(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6045788
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】解除可能な結合および注入装置
(51)【国際特許分類】
A61M 5/20 20060101AFI20161206BHJP
【FI】
A61M5/20
【請求項の数】13
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2011-270010(P2011-270010)
(22)【出願日】2011年12月9日
(62)【分割の表示】特願2007-514105(P2007-514105)の分割
【原出願日】2005年5月27日
(65)【公開番号】特開2012-45440(P2012-45440A)
(43)【公開日】2012年3月8日
【審査請求日】2011年12月9日
【審判番号】不服2015-1643(P2015-1643/J1)
【審判請求日】2015年1月28日
(31)【優先権主張番号】0412050.7
(32)【優先日】2004年5月28日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】506157570
【氏名又は名称】シラグ・ゲーエムベーハー・インターナショナル
【氏名又は名称原語表記】Cilag GMBH International
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ハリソン・ニゲル
【合議体】
【審判長】
内藤 真徳
【審判官】
平瀬 知明
【審判官】
宮下 浩次
(56)【参考文献】
【文献】
特表2002−528182(JP,A)
【文献】
国際公開第03/092771(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
注入装置において、
排出ノズルを有する注射器を受容するように構成されたハウジングであって、前記注射器を、前記排出ノズルが前記ハウジングから延出する延出位置から、前記排出ノズルが前記ハウジング内に収容される格納位置に付勢するための付勢手段を含む、ハウジングと、
アクチュエータと、
互いに協働可能に構成された第1の駆動要素および第2の駆動要素を含む駆動装置であって、前記アクチュエータによって作動され、前記注射器に作用して、前記注射器の内容物を前記排出ノズルから排出させる駆動装置と、
を含み、
前記アクチュエータおよび前記第1の駆動要素の一方は、前記アクチュエータおよび前記第1の駆動要素の他方の駆動表面に係合する可撓性アームを含み、これにより、前記アクチュエータが前記第1の駆動要素に作用して、前記アクチュエータが前記第1の駆動要素に対して移動するのを防止することができ、
前記可撓性アームは、前記第1の駆動要素が前記第2の駆動要素に対して公称解放位置に前進するまで前記駆動表面から係合解除するのが防止されており、前記第1の駆動要素が前記公称解放位置に前進すると、前記可撓性アームは、前記駆動表面から係合解除され、前記アクチュエータが前記第1の駆動要素に対して移動することができ、これにより、前記注射器が前記アクチュエータの作用から解放され、この時点で、前記付勢手段が、前記注射器をその格納位置に戻す、注入装置。
【請求項2】
請求項1に記載の注入装置において、
前記第1の駆動要素は、前記アクチュエータによって作動されて前記第2の駆動要素に作用し、前記第2の駆動要素は、前記注射器に作用して、前記注射器の内容物を前記排出ノズルから排出させ、前記第1の駆動要素が前記アクチュエータによって作動されて前記第2の駆動要素が移動を制限されると、前記第1の駆動要素は、前記第2の駆動要素に対して移動することができ、
前記第2の駆動要素は、前記第1の駆動要素が前記第2の駆動要素に対して公称解放位置に前進するまで、前記可撓性アームが前記駆動表面から係合解除するのを防止するストッパーを含み、前記第1の駆動要素が前記公称解放位置に前進すると、前記可撓性アームが、前記駆動表面から係合解除し、これにより、前記アクチュエータが、前記第1の駆動要素に対して移動し、前記注射器が、前記アクチュエータの作用から解放され、この時点で、前記付勢手段が、前記注射器をその格納位置に戻す、注入装置。
【請求項3】
請求項2に記載の注入装置において、
前記第2の駆動要素は、前記注射器をその格納位置から延出位置に前進させる、注入装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の注入装置において、
