(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対し、前記フェノール系酸化防止剤を0.05〜3重量部含有する請求項1〜3のいずれかに記載のセパレータ付粘着剤層付偏光フィルムの製造方法。
前記(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対し、前記過酸化物を0.05〜2重量部含有する請求項1から4のいずれかに記載のセパレータ付粘着剤層付偏光フィルムの製造方法。
前記(メタ)アクリル系ポリマーが、モノマー単位として、アルキル(メタ)アクリレートおよびヒドロキシル基含有モノマーを含有するものである請求項1〜5のいずれかに記載のセパレータ付粘着剤層付偏光フィルムの製造方法。
前記(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対し、さらに、シランカップリング剤を0.001〜5重量部含有する請求項1〜7のいずれかに記載のセパレータ付粘着剤層付偏光フィルムの製造方法。
前記第2工程が、前記粘着剤組成物を温度70〜170℃で、30〜240秒間加熱し、架橋させる工程である請求項1〜8のいずれかに記載のセパレータ付粘着剤層付偏光フィルムの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明に係るセパレータ付粘着剤層の製造方法は、剥離処理されたセパレータの剥離処理面に、(メタ)アクリル系ポリマー、過酸化物およびフェノール系酸化防止剤を含有する粘着剤組成物の層を形成する第1工程と、前記第1工程の後に前記粘着剤組成物を加熱し、架橋させて、粘着剤層を形成する第2工程を含む。
【0032】
剥離処理されたセパレータとしては、シリコーン剥離ライナーが好ましく用いられる。このようなライナー上に本発明の粘着剤組成物を塗布、加熱(乾燥)しつつ、架橋させて粘着剤層を形成する第2工程において、粘着剤層の粘着特性を高めるために、加熱温度は例えば70〜170℃が好ましく、125〜165℃がより好ましく、140〜160℃が更に好ましい。また、加熱時間については、30〜240秒が好ましく、60〜180秒がより好ましい。
【0033】
「粘着ハンドブック(第2版)、P174、粘着テープ工業会編、1995.10.12」に示されるように、シリコーン剥離ライナーには、縮合反応型シリコーン剥離剤(たとえば、ベースポリマーとして両末端に水酸基を有するポリジメチルシロキサン、架橋剤としてポリメチルハイドロジエンシロキサン、触媒としてスズ系を用いたものが一般的である)を用いたものと、付加反応型シリコーン剥離剤(たとえば、ベースポリマーとして両末端に水酸基を有するポリジメチルシロキサンのメチル基の一部がビニル基で置換されたもの、架橋剤としてポリメチルハイドロジエンシロキサン、触媒として白金系触媒を用いたものが一般的である)を用いたものがあるが、本発明においては特に限定されるものではなく、いずれの剥離剤を用いた剥離ライナーであってもよい。
【0034】
なお、本発明の粘着剤組成物の層を形成する第1工程において、剥離処理されたセパレータの剥離処理面に粘着剤組成物の層を形成する方法としては、セパレータに粘着剤組成物を直接塗布・加熱乾燥することにより形成しても良く、他の基材上に形成した粘着剤組成物の層をセパレータに転写してもよい。
【0035】
粘着剤層の形成方法としては、各種方法が用いられる。具体的には、例えば、ロールコート、キスロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、ディップロールコート、バーコート、ナイフコート、エアーナイフコート、カーテンコート、リップコート、ダイコーターなどによる押出しコート法などの方法が挙げられる。
【0036】
粘着剤層の厚さは特に制限されず、例えば、3〜35μm程度である。好ましくは、5〜30μm、より好ましくは8〜25μmである。
【0037】
セパレータの構成材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステルフィルムなどのプラスチックフィルム、紙、布、不織布などの多孔質材料、ネット、発泡シート、金属箔、およびこれらのラミネート体などの適宜な薄葉体などを挙げることができるが、表面平滑性に優れる点からプラスチックフィルムが好適に用いられる。
【0038】
そのプラスチックフィルムとしては、前記粘着剤層を保護し得るフィルムであれば特に限定されず、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフイルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルムなどが挙げられる。
【0039】
前記セパレータの厚みは、通常5〜200μm、好ましくは5〜100μm程度である。前記セパレータには、必要に応じて、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系もしくは脂肪酸アミド系の離型剤、シリカ粉などによる離型および防汚処理や、塗布型、練り込み型、蒸着型などの帯電防止処理もすることもできる。特に、前記セパレータの表面にシリコーン処理、長鎖アルキル処理、フッ素処理などの剥離処理を適宜おこなうことにより、前記粘着剤層からの剥離性をより高めることができる。
【0040】
粘着剤層は、粘着剤組成物を原料として得られ、粘着剤組成物は、ベースポリマーとして(メタ)アクリル系ポリマーを含む。(メタ)アクリル系ポリマーは、通常、モノマー単位として、アルキル(メタ)アクリレートを主成分として含有する。なお、(メタ)アクリレートはアクリレートおよび/またはメタクリレートをいい、本発明の(メタ)とは同様の意味である。
【0041】
(メタ)アクリル系ポリマーの主骨格を構成する、アルキル(メタ)アクリレートとしては、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基の炭素数1〜18のものを例示できる。例えば、前記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、アミル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、イソオクチル基、ノニル基、デシル基、イソデシル基、ドデシル基、イソミリスチル基、ラウリル基、トリデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、などを例示できる。これらは単独であるいは組み合わせて使用することができる。これらアルキル基の平均炭素数は3〜9であるのが好ましい。
【0042】
(メタ)アクリル系ポリマーは、モノマー単位として、ヒドロキシル基含有モノマー、具体的には例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリルや(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)−メチルアクリレートなどを含有することが好ましい。(メタ)アクリル系ポリマーにおける前記ヒドロキシル基含有モノマーの割合は、全構成モノマー(100重量%)の重量比率において、0.1〜10重量%が好ましく、さらには0.2〜5重量%が好ましい。
特に架橋剤として、イソシアネート系架橋剤を用いる場合には、イソシアネート基との架橋点を効率よく確保するうえから、これらのなかでもアクリル酸4−ヒドロキシブチルが好適である。
【0043】
また、粘着特性、耐久性、位相差の調整、屈折率の調整などの点から、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートのような芳香族環を含有するアルキル(メタ)アクリレートを用いることができる。芳香族環を含有するアルキル(メタ)アクリレートは、これを重合したポリマーを前記例示の(メタ)アクリル系ポリマーに混合して用いることができるが、透明性の観点から、芳香族環を含有するアルキル(メタ)アクリレートは、前記アルキル(メタ)アクリレートと共重合して用いるのが好ましい。
【0044】
(メタ)アクリル系ポリマーにおける前記芳香族環を含有するアルキル(メタ)アクリレートの割合は、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマー(A)の全構成モノマー(100重量%)の重量比率において、50重量%以下の割合で含有することができる。さらには芳香族環を含有するアルキル(メタ)アクリレートの含有率は1〜35重量%が好ましく、さらには5〜30重量%が好ましく、さらには10〜25重量%が好ましい。
【0045】
前記(メタ)アクリル系ポリマー中には、接着性や耐熱性の改善を目的に、(メタ)アクリロイル基またはビニル基などの不飽和二重結合を有する重合性の官能基を有する、1種類以上の共重合モノマーを共重合により導入することができる。そのような共重合モノマーの具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸などのカルボキシル基含有モノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸などの酸無水物基含有モノマー;アクリル酸のカプロラクトン付加物;スチレンスルホン酸やアリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸などのスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートなどの燐酸基含有モノマーなどが挙げられる。
【0046】
また、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミドやN−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミドなどの(N−置換)アミド系モノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチルなどの(メタ)アクリル酸アルキルアミノアルキル系モノマー;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミドやN−(メタ)アクリロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシオクタメチレンスクシンイミド、N−アクリロイルモルホリンなどのスクシンイミド系モノマー;N−シクロヘキシルマレイミドやN−イソプロピルマレイミド、N−ラウリルマレイミドやN−フェニルマレイミドなどのマレイミド系モノマー;N−メチルイタコンイミド、N−エチルイタコンイミド、N−ブチルイタコンイミド、N−オクチルイタコンイミド、N−2−エチルヘキシルイタコンイミド、N−シクロヘキシルイタコンイミド、N−ラウリルイタコンイミドなどのイタコンイミド系モノマー、なども改質目的のモノマー例として挙げられる。
【0047】
