特許第6045525号(P6045525)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6045525装着板、スエージ結合アセンブリ、および2つの構成要素を結合する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6045525
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】装着板、スエージ結合アセンブリ、および2つの構成要素を結合する方法
(51)【国際特許分類】
   G11B 21/16 20060101AFI20161206BHJP
   G11B 21/21 20060101ALI20161206BHJP
   B21D 39/00 20060101ALI20161206BHJP
   B21D 39/03 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   G11B21/16 L
   G11B21/21 A
   B21D39/00 D
   B21D39/03 A
【請求項の数】5
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-43737(P2014-43737)
(22)【出願日】2014年3月6日
(65)【公開番号】特開2014-175041(P2014-175041A)
(43)【公開日】2014年9月22日
【審査請求日】2015年3月18日
(31)【優先権主張番号】13/790,609
(32)【優先日】2013年3月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500373758
【氏名又は名称】シーゲイト テクノロジー エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Seagate Technology LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】プラパン・アパリマーン
(72)【発明者】
【氏名】ジュームポンデジ・バムルンウォンタリー
【審査官】 斎藤 眞
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−262705(JP,A)
【文献】 米国特許第06372315(US,B1)
【文献】 特開2001−353539(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 5/56−5/60
G11B 21/00−21/06
G11B 21/16−21/26
B21D 39/00−41/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着板であって、
第1の表面および対向する第2の表面を有するフランジと、
スエージ孔を有するボスタワーとを含み、前記ボスタワーは、前記ボスタワーが前記フランジの前記第1の表面に接する区域から前記ボスタワーの端面にまで延在し、前記ボスタワーは、
前記スエージ孔の内面を規定する内径と、
前記ボスタワーの外面の一部を規定する外径と、
斜めに角度の付けられた面に沿って前記ボスタワーにおいて形成される少なくとも1つの切欠部分とを含み、前記少なくとも1つの切欠部分は、前記ボスタワーが前記フランジの前記第1の表面に接する箇所から第1の距離に位置する第1の区域において、前記外面のうち前記外径によって規定される部分と交差し、前記内径から第2の距離に位置する第2の区域において前記端面と交差し、
前記第1の距離は前記第2の距離よりも短く、
前記第1の区域が、前記ボスタワーの前記外面との凸状の境界を形成し、
前記第2の区域が、前記ボスタワーの前記端面との線形の境界または凹状の境界を形成し、前記ボスタワーは、径方向に互いに対向して位置する2つの分離した切欠部分を含む、装着板。
【請求項2】
前記ボスタワーの高さは可変である、請求項1に記載の装着板。
【請求項3】
前記フランジはさらに、遠位端縁、近位端縁、第1の側端縁および第2の側端縁を含み、前記第1の側端縁および前記第2の側端縁により前記遠位端縁が前記近位端縁に結合される、請求項1に記載の装着板。
【請求項4】
スエージ結合アセンブリであって、
アパーチャを有する第1の構成要素と、
前記第1の構成要素における前記アパーチャに挿入されてスエージ結合されるよう構成されたボスタワーと一体的に形成されたプレートを有する第2の構成要素とを含み、
前記プレートは第1の表面および対向する第2の表面を有し、前記ボスタワーは、前記ボスタワーが前記プレートの前記第1の表面に接する区域から前記ボスタワーの端面にまで延在し、前記ボスタワーはさらに、
スエージ孔と、
