特許第6045594号(P6045594)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6045594
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】回転切断型複合鋸刃
(51)【国際特許分類】
   B23D 61/02 20060101AFI20161206BHJP
   B23D 45/10 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   B23D61/02 Z
   B23D45/10
【請求項の数】13
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-534926(P2014-534926)
(86)(22)【出願日】2012年8月13日
(65)【公表番号】特表2014-531333(P2014-531333A)
(43)【公表日】2014年11月27日
(86)【国際出願番号】CN2012079994
(87)【国際公開番号】WO2013056591
(87)【国際公開日】20130425
【審査請求日】2014年4月10日
(31)【優先権主張番号】201110312981.X
(32)【優先日】2011年10月17日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】201120393062.5
(32)【優先日】2011年10月17日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】201110372656.2
(32)【優先日】2011年11月4日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】201120453133.6
(32)【優先日】2011年11月4日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】201210100204.3
(32)【優先日】2012年4月6日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】201220143863.0
(32)【優先日】2012年4月6日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】514152118
【氏名又は名称】嘉興亜特園林機械研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】温慶普
【審査官】 山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2010/0180454(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0162494(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0303066(US,A1)
【文献】 登録実用新案第3187641(JP,U)
【文献】 特開平10−6130(JP,A)
【文献】 特開平10−118838(JP,A)
【文献】 米国特許第5027517(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23D 61/02,45/10,45/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転切断複合鋸刃において、外側鋸刃モジュール(1)と、内側鋸刃モジュール(2)と、止動環状部(3)とで構成され、該外側鋸刃モジュール(1)は、外側鋸刃(11)と支持部(12)と連結部(4)とを含み、前記内側鋸刃モジュール(2)は、内側鋸刃(21)とフランジ(22)と連結部(4)と軸受(5)とを含み、前記支持部(12)上には円柱部(121)と該円柱部に垂直である軸方向位置決め面(122)とが設けられ、前記外側鋸刃(11)の取付け孔と支持部(12)の円柱部(121)とは同軸に配置され、該外側鋸刃(11)の切断面(A2)と該支持部(12)の軸方向位置決め面(122)とは平行に当接され、かつ前記連結部(4)により外側鋸刃本体(111)が前記支持部(12)の軸方向位置決め面(122)に固定連結され、前記支持部(12)の円柱部(121)と前記軸受(5)の内輪とは同軸に固定連結され、該軸受(5)の内輪により前記外側鋸刃(11)の位置が決められ、前記フランジ(22)には装着孔(221)と軸方向位置決め面(222)とが設けられ、前記軸受(5)は、フランジ(22)の装着孔(221)内に取り付けられ、前記内側鋸刃(21)の取付け孔とフランジ(22)とは同軸に配置され、前記内側鋸刃(21)の切断面(B2)と前記フランジ面(223)とは平行に当接され、かつ連結部(4)により内側鋸刃本体(211)が前記フランジ(22)のフランジ面(223)に固定連結され、前記軸受(5)の外輪の一側は、フランジ(22)の軸方向位置決め面(222)に平行に当接され、該外輪の他側は、前記内側鋸刃(21)の切断面(B2)に平行に当接され、かつ前記軸受(5)の外輪により前記内側鋸刃(21)の位置を決め、前記止動環状部(3)は、前記軸受(5)の内輪と前記外側鋸刃(11)との間に設けられ、該止動環状部(3)の一側面は、前記外側鋸刃(11)の内側面(A1)に平行に当接され、他の一側面は、前記軸受(5)の内輪の側面に平行に当接され、前記軸受(5)の内輪と外輪により、前記外側鋸刃(11)と内側鋸刃(21)の位置がそれぞれ決められ、かつ一体の回転切断型鋸刃が構成され、外側鋸刃(11)及び内側鋸刃(21)はそれぞれ、軸受(5)の内輪及び外輪と共に自由に回転し、