さらに改質モノマーとして、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、N−ビニルピロリドン、メチルビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルピペリドン、ビニルピリミジン、ビニルピペラジン、ビニルピラジン、ビニルピロール、ビニルイミダゾール、ビニルオキサゾール、ビニルモルホリン、N−ビニルカルボン酸アミド類、スチレン、α−メチルスチレン、N−ビニルカプロラクタムなどのビニル系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアノアクリレート系モノマー;(メタ)アクリル酸グリシジルなどのエポキシ基含有アクリル系モノマー;(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコールなどのグリコール系アクリルエステルモノマー;(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、フッ素(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレートや2−メトキシエチルアクリレートなどのアクリル酸エステル系モノマーなども使用することができる。さらには、イソプレン、ブタジエン、イソブチレン、ビニルエーテルなどが挙げられる。
【0048】
さらに、上記以外の共重合可能なモノマーとして、ケイ素原子を含有するシラン系モノマーなどが挙げられる。シラン系モノマーとしては、例えば、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、4−ビニルブチルトリメトキシシラン、4−ビニルブチルトリエトキシシラン、8−ビニルオクチルトリメトキシシラン、8−ビニルオクチルトリエトキシシラン、10−メタクリロイルオキシデシルトリメトキシシラン、10−アクリロイルオキシデシルトリメトキシシラン、10−メタクリロイルオキシデシルトリエトキシシラン、10−アクリロイルオキシデシルトリエトキシシランなどが挙げられる。
【0049】
また、共重合モノマーとしては、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸と多価アルコールとのエステル化物などの(メタ)アクリロイル基、ビニル基などの不飽和二重結合を2個以上有する多官能性モノマーや、ポリエステル、エポキシ、ウレタンなどの骨格にモノマー成分と同様の官能基として(メタ)アクリロイル基、ビニル基などの不飽和二重結合を2個以上付加したポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートなどを用いることもできる。
【0050】
(メタ)アクリル系ポリマーは、全構成モノマーの重量比率において、アルキル(メタ)アクリレートを主成分とし、(メタ)アクリル系ポリマー中の前記共重合モノマーの割合は、特に制限されないが、前記共重合モノマーの割合は、全構成モノマーの重量比率において、0〜20%程度、0.1〜15%程度、さらには0.1〜10%程度であるのが好ましい。
【0051】
これら共重合モノマーの中でも、接着性、耐久性の点から、カルボキシル基含有モノマーが好ましく用いられる。カルボキシル基含有モノマーは、粘着剤組成物が架橋剤を含有する場合に、架橋剤との反応点になる。カルボキシル基含有モノマーは分子間架橋剤との反応性に富むため、得られる粘着剤層の凝集性や耐熱性の向上のために好ましく用いられる。カルボキシル基含有モノマーは耐久性とリワーク性を両立させる点で好ましい。
【0052】
共重合モノマーとして、カルボキシル基含有モノマーを含有する場合、その割合は、0.05〜10重量%が好ましく、0.1〜8重量%がより好ましく、さらには0.2〜6重量%が好ましい。
【0053】
本発明の(メタ)アクリル系ポリマーは、通常、重量平均分子量が50万〜300万の範囲のものが好適に用いられる。耐久性、特に耐熱性を考慮すれば、重量平均分子量は100万〜270万であるものを用いることが好ましい。さらには130万〜250万であることが好ましい。重量平均分子量が50万よりも小さいと、耐熱性の点で好ましくない。また、重量平均分子量が300万よりも大きくなると、塗工するための粘度に調整するために多量の希釈溶剤が必要となり、コストアップとなることから好ましくない。なお、重量平均分子量は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により測定し、ポリスチレン換算により算出された値をいう。
【0054】
このような(メタ)アクリル系ポリマーの製造は、溶液重合、塊状重合、乳化重合、各種ラジカル重合などの公知の製造方法を適宜選択できる。また、得られる(メタ)アクリル系ポリマーは、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体などいずれでもよい。
【0055】
なお、溶液重合においては、重合溶媒として、例えば、酢酸エチル、トルエンなどが用いられる。具体的な溶液重合例としては、反応は窒素などの不活性ガス気流下で、重合開始剤を加え、通常、50〜70℃程度で、5〜30時間程度の反応条件で行われる。
【0056】
ラジカル重合に用いられる重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤などは特に限定されず適宜選択して使用することができる。なお、(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、重合開始剤、連鎖移動剤の使用量、反応条件により制御可能であり、これらの種類に応じて適宜のその使用量が調整される。
【0057】
重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]ハイドレート(和光純薬社製、VA−057)などのアゾ系開始剤、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジラウロイルパーオキシド、ジ−n−オクタノイルパーオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキシド、ジベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、t−ブチルハイドロパーオキシド、過酸化水素などの過酸化物系開始剤、過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウムの組み合わせ、過酸化物とアスコルビン酸ナトリウムの組み合わせなどの過酸化物と還元剤とを組み合わせたレドックス系開始剤などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0058】
前記重合開始剤は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量はモノマー100重量部に対して、0.005〜1重量部程度であることが好ましく、0.02〜0.5重量部程度であることがより好ましい。
【0059】
なお、重合開始剤として、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを用いて、前記重量平均分子量のヒドロキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマー(A)を製造するには、重合開始剤の使用量は、モノマー成分の全量100重量部に対して、0.06〜0.2重量部程度とするのが好ましく、さらには0.08〜0.175重量部程度とするのが好ましい。
【0060】
連鎖移動剤としては、例えば、ラウリルメルカプタン、グリシジルメルカプタン、メルカプト酢酸、2−メルカプトエタノール、チオグリコール酸、チオグルコール酸2−エチルヘキシル、2,3−ジメルカプト−1−プロパノールなどが挙げられる。連鎖移動剤は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量はモノマー成分の全量100重量部に対して、0.1重量部程度以下である。
【0061】
また、乳化重合する場合に用いる乳化剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウムなどのアニオン系乳化剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマーなどのノニオン系乳化剤などが挙げられる。これらの乳化剤は、単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0062】
さらに、反応性乳化剤として、プロペニル基、アリルエーテル基などのラジカル重合性官能基が導入された乳化剤として、具体的には、例えば、アクアロンHS−10、HS−20、KH−10、BC−05、BC−10、BC−20(以上、いずれも第一工業製薬社製)、アデカリアソープSE10N(旭電化工社製)などがある。反応性乳化剤は、重合後にポリマー鎖に取り込まれるため、耐水性がよくなり好ましい。乳化剤の使用量は、モノマー成分の全量100重量部に対して、0.3〜5重量部、重合安定性や機械的安定性から0.5〜1重量部がより好ましい。
【0063】
本発明に係るセパレータ付粘着剤層の製造方法では、粘着剤層を形成する粘着剤組成物中に過酸化物を含有する。過酸化物としては、加熱または光照射によりラジカル活性種を発生して粘着剤組成物のベースポリマーの架橋を進行させるものであれば適宜使用可能であるが、作業性や安定性を勘案して、1分間半減期温度が80℃〜160℃である過酸化物を使用することが好ましく、90℃〜140℃である過酸化物を使用することがより好ましい。
【0064】
用いることができる過酸化物としては、たとえば、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート(1分間半減期温度:90.6℃)、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(1分間半減期温度:92.1℃)、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート(1分間半減期温度:92.4℃)、t−ブチルパーオキシネオデカノエート(1分間半減期温度:103.5℃)、t−ヘキシルパーオキシピバレート(1分間半減期温度:109.1℃)、t−ブチルパーオキシピバレート(1分間半減期温度:110.3℃)、ジラウロイルパーオキシド(1分間半減期温度:116.4℃)、ジ−n−オクタノイルパーオキシド(1分間半減期温度:117.4℃)、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(1分間半減期温度:124.3℃)、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキシド(1分間半減期温度:128.2℃)、ジベンゾイルパーオキシド(1分間半減期温度:130.0℃)、t−ブチルパーオキシイソブチレート(1分間半減期温度:136.1℃)、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン(1分間半減期温度:149.2℃)などが挙げられる。なかでも特に架橋反応効率が優れることから、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(1分間半減期温度:92.1℃)、ジラウロイルパーオキシド(1分間半減期温度:116.4℃)、ジベンゾイルパーオキシド(1分間半減期温度:130.0℃)などが好ましく用いられる。
【0065】
なお、過酸化物の半減期とは、過酸化物の分解速度を表す指標であり、過酸化物の残存量が半分になるまでの時間をいう。任意の時間で半減期を得るための分解温度や、任意の温度での半減期時間に関しては、メーカーカタログなどに記載されており、たとえば、日本油脂株式会社の「有機過酸化物カタログ第9版(2003年5月)」などに記載されている。
