(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6045609
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】排気ガス分配器
(51)【国際特許分類】
F01N 13/08 20100101AFI20161206BHJP
F02B 37/02 20060101ALI20161206BHJP
F01N 13/10 20100101ALI20161206BHJP
【FI】
F01N13/08 B
F02B37/02 F
F01N13/10
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-558026(P2014-558026)
(86)(22)【出願日】2013年1月12日
(65)【公表番号】特表2015-508142(P2015-508142A)
(43)【公表日】2015年3月16日
(86)【国際出願番号】EP2013000076
(87)【国際公開番号】WO2013124023
(87)【国際公開日】20130829
【審査請求日】2014年8月25日
(31)【優先権主張番号】102012004009.1
(32)【優先日】2012年2月25日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Daimler AG
(74)【代理人】
【識別番号】100101856
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 日出夫
(72)【発明者】
【氏名】ラウフェル,トーマス
【審査官】
大城 恵理
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第06422217(US,B1)
【文献】
特表2009−541631(JP,A)
【文献】
特表2009−535547(JP,A)
【文献】
特開2011−089522(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 13/08
F01N 13/10
F02B 37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の内燃機関の排気系のための排気ガス分配器であって、
−前記内燃機関の少なくとも1つのシリンダに割り当てられた第1の流入口(7)を、ターボチャージャーのタービンに割り当てられた第1の流出口(8)と流体接続する第1の排気路(4)と、前記内燃機関の少なくとも1つのシリンダに割り当てられた第2の流入口(9)を、前記タービンに割り当てられた第2の流出口(10)と流体接続する第2の排気路(5)と、前記第2の排気路(5)を排気ガス冷却器に割り当てられた第3の流出口(11)と流体接続する第3の排気路(6)と、を有する分配器ハウジング(2)と、
−前記第2の流入口(9)から流入する排気の流れを前記第2の流出口(10)と前記第3の流出口(11)とに分配することを制御するための、その端位置(17’、17”)でストッパ輪郭(18、19)と共働する、調節可能な制御要素(17)と、を備え、
−前記制御要素(17)が、前記分配器ハウジング(2)とは別個に製造されて前記分配器ハウジング(2)に組み込まれている制御ハウジング(20)に収納されている排気ガス分配器において、
前記ストッパ輪郭(18、19)が前記制御ハウジング(20)に形成されており、前記制御要素(17)がフラップであり、
前記制御要素(17)が、前記制御ハウジング(20)において排気の流れる方向に対して横方向へ方向づけられた旋回軸(21)の周りを旋回調節可能に配置されており、前記制御ハウジング(20)が、前記旋回軸(21)と平行に前記分配器ハウジング(2)に組み込まれている
ことを特徴とする、排気ガス分配器。
【請求項2】
前記分配器ハウジング(2)が、前記分配器ハウジング(2)の外側に配置された受容口(23)を備える受容部(22)を有し、前記受容口(23)を通じて前記制御ハウジング(20)が前記受容部(22)に組み込まれていることを特徴とする、請求項1に記載の排気ガス分配器。
【請求項3】
前記制御ハウジング(20)のフランジ(24)は、前記受容口(23)を密封し、前記分配器ハウジング(2)に固定されていることを特徴とする、請求項2に記載の排気ガス分配器。