前記可撓性アームは、前記第1の駆動要素に設けられている、注入装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の注入装置において、
前記アクチュエータの作用により、前記可撓性アームが前記駆動表面から係合解除されるが、前記公称解放位置に達するまで、前記駆動表面からの前記可撓性アームの係合解除が防止される、注入装置。
【請求項6】
請求項2〜4のいずれかに記載の注入装置において、
前記可撓性アームは、戻り部を含み、前記ストッパーは、前記公称解放位置に達すると前記戻り部に整合し、これにより、前記可撓性アームが曲がることができる、注入装置。
【請求項7】
請求項5または6に記載の注入装置において、
前記可撓性アームは、この可撓性アームが前記駆動表面に係合する位置に向かって付勢されており、前記アクチュエータの作用により、前記可撓性アームがその付勢に反して移動し、これにより、前記可撓性アームが前記駆動表面から係合解除される、注入装置。
【請求項8】
請求項1に記載の注入装置において、
前記可撓性アームは、前記駆動装置に設けられている、注入装置。
【請求項9】
請求項8に記載の注入装置において、
前記可撓性アームは、複数の可撓性アームを含む、注入装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の注入装置において、
前記第2の駆動要素が追加の可撓性アームを含み、この追加の可撓性アームが、前記第1の駆動要素の追加の駆動表面に係合する、注入装置。
【請求項11】
請求項10に記載の注入装置において、
結合解除構成要素をさらに含み、この結合解除構成要素は、前記駆動要素が公称結合解除位置に前進すると作動され、前記第1の駆動要素を前記第2の駆動要素から結合解除して、前記第1の駆動要素の前記第2の駆動要素に対する移動を可能にするように構成されている、注入装置。
【請求項12】
請求項11に記載の注入装置において、
前記結合解除構成要素が、公称結合解除位置に達すると、前記追加の可撓性アームを移動させ、これにより、前記追加の可撓性アームが前記追加の駆動表面から係合解除され、前記第1の駆動要素の前記第2の駆動要素に対する移動を可能にする、
注入装置。
【請求項13】
請求項11に記載の注入装置において、
前記追加の可撓性アームは、前記追加の駆動表面に係合する位置に向かって付勢されており、前記結合解除構成要素が、前記追加の可撓性アームをその付勢に反して移動させ、これにより、前記追加の可撓性アームが前記追加の駆動表面から係合解除される、注入装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔背景技術〕
本発明は、注射器を受容し、注射器を延出させ、注射器の内容物を排出し、そして注射器を自動的に引き戻すタイプの注入装置に使用するための解除可能な結合(releasable coupling)に関する。このような装置は、国際公開第95/35126号および欧州特許出願公開第A‐0516473号に記載されており、駆動ばねと、注射器の内容物が排出されたと判断すると駆動ばねの影響から注射器を解放して、注射器が戻しばねによって格納されるある種の形態の解放機構を利用する傾向にある。
【0002】
装置の様々な構成要素の公差が積み重なるため、解放機構が確実に有効となるように、解放機構の作動に一定の安全限界を設けなければならない。安全限界を低く見積もり過ぎると、たとえ注射器の内容物が排出されても、解放機構が機能せず、特に薬物を自己注射する場合に、自動引き戻しすることになっている装置で問題となる。他方、安全限界を高く見積もり過ぎると、注射器が引き戻された後に注射器の内容物が排出され、第1に、投与量が不足し、次に、「ウェット(wet)」注入と呼ばれる事態が起こる。ウェット注入(wet injection)は、神経質な人にとって、特に薬物を自己注射する場合に望ましくない。
【0003】
英国特許出願第0210123号、同第0229384号、および同第0325596号に、この問題に対処するよう設計された一連の注射器が開示されている。これらの注射器はそれぞれ、注射器が完全に排出されるように、解放機構が作動してから所定の時間、注射器の解放を遅延させる「巧妙な手段(neat trick)」を利用している。英国特許出願第0325596号に開示されている装置では、注射器の内容物を完全に排出させるのに特に有効な流体減衰遅延機構(fluid-damped delay mechanism)を含む2つの部品からなる駆動装置が使用されているが、この遅延機構自体に問題がある。いずれの場合も、装置は、2つのラッチ解除機構に依存している。第1のラッチ解除機構が、流体減衰機構(fluid damping mechanism)を始動させ、第2のラッチ解除機構が、アクチュエータから注射器を解放して、注射器の引き戻しを可能にする。ラッチ解除機構は、装置のケースワーク(casework)に対して公称ラッチ解除位置(nominal unlatching positions)に前進した注入装置の構成要素によって作動される。注射器に対して公称ラッチ解除位置に前進した注入装置の構成要素によって作動される、本願に開示する機構を含むラッチ解除機構を、同時出願の特許出願(出願番号は未定)に開示している。