【0066】
過酸化物の含有量は、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対し、0.05〜2重量部使用されるのが好ましく、0.1〜1重量部使用されるのがより好ましい。0.05重量部よりも少なくなると、セパレータの剥離力が小さくなりすぎる傾向があり、一方、2重量部よりも多くなると、剥離力が大きくなりすぎる傾向があり、また粘着剤層中に過酸化物が多量に残存してしまうために、経時で粘着特性が変化する可能性がある。
【0067】
なお、反応処理後の残存した過酸化物分解量の測定方法としては、たとえば、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)により測定することができる。
【0068】
より具体的には、たとえば、反応処理後の粘着剤組成物を約0.2gずつ取り出し、酢酸エチル10mlに浸漬し、振とう機で25℃下、120rpmで3時間振とう抽出した後、室温で3日間静置する。次いで、アセトニトリル10ml加えて、25℃下、120rpmで30分振とうし、メンブランフィルター(0.45μm)によりろ過して得られた抽出液約10μlをHPLCに注入して分析し、反応処理後の過酸化物量とすることができる。
【0069】
本発明においては架橋剤として、過酸化物と併用してイソシアネート系架橋剤を使用しても良い。イソシアネート系架橋剤に係る化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、クロルフェニレンジイソシアナート、テトラメチレンジイソシアナート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添されたジフェニルメタンジイソシアネートなどのイソシアネートモノマーおよびこれらイソシアネートモノマーをトリメチロールプロパンなどと付加したイソシアネート化合物やイソシアヌレート化物、ビュレット型化合物、さらにはポリエーテルポリオールやポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオールなど付加反応させたウレタンプレポリマー型のイソシアネートなどを挙げることができる。特に好ましくは、ポリイソシアネート化合物であり、ヘキサメチレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、およびイソホロンジイソシアネートからなる群より選択される1種またはそれに由来するポリイソシアネート化合物である。ここで、ヘキサメチレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、およびイソホロンジイソシアネートからなる群より選択される1種またはそれに由来するポリイソシアネート化合物には、ヘキサメチレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ポリオール変性ヘキサメチレンジイソシアネート、ポリオール変性水添キシリレンジイソシアネート、トリマー型水添キシリレンジイソシアネート、およびポリオール変性イソホロンジイソシアネートなどが含まれる。例示したポリイソシアネート化合物は、水酸基との反応が、特にポリマーに含まれる酸、塩基を触媒のようにして、迅速に進む為、特に架橋の早さに寄与し、好ましい。
【0070】
過酸化物と併用してイソシアネート系架橋剤を使用する場合、イソシアネート系架橋剤の含有量は、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対し、0.02〜2重量部使用されるのが好ましく、0.05〜1重量部使用されるのがより好ましい。なお、粘着剤組成物中にイソシアネート系架橋剤を含有する場合、イソシアネート系架橋剤は過酸化物に比して反応に時間を要する傾向がある。このため、粘着剤層の汚れや欠落などにより、粘着剤層の加工性や外観性、さらには耐久性が悪化する場合がある。このため、粘着剤組成物中のイソシアネート系架橋剤の含有量は、過酸化物の含有量を100としたとき、5〜1000であることが好ましく、20〜300であることがより好ましい。
【0071】
さらに、本発明においては粘着剤層を形成する粘着剤組成物中に、過酸化物およびイソシアネート系架橋剤に加えて、公知の架橋剤を含有することできる。架橋剤としては、有機系架橋剤や多官能性金属キレートを用いることができる。有機系架橋剤としては、エポキシ系架橋剤、イミン系架橋剤などが挙げられる。多官能性金属キレートは、多価金属が有機化合物と共有結合または配位結合しているものである。多価金属原子としては、Al、Cr、Zr、Co、Cu、Fe、Ni、V、Zn、In、Ca、Mg、Mn、Y、Ce、Sr、Ba、Mo、La、Sn、Tiなどが挙げられる。共有結合または配位結合する有機化合物中の原子としては酸素原子などが挙げられ、有機化合物としてはアルキルエステル、アルコール化合物、カルボン酸化合物、エーテル化合物、ケトン化合物などが挙げられる。
【0072】
本発明に係るセパレータ付粘着剤層の製造方法では、粘着剤層を形成する粘着剤組成物中に、セパレータに対する剥離力を調整する剥離調整剤として、フェノール系酸化防止剤を含有させる点が特徴である。フェノール系酸化防止剤の具体例としては、単環フェノール化合物として、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジシクロヘキシル−4−メチルフェノール、2,6−ジイソプロピル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−t−アミル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−オクチル−4−n−プロピルフェノール、2,6−ジシクロヘキシル−4−n−オクチルフェノール、2−イソプロピル−4−メチル−6−t−ブチルフェノール、2−t−ブチル−4−エチル−6−t−オクチルフェノール、2−イソブチル−4−エチル−6−t−ヘキシルフェノール、2−シクロヘキシル−4−n−ブチル−6−イソプロピルフェノール、スチレン化混合クレゾール、DL−α−トコフェロール、ステアリルβ−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートなどを、2環フェノール化合物として、2,2´−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4´−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4´−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2´−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4´−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2´−メチレンビス[6−(1−メチルシクロヘキシル)−p−クレゾール]、2,2´−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2´−ブチリデンビス(2−t−ブチル−4−メチルフェノール)、3,6−ジオキサオクタメチレンビス[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、トリエチレングリコールビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2´−チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などを、3環フェノール化合物として、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−t−ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス[(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌレート、トリス(4−t−ブチル−2,6−ジメチル−3−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼンなどを、4環フェノール化合物として、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンなどを、リン含有フェノール化合物として、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)カルシウム、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)ニッケルなどを挙げることができる。
【0073】
フェノール系酸化防止剤の含有量は、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対し、0.05〜3重量部使用されるのが好ましく、0.1〜1.5重量部使用されるのがより好ましい。0.05重量部よりも少なくなると、粘着剤層に対するセパレータの剥離力が高くなり、セパレータの剥離が困難となり工程作業性が悪化する場合がある。一方、3重量部を超えると、粘着剤層に対するセパレータの剥離力が低くなり、セパレータの浮きが発生する。
【0074】
さらに、本発明の粘着剤組成物には、シランカップリング剤を含有することできる。シランカップリング剤を用いることにより、耐久性を向上させることができる。シランカップリング剤としては、具体的には、たとえば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基含有シランカップリング剤、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチルブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ基含有シランカップリング剤、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランなどの(メタ)アクリル基含有シランカップリング剤、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどのイソシアネート基含有シランカップリング剤などが挙げられる。
【0075】
前記シランカップリング剤は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量は前記(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対し、前記シランカップリング剤0.001〜5重量部が好ましく、さらには0.01〜1重量部が好ましく、さらには0.02〜1重量部がより好ましい。耐久性を向上させ、液晶セルなどの光学部材への接着力を適度に保持する量である。
【0076】
さらに、本発明においては粘着剤層を形成する粘着剤組成物中に、ポリエーテル変性シリコーンを配合することができる。ポリエーテル変性シリコーンは、例えば、特開2010−275522号公報に開示されているものを用いることができる。
【0077】
