133、134にそれぞれ整列した一対の窪んだ部分112、114をさらに画定する。窪んだ部分112、114は、各ロック用ホイール135、137を窪んだ部分112、114内に収容するように構成され寸法決定されて、ロック用ホイール135、137が窪んだ部分内で入れ子になる、密接した協働的位置への第1および第2の支持体110、120の接近を可能にする。
【0027】
第2の支持体120は、第1の支持体110の同様の機構を含む。特に、第2の支持体120は、リトラクタブレード200の突出部204(
図4)を受取るように構成され寸法決定されたキャビティ129を画定する。第2の支持体120はまた、突出部204をキャビティ129内に着脱可能に固定するように構成され適合されたロック用スライダ128を含む。ロック用スライダ118に関して先に論じたように、ロック用スライダ128は、付勢部材125(
図3)に動作可能に結合され、それにより、ロック用スライダ128は、係合状態に向かって付勢される。係合状態では、ロック用スライダ128の係合部127(
図3)は、キャビティ129を通して少なくとも部分的に突出し、それにより、リトラクタブレード200の突出部204がキャビティ129内に配設されると、ロック用スライダ128の係合部127は、突出部204内で画定された溝206に係合する。こうして、リトラクタブレード200は、第2の支持体120に着脱可能に固定される。
【0028】
第1の支持体110と対照的に、第2の支持体120は、アーム130、132に沿う特定の位置に第2の支持体120を移動させるために第2の支持体120上に回転可能に搭載された並進ノブ122を含む。並進ノブ122は、アーム130上の歯136に係合し、それにより、並進ノブ122の回転が、第2の支持体120をアーム130に沿う特定の位置に移動させる。ラチェットは、第2の支持体が第1の支持体から離れるときに歯に係合して、アーム130、132に対して、したがって第1の支持体に対して第2の支持体位置を固定する。ラチェットが解除された状態での反対方向への並進ノブ122の回転は、第2の支持体120を、アーム130に沿って第1の支持体に向かって反対方向に移動させる。さらに、第2の支持体120は、第2の支持体120の一方向移動を可能にし、アーム130、132に沿う所定位置に前記第2の支持体をロックするように構成されたラチェット組立体を含む。ラチェット組立体は、ラチェットノブ124を含み、ラチェットノブ124は、第2の支持体120の選択的な一方向移動を可能にするために、アーム130に関してラチェット組立体を解除する/脱係合させるように構成される。
【0029】
ここで
図4〜6を参照すると、リトラクタブレード200は、第1の支持体110または第2の支持体120に着脱可能にかつ交換可能に取付け可能であり、係合部202および係合部202から延在するブレード部208を含む。係合部202は、それぞれの第1および第2の支持体110、120の下面に重ね合わせた関係で係合する。ブレード部208は、係合部202に実質的に直交しており、それにより、リトラクタブレード200が、それぞれの第1および第2の支持体110、120に着脱可能に固定されると、ブレード部208は、第1および第2の支持体110、120に実質的に直交する。しかし、各ブレード部208は、係合部202ならびに第1および第2の支持体110、120に関して所定の固定角度を画定することができることがさらに企図される。使用時、リトラクタブレード200は、
図32Aおよび
図32Bに示すように、第1および第2の支持体110、120にそれぞれ取付けられる。
図4に最もよく見られるように、リトラクタブレードは、薄く実質的に平坦なプロファイルを有する。
【0030】
図4を参照すると、係合部202は、第1および第2の支持体110、120の各キャビティ119、129を通して延在するように構成され寸法決定された突出部204を含む。特に、各突出部204は、第1および第2の支持体110、120のロック用スライダ118、128の各係合部121、127(
図3)にしっかり係合するように構成され寸法決定された溝206を画定する。
【0031】
特に
図6を参照すると、リトラクタブレード200の各ブレード部208は、ブレード部208の長さに沿って実質的に延在する1つまたは複数の長手方向チャネル209を含む。そのため、それぞれの第1および第2の支持体110、120のリトラクタブレード200が密接した協働的アライメントにあるとき、ブレード部208の対向するチャネル209は、1つまたは複数の管腔であって、管腔を通して、たとえばガイドワイヤ1700(
図23)、ガイドピン、または他の外科器具を受取るための、1つまたは複数の管腔を画定する。溝は、丸い形とすることができ、また、180°よりわずかに大きい円周を有することができるため、溝に挿入されたピンは、所定場所に保持されるが、ピンは、十分な力で溝から引出されることができる。
