特許第6045656号(P6045656)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッドの特許一覧
特許6045656被電鋳の計時器用殻状体における電鋳溶接
<>
  • 特許6045656-被電鋳の計時器用殻状体における電鋳溶接 図000002
  • 特許6045656-被電鋳の計時器用殻状体における電鋳溶接 図000003
  • 特許6045656-被電鋳の計時器用殻状体における電鋳溶接 図000004
  • 特許6045656-被電鋳の計時器用殻状体における電鋳溶接 図000005
  • 特許6045656-被電鋳の計時器用殻状体における電鋳溶接 図000006
  • 特許6045656-被電鋳の計時器用殻状体における電鋳溶接 図000007
  • 特許6045656-被電鋳の計時器用殻状体における電鋳溶接 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6045656
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】被電鋳の計時器用殻状体における電鋳溶接
(51)【国際特許分類】
   G04B 37/22 20060101AFI20161206BHJP
【FI】
   G04B37/22 F
【請求項の数】14
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-141087(P2015-141087)
(22)【出願日】2015年7月15日
(65)【公開番号】特開2016-24192(P2016-24192A)
(43)【公開日】2016年2月8日
【審査請求日】2015年7月15日
(31)【優先権主張番号】14177777.1
(32)【優先日】2014年7月21日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506425538
【氏名又は名称】ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】エンツォ・アグストーニ
【審査官】 深田 高義
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−041003(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 37/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被電鋳の計時器用構造部品(1)を製造する方法であって、
機能的な挿入物(3)及び被電鋳の殻状体(2)の両方を形成する、第1の貴金属を含有する同じ第1の合金を選択するステップと、
前記挿入物(3)を作るステップと、
前記構造部品(1)の内側の輪郭に対して相補的な輪郭を有することで前記殻状体(2)のコアとしてはたらく電鋳用基板(4)を第2の犠牲材料で形成するステップと、
前記基板(4)上に作られたハウジング(5)内に前記挿入物(3)を挿入して被装備の犠牲基板(6)を形成するステップと
前記被装備の犠牲基板(6)が被電鋳の素部品(7)を形成するための電鋳コアとして使用されるよう、前記被電鋳の素部品(7)を得るのに必要なレジスト(9)を前記被装備の犠牲基板(6)上に部分的に配置するステップと、
前記レジスト(9)をともなう前記犠牲基板(6)に対して電鋳処理を施すことにより、前記基板(4)上及び前記各挿入物(3)のアクセス可能な表面それぞれの上に対して前記第1の合金を堆積させ、これにより前記殻状体(2)を形成しかつ前記被電鋳の殻状体(2)に前記挿入物(3)を固定し、この結果として被電鋳の素部品(7)を得るステップと、
前記レジスト(9)を除去するステップと、及び
前記基板(4)を破壊するステップと
を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
実質的に一定の厚みの被電鋳の殻状体(2)を有する所与の輪郭を形成した中空状の被電鋳の計時器用構造部品(1)の製造に適用される方法であって、
前記被電鋳の殻状体(2)との電鋳溶接によって前記部品(1)に組み入れられるように意図された少なくとも1つの挿入物(3)が定められ、
第1の金属は、金、銀、白金、ロジウム、オスミウム、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、チタン、ジルコニウム及びタンタルを含む第1のファミリーから選ばれ、
前記第1の金属を少なくとも1つ含む同じ第1の合金が、前記挿入物(3)及び前記被電鋳の殻状体(2)の両方を形成するように選択され、
上記挿入物(3)のそれぞれは、第1の合金で固体となるように作られ、