前記スエージ孔の内面を規定する内径と、
前記ボスタワーの外面の一部を規定する外径と、
斜めに角度の付けられた面に沿って前記ボスタワーに形成される少なくとも1つの切欠部分とを含み、前記少なくとも1つの切欠部分は下方の境界および上方の境界を含み、前記下方の境界および前記上方の境界は前記ボスタワーの前記外面の残りの部分を規定し、
前記少なくとも1つの切欠部分は、前記ボスタワーの周囲よりも短い長さを有し、
前記下方の境界は、前記外面のうち、前記ボスタワーの前記外径によって規定される部分で凸状の隆起を形成し、
前記上方の境界は、前記ボスタワーの前記端面で線形の隆起または凹状の隆起を形成し、前記ボスタワーは、径方向に互いに対向して位置する2つの分離した切欠部分を含み、
前記ボスタワーが前記第1の構成要素における前記アパーチャに挿入されてスエージ結合されると、前記ボスタワーの前記外面のうち前記外径によって規定される部分だけが、前記第1の構成要素における前記アパーチャと係合する、スエージ結合アセンブリ。
【請求項5】
2つの構成要素を結合する方法であって、
第1の構成要素のボスタワーを第2の構成要素におけるアパーチャに挿入するステップを含み、
前記ボスタワーは、前記ボスタワーがフランジの第1の表面に接する区域から前記ボスタワーの端面にまで延在し、スエージ孔を有し、前記ボスタワーは、
前記スエージ孔の内面を規定する内径と、
前記ボスタワーの外面の一部を規定する外径と、
斜めに角度の付けられた面に沿って前記ボスタワーに形成される少なくとも1つの切欠部分とを含み、前記少なくとも1つの切欠部分は、前記ボスタワーが前記フランジの前記第1の表面に接する箇所から第1の距離に位置する第1の区域において前記外面と交差し、前記内径から第2の距離に位置する第2の区域において前記端面と交差し、
前記第1の距離は前記第2の距離よりも短く、
前記第1の区域が、前記ボスタワーの前記外面との凸状の境界を形成し、
前記第2の区域が、前記ボスタワーの前記端面との線形の境界または凹状の境界を形成し、前記ボスタワーは、径方向に互いに対向して位置する2つの分離した切欠部分を含み、前記方法はさらに、
前記第1の構成要素の前記ボスタワーを前記第2の構成要素における前記アパーチャにスエージ加工するステップを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
背景
ボールスエージ加工は、2つの構成要素を合わせて組立てるのに用いられる1種の材料加工技術である。第1の構成要素はボスタワーを含み、第2の構成要素はアパーチャを含む。ボスタワーは第2の構成要素におけるアパーチャに挿入される。スエージボールをボスタワーに挿入してボスタワーをアパーチャにスエージ結合する。このプロセス中、ボスの内径よりも大きな直径を有するスエージボールが、ボスタワーの内面に圧縮力を加え、これにより、ボスタワーが拡張して第2の構成要素が第1の構成要素に保持される。
【0002】
上述の説明は、単に、一般的な背景情報を与えるために提供されているに過ぎず、主張された主題の範囲を判断する助けとして用いられるよう意図されたものではない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
概要
装着板は、第1の表面および対向する第2の表面を有するフランジと、スエージ孔を有するボスタワーとを含む。ボスタワーは、当該ボスタワーがフランジの第1の表面に接する区域からボスタワーの端面にまで延在する。ボスタワーは、スエージ孔の内面を規定する内径と、ボスタワーの外面の一部を規定する外径と、斜めに角度の付けられた面に沿ってボスタワーに形成された少なくとも1つの切欠部分とを含む。少なくとも1つの切欠部分は、ボスタワーがフランジの第1の表面に接する箇所から第1の距離に位置する第1の区域において、外面のうち外径によって規定される部分と交差し、内径から第2の距離に位置する第2の区域において端面と交差する。第1の距離は第2の距離よりも短い。
【0004】
さらなる実施例においては、装着板は、アパーチャを有する第1の構成要素に結合されたスエージ結合アセンブリの第2の構成要素である。少なくとも1つの切欠部分の第1の区域および第2の区域は、ボスタワーの外面の残りの部分を規定する。第2の構成要素のボスタワーが第1の構成要素におけるアパーチャに挿入されると、ボスタワーの外面のうち外径によって規定される部分だけが第1の構成要素におけるアパーチャと係合する。
【0005】
この概要は、以下の詳細な説明においてさらに記載される概念の選択肢を簡潔に紹介するために提供される。この概要は、主張された主題の重要な特徴または本質的な特徴を識別するよう意図されたものではなく、主張された主題の範囲を判断する助けとして用いられるよう意図されたものでもない。主張された主題は、背景において言及された不利点のいずれかまたはすべてを解決する実現例に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】ヘッドスタックアセンブリおよび媒体を含むデータ記憶装置の例示的な構成要素を示す斜視図である。