【0032】
特に戻って
図5を参照すると、ブレード部208の遠位端部208aは、凹状プロファイルを有する窪み207を画定する。窪み207の凹状プロファイルは、椎体の輪郭に係合し、それを収容するように適合される。最適には、凹状窪みは、約0.1インチ〜約1.0インチの範囲の、より好ましくは約0.6インチの曲率半径を画定する。窪み207の凹状プロファイルは、リトラクタブレード200と椎体との係合を改善し(たとえば
図40A参照)、たとえば、特にリトラクタが手術中に操作されるときの、ブレードの下でのまたブレードの周りでの椎体に関する滑り性および組織クリーピングを低減する。外科医は、椎体の種々の輪郭を収容するために、ブレード部の遠位部内で画定された窪みの凹状プロファイルの種々の曲率半径を有する複数のリトラクタブレードを提供されることができる。
【0033】
図1〜7を参照すると、第1の支持体110に関する密接した協働的位置から、第1の支持体110からの離間した位置へのアーム130、132に沿う第2の支持体120の移動は、長手方向への組織の牽引を可能にする。しかし、横断方向へのさらなる牽引は、補助ブレード400(
図7)の使用によって達成されうる。補助ブレード400は、いろいろな寸法のキャビティ403を画定する係合部402、および、係合部402から延在するブレード部408を含む。係合部402のキャビティ403は、アーム130、132の長さに沿って固定されるように構成され寸法決定される。具体的には、キャビティ403は、拡大部404および幅狭部406を画定する。特に、キャビティ403の拡大部404は、拡大部404を通してロック用ホイール135、137を受取るように寸法決定され、それにより、補助ブレード400の係合部402は、アーム130、132上に重ね合わされた関係で位置決めされ、ロック用ホイール135、137によって固定されることができる。ロック用ホイール135、137の首部136(
図3)は、補助ブレード400の幅狭部406内に摺動可能に受取られるように構成され寸法決定される。ブレード部408は、係合部402に関して実質的に直交しており、それにより、補助ブレード400が各アーム130、132によって固定されると、ブレード部408は、アーム130、132に実質的に直交する。さらに、各ブレード部408は、ブレード部408の長さに沿って実質的に延在する1つまたは複数の長手方向チャネル409を含む。チャネル409は、以下で論じるように、たとえば、ガイドワイヤ1700、ガイドピン、または椎間板内シム1300(
図16)などの他の外科器具を受取るように構成され寸法決定される。
【0034】
こうした構成の下で、補助ブレード400は、アーム130、132に調整可能に固定されることができる。具体的には、ロック用ホイール135の首部136は、キャビティ403の幅狭部406を通して摺動可能に受取られて、外科医が、アーム130、132上に関する横断方向ならびに長手方向の補助ブレード400の特定の位置を選択することを可能にすることができる。所望の位置を選択すると、外科医は、ロック用ホイール135、137を第1の方向に回転して、補助ブレード400をアーム130、132に固定することができる。外科医は、ロック用ホイール135、137を第1の方向と反対の方向に回転して、補助ブレード400をアーム130、132から解除することができる。
【0035】
図9A〜9Fを参照すると、リトラクタシステム100と共に使用するために構成された種々のサイズを有する解剖器500、600、700が示される。各解剖器500、600、700は、開口した近位端および遠位端を有する、その長さに沿って延在する中央通路505、605、705を有する。中央通路505、605、705は、解剖器500、600、700が、ガイドワイヤ1700(
図23)またはガイドピンを、解剖器を通して摺動可能に受取ることができるように構成され寸法決定される。ガイドワイヤ1700またはガイドピンは、以下で述べるように、ガイドワイヤに沿って摺動するように解剖器500、600、700を案内することができる。さらに、各解剖器500、600、700は、体腔の深さまたは表皮組織表面と椎骨との距離を示す印を有する。外科医は、こうして印を利用して、適切なリトラクタブレードを選択することができる。一実施形態では、中央通路505、605、705は、導電性チューブであって、プラスチックがチューブ上にまたチューブの周りにオーバーモールドされた。導電性チューブによって画定される。外科医が、筋電図検査システムに関連して解剖器600、700を既知の方法で使用したいと思う場合に、チューブの一部分を露出するために、ノッチ610、710が、解剖器600、700の近位部に形成される。筋電図検査システムからのクリップは、近位ノッチで導電性チューブに接触されることができ、信号が、絶縁プラスチック外側本体の内部でチューブに沿って、組織に接触する導電性チューブの遠位先端に送信される。