被電鋳の犠牲基板(4)を作るために、第2の犠牲材料が、銅、スズ、ニッケル、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、鉛、マンガン、クロム、ヒ素及び鉄を含む第2のファミリーの合金から選択されるか、又は導電性微粒子で導電性を与えられ及び/又は導電層で被覆された重合体で作られ、
上記犠牲基板(4)が、上記殻状体(2)のコアとしてはたらくよう前記構造部品(1)の内側の輪郭に対して相補的な輪郭を有し、かつ第2の材料で形成され、
上記挿入物(3)をそれぞれ受けるハウジング(5)が、上記犠牲基板(4)上で作られ、
上記挿入物(3)はそれぞれ、対応する上記犠牲基板(4)上に作られたハウジング(5)内に挿入ないしねじ込まれ、これによって、被装備の上記犠牲基板(6)が成され
被装備の上記犠牲基板(6)が被電鋳の素部品(7)を形成するための電鋳コアとして使用されるよう、上記被電鋳の素部品(7)を得るのに必要な一又は複数のレジスト(9)が、被装備の上記犠牲基板(6)上に部分的に配置され、
前記レジスト(9)をともなう前記犠牲基板(6)に対して電鋳処理が実施されることで、上記犠牲基板(4)上に上記第1の合金が堆積して上記殻状体(2)を形成しかつ
上記の各挿入物(3)のアクセス可能な表面それぞれの上に上記第1の合金を堆積させることによって前記被電鋳の殻状体(2)に各挿入物3を固定し、これによって被電鋳の素部品(7)を得て、
犠牲基板(4)が破壊され、レジスト(9)がすべて除去される
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の材料として、黄銅ないしザマックが選ばれる
ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
実質的に一定の厚みの被電鋳の殻状体(2)を有する所与の輪郭を有する中空状の被電鋳の計時器用構造部品(1)の製造に適用されるものであって、
前記被電鋳の殻状体(2)との電鋳溶接によって前記部品(1)に組み入れられるように意図された少なくとも1つの挿入物(3)が定められ、
第1の金属は、金、銀、白金、ロジウム、オスミウム、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、チタン、ジルコニウム及びタンタルを含む第1のファミリーから選ばれ、
前記第1の金属を少なくとも1つ含む同じ第1の合金が、前記挿入物(3)及び前記被電鋳の殻状体(2)の両方を形成するように選択され、
挿入物(3)のそれぞれは、第1の合金で固体となるように作られ、
導電性微粒子で導電性を与えられ及び/又は導電層で被覆された、少なくとも1つのポリマー基板を有する第2の導電性材料が選択され、
前記第2の金属を少なくとも1つ含有する第2の犠牲材料を選択して犠牲基板(4)を形成し、
犠牲基板(4)が、前記構造部品(1)の内側の輪郭に対して相補的な輪郭を有し、第2の材料で形成され、
前記挿入物(3)をそれぞれ受けるハウジング(5)が、前記犠牲基板(4)上で作られ、
前記挿入物(3)はそれぞれ、その対応する前記犠牲基板(4)上に作られたハウジング(5)内に挿入ないしねじ込まれ、これによって、被装備の犠牲基板(6)を形成し、
被電鋳の素部品(7)を得るのに必要な一又は複数のレジスト(9)が、電鋳コアとして使用されるように意図された被装備の犠牲基板(6)上に配置され、
電鋳処理が実施され、前記被電鋳の殻状体(2)にて必要な材料の断面を備えた被電鋳の素部品(7)を得て、これにおいて、コアとしてはたらく前記犠牲基板(4)上に材料が堆積され、
各挿入物(3)のアクセス可能な表面それぞれの上に材料が堆積され、これによって、前記被電鋳の殻状体(2)に各挿入物(3)を固定し、
犠牲基板(4)が破壊され、レジスト(9)がすべて除去される
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記犠牲基板(4)を破壊し、及び/又は前記レジスト(9)を除去する前に、前記少なくとも1つの挿入物(3)及び前記少なくとも1つの挿入物(3)の前記アクセス可能な表面を被覆する前記被電鋳の殻状体(2)の部分に対して、少なくとも1種類の機械加工が行われる
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
犠牲基板(4)を破壊した後及び/又はレジスト(9)を除去した後に、前記少なくとも1つの挿入物(3)及び前記少なくとも1つの挿入物(3)の前記アクセス可能な表面を被覆する前記被電鋳の殻状体(2)の部分に対して、少なくとも1種類の機械加工が行われる
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の合金として、金又は白金の合金が選択される