前記切断面(A2またはB2)は、前記外側鋸刃本体(111)または内側鋸刃本体(211)において、切断されるべき材料を切断した時に、切断されるべき材料と直接に接触する面であり、
前記一体とは、前記外側鋸刃本体(111)と内側鋸刃本体(211)とが前記軸受(5)、前記支持部(12)、前記フランジ(22)により一体になることを意味する
ことを特徴とする回転切断複合鋸刃。
【請求項2】
前記外側鋸刃(11)の切断歯(112)は、該外側鋸刃(11)の内側面(A1)と同高になるか、或いは該内側面(A1)より低くなり、かつ該外側鋸刃(11)の切断歯(112)が該外側鋸刃(11)の切断面(A2)より高いことにより副切削刃が形成され、前記内側鋸刃(21)の切断歯(112)は、該内側鋸刃(21)の内側面(B1)と同高になるか、或いは該内側面(B1)より低くなり、かつ該内側鋸刃(21)の切断歯(112)が該内側鋸刃(21)の切断面(B2)より高いことにより副切削刃が形成され、
前記外側鋸刃(11)の副切削刃は、切断歯(112)が該外側鋸刃(11)の切断面(A2)より高い箇所であり、切削するための突起である、
ことを特徴とする請求項1に記載の回転切断複合鋸刃。
【請求項3】
前記外側鋸刃(11)及び内側鋸刃(21)の切断歯(112)と該外側鋸刃(11)及び内側鋸刃(21)の内側面との落差が0~0.2mmであり、前記外側鋸刃(11)及び内側鋸刃(21)の切断歯(112)が該外側鋸刃(11)及び内側鋸刃(21)の切断面(A2、B2)より高いことによって形成された副切削刃の高さは、0より大きく、1mmより小さいことを特徴とする請求項1に記載の回転切断複合鋸刃。
【請求項4】
前記外側鋸刃(11)及び内側鋸刃(21)の間において止動環状部(3)で限定される空間である隙間は、内側鋸刃本体(211)の厚さの方向において前記止動環状部(3)の幅と前記内側鋸刃本体(211)の厚さとにより決められ、該隙間のサイズは0~0.5mmであることを特徴とする請求項1に記載の回転切断複合鋸刃。
【請求項5】
前記外側鋸刃(11)の内側面(A1)の一側の取付け孔の周囲には、回転軸の周囲の円周線に配置されたザグリ穴が少なくとも3つ設けられ、前記支持部(12)の軸方向位置決め面(122)には、回転軸の周囲の円周線に配置された締結部品用連結孔が少なくとも3つ設けられ、該連結孔の分布及び位置と前記外側鋸刃(11)のザグリ穴の分布及び位置とが一致し、該外側鋸刃(11)はザグリ穴により前記支持部(12)の締結部品用連結孔に係合され、前記内側鋸刃(21)の内側面(B1)の一側の取付け孔の周囲には、回転軸の周囲の円周線に配置されたザグリ穴が少なくとも3つ設けられ、前記フランジ(22)のフランジ面(223)には、回転軸の周囲の円周線に配置された締結部品用連結孔が少なくとも3つ設けられ、該連結孔の分布及び位置と前記内側鋸刃(21)のザグリ穴の分布及び位置とが一致し、前記内側鋸刃(21)はザグリ穴により前記フランジ(22)の締結部品用連結孔に係合され、前記フランジ(22)の装着孔(221)の軸方向の深度と前記軸受(5)の幅との基本サイズが同じであることを特徴とする請求項1に記載の回転切断複合鋸刃。
【請求項6】
回転切断複合鋸刃において、
外側鋸刃モジュール(1)と、内側鋸刃モジュール(2)と、止動環状部(3)とで構成され、該外側鋸刃モジュール(1)は、外側鋸刃(11)と支持部(12)と連結部(4)とを含み、前記内側鋸刃モジュール(2)は、内側鋸刃(21)とフランジ(22)と連結部(4)と軸受(5)とを含み、
前記支持部(12)上には円柱部(121)と該円柱部に垂直である軸方向位置決め面(122)とが設けられ、前記外側鋸刃(11)の取付け孔と支持部(12)の円柱部(121)とは同軸に配置され、該外側鋸刃(11)の切断面(A2)と該支持部(12)の軸方向位置決め面(122)とは平行に当接され、かつ前記連結部(4)により外側鋸刃本体(111)が前記支持部(12)の軸方向位置決め面(122)に固定連結され、前記支持部(12)の円柱部(121)と前記軸受(5)の内輪とは同軸に固定連結され、該軸受(5)の内輪により前記外側鋸刃(11)の位置が決められ、前記フランジ(22)には装着孔(221)と軸方向位置決め面(222)とが設けられ、前記軸受(5)は、フランジ(22)の装着孔(221)内に取り付けられ、前記内側鋸刃(21)の取付け孔とフランジ(22)とは同軸に配置され、前記内側鋸刃(21)の切断面(B2)と前記フランジ面(223)とは平行に当接され、かつ連結部(4)により内側鋸刃本体(211)が前記フランジ(22)のフランジ面(223)に固定連結され、前記軸受(5)の外輪の一側は、フランジ(22)の軸方向位置決め面(222)に平行に当接され、該外輪の他側は、前記内側鋸刃(21)の切断面(B2)に平行に当接され、かつ前記軸受(5)の外輪により前記内側鋸刃(21)の位置を決め、
前記切断面(A2またはB2))は、前記外側鋸刃本体(111)または内側鋸刃本体(211)において、切断されるべき材料を切断した時に、切断されるべき材料と直接に接触する面であり、
該外側鋸刃(11)は該軸受(5)の内輪に固定連結され、該内側鋸刃(21)は該軸受(5)の外輪に固定連結され、該外側鋸刃(11)及び内側鋸刃(21)はそれぞれ、軸受(5)の内輪及び外輪と共に自由に回転し、
前記軸受(5)の内輪と前記外側鋸刃(11)との間には、外側鋸刃(11)と内側鋸刃(21)との間の隙間を調節する止動環状部(3)が設けられ、
前記外側鋸刃(11)及び内側鋸刃(21)の間において止動環状部(3)で限定される空間が前記隙間である
ことを特徴とする回転切断複合鋸刃。
【請求項7】
前記外側鋸刃(11)の切断歯(112)は、該外側鋸刃(11)の内側面(A1)と同高にするか、或いは該内側面(A1)より低くし、前記内側鋸刃(21)の切断歯(112)は、該内側鋸刃(21)の内側面(B1)と同高にするか、或いは該内側面(B1)より低くすることを特徴とする請求項6に記載の回転切断複合鋸刃。