【0036】
ここで
図10〜12を参照すると、椎骨間に留置するためにリトラクタシステム100と共に使用するための、脊椎椎体間スペーサ900が示される。スペーサ900は、一対の対向する側壁960、962、尖っていない鼻970、および孤状近位壁926を含む。スペーサ900は、モノリシックに形成され、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリスルホン(RADEL)、ポリエーテルイミド(ULTEM)、ステンレス鋼、コバルトクロム、チタン、およびチタン合金などの任意の適した生体適合性材料で作られる。
【0037】
椎体間スペーサ900は、全体が魚雷状のプロファイルを画定し、隣接する椎骨間での骨成長を可能にするために、スペーサを通して開口928が延在する。さらに、開口928は、さらなる骨成長物質を含むことができる。尖っていない鼻970は、椎体間への尖っていない鼻970の挿入を容易にするために、実質的に輪郭に合致しテーパが付いた表面を含む。スペーサ900は、隣接する椎骨に対するスペーサ900の把持および固定を容易にするように構成された突出部を有する椎体に係合する上部および下部表面922、924を含む。特に、突出部は、開口928に関して同心に配置されたリングパターン化された突出部944を含む。さらに、対向する上部および下部表面922、924のリングパターン化された突出部944は、重ね合わされた関係で配設されると、互いに対してしっかりした係合を可能にするように構成されることができる。
【0038】
特に
図12を参照すると、孤状近位壁926は、挿入ツール50(
図14)に嵌合するための、ネジが切ってあるアパーチャ935を画定する窪み930を含む。スペーサ900の上部および下部表面922、924は、実質的に互いに平行である。しかし、スペーサ1900の別の実施形態では、スペーサ1900の上部および下部表面1922、1924は、前弯を含み、実質的に平行でないことも企図される(
図13Aおよび
図13B)。なおさらに、スペーサ900は、テーパ付きとすることができ、全体がウェッジ状構成を画定する。特に、一方の側壁は、対向する側壁の高さと異なる高さを有することができ、テーパ付きまたは前弯の構成を画定する。代替として、対向する側壁は、同じ高さを有し、したがって、平行構成を画定することができる。
【0039】
図14および
図15を参照すると、椎体間にスペーサ900を挿入するために、挿入ツール50を利用することができる。挿入ツール50は、ハウジング52であって、ハウジング52を貫通して延在する管状部材53を有する、ハウジング52を含む。ハンドル54は、ハウジング52から延在し、管状部材53と直交する。継手55が、管状部材53の遠位端51に配設され、スペーサ900の孤状近位壁926に嵌合するために構成され適合される。管腔56は、継手55の遠位端51からハウジング52の近位端57まで延在する。挿入器ロッド70は、ハウジング52および管状部材53を通して再位置決め可能である。挿入器ロッド70は、ネジが切ってある部分72をその遠位端71に有し、ネジが切ってある部分72は、スペーサ900のネジが切ってあるアパーチャ935にネジ込み可能に係合するために構成される。ノブ74であって、ノブ74から延在するシャフト75を有する、ノブ74が、ネジが切ってある部分72に対向して配設される。
【0040】
リトラクタシステム100用のさらなる支持体が必要である場合、テーブル搭載式外科アーム(図示せず)が、安定化アームアダプタ1600(
図8)を使用して、フレームに取付けられることができることも想定される。光ファイバ、LEDなどの照明構造が、可視化を支援するためにリトラクタブレード200に関して利用されることができることがさらに企図される。代替として、リトラクタブレード200のブレード部208の一部分は、透明なプラスチックであり、それ自体光チャネルとして働くことができる。
【0041】
使用時、臨床医は、患者の腸骨稜がテーブルブレーキの真上になるように、テーブルブレーキを有する手術テーブル上に患者を側臥位で位置決めする。患者は、過度の圧力点を回避しながら、いくつかの場所でテープを使用して所定位置に固定されることができる。臨床医は、X線透視または別のイメージングモダリティを使用して、正しい手術高さを特定し、従来の器具を使用して患者の皮膚を通して1つまたは複数の切開を行う。行われる切開の数およびタイプ(たとえば、横断的または垂直的)は、実施される手技に関連する。その後、皮下組織層が、取り払われ、斜行筋膜を露出させる。筋線維は、指が後腹膜空間内に進むにつれて注意深く分離される。後腹膜空間がさらに展開されるにつれて、腹膜は、前方に安全に解除される。適切な場所を確認するために、腰筋または横断プロセスの前方先端の触診が使用される。