【0004】
図1は、ハウジング112が皮下注射器114を収容する、このような注入装置110を示している。注射器114は、一端が皮下注射針118まで延び、他端がフランジ120まで延びる注射器本体116を含む従来のタイプである。通常は注射器114の内容物を手動で排出するために用いられる従来のプランジャーを省略し、詳細を後述する、栓122まで延びる駆動要素134を代わりに用いている。駆動要素134は、投与する薬物を注射器116内に封じ込めている。例示されている注射器は、皮下注射型であるが、必ずしも皮下注射型にする必要はない。経皮すなわちバリスティック皮膚注射器(transcutaneous or ballistic dermal syringe)および皮下注射器を、本発明の注入装置と共に用いることもできる。一般に、注射器は、皮下注射器の場合は針118である排出ノズルを含まなければならない。
【0005】
例示されているように、ハウジングは、戻しばね126を含む。この戻しばね126は、注射器114を、針118がハウジング112の開口128から延出した延出位置から、排出ノズル118がハウジング112内に収容される格納位置に付勢している。戻しばね126は、スリーブ127を介して注射器114に作用する。
【0006】
ハウジングの他端部に、圧縮駆動ばね130が配置されている。駆動ばね130からの駆動力が、複数の構成要素からなる駆動装置を介して注射器114に伝達され、この注射器114が、その格納位置から延出位置に前進し、その内容物が針118を介して排出される。この駆動装置が、薬物124および注射器114に直接作用してこの手順が完了する。薬物を介して作用する流体静力学的な力、およびこの力よりも小さい、栓122と注射器本体116との間の静止摩擦により、戻しばね126が底部に達するか、または注射器本体116がその動きを妨げる他の障害物に接触するまで、栓122と注射器本体116が共に、確実に前進する。
【0007】
駆動ばね130と注射器114との間の複数の構成要素からなる駆動装置は、3つの主な構成要素からなる。駆動スリーブ131が、駆動ばね130から駆動力を受け取り、この駆動力を第1の駆動要素132の可撓性ラッチアーム133に伝達する。これにより、駆動力が、可撓性ラッチアーム135を介して、第2の駆動要素134に伝達される。この第2の駆動要素134は、既に述べたものである。
【0008】
第1の駆動要素132は、中空ステム140を含む。中空ステム140の内腔が、ベント(vent)144に連通した収集チャンバ142を画定している。このベント144は、収集チャンバから中空ステム140の端部を貫通している。第2の駆動要素134は、一端がステム140を受容するために開口し、かつ他端が閉じた盲孔(blind bore)146を含む。図から分かるように、盲孔146とステム140は、内部に減衰流体(damping fluid)を受容する流体レザバー148を画定している。
【0009】
トリガー(不図示)が、ハウジング112の中間に設けられており、トリガーが作動すると、駆動スリーブ131がハウジング112から分離され、駆動ばね130の影響下で、駆動スリーブ131がハウジング112に対して移動することができる。装置の動作は、次の通りである。
【0010】
まず、駆動ばね130が、駆動スリーブ131を移動させ、この駆動スリーブ131が、第1の駆動要素132を移動させ、この第1の駆動要素132が、第2の駆動要素134を移動させる。いずれの場合も、可撓性ラッチアーム133、135を介した作動による。第2の駆動要素134が移動し、注入される薬物124によって作用する流体静力学的な力および静止摩擦によって、注射器本体116が、戻しばね126の作用に反して移動する。戻しばね126が圧縮され、皮下注射針118が、ハウジング112の出口開口128から突出する。これは、戻しばね126が底部に達するか、または注射器本体116がその動きを妨げる他の障害物に接触するまで続く。第2の駆動要素134と注射器本体116との間の静止摩擦、および、注入される薬物124を介して作用する流体静力学的な力が、駆動ばね130によって生成される全駆動力に抵抗するのに十分でないため、この時点で、第2の駆動要素134が注射器本体116内を移動し始め、薬物124が排出され始める。しかしながら、第2の駆動要素134と注射器本体116との間の動摩擦、および、注入される薬物124によって作用する流体静止力学的な力が、戻しばね126を圧縮した状態に維持するのに十分であるため、皮下注射針118は、突出した状態に維持される。