【請求項8】
前記外側鋸刃(11)の切断歯(112)が該外側鋸刃(11)の切断面(A2)より高いことにより副切削刃が形成され、前記内側鋸刃(21)の切断歯(112)が該内側鋸刃(21)の切断面(B2)より高いことにより副切削刃が形成されることを特徴とする請求項7に記載の回転切断複合鋸刃。
【請求項9】
前記外側鋸刃(11)及び内側鋸刃(21)の切断歯(112)と該外側鋸刃(11)及び内側鋸刃(21)の内側面との落差が0~0.2mmであり、前記外側鋸刃(11)及び内側鋸刃(21)の切断歯(112)が該外側鋸刃(11)及び内側鋸刃(21)の切断面(A2、B2)より高いことにより形成された副切削刃の高さは、0より大きく、1mmより小さいことを特徴とする請求項8に記載の回転切断複合鋸刃。
【請求項10】
前記外側鋸刃(11)及び内側鋸刃(21)の間において止動環状部(3)で限定される空間である隙間は、内側鋸刃本体(211)の厚さの方向において前記止動環状部(3)の幅と前記内側鋸刃本体(211)の厚さとにより決められ、該隙間のサイズは0~0.5mmであることを特徴とする請求項6に記載の回転切断複合鋸刃。
【請求項11】
前記内側鋸刃(21)の取付け孔の直径は前記軸受(5)の外径より小さく、前記外側鋸刃(11)の内側面(A1)の一側の取付け孔の周囲には、前記外側鋸刃(11)の回転軸の周囲の円周線に配置されたザグリ穴が少なくとも3つ設けられ、前記支持部(12)の軸方向位置決め面(122)には、回転軸の周囲の円周線に配置された締結部品用連結孔が少なくとも3つ設けられ、該連結孔の分布及び位置と前記外側鋸刃本体(111)のザグリ穴の分布及び位置とが一致し、前記外側鋸刃(11)は、該ザグリ穴により前記支持部(12)の締結部品用連結孔に係合されることを特徴とする請求項6に記載の回転切断複合鋸刃。
【請求項12】
前記内側鋸刃(21)の内側面(B1)の一側の取付け孔の周囲には、前記内側鋸刃(21)の回転軸の周囲の円周線に配置された少なくとも3つのザグリ穴が設けられ、前記フランジ(22)のフランジ面(223)には、回転軸の周囲の円周線に配置された少なくとも3つの締結部品用連結孔が設けられ、該連結孔の分布及び位置と前記内側鋸刃(21)のザグリ穴の分布及び位置とが一致し、前記内側鋸刃(21)は、ザグリ穴により前記フランジ(22)の締結部品用連結孔に係合されることを特徴とする請求項6に記載の回転切断複合鋸刃。
【請求項13】
前記支持部(12)の内周面には、前記外側鋸刃(11)の駆動軸と駆動連結される駆動用キー溝が設けられており、前記フランジ面(223)の反対側にある前記フランジ(22)の端面には、前記内側鋸刃(21)の駆動軸と駆動連結される駆動連結部(6)が設けられ、該駆動連結部(6)は、駆動連結用突出部、駆動連結用凹部又は駆動連結用孔部であることを特徴とする請求項6に記載の回転切断複合鋸刃。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転切断型鋸類道具の分野に属し、かつ回転切断用複合鋸刃の設計方法と、この設計方法を実現する回転切断用複合鋸刃とに関する。特に回転切断型電動丸鋸、斜面切断用鋸又はエンジン動力型切断鋸などに取り付けて、金属、石材、木材又はプラスチックなどのような型材又は板材を切断するか、或いは事故救済の現場で各種類の材料を切断する切断用鋸刃に関する。
【背景技術】
【0002】
回転切断型複合鋸は、二重鋸刃切断機ともいう。この装置は、動力出力装置の同軸動力出力軸が外側鋸刃と内側鋸刃を同時駆動することにより、1つの鋸刃を時計方向に回転させるとともに、他の1つの鋸刃を反時計方向に回転させる。これにより、反対方向に回転する切断動きが発生する。外側鋸刃と内側鋸刃の回転方向が相反するので、互いに平行する外側鋸刃と内側鋸刃で被切断材を切断するとき、被切断材からの作用力により、安定快速な切断を実現することができる。
【0003】
現在の技術力により、国内又は国外で製造した回転切断型複合鋸刃はいずれも、内側鋸刃と外側鋸刃を別々に設け、かつ別々に取り付ける不適合な方法を採用するので、取り付けた外側鋸刃と内側鋸刃が互いに当接し、かつ互いに摩擦する問題が発生する。外側鋸刃は、連結用ボルトにより外側鋸刃駆動軸の動力出力端に固定される。内側鋸刃と外側鋸刃に当接する内側鋸刃の摩擦面に耐摩耗リング又は耐摩耗突起を設けることにより、軸方向の位置を決める。耐摩耗リング又は耐摩耗突起が同じ連結用ボルトからの締結圧力により、内側鋸刃駆動軸の動力出力端のフランジ面に当接され、かつ内側鋸刃駆動軸のフランジ面上の駆動用突起が内側鋸刃上の装着孔に係合されることにより、内側鋸刃が回転するように駆動する。耐摩耗リング又は耐摩耗突起は、外側鋸刃と内側鋸刃を固定するために締結圧力を伝達するとともに、外側鋸刃と内側鋸刃との間で摩擦回転をする。このような設計は、機械設計において、同じ方向の2つの面が同時に安定な係合関係を受けることを避けるべきだという原理に適合しない。
【0004】