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
金を少なくとも75%質量で有する合金が、前記第1の合金として選択される
ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記被電鋳の殻状体(2)は、材料の断面の厚みが0.25〜0.35mmであるように作られる
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記挿入物3の少なくとも1つには、事前に穴(32)が開けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
事前に開けられた前記穴(32)の直径は、電鋳処理時に堆積した第1の合金の厚みの関数として選択され、
これによって、タッピングによって雌ねじを形成することによって、前記被電鋳の素部品(7)における前記挿入物(3)の少なくとも1つが、前記挿入物(3)の仕上げ機械加工と相性が良い直径を得る
ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記電鋳処理を行う前に、事前に開けられた前記穴(32)に、前記レジスト(9)を施す
ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項13】
各挿入物(3)は、その最小寸法が、電鋳処理時に堆積された第1の合金の厚みよりも少なくとも5倍大きくされる
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
被電鋳のケース中間部分(20)を有する計時器(100)であって、
前記ケース中間部分(20)は、機械加工された部分(31)ないし雌ねじ山を有する機械加工済み挿入物(3)の近くにおいて、
周部ガスケット(12)を収容する第1の連続的な閉じた面(11)を少なくとも有し、
この第1の連続的な閉じた面(11)は、ケース中間部分(20)にあって平坦な支持表面をともに形成する2つの隣接する面(13、14)によって限界が定められており、
当該計時器(100)は、2つの隣接する面(13、14)と隣接するように連係する第2の連続面を有する裏蓋(30)を有し、
この第2の連続面は、当該計時器(100)が備える前記周部ガスケット(12)に圧潰力を及ぼすように構成し、
前記裏蓋(30)は、前記挿入物(3)のそれぞれに面する前記ケース中間部分(20)の固定用支持表面(15)上で支えられており、この固定用支持表面(15)に対して前記裏蓋(30)が、前記挿入物(3)に設けられた機械加工された部分(31)によって固定される
ことを特徴とする計時器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被電鋳の計時器用構造部品を製造する方法に関する。
【0002】
本発明は、さらに、被電鋳のケース中間部分を有する計時器であって、それぞれが機械加工された部分ないし雌ねじ山を有する機械加工済み挿入物の近くにおいて、周部ガスケットを収容する第1の連続的な閉じた面を少なくとも有し、この第1の連続的な閉じた面は、ケース中間部分にあって平坦な支持表面をともに形成する2つの隣接する面によって限界が定められている。
【0003】
本発明は、本発明は、計時器用構造部品の分野に関し、特に、貴金属を含有する合金、特に、金合金で作られた薄い部品に関する。
【背景技術】
【0004】
電鋳法によって計時器用構造部品を作ることによって、高価な材料を少量しか使用せずに、完全な幾何学的構成、良好な表面状態、及び無傷の外観を得ることが可能になった。これは、作られる部分の厚みが小さいからである。外部に露出する部品(ケース、リンク、ベゼルなど)の場合には、得られる部品は中空状の殻状体であり、用途に応じて機械的性質を満たすか検証する必要がある。
【0005】
このような殻状体の抵抗は、それらの幾何学的構成と関連しており、リブないしホーン状の補強メンバーを有する合理的に堅固な殻状体を得るためには、まず、コアとして使用される基板を機械加工することが必要である。このコアは、非常に複雑な形を有し、結果的に高価である。そうでなければ、裏蓋、ホーン、腕輪、ストラップ、又は他の要素のような他の部品へのアセンブリに、強化されていない殻状体が耐えることは難しく、最良の場合でも、殻状体が組み込まれる計時器の密閉に有害な程度まで、変形してしまい、最悪の場合、裂けたり割れてしまう。
【0006】