ポリエーテル変性シリコーンは、ポリエーテル骨格を有し、かつ少なくとも1つの末端に、下記一般式(1):−SiRaM3−a(式中、Rは、置換基を有していてもよい、炭素数1〜20の1価の有機基であり、Mは水酸基または加水分解性基であり、aは0〜2の整数である。但し、Rが複数存在するとき複数のRは互いに同一であっても異なっていてもよく、Mが複数存在するとき複数のMは互いに同一であっても異なっていてもよい。)で表される反応性シリル基を有する。
【0078】
前記ポリエーテル変性シリコーンとしては、
一般式(2):RaM3−aSi−X−Y−(AO)n−Z(式中、Rは、置換基を有していてもよい、炭素数1〜20の1価の有機基であり、Mは水酸基または加水分解性基であり、aは0〜2の整数である。但し、Rが複数存在するとき複数のRは互いに同一であっても異なっていてもよく、Mが複数存在するとき複数のMは互いに同一であっても異なっていてもよい。AOは、直鎖または分岐鎖の炭素数1〜10のオキシアルキレン基を示し、nは1〜1700であり、オキシアルキレン基の平均付加モル数を示す。Xは、炭素数1〜20の直鎖または分岐鎖のアルキレン基を示す。Yは、エーテル結合、エステル結合、ウレタン結合、またはカーボネート結合を示す。
Zは、水素原子、1価の炭素数1〜10の炭化水素基、
一般式(2A):−Y1−X−SiRaM3−a(式中、R、M、X、aは、前記と同じ。Y1は単結合、−CO−結合、−CONH−結合、または−COO−結合を示す。)、または、
一般式(2B):−Q{−(OA)n−Y−X−SiRaM3−a}m(式中、R、M、X、Y、aは、前記と同じ。OAは前記のAOに同じで、nは前記と同じ。Qは、2価以上の炭素数1〜10の炭化水素基であり、mは当該炭化水素基の価数と同じ。)で表される基である。)で表される化合物が挙げられる。
【0079】
ポリエーテル変性シリコーンの具体例としては、例えば、カネカ社製のMSポリマー S203、S303、S810;SILYL EST250、EST280;サイリルSAT10、サイリルSAT200、サイリルSAT220、サイリルSAT350、サイリルSAT400、旭硝子社製のEXCESTAR S2410、S2420またはS3430などが挙げられる。
【0080】
さらに本発明においては粘着剤層を形成する粘着剤組成物中に、その他の公知の添加剤を含有していてもよく、たとえば、着色剤、顔料などの粉体、染料、界面活性剤、可塑剤、粘着性付与剤、表面潤滑剤、レベリング剤、軟化剤、老化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、無機または有機の充填剤、金属粉、粒子状、箔状物などを使用する用途に応じて適宜添加することができる。また、制御できる範囲内で、還元剤を加えてのレドックス系を採用してもよい。
【0081】
本発明に係るセパレータ付粘着剤層は、前記記載の製造方法により製造することができる。粘着剤層に対するセパレータの剥離力を適度なものとし、加工性を高めるためには、加熱・架橋後の粘着剤層のゲル分率を、45〜95重量%とすることが好ましく、65〜90重量%とすることが好ましい。粘着剤層のゲル分率の測定方法については後述する。
【0082】
本発明に係るセパレータ付粘着剤層は、(メタ)アクリル系ポリマー、過酸化物およびフェノール系酸化防止剤を含有する粘着剤組成物を加熱し、架橋させて形成されるため、粘着剤層に対するセパレータの剥離力が適度なものに調整されている。加工性および耐久性に優れたセパレータ付粘着剤層とするためには、粘着剤層に対するセパレータの剥離力を0.05〜0.30N/50mmとすることが好ましく、0.06〜0.17N/50mmとすることがより好ましく、0.07〜0.15N/50mmであることが特に好ましい。剥離力が0.05N/50mm未満では、加工中にセパレータ付粘着剤層付偏光フィルムの粘着剤層から、セパレータが浮いてしまう不良が発生する場合がある。一方、剥離力が0.30N/50mmを超えると、パネルメーカーにおいてセパレータ付粘着剤層付偏光フィルムの粘着剤層からセパレータを剥離する際に剥離が困難になる場合があり、生産性が悪くなる可能性がある。
【0083】
また、本発明によると、上記の粘着剤層を使用して、偏光膜及び保護フィルムを含む偏光フィルムと粘着剤層とを有する偏光板を提供することができる。粘着剤層は、偏光フィルムに対するセパレータの剥離力が、0.10N/50mm以下となる粘着力を有する。例えば、実施例6の粘着剤層では、偏光フィルムに対するセパレータの剥離力が、0.10N/50mmであり、実施例3では、0.09N/50mm、実施例5では、0.08N/50mm、実施例13では、0.07N/50mm、実施例14では、0.05N/50mmの粘着力を有する。粘着剤層の粘着力が低く、セパレータを小さい力で剥離することができるため、セパレータを偏光フィルムから剥離する際に、セパレータから偏光フィルムに加わる力を小さくすることができ、偏光フィルムを吸着するステージから偏光フィルムが脱落しにくくなる。また、ガラスに対する粘着剤層の接着力が2.0N/25mm幅以上5.0N/25mm幅以下であることが好ましい。当該接着力が、2.0N/25mm幅未満である場合には、偏光フィルムの加温耐久性試験において、ガラス面を有する液晶表示パネルから偏光フィルムが剥離してしまう不具合が発生することがある。一方で、当該接着力が、5.0N/25mm幅を超えると、液晶表示パネルに偏光フィルムを張り合わせた後に偏光フィルムを剥離する必要がある場合に、偏光フィルムが破断するため、液晶表示パネルから偏光フィルムを剥離できない不具合が発生することがある。
【0084】
本発明に係るセパレータ付粘着剤層付偏光フィルムは、偏光子の少なくとも片面に透明保護フィルムを有する偏光フィルムの少なくとも片面に、セパレータ付粘着剤層を粘着剤層側から貼り合わせるセパレータ付粘着剤層付偏光フィルムの製造方法により得られ、前記セパレータ付粘着剤層として、前記記載の製造方法により製造されたものを使用する点が特徴である。
【0085】
本発明に係るセパレータ付粘着剤層の製造方法により製造されたセパレータ付粘着剤層を使用して、セパレータ付粘着剤層付偏光フィルムを製造する場合、偏光フィルムの厚みが如何なるものであっても粘着剤層に対するセパレータの剥離力を適度なものに調整することができる。しかしながら、本発明に係るセパレータ付粘着剤層を使用した場合、偏光フィルムの厚みの薄いセパレータ付粘着剤層付偏光フィルムを製造した場合であっても、セパレータが粘着剤層に対して適度な軽剥離性を有し、加工性に優れたセパレータ付粘着剤層付偏光フィルムを製造することができる。加えて、得られるセパレータ付粘着剤層付偏光フィルムは、端部での外観異常が防止され、耐久性が向上されている。したがって、粘着剤層付偏光フィルムの薄型化の要請を考慮した場合、本発明に係るセパレータ付粘着剤層は、特に偏光フィルムの総厚みが100μm以下、さらには70μm以下、特には50μm以下のセパレータ付粘着剤層付偏光フィルム用として好適に使用可能である。偏光フィルムの総厚みの下限としては特に限定されないが、例えば10μmが挙げられる。
【0086】
前記のとおり、セパレータ付粘着剤層付偏光フィルムの薄型化の要望に応えるため、偏光フィルムの総厚みは100μm以下であることが好ましい。偏光フィルムを構成する偏光子は、特に限定されず各種のものを使用できるが、前記薄型化の観点からその厚みが10μm以下の薄型の偏光子を用いることが好ましい。更に、薄型化の観点から言えば当該厚みは1〜7μmであるのがより好ましい。このような薄型の偏光子は、厚みムラが少なく、視認性が優れており、また寸法変化が少ないため耐久性に優れ、さらには偏光フィルムとしての厚みも薄型化が図れる点が好ましい。
【0087】
薄型の偏光子としては、代表的には、特開昭51−069644号公報や特開2000−338329号公報や、WO2010/100917号パンフレット、PCT/JP2010/001460の明細書、または特願2010−269002号明細書や特願2010−263692号明細書に記載されている薄型偏光膜(偏光子)を挙げることができる。これら薄型偏光膜は、ポリビニルアルコール系樹脂(以下、PVA系樹脂ともいう)層と延伸用樹脂基材を積層体の状態で延伸する工程と染色する工程を含む製法による得ることができる。この製法であれば、PVA系樹脂層が薄くても、延伸用樹脂基材に支持されていることにより延伸による破断などの不具合なく延伸することが可能となる。
【0088】
前記薄型偏光膜としては、積層体の状態で延伸する工程と染色する工程を含む製法の中でも、高倍率に延伸できて偏光性能を向上させることのできる点で、WO2010/100917号パンフレット、PCT/JP2010/001460の明細書、または特願2010−269002号明細書や特願2010−263692号明細書に記載のあるようなホウ酸水溶液中で延伸する工程を含む製法で得られるものが好ましく、特に特願2010−269002号明細書や特願2010−263692号明細書に記載のあるホウ酸水溶液中で延伸する前に補助的に空中延伸する工程を含む製法により得られるものが好ましい。
【0089】
上記のPCT/JP2010/001460の明細書に記載の薄型高機能偏光膜は、樹脂基材に一体に製膜される、二色性物質を配向させたPVA系樹脂からなる厚みが7μm以下の薄型高機能偏光膜であって、単体透過率が42.0%以上および偏光度が99.95%以上の光学特性を有する。
【0090】
上記薄型高機能偏光膜は、少なくとも20μmの厚みを有する樹脂基材に、PVA系樹脂の塗布および乾燥によってPVA系樹脂層を生成し、生成されたPVA系樹脂層を二色性物質の染色液に浸漬して、PVA系樹脂層に二色性物質を吸着させ、二色性物質を吸着させたPVA系樹脂層を、ホウ酸水溶液中において、樹脂基材と一体に総延伸倍率を元長の5倍以上となるように延伸することによって、製造することができる。
【0091】
また、二色性物質を配向させた薄型高機能偏光膜を含む積層体フィルムを製造する方法であって、少なくとも20μmの厚みを有する樹脂基材と、樹脂基材の片面にPVA系樹脂を含む水溶液を塗布および乾燥することによって形成されたPVA系樹脂層とを含む積層体フィルムを生成する工程と、樹脂基材と樹脂基材の片面に形成されたPVA系樹脂層とを含む前記積層体フィルムを、二色性物質を含む染色液中に浸漬することによって、積層体フィルムに含まれるPVA系樹脂層に二色性物質を吸着させる工程と、二色性物質を吸着させたPVA系樹脂層を含む前記積層体フィルムを、ホウ酸水溶液中において、総延伸倍率が元長の5倍以上となるように延伸する工程と、二色性物質を吸着させたPVA系樹脂層が樹脂基材と一体に延伸されたことにより、樹脂基材の片面に、二色性物質を配向させたPVA系樹脂層からなる、厚みが7μm以下、単体透過率が42.0%以上かつ偏光度が99.95%以上の光学特性を有する薄型高機能偏光膜を製膜させた積層体フィルムを製造する工程を含むことで、上記薄型高機能偏光膜を製造することができる。
【0092】
本発明では、上記したように、上記粘着剤層付偏光フィルムにおいて、厚みが10μm以下の偏光子として、二色性物質を配向させたPVA系樹脂からなる連続ウェブの偏光膜であって、熱可塑性樹脂基材に製膜されたポリビニルアルコール系樹脂層を含む積層体が空中補助延伸とホウ酸水中延伸とからなる2段延伸工程で延伸されることにより得られたものを用いることができる。前記熱可塑性樹脂基材としては、非晶性エステル系熱可塑性樹脂基材または結晶性エステル系熱可塑性樹脂基材が好ましい。
【0093】