上述したとおり、内側鋸刃は常に、安定な位置決め力を受けることができない。外側鋸刃と内側鋸刃が反対方向に回転するとき、耐摩耗リング又は耐摩耗突起が摩損され、位置決めが更にわるくなることにより、内側鋸刃の固定が緩まる。この場合、内側鋸刃と外側鋸刃が安定な位置決め力を受けることができず、誤差が発生しやすい。作動する過程で、同軸に配置される外側鋸刃駆動軸と内側鋸刃駆動軸が反対方向に回転することにより、外側鋸刃と内側鋸刃が反対方向の切断回転をするように駆動する。内側鋸刃が安定な位置決め力及び固定力を受けていないので、内側鋸刃に跳ね動き及び揺れ動きが発生することを避けることができず、鋸刃の間の隙間を確保することができない。これにより、外側鋸刃と内側鋸刃との間に摩擦により熱が発生し、衝突干渉が発生する問題を招来する。しかも、被切断材が外側鋸刃と内側鋸刃との間に挟まれることにより、外側鋸刃と内側鋸刃が開裂して切断不可能な失効状態になり、かつ人身安全事故などが発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術の問題を解決するため、本発明は、外側鋸刃と内側鋸刃の位置が有効に決められ、両者が緊密に係合され、かつ外側鋸刃と内側鋸刃との間に摩擦が発生せず、安定に回転することができ、エネルギー消耗が少なく、寿命が長く、取付けが利便で、安定な回転切断を実現することができる、一体になった回転切断型複合鋸刃を提供する目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した目的を解決するため、本発明は、次のような回転切断複合鋸刃の設計方法を提供する。回転切断複合鋸刃は、外側鋸刃と内側鋸刃を含む。外側鋸刃の回転軸と内側鋸刃の回転軸は同軸に配置され、両者の中心位置には取付け孔がそれぞれ設けられ、両者は対向及び平行するように配置され、かつ外側鋸刃と内側鋸刃の切断方向が相反するように設けられる。この方法において、外側鋸刃と内側鋸刃との間に軸受及び止動環状部を設け、軸受で外側鋸刃と内側鋸刃を一体に固定連結させ、かつ軸受の内輪で外側鋸刃の位置を決め、軸受の外輪で内側鋸刃の位置を決める。止動環状部で外側鋸刃と内側鋸刃との間の隙間を制御し、かつ外側鋸刃と内側鋸刃が共に回転するように連結させる。外側鋸刃と支持部を同軸に配置した後、連結部で固定連結させ、かつ支持部と軸受の内輪を同軸に固定連結させることにより、軸受の内輪が外側鋸刃の位置を決めるようにする。内側鋸刃とフランジを同軸に配置し後、連結部で固定連結させ、かつフランジと軸受の外輪を同軸に固定連結させることにより、軸受の外輪が内側鋸刃の位置を決めるようにする。外側鋸刃と内側鋸刃との間に止動環状部を設けることにより、外側鋸刃と内側鋸刃との間の隙間を制御する。軸受で外側鋸刃と支持部の位置を決め、かつ固定連結させることにより、一体の回転切断複合鋸刃を構成する。外側鋸刃及び内側鋸刃はそれぞれ、軸受の内輪及び外輪と共に自由に回転することができる。支持部の中心位置に駆動用キー溝を設けることにより、支持部と外側鋸刃駆動軸とが連動するようにする。フランジの1つの端面に駆動連結部を設けることにより、フランジと外側鋸刃駆動軸とが同軸に配置され、かつフランジと反対に回転する内側鋸刃駆動軸とが固定連結されるようにする。
【0007】
上述した回転切断複合鋸刃の設計方法において、前記回転切断複合鋸刃は、外側鋸刃モジュールと、内側鋸刃モジュールと、止動環状部とで構成される。外側鋸刃モジュールは、外側鋸刃と、支持部と、連結部とで構成され、内側鋸刃モジュールは、内側鋸刃と、フランジと、連結部と、軸受とで構成される。外側鋸刃は、外側鋸刃本体と溶接歯形刃とで構成され、内側鋸刃は、内側鋸刃本体と溶接歯形刃とで構成される。溶接歯形刃は、外側鋸刃本体と内側鋸刃本体の外周面の歯型刃載置部に均等に溶接されている。外側鋸刃本体の一側面は接触面A1であり、他の一側面は切断面A2であり、内側鋸刃本体の一側面は接触面B1であり、他の一側面は切断面B2である。外側鋸刃と内側鋸刃の回転中心は同軸に配置され、かつ両者の中心位置には取付け孔がそれぞれ設けられている。接触面A1と接触面B1は対向及び平行するように配置され、かつ両者の間には隙間が設けられる。外側鋸刃と支持部の切断方向は相反する。支持部上には、円柱部と該円柱部に垂直である軸方向位置決め面とが設けられている。外側鋸刃の取付け孔と支持部の円柱部とは同軸に配置され、外側鋸刃の切断面A2と支持部に設けられた軸方向位置決め面とは平行に当接され、かつ連結部により外側鋸刃本体は支持部の軸方向位置決め面に固定連結される。支持部の円柱部と軸受の内輪とは同軸に固定連結され、かつ軸受の内輪により外側鋸刃の位置を決める。フランジの中心位置には装着孔と軸方向位置決め面とが設けられ、位置決め面の方向に平行するフランジの側面はフランジ面である。軸受はフランジの装着孔内に取り付けられ、内側鋸刃の取付け孔とフランジとは同軸に配置される。内側鋸刃の切断面B2とフランジ面とは平行に当接され、かつ連結部により内側鋸刃本体がフランジのフランジ面に固定連結される。軸受の外輪の一側はフランジの軸方向位置決め面に平行に当接され、他の一側は内側鋸刃の切断面に平行に当接され、かつ受の外輪は内側鋸刃の位置を決める。軸受の内輪と外側鋸刃との間には止動環状部が設けられる。止動環状部の一側面は、外側鋸刃の接触面A1に平行に当接され、他の一側面は、軸受の内輪の側面に平行に当接される。外側鋸刃と内側鋸刃はそれぞれ、軸受の内輪と外輪により位置が決められ、かつ一体に連結された回転切断型鋸刃を構成する。外側鋸刃及び内側鋸刃はそれぞれ、軸受の内輪及び外輪と共に自由に回転する。
【0008】
本発明のさらなる改良は、次のとおりである。外側鋸刃の接触面A1の側において、溶接歯形刃を接触面A1と同高にするか、或いは接触面A1より低くすることができるが、歯形刃が突出するようにしてはいけない。外側鋸刃の切断面A2の側において、溶接歯形刃が切断面A2より高いことにより、副切削刃が形成される。内側鋸刃の接触面B1の側において、溶接歯形刃を接触面B1と同高にするか、或いは接触面B1より低くすることができるが、歯形刃が突出するようにしてはいけない。内側鋸刃の切断面B2の側において、溶接歯形刃が切断面B2より高いことにより副切削刃が形成される。溶接歯形刃を接触面A1、B1と同高にするか、或いは接触面A1、B1より0〜0.2mm低くする。溶接歯形刃が切断面A2、B2より高いことにより形成された副切削刃の高さは、0より大きく、1mmより小さい。これにより、外側鋸刃の切断面と内側鋸刃の切断面との間で鋸刃の干渉衝突が発生しないよう確保することができ、外側鋸刃の切断面側と内側鋸刃の切断面側とに有効な副切削刃を形成することができる。