Maire名義のスイス特許CH692531は、実質的に一定の厚みの薄い金属の壁で作られた腕時計用ケースを開示している。この壁は、ベゼルを形成する部分において、ガスケットによって壁に固定される表蓋によって閉じられる上側開口を囲む円筒状の表面と、及びムーブメントを受けるハウジング上の開放溝とを定める。この溝の内部には、止め輪が取り外し可能なように固定されている。
【0007】
Fabrique d'ebauches de Sonceboz SA名義の欧州特許出願EP0762240A1は、中空ケースとケーシングリングを有するコンテナを開示しており、被電鋳のケース中間部分は、凹面状の内面を形成する薄い貴金属壁を有している。このケーシングリングは、廉価な材料で作られており、このケーシングリングは、取り外し可能なように組み立てられている裏蓋の側から、内面に対して凹部によって分けられているケース中間部分内に挿入され、裏蓋の内面の部分及びケース中間部分の内面の部分によってそれぞれ形成されている上側及び下側の支持表面の間で、圧縮によって保持されている。Fabrique d'ebauches de Sonceboz SA名義の欧州特許出願EP0716360A1は、同様の腕時計用ケースを開示している。これにおいて、上側及び下側の支持表面は、裏蓋と平行であり、ケーシングリングは、機械的手段又は自身の弾性の影響の下で、挿入時又は動作位置にある時において、厚みを変えることができる。
【0008】
Richemont名義の欧州特許出願EP1742120A2は、固定部分と、及びケース中間部分とムーブメントを有する可動部分とを備えたケースを有する腕時計を開示している。これらのケース中間部分とムーブメントはともに、ピボットによってピボット軸に沿った固定部分上に回転可能にマウントされており、2つの正反対方向の可動部分の傾斜運動を行う。これは、可動部分の1つの部分に対して圧力を与えることによって達成される。少なくとも1つの活性化機構が、固定部分と可動部分と連係して、それらの相対的な傾斜を制御メンバーに対する作用に変換する。この制御メンバーは、ムーブメントの外部からアクセス可能であって、少なくとも1つの機能を活性化するように意図されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、これらの課題を克服し、剛性が改善された構造部品を生産することを提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このために、本発明は、請求項1に記載の被電鋳の計時器用構造部品を製造する方法に関する。
【0011】
本発明は、さらに、請求項14に記載の被電鋳のケース中間部分を有する計時器に関する。
【0012】
添付図面を参照しながら下記の詳細な説明を読むことで、本発明の他の特徴及び利点を理解することができるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の方法において実装される犠牲基板の概略断面図を示す。これにおいて、固体の貴金属ないし貴金属合金の挿入物が、この基板におけるハウジングの内部で組み立てられ、この基板は、レジストによって部分的に被覆されている。この挿入物は、この場合、穴を有し、これもレジストによって保護される。このアセンブリは、被装備の犠牲基板を形成し、これは、レジストによって保護され、電鋳のコアとして使用されるように意図されている。
図2】同様の手法で、レジストの除去の後であって犠牲基板の破壊の前における、電鋳処理による堆積のプロセスの後における、挿入物を形成するものと同じ貴金属ないし貴金属合金の結果を示している。この段階において、被電鋳の殻状体がレジストがない領域にある基板を被覆し、また、そのアクセス可能な表面の上の挿入物を被覆する。
図3】同様の手法で、その後で犠牲基板を破壊し、挿入物を被覆する被電鋳の殻状体の部分を通して挿入物の内部を仕上げ機械加工することによって得られた被電鋳の素部品を示している。この仕上げ機械加工は、ここでは雌ねじである。
図4】この領域の詳細を示している。これは、密閉ガスケット受け表面の隣にある。
図5】ケース中間部分である図3の部品を有する計時器を示しており、このケース中間部分上には、挿入物にねじ込まれた少なくとも1つのねじによって裏蓋が固定されており、この裏蓋は、被電鋳の殻状体の表面に支えられ、密閉ガスケットを定位置まで圧縮する。
図6図5の部分的な詳細図である。
図7】内壁のすぐ近くに機能面を有する挿入物を備えた変種を示しており、これは、機械加工によって達成することは不可能であるが、本発明によって達成することは容易である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、部品を生産することを提案するものであり、これにおいて、被電鋳の被構造化計時器の厚みが、数十mmのオーダーまで、非常に小さくなっているにもかかわらず、十分に堅固な強化領域を有し、これは、固定要素、閉じ要素、取り付け要素、装飾要素などの要素を受ける。これらの強化領域は、十分な剛性を有し、固定手段のような手段によって与えられるねじれ力、及び/又は牽引力、及び/又はせん断力を吸収し、これによって、衝撃に対する適切な耐性を与えることを確実にし、当該構造部品の主要部分を形成する被電鋳の殻状体のいずれの変形又は裂けをも防ぎ、そして、適切な耐衝撃性を与えることができる。