図2】開示されている実施例が有用である例示的なヘッドジンバルアセンブリを示す底面図である。
図3図2に例示されるヘッドジンバルアセンブリを示す上面図である。
図4】2つのアクチュエータアームの部分と、2つのヘッドジンバルアセンブリの部分と、分解された2つのスエージボールとを含む、一実施例に従ったヘッドスタックアセンブリの一部を拡大して示す斜視図である。
図5図4に例示されるヘッドジンバルアセンブリのうち1つのヘッドジンバルアセンブリの装着板を示す斜視図である。
図6図5に例示される装着板を示す断面図である。
図7】ボスタワーをアクチュエータアームにおけるアパーチャにスエージ加工する前の、アクチュエータアームの一部およびヘッドジンバルアセンブリの一部を含む、図4に例示される一実施例に従ったヘッドスタックアセンブリの一部を拡大して示す上面図である。
図8】ヘッドスタックアセンブリのうち図7に示される切断線に沿った部分を示す断面図である。
図9】ヘッドスタックアセンブリのうち図7に示される切断線に沿った部分を示す断面図である。
図10】ボスタワーをアクチュエータアームにおけるアパーチャにスエージ加工した後の、一実施例に従った図7のヘッドスタックアセンブリの部分を拡大して示す上面図である。
図11】ヘッドスタックアセンブリのうち図9に示される切断線に沿った部分を示す断面図である。
図12】ヘッドスタックアセンブリのうち図10に示される切断線に沿った部分を示す断面図である。
図13】2つのアームパッドを有する、一実施例に従ったヘッドスタックアセンブリを拡大して示す部分側面図である。
図14A】実施例に従ったヘッドジンバルアセンブリの装着板を示す斜視図である。
図14B】実施例に従ったヘッドジンバルアセンブリの装着板を示す斜視図である。
図14C】実施例に従ったヘッドジンバルアセンブリの装着板を示す斜視図である。
図14D】実施例に従ったヘッドジンバルアセンブリの装着板を示す斜視図である。
図14E】実施例に従ったヘッドジンバルアセンブリの装着板を示す斜視図である。
図14F】実施例に従ったヘッドジンバルアセンブリの装着板を示す斜視図である。
図14G】実施例に従ったヘッドジンバルアセンブリの装着板を示す斜視図である。
図15図14Gに例示される装着板のボスタワーの外周を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
詳細な説明
この明細書中に記載される実施例は第1の構成要素を含み、当該第1の構成要素は、電気機械システムにおいて第1の構成要素を第2の構成要素にスエージ加工するためのボスタワーを有する。一例においては、図示のとおり、第1の構成要素を有するヘッドジンバルアセンブリ(HGA:head gimbal assembly)は、アクチュエータアームまたは第2の構成要素にボールスエージ加工されて、データ記憶装置においてヘッドスタックアセンブリ(HSA:head stack assembly)を形成する。HGAは、ボスタワーを備えた装着板または基板を有する荷重アームまたはサスペンションを含む。ボスタワーはアクチュエータアームにおけるアパーチャに挿入され、スエージボールは、ボスタワーのスエージ孔に挿入されて、ボスタワーをアパーチャにスエージ結合する。この鍛造タイプのプロセス中、ボスタワーの内径よりも大きな直径を有するスエージボールがボスタワーの内面に圧縮力を加え、これにより、ボスタワーが拡張してアクチュエータアームがサスペンションに保持される。
【0008】
ボスタワーの実施例は、この明細書中に記載されるように、高さの低いいくつかの部分または1つの部分を含む。高さを低くすることにより、HSAの品質および性能が向上する。一実施例においては、ボスタワーのうちいくつかの部分または1つの部分の高さを低くすることにより、ボスタワーが径方向に非対称な形状となり、結果として、HGAおよびアクチュエータアームが、ピッチおよびロール時に不均等な圧縮力を受けた状態で係合することとなる。たとえば、ロール方向への圧縮力はピッチ方向への圧縮力よりも大きくなり得る。このような不均等な圧縮力により、アクチュエータアームのアパーチャにおける、または当該アパーチャ付近におけるアクチュエータアームの変形が小さくなる。
【0009】
図1は、ヘッドスタックアセンブリ100および媒体102を含むデータ記憶装置の例示的な構成要素の斜視図を示す。媒体102は、複数の円形の同心のデータトラック上に情報を記憶し、スピンドルモータアセンブリに取付け可能である。当該スピンドルモータアセンブリは、媒体102を回転させることができ、そのデータ面がそれぞれの軸受スライダ面の下を通過できるようにする。図示のとおり、媒体102の各表面は、媒体102の表面と情報をやりとりするトランスデューサを担持する関連付けられたヘッダまたはスライダ104および106を有する。