【0009】
本発明のさらなる改良は、次のとおりである。止動環状部の一側面は、外側鋸刃に当接され、他の一側面は、軸受の内輪に当接される。外側鋸刃と内側鋸刃との間の隙間は、止動環状部の幅と内側鋸刃本体の厚さとにより決められる。該隙間のサイズは0〜0.5mmである。これにより、外側鋸刃と内側鋸刃が安定に回転することを確保し、かつ外側鋸刃と内側鋸刃が回転するときの隙間を精密に制御することができる。
【0010】
本発明のさらなる改良は、次のとおりである。内側鋸刃の取付け孔の直径が軸受の外径より小さいので、内側鋸刃とフランジを取り付けるとき、所定の箇所に位置決め用階段が形成される。これにより、内側鋸刃本体で軸受の外輪の軸方向位置を決める安定性を向上させることができる。したがって、切断する過程で、内側鋸刃が軸方向に移動することを防ぎ、外側鋸刃と内側鋸刃との間の隙間を安定させることができる。外側鋸刃本体において、接触面A1の一側の取付け孔の周囲には、回転軸の周囲の円周線に配置されたザグリ穴が少なくとも3つ設けられている。内側鋸刃本体において、接触面の一側の取付け孔の周囲には、回転軸の周囲の円周線に配置されたザグリ穴が少なくとも3つ設けられている。このようなザグリ穴により、外側鋸刃と支持部を内側鋸刃とフランジに容易に固定連結することができる。
【0011】
本発明のさらなる改良は、次のとおりである。支持部の軸方向位置決め面には、回転軸の周囲の円周線に配置された締結部品用連結孔が少なくとも3つ設けられている。連結孔の分布及び位置と、外側鋸刃本体のザグリ穴の分布及び位置とが一致する。支持部の内周面には駆動用キー溝が設けられている。外側鋸刃の取付け孔と支持部の円柱部とは同軸に配置され、外側鋸刃の切断面A2と支持部の軸方向位置決め面とは平行に当接される。外側鋸刃のザグリ穴に挿入される締結部品により、外側鋸刃本体が支持部の軸方向位置決め面に一体に固定連結され、支持部の円柱部と軸受の内輪とは同軸に連結される。軸受の内輪により外側鋸刃の位置が決められ、外側鋸刃モジュールが構成される。すなわち、外側鋸刃及び支持部と軸受の内輪とが共に回転する構造が構成される。支持部の内周面に駆動用キー溝が設けられていることにより、支持部と外側鋸刃駆動軸とが連動するように連結され、駆動軸の駆動により支持部が回転することができる。キー溝は、スプライン、平キー、片丸形キー、少なくとも1つの表面を有するキーであることができる。
【0012】
本発明のさらなる改良は、次のとおりである。フランジのフランジ面には、回転軸の周囲の円周線に配置された締結部品用連結孔が少なくとも3つ設けられ、該連結孔の分布及び位置と、内側鋸刃本体のザグリ穴の分布及び位置とが一致する。内側鋸刃のザグリ穴に挿入される締結部品は、内側鋸刃とフランジとを一体に固定連結する。軸受はフランジの装着孔内に同軸に固定連結される。軸受の外輪により内側鋸刃の位置が決められ、内側鋸刃モジュールが構成される。すなわち、内側鋸刃及びフランジと軸受の内輪とが共に回転する構造が構成される。フランジに設けられた装着孔の軸方向の深度、すなわち軸方向位置決め面からフランジ面までの垂直距離と、軸受の幅との基本サイズが同じである。したがって、フランジの軸方向位置決め面と内側鋸刃の切断面とにより、軸受の軸方向を位置を決め、かつ内側鋸刃が回転する過程で、軸方向に移動しないよう確保することができる。
【0013】
本発明のさらなる改良は、次のとおりである。フランジ面の反対側にあるフランジの端面には、駆動連結部が設けられている。駆動連結部は、駆動連結用突出部、駆動連結用凹部又は駆動連結用孔部であることができる。外側鋸刃と該外側鋸刃に固定連結された支持部とは、軸受の内輪に固定連結され、外側鋸刃駆動軸と支持部とは、駆動用キーにより連結される。連結用ボルトを外側鋸刃駆動軸の出力端に設けられたネジ穴に係合させることにより、外側鋸刃モジュールを外側鋸刃駆動軸に固定連結させる。外側鋸刃は、外側鋸刃駆動軸の駆動により回転する。内側鋸刃と該内側鋸刃に固定連結されたフランジとは、軸受の外輪に固定連結される。フランジ面の反対側にあるフランジの端面に設けられた駆動連結部を、内側鋸刃駆動軸の出力端のフランジ面に設けられた駆動連結部に係合させることにより、内側鋸刃を内側鋸刃駆動軸に固定連結させる。すなわち、駆動連結方法として軸方向移動非制限噛合駆動連結方式を採用する。外側鋸刃駆動軸と内側鋸刃駆動軸が反対方向に回転するとき、外側鋸刃と内側鋸刃が回転切断運動をするように別々に駆動する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の効果を説明すると、次のとおりである。本発明の回転切断型複合鋸刃において、外側鋸刃と内側鋸刃がそれぞれ、軸受の内輪と軸受の外輪により一体に固定連結されることにより、外側鋸刃と内側鋸刃が軸受の回転中心を軸として自由に回転することができ、外側鋸刃と内側鋸刃の静態精度及び回転精度を向上させることができる。止動環状部を設けることにより、外側鋸刃と内側鋸刃との間の隙間を精密に制御し、外側鋸刃と内側鋸刃の回転精度を有効に確保し、安定な回転切断構造を構成することができる。したがって、外側鋸刃と内側鋸刃が反対方向に回転するとき、外側鋸刃と内側鋸刃との間に摩擦により熱が発生し、衝突干渉が発生することを避けることができる。また、被切断材が外側鋸刃と内側鋸刃との間に挟まれて、外側鋸刃と内側鋸刃が開裂し、失効になることを避けることができる。すなわち、本発明は、切断回転が安定で、切断の効率が高く、使用寿命が長く、性能が安定安全である利点を有している。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第一実施例に係る回転切断型複合鋸刃の構造を示す図である。