上記の特願2010−269002号明細書や特願2010−263692号明細書の薄型偏光膜は、二色性物質を配向させたPVA系樹脂からなる連続ウェブの偏光膜であって、非晶性エステル系熱可塑性樹脂基材に製膜されたPVA系樹脂層を含む積層体が空中補助延伸とホウ酸水中延伸とからなる2段延伸工程で延伸されることにより、10μm以下の厚みにされたものである。かかる薄型偏光膜は、単体透過率をT、偏光度をPとしたとき、P>−(100.929T−42.4−1)×100(ただし、T<42.3)、およびP≧99.9(ただし、T≧42.3)の条件を満足する光学特性を有するようにされたものであることが好ましい。
【0094】
具体的には、前記薄型偏光膜は、連続ウェブの非晶性エステル系熱可塑性樹脂基材に製膜されたPVA系樹脂層に対する空中高温延伸によって、配向されたPVA系樹脂層からなる延伸中間生成物を生成する工程と、延伸中間生成物に対する二色性物質の吸着によって、二色性物質(ヨウ素またはヨウ素と有機染料の混合物が好ましい)を配向させたPVA系樹脂層からなる着色中間生成物を生成する工程と、着色中間生成物に対するホウ酸水中延伸によって、二色性物質を配向させたPVA系樹脂層からなる厚さが10μm以下の偏光膜を生成する工程とを含む薄型偏光膜の製造方法により製造することができる。
【0095】
この製造方法において、空中高温延伸とホウ酸水中延伸とによる非晶性エステル系熱可塑性樹脂基材に製膜されたPVA系樹脂層の総延伸倍率が、5倍以上になるようにするのが望ましい。ホウ酸水中延伸のためのホウ酸水溶液の液温は、60℃以上とすることができる。ホウ酸水溶液中で着色中間生成物を延伸する前に、着色中間生成物に対して不溶化処理を施すのが望ましく、その場合、液温が40℃を超えないホウ酸水溶液に前記着色中間生成物を浸漬することにより行うのが望ましい。上記非晶性エステル系熱可塑性樹脂基材は、イソフタル酸を共重合させた共重合ポリエチレンテレフタレート、シクロヘキサンジメタノールを共重合させた共重合ポリエチレンテレフタレートまたは他の共重合ポリエチレンテレフタレートを含む非晶性ポリエチレンテレフタレートとすることができ、透明樹脂からなるものであることが好ましく、その厚みは、製膜されるPVA系樹脂層の厚みの7倍以上とすることができる。また、空中高温延伸の延伸倍率は3.5倍以下が好ましく、空中高温延伸の延伸温度はPVA系樹脂のガラス転移温度以上、具体的には95℃〜150℃の範囲であるのが好ましい。空中高温延伸を自由端一軸延伸で行う場合、非晶性エステル系熱可塑性樹脂基材に製膜されたPVA系樹脂層の総延伸倍率が、5倍以上7.5倍以下であるのが好ましい。また、空中高温延伸を固定端一軸延伸で行う場合、非晶性エステル系熱可塑性樹脂基材に製膜されたPVA系樹脂層の総延伸倍率が、5倍以上8.5倍以下であるのが好ましい。
更に具体的には、次のような方法により、薄型偏光膜を製造することができる。
【0096】
イソフタル酸を6mol%共重合させたイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート(非晶性PET)の連続ウェブの基材を作製する。非晶性PETのガラス転移温度は75℃である。連続ウェブの非晶性PET基材とポリビニルアルコール(PVA)層からなる積層体を、以下のように作製する。ちなみにPVAのガラス転移温度は80℃である。
【0097】
200μm厚の非晶性PET基材と、重合度1000以上、ケン化度99%以上のPVA粉末を水に溶解した4〜5%濃度のPVA水溶液とを準備する。次に、200μm厚の非晶性PET基材にPVA水溶液を塗布し、50〜60℃の温度で乾燥し、非晶性PET基材に7μm厚のPVA層が製膜された積層体を得る。
【0098】
7μm厚のPVA層を含む積層体を、空中補助延伸およびホウ酸水中延伸の2段延伸工程を含む以下の工程を経て、3μm厚の薄型高機能偏光膜を製造する。第1段の空中補助延伸工程によって、7μm厚のPVA層を含む積層体を非晶性PET基材と一体に延伸し、5μm厚のPVA層を含む延伸積層体を生成する。具体的には、この延伸積層体は、7μm厚のPVA層を含む積層体を130℃の延伸温度環境に設定されたオーブンに配備された延伸装置にかけ、延伸倍率が1.8倍になるように自由端一軸に延伸したものである。この延伸処理によって、延伸積層体に含まれるPVA層を、PVA分子が配向された5μm厚のPVA層へと変化させる。
【0099】
次に、染色工程によって、PVA分子が配向された5μm厚のPVA層にヨウ素を吸着させた着色積層体を生成する。具体的には、この着色積層体は、延伸積層体を液温30℃のヨウ素およびヨウ化カリウムを含む染色液に、最終的に生成される高機能偏光膜を構成するPVA層の単体透過率が40〜44%になるように任意の時間、浸漬することによって、延伸積層体に含まれるPVA層にヨウ素を吸着させたものである。本工程において、染色液は、水を溶媒として、ヨウ素濃度を0.12〜0.30重量%の範囲内とし、ヨウ化カリウム濃度を0.7〜2.1重量%の範囲内とする。ヨウ素とヨウ化カリウムの濃度の比は1対7である。ちなみに、ヨウ素を水に溶解するにはヨウ化カリウムを必要とする。より詳細には、ヨウ素濃度0.30重量%、ヨウ化カリウム濃度2.1重量%の染色液に延伸積層体を60秒間浸漬することによって、PVA分子が配向された5μm厚のPVA層にヨウ素を吸着させた着色積層体を生成する。
【0100】
さらに、第2段のホウ酸水中延伸工程によって、着色積層体を非晶性PET基材と一体にさらに延伸し、3μm厚の高機能偏光膜を構成するPVA層を含む光学フィルム積層体を生成する。具体的には、この光学フィルム積層体は、着色積層体をホウ酸とヨウ化カリウムを含む液温範囲60〜85℃のホウ酸水溶液に設定された処理装置に配備された延伸装置にかけ、延伸倍率が3.3倍になるように自由端一軸に延伸したものである。より詳細には、ホウ酸水溶液の液温は65℃である。それはまた、ホウ酸含有量を水100重量部に対して4重量部とし、ヨウ化カリウム含有量を水100重量部に対して5重量部とする。本工程においては、ヨウ素吸着量を調整した着色積層体をまず5〜10秒間ホウ酸水溶液に浸漬する。しかる後に、その着色積層体をそのまま処理装置に配備された延伸装置である周速の異なる複数の組のロール間に通し、30〜90秒かけて延伸倍率が3.3倍になるように自由端一軸に延伸する。この延伸処理によって、着色積層体に含まれるPVA層を、吸着されたヨウ素がポリヨウ素イオン錯体として一方向に高次に配向した3μm厚のPVA層へと変化させる。このPVA層が光学フィルム積層体の高機能偏光膜を構成する。
【0101】
光学フィルム積層体の製造に必須の工程ではないが、洗浄工程によって、光学フィルム積層体をホウ酸水溶液から取り出し、非晶性PET基材に製膜された3μm厚のPVA層の表面に付着したホウ酸をヨウ化カリウム水溶液で洗浄するのが好ましい。しかる後に、洗浄された光学フィルム積層体を60℃の温風による乾燥工程によって乾燥する。なお洗浄工程は、ホウ酸析出などの外観不良を解消するための工程である。
【0102】
同じく光学フィルム積層体の製造に必須の工程というわけではないが、貼合せおよび/または転写工程によって、非晶性PET基材に製膜された3μm厚のPVA層の表面に接着剤を塗布しながら、80μm厚のトリアセチルセルロースフィルムを貼合せたのち、非晶性PET基材を剥離し、3μm厚のPVA層を80μm厚のトリアセチルセルロースフィルムに転写することもできる。
【0103】
[その他の工程]
上記の薄型偏光膜の製造方法は、上記工程以外に、その他の工程を含み得る。その他の工程としては、例えば、不溶化工程、架橋工程、乾燥(水分率の調節)工程などが挙げられる。その他の工程は、任意の適切なタイミングで行い得る。
上記不溶化工程は、代表的には、ホウ酸水溶液にPVA系樹脂層を浸漬させることにより行う。不溶化処理を施すことにより、PVA系樹脂層に耐水性を付与することができる。当該ホウ酸水溶液の濃度は、水100重量部に対して、好ましくは1重量部〜4重量部である。不溶化浴(ホウ酸水溶液)の液温は、好ましくは20℃〜50℃である。好ましくは、不溶化工程は、積層体作製後、染色工程や水中延伸工程の前に行う。
上記架橋工程は、代表的には、ホウ酸水溶液にPVA系樹脂層を浸漬させることにより行う。架橋処理を施すことにより、PVA系樹脂層に耐水性を付与することができる。当該ホウ酸水溶液の濃度は、水100重量部に対して、好ましくは1重量部〜4重量部である。また、上記染色工程後に架橋工程を行う場合、さらに、ヨウ化物を配合することが好ましい。ヨウ化物を配合することにより、PVA系樹脂層に吸着させたヨウ素の溶出を抑制することができる。ヨウ化物の配合量は、水100重量部に対して、好ましくは1重量部〜5重量部である。ヨウ化物の具体例は、上述のとおりである。架橋浴(ホウ酸水溶液)の液温は、好ましくは20℃〜50℃である。好ましくは、架橋工程は上記第2のホウ酸水中延伸工程の前に行う。好ましい実施形態においては、染色工程、架橋工程および第2のホウ酸水中延伸工程をこの順で行う。
【0104】
透明保護フィルムを構成する材料としては、例えば透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性などに優れる熱可塑性樹脂が用いられる。このような熱可塑性樹脂の具体例としては、トリアセチルセルロースなどのセルロース樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、環状ポリオレフィン樹脂(ノルボルネン系樹脂)、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、およびこれらの混合物が挙げられる。なお、偏光子の片側には、透明保護フィルムが接着剤層により貼り合わされるが、他の片側には、透明保護フィルムとして、(メタ)アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系などの熱硬化性樹脂または紫外線硬化型樹脂を用いることができる。透明保護フィルム中には任意の適切な添加剤が1種類以上含まれていてもよい。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、可塑剤、離型剤、着色防止剤、難燃剤、核剤、帯電防止剤、顔料、着色剤などが挙げられる。透明保護フィルム中の上記熱可塑性樹脂の含有量は、好ましくは50〜100重量%、より好ましくは50〜99重量%、さらに好ましくは60〜98重量%、特に好ましくは70〜97重量%である。透明保護フィルム中の上記熱可塑性樹脂の含有量が50重量%以下の場合、熱可塑性樹脂が本来有する高透明性などが十分に発現できないおそれがある。
【0105】
透明保護フィルムの厚さは、セパレータ付粘着剤層付偏光フィルムの薄型化の要望に応える場合、例えば、10〜90μm程度であることが好ましく、15〜60μmであることがより好ましく、20〜50μmである特に好ましい。
【0106】
偏光子と透明保護フィルムとの接着処理には、接着剤が用いられる。接着剤としては、イソシアネート系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ゼラチン系接着剤、ビニル系ラテックス系、水系ポリエステルなどを例示できる。前記接着剤は、通常、水溶液からなる接着剤として用いられ、通常、0.5〜60重量%の固形分を含有する。上記の他、偏光子と透明保護フィルムとの接着剤としては、紫外硬化型接着剤、電子線硬化型接着剤などが挙げられる。電子線硬化型偏光フィルム用接着剤は、上記各種の透明保護フィルムに対して、好適な接着性を示す。また本発明で用いる接着剤には、金属化合物フィラーを含有させることができる。