【0010】
スライダ104および106は、それぞれ、ヘッドジンバルアセンブリ(HGA)108および110に支持され、これらヘッドジンバルアセンブリ(HGA)108および110はさらに、アクチュエータ機構116のアクチュエータアーム112および114に取付けられて、ヘッドスタックアセンブリ(HSA)100を形成する。アクチュエータ機構116は、サーボ制御回路によって制御されるボイスコイルモータ120によって軸118を中心に回転する。ボイスコイルモータ120はアクチュエータ機構116を回転させて、スライダ104および106を、媒体102の内径122と外径124との間において所望のデータトラックに対して相対的に位置決めする。
【0011】
図2は底面図を示し、図3は、開示される実施例が有用である例示的なHGA 208の上面図を示す。HGA 208は、ロードビームまたはサスペンション226、ジンバルまたは屈曲部227、ヒンジ231および装着板または基板232を含む。ロードビーム226は、ジンバルまたは屈曲部227によって、トランスデューサを担持するヘッダまたはスライダ204を支持する。たとえば、ジンバルは典型的にはロードビーム226に一体化され、屈曲部は、ロードビーム226にレーザ溶接可能であり窪みを中心として回動可能な別個の構成要素である。ジンバルまたは屈曲部227は、その種類にかかわらず、ヘッダまたはスライダ204が取付けられる特徴をなしている。
【0012】
ヒンジ231はロードビーム226に予負荷力を与える。予負荷力により、ヘッダまたはスライダ104が媒体の表面に向かって推し進められる。いくつかの実施例においては、ヒンジ231はロードビーム226とは別個の構成要素であり、レーザ溶接によってロードビーム226に接続される。他の実施例においては、ヒンジ231は単一部品としてロードビーム226と一体化される。装着板232は、図1におけるアクチュエータアーム112などのアクチュエータアームをHGA 208に結合するための取付け構造を備える。一実施例においては、装着板232はヒンジ231にレーザ溶接される。図2および図3に図示のとおり、取付け構造であるボスタワー236は、アクチュエータアームにおけるアパーチャに挿入されて、ボールスエージ加工などのスエージ加工を施されてアクチュエータアームをHGA 208に結合するよう構成される。
【0013】
図4は、2つのアクチュエータアーム312および314の部分と、2つのHGA 308および310の部分と、分解された2つのスエージボール329および330とを含むヘッドスタックアセンブリ(HSA)300の一部を拡大した斜視図を示す。HGA 308および310は各々、図4に図示のとおり、スライダを支持するためのロードビームまたはサスペンションと、ロードビームを装着板に結合するための別個のヒンジとを含むが、2つのHGA 308および310のいくつかの部分は、ヒンジの一部(HGA 210上のヒンジ333だけが見えている)ならびに装着板332および334を示している。装着板332および334は各々、装着板と同じ材料でできており一体的に形成されたボスタワー336および338を含む。たとえば、装着板332および334は、ステンレス鋼、アルミニウム、工業用プラスチックなどのフェライトから作成可能である。アクチュエータアーム312および314は各々、アパーチャを有するアームパッド340および342を含む。図4においては、アームパッド340のアパーチャ344だけが見えており、アームパッド342のアパーチャは視界から隠されている。
【0014】
図5は装着板332の斜視図を示し、図6は、装着板332のうち図5に示される切断線に沿った断面図を示す。装着板332はフランジまたはプレート351およびボスタワー336を含む。フランジまたはプレート351は、第1の表面352、対向する第2の表面353、第1の側端縁367および第2の側端縁369、遠位端縁370、ならびに近位端縁372を有する。第1の側端縁367および第2の側端縁369により、遠位端縁370が近位端縁372に結合される。遠位端縁370は、HGA上のロードビーム、たとえばロードビーム226など、の遠位側に位置し、近位端縁372は、ロードビーム226などのロードビームの近位側に位置する。ボスタワー336は、装着板332と一体的に形成された突出た特徴をなし、ボスタワー336がフランジ351の第1の表面352に接する区域から端面354にまで延在する。ボスタワー336は、外面358、ボスタワー高およびスエージ孔350を含む。スエージ孔350は、内径357によって規定される内面359を含む。スエージ孔350は、第2の表面353から端面354まで装着板332を完全に貫通している。
