【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、独立請求項において医療機器、コンピュータプログラム製品、及び方法を提供する。従属請求項では実施形態が与えられる。
【0007】
当業者によって理解されるように、本発明の側面は、装置、方法、又はコンピュータプログラム製品として具現化され得る。したがって、本発明の側面は、完全なハードウェア実施形態、完全なソフトウェア実施形態(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコード等)、又はソフトウェア側面とハードウェア側面とを組み合わせる実施形態を取り、いずれもが本明細書において概して「回路」、「モジュール」、又は「システム」と呼ばれ得る。更に、本発明の側面は、コンピュータ実行可能コードを含む1つ以上のコンピュータ読み取り可能媒体内に具現化されたコンピュータプログラム製品の形態を取り得る。
【0008】
1つ以上のコンピュータ読み取り可能媒体の任意の組み合わせが使用され得る。コンピュータ読み取り可能媒体は、コンピュータ読み取り可能信号媒体又はコンピュータ読み取り可能記憶媒体であり得る。本明細書で使用される「コンピュータ読み取り可能記憶媒体」は、コンピューティングデバイスのプロセッサにより実行可能な命令を記憶可能なあらゆる有形記憶媒体を含む。コンピュータ読み取り可能記憶媒体は、コンピュータ読み取り可能非一時的記憶媒体と称され得る。また、コンピュータ読み取り可能記憶媒体は有形コンピュータ読み取り可能媒体とも称され得る。一部の実施形態では、コンピュータ読み取り可能記憶媒体は、コンピューティングデバイスのプロセッサがアクセス可能なデータを記憶可能であってもよい。コンピュータ読み取り可能記憶媒体の例は、限定されないが、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ハードディスクドライブ、ソリッドステートハードディスク、フラッシュメモリ、USBサムドライブ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、光学ディスク、光磁気ディスク、及びプロセッサのレジスタファイルを含む。光学ディスクの例はコンパクトディスク(CD)及びデジタルバーサタイルディスク(DVD)、例えばCD−ROM、CD−RW、CD−R、DVD−ROM、DVD−RW、又はDVD−Rディスクを含む。コンピュータ読み取り可能記憶媒体との用語は、ネットワーク又は通信リンクを介してコンピュータデバイスによってアクセスされ得る多様な記録媒体も指す。例えば、データはモデム、インターネット、又はローカルエリアネットワークを介して引き出され得る。コンピュータ読み取り可能媒体上に組み込まれるコンピュータ実行可能コードは、限定はされないが、無線、有線、光ファイバケーブル、RF等、又はこれらの任意の適切な組み合わせを含む任意の適切な媒体を使用して送信され得る。
【0009】
コンピュータ読み取り可能信号媒体は、例えばベースバンド内に又は搬送波の一部としてコンピュータ実行可能コードが組み込まれた伝搬データ信号を含み得る。このような伝搬信号は多様な形態を取り、限定はされないが、電磁的形態、光学的形態、又はこれらの任意の適切な組み合わせが含まれる。コンピュータ読み取り可能信号媒体は、コンピュータ読み取り可能記憶媒体ではない、命令実行システム、装置、又はデバイスによって又はこれらと共に使用されるプログラムを伝送、伝搬、又は輸送し得る任意のコンピュータ読み取り可能媒体であり得る。
【0010】
「コンピュータメモリ」又は「メモリ」は、コンピュータ読み取り可能記憶媒体の一例である。コンピュータメモリは、プロセッサに直接アクセス可能な任意のメモリである。「コンピュータストレージ」又は「ストレージ」は、コンピュータ読み取り可能記憶媒体の更なる例である。コンピュータストレージは任意の不揮発性コンピュータ読み取り可能記憶媒体である。一部の実施形態ではコンピュータストレージはコンピュータメモリであり、その逆も成り立つ。
【0011】
本明細書で使用される「プロセッサ」は、プログラム、マシン実行可能命令、又はコンピュータ実行可能コードを実行可能な電子コンポーネントを含む。「プロセッサ」を含むコンピューティングデバイスへの言及は、2つ以上のプロセッサ又は処理コアを含み得ると解されるべきである。プロセッサは例えばマルチコアプロセッサであり得る。また、プロセッサは、単一のコンピュータシステム内の又は複数のコンピュータシステムに分散されたプロセッサの集合も指し得る。コンピューティングデバイスとの用語も、それぞれが1つ又は複数のプロセッサを含むコンピューティングデバイスの集合又はネットワークを指し得ると解されるべきである。コンピュータ実行可能コードは、同じコンピューティングデバイス内の、又は場合によっては複数のコンピューティングデバイスにわたって分散され得る複数のプロセッサによって実行され得る。