【0042】
一旦検証されると、解剖器500(
図9A)は、
図24に示すように、調製された経路内に導入され、腰筋を通して進められる。腰神経叢の前方に留まって、解剖器500は、
図25に示すように椎間板「d」の中央に直接ドッキングされる。その後、ガイドワイヤ1700(
図23)が、
図26および
図27に示すように、解剖器500を通して椎間板「d」に挿入される。解剖器500は、
図28に示すように、除去され、ガイドワイヤ1700を所定場所に残す。1つまたは複数のより大きな解剖器600、700が、
図30に示すように、ガイドワイヤ1700の上を伝って導入されて、開口を拡大することができる。臨床医は、軟部組織を払いのけるために、たとえば前方から後方へのわずかなワイパー運動を使用することができる。臨床医は、
図31に示すように、腰筋の筋肉線維のラインに沿って解剖器600を操作し、それにより、外傷を最小にする。有利には、解剖器600、700は、他の方向に比べて一方向に幅広であり(
図9E参照)、そのことが、幅広のプロファイルが線維に整列し、薄いプロファイルが腰筋線維に横断的に配向するように解剖器が配向した状態で、腰筋線維間への解剖器の挿入を容易にする。任意選択で、外科医は、筋電図検査システムを解剖器の1つまたは複数の解剖器に接続して、挿入中の神経活動および解剖器の動きを監視することができる。
【0043】
脊椎への適切な初期経路が、伸延器(複数可)を利用してこうして調製された後、解剖器500、600、700の任意の1つの解剖器によって、ブレード長を、皮膚高さに対して決定することができる。臨床医は、解剖器500、600、700上に示される印を読取ることによってリトラクタシステム100についての適切なブレード長を容易に決定することができる。適切なブレード長が決定されると、臨床医は、所望の長さを有するリトラクタブレードを選択し、一対のリトラクタブレード200をリトラクタシステム100の第1および第2の支持体110、120に着脱可能に取付けることによって、リトラクタシステム100を使用のために調製する。
【0044】
第2の支持体120は、
図32Aに示すように、リトラクタブレード200が密接した協働的アライメントになるように、アーム130、132に沿って第1の支持体110に向かって並進される。臨床医は、その後、解剖器600、700を除去し、閉じたリトラクタブレード200が調製された開口に入りかつ腰筋線維の長手方向軸に沿う状態で、リトラクタシステム100を挿入する。リトラクタは、ガイドワイヤ1700であって、長手方向チャネル209によって画定された管腔を通って延在する、ガイドワイヤ1700の上を伝って挿入されることができる。リトラクタシステム100は、
図33に示すように、筋肉線維に一直線になった状態で維持され、ブレードの遠位先端が脊椎に隣接するまで脊椎まで直接勧められる。有利には、閉じたリトラクタブレードの低いプロファイルは、ブレードの遠位先端が腰筋を通過し、椎骨に隣接して位置決めされるまで、腰筋の線維間で作業することを可能にする。リトラクタシステム100は、その後、
図34Aおよび
図34Bに示すように、リトラクタブレード200の配向が椎骨の端板と一直線に並ぶように、約90°転回される。
【0045】
リトラクタシステム100は、リトラクタブレート200が腰筋に実質的に横断的である状態で整列すると、
図35Aおよび
図35Bに示すように、隣接する椎体上に頭側リトラクタブレードが配設されるように、部分的に開口するよう移動または牽引される。任意選択で、1つまたは複数の固定ピン1000(
図21)は、
図36Aおよび
図36Bに示すように、リトラクタブレート200のチャネル209の1つまたは複数を通って導入され、固定ピンドライバ1200(
図22)を使用して椎骨「V
1」内に進められる。好ましくは、固定ピン1000は、骨構造にしっかりと係合するためのネジ1020が切ってある遠位部、および、固定ピン1000を挿入または除去するための、固定ピンドライバ1200に動作可能に結合されるヘッド1040を有する。頭側ブレードが頭側椎骨「V
1」に固着された状態で、
図37に示すように、ノブ122が作動されて、第1の支持体110を第2の支持体120から離す。しかし、第1の支持体110が頭側椎骨「V
1」に固着された状態で、ノブ122が作動されて、第2の支持体120を第1の支持体110から離すことも企図される。摺動可能クランクアーム123(
図1)は、さらなるクランク用レバレッジ(cranking leverage)のためにノブ122から外に延在することができる。第1の支持体110が第2の支持体120から離されるため、
図38Aおよび