【請求項4】
前記受容口(23)が、前記分配器ハウジング(2)の前記流入口(7、9)と同じ側に配置されていることを特徴とする、請求項2又は請求項3に記載の排気ガス分配器。
【請求項5】
−前記制御ハウジング(20)が一体構造の鋳造物である、及び/又は
−前記分配器ハウジング(2)が一体構造の鋳造物であることを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の排気ガス分配器。
【請求項6】
前記制御要素(17)がバタフライフラップであることを特徴とする、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の排気ガス分配器。
【請求項7】
前記第1の流入口(7)及び前記第2の流入口(9)が、内燃機関のシリンダヘッドに直接配置されていることを特徴とする、請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の排気ガス分配器。
【請求項8】
前記流入口(7、9)の夫々がシリンダに割り当てられていることを特徴とする、請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の排気ガス分配器。
【請求項9】
前記第1の流出口(8)がターボチャージャーの複流タービンの第1の入口に割り当てられ、また、前記第2の流出口(10)が前記複流タービンの第2の入口に割り当てられていることを特徴とする、請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の排気ガス分配器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段の特徴を有する、特に自動車の内燃機関の排気系のための排気ガス分配器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1より既知である排気ガス分配器は、第1の排気路と、第2の排気路と、第3の排気路とを画成する分配器ハウジングを有する。第1の排気路は、内燃機関の少なくとも1つのシリンダに割り当てられた第1の流入口を、ターボチャージャーのタービンに割り当てられた第1の流出口と流体接続する。第2の排気路は、内燃機関の少なくとも1つのシリンダに割り当てられた第2の流入口を、タービンに割り当てられた第2の流出口と流体接続する。第3の排気路は、第2の排気路を、排気ガス冷却器に割り当てられた第3の流出口と流体接続する。既知の排気ガス分配器は、第2の流入口から流入する排気の流れを第2の流出口と第3の流出口とに分割するのを制御するため、調節可能な制御要素を更に備える。このとき、制御要素はその端位置でストッパ輪郭と共働し、制御ハウジングに収納されており、この制御ハウジングは、分配器ハウジングとは別に製造されて分配器ハウジングに組み込まれている。既知の排気ガス分配器では、制御要素はリフト調節可能な弁要素として形作られ、この弁要素は、その端位置で上述のストッパ輪郭を成す弁座と共働する。このとき、一方の弁座は制御ハウジングに形成され、他方の弁座は分配器ハウジングに形成される。分配器ハウジングに形成された弁座と共働可能にするため、弁部材は制御ハウジングから軸方向に延びていなければならない。
【0003】
この種の排気ガス分配器の製造は比較的複雑であるが、それというのも製造上の公差を比較的小さく保たなければならないためであり、そうすることによって弁部材を端位置の間で適切に調節でき、分配器ハウジングに形成された弁座と適切に共働させることができる。
【0004】
更なる排気ガス分配器が、特許文献2より既知である。この排気ガス分配器も、内燃機関の排気ガスを複流式にターボチャージャーに供給するのに有用であり、このとき、排気ガス再循環は2つの流れのうちの1つのみから分岐する一方、もう1つの流れは妨げられることなくターボチャージャーのタービンに達する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6,422,217B1号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第10 2008 064 264A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、冒頭部分で述べた様式の排気ガス分配器のために、製造が簡素化され、好ましくは安価である点で特に優れている改良された実施形態を提供するという課題に係る。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、本発明の独立請求項の主題によって解決される。有利な実施形態は、従属請求項の主題である。