【0012】
コンピュータ実行可能コードは、プロセッサに本発明の側面を実行させるマシン実行可能命令又はプログラムを含み得る。本発明の側面に関する動作を実行するためのコンピュータ実行可能コードは、Java(登録商標)、Smalltalk、C++等のオブジェクト指向プログラミング言語、及びCプログラミング言語等の従来の手続き型プログラミング言語を含む1つ以上のプログラミング言語の任意の組み合わせで書かれ、マシン実行可能命令にコンパイルされ得る。一部の場合では、コンピュータ実行可能コードは高級言語の形態又はプリコンパイルされた形態を取り、オンザフライでマシン実行可能命令を生成するインタープリターと併せて使用され得る。
【0013】
コンピュータ実行可能コードは、全体としてユーザーコンピュータ上で、部分的にユーザーコンピュータ上で、スタンドアローンソフトウェアパッケージとして、部分的にユーザーコンピュータ上で及び部分的に遠隔コンピュータ上で、又は全体として遠隔コンピュータ若しくはサーバ上で実行され得る。後者のシナリオでは、遠隔コンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)又は広域ネットワーク(WAN)を含む任意の種類のネットワークを介してユーザーコンピュータに接続されてもよく、又は、(例えば、インターネットサービスプロバイダを使用してインターネットを介して)外部コンピュータへの接続が確立されてもよい。
【0014】
本発明の側面は、本発明の実施形態に係る方法、装置(システム)、及びコンピュータプログラム製品のフローチャート、図面、及び/又はブロック図を参照して説明される。フローチャート、図面、及び/又はブロック図の各ブロック又は一部のブロックが、該当する場合は、コンピュータ実行可能コードの形態でコンピュータ実行可能命令によって実装され得ることが理解されよう。また、相容れない場合を除き、異なるフローチャート、図面、及び/又はブロック図のブロックが組み合わせられ得ることが理解される。これらのコンピュータプログラム命令は、マシンを生成するために汎用コンピュータ、特定用途向けコンピュータ、又は他のプログラム可能データ処理装置に提供されてもよく、コンピュータ又は他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサを介して実行される命令が、フローチャート及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロック内に指定される機能/動作を実現するための手段を作成し得る。
【0015】
また、これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータ、他のプログラム可能データ処理装置、又は他のデバイスに特定の態様で機能するよう命令し得るコンピュータ読み取り可能媒体内に記憶されてもよく、コンピュータ読み取り可能媒体内に記憶された命令が、フローチャート及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロック内に指定される機能/動作を実現する命令を含む製品を生成してもよい。
【0016】
また、コンピュータプログラム命令はコンピュータ、他のプログラム可能データ処理装置、又は他のデバイス上にロードされ、コンピュータ又は他のプログラム可能デバイス上で実行される命令がフローチャート及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロック内に指定される機能/動作を実現するためのプロセスを提供するよう、コンピュータ、他のプログラム可能装置、又は他のデバイス上で一連の動作ステップを実行させ、コンピュータ実行プロセスを生成してもよい。
【0017】
本明細書で使用される「ユーザーインターフェイス」は、ユーザー又はオペレータがコンピュータ又はコンピュータシステムとインタラクトすることを可能にするインターフェイスである。「ユーザーインターフェイス」は、「ヒューマンインターフェイスデバイス」とも称され得る。ユーザーインターフェイスは、オペレータに情報若しくはデータを供給しかつ/又はオペレータから情報若しくはデータを受信し得る。ユーザーインターフェイスは、オペレータからの入力がコンピュータによって受信されることを可能にし、コンピュータからユーザーへの出力を提供し得る。言い換えれば、ユーザーインターフェイスは、オペレータがコンピュータを制御又は操作することを可能にし、また、コンピュータがオペレータの制御又は操作の結果を示すことを可能にし得る。ディスプレイ又はグラフィカルユーザーインターフェイス上のデータ又は情報の表示は、オペレータへの情報提供の一例である。キーボード、マウス、トラックボール、タッチパット、ポインティングスティック、グラフィックスタブレット、ジョイスティック、ゲームパッド、ウェブカム、ヘッドセット、ギアスティック、ステアリングホイール、ペダル、データグローブ、ダンスパッド、リモコン、及び加速度計を介するデータの受信は、いずれも、オペレータから情報又はデータを受信することを可能にするユーザーインターフェイス要素の例である。