図38Bに示すように、第2のアームに関連するラチェットは、ラチェット歯136に係合して、第1の支持体110が、牽引された組織からの圧力下で第2の支持体120の方に戻ることを防止する。リトラクタシステム100は、椎間板「d」の適切なアクセスおよび可視化が得られるまで開口される。さらなる軟部組織牽引が所望される場合、リトラクタシステム100の側方態様のための補助ブレード400を使用することができる。特に、補助ブレード400は、切開に挿入され、アーム130、132に沿って後方に引出され、ロック用ホイール135、137を回転させることによって所定場所にロックされる。ブレードの凹状遠位先端は、対応する椎骨「V
1」、「V
2」の側面の曲率に実質的に一致する。この形状は、有利には、手術チャネルの一部分を塞ぐ、ブレード先端の下での軟部組織クリーピングを最小にする。固定ピン1000は、椎体に接して所定位置に遠位ブレード先端を保持するように、椎骨「V
1」、「V
2」に対してブレード200を固定するのを補助し、それにより、リトラクタシステム100が手術中にレバレッジされ操作されるときに、牽引された組織が、手術野に入るようにブレード200の下を摺動しないことを保証する。
【0046】
椎間板内シム1300(
図16)はまた、器具操作中における最小の軟部組織クリープを保証するために使用されることができる。椎間板内シム1300は、補助ブレード400のチャネル409内に導入され、シム挿入器ツール1400(
図17)を使用して椎間板空間内に直接進められることができる。椎間板内シム1300は、取出し器ツール1450(
図18)を使用して除去される。
【0047】
さらなる安定化が所望される場合、オプションのテーブルマウントアーム1600(
図8)が、リトラクタシステム100に取付けられ、外部支持体(図示せず)に結合される。所望のアクセスが達成されると、従来の環切除および椎間板切除ならびに対側環の解放が実施される。種々のカレット、ロンガー、ラスプ、チゼル、およびコブを含む椎間板調製器具の選択を使用することができる。極端に圧壊された椎間板の場合、平坦化されたブレード部1520をその遠位端1510に有する椎間板開大器1500(
図19および
図20)が、椎間板空間を適切に伸延するために使用されることができる。ブレード部1520はまた、ブレード部1520の遠位端1550からの距離を示す複数のマーキング1530を含むことができる。伸延は、所望の高さが達成されるまで実施される。インプラント900が椎間空間に挿入される場合、一連のトライアルインプラント(図示せず)を、脊椎椎体間スペーサ900を配備する前に使用することができる。トライアルインプラントを、前彎バージョンと平行バージョンの両方で構成することができる。
【0048】
椎体間スペーサ900の適切なタイプおよびサイズを外科医が決定した後、椎体間スペーサ900が、インプラント挿入ツール50を使用して挿入される。挿入器ロッド70およびハンドル54は、共に結合され、選択された脊椎椎体間スペーサ900が、管状部材53の遠位端51の継手55に隣接して挿入器ロッド70の遠位端71上にネジ込まれる。椎体間スペーサ900の留置を容易にするために、マレットおよびスラップハンマー(図示せず)を同様に使用することができる。スペーサ900が所望の場所に位置きめされると、椎間板内シム1300と(使用される場合)補助ブレード400と任意の固定ピン1000が除去され、ラチェット解除アーム124が作動されて、第2の支持体120が第1の支持体110の方に再接近することを可能にされ、リトラクタシステム100が、従来の方法では閉鎖される場合がある切開から除去される。
【0049】
固定ピン1000を手技中に任意の地点で使用できること、または、固定ピン1000を手技中に全く使用できないことが本開示の範囲内にある。目下開示されている側方アクセスシステムの実施形態に対して種々の変更を行うことができることが理解されるであろう。たとえば、Flickinger他に対する米国特許第7,615,079号に示すようなレールシステムの上を伝ってスペーサが挿入されうることも企図され、その特許の内容は、参照によりその全体を本明細書に組込まれる。McClintockに対する米国出願公報第2009/0228110号に示すように、挿入器の先端がインプラントの一部になる挿入器の両側でレールにわたって、スペーサが生体内原位置で組立てられうることがさらに企図され、その出願の内容は、参照によりその全体を本明細書に組込まれる。さらに、本開示のシステムおよび方法が単一レベル脊椎融合手技の文脈で示されたが、システムおよび方法が、マルチレベル融合のために、または、椎骨全体が除去され、適切なサイズに作られたインプラントに置換される手技で利用されることができることが企図される。したがって、上記説明は、制限的としてではなく、単に実施形態の例証として解釈されるべきである。当業者は、本開示の精神および範囲内で他の変更形態を想定するであろう。