【0015】
本発明は、さらに、伝統的な機械加工では達成することが不可能な機能的な幾何学的構成を備えた部品を生産することを提案するものであり、これは、特に、伝統的な工具のアクセスが制限されていたりアクセスできなかったりするような領域においてである。
【0016】
このために、本発明は、被電鋳の計時器用構造部品1を製造する方法に関する。
【0017】
本発明によると、以下の動作が行われる。
−第1の貴金属を含有する同じ第1の合金が、固体の機能的な挿入物3及び被電鋳の殻状体2の両方を形成するように選択される。
−周知な伝統的な方式によって、挿入物3が作られる。
−第2の犠牲材料から、部品1の内側の輪郭に対して相補的な輪郭を有する電鋳用基板4が作られる。
−各挿入物3を受けるハウジング5を基板4に設ける。
−挿入物が基板4に設けられた対応するハウジング5内に挿入され、被装備の犠牲基板6を形成する。
−この被装備の犠牲基板6には、電鋳処理によって、必要なレジスト9が与えられる。これによって、基板4上及び各挿入物3のアクセス可能な表面それぞれの上に対する材料の堆積によって被電鋳の素部品7を得る。基板4は、コアとしてはたらき、被電鋳の殻状体2を形成する。また、挿入物3が被電鋳の殻状体2に固定される。
−電鋳が行われる。
−レジスト9が除去される。
−基板4が破壊される。
【0018】
好ましくは、第1の貴金属を含有する第1の合金は、完成部品に刻印される純度以上である純度を有するものが選択される。
【0019】
より詳細には、この方法の好ましい実装においては、下記工程が行われる。
【0020】
−当該方法は、所与の輪郭を有し実質的に一定の厚みの被電鋳の殻状体2を有する中空状の被電鋳の計時器用構造部品の製造に適用される。
【0021】
−被電鋳の殻状体2との電鋳溶接によって部品1に組み入れられるように意図された少なくとも1つの挿入物3が定められる。
【0022】
−第1の金属は、金、銀、白金、ロジウム、オスミウム、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、チタン、ジルコニウム及びタンタルを含む第1のいわゆる貴金属ファミリーから選ばれる。
【0023】
−このような第1の金属を少なくとも1つ含む同じ第1の合金が、挿入物3及び被電鋳の殻状体2の両方をそれぞれ形成するように選択される。
【0024】
−挿入物3のそれぞれは、第1の合金で固体となるように作られる。
【0025】
−被電鋳の犠牲基板4を作るために、第2の犠牲材料が、銅、スズ、ニッケル、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、鉛、マンガン、クロム、ヒ素及び鉄を含む第2のファミリーの合金から選択されるか、又は導電性微粒子で導電性を与えられ及び/又は導電層で被覆された重合体で作られる。
【0026】
−構造部品1の内側の輪郭に対して相補的な輪郭を有する犠牲基板4が、第2の材料において形成される。
【0027】
−挿入物3をそれぞれ受けるハウジング5が、犠牲基板4上で作られる。
【0028】
−挿入物3はそれぞれ、その対応するハウジング5内に挿入ないしねじ込まれ、これによって、被装備の犠牲基板6を形成する。
【0029】
−被電鋳の素部品7を得るのに必要な一又は複数のレジスト9が、電鋳コアとして使用されるように意図された被装備の犠牲基板6上に配置される。
【0030】
−電鋳処理が実施され、被電鋳の殻状体2にて必要な材料の断面を備えた被電鋳の素部品7を得る。これにおいて、コアとしてはたらく犠牲基板4上に材料が堆積され、各挿入物3のアクセス可能な表面それぞれの上に材料が堆積される。これによって、被電鋳の殻状体2に各挿入物3を固定している。
【0031】
−犠牲基板4が破壊され、レジスト9がすべて除去される。
【0032】
特定の方法で、犠牲基板4を破壊し、及び/又はレジスト9を除去する前に、このような挿入物3の少なくとも1つに対して、及び挿入物をローカルに被覆する被電鋳の殻状体2の部分に対して、少なくとも1種類の機械加工が行われる。
【0033】
変種の1つにおいて、犠牲基板4を破壊してレジスト9を除去した後、このような挿入物3の少なくとも1つに対して、及び挿入物をローカルに被覆する被電鋳の殻状体2の部分に対して、少なくとも1種類の機械加工が行われる。
【0034】