【0018】
本明細書で使用される「ハードウェアインターフェイス」は、コンピュータシステムのプロセッサが外部コンピューティングデバイス及び/又は装置とインタラクト又はこれらを制御することを可能にするインターフェイスを含む。ハードウェアインターフェイスは、プロセッサが外部コンピューティングデバイス及び/又は装置に制御信号又は命令を送信することを可能にし得る。また、ハードウェアインターフェイスは、プロセッサが外部コンピューティングデバイス及び/又は装置とデータを交換することを可能にし得る。ハードウェアインターフェイスの例は、限定はされないが、ユニバーサルシリアルバス、IEEE−1394ポート、パラレルポート、IEEE−1284ポート、シリアルポート、RS−232ポート、IEEE−488ポート、Bluetooth(登録商標)接続、無線ローカルエリアネットワーク接続、TCP/IP接続、イーサネット(登録商標)接続、制御電圧インターフェイス、MIDIインターフェイス、アナログ入力インターフェイス、及びデジタル入力インターフェイスを含む。
【0019】
本明細書で使用される「ディスプレイ」又は「ディスプレイデバイス」は、画像又はデータを表示するよう適合された出力デバイス又はユーザーインターフェイスを含む。ディスプレイは視覚的、聴覚的、及び/又は触覚的データを出力し得る。ディスプレイの例は、限定はされないが、コンピュータモニタ、テレビ画面、タッチスクリーン、触覚電子ディスプレイ、点字スクリーン、ブラウン管(CRT)、蓄積管、バイステーブルディスプレイ、電子ペーパー、ベクターディスプレイ、フラットパネルディスプレイ、蛍光表示管(VF)、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、ELディスプレイ(ELD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオードディスプレイ(OLED)、プロジェクター、及びヘッドマウントディスプレイを含む。
【0020】
本明細書で使用される「超音波窓」は、超音波又はエネルギーを透過可能な窓を含む。典型的には、薄膜又はメンブレンが超音波窓として使用される。超音波窓は、例えば、BoPET(biaxially−oriented polyethylene terephthalate)の薄膜によって形成され得る。
【0021】
本発明の一側面は、対象を超音波処理するための高密度焦点式超音波治療システムを含む医療機器を提供する。医療機器は、医療機器を制御するためのプロセッサを更に含む。医療機器は、更に、プロセッサによる実行のためのマシン実行可能命令を記憶するためのメモリを含む。命令の実行により、プロセッサは、高密度焦点式超音波治療システムによる対象の先の超音波処理を表す超音波処理データを生成する。先の超音波処理データは、先の超音波処理のために高密度焦点式超音波治療システムを制御するために使用され、又は、様々な超音波処理点の位置及びそれらが高密度焦点式超音波治療システムによって如何に超音波処理されたかを表すデータであり得る。先の超音波処理データは、本質的に、超音波が如何に対象に入射し及び集束したかを表す。また、先の超音波処理データは、先の超音波処理に用いられた時間、期間、及びパワーを含み得る。
【0022】
命令の実行により、プロセッサは更に、先の超音波処理データ及び熱音響モデルを用いて対象の熱特性マップを構築する。熱特性マップは空間依存性及び時間依存性である。すなわち、熱特性マップは熱特性を空間的に表し、また時間依存性である。例えば、熱特性が温度又は経時的に対象に蓄積したエネルギー密度である場合、エネルギーは放散し、温度は通常の体温に戻る。命令の実行により、プロセッサは更に、熱音響モデル及び熱特性マップを用いて最大エネルギーマップを決定する。最大エネルギーは時間依存性である。最大エネルギーマップは、対象のボリューム内に蓄積され得る最大エネルギーを表す。この最大エネルギーは、熱音響モデルを用いた計算を行い、空間的に異なる位置における別の超音波処理の実行の効果をモデル化することにより決定され得る。
【0023】