【0011】
第2の駆動要素134が、注射器本体116内の移動の最後に達する前、したがって注射器の内容物が完全に排出される前に、第1の駆動要素132と第2の駆動要素134を連結している可撓性ラッチアーム135が、制限部137に達する。制限部137は、注射器フランジ120に取り付けられた構成要素162によって形成されているため、注射器114が、その格納位置から延出位置に前進する際に、構成要素162がこの注射器114と共に移動することを理解されたい。この制限部137により、可撓性ラッチアーム135が、制限部137におけるベベル表面(bevelled surface)に補助され、図示されている位置から、第1の駆動要素132と第2の駆動要素134との結合が解除される位置まで内側に移動する。この状態になると、第1の駆動要素132が、第2の駆動要素134に対して作用しなくなり、第1の駆動要素132が、第2の駆動要素134に対して移動することができる。
【0012】
この構成に関連した1つの問題は、ラッチアーム135が、内部を駆動要素が通過しなければならない制限部137によって曲げられるが、この制限部137は、ラッチアーム135の外縁が第2の駆動要素134の外面に一致する程度にしかラッチアーム135を曲げることができないことである。第1の駆動要素132と第2の駆動要素134が互いに対して移動する際に、ラッチアーム135の外縁が、第2の駆動要素134の内面に一致するように、ラッチアーム135がさらに曲がらなければならない。この要求により、製造が困難となり、ラッチ解除機構自体の信頼性に影響が出ることがある。
【0013】
減衰流体が、第1の駆動要素132の端部と第2の駆動要素134の盲孔146との間に画定されたレザバー148内に収容されているため、第1の駆動要素132が、駆動ばね130によって作動されて第2の駆動要素134に対して移動するにつれて、レザバー148の容積が減少する。レザバー148が縮小すると、減衰流体は、押されて、ベント144を介して収集チャンバ142内に移動する。したがって、可撓性ラッチアーム135が解放されると、駆動ばね130によって生成される力が、減衰流体に作用して、この減衰流体を、ベント144によって画定された制限部を介して移動させ、減衰流体を介して静止流体力学的にも、そして第1の駆動要素132と第2の駆動要素134との間の摩擦を介しても作用し、第2の駆動要素134が駆動される。減衰流体の流れに関連した減損は、注射器の本体に作用する力を大きくは弱めない。したがって、戻しばね126は、圧縮された状態に維持され、皮下注射針118は、突出した状態に維持される。
【0014】
しばらくすると、第2の駆動要素134が、注射器本体116内でその移動を終了し、それ以上進まない。この時点で、注射器114の内容物が完全に排出され、駆動ばね130による力が作用して、第2の駆動要素134がその終端位置に維持され、減衰流体が引き続きベント144を介して流れ、第1の駆動要素132が引き続き移動することができる。
【0015】
流体のレザバー148が空になる前に、駆動スリーブ131を第1の駆動要素132に連結している可撓性ラッチアーム133が、同様に、注射器フランジ120に取り付けられた構成要素162によって形成された別の制限部139に達する。この制限部139により、可撓性ラッチアーム133が、この制限部139におけるベベル表面に補助され、図示されている位置から、駆動スリーブ131と第1の駆動要素132との結合が解除される位置に内側に移動する。この状態になると、駆動スリーブ131が、第1の駆動要素132に作用しなくなり、駆動スリーブ131と第1の駆動要素132が互いに対して移動することができる。
【0016】
ラッチアーム133は、ストロークの開始時に強い衝撃荷重を支持できなければならず、かつ比較的小さいラッチ解除の力で解除できなければならない。試験結果から、可撓性ラッチアーム133において、この2つの要求を達成するのが非常に困難であることが分かっている。ラッチアームが、衝撃荷重を支持するために十分に硬質に形成されている場合、このようなラッチアームは、許容範囲の小さな力でラッチを解除するには硬すぎる。