【0015】
概して、ボスタワー336のボスタワー高は、概ね、ボスタワー336がフランジまたはプレート351の第1の表面352に接する箇所と端面354との間に規定される。しかしながら、図5および図6に示される実施例においては、ボスタワー336は、最小のボスタワー高348と最大のボスタワー高349との間で変化する変動可能なボス高を含む。最大のボスタワー高349は、ボスタワー336がフランジ352の第1の表面352に接する箇所と端面354との間の距離であり、最小のボスタワー高348は、ボスタワー336が第1の表面352に接する箇所と端面354との間の距離よりも短い距離である。たとえば、最大のボスタワー高349は約0.218mmであり、最小のボスタワー高248は約0.00417mmである。ボスタワー336の外径356は、外面358のうち径方向に対称的な部分によって規定される。したがって、ボスタワー336の外面358のほとんどは外径356によって規定されているが、外面358のいくつかの部分は外径356によっては規定されていない。
【0016】
変動可能なボスタワー高を作り出すために、ボスタワー336の材料のうち少なくとも一部が除去される。特に、少なくとも1つの切欠部分360は、斜めに角度の付けられた面に沿ってボスタワー336に形成される。切欠部分360の切欠長さ361は、外径356および内径357のサイズに左右される。図5および図6に図示のとおり、ボスタワー336は、径方向に互いに対向して位置する2つの切欠部分360aおよび360bを含む。切欠部分360aおよび360bはともに、第1の区域362aおよび362bにおいて、外面358のうち、ボスタワー336の外径356によって規定される一部と交差し、第2の区域364aおよび364bにおいて端面354と交差する。図5および図6に示される実施例においては、第1の切欠部分360aの第1の区域362aおよび第2の切欠部分360bの第2の区域362bは、ボスタワー336が第1の表面352に接する箇所から第1の距離348(すなわち、最小のボス高348)に位置し、第1の切欠部分360aの第2の区域364aおよび第2の切欠部分360bの第2の区域364bは、スエージ孔350の内面359から第2の距離365に位置する。図6に図示のとおり、第1の距離348は第2の距離365よりも短い。
【0017】
図5に示される拡大図においては、第1の区域362aおよび362bは、切欠部分360の下方の境界または隆起を形成し、外面358に沿って凸状をなす。下方の境界は凸状である。というのも、斜めに角度の付けられた面が、外面358のうち、このようにボスタワー336の外径356によって規定される部分と連通しているからである。第2の区域364aおよび364bは、切欠部分360の上方の境界または隆起を形成するが、同じようには作用しない。むしろ、第2の区域364aおよび364bは、端面354に沿って線形の境界もしくは隆起またはわずかに凸状の境界もしくは隆起を形成する。上方の境界は線形であるかまたはわずかに凸状である。というのも、斜めに角度の付けられた面が、このように、実質的に平坦な端面354と連通しているからである。切欠部分360aにおける下方の境界362aおよび上方の境界364aならびに切欠部分360bにおける下方の境界362bおよび上方の境界364bは、ボスタワー336の外面358のうち残りの部分を規定する。
【0018】
図7は、ボスタワー336がアクチュエータパッド340におけるアパーチャ344にスエージ加工される前の、一番上のアクチュエータアーム312の一部と、装着板332およびヒンジ335を含むHGA 308の一部とを含む、一実施例に従ったHSA 300の一部を拡大した上面図を示す。図8は、HSA 300のうち、図7に示される切断線に沿った、まだスエージ加工されていない部分の断面図を示し、図9は、HSA 300のうち、図7に示される別の切断線に沿った、まだスエージ加工されていない部分の断面図を示す。
【0019】
図8および図9に図示のとおり、ボスタワー336はアパーチャ344に挿入される。図9に図示のとおり、ボスタワー336の高さ全体または外面358がアパーチャ344の表面と係合しているのが示され、図8においては、外面358の一部だけがアパーチャ344の表面と係合しているのが示される。これは、図8では切欠部分360aおよび360bを示しているからである。切欠部分360aおよび360bは、ボスタワー336の外面358全体がアパーチャ344と係合するのを防ぐ。外面358のうちスエージ加工前のアパーチャ344と係合する部分は、外面358のうち外径356によって規定される部分である。外面358のうちスエージ加工前のアパーチャ344と係合しない部分は、外面358のうち外径356によって規定されない残りの部分である。ボスタワー336の外面358がアクチュエータアーム312におけるアパーチャ344と係合する面積の量が減ることにより、またはボスタワー高が部分的に低くなることにより、ボスタワーに対し、不均等な圧縮力でアクチュエータアーム312のアパーチャ344にスエージ結合する能力が与えられる。