典型的には、超音波が高密度焦点式超音波治療システムの焦点までの経路で対象を通過するので、特定の位置の最大エネルギーが先の超音波処理によって制限され得る。特に、近傍領域は、高密度焦点式超音波治療システムのためのトランスデューサと焦点との間の領域である。超音波処理を繰り返し実行することにより、近傍領域は加熱され得る。近傍領域の過熱を防ぐために、かかる超音波処理点を後で超音波処理することを可能にすることが必要であり得る。命令の実行により、プロセッサは更に、ユーザーインターフェイスから少なくとも1つの超音波処理ボリュームの選択を受け取る。本明細書で使用される「超音波処理ボリューム」は、超音波処理されると決定又は選択された対象のボリュームである。本質的には、医療機器のオペレータは最大エネルギーマップを見て、自身が現在エネルギーを蓄積させることができる対象の領域を知ることができる。このデータを空間的に表示することにより、オペレータは医療機器をより効率的に使用できる可能性がある。最大エネルギーマップを表示することは、オペレータがすぐに又は少しの時間の後に超音波処理することができる領域を識別し得る。これは、高密度焦点式超音波治療システムに関するダウンタイム及びコストを低減し得る。
【0024】
他の実施形態では、高密度焦点式超音波治療システムは、超音波を超音波処理ボリュームに集束させるよう動作する超音波トランスデューサを含む。超音波処理ボリュームは、インターフェイスを用いて選択された少なくとも1つの超音波処理ボリュームのうちの1つであり得る。熱音響モデルは、対象の超音波処理領域内の熱特性マップを決定するために使用され得る。本明細書で使用される「超音波処理領域」は、測定可能な又は多量の超音波が対象を通過する対象の領域を含む。これは超音波処理ボリュームだけでなく、近傍領域及び遠方領域も含む。熱音響モデルは、熱特性マップ及び予測超音波ビーム形状を用いて超音波処理領域内の予測熱特性マップを決定するために使用され得る。
【0025】
超音波ビーム形状は、超音波トランスデューサモデル及びユーザーインターフェイスからの少なくとも1つの超音波処理ボリュームの選択を用いて決定され得る。すなわち、熱特性マップ及び熱音響モデルを用いて、少なくとも1つの超音波処理ボリュームの超音波処理の効果を予測することができる。予測熱特性マップは熱特性を表す。予測熱特性マップは空間依存性である。一部の実施形態では、熱特性マップは時間依存性でもあり得る。熱音響モデルは、予測熱特性マップ内の最大熱特性を所定の最大値に制限することにより、超音波処理ボリューム毎の最大パワーを決定するために使用され得る。例えば、熱音響モデルは近傍領域をモデル化し、近傍領域が複数の超音波処理によって過熱しないことを保証し得る。
【0026】
一部の実施形態では、超音波処理領域について熱特性マップを決定する代わりに、熱特性マップは超音波トランスデューサと超音波処理ボリュームとの間の近傍領域に制限され得る。対象が均質であると仮定することにより、近傍領域内の熱特性マップを計算することがより容易な可能性があるので、これは一部の実施形態において有益であり得る。
【0027】
他の実施形態では、命令の実行により、プロセッサは更に、ビーム形状、最大パワー、及び熱音響モデルを用いてエネルギーインテンシティマップを計算する。命令の実行により、プロセッサは更に、エネルギーインテンシティマップをディスプレイ上に表示させる。本明細書で使用される「エネルギーインテンシティマップ」は、高密度焦点式超音波治療システムのビーム経路内のエネルギー密度を推定する空間的マッピングである。本実施形態では、エネルギーインテンシティマップ及び最大エネルギーマップの両方がディスプレイ上に表示される。代わりに、エネルギーインテンシティマップのみが表示されてもよい。
【0028】
他の実施形態では、超音波トランスデューサは複数の超音波トランスデューサ素子を含む。複数の超音波トランスデューサ素子は制御可能である。制御可能とは、本明細書では、トランスデューサ素子に供給される電力の位相及び/又は振幅が個別に又はグループとして制御され得ると理解されたい。複数の超音波トランスデューサ素子は、超音波トランスデューサと超音波処理ボリュームとの間の超音波ビーム経路を調節するために使用され得る。予測超音波ビーム形状は超音波ビーム経路を表す。熱音響モデルは、更に、ビーム経路超音波トランスデューサモデルを用いて超音波ビーム形状への調節を計算することによって予測熱特性を決定するために使用され得る。本質的には、ビームの経路がモデルを用いて近似又は予測され得る。レイトレーシング法又はビーム経路を表す幾何学的形状を仮定する等の単純なモデルは、これの計算的に簡単な計算方法である。
【0029】
予測超音波ビーム形状は、超音波トランスデューサによって生成される超音波のビーム経路である。