【0008】
本発明は、制御要素がその端位置で共働するすべてのストッパ輪郭を、制御ハウジングに直接形成するという一般的な考え方に基づいている。その結果、分配器ハウジングにストッパ輪郭を形成する必要はなくなる。したがって、分配器ハウジングを制御要素とは全く別に製造することができる。すべてのストッパ輪郭を制御ハウジングに統合することによって、制御要素と関連している制御ハウジングのみを相応の公差を考慮して製造しなければならない。しかしながら、このことは、制御ハウジングの大きさが分配器ハウジングよりも明らかに小さいため、比較的容易に実現可能である。更に、このことは、制御ハウジングを製造するにあたって、製造公差をより小さくすることについて、ストッパ輪郭を1つ備えなければならないか、或いは2つ備えなければならないかで更なるコストがかからないことを意味する。提案された製造方法によって、制御要素を制御ハウジングとともに完全に予め組み立て可能なユニットとして仕上げることが可能となり、このユニットもまた、制御ハウジングにおいて制御要素がその端位置の間で調節可能であるため、完全に機能し得る。特に、このようにして形成された組立てユニットは、分配器ハウジングの外側でも、その適切な機能性を検査することができる。
【0009】
有利な実施形態によれば、制御要素及び制御ハウジングは、制御要素がどのような位置を取ろうとも制御ハウジング内に留まるよう互いに調節され得る。換言すれば、制御要素が機能するためには、制御要素と分配器ハウジングとが相互に作用する必要はなく、このことによって、制御ハウジング及び分配器ハウジングを独立して製造することが簡素化される。
【0010】
有利な実施形態では、制御要素は、制御ハウジング内の排気の流れる方向に対して横方向へ方向付けられた旋回軸の周りを旋回調節可能に配置されていてよく、このとき制御ハウジングは、この旋回軸と平行に分配器ハウジングに組み込まれている。この製造形式によって、組立てユニットを特に簡単に実現することができ、このユニットでは、旋回調節可能な制御要素が制御ハウジング内にとどまり、またすべてのストッパ輪郭を制御ハウジングに直接形成することができる。
【0011】
他の有利な実施形態によると、分配器ハウジングは、分配器ハウジングの外側に配置された受容口を備える受容部を有してもよく、この受容口を通じて制御ハウジングが受容部に組み込まれている。この方法により、分配器ハウジングを制御ハウジングの組み込みのために特に簡単に準備することが可能である。更にここで注目すべき点は、実際には分配器ハウジング側に制御ハウジングの格納のみを用意する必要があるということである。制御要素を調節可能にするための更なる措置、例えば駆動部との連結は、分配器ハウジング側では省略可能であり、これにより分配器ハウジングの製造は簡素化される。
【0012】
有利な発展形態によれば、制御ハウジングのフランジは分配器ハウジングの受容口を密封することができ、また分配器ハウジングに固定されうる。この種のフランジは、通常、放射状方向に延び円周方向で閉じるように囲む鍔部からなり、この鍔部は特に分配器ハウジングにねじで固定することができる。この種のフランジは、特に、制御ハウジングと受容口の内壁との間の径方向の隙間を覆い、外側に向かってシールする。これによって、排気ガス分配器の製造は簡素化される。
【0013】
他の有利な実施形態では、受容口は、分配器ハウジングの流入口と同じ側に配置され得る。これによって、分配器ハウジング内における制御ハウジングの格納は、外側方向に設置されないため、排気ガス分配器は、全体として、制御要素が分配器ハウジング内に直接配置されている若しくは搭載されている一体型ほどの取り付けスペースを必要としない。
【0014】
他の有利な実施形態によると、制御ハウジングは一体構造の鋳造物であり得る。追加的に又はこれに代えて、分配器ハウジングが一体構造の鋳造物として提供され得る。鋳造物であれば、比較的高い精度をもって高い生産性で鋳造することができ、この場合の製造コストは比較的低い。
【0015】