【0017】
駆動スリーブ131が、第1の駆動要素132に作用しなくなると、当然、駆動ばね130によって生成される力が、注射器114に伝達されなくなるため、注射器114が解放され、注射器に作用する力は、戻しばね126からの戻す力のみとなる。したがって、この時点で、注射器114は、その格納位置に戻り、注入サイクルが完了する。
【0018】
もちろん、これらの動作は全て、キャップ111がハウジング112の端部から取り外され、ブーツ(boot)123が注射器から除去されてから可能となる。
【0019】
〔発明の概要〕
前記したように、
図1に例示されている設計には2つの欠点がある。第1に、第1の駆動要素と第2の駆動要素が互いに対して移動可能にするために、ラッチアームが通過する制限部によって曲げられるよりもさらに、ラッチアームを曲げなければならないことである。この要求は、製造を困難にし、ラッチ解除機構自体の信頼性に影響を与えうる。本発明の目的は、この欠点を解消した、改善された駆動結合(drive coupling)およびラッチ解除機構(unlatching mechanism)を提供することにある。
【0020】
従って、本発明は、解除可能な駆動結合を提供する。この駆動結合は、
第1の突出する可撓性アームを有する第1の駆動要素と、
この第1の要素に対してスライド可能な第2の駆動要素であって、
駆動表面であって、第1の可撓性アームに受容され、一方の駆動要素から他方の駆動要素に軸方向の荷重を伝達できるように構成された駆動表面と、
第2の突出する可撓性アームであって、内側に曲がると、第1の可撓性アームに作用して、駆動表面に接触しなくなる位置まで第1の可撓性アームを曲げ、第1の駆動要素と第2の駆動要素が互いに対して自由にスライドして駆動結合が結合解除されるように駆動表面に対して配置されている、第2の突出可撓性アーム、
を有する、第2の駆動要素と、
を含む。
【0021】
第1の可撓性アームを用いて第2の可撓性アームを曲げるため、駆動要素が互いに対して移動する時に第2の可撓性アームをさらに曲げる必要がないことは即座に分かるであろう。
【0022】
第1の可撓性アームは、圧縮されて、一方の駆動要素から他方の駆動要素に軸方向の荷重を伝達するのが好ましい。こうすることにより、ラッチの解除が困難であって、ラッチの解除に比較的大きな力を必要とする張力を受ける可撓性アームを用いる問題が解消される。圧縮されたアームにより、ラッチ解除荷重に対する保持荷重の比率が良好となり、構造が安定する。
【0023】
便利にするために、この結合において、
第1の駆動要素は、内側駆動要素であり、
第1の可撓性アームは、内側駆動要素から外側に突出しており、
第2の駆動要素は、内側駆動要素の上をスライドできる外側駆動要素であり、
第2の可撓性アームは、外側駆動要素から外側に突出しており、
外側可撓性アームは、内側に曲がると、内側可撓性アームを内側に曲げるように、構成することができる。
【0024】
外側駆動要素は、内側駆動要素を受容する孔を備えるのが好ましい。内側駆動要素は、外側に延びる複数の内側可撓性アームを備え、外側駆動要素は、対応する複数の駆動表面、および対応する複数の外側に延びる外側可撓性アームを有することができる。対称にするために、このような外側に延びる内側可撓性アームおよび外側に延びる内側可撓性アームは、内側駆動要素の外周面に実質的に等距離で離間させることができる。
【0025】
本発明の単純な態様では、自動的に解除可能な駆動結合は、
本発明に従った解除可能な駆動結合と、
駆動要素の一方に作用するアクチュエータと、
外側駆動要素がアクチュエータによって前進される際に、外側可撓性アームを内側に曲げて、自動的に駆動結合を結合解除するように構成された結合解除構成要素と、
を含む。
【0026】
結合解除構成要素は、アクチュエータによって作動されると、内側および外側駆動要素が通過する通路を含むことができ、この通路は、外側駆動要素がこの通路を通過すると、外側可撓性アームを内側に曲げて、自動的に駆動結合を結合解除するように構成されている
【0027】
注入装置この適用例では、本発明は、
排出ノズルを有する注射器を受容するように構成されたハウジングであって、注射器を、排出ノズルがハウジングから延出する延出位置から、排出ノズルがハウジング内に収容される格納位置に付勢するための手段を含む、ハウジングと、
本発明にしたがった自動的に解除可能な駆動結合であって、
内側駆動要素が、アクチュエータによって作動され、外側駆動要素が、注射器に作用して、この注射器をその格納位置から延出位置に前進させて、注射器の内容物を排出ノズルから排出させ、かつ
