特許第6045505号(P6045505)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6045505金融市場における注文を管理する方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6045505
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】金融市場における注文を管理する方法および装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/04 20120101AFI20161206BHJP
   G06Q 40/06 20120101ALI20161206BHJP
【FI】
   G06Q40/04
   G06Q40/06
【請求項の数】38
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2013-543394(P2013-543394)
(86)(22)【出願日】2011年12月9日
(65)【公表番号】特表2013-545209(P2013-545209A)
(43)【公表日】2013年12月19日
(86)【国際出願番号】US2011064269
(87)【国際公開番号】WO2012079041
(87)【国際公開日】20120614
【審査請求日】2014年12月9日
(31)【優先権主張番号】61/421,545
(32)【優先日】2010年12月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515000557
【氏名又は名称】アイピー レザボア,エルエルシー.
【氏名又は名称原語表記】IP Reservoir, LLC.
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド テイラー
(72)【発明者】
【氏名】スコット パーソンズ
【審査官】 大野 朋也
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−530591(JP,A)
【文献】 特開2009−265812(JP,A)
【文献】 特開2005−063409(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
注文管理エンジンとして構成された、(1)再構成可能ロジックデバイス、(2)グラフィック処理ユニット(GPU)および(3)チップマルチプロセッサ(CMP)から成る群から選択される要素を有する装置であって、
前記注文管理エンジンは、複数の入力に基づいて、複数の金融商品に関連する複数の注文を処理するよう構成されており、
前記要素は、前記金融商品の注文に関するデータを処理するよう構成された複数のコンポーネントを有しており、
前記複数のコンポーネントは、注文検証コンポーネント、回送ストラテジコンポーネント、ポジションブロッタ更新コンポーネント、および、前記注文を処理するように構成された発注最適化コンポーネントから成る群のうちの少なくとも2つを有しており、
前記要素は、前記複数のコンポーネントを相互接続する複数の専用のオンチップ相互接続を有している、
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記複数のコンポーネントは、さらに、
(1)1つ以上の取引ストラテジアプリケーションから複数の注文を受信し、(2)複数のソースから前記受信された注文に関連するデータの検索を開始する、よう構成されたマッピングコンポーネントと、
前記検索されたデータに基づいて前記受信された注文について注文検証動作を実行するよう構成された注文検証コンポーネントと、
(1)前記注文検証コンポーネントから検証済み注文を受信し、(2)前記検証済み注文が回送される金融市場を決定するために、前記検索されたデータに基づいて前記検証済み注文について回送ストラテジ動作を実行する、よう構成された回送ストラテジコンポーネントと、
(1)前記検証済み注文を受信し、(2)前記検証済み注文と関連する前記回送ストラテジコンポーネントから複数の回送命令を受信し、(3)前記受信した回送命令に基づいて、前記検証済み注文について発注最適化動作を実行し、前記回送命令に従って複数の金融市場についての複数の出力注文を生成する、よう構成された発注最適化コンポーネントと、
を有する、
請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記注文管理エンジンのコンポーネントは、前記コンポーネントのそれぞれが同時に動作するよう構成されているように、並列動作のために構成された処理パイプラインとして用いられる、
請求項2記載の装置。
【請求項4】
前記処理パイプラインは、組み込まれたフィードフォワードパイプラインを有しており、
前記注文検証コンポーネントは、前記マッピングコンポーネントの下流にあり、
前記回送ストラテジコンポーネントは、前記注文検証コンポーネントの下流にあり、
前記発注最適化コンポーネントは前記回送ストラテジコンポーネントの下流にあり、
前記専用のオンチップ相互接続は、さらに、
前記マッピングコンポーネントと前記注文検証コンポーネントとの間第1の専用のオンチップ相互接続と、
前記注文検証コンポーネントと前記回送ストラテジコンポーネントとの間の第2の専用のオンチップ相互接続と、
前記回送ストラテジコンポーネントと前記発注最適化コンポーネントとの間の第3の専用のオンチップ相互接続と、
を有している、
請求項3記載の装置。
【請求項5】
前記要素は、
前記1つ以上の金融商品に関する金融市場データを含む入力から、価格決定および流動性統計のビューを含む現在市場ビューを生成するよう構成された市場ビューコンポーネントと、
前記市場ビューコンポーネントと前記注文検証コンポーネントとを相互接続する専用のオンチップ相互接続と、
をさらに有し、
前記市場ビューコンポーネントは、前記市場ビューコンポーネントと前記注文検証コンポーネントとを相互接続する前記専用のオンチップ相互接続を介して前記注文検証コンポーネントに前記現在市場ビューを通信するようさらに構成されており、
前記注文検証コンポーネントは、通信された前記現在市場ビューに基づいて、前記注文検証動作を実行するようさらに構成されている、
請求項2から4のいずれか1項記載の装置。
【請求項6】
前記要素は、
前記1つ以上の金融商品に関する金融市場データを含む入力から価格決定および流動性統計のビューを含む現在市場ビューを生成するよう構成された市場ビューコンポーネントと、
前記市場ビューコンポーネントと前記回送ストラテジコンポーネントとを相互接続する専用のオンチップ相互接続と、
をさらに有しており、
前記市場ビューコンポーネントは、前記市場ビューコンポーネントと前記回送ストラテジコンポーネントとを相互接続する前記専用のオンチップ相互接続を介して、前記現在市場ビューを前記回送ストラテジコンポーネントに通信するようさらに構成されており、
前記回送ストラテジコンポーネントは、通信された前記現在市場ビューに基づいて、前記回送ストラテジ動作を実行するようさらに構成されている、
請求項2から5のいずれか1項記載の装置。
【請求項7】
前記要素は、
前記1つ以上の金融商品に関する金融市場データを含む入力から価格決定および流動性統計のビューを含む現在市場ビューを生成するよう構成された市場ビューコンポーネントと、
前記市場ビューコンポーネントと前記発注最適化コンポーネントとを相互接続する専用のオンチップ相互接続と、
をさらに有しており、
前記市場ビューコンポーネントは、前記市場ビューコンポーネントと前記発注最適化コンポーネントとを相互接続する前記専用のオンチップ相互接続を介して、前記現在市場ビューを前記発注最適化コンポーネントに通信するようさらに構成されており、
前記発注最適化コンポーネントは、通信された現在市場ビューに基づいて、前記発注最適化動作を実行するようさらに構成されている、
請求項2から6のいずれか1項記載の装置。
【請求項8】
前記要素は、
前記注文管理エンジンにより管理される注文に関連する複数のポジションを追跡するよう構成されているポジションブロッタ更新コンポーネントと、
前記ポジションブロッタ更新コンポーネントを前記市場ビューコンポーネントと相互接続する専用のオンチップ相互接続と、
をさらに有し、
前記ポジションブロッタ更新コンポーネントは、前記ポジションブロッタ更新コンポーネントを前記市場ビューコンポーネントと相互接続する前記専用のオンチップ相互接続を介して、複数の前記追跡したポジションを前記市場ビューコンポーネントに通信するようさらに構成されており、
前記市場ビューコンポーネントは、通信された前記追跡したポジションに基づいて、前記現在市場ビューを生成するようさらに構成されている、
請求項5から7のいずれか1項記載の装置。
【請求項9】
前記要素は、
前記ポジションブロッタ更新コンポーネントを前記注文検証コンポーネントと相互接続する専用のオンチップ相互接続と、
前記ポジションブロッタ更新コンポーネントを前記回送ストラテジコンポーネントと相互接続する専用のオンチップ相互接続と、
をさらに有し、
前記ポジションブロッタ更新コンポーネントは、前記ポジションブロッタ更新コンポーネントを前記注文検証コンポーネントと相互接続する前記専用のオンチップ相互接続を介して、複数の前記追跡したポジションを前記注文検証コンポーネントに通信するようさらに構成されており、
前記注文検証コンポーネントは、通信された前記追跡したポジションに基づいて前記注文検証動作を実行するようさらに構成されており、
前記ポジションブロッタ更新コンポーネントは、前記ポジションブロッタ更新コンポーネントを前記回送ストラテジコンポーネントと相互接続する前記専用のオンチップ相互接続を介して、複数の前記追跡したポジションを前記回送ストラテジコンポーネントに通信するようさらに構成されており、
前記回送ストラテジコンポーネントは、通信された前記追跡したポジションに基づいて前記回送ストラテジ動作を実行するようさらに構成されている、
請求項8項記載の装置。
【請求項10】