他の有利な実施形態では、制御要素はフラップ、特にバタフライフラップであってもよい。この種のフラップ要素の性能は、実用において幾度も実証されており、比較的簡単かつ安価に製造可能である。
【0016】
他の有利な実施形態では、排気ガス分配器の設置状態において、第1の流入口及び第2の流入口が内燃機関のシリンダヘッドに直接取り付けられていてもよい。このために、例えば、分配器ハウジングは、第1の流入口を囲む第1の入口フランジと、第2の流入口を囲む第2の入口フランジとを有していてもよく、ここでは両方の入口フランジは内燃機関のシリンダヘッドにフランジで固定されている。これによって、排気ガス分配器は特に排気マニホールド、若しくはこのような排気マニホールドの中心的な構成部品を成す。「排気マニホールド」は、排気装置の入口側を画成するものであり、そこで個々のシリンダに配置されている流出口で流出するシリンダの排気ガスを受容するため、シリンダヘッドと直接接続している。本明細書で提案する排気ガス分配器は、このような排気マニホールド、若しくは排気マニホールドの中心的な構成部品を成しうるものであり、このとき、ターボチャージャーのタービンは排気ガス分配器に直接、フランジで固定され得る。
【0017】
他の有利な実施形態によれば、排気ガス分配器の各々の流入口は、内燃機関のシリンダに精確に割り当てられ得る。2つ以上のシリンダを備える内燃機関用の排気ガス分配器が提供される場合、排気ガス分配器若しくはその分配器ハウジングは、少なくとも1つの接続口を有し得、その接続口を介して集合管を分配器ハウジングに接合可能であり、またこの集合管は、更なる1つのシリンダに割り当てられている少なくとも1つの更なる流入口と流体接続されている。2つのこの種の集合管が分配器ハウジングに接合可能であるよう、2つのこの種の接続口が分配器ハウジングに形成されていることが好ましい。これら全てを総じることにより、本明細書で提案する排気ガス分配器を中心に有し、排気ガス分配器の側面に接合されている2つのこの種の集合管を備える排気マニホールドが得られる。
【0018】
他の有利な実施形態によれば、分配器ハウジングの第1の流出口は、ターボチャージャーの複流タービンの第1の入口に割り当てられてもよく、その一方、分配器ハウジングの第2の流出口は、複流タービンの第2の入口に割り当てられている。このような製造方式により、タービンの第1の流れには、第1の排気路を介して恒常的に排気ガスが供給され、その一方、タービンの第2の流れには、所望の排気ガス再循環に応じて変動する排気の流れが加わる。この種の複流タービンは、「ツイン・スクロール・タービン」とも呼ばれる。
【0019】
本発明の更なる重要な特徴及び利点は、従属請求項、図面及び図面を基にした関連する図面の説明から明らかになる。
【0020】
前述の特徴及び以下でこれから説明すべき特徴は、本発明から逸脱しない範囲で、それぞれ記載された組み合わせのみでなく、他の組み合わせ又は単独でも使用可能であると理解される。
【0021】
本発明の好ましい実施形態を図面に示し、以下の説明でより詳細に説明するが、その際、同じ又は類似の、或いは機能的に同じ構成部品に同じ符号を適用する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】正面から見た排気ガス分配器の断面図である。
【
図2】背面から見た排気ガス分配器の等角図である。
【
図3】
図1の断面図に対して垂直な排気ガス分配器の断面図である。
【
図4】
図1及び
図3の断面図に対して垂直な排気ガス分配器の更なる断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1〜5によれば、排気ガス分配器1は、分配器ハウジング2及び制御装置3を備える。排気ガス分配器1は、本明細書では図示していない排気装置用に、同様に本明細書では図示していない内燃機関で運転中に生じる排気ガスを排出するように提供される。内燃機関及びその排気系は、有利には自動車に配置されている。しかしながら、定置使用することも考えられる。有利には排気ガス分配器1は排気マニホールドの中心的な部品であり、排気ガス分配器1は特に内燃機関のシリンダヘッドと直接接続されている。
【0024】