【0020】
図10は、ボスタワー336がアクチュエータパッド340におけるアパーチャ344にスエージ加工された後の、一番上のアクチュエータアーム312の一部と、 装着板332およびヒンジ335を含むHGA 308の一部とを含む、一実施例に従ったHSA 300の一部を拡大した上面図を示す。図11は、HSA 300のうち、図10に示される切断線に沿ったスエージ加工された部分の断面図を示し、図9は、HSA 300のうち、図10に示される別の切断線に沿ったスエージ加工された部分の断面図を示す。
【0021】
図11および図12に図示のとおり、切欠部分360aおよび360bがあるせいで、スエージ加工プロセス中に、ボスタワーがアパーチャ344に対して不均等な圧縮力を加えると、アームパッド340の屈曲が小さくなる。これは、スエージ効果の低下も意味する。より特定的には、切欠部分360aおよび360bが存在していることにより、スエージ加工中に、ピッチ方向よりもロール方向により大きな圧縮力が与えられる。
【0022】
図11および図12に図示のとおり、ボスタワー336は変形に関して影響を受けてしまうが、アクチュエータパッド342は影響を受けない。加えて、ボスタワー336の高さ全体または外面358は、図12においては、アパーチャ344の表面と係合するよう示されており、図11においては、外面358の一部だけがアパーチャ344の表面と係合するよう示されている。これは、図11において、切欠部分360aおよび360bを示しているからである。切欠部分360aおよび360bは、ボスタワー336の外面358全体がアパーチャ344と係合するのを防ぐ。外面358のうちスエージ加工後であってもアパーチャ344と係合する部分は、外面358のうち外径356によって規定される部分に相当する。外面358のうちスエージ加工後であってもアパーチャ344と係合しない部分は、外面358のうち外径356によって規定されない残りの部分に相当する。
【0023】
図13は、2つのHGA 308および310がアームパッド340および342とスエージ加工された後の、2つのアクチュエータアーム312および314の部分と2つのHGA 308および310の部分とを含むHSA 300の一部を拡大した側面図を示す。より具体的には、図13は、ボスタワーにおいて切欠部分を用いてHGA 308および310がアクチュエータアーム310および312にスエージ加工される際に、アクチュエータパッド340および342に屈曲または変形が実質的に存在していない状態を示す。
【0024】
図14Aは、フランジまたはプレート451およびボスタワー436を含む、一実施例に従った装着板432の斜視図を示す。フランジまたはプレート451は、遠位端縁470、近位端縁472、第1の側端縁474および第2の対向する側端縁476を含む。第1の側端縁474および第2の側端縁476により、遠位端縁470が近位端縁472に結合される。特に、遠位端縁470は、装着板432上における、HGAのロードビームから最も遠い端部であり、近位端縁は、装着板432上における、HGAのロードビームに最も近い端部である。図14Aに図示のとおり、装着板432は単一の切欠部分460を含む。単一の切欠部分460は、斜めに角度の付けられた面に沿ってボスタワー436に形成されており、ボスタワー436の外面458のうちボスタワー436の外径456によって規定される部分と交差する下方の境界462と、ボスタワー436の端面454と交差する上方の境界464とを含む。図示のとおり、切欠部分460は、ボスタワー上において、近位端縁472よりも遠位端縁470に近接して位置する。
【0025】
図14Bは、フランジまたはプレート551およびボスタワー536を含む、別の実施例に従った装着板532の斜視図を示す。フランジまたはプレート551は、遠位端縁570、近位端縁572、第1の側端縁574および第2の対向する側端縁576を含む。第1の側端縁574および第2の側端縁576により、遠位端縁570が近位端縁572に結合される。特に、遠位端縁570は、装着板532上における、HGAのロードビームから最も遠い端部であり、近位端縁は、装着板532上における、HGAのロードビームに最も近い端部である。図14Bに図示のとおり、装着板532は単一の切欠部分560を含む。単一の切欠部分560は、斜めに角度の付けられた面に沿ってボスタワー536に形成されており、ボスタワー536の外面558のうちボスタワー536の外径556によって規定される部分と交差する下方の境界562と、ボスタワー536の端面554と交差する上方の境界564とを含む。図示のとおり、切欠部分560は、ボスタワー上において、遠位端縁470よりも近位端縁472に近接して位置する。