前記マッピングコンポーネントは、(1)(i)メモリからのアカウントおよびリスクプロファイルデータおよび(ii)前記市場ビューコンポーネントからの現在市場ビューを先取りし、(2)前記フィードフォワードパイプラインにおける他のコンポーネントによる使用のために前記フィードフォワードパイプライン内の下流で前記先取りしたデータを通信するようさらに構成されている、
請求項4を引用する請求項5から9のいずれか1項記載の装置。
【請求項11】
前記要素は
1つ以上の発注チャネルについての市場内レイテンシを推定するよう構成されたレイテンシモニタコンポーネントと、
前記レイテンシモニタコンポーネントを前記回送ストラテジコンポーネントと相互接続する専用のオンチップ相互接続と、
さらに有しており、
前記レイテンシモニタコンポーネントは、前記レイテンシモニタコンポーネントを前記回送ストラテジコンポーネントと相互接続する前記専用のオンチップ相互接続を介して、市場内レイテンシデータを前記回送ストラテジコンポーネントに通信するようさらに構成されており、
前記回送ストラテジコンポーネントは、通信された前記市場内レイテンシデータに基づいて前記回送ストラテジ動作を実行するようさらに構成されている、
請求項2から10のいずれか1項記載の装置。
【請求項12】
前記要素は、
前記レイテンシモニタコンポーネントを前記発注最適化コンポーネントと相互接続する第1の専用のオンチップ相互接続と、
前記レイテンシモニタコンポーネントを前記発注最適化コンポーネントと相互接続する第2の専用のオンチップ相互接続と、
前記レイテンシモニタコンポーネントを前記ポジションブロッタ更新コンポーネントと相互接続する専用のオンチップ相互接続と、
をさらに有しており、
前記発注最適化コンポーネントは、前記発注最適化コンポーネントを前記レイテンシモニタコンポーネントと相互接続する前記第1の専用のオンチップ相互接続を介して、前記出力注文を前記レイテンシモニタコンポーネントに通信するようさらに構成されており、
前記ポジションブロッタ更新コンポーネントは、前記レイテンシモニタコンポーネントを前記ポジションブロッタ更新コンポーネントと相互接続する前記専用のオンチップ相互接続を介して、複数の前記追跡したポジションを前記レイテンシモニタコンポーネントに通信するようさらに構成されており、
前記レイテンシモニタコンポーネントは、(1)複数の注文チャネルからの複数の注文応答を受信し、(2)通信された前記出力注文、通信された前記追跡したポジション、および、前記受信した注文応答に基づいて、前記市場内レイテンシデータを推定するようさらに構成されており、
前記レイテンシモニタコンポーネントは、前記レイテンシモニタコンポーネントを前記発注最適化コンポーネントと相互接続する前記第2の専用のオンチップ相互接続を介して、前記市場内レイテンシデータを前記発注最適化コンポーネントに通信するようさらに構成されており、
前記発注最適化コンポーネントは、通信された前記市場内レイテンシデータに基づいて、前記発注最適化動作を実行するようさらに構成されている、
請求項8を引用する請求項11記載の装置。
【請求項13】
前記要素は、再構成可能ロジックデバイスである、
請求項1から12のいずれか1項記載の装置。
【請求項14】
前記再構成可能ロジックデバイスは、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を含む、
請求項13記載の装置。
【請求項15】
前記要素は、グラフィック処理ユニット(GPU)である、
請求項1から12のいずれか1項記載の装置。
【請求項16】
前記要素は、チップマルチプロセッサ(CMP)である、
請求項1から12のいずれか1項記載の装置。
【請求項17】
注文管理エンジンが、複数の入力に基づいて複数の金融商品に関連する複数の注文を受信し、処理するステップを含む方法であって、
前記注文管理エンジンは、(1)再構成可能ロジックデバイス、(2)グラフィック処理ユニット(GPU)および(3)チップマルチプロセッサ(CMP)から成る群から選択される1つの要素を有しており、
前記要素は、前記金融商品の注文に関連するデータを処理するよう構成された複数のコンポーネントを有しており、
前記複数のコンポーネントは、注文検証コンポーネント、回送ストラテジコンポーネント、ポジションブロッタ更新コンポーネント、および、前記注文を処理するように構成された発注最適化コンポーネントから成る群のうちの少なくとも2つを有しており、
前記要素は、前記複数のコンポーネントを相互接続する複数の専用のオンチップ相互接続を有しており、
前記受信および処理ステップは、前記コンポーネントのうちの少なくとも2つを用いて前記注文を処理するステップを含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項18】
ストリームされる金融市場データを受信し、処理するよう構成された取引プラットフォームを有する装置であって、
前記取引プラットフォームは、金融商品取引をサポートするデータを処理するよう構成された、ホストプロセッサおよびホストメモリを有するホストシステムを有し、
前記取引プラットフォームは、金融商品市場データのストリームを受信し、標準化するよう構成されたティッカープラントエンジンを有し、但し、前記ティッカープラントエンジンは、(1)再構成可能ロジックデバイス、(2)グラフィック処理ユニット(GPU)および(3)チップマルチプロセッサ(CMP)から成る群から選択される1つの要素に設けられており、
前記取引プラットフォームは、標準化金融市場データに基づいて複数の金融商品の注文を管理するよう構成された注文管理エンジンを有し、但し、前記注文管理エンジンは、(1)再構成可能ロジックデバイス、(2)グラフィック処理ユニット(GPU)および(3)チップマルチプロセッサ(CMP)から成る群から選択される1つの要素に設けられており、
前記取引プラットフォームは、前記ティッカープラントエンジンと前記注文管理エンジンとを相互接続するよう構成されたピアツーピア型ハードウェア相互接続を有し、
前記ティッカープラントエンジンは、前記ホストプロセッサおよび前記ホストメモリを用いること無く、前記ピアツーピア型ハードウェア相互接続を介して、前記注文管理エンジンと共有するメモリに前記標準化金融市場データを書き込むことにより、前記注文管理エンジンに前記標準化金融市場データを通信するよう構成されている、
ことを特徴とする装置。
【請求項19】
前記取引プラットフォームは、前記標準化金融市場データに基づいて取引ストラテジの少なくとも一部を実施するよう構成された取引ストラテジオフロードエンジンをさらに有し、但し、前記取引ストラテジオフロードエンジンは、(1)再構成可能ロジックデバイス、(2)グラフィック処理ユニット(GPU)および(3)チップマルチプロセッサ(CMP)から成る群から選択される1つの要素において用いられ、
前記ピアツーピア型ハードウェア相互接続は前記ティッカープラントエンジンと前記取引ストラテジオフロードエンジンとを相互接続するようさらに構成されており、
前記ティッカープラントエンジンは、前記ホストプロセッサおよび前記ホストメモリを用いること無く、前記ピアツーピア型ハードウェア相互接続を介して、前記取引ストラテジオフロードエンジンと共有するメモリに前記標準化金融市場データを書き込むことにより、前記取引ストラテジオフロードエンジンに前記標準化金融市場データを通信するよう構成されている、
請求項18記載の装置。
【請求項20】
前記取引ストラテジオフロードエンジンは、バスケット計算エンジンを有している、
請求項19記載の装置。
【請求項21】
前記ホストプロセッサは、取引ストラテジソフトウェアアプリケーションによって取引ストラテジを実行するよう構成されており、
前記取引プラットフォームは、
前記ティッカープラントエンジンおよび前記取引ストラテジソフトウェアアプリケーションにより共有されるメモリと、
前記取引ストラテジソフトウェアアプリケーションと前記取引ストラテジオフロードエンジンとを相互接続するよう構成されたハードウェア−ソフトウェア相互接続チャネルと、をさらに有し、
前記ティッカープラントエンジンは、前記ティッカープラントエンジンと前記取引ストラテジソフトウェアアプリケーションとの間で共有された前記メモリに標準化金融市場データを書き込むようさらに構成されており、
前記取引ストラテジソフトウェアアプリケーションは、(1)前記ティッカープラントエンジンと前記取引ストラテジソフトウェアアプリケーションとの間で共有された前記メモリから前記標準化金融市場データを読み出し、(2)前記ハードウェア−ソフトウェア相互接続チャネルを介して前記取引ストラテジの一部を前記取引ストラテジオフロードエンジンにオフロードし、(3)読み出した前記標準化金融市場データ、および、前記ハードウェア−ソフトウェア相互接続チャネルを介した前記取引ストラテジオフロードエンジンとの相互作用に基づいた前記取引ストラテジを実行する、よう構成されている、
請求項19または20記載の装置。
【請求項22】
前記ティッカープラントエンジン、前記注文管理エンジン、前記取引ストラテジオフロードエンジンおよび前記取引ストラテジソフトウェアアプリケーションは並列動作用に構成されており、前記ティッカープラントエンジン、前記注文管理エンジン、前記取引ストラテジオフロードエンジンおよび前記取引ストラテジソフトウェアアプリケーションのそれぞれが同時に動作するよう構成されている、
請求項21記載の装置。
【請求項23】
前記ティッカープラントエンジン、前記注文管理エンジンおよび前記取引ストラテジオフロードエンジンは並列動作用に構成されており、前記ティッカープラントエンジン、前記注文管理エンジンおよび前記取引ストラテジオフロードエンジンのそれぞれが同時に動作するよう構成されている、
請求項19から21のいずれか1項記載の装置。
【請求項24】
前記ティッカープラントエンジンは、第1の装置において用いられ、但し、前記第1の装置は、再構成可能ロジックデバイス、グラフィック処理ユニット(GPU)およびチップマルチプロセッサ(CMP)から成る群から選択される1つの要素であり、
前記注文管理エンジンは、第2の装置において用いられ、但し、前記第2の装置は、再構成可能ロジックデバイス、グラフィック処理ユニット(GPU)およびチップマルチプロセッサ(CMP)から成る群から選択される1つの要素であり、