【0030】
他の実施形態では、超音波処理において超音波ビーム形状の調節が用いられる。
【0031】
他の実施形態では、医療機器は、超音波トランスデューサを動かすための超音波トランスデューサアクチュエータを更に含む。超音波トランスデューサアクチュエータはトランスデューサ位置を決定する。命令の実行により、プロセッサは更に、トランスデューサ位置の調節を計算することにより、及びトランスレーショナル超音波トランスデューサモデルを用いることにより、予測熱特性マップを決定する。電子的に操縦可能であることに加えて、超音波トランスデューサは空間的に移動可能であり得る。これは、超音波がどこに集束されるかを制御するために使用され得る。
【0032】
本明細書において、磁気共鳴(MR)データは、MRIスキャン中のMR装置のアンテナによる原子スピンによって放射されたRF信号の記録された測定結果として定められる。本明細書において、MRI画像は、MRIデータ内に含まれる解剖学的データの再構成された二次元又は三次元の可視化として定義される。この可視化はコンピュータによって実行され得る。
【0033】
本明細書において、MRサーモメトリーデータは、MRサーモメトリーのために使用され得る情報を含むMRIスキャン中のMR装置のアンテナによる原子スピンによって放射されたRF信号の記録された測定結果として定義される。MRサーモメトリーは、温度感受性パラメータにおける変化を測定することによって機能する。MRサーモメトリー中に測定され得るパラメータの例は、プロトン共鳴周波数シフト、拡散係数、又はT1及び/若しくはT2緩和時間における変化が磁気共鳴を利用して温度を測定するために使用され得る。個別のプロトン、水素原子が体験する磁場は周囲の分子構造に依存するので、プロトン共鳴周波数シフトは温度依存性である。温度が水素結合に影響することにより、温度上昇は分子スクリーニングを低減させる。これは、プロトン共鳴周波数の温度依存性をもたらす。
【0034】
プロトン密度は、平衡磁化に線形依存する。したがって、プロトン密度強調画像を用いて温度変化を求めることができる。
【0035】
緩和時間T1、T2、及びT2スター(T2
*とも記される)も温度依存性である。したがって、T1、T2、T2スター強調画像の再構成は、熱又は温度マップを構築するために使用され得る。
【0036】
温度は水溶液内の分子のブラウン運動にも影響を及ぼす。したがって、パルス拡散勾配スピンエコー等、拡散係数を測定可能なパルスシーケンスが温度を測定するために使用され得る。
【0037】
磁気共鳴を利用して温度を測定する最も有用な方法の1つは、水プロトンのプロトン共鳴周波数(PRF)シフトを測定することによる。プロトンの共鳴周波数は温度依存性である。ボクセル内の温度が変化すると、周波数シフトが水プロトンの測定される位相を変化させる。したがって、2つの位相画像間の温度変化を求めることができる。この温度決定方法は、他の方法と比べて比較的速いという利点を有する。本明細書において、PRF法は他の方法よりも詳しく論じられる。しかし、本明細書で論じられる方法及び技術は、MRIによるサーモメトリーを実行する他の方法にも適用可能である。
【0038】
他の実施形態では、医療機器は、撮像ゾーンから熱的磁気共鳴データを取得するためのMRIシステムを更に含む。超音波処理領域は撮像ゾーン内に含まれる。命令の実行により、プロセッサは更に、超音波処理領域から磁気共鳴熱データを繰り返し取得する。命令の実行により、プロセッサは更に、繰り返し取得された磁気共鳴熱データを用いて温度変化レートマップを再構成する。
【0039】
他の実施形態では、高密度焦点式超音波治療システムをガイドするために使用される磁気共鳴データを取得するためにMRIシステムが使用される。例えば、対象の位置に医用画像が記録され、ディスプレイ上に表示され得る。
【0040】
他の実施形態では、命令の実行により、プロセッサは、温度変化レートマップをディスプレイ上に表示する。温度変化レートマップは、超音波処理する場所を決定する上で有用な対象の組織の特性を示し得るので、本実施形態は有益であり得る。
【0041】
他の実施形態では、命令の実行により、プロセッサは更に、温度変化レートマップを用いて熱音響モデルを変更する。例えば、熱音響モデルは、特定の位置において所定のレートでエネルギー又は温度が放散すると見なし得る。温度が変化するレートを実際に測定することにより、特定の対象のために熱音響モデルが更新又は補正され得る。
【0042】