【0026】
図14Cは、フランジまたはプレート651およびボスタワー636を含む、さらに別の実施例に従った装着板632の斜視図を示す。図14C図4図13に図示される装着板332と同様である。フランジまたはプレート651は、遠位端縁670、近位端縁672、第1の側端縁674および第2の対向する側端縁676を含む。第1の側端縁674および第2の側端縁676により、遠位端縁670が近位端縁672に結合される。特に、遠位端縁670は、装着板632上における、HGAのロードビームから最も遠い端部であり、近位端縁は、装着板632上における、HGAのロードビームに最も近い端部である。図14Cに図示のとおり、装着板632は2つの切欠部分660aおよび660bを含む。切欠部分660aは、斜めに角度の付けられた面に沿ってボスタワー636に形成されており、ボスタワー636の外面658のうちボスタワー636の外径656によって規定される部分と交差する下方の境界662aと、ボスタワー636の端面654と交差する上方の境界664aとを含む。切欠部分660bは、斜めに角度の付けられた面に沿ってボスタワー636に形成されており、ボスタワー636の外面658のうちボスタワー636の外径656によって規定される部分と交差する下方の境界662bと、ボスタワー636の端面654と交差する上方の境界664bとを含む。図示のとおり、切欠部分660aは切欠部分660bと径方向に対向し、ボスタワー636上において近位端縁472よりも遠位端縁470に近接して位置し、切欠部分660bは、ボスタワー636上において、遠位端縁670よりも近位端縁672に近接して位置する。
【0027】
図14Dは、フランジまたはプレート751およびボスタワー736を含む、さらに別の実施例に従った装着板732の斜視図を示す。フランジまたはプレート751は、遠位端縁770、近位端縁772、第1の側端縁774および第2の対向する側端縁776を含む。第1の側端縁774および第2の側端縁776により遠位端縁770が近位端縁772に結合される。特に、遠位端縁770は、装着板732上における、HGAのロードビームから最も遠い端部であり、近位端縁は、装着板732上における、HGAのロードビームに最も近い端部である。図14Dに図示のとおり、装着板732は単一の切欠部分760を含む。単一の切欠部分760は、斜めに角度の付けられた面に沿ってボスタワー736に形成されており、ボスタワー736の外面758のうちボスタワー736の外径756によって規定される部分と交差する下方の境界762と、ボスタワー736の端面754と交差する上方の境界764とを含む。図示のとおり、切欠部分760は、ボスタワー上において、第2の側端縁476よりも第1の側端縁474に近接して位置する。
【0028】
図14Eは、フランジまたはプレート851およびボスタワー836を含む、さらに別の実施例に従った装着板832の斜視図を示す。フランジまたはプレート851は、遠位端縁870、近位端縁872、第1の側端縁874および第2の対向する側端縁876を含む。第1の側端縁874および第2の側端縁876により遠位端縁870が近位端縁872に結合される。特に、遠位端縁870は、装着板832上における、HGAのロードビームから最も遠い端部であり、近位端縁は、装着板832上における、HGAのロードビームに最も近い端部である。図14Eに図示のとおり、装着板832は単一の切欠部分860を含む。単一の切欠部分860は、斜めに角度の付けられた面に沿ってボスタワー836に形成されており、ボスタワー836の外面858のうちボスタワー836の外径856によって規定される部分と交差する下方の境界862と、ボスタワー836の端面854と交差する上方の境界864とを含む。図示のとおり、切欠部分860は、ボスタワー上において、第1の側端縁474よりも第2の側端縁876に近接して位置する。
【0029】
図14Fは、フランジまたはプレート951およびボスタワー936を含む、さらに別の実施例に従った装着板932の斜視図を示す。フランジまたはプレート951は、遠位端縁970、近位端縁972、第1の側端縁974および第2の対向する側端縁976を含む。第1の側端縁974および第2の側端縁976により、遠位端縁970が近位端縁972に結合される。特に、遠位端縁470は、装着板932上における、HGAのロードビームから最も遠い端部であり、近位端縁は、装着板932上における、HGAのロードビームに最も近い端部である。図14Fに図示のとおり、装着板932は2つの切欠部分960aおよび960bを含む。