前記ピアツーピア型ハードウェア相互接続は、アドレス可能なメモリ空間を有しており、前記ティッカープラントエンジンは、前記アドレス可能なメモリ空間の第1の部分に割り当てられており、前記注文管理エンジンは前記アドレス可能なメモリ空間の第2の部分に割り当てられている、
請求項18から23のいずれか1項記載の装置。
【請求項25】
前記取引プラットフォームは、基底アドレスレジスタ(BAR)をさらに有しており、前記基底アドレスレジスタ(BAR)は、前記ティッカープラントエンジンおよび前記注文管理エンジンのための前記アドレス可能なメモリ空間の前記第1の部分および前記第2の部分を定めるよう構成されている、
請求項24記載の装置。
【請求項26】
前記ティッカープラントエンジンは、第1の装置において用いられ、但し、前記第1の装置は、再構成可能ロジックデバイス、グラフィック処理ユニット(GPU)およびチップマルチプロセッサ(CMP)から成る群から選択される1つの要素であり、
前記注文管理エンジンは、第2の装置において用いられ、但し、前記第2の装置は、再構成可能ロジックデバイス、グラフィック処理ユニット(GPU)およびチップマルチプロセッサ(CMP)から成る群から選択される1つの要素であり、
前記取引ストラテジオフロードエンジンは、第3の装置において用いられ、但し、前記第3の装置は、再構成可能ロジックデバイス、グラフィック処理ユニット(GPU)およびチップマルチプロセッサ(CMP)から成る群から選択される1つの要素であり、
前記ピアツーピア型ハードウェア相互接続は、アドレス可能なメモリ空間を有しており、前記ティッカープラントエンジンは、前記アドレス可能なメモリ空間の第1の部分に割り当てられており、前記注文管理エンジンは前記アドレス可能なメモリ空間の第2の部分に割り当てられており、前記取引ストラテジオフロードエンジンは前記アドレス可能なメモリ空間の第3の部分に割り当てられている、
請求項19から23のいずれか1項記載の装置。
【請求項27】
前記取引プラットフォームは、基底アドレスレジスタ(BAR)をさらに有しており、前記基底アドレスレジスタ(BAR)は、前記ティッカープラントエンジン、前記注文管理エンジンおよび前記取引ストラテジオフロードエンジンのための前記アドレス可能なメモリ空間の前記第1の部分、前記第2の部分および前記第3の部分を定めるよう構成されている、
請求項26記載の装置。
【請求項28】
前記ティッカープラントエンジンおよび前記注文管理エンジンは、異なる再構成可能ロジックデバイスにおいて用いられる、
請求項18から23のいずれか1項記載の装置。
【請求項29】
ストリームされる金融市場データを受信し、処理するよう構成された取引プラットフォームを有する装置であって、
前記取引プラットフォームは、金融商品取引をサポートするデータを処理するよう構成された、ホストプロセッサおよびホストメモリを有するホストシステムを有し、
前記取引プラットフォームは、金融市場データのストリームを受信し、標準化するよう構成されたティッカープラントエンジンを有し、但し、前記ティッカープラントエンジンは、(1)再構成可能ロジックデバイス、(2)グラフィック処理ユニット(GPU)および(3)チップマルチプロセッサ(CMP)から成る群から選択される1つの要素において用いられ、
前記取引プラットフォームは、標準化金融市場データに基づいて取引ストラテジの少なくとも一部を実施するよう構成された取引ストラテジオフロードエンジンを有し、但し、前記取引ストラテジオフロードエンジンは、(1)再構成可能ロジックデバイス、(2)グラフィック処理ユニット(GPU)および(3)チップマルチプロセッサ(CMP)から成る群から選択される1つの要素において用いられ、
前記取引プラットフォームは、前記取引ストラテジオフロードエンジンと前記ティッカープラントエンジンとを相互接続するよう構成されたピアツーピア型ハードウェア相互接続を有し、
前記ティッカープラントエンジンは、前記ホストプロセッサおよび前記ホストメモリを用いること無く、前記ピアツーピア型ハードウェア相互接続を介して、前記取引ストラテジオフロードエンジンと共有するメモリに前記標準化金融市場データを書き込むことにより、前記取引ストラテジオフロードエンジンに前記標準化金融市場データを通信するよう構成されている、
ことを特徴とする装置。
【請求項30】
前記ホストプロセッサおよび前記ホストメモリは、取引ストラテジソフトウェアアプリケーションにより取引ストラテジを実行するよう構成されており、
前記取引プラットフォームは、前記ティッカープラントエンジンおよび前記ホストシステムにより共有されたメモリを有しており、但し、前記ティッカープラントエンジンは標準化金融市場データを共有された前記メモリに書き込むようさらに構成されており、
前記取引プラットフォームは、前記取引ストラテジソフトウェアアプリケーションと前記取引ストラテジオフロードエンジンとを相互接続するよう構成されたハードウェア−ソフトウェア相互接続チャネルを有しており、
前記取引ストラテジソフトウェアアプリケーションは、(1)前記ティッカープラントエンジンと前記ホストシステムとの間で共有された前記メモリから前記標準化金融市場データを読み出し、(2)前記ハードウェア−ソフトウェア相互接続チャネルを介して前記取引ストラテジの一部を前記取引ストラテジオフロードエンジンにオフロードし、(3)読み出した前記標準化金融市場データ、および、前記ハードウェア−ソフトウェア相互接続チャネルを介した前記取引ストラテジオフロードエンジンとの相互作用に基づいた前記取引ストラテジを実行する、よう構成されている、
請求項29記載の装置。
【請求項31】
前記ティッカープラントエンジンは、第1の装置において用いられ、但し、前記第1の装置は、再構成可能ロジックデバイス、グラフィック処理ユニット(GPU)およびチップマルチプロセッサ(CMP)から成る群から選択される1つの要素であり、
前記取引ストラテジオフロードエンジンは、第2の装置において用いられ、但し、前記第2の装置は、再構成可能ロジックデバイス、グラフィック処理ユニット(GPU)およびチップマルチプロセッサ(CMP)から成る群から選択される1つの要素であり、
前記ピアツーピアハードウェア相互接続は、アドレス可能なメモリ空間を有しており、前記ティッカープラントエンジンは、前記アドレス可能なメモリ空間の第1の部分に割り当てられており、前記取引ストラテジオフロードエンジンは前記アドレス可能なメモリ空間の第2の部分に割り当てられている、
請求項29または30記載の装置。
【請求項32】
前記取引プラットフォームは、基底アドレスレジスタ(BAR)をさらに有しており、前記基底アドレスレジスタ(BAR)は、前記ティッカープラントエンジンおよび前記取引ストラテジオフロードエンジンのための前記アドレス可能なメモリ空間の前記第1の部分および前記第2の部分を定めるよう構成されている、
請求項31記載の装置。
【請求項33】
ストリームされる金融市場データを受信し、処理するよう構成された取引プラットフォームを有する装置であって、
前記取引プラットフォームは、ホストコンピュータシステムを有し、前記ホストコンピュータシステムは、ホストプロセッサおよびホストメモリを有し、前記ホストコンピュータシステムは、取引ストラテジソフトウェアアプリケーションによって取引ストラテジを実行するよう構成されており、
前記取引プラットフォームは、(1)再構成可能ロジックデバイス、(2)グラフィック処理ユニット(GPU)および(3)チップマルチプロセッサ(CMP)から成る群から選択される1つの要素において用いられる取引ストラテジオフロードエンジンを有しており、
前記取引プラットフォームは、前記取引ストラテジソフトウェアアプリケーションと前記取引ストラテジオフロードエンジンとを相互接続するよう構成されたハードウェア−ソフトウェア相互接続チャネルを有しており、
前記取引プラットフォームは、前記取引ストラテジの結果として生成される複数の金融商品注文を管理するよう構成された注文管理エンジンをさらに有し、但し、前記注文管理エンジンは(1)再構成可能ロジックデバイス、(2)グラフィック処理ユニット(GPU)および(3)チップマルチプロセッサ(CMP)から成る群から選択される1つの要素において用いられ、
前記取引プラットフォームは、前記取引ストラテジオフロードエンジンと前記注文管理エンジンとを相互接続するよう構成されたピアツーピア型ハードウェア相互接続を有し、 前記取引ストラテジソフトウェアアプリケーションと前記取引ストラテジオフロードエンジンとは、前記ハードウェア−ソフトウェア相互接続チャネルを介して互いに通信し、前記取引ストラテジを実施するよう構成されており、
前記取引ストラテジオフロードエンジンは、1つ以上の金融商品および1つ以上の金融市場に関して前記取引ストラテジの一部を前記ホストコンピュータシステムからオフロードするよう構成されており、
前記取引ストラテジオフロードエンジンおよび前記注文管理エンジンは、前記ホストプロセッサおよび前記ホストメモリを用いること無く、前記ピアツーピア型ハードウェア相互接続を介して互いに通信するよう構成されている、
ことを特徴とする装置。
【請求項34】
前記取引ストラテジオフロードエンジンは、第1の装置において用いられ、但し、前記第1の装置は、再構成可能ロジックデバイス、グラフィック処理ユニット(GPU)およびチップマルチプロセッサ(CMP)から成る群から選択される1つの要素であり、
前記注文管理エンジンは、第2の装置において用いられ、但し、前記第2の装置は、再構成可能ロジックデバイス、グラフィック処理ユニット(GPU)およびチップマルチプロセッサ(CMP)から成る群から選択される1つの要素であり、
前記ピアツーピア型ハードウェア相互接続は、アドレス可能なメモリ空間を有しており、前記取引ストラテジオフロードエンジンは、前記アドレス可能なメモリ空間の第1の部分に割り当てられており、前記注文管理エンジンは前記アドレス可能なメモリ空間の第2の部分に割り当てられている、
請求項33記載の装置。
【請求項35】
前記取引プラットフォームは、基底アドレスレジスタ(BAR)をさらに有しており、前記基底アドレスレジスタ(BAR)は、前記取引ストラテジオフロードエンジンおよび前記注文管理エンジンのための前記アドレス可能なメモリ空間の前記第1の部分および前記第2の部分を定めるよう構成されている、