分配器ハウジング2は、矢印で示す第1の排気路4と、矢印で示す第2の排気路5と、矢印で示す第3の排気路6とを有する。第1の排気路4により、分配器ハウジング2の第1の流入口7は、分配器ハウジング2の第1の流出口8と流体接続される。第2の排気路5により、分配器ハウジング2の第2の流入口9は、分配器ハウジング2の第2の流出口10と流体接続される。第3の排気路6により、第2の排気路5は、
図2〜4に見て取れる、分配器ハウジング2の第3の流出口11と流体接続される。
【0025】
第1の流入口7は、内燃機関のシリンダに精確に割り当てられている。第2の流入口9は、内燃機関の1つの(他の)シリンダに精確に割り当てられている。本明細書で示す好ましい例では、分配器ハウジング2は、第1の流入口7を取り囲む第1の入口フランジ12と、第2の流入口9を取り囲む第2の入口フランジ13とを備える。入口フランジ12、13によって、分配器ハウジング2を内燃機関のシリンダヘッドに直接固定することができる。第1の流出口8及び第2の流出口10は、それぞれ、本明細書では図示していない、ターボチャージャーのタービンに割り当てられている。このタービンは、第1の入口と第2の入口とを有する複流タービンであることが好ましい。その場合、第1の流出口8はタービンの第1の入口に接続されており、その一方で第2の流出口10はタービンの第2の入口に接続されている。この例では、分配器ハウジング2はタービンフランジ14を備え、このタービンフランジによって、分配器ハウジング2を、タービン若しくはターボチャージャーのタービンのハウジングに固定することができる。第3の流出口11を介して、排気ガス再循環冷却器とも呼ばれ得る、本明細書では図示していない排気ガス冷却器と流体接続することができる。
【0026】
本明細書で示す例では、分配器ハウジング2は、第1の接続口15及び第2の接続口16を更に備える。第1の接続口15を介して、第1の、本明細書では図示していない集合管を分配器ハウジング2に接合することができ、この集合管は、内燃機関の更なる1つのシリンダに割り当てられている少なくとも1つの更なる流入口と流体接続されている。この方法により、第1の集合管若しくは第1の接続口15を介して、更なるシリンダを第1の排気路4につなぐことができる。第2の接続口16では、同じく図示していない第2の集合管を分配器ハウジング2に接合することができ、この集合管は、内燃機関の更なる1つのシリンダに割り当てられている少なくとも1つの更なる流入口と流体接続されている。したがって、第2の集合管若しくは第2の接続口16を介して、少なくとも1つの更なるシリンダを第2の排気路5に接合することができる。
【0027】
制御装置3は、調節可能な制御要素17を備え、この制御要素は、第2の流入口9若しくは第2の接続口16から流入する排気の流れを第2の流出口10と第3の流出口11とに分配することを制御するために、2つの端位置の間で調節可能である。
図1及び3〜5においては、制御要素17は、両方の端位置の間にある中間位置では、実線で示されている。
図1では、制御要素17は、第1の端位置では破線で示され、17’と表示されており、この第1の端位置はここから先の記述においても17’と表示される。更に、制御要素17は、
図1においては、第2の端位置でも同様に破線で示され、17”と表示されており、この第2の端位置は、ここから先の記述においても17”と表示され得る。第1の端位置17’では、制御要素17は排気の流れを第2の流出口10にのみ供給する。第2の端位置17”では、制御要素17は排気の流れを第3の流出口11にのみ供給する。両方の端位置17’と17”との間では、制御要素17がいわば任意の中間位置をとることも考えられるが、これは、いかなる任意の排気ガス再循環率をも、すなわち、第2の流出口10と第3の流出口11とに排気の流れをいかなる任意の量にも分配することを設定できるようにするためである。
【0028】
これに相当することは、
図5による実施形態にも同様に当てはまるが、
図5では、制御要素17は、中間位置における実線でのみ示されている。
【0029】
端位置17’及び17”では、制御要素17はストッパ輪郭18、19と共働し、このとき第1のストッパ輪郭18は第1の端位置17’に割り当てられ、その一方で第2のストッパ輪郭19は第2の端位置17”に割り当てられている。
【0030】