本発明の特定の変種によると、第2の犠牲材料として、黄銅ないしザマック(Zamak)が選ばれる。
【0035】
別の変種の1つにおいて、犠牲基板は、導電性微粒子で導電性を与えられた高分子材料、又は周知な「無電解(エレクトロレス)」の方法によって導電層で被覆された高分子材料で作られている。
【0036】
本発明の特定の変種の1つにおいて、この電鋳処理は、材料が必要な断面を有するようにして、犠牲基板の外側及び内側の両方への材料の成長によって、被電鋳の素部品を得るように行われる。
【0037】
本発明の別の変種の1つにおいて、犠牲基板は、必ずしも合金ではなく、導電性であるか又は導電層で被覆された材料を少なくとも1つ有する。具体的には、この犠牲基板は、導電性微粒子で導電性を与えられ、及び/又は周知な「無電解」方法などによって導電層で被覆された、高分子材料を少なくとも1つ、又は同様な方法で導電性を与えられたプラスチックを有することができる。この方法の他のステップは、犠牲合金を用いる上記の方法と同様であるが犠牲基板除去方法のみが異なるような方法で行うことができる。
【0038】
本発明の特定の変種の1つによると、第1の合金として、金又は白金の合金が選択される。
【0039】
より詳細には、金を少なくとも75%質量で有する合金が、第1の合金として有利に選択される。
【0040】
当然、本発明は、任意の純度の貴金属合金に適用可能である。例えばこのような合金が上記の18Kの金合金よりも一般的である国では、14Kの金合金が使用することができる。
【0041】
本発明の特定の変種の1つによると、被電鋳の殻状体4は、材料の断面の厚みが0.25〜0.35mmであるように作られる。当然、装飾物のような一部の用途では、厚みは0.25mmの値未満であることができ、重ね合わされることが好ましい。この値は、良好な機械耐性を要求する部品のために好ましい。
【0042】
本発明の特定の変種の1つによると、このような挿入物3の少なくとも1つには、事前に穴32が開けられる。
【0043】
本発明の特定の変種の1つによると、この事前に開けられた穴32の直径は、電鋳処理時に堆積した第1の合金の厚みの関数として選択される、これによって、タッピング又はチップ除去によって雌ねじを形成することによって、被電鋳の素部品7における挿入物3が、挿入物3の仕上げ機械加工と相性が良い直径を得ることができる。
【0044】
本発明の特定の変種の1つによると、事前に開けられた穴32には、電鋳処理の前に、レジスト9が施される。これには、事前に雄ねじを形成したり、又は同様な機械加工をすることができる。これによって、取り出しを容易にすることができる。
【0045】
本発明の特定の変種の1つによると、各挿入物3は、その最小寸法が、電鋳処理時に堆積された第1の合金の厚みよりも少なくとも5倍大きくされる。
【0046】
本発明は、さらに、上記の方法の変種のいずれかに従って作られた被電鋳の計時器用構造部品1に関する。
【0047】
本発明によると、この構造部品1は、挿入物3の近くにおいて、周部ガスケット12を収容する第1の連続的な閉じた面11を少なくとも有し、この第1の連続的な閉じた面11は、平面の支持表面をともに形成する部品1の2つの隣接する面13、14によって限界が定められている。
【0048】
具体的には、この構造部品1は、ケース中間部分20を形成する。
【0049】
図7は、挿入物3が内壁21のすぐ近くに機能面33を有するような変種を示している。これは、機械加工によって達成することは不可能であるが、本発明で達成することは容易である。
【0050】
本発明は、さらに、このようなケース中間部分20を1つ有する計時器100に関する。これは、特に、第2の連続面31を有する裏蓋30に関連している。この第2の連続面31は、2つの隣接する面13、14と隣接するように連係し、計時器100が備える周部ガスケット12に対して圧潰力を及ぼすように構成している。裏蓋30は、各挿入物3に面している部品1のベアリング及び/又は固定面15上に支えられており、この挿入物3に、ねじのような固定手段40によって裏蓋30が固定されている。挿入物3は、裏蓋30を通り抜け、それぞれがこのような挿入物3が備える機械加工された部分31と連係している。特に、雌ねじによってである。
【0051】
この計時器100は、特に、腕時計であるとよい。
【符号の説明】
【0052】
1 構造部品
2 被電鋳の殻状体
3 挿入物
4 基板
5 ハウジング
6 被装備の犠牲基板
7 被電鋳の素部品
9 レジスト
11 第1の連続的な閉じた面
12 周部ガスケット
15 固定用支持表面
20 ケース中間部分
30 裏蓋
32 穴
100 計時器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7