【0107】
また前記偏光フィルムは、他の光学フィルムと積層することができる。他の光学フィルムとしては、例えば反射板や反透過板、位相差板(1/2や1/4などの波長板を含む)、視覚補償フィルム、輝度向上フィルムなどの液晶表示装置などの形成に用いられることのある光学層となるものが挙げられる。これらは前記偏光フィルムに、実用に際して積層して、1層または2層以上用いることができる。
【0108】
偏光フィルムに前記光学層を積層した光学フィルムは、液晶表示装置などの製造過程で順次別個に積層する方式にても形成することができるが、予め積層して光学フィルムとしたものは、品質の安定性や組立作業などに優れていて液晶表示装置などの製造工程を向上させうる利点がある。積層には粘着層などの適宜な接着手段を用いうる。前記の偏光フィルムと他の光学層の接着に際し、それらの光学軸は目的とする位相差特性などに応じて適宜な配置角度とすることができる。
【0109】
本発明の粘着剤層付偏光フィルムは液晶表示装置などの各種画像表示装置の形成などに好ましく用いることができる。液晶表示装置の形成は、従来に準じて行いうる。すなわち液晶表示装置は一般に、液晶セルなどの表示パネルと粘着剤層付偏光フィルム、および必要に応じての照明システムなどの構成部品を適宜に組み立てて駆動回路を組み込むことなどにより形成されるが、本発明においては本発明による粘着剤層付偏光フィルムを用いる点を除いて特に限定は無く、従来に準じうる。液晶セルについても、例えばTN型やSTN型、π型、VA型、IPS型などの任意なタイプなどの任意なタイプのものを用いうる。
【0110】
液晶セルなどの表示パネルの片側または両側に粘着剤層付偏光フィルムを配置した液晶表示装置や、照明システムにバックライトあるいは反射板を用いたものなどの適宜な液晶表示装置を形成することができる。その場合、本発明による粘着剤層付偏光フィルムは液晶セルなどの表示パネルの片側または両側に設置することができる。両側に光学フィルムを設ける場合、それらは同じものであっても良いし、異なるものであっても良い。さらに、液晶表示装置の形成に際しては、例えば拡散板、アンチグレア層、反射防止膜、保護板、プリズムアレイ、レンズアレイシート、光拡散板、バックライトなどの適宜な部品を適宜な位置に1層または2層以上配置することができる。
【実施例】
【0111】
以下に、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、各例中の部および%はいずれも重量基準である。
【0112】
<(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量の測定>
ヒドロキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマー(A)の重量平均分子量は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により測定した。・分析装置:東ソー社製、HLC−8120GPC・カラム:東ソー社製、G7000HXL+GMHXL+GMHXL・カラムサイズ:各7.8mmφ×30cm 計90cm・カラム温度:40℃・流量:0.8ml/min・注入量:100μl・溶離液:テトラヒドロフラン・検出器:示差屈折計(RI)・標準試料:ポリスチレン
【0113】
<偏光フィルム(1)の作成>
薄型偏光子を作製するため、まず、非晶性PET基材に9μm厚のPVA層が製膜された積層体を延伸温度130℃の空中補助延伸によって延伸積層体を生成し、次に、延伸積層体を染色によって着色積層体を生成し、さらに着色積層体を延伸温度65度のホウ酸水中延伸によって総延伸倍率が5.94倍になるように非晶性PET基材と一体に延伸された4μm厚のPVA層を含む光学フィルム積層体を生成した。このような2段延伸によって非晶性PET基材に製膜されたPVA層のPVA分子が高次に配向され、染色によって吸着されたヨウ素がポリヨウ素イオン錯体として一方向に高次に配向された高機能偏光子を構成する、厚さ4μmのPVA層を含む光学フィルム積層体を生成することができた。更に、当該光学フィルム積層体の偏光子の表面にポリビニルアルコール系接着剤を塗布しながら、けん化処理した40μm厚のアクリル樹脂フィルム(透明保護フィルム(1))を貼合せたのち、非晶性PET基材を剥離し、薄型偏光子を用いた偏光フィルムを作製した。以下、これを薄型偏光フィルム(1)という。偏光子、透明保護フィルムおよび総厚みを表1に示す。
【0114】
<偏光フィルム(2)の作成>
厚さ80μmのポリビニルアルコールフィルムを、速度比の異なるロール間において、30℃、0.3%濃度のヨウ素溶液中で1分間染色しながら、3倍まで延伸した。その後、60℃、4%濃度のホウ酸、10%濃度のヨウ化カリウムを含む水溶液中に0.5分間浸漬しながら総合延伸倍率が6倍になるように延伸した。次いで、30℃、1.5%濃度のヨウ化カリウムを含む水溶液中に10秒間浸漬することで洗浄した後、50℃で4分間乾燥を行い、厚さ4μmの偏光子を得た。更に、当該光学フィルム積層体の偏光子の表面にポリビニルアルコール系接着剤を塗布しながら、けん化処理した40μm厚のアクリル樹脂フィルム(透明保護フィルム(1))を貼合せたのち、非晶性PET基材を剥離した後、他の片面に厚さ40μmのノルボルネン系フィルム(透明保護フィルム(2))を、それぞれ、ポリビニルアルコール系接着剤により貼り合せて、フィルムを作成した。以下、これを薄型偏光フィルム(2)という。偏光子、透明保護フィルムおよび総厚みを表1に示す。
【0115】
<偏光フィルム(3)の作成>
厚さ80μmのポリビニルアルコールフィルムを、速度比の異なるロール間において、30℃、0.3%濃度のヨウ素溶液中で1分間染色しながら、3倍まで延伸した。その後、60℃、4%濃度のホウ酸、10%濃度のヨウ化カリウムを含む水溶液中に0.5分間浸漬しながら総合延伸倍率が6倍になるように延伸した。次いで、30℃、1.5%濃度のヨウ化カリウムを含む水溶液中に10秒間浸漬することで洗浄した後、50℃で4分間乾燥を行い、厚さ20μmの偏光子を得た。更に、当該光学フィルム積層体の偏光子の表面にポリビニルアルコール系接着剤を塗布しながら、けん化処理した40μm厚のアクリル樹脂フィルム(透明保護フィルム(1))を貼合せたのち、非晶性PET基材を剥離した後、他の片面に厚さ60μmのノルボルネン系フィルム(透明保護フィルム(2))を、それぞれ、ポリビニルアルコール系接着剤により貼り合せて、フィルムを作成した。以下、これを偏光フィルム(3)という。偏光子、透明保護フィルムおよび総厚みを表1に示す。
【0116】
【表1】
【0117】
製造例1
<(メタ)アクリル系ポリマー(A−1)の調製>
冷却管、窒素導入管、温度計および撹拌装置を備えた反応容器に、アクリル酸ブチル99部、アクリル酸4−ヒドロキシブチル(HBA)1部、および開始剤として、AIBNをモノマー(固形分)100部に対して1部を酢酸エチルと共に加えて窒素ガス気流下、60℃で7時間反応させた後、その反応液に酢酸エチルを加えて、重量平均分子量160万のヒドロキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマー(A−1)を含有する溶液を得た(固形分濃度30重量%)。(メタ)アクリル系ポリマー(A−1)の配合および分子量を表2に示す。
【0118】
製造例2
<(メタ)アクリル系ポリマー(A−2)の調製>
製造例1において、モノマー混合物として、ブチルアクリレート99部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEA)1部を含有するモノマー混合物を用いたこと以外は、製造例1と同様にして、重量平均分子量160万の(メタ)アクリル系ポリマー(A−2)の溶液を調製した。(メタ)アクリル系ポリマー(A−2)の配合および分子量を表2に示す。
【0119】
製造例3
<(メタ)アクリル系ポリマー(A−3)の調製>
製造例1において、ブチルアクリレート100部を用いたこと以外は、製造例1と同様にして、重量平均分子量160万の(メタ)アクリル系ポリマー(A−4)の溶液を調製した。(メタ)アクリル系ポリマー(A−4)の配合および分子量を表2に示す。
【0120】
【表2】
【0121】
実施例1
(光学用粘着剤組成物の調整)
製造例1で製造した(メタ)アクリル系ポリマー(A−1)、架橋剤として、前記(メタ)アクリル系ポリマー(A−1)溶液の固形分100部あたり0.1部のトリメチロールプロパンキシリレンジイソシアネート(C−1;三井化学株式会社製:タケネートD110N)と、ジベンゾイルパーオキサイド(C−2)0.3部と、0.075部のγ−グリシドキシプロピルメトキシシラン(D;信越化学工業株式会社製:KBM−403)と、剥離力調整剤として、フェノール系酸化防止剤であるペンタエリトリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート(B−1;BASFジャパン社製 IRGANAOX 1010)0.3部を配合して、粘着剤組成物を得た。
【0122】
(セパレータ付粘着剤層付偏光フィルムの作製)
前記粘着剤組成物をシリコーン系剥離剤で処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(基材)の表面に、ファウンテンコータで均一に塗工し(第1工程)、155℃の空気循環式恒温オーブンで2分間乾燥し、基材の表面に厚さ20μmの粘着剤層を形成した(第2工程)。次いで、偏光フィルムに、粘着剤層を形成したセパレータフィルム(三菱化学ポリエステルフィルム社製、MRF38を移着させ、セパレータ付粘着層付偏光フィルムを作製した。
【0123】
実施例2〜12、比較例1〜7
実施例1において、粘着剤組成物の調製にあたり、各成分の使用量を表1に示すように変えたこと、セパレータ付粘着剤層付偏光フィルムの作製にあたり偏光フィルムの種類を表1に示すように変えたこと以外は、実施例1と同様にして、セパレータ付粘着剤層付偏光フィルムを作製した。なお、比較例4では、剥離力調整剤として、リン系酸化防止剤であるトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(B−2;BASFジャパン社製 IRGAFOS 168)を使用した。
【0124】
実施例13
第2工程における加熱温度(空気循環式恒温オーブンの温度に相当)を130℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、セパレータ付粘着剤層付偏光フィルムを作製した。
【0125】
実施例14
第2工程における加熱温度(空気循環式恒温オーブンの温度に相当)を90℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、セパレータ付粘着剤層付偏光フィルムを作製した。
【0126】
上記実施例および比較例で得られた、セパレータ付粘着剤層付偏光フィルムについて以下の評価を行った。評価結果を表3に示す。
【0127】
<ゲル分率の測定>