図2】本発明の第一実施例に係る回転切断型複合鋸刃の支持部の構造を示す図である。
図3】本発明の第一実施例に係る回転切断型複合鋸刃のフランジの構造を示す図である。
図4】本発明の第二実施例に係る回転切断型複合鋸刃の構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面により本発明の好適な実施例を詳細に説明することにより、本発明の効果及び特徴をこの分野の技術者に理解させ、かつ本発明の特許請求の範囲を明確に限定する。
【0017】
以下、図1図3を参照しながら、本発明の第一実施例を説明する。本発明の回転切断型鋸刃において、支持部とフランジで外側鋸刃と内側鋸刃をそれぞれ取り付けることにより、外側鋸刃を軸受の内輪に安定に固定連結するとともに、内側鋸刃を軸受の外輪に安定に固定連結する。それにより一体の複合鋸刃が形成される。外側鋸刃は、軸受の内輪トと共に自由に回転し、内側鋸刃は、軸受の外輪と共に自由に回転する。
【0018】
具体的に、回転切断型鋸刃は、外側鋸刃モジュール1と、内側鋸刃モジュール2と、止動環状部3とで構成される。外側鋸刃モジュール1は、外側鋸刃11と、支持部12と、連結部4とで構成され、内側鋸刃モジュール2は、内側鋸刃21と、フランジ22と、連結部4と、軸受5とで構成される。外側鋸刃11は、外側鋸刃本体111と溶接歯形刃112とで構成され、内側鋸刃21は、内側鋸刃本体211と溶接歯形刃112とで構成される。溶接歯形刃112は、外側鋸刃本体111と内側鋸刃本体211の外周面の歯型刃載置部に均等に溶接されている。外側鋸刃本体111の一側面は接触面A1であり、他の一側面は切断面A2である。内側鋸刃本体211の一側面は接触面B1であり、他の一側面は切断面B2である。外側鋸刃11と内側鋸刃21の回転中心が同軸に配置され、かつ両者の中心位置には取付け孔がそれぞれ設けられている。接触面A1と接触面B1は、対向及び平行するように配置され、かつ両者の間に隙間が予め設けられる。外側鋸刃11と内側鋸刃21の切断方向が相反するように設けられる。支持部12上には、円柱部121と、円柱部121に垂直である軸方向位置決め面122とが設けられ、外側鋸刃11の取付け孔と支持部12の円柱部121とは、同軸に配置される。外側鋸刃11の切断面A2と、支持部12に設けられた軸方向位置決め面122とは平行に当接され、かつ連結部4により外側鋸刃本体111が支持部12の軸方向位置決め面122に固定連結される。支持部12の円柱部121と軸受5の内輪とは同軸に配置され、軸受5の内輪は外側鋸刃11の位置を決める。フランジ22の中心位置には、装着孔221と軸方向位置決め面222とが設けられ、位置決め面222の方向に平行するフランジ22の側面は、フランジ面223である。軸受5は、フランジ22の装着孔221内に取り付けられる。内側鋸刃21の取付け孔とフランジ22とは同軸に配置される。内側鋸刃21の接触面B1とフランジ面223とは平行に当接され、かつ連結部4により内側鋸刃本体211がフランジ22のフランジ面223に固定連結される。軸受5の外輪の一側は、フランジ22の軸方向位置決め面222に平行に当接され、他の一側は、内側鋸刃21の切断面B2に平行に当接され、かつ軸受5の外輪は、内側鋸刃21の位置を決める。軸受5の内輪と外側鋸刃11との間に止動環状部3が設けられる。止動環状部3の一側面は、外側鋸刃11の接触面A1に平行に当接され、他の一側面は、軸受5の内輪の側面に平行に当接される。外側鋸刃11と内側鋸刃21はそれぞれ、軸受5の内輪と外輪により位置が決められ、かつ一体に連結された回転切断型鋸刃を構成する。外側鋸刃11及び内側鋸刃21はそれぞれ、軸受5の内輪及び外輪と共に自由に回転することができる。
【0019】
外側鋸刃11の接触面A1の側において、溶接歯形刃112を接触面A1と同高にするか、或いは接触面A1より低くすることができるが、歯形刃が突出するようにしてはいけない。外側鋸刃11の切断面A2の側において、溶接歯形刃112が切断面A2より高いことにより、副切削刃が形成される。内側鋸刃21の接触面B1の側において、溶接歯形刃112を接触面B1と同高にするか、或いは接触面B1より低くすることができるが、歯形刃が突出するようにしてはいけない。内側鋸刃21の切断面B2の側において、溶接歯形刃112が切断面B2より高いことにより、副切削刃が形成される。すなわち、溶接歯形刃112を接触面A1、B1と同高にするか、或いは接触面A1、B1より0〜0.2mm低くする。溶接歯形刃112が切断面A2、B2より高いことにより形成された副切削刃の高さは、0より大きく、1mmより小さい。それにより、外側鋸刃11と内側鋸刃21の接触面の間に、歯形鋸刃の干渉が発生しないように確保することができる。外側鋸刃11と内側鋸刃21の切断面の側には、有効な副切削刃がそれぞれ形成されている。
【0020】
止動環状部3の一側面は、外側鋸刃11に当接され、他の一側面は、軸受5の内輪に当接される。外側鋸刃11と内側鋸刃21との間の隙間は、止動環状部3の幅と内側鋸刃本体211の厚さとにより決められる。本発明において、隙間のサイズを0〜0.5mmに設ける。それにより、外側鋸刃11と内側鋸刃21が安定に回転することを確保し、かつ外側鋸刃11と内側鋸刃21が回転するときの隙間を精密に制御することができる。
【0021】
内側鋸刃21の取付け孔の直径が軸受5の外径より小さいので、内側鋸刃21とフランジ22を取り付けるとき、所定の箇所に位置決め用階段が形成される。これにより、内側鋸刃本体211で軸受の外輪の軸方向位置を決める安定性を向上させることができる。したがって、切断する過程で、内側鋸刃21が軸方向に移動することを防ぎ、外側鋸刃11と内側鋸刃21との間の隙間を安定させることができる。外側鋸刃本体111において、接触面A1の一側の取付け孔の周囲には、回転軸の周囲の円周線に配置されたザグリ穴が少なくとも3つ設けられている。内側鋸刃本体211において、接触面B1の一側の取付け孔の周囲には、回転軸の周囲の円周線に配置されたザグリ穴が少なくとも3つ設けられている。このようなザグリ穴により、外側鋸刃11と支持部12を内側鋸刃21とフランジ22に容易に固定連結することができる。