他の実施形態では、命令の実行により、プロセッサは更に、超音波処理エネルギーを受け取る。命令の実行により、プロセッサは更に、超音波処理エネルギー及び熱音響モデルを用いて冷却時間マップを決定する。冷却時間は空間依存性であり、選択された超音波処理ボリュームが超音波処理エネルギーでいつ超音波処理可能であるかを表す。本明細書において、選択された超音波処理ボリュームは、超音波処理されると選択された任意のボリュームとして定められる。冷却時間マップは時間依存性である。命令の実行により、プロセッサは更に、冷却時間マップをディスプレイ上に表示させる。冷却時間マップは、ユーザーインターフェイスから少なくとも1つの超音波処理ボリュームの選択が受け取られる前に、ユーザーインターフェイス上に表示される。超音波処理エネルギーは、例えば事前に定められてもよく、ユーザーインターフェイスから入力されてもよく、又は治療計画若しくは他の命令から受け取られてもよい。
【0043】
本明細書で使用される超音波処理パワーは、超音波処理ボリュームに集められるパワーである。
【0044】
他の実施形態では、冷却時間マップは、また、高密度焦点式超音波治療システムのためのビーム経路の変化を用いて決定される。例えば、マップ内の特定の領域について冷却時間が表示されるよう、ビーム経路が変更され得る。
【0045】
他の実施形態では、命令の実行により、プロセッサは更に、超音波処理期間を受ける。最大エネルギーマップは、最大パワーマップとして表現される。エネルギーマップを表示する代わりに、所与の時間において対象の特定のボリュームにオペレータが向けることができる最大パワーに関して、最大エネルギーマップが表示される。超音波処理期間はユーザーインターフェイスを介して受け取られ、事前に定められてもよく、又は治療計画等の命令を介して受け取られてもよい。
【0046】
他の実施形態では、命令の実行により、プロセッサは、少なくとも1つの超音波処理ボリュームの選択を用いて超音波処理コマンドを生成する。命令の実行により、プロセッサは更に、超音波処理コマンドを用いて、少なくとも1つの超音波処理ボリュームを超音波処理するよう高密度焦点式超音波治療システムを制御する。
【0047】
他の実施形態では、命令の実行により、プロセッサは更に、熱特性マップ、超音波処理コマンド、及び熱音響モデルを用いて更新された最大パワーマップを決定する。更新された最大エネルギーマップは時間依存性であり、また、空間依存マッピングであってもよい。
【0048】
命令の実行により、プロセッサは更に、更新されたエネルギーマップをディスプレイ上に表示する。命令の実行により、プロセッサは更に、更新された少なくとも1つの超音波処理ボリュームの選択をユーザーインターフェイスから受け取る。
【0049】
他の実施形態では、熱特性は温度である。
【0050】
他の実施形態では、熱特性は加熱量(thermal dose)である。
【0051】
他の実施形態では、熱特性はエネルギー密度である。
【0052】
本発明は他の側面において、医療機器を制御するプロセッサによる実行のためのマシン実行可能命令を含むコンピュータプログラム製品を提供する。医療機器は、対象を超音波処理するための高密度焦点式超音波治療システムを含む。命令の実行は、プロセッサに、高密度焦点式超音波治療システムによる対象の先の超音波処理を表す先の超音波処理データを受け取らせる。命令の実行は、プロセッサに更に、先の超音波処理データ及び熱音響モデルを用いて対象の熱特性マップを構築させる。熱特性マップは熱特性を表し、空間依存性及び時間依存性である。命令の実行は、プロセッサに更に、熱音響モデルを用いて最大エネルギーマップを決定させる。最大エネルギーは時間依存性であり、また、空間依存性であってもよい。命令の実行は、プロセッサに更に、最大エネルギーマップをディスプレイ上に表示させる。命令の実行は、プロセッサに更に、ユーザーインターフェイスから少なくとも1つの超音波処理ボリュームの選択を受け取らせる。
【0053】
本発明は他の側面において、医療機器の作動方法を提供する。医療機器は、対象を超音波処理するための高密度焦点式超音波治療システムを含む。方法は、高密度焦点式超音波治療システムにより、対象の先の超音波処理を表す先の超音波処理データを受け取るステップを含む。方法は更に、先の超音波処理データ及び熱音響モデルを用いて対象の熱特性マップを構築するステップを含む。熱特性マップは熱特性を表し、空間依存性及び時間依存性である。方法は更に、熱音響モデルを用いて最大エネルギーマップを決定するステップを含む。最大エネルギーは時間依存性である。方法は更に、最大エネルギーマップをディスプレイ上に表示するステップを含む。方法は更に、ユーザーインターフェイスから少なくとも1つの超音波処理ボリュームの選択を受け取るステップを含む。
【0054】
本発明の上記実施形態の1つ以上は、組み合わされる実施形態が互いに相容れない場合を除き、組み合わせられ得ることを理解されたい。