駆動要素が、公称結合解除位置(nominal decoupling position)に前進すると、結合解除構成要素が、駆動結合を自動的に結合解除する、
自動的に解除可能な駆動結合と、
を含む。
【0028】
図1の構造に関連した第2の欠点は、第1の駆動要素にアクチュエータを結合するラッチアームにおける剛性と柔軟性の両方の要求を満たすのが困難であることである。本発明のさらなる目的は、この要求を満たすことにある。したがって、本発明の第2の態様では、注入装置を提供するが、この注入装置は、
排出ノズルを有する注射器を受容するように構成されたハウジングであって、注射器を、排出ノズルがハウジングから延出する延出位置から、排出ノズルがハウジング内に収容される格納位置に付勢するための手段を含む、ハウジングと、
アクチュエータと、
第1の駆動要素および第2の駆動要素であって、この第1の駆動要素は、アクチュエータによって作動されて第2のアクチュエータに作用し、第2のアクチュエータは、注射器に作用して、この注射器をその格納位置から延出位置に前進させ、この注射器の内容物を排出ノズルから排出させ、第1の駆動要素がアクチュエータによって作動されると、第1の駆動要素は、第2の駆動要素に対して移動することができ、第2の駆動要素は、注射器によって拘束される、第1の駆動要素および第2の駆動要素と、
を含み、
アクチュエータおよび前第1の駆動要素の一方は、アクチュエータおよび第1の駆動要素の他方の第2の駆動表面に係合する可撓性アームを含み、これにより、アクチュエータが第1の駆動要素に作用して、アクチュエータが第1の駆動要素に対して移動するのを防止することができ、
第2の駆動要素は、第1の駆動要素が第2の駆動要素に対して公称解放位置(nominal release position)に前進するまで、可撓性アームが駆動表面から係合解除するのを防止するストッパーを含み、第1の駆動要素が公称解放位置に前進すると、可撓性アームが、第2の駆動表面から係合解除し、これにより、アクチュエータが、第1の駆動要素に対して移動し、注射器が、アクチュエータの作用から解放され、この時点で、付勢手段が、記注射器をその格納位置に戻すように構成されている。
【0029】
同様に、別の注入装置も提供する。この注入装置は、
排出ノズルを有する注射器を受容するように構成されたハウジングであって、注射器を、排出ノズルがハウジングから延出する延出位置から、排出ノズルがハウジング内に収容される格納位置に付勢するための手段を含む、ハウジングと、
アクチュエータと、
アクチュエータによって作動され、注射器に作用して、注射器の内容物を排出ノズルから排出させる駆動装置と、
を含み、
アクチュエータおよび駆動装置の一方は、アクチュエータおよび駆動装置の他方の駆動表面に係合する可撓性アームを含み、これにより、アクチュエータが駆動装置に作用して、アクチュエータが駆動装置に対して移動するのが防止されており、
可撓性アームは、駆動装置が公称解放位置に前進するまで駆動表面から係合解除するのが防止されており、駆動装置が公称解放位置に前進すると、可撓性アームは、駆動表面から係合解除され、アクチュエータが駆動装置に対して移動することができ、これにより、注射器がアクチュエータの作用から解放され、この時点で、付勢手段が、注射器をその格納位置に戻すように構成されている。
【0030】
可撓性アームを拘束し、この可撓性アームが駆動表面から係合解除するのを防止するためにストッパーを用いているため、
図1の場合のように可撓性アームを硬質にする必要がない。したがって、より柔軟な材料を用いることができ、
図1の構成に関連した欠点を解消することができる。
【0031】
アクチュエータが第1の駆動要素に作用して、可撓性アームが駆動表面から係合解除されるが、公称解放位置に達するまで、駆動表面からの可撓性アームの係合解除がストッパーによって防止されるのが好ましい。
【0032】
本発明の態様の便利な実施形態では、第2の可撓性アームは、移動止めを含み、ストッパーは、公称解放位置に達すると移動止めに整合し、これにより、可撓性アームが曲がることができる。第2の可撓性アームは、第2の駆動表面に係合する位置に向かって付勢されており、アクチュエータの作動により、可撓性アームがその付勢に反して移動し、これにより、可撓性アームが駆動表面から係合解除されるのが好ましい。
【0033】
〔詳細な説明〕
本発明は、添付の図面を参照して、一例として以下に説明する。
【0034】