請求項34記載の装置。
【請求項36】
前記取引ストラテジオフロードエンジンは、バスケット計算エンジンを有する、
請求項33から35のいずれか1項記載の装置。
【請求項37】
前記ピアツーピア型ハードウェア相互接続はPCI Expressバスを有する、
請求項18から36のいずれか1項記載の装置。
【請求項38】
取引プラットフォームが、ストリームされる金融市場データを受信し、処理するステップを含む方法であって、
前記取引プラットフォームは、金融商品取引をサポートするデータを処理するよう構成された、ホストプロセッサおよびホストメモリを有するホストシステムを有し、
前記取引プラットフォームは、(1)再構成可能ロジックデバイス、(2)グラフィック処理ユニット(GPU)および(3)チップマルチプロセッサ(CMP)から成る群から選択される1つの要素において用いられるティッカープラントエンジンを有し、
前記取引プラットフォームは、(1)再構成可能ロジックデバイス、(2)グラフィック処理ユニット(GPU)および(3)チップマルチプロセッサ(CMP)から成る群から選択される1つの要素において用いられる注文管理エンジンを有し、
前記取引プラットフォームは、前記ティッカープラントエンジンと前記注文管理エンジンとを相互接続するよう構成されたピアツーピア型ハードウェア相互接続を有し、
前記受信し、処理するステップは、
前記ティッカープラントエンジンが、金融市場データのストリームを受信し、標準化するステップと、
前記注文管理エンジンが、前記標準化金融市場データに基づいて複数の金融商品注文を管理するステップと、
前記ティッカープラントエンジンが、前記ホストプロセッサおよび前記ホストメモリを用いること無く、前記ピアツーピア型ハードウェア相互接続を介して、前記注文管理エンジンと共有するメモリに前記標準化金融市場データを書き込むことにより、前記注文管理エンジンに前記標準化金融市場データを通信するステップと、
を含む、
ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国仮特許出願第61/421,545号(「金融市場における注文を管理する方法および装置」、2010年12月9日出願)に対して優先権を主張するものであり、開示全体が参照により本明細書に含まれる。
【0002】
本特許出願は、米国特許7,840,482、7,921,046、7,954,114、米国特許出願公開2007/0174841、2007/0294157、2008/0243675、2009/0182683、2009/0287628、2011/0040701、2011/0178911、2011/0178912、2011/0178917、2011/0178918、2011/0178919、2011/0178957、2011/0179050、2011/0184844、国際出願特許公開WO2010/077829にも関連し、これらの開示全体が参照により本明細書中に含まれる。
【背景技術】
【0003】
緒言
図1は、例示的な取引プラットフォームのブロック図を示す。金融取引所、クロッシングネットワークおよび電子通信ネットワークの一般的な役割は、金融商品の売買、各金融商品に関する売買注文のソート済み一覧の保持、同一価格での売り手と買い手の付合わせ(取引)のための注文を受け取ることである。金融取引所、クロッシングネットワークおよび電子通信ネットワークは、上述の米国特許出願公開2008/0243675に記載されているように、様々な種類の金融市場データフィードについてのこの動作の全てをレポートする。本明細書中、「金融取引」とは、典型的には企業体または政府機関に関連する、株式所有権、債権または与信を表す、売却可能な契約をいう。金融取引の例としては、株式、債権、オプション、コモディティ、通貨市場で取引される通貨などが挙げられるが、現金または小切手についてはこれらが金融取引市場外で用いられるという意味において含まれない(すなわち、現金または小切手を用いて雑貨屋で雑貨を購入することは、本明細書で用いられる「金融取引」の語に含まれない。同様に、デビットカードを用いて現金自動支払機から現金100ドルを引き出すことも本明細書で用いられる「金融取引」の語に含まれない)。さらに、本明細書で用いられる「金融市場データ」の語は、金融商品の売買についての新たな申し入れ、金融商品の販売完了の表示、金融取引の前にレポートされた販売の訂正の通知、このような取引に関する管理メッセージなどを個別に表す一連のメッセージに含まれるまたはこれより得られるデータを意味する。金融市場データを含むメッセージフィードは、多数のソースから得ることができ、様々なフィード種類、たとえば、本明細書に記載されるようなレベル1フィード、レベル2フィードが存在する。
【0004】
ダークプールは、売り手と買い手の付合わせと同様の機能を果たすが、利用可能な流動性および価格決定情報について十分知ることはできない。ダークプールは、例えば、金融取引所、投資銀行または他の金融機関によって利用される。ダークプールについては、ダークプールで生じる取引が公開市場に対して相当な割合を有しており、急速に電子取引活動に関する重要な市場センタとなってきている。
【0005】
複数の市場センタからのリアルタイムデータ(およびその付随フィード)を活用する取引アプリケーションの開発を容易にするため、上述の米国特許出願公開2008/0243675および国際出願公開WO2010/077829に記載されているように、取引プラットフォームは、典型的には、データを標準化し、ティッカープラントにおいて共通データ処理/補強機能を実行する。
【0006】
取引ストラテジは、標準化市場データを用いて、売買注文を行う決定をし、注文管理システムにこれらの注文を渡す。なお、これらの注文は、注文をどこに回送するのか(たとえば注文がダークプールに回送されるべきであるか否か)、(注文が実行されない場合に)注文が取り消される前にどれくらい市場に置いておくべきか、および、取引市場における注文の管理を支配する他の条件について、注文管理システムに情報を与えることができる。
【0007】
注文管理システム(OMS)(以下、執行管理システム(EMS)ともいう)は、1つ以上の取引アプリケーションからの注文を管理する責任を負う。なお、OMS/EMSは複数の取引主体からの注文を管理する責任を負う場合もある。これらの取引主体は、同一の投資銀行内の競合する取引グループである場合もある。これらの取引主体は、共通のプライムサービスブローカーや取引インフラプロバイダーを通じて市場にアクセスする独立の金融機関である場合もある。
【0008】
OMS/EMSの機能は、市場に注文を出す(発注する)ことである。市場に発注する前に、OMSは、注文が遂行について「有効」とみなすために、最初に一連のチェックを行う場合がある。これらのチェックには、以下のものが含まれる。
【0009】
・個人アカウントおよびリスクプロファイル
−注文量(瞬間および累積)
−量と価格の積(瞬間および累積)
−ポジションについての累積正味価額
−最終ティックおよび/または寄付きからの乖離率
−ポジション枠、マージン
−権利(市場アクセス、空売り、オプション、端株、ISO等)
【0010】
・法人アカウントおよびリスクプロファイル
−注文量(瞬間および累積)
−量と価格の積(瞬間および累積)
−ポジションについての累積正味価額
−最終ティックおよび/または寄付きからの乖離率
−ポジション枠、マージン
−権利(市場アクセス、空売り、オプション、端株、ISO等)
−シンボルの法人「制限リスト」
【0011】
・規制
−空売り制限
−停止商品
−ティックルール
−トレードスルー
【0012】
これらのチェックは、OMSがアクセス可能なアカウント、リスクおよび規制データ、ならびに、ティッカープラントからの標準化市場データを介して提供される市場の現在状況のビューによって決定される。
【0013】
また、OMS/EMSは、典型的には、ダークプールを含む複数の市場への注文の遂行を管理するために用いられる。OMS/EMSの基本的機能の1つは、注文が適切である(すなわち「有効」である)と宣言されたときに、入力注文それぞれについて回送先を選択することである。なお、OMS/EMSは同じまたは異なる市場に回送されうるより小口の注文に注文をさらに分割することを選択してもよい。OMS/EMSは、ティッカープラントから標準化市場データを介して提供される市場の現在状況、ならびに、OMS/EMSに対する回送パラメタ入力に基づいて、回送決定を行う。回送パラメタはたとえばアカウント毎または法人毎に範囲設定される。回送パラメタには例えば以下のものが含まれる。
【0014】
・市場毎の手数料およびリベート構造
・アカウント手数料およびリベート構造
・市場毎のポジション枠
・市場アクセスレイテンシ(連続的に更新される取引所内レイテンシの推定値)
【0015】
・回送ストラテジ
−最良総約定価格(取引手数料、売り手/買い手モデル等を含む)
−最低手数料
−全市場へのマーケットスイープ(Intermarket Sweep Order(ISO))
−注文における市場選好
【0016】
・注文分割ルール
−市場範囲
−市場毎の最大数
−各市場の現値からの価格デルタ限界
【0017】
OMSが注文をどこにどのように回送するかの決定を行った後、OMSは次いで、注文、および、OMSが注文を所定の市場に送信する通信チャネルの最適化を試みる(発注最適化)。たとえば、遂行される(一致する)確率がより高い注文は、遂行される確率がより低い注文の前に実行され、あるいは、所定の条件(たとえば注文の種類または特定の金融商品)を満たす注文が、他のものよりも高い確率で、1つの通信チャネルを用いることにより遂行される。また、発注最適化は、(標準化市場データからの)市場の現在ビュー、ならびに、所定の市場に関する市場内レイテンシの現在の推定値を含んでもよい。
【0018】