【0022】
支持部12の軸方向位置決め面122には、回転軸の周囲の円周線に配置された締結部品用連結孔が少なくとも3つ設けられている。連結孔の分布及び位置と、外側鋸刃本体111のザグリ穴の分布及び位置とが一致し、支持部12の内周面には駆動用キー溝が設けられている。外側鋸刃11の取付け孔と支持部12の円柱部121とは同軸に配置され、外側鋸刃11の切断面A2と支持部12の軸方向位置決め面122とは平行に当接される。外側鋸刃11のザグリ穴に挿入される締結部品により、外側鋸刃本体111が支持部12の軸方向位置決め面122に一体に固定連結され、支持部12の円柱部121と軸受5の内輪とは同軸に連結される。軸受5の内輪により外側鋸刃11の位置が決められ、外側鋸刃モジュール1が構成される。すなわち、外側鋸刃11及び支持部12と軸受5の内輪とが共に回転する構造が構成される。支持部12の内周面に駆動用キー溝が設けられていることにより、支持部12と外側鋸刃駆動軸とが連動するように連結され、駆動軸の駆動により支持部が回転することができる。キー溝は、スプライン、平キー、片丸形キー、少なくとも1つの表面を有するキーであることができる。
【0023】
フランジ22のフランジ面223には、回転軸の周囲の円周線に配置された締結部品用連結孔が少なくとも3つ設けられ、連結孔の分布及び位置と、内側鋸刃本体211のザグリ穴の分布及び位置とが一致する。内側鋸刃21のザグリ穴に挿入される締結部品は、内側鋸刃21とフランジ22とを一体に固定連結する。軸受5はフランジ22の装着孔221内に同軸に固定連結される。軸受5の外輪により内側鋸刃21の位置が決められ、内側鋸刃モジュール2が構成される。すなわち、内側鋸刃21及びフランジ22と軸受5の内輪とが共に回転する構造が構成される。フランジ22に設けられた装着孔221の軸方向の深度、すなわち軸方向位置決め面222からフランジ面223までの垂直距離と、軸受5の幅との基本サイズが同じである。したがって、フランジ22の軸方向位置決め面と内側鋸刃21の切断面とにより、軸受の軸方向を位置を決め、かつ内側鋸刃21が回転する過程で、軸方向に移動しないよう確保することができる。
【0024】
連結部4として、皿頭リベット又は皿頭ボルトを採用することができる。本実施例の連結部4として皿頭リベットを採用して、外側鋸刃11の支持部12と内側鋸刃21のフランジ22とを固定連結する。
【0025】
フランジ面223の反対側にあるフランジ22の端面には、駆動連結部6が設けられている。駆動連結部6は、駆動連結用突出部、駆動連結用凹部又は駆動連結用孔部であることができる。外側鋸刃11と該外側鋸刃に固定連結された支持部12とは、軸受の内輪に固定連結され、外側鋸刃駆動軸と支持部12とは、駆動用キーにより連結される。連結用ボルトを外側鋸刃駆動軸の出力端に設けられたネジ穴に係合させることにより、外側鋸刃モジュール1を外側鋸刃駆動軸に固定連結させる。外側鋸刃11は、外側鋸刃駆動軸の駆動により回転する。内側鋸刃21と該内側鋸刃に固定連結されたフランジ22とは、軸受の外輪に固定連結される。フランジ面223の反対側にあるフランジ22の端面に設けられた駆動連結部6を、内側鋸刃駆動軸の出力端のフランジ面に設けられた駆動連結部に係合させることにより、内側鋸刃21を内側鋸刃駆動軸に固定連結させる。すなわち、駆動連結方法として軸方向移動非制限噛合駆動連結方式を採用する。外側鋸刃駆動軸と内側鋸刃駆動軸が反対方向に回転するとき、外側鋸刃11と内側鋸刃21が回転切断運動をするように別々に駆動する。
【0026】
本実施例において標準的な軸受を採用することにより、本発明の回転切断型複合鋸刃の設計方案を快速、容易に実現することができる。
【0027】
以下、図4を参照しながら本発明の第二実施例を説明する。本実施例の回転切断型複合鋸刃の構造と第一実施例の構造が相違する点は、軸受の内輪と支持部を一体にされ、軸受の外輪とフランジが一体にされる回転切断型複合鋸刃に専用する軸受を設けて、止動環状部を削除することにある。外側鋸刃と内側鋸刃との間の隙間は、軸受の内輪と軸受の外輪に形成された位置決め用階段の垂直距離により決められる。
【0028】
具体的には、回転切断型鋸刃は、外側鋸刃11と、内側鋸刃21と、軸受5と、連結部4で構成される。外側鋸刃11と内側鋸刃21の回転軸が同軸に配置され、かつ両者が対向及び平行するように配置される。外側鋸刃11と内側鋸刃21の中心位置には、第一取付け孔110と第二取付け孔210がそれぞれ設けられている。外側鋸刃11と内側鋸刃21の切断方向が相反するように設けられる。外側鋸刃11の第一取付け孔110は、軸受の内輪51の内輪階段面511に移動不可能に固定連結される。外側鋸刃11の第一取付け孔110と軸受の内輪51との間の連結は、締りばめ、溶接、リベット連結又はネジ連結などにより実現することができる。内側鋸刃21の第二取付け孔210は、軸受の外輪52の外輪階段面521に移動不可能に取り付けられ、かつ連結部4により固定連結される。連結部4として、皿頭リベット又は皿頭ボルトを採用することができる。本実施例の連結部4として皿頭リベットを採用して、内側鋸刃21と軸受の外輪52とを固定連結する。軸受の外輪52のフランジ面には、個数が少なくとも2つであり、軸受の軸線の周辺に均等に配置され、かつ軸線に沿う断面が階段形である階段形孔が形成されている。階段形孔において、内側鋸刃21に接近する一端が直径が小さい端であり、内側鋸刃21から離れる一端が直径が大きい端である。内側鋸刃21上には、直径がリベットの直径に適用するリベット用ザグリ穴が形成され、かつザグリ穴の数量及び位置と階段形孔の数量及び位置とが一致する。内側鋸刃21のリベット用ザグリ穴と階段形孔の小直径の一端とに挿入される皿頭リベットにより、内側鋸刃21と軸受の外輪52とを連結する。リベットの頭部は、階段形孔の大直径の一端に収納される。階段形孔の大直径の一端の内径は、リベットの頭部を収納させることができるサイズに形成され、階段形孔の深度は、駆動連結部6を収納させることができるサイズに形成されている。