シリコーン処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルムに、サンプル作成前の各粘着剤組成物を乾燥後の厚さが20μmになるように塗工し、塗工後に各例と同じ乾燥条件(温度,時間)で硬化処理して粘着剤層を形成し、さらに温度23℃、湿度65%RHの条件に1時間放置した後に当該粘着剤層についてゲル分率を測定した。ゲル分率は、前記粘着剤層を約0.2gとり、予め重量(Wa)を測定したフッ素樹脂(TEMISHNTF−1122,日東電工社製)に包み、粘着剤層が漏れないように縛った後、その重量(Wb)を測定し、これを、約40mlの酢酸エチル中に23℃で、7日間浸漬し可溶分を抽出した。その後、粘着剤層を包んだフッ素樹脂を取り出し、アルミカップ上において130℃で2時間乾燥させて、可溶分が除去された粘着剤層を包んだフッ素樹脂の重量(Wc)を測定した。これらの測定値から、下記の式に従って、粘着剤層のゲル分率(重量%)を求めた。
ゲル分率(重量%)={(Wc−Wa)/(Wc−Wa)}×100
【0128】
<対ガラス板接着力>
実施例、比較例で得られたセパレータ付粘着剤付偏光フィルムを室温下で7日間エージングをした後に、セパレータを偏光フィルムから剥離し、偏光フィルムの粘着剤層側を無アルカリガラス製の板に貼り合わせた。そして、偏光フィルムを引張試験機によって、ガラスに対して90度の方向に偏光フィルムを300mm/minの速度で引張して、ガラス板に対する粘着剤層の粘着力を測定した。引張試験機には、島津製作所製のオートグラフを使用した。
【0129】
[耐久性評価]
<セパレータ付粘着剤層付偏光フィルムの耐久性試験(剥がれおよび発泡)>
実施例、比較例で得られたセパレータ付粘着剤層付偏光フィルムのセパレータフィルムを剥がし、無アルカリガラスに貼り合わせ、50℃、5atm、15分間のオートクレーブ処理を行った後、85℃の加熱オーブンおよび60℃/90%RHの恒温恒湿機に投入した。
500h後の偏光フィルムの剥がれおよび発泡を目視で観察した。全く剥がれまたは発泡が認められなかったものを◎、目視では確認できない程度の剥がれまたは発泡を○、目視で確認できる小さな剥がれまたは発泡を△、明らかな剥がれまたは発泡が認められたものを×とした。
【0130】
<加工性>
上記サンプルを作成後、24時間以内に1辺の長さが270mmの正方形に打ち抜いたものについて、目視、手触りで観察して、偏光フィルム側面の粘着感の有無があるか否か、また、偏光フィルムの表面が粘着剤によって汚れているか否かを判断した。
◎:粘着剤による汚れが見られない。
○:粘着剤による汚れが問題ない程度ではあるが見られる。
×:粘着感があり、汚れが確認される。
【0131】
<セパレータに対する剥離力>
実施例、比較例で得られたセパレータ付粘着剤層付偏光フィルムのサンプルを幅50mm、長さ100mmに裁断した後、サンプルからセパレータフィルムを引張り試験機にて、剥離角度180°、剥離速度300mm/minで引き剥がす際の剥離力(N/50mm)を測定した。
【0132】
<セパレータの剥離作業性>
実施例、比較例で得られたセパレータ付粘着剤層付偏光フィルムのサンプルについて、セパレータフィルムを手剥離した際の状況、及び得られたサンプルの端部のセパレータフィルムの浮きを以下の基準で判定した。
◎:10枚中失敗は0枚。
○:10枚中失敗が1枚。具体的には、サンプル端部でセパレータフィルムの浮きが1枚、目視で確認される。
×:10枚中失敗が1枚以上。具体的には、サンプル端部でセパレータフィルムの浮きが1枚以上目視で確認される。
【0133】
【表3】
【0134】
表3の結果から、実施例1〜12に係るセパレータ付粘着剤層の製造方法により製造されたセパレータ付粘着剤層を使用したセパレータ付粘着剤層付偏光フィルムでは、剥離作業性に優れ、かつ耐久性および加工性に優れることがわかる。
【0135】
なお、実施例12および比較例7の結果を比較検討すると、偏光フィルムの厚みが比較的厚いセパレータ付粘着剤層付偏光フィルムでは、剥離力調整剤(フェノール系酸化防止剤)の有無によらず、剥離作業性にそれほど差は無い。しかしながら、厚みの薄い偏光フィルムを備えるセパレータ付粘着剤層付偏光フィルムでは、例えば実施例1と比較例1とを比較しても明らかなとおり、剥離力調整剤(フェノール系酸化防止剤)の有無により、剥離作業性に大きな差が生じることがわかる。
【0136】
[剥離力と脱落との関係]
本発明について、偏光フィルムに対するセパレータの剥離力と、セパレータ剥離工程における偏光フィルムのステージからの脱落との関係を明らかにするため、以下の実験を行った。
【0137】
<偏光膜の作成>
本実験で使用した偏光フィルムに含まれる偏光膜の作成方法を以下に記載するが、本発明では、以下の方法以外の方法で作成した偏光膜を用いてもよい。A-PET(アモルファス‐ポリエチレンテレフタレート)フィルム、(三菱樹脂(株)製 商品名:ノバクリア SH046 200μm)を基材として用意し、表面にコロナ処理(58W/m
2/min)を施した。一方、アセトアセチル変性PVA(日本合成化学工業(株)製 商品名:ゴーセファイマー Z200(重合度1200、ケン化度99.0%以上、アセトアセチル変性度4.6%))を1wt%添加したPVA(重合度4200、ケン化度99.2%)を用意して、乾燥後の膜厚が12μmになるように塗布し、60℃の雰囲気下において熱風乾燥により10分間乾燥して、基材上にPVA系樹脂の層を設けた積層体を作製した。
【0138】
次いで、この積層体をまず空気中130℃で2.0倍に延伸して、延伸積層体を生成した。次に、延伸積層体を液温30℃のホウ酸不溶化水溶液に30秒間浸漬することによって、延伸積層体に含まれるPVA分子が配向されたPVA層を不溶化する工程を行った。本工程のホウ酸不溶化水溶液は、ホウ酸含有量を水100重量%に対して3重量%とした。この延伸積層体を染色することによって着色積層体を生成した。着色積層体は、延伸積層体を液温30℃のヨウ素およびヨウ化カリウムを含む染色液に、最終的に生成される高機能偏光膜を構成するPVA層の単体透過率が42.5%になるように任意のヨウ素濃度及び任意の時間、浸漬することによって、延伸積層体に含まれるPVA層にヨウ素を吸着させたものである。本工程において、染色液は、水を溶媒として、ヨウ素濃度を0.08〜0.25重量%の範囲内とし、ヨウ化カリウム濃度を0.56〜1.75重量%の範囲内とした。ヨウ素とヨウ化カリウムの濃度の比は1対7である。次に、着色積層体を30℃のホウ酸架橋水溶液に60秒間浸漬することによって、ヨウ素を吸着させたPVA層のPVA分子同士に架橋処理を施す工程を行った。本工程のホウ酸架橋水溶液は、ホウ酸含有量を水100重量%に対して3重量%とし、ヨウ化カリウム含有量を水100重量%に対して3重量%とした。さらに、得られた着色積層体をホウ酸水溶液中で延伸温度70℃として、先の空気中での延伸と同様の方向に2.7倍に延伸して、最終的な延伸倍率は5.4倍であるサンプル偏光膜を得た。本工程のホウ酸架橋水溶液は、ホウ酸含有量を水100重量%に対して4.0重量%とし、ヨウ化カリウム含有量を水100重量%に対して5重量%とした。光学フィルム積層体をホウ酸水溶液から取り出し、PVA層の表面に付着したホウ酸を、ヨウ化カリウム含有量が水100重量%に対して4重量%とした水溶液で洗浄した。洗浄された光学フィルム積層体を60℃の温風による乾燥工程によって乾燥し、A-PETフィルムに積層された厚みが5μmの偏光膜を作成し、その後、常温で7日間エージングを行った。厚みの測定には、デジタルμメーター(アンリツ社製KC−351C)を用いた。(後記、保護フィルムの厚みの測定も同様の方法で行った。)なお、本発明では、偏光膜の厚みは、5μm以外でもよい。例えば、偏光膜の厚みは、10μm以下であってもよく、好ましくは8μm以下、特に好ましくは6μm以下であってもよい。このように、偏光膜を薄くすることによって、周囲の環境の変化により偏光膜に発生する伸縮力を小さくすることができる。偏光膜が比較的厚い場合には、偏光膜に発生する伸縮力が大きくなる為、偏光膜の伸縮を抑制する為に有る程度の厚みを持った保護フィルムや位相差層を貼り合わせる必要がある。一方で、偏光膜を薄くして偏光膜に発生する伸縮力を小さくすることにより、偏光膜と貼り合わされた保護フィルムや位相差層の厚みを薄く設計することができ、光学積層体全体の厚みを薄くすることができる。更に、偏光膜の厚みが薄く周囲の環境の変化により偏光膜に発生する伸縮力が小さく事により、貼り合わされた部材との間で発生する応力が小さくなり貼り合わされた部材に発生する光学的な歪も抑制される効果がある。
【0139】
上記の方法で得られた偏光膜の単体透過率及び偏光度は、以下の方法で測定した。偏光膜の単体透過率T、平行透過率Tp、直交透過率Tcは、紫外可視分光光度計(日本分光社製V7100)を用いて測定した。これらのT、Tp、Tcは、JIS Z 8701の2度視野(C光源)により測定して視感度補正を行なったY値である。測定において、偏光膜の取り扱いを容易にするため、偏光膜に保護フィルム(アクリル系樹脂フィルム、またはシクロオレフィン系樹脂フィルム)を貼合せた状態で行われた。保護フィルムの吸光は、偏光膜の吸光と比べて無視できる程小さいため、積層体の透過率を偏光膜の透過率とした。偏光度Pを上記の透過率を用い、次式により求めた。
偏光度P(%)={(Tp−Tc)/(Tp+Tc)}1/2×100
上記の方法で得られた偏光膜の単体透過率は42.5%であり、偏光度は99.99%以上であった。しかし、本発明では、上記の値だけでなく、他の単体透過率及び偏光度を有する偏光膜を用いてもよい。例えば、偏光膜の単体透過率は、40.0%以上であってもよく、好ましくは41.0%以上、より好ましくは41.5%以上、特に好ましくは42.0%以上であるが、これに限られない。また、偏光膜の偏光度は、例えば、好ましくは99.8%以上であってもよく、好ましくは99.9%以上、より好ましくは99.95%以上、特に好ましくは99.99%以上であるが、これに限られない。
【0140】
<保護フィルムの作成>
偏光膜を保護する保護フィルムは、任意の適切な樹脂フィルムを採用することができる。例えば、保護フィルムの材料として、ノルボルネン系樹脂等のシクロオレフィン系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂等を用いることができる。なお、「(メタ)アクリル系樹脂」とは、アクリル系樹脂および/またはメタクリル系樹脂をいう。また、保護フィルムの厚みは、典型的には10μmから50μmであり、好ましくは15μmから45μmであるが、他の厚さであってもよい。本実験においては、厚さ20μmの(メタ)アクリル系樹脂を用いた。
【0141】
<実施例A>
上記の通り作成されたA-PETフィルム上に積層された厚みが5μmの偏光膜に対し、A-PETとは反対側の面に、光硬化型接着剤を介して、上記の通り作成された厚さ20μmのアクリル系保護フィルムを貼り合せた。更に、この積層体からPETフィルムを剥離して、偏光膜と保護フィルムとからなる偏光フィルムを得た。次に偏光膜と保護フィルムとからなる偏光フィルムの偏光膜側の面に、厚み20μmの上記実施例1と同様のアクリル系粘着剤層を介して、東レフィルム加工株式会社製のセパレータ(商品名:セラピール、厚み38μm)を貼り合せ、2日間保管した後、粘着剤層の粘着力を低下させるために、セパレータを剥離し、再度剥離したセパレータを貼り合せた。更に、偏光膜と保護フィルムとからなる偏光フィルムの保護フィルム側の面に、厚み5μmのアクリル系接着層を介して、住友スリーエム社製の輝度向上フィルム(商品名:APF、厚み20μm)を貼り合せて実施例Aとしての偏光板1を作製した。
【0142】
<実施例B>
実施例Aとして作製した偏光板1を1か月間、常温で保存して、実施例Bとしての偏光板2を作製した。