図2は、当該分野において知られる、従来のOMS/EMSの構成図を示す。典型的には、複数のサーバ202とネットワークインフラ(スイッチ、ルータ等)がOMS/EMSファンクションの1つ以上のインスタンスのホストに用いられており、各ファンクションは1つ以上のメッセージングバス204、206、208を介して相互接続されている。OMS/EMSファンクションは、典型的には、複数のサーバ202に設けられている汎用目的プロセッサ(GPP)上で実行するソフトウェアコンポーネントに実装されている。図2に示されるように、ティッカープラントからの標準化市場データは市場データメッセージングバス204を介してOMS/EMSソフトウェアコンポーネントに送られる。同様に、発注メッセージングバス206は取引ストラテジからの入力注文、OMS/EMSソフトウェアコンポーネント間の注文関連メッセージ、市場に対する出力注文、および、市場からの注文応答を伝送する。データベースアクセスメッセージングバス208は、OMS/EMSソフトウェアコンポーネントに権利、規制パラメタ、リスクプロファイル、アカウント、注文回送パラメタおよびポジションブロッタの各データベースへのアクセスを提供する。
【0019】
1つ以上の検証ソフトウェアコンポーネントが1つ以上のサーバ202上で用いられている。各注文検証ソフトウェアコンポーネントは、メッセージングバスに対する市場データインタフェースを必要とする。検証ソフトウェアコンポーネントは、入力注文に対する検証を実行するために、インタフェースによって必要な市場データを要求することができる。同様に、注文検証ソフトウェアコンポーネントは、発注バス上の取引ストラテジからの新たな入力注文をリッスンする。なお、市場データの送達のレイテンシおよび市場データバス上で利用可能な帯域幅は、注文検証ソフトウェアコンポーネントにより用いられるデータの量および質にそれぞれ影響する。さらに、注文検証ソフトウェアコンポーネントの複数のサーバ202への分割によって、検証決定が分割される。結果として、上述の検証決定はデータの限られたビューについて行われ(これはリスクをもたらす)、または、リスクの包括的なビューを構築するために、検証決定は異なるコンポーネントからのデータが蓄積されるまで遅延される。このような遅延は、取引機会への高速な応答に依存する市場機会を減らすかまたは失わせるおそれがある。
【0020】
妥当性チェックを通った注文は、上述のように、複数の市場への注文を遂行する1つ以上の回送ストラテジソフトウェアコンポーネントに転送される。他の検証ソフトウェアコンポーネントと同様に、各回送ストラテジソフトウェアコンポーネントは、市場データメッセージングバスに対する市場データインタフェースを必要とし、該インタフェースを介して各回送ストラテジソフトウェアコンポーネントは現在価格決定情報を受け取る。注文回送ストラテジソフトウェアコンポーネントは、典型的には、新たな注文を回送するため、商品に関するブックの価格集計ビューを必要とする。これらのブックビューは、たとえば、回送ストラテジソフトウェアコンポーネントのローカルにキャッシュされるか、または、市場データインタフェースを介して要求される。これらのブックビューに関連するレイテンシは、注文回送決定を行うために回送ストラテジソフトウェアコンポーネントにより用いられるデータの質に直接影響する。データの遅延によって、回送ストラテジソフトウェアコンポーネントが取引機会の喪失または取引の喪失をもたらす決定を行うこととなるおそれがある。回送ストラテジソフトウェアコンポーネントが回送決定を行うと、その処理命令および回送先市場に従う命令が発注バスに転送される。
【0021】
典型的には、回送ストラテジソフトウェアコンポーネントからの注文は、1つ以上の市場に対する発注インタフェースを構成する1つ以上のFIXエンジンソフトウェアコンポーネントに直接渡される。FIXエンジンソフトウェアコンポーネントは出力注文を市場に渡し、市場からの入力注文応答を発注バスに渡す。メッセージングバスを介したさらなる伝送およびFIXエンジン処理により生じるレイテンシは、OMS/EMSの総レイテンシをさらに増大させる。
【0022】
任意選択的に、OMS/EMSは、1つ以上の発注最適化ソフトウェアコンポーネントを含んでよい。上述のように、これらのソフトウェアコンポーネントは、市場に通される注文について優先順位をつける。OMS/EMSに含まれる場合、ソフトウェアコンポーネントは、発注バスを介した回送ストラテジソフトウェアコンポーネントからの注文を受け取り、優先キューイング動作を実行し、当該市場を回送先とする注文を発注メッセージングバスを介して適切なFIXエンジンソフトウェアコンポーネントに渡す。FIXエンジンソフトウェアコンポーネントについても同様に、メッセージングバスを介したさらなる伝送および発注最適化処理により生じるレイテンシは、OMS/EMSの総レイテンシをさらに増大させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】米国特許7,840,482
【特許文献2】米国特許7,921,046
【特許文献3】米国特許7,954,114
【特許文献4】米国特許出願公開2007/0174841
【特許文献5】米国特許出願公開2007/0294157
【特許文献6】米国特許出願公開2008/0243675
【特許文献7】米国特許出願公開2009/0182683
【特許文献8】米国特許出願公開2009/0287628
【特許文献9】米国特許出願公開2011/0040701
【特許文献10】米国特許出願公開2011/0178911
【特許文献11】米国特許出願公開2011/0178912
【特許文献12】米国特許出願公開2011/0178917
【特許文献13】米国特許出願公開2011/0178918
【特許文献14】米国特許出願公開2011/0178919
【特許文献15】米国特許出願公開2011/0178957
【特許文献16】米国特許出願公開2011/0179050
【特許文献17】米国特許出願公開2011/0184844
【特許文献18】国際出願特許公開WO2010/077829
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
したがって、複数のシステムにわたってOMS/EMSコンポーネントを分散させることにより、複雑度およびレイテンシが増大し、これは規制リスクをもたらし、かつ、レイテンシに影響される取引機会を現金化する機会を制限する。さらに、コンポーネント間の通信のオーバーヘッドは、コンポーネントにタスクの実行に利用可能なデータ量を制限する。これはさらなる規制リスクをもたらし、さらに取引機会を制限するおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0025】
複雑度およびレイテンシに関するこれらの技術的課題の解決手段として、本発明者らは、システムコンポーネント間に緊密な統合が提供され、これによりレイテンシが改善されかつ通信複雑度が低減される、種々の実施形態を開示する。
【0026】
たとえば、本発明者らによれば、注文管理エンジンとして構成されたプロセッサを有する装置が開示され、注文管理エンジンは、(1)複数の入力に基づいて複数の金融商品に関連する注文を処理し、(2)注文検証動作、回送ストラテジ動作、ポジションブロッタ動作および発注最適化のうちの少なくとも2つを統合し、これにより注文を処理するよう構成されている。
【0027】
別の例として、本発明者らによれば、(1)注文管理エンジンとして構成されたプロセッサが、複数の入力に基づいて複数の金融商品に関連する複数の注文を処理するステップを含む方法が開示され、該処理ステップは、注文管理エンジンの統合されたコンポーネントを介して、注文検証動作、回送ストラテジ動作、ポジションブロッタ動作および発注最適化のうちの少なくとも2つを実行し、これにより注文を処理するステップを含む。
【0028】
さらに別の例として、本発明者らによれば、取引プラットフォームを含む装置が開示され、該取引プラットフォームはストリーミング金融市場データを受け取って処理するように構成されており、該取引プラットフォームは、それぞれ取引プラットフォームに統合された、(1)ティッカープラントエンジン、(2)取引ストラテジエンジンおよび(3)注文管理エンジンのうちの少なくとも2つを含む。
【0029】
別の例として、本発明者らによれば、取引プラットフォームがストリーミング金融市場データを受け取るステップおよび処理するステップを含む方法が開示され、該取引プラットフォームは、(1)ティッカープラントエンジン、(2)取引ストラテジエンジンおよび(3)注文管理エンジンのうちの少なくとも2つを含み、それぞれは取引プラットフォームに統合されている。
【0030】
本発明者らによれば、さらに、取引プラットフォームを有する装置が開示され、該取引プラットフォームは、ストリーミング金融市場データを受け取って処理するよう構成されており、該取引プラットフォームはホストシステムおよび取引ストラテジエンジンを有し、該取引ストラテジエンジンは、1つ以上の金融商品および1つ以上の金融市場に関して取引ストラテジの少なくとも一部をホストシステムからオフロードするよう構成されている。
【0031】
またさらに、本発明者らによれば、(1)取引プラットフォームがストリーミング金融市場データを受け取って処理するステップを含む方法が開示され、該取引プラットフォームは、ホストシステムおよび取引ストラテジエンジンを有し、(2)該取引ストラテジエンジンは1つ以上の金融商品および1つ以上の金融市場に関して取引ストラテジの少なくとも一部をホストシステムからオフロードする。
【0032】
本発明のこれらのおよび他の利点は、明細書および図面を参照して当業者には理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】例示的な取引プラットフォームを示す。
図2】従来のOMS/EMSを示す。
図3】統合型注文管理エンジン(OME)の例示的実施形態を示す。
図4】OMEの市場ビューコンポーネントにより提供されうる金融市場データの例示的な図を示す。
図5】OMEの注文検証コンポーネントにおいて使用可能な例示的なルールエンジンを示す。
図6】OMEの例示的な発注最適化コンポーネントを示す。
図7】例示的な統合型取引プラットフォームを示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
注文管理エンジン