切欠部分960aは、斜めに角度の付けられた面に沿ってボスタワー936に形成されており、ボスタワー936の外面958のうちボスタワー936の外径956によって規定される部分と交差する下方の境界962aと、ボスタワー936の端面954と交差する上方の境界964aとを含む。切欠部分960bは、斜めに角度の付けられた面に沿ってボスタワー936に形成されており、ボスタワー936の外面958のうちボスタワー936の外径956によって規定される部分と交差する下方の境界962bと、ボスタワー936の端面954と交差する上方の境界964bとを含む。図示のとおり、切欠部分960aは切欠部分960bに対して径方向に対向し、ボスタワー936上において第1の側端縁974よりも第2の側端縁976に近接して位置し、切欠部分960bは、ボスタワー636上において、第2の側端縁976よりも第1の側端縁974に近接して位置する。
【0030】
図14Gは、フランジまたはプレート1051およびボスタワー1036を含む、さらに別の実施例に従った装着板1032の斜視図を示す。フランジまたはプレート1051は、遠位端縁1070、近位端縁1072、第1の側端縁1074および第2の対向する側端縁1076を含む。第1の側端縁1074および第2の側端縁1076により、遠位端縁1070が近位端縁1072に結合される。特に、遠位端縁1070は、装着板1032上における、HGAのロードビームから最も遠い端部であり、近位端縁は、装着板1032上における、HGAのロードビームに最も近い端部である。図14Gに図示のとおり、装着板1032は4つの切欠部分1060a、1060b、1060cおよび1060dを含む。切欠部分1060aは、斜めに角度の付けられた面に沿ってボスタワー1036に形成されており、ボスタワー1036の外面1058のうちボスタワー1036の外径1056によって規定される部分と交差する下方の境界1062aと、ボスタワー1036の端面1054と交差する上方の境界1064aとを含む。切欠部分1060bは、斜めに角度の付けられた面に沿ってボスタワー1036に形成されており、ボスタワー1036の外面1058のうちボスタワー1036の外径1056によって規定される部分と交差する下方の境界1062bと、ボスタワー1036の端面1054と交差する上方の境界1064bとを含む。切欠部分1060cは、斜めに角度の付けられた面に沿ってボスタワー1036に形成されており、ボスタワー1036の外面1058のうちボスタワー1036の外径1056によって規定される部分と交差する下方の境界1062cと、ボスタワー1036の端面1054と交差する上方の境界1064cとを含む。切欠部分1060dは、斜めに角度の付けられた面に沿ってボスタワー1036に形成されており、ボスタワー1036の外面1058のうちボスタワー1036の外径1056によって規定される部分と交差する下方の境界1062dと、ボスタワー1036の端面1054と交差する上方の境界1064dとを含む。図示のとおり、切欠部分1060aは、ボスタワー1036上において切欠部分1060bに対して径方向に対向し、近位端縁1072よりも遠位端縁1070に近接し、切欠部分1060bは、ボスタワー1036上において、遠位端縁1070よりも近位端縁1072に近接して位置する。図示のとおり、切欠部分1060cは、ボスタワー1036上において切欠部分1060dに対して径方向に対向し、第1の側端縁1074よりも第2の側端縁1076に近接しており、切欠部分1060dは、ボスタワー1036上において、第2の側端縁1076よりも第1の側端縁1074に近接して位置する。
【0031】
図15は、図14Gに図示される装着板1032のボスタワー1036の外周1080の回路図を示す。特に、図15は、外周1080が最小のボス高1048から最大のボス高1049まで如何に変化するかを示す。切欠部分1060a、1060b、1060cおよび1060dの各々は、ボスタワー1036の外面のうちボスタワー1036の外径によっては規定されない部分を表わす。切欠部分1060a、1060b、1060cおよび1060dの各々はまた、ボス高が最小のボス高1048にまで部分的に低くなっているのを表わす。
【0032】
構造的な特徴および/または方法論的動作に特有の用語で主題を説明してきたが、添付の特許請求の範囲に規定される主題が上述の特定の特徴または動作に必ずしも限定されないことが理解されるはずである。むしろ、上述の特定の特徴および動作は添付の特許請求の範囲を実現する例示的な形態として開示される。
【符号の説明】
【0033】
100 ヘッドスタックアセンブリ、102 媒体、104、106 スライダ、108、110 ヘッドジンバルアセンブリ、112、114 アクチュエータアーム、116 アクチュエータ機構。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図14C
図14D
図14E
図14F
図14G
図15