制御装置3は制御ハウジング20を更に備え、この制御ハウジング20には制御要素17が調節可能に収納されており、また、この制御ハウジング20は分配器ハウジング2とは別個に製造されている。制御ハウジング20は、分配器ハウジング2に組み込まれている。制御要素17の端位置17’、17”を限定するために用いられる、先に述べたストッパ輪郭18、19は、制御ハウジング20に形成されている。これにより、制御要素17がどのような位置を取ろうとも制御ハウジング20の内部に留まり、決して制御ハウジング20から出ないことが可能である。これによって、分配器ハウジング2とのいかなる不都合な相互作用をも回避しうる。
【0031】
図示された好ましい例では、制御要素17は、旋回軸21の周りを旋回調節可能に制御ハウジング20内に収納されている。旋回軸21は、制御ハウジング20において排気の流れる方向に対して横方向へ延びている。このとき、制御ハウジング20及び分配器ハウジング2は、制御ハウジング20が旋回軸21と平行に分配器ハウジング2に組み込まれ得るよう、互いに調節されている。このため、分配器ハウジング2に有利に受容部22を設けることができ、この受容部の内郭は制御ハウジング20の外郭に対し相補的に形成されている。受容部22は、分配器ハウジング2の外側に、
図2〜4で示される受容口23を有しており、この受容口23を通じて、制御ハウジング20を受容部22の中に、ひいては分配器ハウジング2の中に組み込むことができる。制御ハウジング20は、特に制御ハウジング20に一体的に形成されているフランジ24を備えている。フランジ24は、組み立てた状態で受容口23を密封するような大きさに寸法が定められている。更に、フランジ24を介して、制御ハウジング20を分配器ハウジング2に固定することができる。この例では、複数のねじ継手25が設けられている。
【0032】
受容口23は、本明細書で示す実施形態では、2つの流入口7、9と同じ側で分配器ハウジング2に配置されている。これによって、分配器ハウジング2を特に省スペースに、とりわけ内燃機関のエンジンブロックに直接取り付け可能である。ここで注目すべき点は、このようにすると、取り付け方向において制御装置3が2つの入口フランジ12、13を延出しないということである。
【0033】
制御ハウジング20は有利には一体構造の鋳造物であり、好ましくはねずみ鋳鉄製又は鋳鋼製である。分配器ハウジング2は好ましくは一体構造の鋳造物であり、好ましくはねずみ鋳鉄製である。示された例では、制御要素17はフラップ、特にバタフライフラップである。この種のフラップは、特に慣性モーメントが小さいことが特徴である。
【0034】
この例では、制御要素17は駆動軸26と回転不能に接続されており、駆動軸は旋回軸21に対し同軸上に伸び、旋回軸は制御ハウジング20に回転可能に収納されており、また制御ハウジング20の外側で駆動レバー27と回転不能に接続されており、駆動レバーは、制御要素17を旋回させるための、本明細書では図示していない駆動装置と有利に連結されうる。
【0035】
図1、3及び4に示す実施形態では、制御要素17は、バタフライフラップとも呼ぶことができる対称のフラップとして構成されている一方、
図5では、制御要素17が非対称のフラップとして構成されている実施形態が示されている。この非対称の形状では、旋回軸21は偏心して制御要素17に配置されている。これに対応して、制御要素17は、ここではより大きなフラップ部28を、また、径の反対側ではより小さなフラップ部29を有している。より大きなフラップ部28は、排気の流れを制御するのに有用であり、制御要素17の端位置でストッパ18、19と共働する。これに対して、より短いフラップ要素29は、制御ハウジング20のチャンバ30に配置されており、このチャンバは壁31によって排気路5、6から大幅に切り離されている。これに対応して、制御要素17は、そのより小さなフラップ部29の領域において、流力に全くさらされないか、或いは減少した流力にのみさらされている。この方法によって、少なくとも制御要素17の端位置では、制御要素17をそれぞれのストッパ18、19に押し当てるため、流力を利用することができる。
【0036】
図5に示す実施形態では、制御要素17が例えば割ピン又はリベット32を用いて駆動軸26と回転不能に接続することができることを例として明確に示している。
【0037】
図3によれば、2つの軸受33を用いて、駆動軸26を制御ハウジング20に収納することができる。このとき、2つの軸受33は制御要素17の両側に配置されており、その各々は制御ハウジング20の壁に組み込まれている。この例では、軸受33はラジアル滑り軸受として設計されている。