図3はOMS/EMSの種々の機能コンポーネントを統合した例示的な注文管理エンジン(OME)のブロック図を示す。本明細書中に記載される統合型エンジンは、コンポーネント間で共有されるデータの幅を拡げかつデータの質を向上させつつ、レイテンシおよび複雑度を大きく低減するという、従来技術に対する大きな利点を有する。たとえば、エンジンコンポーネントが再構成可能ロジックデバイス上に用いられた一実施形態では、再構成可能ロジックデバイスにおけるオンチップ相互接続は、汎用ネットワークリンクを介して相互接続された異なるサーバ上にホストされたコンポーネントと比較して数桁倍の、同じデバイスにホストされたコンポーネント間の通信帯域幅を提供する能力を有する。これらの利点により、本明細書中に記載されるOMEには、リスクを低減し、レイテンシに影響される取引機会をより効果的に現金化する機会が提供される。
【0035】
図3に示されるように、OMEは、OME/EMS機能のサブセットをそれぞれ実行する並列なコンポーネントの組から構成されている。注文管理エンジン(OME)の一次データ経路は、フィードフォワードパイプラインとして組織化されている。すなわち、命令はマッピングコンポーネント302から命令検証コンポーネント304へ、回送ストラテジコンポーネント306へ、発注最適化コンポーネント308へと流れる。これによって、異なるコンポーネント同士を相互接続する汎用目的メッセージングバスのレイテンシおよび複雑度のオーバーヘッドが排除される。さらに、この構成は、並列処理デバイス、たとえば、再構成可能ロジックデバイス(たとえばフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)など)、グラフィック処理ユニット(GPU)およびチップマルチプロセッサ(CMP)によく適合する。また、市場からのフィードバック(たとえば注文応答334を介した、注文の受諾/拒絶、注文執行、レイテンシ測定)は、統合型設計においてのみ実用的な専用の相互接続を介して適切なコンポーネントに伝送される。なお、各コンポーネントは内部的に並列性を活かすことができ、スループットが最大化され、処理レイテンシが最少化される。以下に、OMEコンポーネントの並列構成の例を示す。
【0036】
OMEは1つ以上の取引主体の1つ以上の取引ストラテジから発せられた注文324のストリームを取り込むことができる。好ましくは、これらの取引ストラテジは、図7と関連して本明細書中に記載されるような統合型取引プラットフォーム上で加速されかつホストされるが、これは全ての場合に必要なわけではない。入力注文324は好ましくは以下のフィールド、すなわち、商品キー、個人アカウント番号、法人アカウント番号、注文種類、注文価格、注文量、注文処理条件を含んでいる。商品キーは、注文に関係する金融商品をユニークに識別する。このキーは、種々の形態の1つであってよく、金融取引所により割り当てられるアルファベット文字列、金融取引所により割り当てられる指数またはティッカープラントに割り当てられる指数を含む。
【0037】
マッピングコンポーネント302は、商品状態毎の追跡に対してOMEにより用いられる金融商品に関するユニークな識別子を決定する。好ましくは、このキーは指数であり、この指数を用いて商品状態を直接指数化できる。マッピングコンポーネントは、さらに、市場への発注に必要とされるユニークな商品識別子を決定する。好ましくは、マッピングコンポーネントはさらに、市場ビューコンポーネントからの現在価格決定情報を検索するために必要とされる商品識別子を決定する。上述の米国特許出願公開2008/0243675に記載されているように、マッピングは、好ましくはハッシュテーブルを実装することにより実現され、マッピングを実行するためのメモリアクセス数を最少化する。同様に、マッピングコンポーネントは、個人および法人のリスクプロファイルレコードに対してユニークな識別子を決定する。
【0038】
命令検証チェックをシードするために、マッピングコンポーネントは、さらに、以下のソースの1つ以上からの、命令に関連する関連検証情報の検索を開始する。
・個人アカウントおよびリスクプロファイルレコードキャッシュ316
・法人アカウントおよびリスクプロファイルレコードキャッシュ318
・規制レコードキャッシュ320
【0039】
好ましくは、各キャッシュは、マッピングコンポーネントをホストする装置に直接設けられた高速メモリに保存される。このようなローカルメモリは、取引が図3に示される動作パラメタ322を介して生じない場合に、メンテナンスウインドウ内の集中型データベースから初期化可能である。個人アカウントおよびリスクプロファイルは、入力注文から個人アカウント番号からマッピングされたユニークな識別子を用いて検索される。法人アカウントおよびリスクプロファイルは、入力注文から法人アカウント番号からマッピングされたユニークな識別子を用いて検索される。規制レコードは、上述のように商品キーからマッピングされたユニークな商品識別子を用いて検索される。マッピングコンポーネントが検索を開始する間、キャッシュからの読み取り結果が下流のコンポーネント、すなわち、命令検証コンポーネント、回送ストラテジコンポーネントおよび発注最適化コンポーネントに渡される。そうする際に、マッピングコンポーネントは下流の計算のために必要なレコードを先取りし、すなわち、キャッシュからのレコード検索のレイテンシを隠す(認識不能とする)。
【0040】
同様に、マッピングコンポーネントは、マッピングされた商品識別子を市場ビューコンポーネント310に渡すことにより、金融商品についての現在価格決定情報の検索を開始する。
【0041】
市場ビューコンポーネントは、論理的に上流のティッカープラントからの標準化市場データ326を取り込むことができる。このために利用可能なティッカープラントの例は、上述の米国特許出願公開2008/0243675および国際出願公開WO2010/077829に記載されたティッカープラントエンジンである。市場ビューコンポーネントはOME内の他のコンポーネントに現在市場ビューを提供する。典型的には、市場ビューは、上述の国際出願公開WO2010/077829に記載されているような、各金融商品に関する地域的および複合的な価格集計ブックビューとして提供される。好ましい実施形態では、市場ビューコンポーネントは、図4に示されるような、限定的なデプスの価格集計複合ブック、流動性集計および取引集計の形で現在の流動性のスナップショットを含む下流のOMEコンポーネントに現在の価格決定レコードを提供する。複合ブックビューのデプスは、たとえば、構成パラメタとして設定され、または、レコード検索をトリガする、入力注文の量によって動的に決される。後者の場合、デプスは、1つ以上の行為地での注文を執行するために十分な流動性が見えるように選択される。流動性ストラテジは下流のコンポーネントに、最良の買呼値と最良の売呼値の履歴共有に関する情報(すなわち、時間の何%がBATSにおいて有効な最良の買呼値であったのか)を提供する。取引集計は下流のコンポーネントを表し、金融商品についての執行の市場全般の要約、たとえば、特定の市場において執行された現在の日時取引高の割合を含む。
【0042】
標準化市場データの取り込みに加え、市場ビューコンポーネントは、市場から受け取った発注確認および注文執行レポートに基づいてこれらの領域的および複合的ブックビューを更新することができる。金融市場の発注インタフェースからのこの情報は、ポジションブロッタコンポーネントにより処理される。ポジションブロッタは市場における現在の未決済ポジションのビューを更新し、このビューを市場ビューコンポーネントならびに他のOMEコンポーネントに利用可能とする。未決済ポジションのビューの更新によって、取引所の市場データフィードを用いる上流のティッカープラントを介して受け取られる付随的な更新の前に、市場現在ビューは更新される。ブックに対する冗長な更新を避けるため、市場ビューコンポーネントは、発注応答によりトリガされる更新のキャッシュ328を保持してもよい。付随的な市場データ更新が受け取られたとき、キャッシュは発注応答により付加/除去される流動性の量によって排除されるかまたは調整されなければならない。
【0043】
必要な規制およびアカウントレコードの検索と同様に、市場ビューコンポーネントからの金融商品レコードの検索は、下流のコンポーネントについてのレコード検索のレイテンシを隠す。
【0044】
任意選択的に、市場ビューレコード310はそれ自体がティッカープラントエンジンであって、金融市場データを取り込んで、注文検証コンポーネントによって用いられるための標準化金融市場データを生成してもよい。
【0045】
注文検証モジュール304は、入力注文、規制およびアカウントレコードならびに市場データレコードのための独立な入力バッファを保持する。バッファは同期メカニズムを提供し、このメカニズムでは、全ての必要なレコード情報が利用可能な場合に、注文検証コンポーネントは新たな注文についての計算を開始する。命令検証モジュールは緒言において記載した一連のチェックを実行する複数のルールエンジンを有する。すなわち、ルールエンジンは種々のルールを作成し、これらのルールに対して命令(または命令の群)を検証する。このようなルールは、上述の以下の検証ルールの一部または全体から得られる(しかし、他の検証ルールも実施者によっては望ましい場合がある)。
【0046】
・個人アカウントおよびリスクプロファイル
−注文の量(瞬間および累積)
−量と価格の積(瞬間および累積)
−ポジションについての累積正味価額
−最終ティックおよび/または寄付きからの乖離率
−ポジション枠、マージン
−権利(市場アクセス、空売り、オプション、端株、ISO等)
【0047】
・法人アカウントおよびリスクプロファイル
−注文量(瞬間および累積)
−量と価格の積(瞬間および累積)
−ポジションについての累積正味価額
−最終ティックおよび/または寄付きからの乖離率
−ポジション枠、マージン
−権利(市場アクセス、空売り、オプション、端株、ISO等)
−シンボルの法人「制限リスト」
【0048】
・規制
−空売り制限
−停止商品
−ティックルール
−トレードスルー
【0049】
このために使用可能なルールエンジンの例が、上述の米国特許出願公開2009/0287628に開示されている。なお、ルールエンジンの組は、データ並列性(同一のルールエンジンの複数のコピー)および機能的並列性(機能特定的なルールエンジンのパイプライン)に影響を及ぼして、注文検証コンポーネントについての所望のスループットおよびレイテンシを実現しうる。