【0143】
<実施例C>
実施例Aとして作製した偏光板1を3か月間、常温で保存して、実施例Cとしての偏光板3を作製した。
【0144】
<実施例D>
上記の通り作成されたA-PETフィルムに積層された厚みが5μmの偏光膜に対し、A−PETとは反対側の面に、光硬化型接着剤を介して厚さ40μmのアクリル系保護フィルムを貼り合せた。更に、この積層体からPETフィルムを剥離して、偏光膜と保護フィルムとからなる偏光フィルムを得た。次に偏光膜と保護フィルムとからなる偏光フィルムの偏光膜側の面に、厚み20μmの上記実施例1のアクリル系粘着剤層を介して、実施例Aと同一のセパレータ(厚み38μm)を貼り合せ、2日間保管した後、セパレータを剥離し、再度剥離したセパレータを貼り合せた。更に、偏光膜と保護フィルムとからなる偏光フィルムの保護フィルム側の面に、厚み5μmのアクリル系接着層を介して、実施例Aと同一の輝度向上フィルム(厚み30μm)を貼り合せて、実施例Dとしての偏光板4を作製した。
【0145】
<実施例E>
セパレータを剥離し、再度剥離したセパレータを貼り合せる工程を行わないこと及び粘着剤の過酸化物の量を0.3部から0.2部に減らしたことと以外は実施例Aと同様の方法により実施例Eとしての偏光板5を作製した。
【0146】
<実施例F>
セパレータを剥離し、再度剥離したセパレータを貼り合せる工程を行わないこと及び粘着剤の過酸化物の量を0.3部から0.17部に減らしたこと以外は実施例Dと同様の方法により実施例Fとしての偏光板6を作製した。
【0147】
<比較例A>
セパレータを剥離し、再度剥離したセパレータを貼り合せる工程を行わないこと以外は実施例Aと同様の方法により比較例Aとしての偏光板7を作製した。
【0148】
<比較例B>
セパレータを剥離し、再度剥離したセパレータを貼り合せる工程を行わないこと以外は実施例Dと同様の方法により比較例Bとしての偏光板8を作製した。
【0149】
<セパレータに対する剥離力>
本発明では、セパレータを偏光フィルムから剥離するために必要な力である剥離力を測定して、指標とすることによって、粘着剤層の粘着力を規定する。そこで、偏光フィルムに対するセパレータの剥離力の測定を以下の方法で行った。検査環境として、温度23±2℃、湿度65±15%の環境で測定を行った。また、引張試験機には、島津製作所製のオートグラフを剥離力の測定に使用した。この引張試験機は、JISB7221に規定する引張試験機、又はこれに準ずるものである。測定には、後述の実施例AからE及び比較例AからCの偏光板を切断して、長さ150mm×幅50mmの大きさにしたサンプルを用いた。また、
図1に示す剥離力試験用の治具100を用意した。この治具100は、金属板101に、偏光板を固定するクリップ102を取り付けたものである。さらに、セパレータに貼り付けて、セパレータを剥離方向へ導いて偏光板から剥離させる導き用のテープを用意した。
【0150】
図2に剥離力測定の実験状況を示す。本実験に用いた引張試験機200は、上側部201と下側部201を有し、剥離力測定対象の一方の側を上側部で把持し、他方を下側部で把持して、上側部が、上方へ移動するために必要とした力を測定することによって、剥離力を測定するものである。まず、
図2において手前の面が粘着面になるように導き用のテープ210の一端を引張試験機の上側部201に把持させた。また、引張試験機の下側部202には、剥離力試験用治具100を固定した。このとき治具のクリップ102の口は、
図2に示すように上側を向いている。測定対象となる偏光板のサンプル220は、長さ150mmの内20mm分のセパレータ221を予め手で剥がす。そして、セパレータ221が図面手前側になるような向きで、偏光板の、セパレータが剥がされた部分222を剥離力試験用の治具のクリップ102に固定し、偏光板から剥がされたセパレータ221を導き用のテープ210に貼りつけた。そして、引張試験機の上側部201を上方に移動させて、セパレータを上方(すなわち、剥離前の、偏光膜に接着した状態におけるセパレータの延びる方向から180度の角度)に導き、偏光板からセパレータを剥がすことによって、剥離力を測定した。引張速度は、300mm/minとした。
【0151】
<ガラス板に対する剥離力>
ガラス板に対する粘着剤層の接着力の測定は、セパレータに対する剥離力の測定方法と同様の検査環境で、同一の引張試験機を用いて行った。測定対象の偏光板を切断して、25mm×100mmの大きさにして、セパレータを剥がして偏光フィルムとした。そして、むき出しとなった粘着剤層を無アルカリガラス板に貼りつけた。
【0152】
そして、セパレータに対する剥離力の測定の場合と同様に、導き用のテープを、引張試験機の上側部に把持させた。また、偏光フィルムの100mmの内20mm分を予め手で剥がしておいた。そして、偏光板が貼られた面を上面として、引張試験機の下側部にガラス板を水平に固定し、偏光板のガラス板から剥がされた部分を導き用のテープに貼りつけた。引張試験機の上側部を上方に移動させて、偏光板を上方(すなわち、水平方向から90度の角度)に導き、ガラス板から偏光板を剥がすことによって、剥離力を測定した。引張速度は、300mm/minとした。
【0153】
<セパレータ剥離の確認>
実際に偏光板からセパレータを剥がす際に不具合が発生しないか、確認するために、
図3に示す吸着固定装置300を用いて、以下の実験を各偏光板のサンプル310に対して行った。吸着固定装置300は、複数の吸着口302が設けられた吸着ステージ301と、吸着口302を通じて吸着ステージ301内部に配置された空気通路303と、空気通路の出口に接続されたエア配管304と、エア配管の先端に接続された真空ポンプ305から構成される。吸着固定装置300は、真空ポンプ305によって、エア配管304及び空気通路303を介して、吸着口302において空気を吸い込み、吸着力を発生させる。この吸着力によって、吸着ステージ301に配置された偏光膜のサンプル310を吸着ステージ301面に固定することができる。
図3に示すように、吸着口302を下方に向けた吸着ステージ301に偏光板のサンプル310の輝度向上フィルム側を吸着させて固定し、粘着テープを下方からセパレータの一端に貼り付けて、粘着テープを引っ張ることにより、セパレータを剥離して、偏光板が吸着ステージから脱落しないか、確認を行った。偏光板の吸着力は、真空ポンプ305の吸引強さ(ポンプの回転数)によって調整することができ、45KPa(キロパスカル)とした。また、比較例Aについては、吸着固定装置300の吸着力を70KPaとした比較実験も比較例A’として行った。
【0154】
上記の実験の実験結果を表4に示す。
【0155】
【表4】
【0156】
表4に示す通り、実施例AからFの場合には、吸着ステージから偏光フィルムを脱落させることなく、セパレータを偏光フィルムから剥離することができた。また、セパレータを剥離した後に、偏光フィルムを目視検査したが、偏光フィルムに吸着跡は付いていなかった。実施例AからFの粘着剤層は、粘着剤層に対するセパレータの剥離力が、0.10N/50mm幅以下となる粘着力を有することから、少なくとも剥離力が、0.10N/50mm幅以下となる粘着力の場合には、80μmや50μmなど90μm以下の厚さを有する薄型の偏光フィルムであっても不具合なく、セパレータを剥離することが可能となる。
【0157】
一方で、比較例A及びBの実験結果では、セパレータを偏光フィルムから剥離する際に、偏光フィルムが吸着固定装置から脱落してしまった。比較例A及びBの粘着剤層は、粘着剤層に対するセパレータの剥離力が0.14N/50mm幅となる粘着力を有するので、セパレータを剥離するためには、実施例と比較して強い剥離力を必要とする。この強い剥離力が、セパレータ及び粘着剤層を介して、偏光フィルムに加わり、吸着ステージから偏光フィルムが脱落したと考えられる。また、脱落の原因として、薄型の偏光フィルムでは、剛性が低いことから、剥離力が偏光フィルムまで伝わり易くなったことも考えられる。したがって、薄型の偏光フィルムでは、セパレータの剥離力が高い粘着剤を採用すると、脱落が生じるおそれがあり、偏光フィルムからセパレータを剥離する工程を実施することが困難となる。
【0158】
比較例A’は、粘着剤層に対するセパレータの剥離力が0.14N/50mm幅となる粘着力を有するが、偏光フィルムの吸着固定装置への吸着力も70KPaと高いので、セパレータの剥離工程において、偏光フィルムが、吸着固定装置から脱落することはない。しかしながら、セパレータを剥離した後に偏光フィルムを目視すると、吸着ステージの吸着痕が偏光フィルムに残っていた。液晶表示装置パネルにおいて吸着痕があると、画像が正しく表示されなくなるため、吸着痕を持つ偏光フィルムを製品に使用することはできない。したがって、吸着痕が残らないような吸着固定装置への吸着力が小さい場合であっても、偏光フィルムが脱落することなくセパレータを剥離するために、セパレータに対する偏光フィルムの剥離力を低くする必要がある。
【0159】
また、ガラス板に対する粘着剤層の粘着力が2.0N/25mm幅以上5.0N/25mm幅以下であることが好ましい。当該粘着力が2.0N/25mm幅未満であると、液晶セル(ガラス板)から偏光フィルムが剥離してしまう不具合が発生することがある。例えば、85℃のオーブンに500時間投入する加温耐久性試験を行うと、偏光膜が加温により収縮するので、粘着力が2.0N/25mm幅未満であると、偏光膜がガラス板から剥離してしまう不具合が発生する場合がある。逆に、当該粘着力が5.0N/25mm幅を超えると、例えば、偏光フィルムに傷がついた場合等、液晶セルに貼り合せた偏光フィルムを剥離する必要が発生したときに、偏光フィルムが破断してしまって剥離できない(リワークできない)不具合が発生することがある。
【0160】
実際に、実施例AからF並びに比較例A及びBの粘着剤層のガラス板に対する粘着力が、2.0N/25mm幅以上であるところ、上記の加温耐久性試験を行っても、偏光フィルムがガラス板から剥離してしまうという不具合を発生することはなかった。また、実施例AからF並びに比較例A及びBのいずれも粘着剤層のガラス板に対する粘着力が、5.0N/25mm幅以下であることから、偏光フィルムを液晶セルから剥離することができた。したがって、いずれの実施例及び比較例の粘着剤層も、ガラス板に対する適切な粘着力を有する。
【0161】
上記の実験結果より、粘着剤層に対するセパレータの剥離力が0.10N/50mm幅以下となる粘着力を有する粘着剤層であれば、吸着痕が残らない吸着力で薄型の偏光フィルムをステージに固定した場合に、脱落をすることなく、セパレータを剥がすことができることがわかるが、上記の実施例AからFに限って、かかる効果を有するものではなく、セパレータに対する偏光フィルムの剥離力が0.10N/50mm幅以下であれば、種々の光学積層体において発揮されるものである。例えば、表3に記載の実施例3、実施例5、実施例6、実施例13及び実施例14も、セパレータに対する偏光フィルムの剥離力が0.10N/50mm幅以下であるため、同様の効果を有することがわかる。また、上記効果を有する光学フィルム積層体は、剥離処理されたセパレータの剥離処理面に、(メタ)アクリル系ポリマー、過酸化物およびフェノール系酸化防止剤を含有する粘着剤組成物の層を形成する第1工程と、前記第1工程の後に前記粘着剤組成物を加熱し、架橋させて、粘着剤層を形成する第2工程とを含むことを特徴とするセパレータ付粘着剤層の製造方法によって作成された粘着剤層と偏光フィルムとを積層させることによって作成することができる。