【0029】
外側鋸刃11と内側鋸刃21が安定に回転することを確保するため、外側鋸刃11と内側鋸刃21との間の隙間を精密に制御する。すなわち、外側鋸刃11と内側鋸刃21との間には隙間が予め設けられ、かつ隙間は、軸受の内輪51の内輪階段面511の軸方向位置決め面から軸受の外輪52の外輪階段面521の軸方向位置決め面までの距離により決められる。軸受の内輪51の内輪階段面511の軸方向位置決め面から軸受の外輪52の外輪階段面521の軸方向位置決め面までの距離は、0〜0.5mmである。隙間のサイズは、鋸刃の具体的な直径により適当に制御することができる。
【0030】
上述した構造により、切断回転方向が反対する外側鋸刃11と内側鋸刃21を軸受5で安定に連結させ、かつ一体の回転切断複合鋸刃を構成することができる。外側鋸刃11は、軸受の内輪51と共に自由に回転し、内側鋸刃21は、軸受の外輪52と共に自由に回転する。
【0031】
外側鋸刃駆動軸が出力したトルクを外側鋸刃11に有効に伝達し、外側鋸刃11が軸受の内輪51と共に回転することを確保するため、軸受の内輪51の内周面に駆動用キー溝を設ける。外側鋸刃11及び外側鋸刃に固定連結された軸受の内輪51と、外側鋸刃駆動軸とは、駆動用キーにより連結される。連結用ボルトを外側鋸刃駆動軸の出力端に設けられたネジ穴に係合させることにより、外側鋸刃モジュール1を外側鋸刃駆動軸に固定連結させる。外側鋸刃11は、外側鋸刃駆動軸の駆動により回転する。
【0032】
内側鋸刃駆動軸が出力したトルクを内側鋸刃21に有効に伝達し、内側鋸刃21が軸受の外輪52と共に回転することを確保するため、外側鋸刃11の反対側にある内側鋸刃21の側面、又は内側鋸刃と連結される軸受の外輪52の一側のフランジ面に駆動連結部6を設ける。内側鋸刃駆動軸の出力端のフランジ面には、該駆動連結部6と係合する駆動連結部を設ける。係合される駆動連結部に軸方向及び径方向の移動を制限する構造が設けられていないので、制限が過度になることを避け、トルクのみを伝達することができる。駆動連結部6は、駆動連結用突出部、駆動連結用凹部又は駆動連結用孔部であることができる。
【0033】
本発明の駆動連結部6の好適な実施形態は、軸受の外輪52のフランジに少なくとも2つの階段形貫通孔を設けることである。階段形孔の数量及び位置と内側鋸刃21に設けられた連結貫通孔の数量及び位置とが一致し、階段形孔の小直径の一端と内側鋸刃21とに設けられた連結貫通孔の内径のサイズが一致する。階段形孔の大直径の一端の内径は、リベットの頭部を収納させ、かつ鋸刃の切断トルクに耐えることができるサイズに設けられる。本実施例に係る連結部4の好適な実施形態として、皿頭リベットを採用する。皿頭リベットは、内側鋸刃21に設けられた連結用ザグリ穴と軸受の外輪52のフランジに設けられた階段形孔の小直径の一端とに挿入され、かつリベット連結により内側鋸刃21と軸受の外輪52とを一体に連結させる。リベットを設けた後の階段形孔の大直径の一端には、駆動連結部6を収納させることができる深度が余っている。内側鋸刃駆動軸の出力端のフランジには、階段形孔のように配置される駆動用キーが設けられ、駆動用キーと駆動連結部6は、すきまばめ又は中間ばめにより結合される。
【0034】
内側鋸刃駆動軸の出力端のフランジに設けられた駆動用キーを、リベットを設けた後に階段形孔の大直径の一端設けられる駆動連結部6に係合させる。すると、外側鋸刃11及び外側鋸刃に固定連結された軸受の外輪52と内側鋸刃駆動軸とが、駆動用キーにより連動するように連結される。連結用ボルトを外側鋸刃駆動軸の出力端に設けられたネジ穴に係合させることにより、外側鋸刃11を外側鋸刃駆動軸に固定連結させる。外側鋸刃11は、外側鋸刃駆動軸の駆動により回転する。外側鋸刃駆動軸と同軸に設けられる内側鋸刃駆動軸と駆動連結部との間では、軸方向移動非制限噛合駆動連結方法を採用する。外側鋸刃駆動軸と内側鋸刃駆動軸が反対方向に回転するとき、外側鋸刃11と内側鋸刃21が回転切断運動をするように両者をそれぞれ駆動する。軸受5による位置決め精度が高いので、外側鋸刃11と内側鋸刃21が軸受5と共に自由に回転することができる。
【0035】
本発明の第二実施例に係る回転切断複合鋸刃が上述した軸受を採用したので、構造が簡単であり、位置決め精度が向上し、かつ大量に生産することができる。
【0036】
以上、本発明の実施例を詳述してきたが、実施例はこの発明の例示にしか過ぎないものであるため、この発明は実施例の構成にのみ限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、当然この発明に含まれる。
【符号の説明】
【0037】
1 外側鋸刃モジュール
11 外側鋸刃
110 第一取付け孔
111 外側鋸刃本体
112 溶接歯形刃
12 支持部
121 円柱部
122 軸方向位置決め面
2 内側鋸刃モジュール
21 内側鋸刃
210 第二取付け孔
211 内側鋸刃本体
22 フランジ
221 装着孔
222 軸方向位置決め面
223 フランジ面
3 止動環状部
4 連結部
5 軸受
51 軸受の内輪
511 内輪階段面
52 軸受の外輪
521 外輪階段面
6 駆動連結部
A1 接触面
A2 切断面
B1 接触面
B2 切断面
図1
図2
図3
図4