【0050】
特定のチェックの組が、(注文マッピングステップの間に検索された)注文に関連する検証情報により命令される。全てのチェックを通ると注文は有効と宣言され、回送ストラテジコンポーネントに通される。なお、注文検証コンポーネントは検証レコードを更新し、たとえばこれらを適切なレコードキャッシュにライトバックしてもよい。所定のアカウントについてのポジションにおける現在および累積集計が更新されてもよい。図5に示されるように、たとえば、注文検証コンポーネント内のルールエンジンは並列にチェックを実行するように構成されている。これらの並列チェックの出力は、注文を受諾、拒絶または修正する決定を最終的に生成する1つ以上のルールエンジンに組み込み可能である。チェックの例には以下のものが含まれる。
【0051】
・規制:商品が現在空売り制限されておりかつ注文が空売りを示す売り注文である場合、命令を拒絶する。
・規制:商品が現在NASDAQ(登録商標)市場でボラティリティ取引休止にある場合、NASDAQ(登録商標)市場への回送を制限するよう注文を修正する。
・規制:(銀行が企業合併取引に関わっているために)商品が法人アカウントレコード内の制限株についてのものである場合、注文は拒絶される。
・規制:デリバティブ契約を買う注文の想定元本が個人の取引アカウントに対して可能なポジション枠を超える場合、注文は拒絶される。
・法人:銀行に関する全ての未決済注文の合計想定元本が法人レコード内の設定されたしきい値を超える場合、注文は拒絶される。
【0052】
個々のルールチェックのいずれかにおいて拒絶されると注文に対する拒絶の決定となるため、組み合わせルールが典型的にはより簡単である。注文検証コンポーネントに設定される個々のルールエンジンの数は、実行されるべきルールチェックの複雑度の分析およびコンポーネントについてのスループット要件により決定可能である。
【0053】
修正され、受諾された注文は、専用の相互接続を介した付随レコードとともに、回送ストラテジコンポーネント306に転送される。これにより、回送ストラテジコンポーネントはすぐに注文の処理を開始できる。回送ストラテジコンポーネントは有効な注文が分割されるべきであるか否か、および、注文(または分割された注文それぞれ)が回送されるべき場所を決定する。注文検証コンポーネントと同様に、回送ストラテジコンポーネントは、これらの決定をなすために、米国特許出願公開2009/0287628に記載されたような複数のルールエンジンを用いる(並列化ストラテジをさらに用いてもよい)。これらの決定は、個人アカウント、法人アカウントおよび規制レコードならびに市場ビューコンポーネントおよびポジションブロッタコンポーネントからのデータに含まれる回送パラメタにより行われる。ルールは緒言において概説された回送ストラテジの種類を実装する。回送決定がルールエンジンによって完了した後、注文(または分割された注文)は注文(または分割された注文)を市場に入れる場所および方法についての指示とともに、発注最適化コンポーネント308に通される。なお、注文は注文がどのように付合わせ可能であるかについて取引所(またはダークプール)に指示する多様なパラメタとともに市場に入れられる。また、回送ストラテジコンポーネントは、市場における新たなポジションを反映するため、さらに、ポジションブロッタコンポーネントを更新する。
【0054】
レイテンシモニタコンポーネント312は各市場と各チャネルについての集計の組を保持するため、注文送信332および注文受信応答334からのデータを用いる。レイテンシ統計値は、チャネルにおける新たな注文の送信から、応答(注文の受諾、拒絶または執行のいずれかの通知)を受信するまでの往復時間(RTT)の測定に基づく取引所内レイテンシの推定値を含みうる。統計値には、たとえば、最後の測定値、ならびに、所定の時間窓における平均値、最小値および最大値(例えば移動平均)が含まれる。また、レイテンシ統計値は、各チャネルについての商品毎/注文種類毎に基づいた統計値を含むようにさらに洗練されてもよい。このような測定は、発注の送信に関するタイムスタンプの記録、各発注応答についてのタイプスタンプ付与、応答に対応する発注の識別、次いで、タイムスタンプ間の差の計算により実行可能である。
【0055】
発注最適化コンポーネント308は注文が所定の市場に送信されるシーケンスを最適化する。さらにこのコンポーネントは、複数のチャネルが利用可能な場合に、市場への適切な通信チャネルを選択することができる。発注最適化コンポーネントは、回送ストラテジコンポーネントからの指示と、市場に対する独立な各チャネルについて計算された取引所内レイテンシの現在の推定値とを用いる。各商品および注文種類の組み合わせについてのレイテンシ推定値が含まれてもよい。図6に示されるように、発注最適化コンポーネント308は、注文データ、市場ビューデータ、レイテンシ統計値データ、個人レコードデータおよび法人レコードデータに対する種々のバッファを用いることができる。発注最適化コンポーネントはまず、それぞれチャネルに関連づけられた複数の計算サブコンポーネントを介して各新たな注文についてのスコアのベクトルを計算する。ベクトルの各スコアは、利用可能なチャネルに関する相対優先度を示す。チャネル選択サブコンポーネント602は、最高のスコアを選択し、選択した最高のスコアに関連するチャネルについてキュー604における送信のための注文を保存する。注文に関連するスコアは、キュー604へのその挿入点を決定するためにも用いられる。したがって、各キュー604はチャネルに関連しており、新たな発注を相対優先度スコアでもって挿入可能とする優先度キューとして実装可能であり、すなわち、注文はより低いスコアを有するものの前に挿入される。
【0056】
FIXエンコーダサブコンポーネント606は、その後、キュー604を供給し、選択されたチャネルおよび他の最適化に従って出力注文332を生成する。
【0057】
例示的な計算サブコンポーネント600は、注文チャネルを前提(antecedent)の単純な加重和としてスコアする:sum(W[i]A[i])、ただし、W[i]はユーザが指定する重み、A[i]は前提。前提の例としては以下が挙げられる。
【0058】
・チャネル、商品、注文種類の組み合わせについての推定される取引所内レイテンシ
・商品によるチャネルについての未決済注文の数
・合計数によるチャネルについての未決済注文の数
・目標市場での現在の最良の買呼値と最良の売呼値に対する注文価格の価格デルタ
・最良の買呼値/売呼値と注文価格との間で利用可能な総量であると定義される、流動性デプス
【0059】
スコア前提選択サブコンポーネント610は、前提値について用いられるべきバッファからデータを選択する、計算サブコンポーネント600により用いられる。
【0060】
上述のように、図6に示される発注最適化コンポーネント308のサブコンポーネントは、スループットを最大化し、処理レイテンシを最少化するために、並列性を内部に拡げるハードウェアロジックパイプラインまたは他の並列処理可能アーキテクチャに実装可能である。
【0061】
ポジションブロッタ更新コンポーネント314は、様々な市場からの発注応答メッセージ334を処理する。応答メッセージはいずれの注文が出され、実行され、キャンセルされ、拒絶等されるのかをOMEに通知する。注文が出され、その結果、市場ビューが市場センタからの市場データフィードを介して更新を受信するよりもより低いレイテンシでもって更新可能である場合に、ポジションブロッタは市場ビューコンポーネントに更新を提供する。ポジションブロッタ更新コンポーネントと市場ビューコンポーネントとの間の専用の相互接続を通じて、かかる更新は最小のオーバーヘッドでもって渡される。したがって、OME300が、回送先市場から注文が出されたという確認を受け取るとき、OMEは、出された注文を含むように、市場の状態のOMEの内部ビューを修正することができる。これにより、公共市場データフィードにおいて変化がレポートされる前に、OMEに市場の現在ビューが提供される。市場ビューにおけるこのレイテンシの利点は、かかるデータへのアクセスを有する任意の取引ストラテジおよびOMEにより、その後利用可能である。
【0062】
また、ポジションブロッタは、OMEが管理する未決済ポジションの現在の組を追跡する。該コンポーネントによって、検証および回送の決定の際に、注文検証コンポーネントおよび回送ストラテジコンポーネントは未決済ポジションのビューを含むことができる。
【0063】
OMEは高パフォーマンスの計算プラットフォームたとえばオフロードエンジンなどにおいて実装される。OMEに適した計算プラットフォームの例には、再構成可能ロジックデバイス(たとえばフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)または他のプログラマブルロジックデバイス(PLD))、グラフィックプロセッサユニット(GPU)、チップマルチプロセッサ(CMP)が含まれる。しかし、OMEは所望により1つ以上の汎用目的プロセッサ(GPP)または他の適当なプログラマブルプロセッサ上に用いられてもよい。OMEは複数の再構成可能ロジックデバイス(または所望によりマルチGPU、CMPなど)にわたって分割されてもよい。
【0064】
本明細書中に用いられるとき、「汎用目的プロセッサ(またはGPP)」の語は、固定形態を有し、その機能が可変のハードウェア装置を指し、この可変の機能は、命令の取り出しおよびこれらの命令の実行により定義され、その中で従来の中央処理ユニット(CPU)は共通の例である。GPPの例示的実施形態には、インテル社製Xeon(登録商標)プロセッサおよびAMD社製Opteronプロセッサが含まれる。本明細書中に用いられるとき、「再構成可能ロジック」の語は、製造後において、その形態および機能が大きく変更(すなわち再構成)可能である、任意のロジック技術をいう。これは機能が製造後に変更可能であるが、その形態は製造時に固定されるGPPと異なる。さらに、本明細書中に用いられるとき、「ソフトウェア」の語はGPPまたは他の処理デバイス上で用いられるデータ処理機能をいい、ソフトウェアはロードされるデバイスの形態を変化または定義するために用いることはできず、本明細書中に用いられるとき、「ファームウェア」の語は、再構成可能ロジックまたは他の処理デバイス上に用いられるデータ処理機能をいい、ファームウェアはそれがロードされるデバイスの形態を変化または定義するために用いることができる。
【0065】
したがって、OMEの1つ以上のコンポーネントがFPGAなどの再構成可能ロジックで実装されている実施形態では、ハードウェアロジックは、そのようなコンポーネントが実行する異なる動作のための細かい並列性を可能とし、これにより、そのようなコンポーネントに、GPP上でのソフトウェアの実行を通じて可能となるよりも桁違いに速いハードウェア処理速度で動作する能力を与える。
【0066】
また、OMEは、標準化市場データ、市場の発注インタフェースおよび取引ストラテジからの注文フローに対するインタフェースを提供するコンピュータ通信リンクを有する専用システムにホストされていてよい。好ましい実施形態では、OMEは完全な取引プラットフォームがホストされた統合システム内にホストされている。
【0067】
統合取引プラットフォーム
図7は、単一の計算システム上にホスト可能な統合型取引プラットフォーム700の例示的ブロック図を示す。単一の計算システムは、単一のサーバ、装置、「ボックス」等であってよい。システムは、好ましくは、ティッカープラントエンジン702と、取引ストラテジ704および/または712と、注文管理エンジン300との間でデータを伝送するためのシステム内相互接続を用いる。統合型取引プラットフォームは従来技術に対して以下のような利点を有する(ただし、このリストは限定的なものではない)。
【0068】
・市場データの受信から発注までの全体的なレイテンシの低減。このような全体的なレイテンシの低減は、コンポーネント間の低減された通信レイテンシと、加速エンジン(たとえば再構成可能ロジック)へのオフロードによるコンポーネント処理時間のレイテンシの低減とによって得られる。
【0069】
・取引プラットフォームを用いるためのスペース/電力要件の緩和。これは取引所のデータセンターにおけるコロケーションに特に重要である。
【0070】
・取引プラットフォームコンポーネント間のデータ共有用の利用可能帯域幅の拡大。これにより、コンポーネント間のより緊密な統合が提供され、コンポーネントは付加的なデータに基づいて決定することができ、したがって、可能なストラテジの範囲が拡大され、より複雑で包括的な処理が可能となる。
【0071】
シングルホストシステムにおける利用可能な汎用目的計算リソースの量は、基本的に制限されている。これは、取引プラットフォームまたは取引プラットフォームコンポーネントのソフトウェアのみによる実装はハードウェア加速化デザインを利用するシステムに対してより低いレイテンシ性能およびより少ないキャパシティをもたらす。シングルシステムにおけるより高いレベルの性能を実現するため、取引プラットフォームコンポーネントは好ましくは、汎用目的計算リソースを消費せず、細かい並列性を利用するエンジンにオフロードされる。
【0072】
したがって、図7に示されるように、取引プラットフォーム用のホストシステムは、ソフトウェアサブシステム720およびハードウェアサブシステム718を有し、ソフトウェアサブシステムはたとえば1つ以上のホストプロセッサおよび1つ以上の関連ホストメモリを有する。1つ以上のティッカープラントエンジン702、ストラテジオフロードエンジン704およびOME300などの取引プラットフォームの態様は、本明細書中に記載のように、性能向上のためにハードウェアサブシステムにオフロード可能である。
【0073】
ティッカープラントエンジン702は、消費アプリケーション(ソフトウェアサブシステム720にある消費アプリケーションを含む)への提示のための異なる複数のフィードからの市場データ714を標準化および表示可能である。適切なティッカープラントエンジン702の例は、上述の米国特許出願公開2008/0243675および国際出願公開WO2010/077829に記載されており、それは再構成可能ロジックデバイスにより提供される並列性を用いて、従来のティッカープラントに対する飛躍的な加速を提供できる。さらに、図7および上述の米国特許出願公開2008/0243675および2007/0174841に記載されているように、ティッカープラントエンジンは標準化市場データを共有システムメモリ708(ソフトウェアに記述された取引ストラテジによる消費およびシステムの汎用目的計算装置上での実行のための)に書き込み、かつ、ピアツーピア型ハードウェア相互接続706を介してシステム内の他のオフロードエンジンの共有メモリに書き込む。ピアツーピア型ハードウェア相互接続により、システムソフトウェアを導入すること無く、オフロードエンジン間でのデータ伝送が可能となる。なお、ピアツーピア型ハードウェア相互接続は、専用のリンクまたはPCI Expressのようなシステム相互接続技術によって実現可能である。
【0074】
共有メモリ(システム)への標準化市場データの書き込みによって、対象の金融商品に関連するメモリ位置に対する読み出しを発することのみにより、複数の取引アプリケーションは現在の市場状態をビュー可能である。このようにして、データフィールドの抽出のためにメッセージを受信し、解析する必要をなくすことにより、取引アプリケーションへのデータ送達のレイテンシが低減される。
【0075】
ピアツーピア型ハードウェア相互接続の例示的な実施形態は、末端装置がアドレス可能なメモリ空間の一部に割り当てられている、PCI Expressバスである。基底アドレスレジスタ(BAR)はバス上の所与の装置に割り当てられたアドレス空間を定義する。装置Aが装置Bに関連づけられたBAR空間内のアドレスに書き込み動作を発するとき、システムソフトウェアを導入しまたはホストメモリを利用することなく、データは装置Aから装置Bに直接送信可能である。多様なプロトコルをこの基本的なキャパシティでもって開発できる。複数のBARを制御構造の実装のために装置によって用いることができる。たとえば、特定のBARが、装置間のデータ伝送のためのリングバッファまたはキューの実装のために読み取りおよび書き込みポインタを保持するために用いることができる。
【0076】
ストラテジオフロードエンジン704は統合型システムにホストされていてもよい。さらに、このようなストラテジオフロードエンジン704は図7に示されるようなハードウェアサブシステムにあってもよい。OMEと同様に、ストラテジオフロードエンジンはピアツーピア型ハードウェア相互接続を介して直接に標準化市場データを受信することができる。適切なストラテジオフロードエンジン704の例は、上述の米国特許出願公開2007/0294157に記載されているようなオプション価格決定エンジン、上述の米国特許出願公開2009/0182683に記載されているようなバスケット計算エンジン、上述の米国特許出願公開2009/0287628に記載されているようなルールエンジンを利用可能なデータクレンジングおよび一貫性チェックを実行するためのエンジンなどを含む。
【0077】
なお、ハードウェア−ソフトウェア相互接続チャネル710はソフトウェアコンポーネントとハードウェアコンポーネントとの間の低レイテンシ高帯域幅通信を提供する。これに関する適切な相互接続チャネルの例は、上述の米国特許出願公開2007/0174841に記載されている。これにより、汎用目的処理リソースおよび再構成可能ロジックリソースにわたって取引ストラテジを容易に分散できる。すなわち、ストラテジオフロードエンジン704はまた、ハードウェア−ソフトウェアチャネル710を介してホストのソフトウェアサブシステム内の取引ストラテジアプリケーション712と相互作用し、ハードウェア−ソフトウェアチャネル710において、取引ストラテジアプリケーション712は低レイテンシ処理のためにハードウェア加速ストラテジオフロードエンジン704に特定のタスクをオフロードできる。
【0078】
性能に不可欠ではない(たとえば全ての注文について実行されない)従来のOMS/EMSの機能は、所望により、システム内の汎用目的処理リソース上にホストされていてよい(しかし、実施者は再構成可能ロジックデバイスなどの高性能リソース上の全てのリソースを使用したいと望むかもしれない)。これらの機能にはたとえば回送パラメタの修正、リスクプロファイルの修正、統計集計およびモニタリングが含まれる。OMS/EMSのソフトウェアコンポーネントは、OMEとの通信、キャッシュレコードの更新などのために、同じハードウェア−ソフトウェア相互接続チャネルを用いる。
【0079】
上述のように、OMEに関連して、1つ以上のエンジン702、704および300のための適切な計算プラットフォームの例には、再構成可能ロジックデバイス(たとえば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)または他のプログラマブルロジックデバイス(PLD)およびチップマルチプロセッサ(CMP))が含まれる。しかし、1つ以上の他のエンジン702、704および300もまた、ホスト内の並列実行のために、所望により、1つ以上の汎用目的プロセッサ(GPP)または他の適切にプログラムされたプロセッサを用いることができる。また、エンジン702、704および300は、複数の再構成可能ロジックデバイス(または所望により複数のGPU、CMPなど)にわたって分散されていてもよい。
【0080】
すなわち、ハードウェアサブシステム718内の1つ以上のエンジンがFPGAなどの再構成可能ロジックに実装されている実施形態では、ハードウェアロジックは、このようなエンジンを実行する異なる動作に関して細かい並列性を可能とするプラットフォーム上に設けられており、これにより、GPP上でのソフトウェアの実行を介して可能なよりも桁違いに速いハードウェア処理速度で動作する能力を有するこのようなエンジンが提供される。
【0081】
本発明について、その好ましい実施形態に関連して上記で詳細に説明したが、本明細書中の教示を参照する際に理解されるであろう、発明の範囲内で種々の修正がそれに対してすることができる。そのようなものとして、本発明の全範囲は、添付の請求項およびその法的等価物によってのみ定められるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7