図2は、ハウジング212が皮下注射器214を収容している注入装置210を示している。注射器214は、同様に、一端が皮下注射針218まで延び、他端がフランジ220まで延びる注射器本体216と、注入される薬物224を注射器本体216内に封じ込めるゴム栓222を含む従来のタイプである。通常はゴム栓222に結合され、注射器214の内容物の手動の排出に用いられる従来のプランジャーを省略し、その代わりに詳細を後述する複数の構成要素からなる駆動要素を用いている。図示されている注射器は、同様に、皮下注射タイプであるが、必ずしも皮下注射タイプにする必要はない。例示されているように、ハウジングは、注射器214を、戻しばね226を含む。この戻しばね226は、注射器214を、針218がハウジング212内の開口228から延出した延出位置から、皮下注射針218がハウジング212内に収容される格納位置に付勢している。戻しばね226は、スリーブ227を介して皮下注射針218に作用する。
【0035】
ハウジングの端部に、圧縮駆動ばね230が設けられている。駆動ばね230からの駆動力が、複数の構成要素からなる駆動装置を介して注射器214に伝達され、この注射器214が、格納位置から延出位置に前進し、その内容物が針218を介して排出される。この駆動装置が、薬物224および注射器214に直接作用してこの手順が完了する。薬物を介して作用する流体静力学的な力、および、この力よりも小さい、ゴム栓222と注射器本体216との間の静止摩擦により、戻しばね226が底部に達するか、または注射器本体216がその動きを妨げる障害物に接触するまで、ゴム栓222と注射器本体216が共に、確実に前進する。
【0036】
駆動ばね230と注射器214との間の複数の構成要素からなる駆動装置は、同様に、3つの主な構成要素からなる。駆動スリーブ231は、駆動ばね230からの駆動力を受け取り、この駆動力を、第1の駆動要素232の可撓性ラッチアーム233に伝達する。これらの要素は、拡大図「A」に示されている。次に、第1の駆動要素232が、この駆動力を、可撓性ラッチアーム235を介して第2の駆動要素234に伝達する。これらの要素は、拡大図「B」に示されている。同様に、第1の駆動要素232は、収集チャンバ242を画定する内腔を備えた中空ステム240を含む。第2の駆動要素234は、ステム240を受容するために一端が開口し、かつ他端が閉じた盲孔246を含む。図から分かるように、盲孔246とステム240は、内部に減衰流体を収容する流体レザバー248を画定している。
【0037】
トリガー(不図示)が、ハウジング212の中間に設けられ、このトリガーが作動すると、駆動スリーブ231がハウジング212から分離され、駆動ばね230の影響下で、駆動スリーブ231がハウジング212に対して移動することができる。装置の動作は、次の通りである。
【0038】
まず、駆動ばね230が、駆動スリーブ231を移動させ、この駆動スリーブ231が、第1の駆動要素232を移動させ、この第1の駆動要素232が、第2の駆動要素234を移動させる。いずれの場合も、可撓性ラッチアーム233、235を介した作動による。第2の駆動要素234が移動し、注入される薬物224を介して作用する流体静力学的な力および静止摩擦によって、注射器本体216が、戻しばね226の作用に反して移動する。戻しばね226が圧縮され、皮下注射針218が、ハウジング212の出口開口228から突出する。これは、戻しばね226が底部に達するか、または注射器本体216がその動きを妨げる他の障害物に接触するまで続く。ゴム栓222と注射器本体216との間の静止摩擦、および注入される薬物224を介して作用する流体静力学的な力が、駆動ばね230によって生成される全駆動力に抵抗するのに十分でないため、この時点で、第2の駆動要素234が注射器本体216内を移動し始め、薬物224が排出され始める。しかしながら、ゴム栓222と注射器本体216との間の動摩擦、および注入される薬物224を介して作用する流体静力学的な力が、戻しばね226を圧縮された状態に維持するのに十分であるため、皮下注射針218は、突出した状態に維持される。
【0039】
第2の駆動要素234が、注射器本体216内の移動の最後に達する前、したがって注射器の内容物が完全に排出される前に、第1の駆動要素232と第2の駆動要素234を連結している可撓性ラッチアーム235が、制限部237に達する。この制限部237は、構成要素262によって形成されている。この構成要素262は、他の全ての構成要素に対して始めは自由に移動できるが、第2の駆動要素234の追加の可撓性アーム247と注射器フランジ220との間に制限される。これらの追加の可撓性アーム247は、第1の駆動要素232の可撓性アーム235の上
に載っており、
可撓性アーム235によって、駆動力が第2の駆動要素234に伝達される。
図2は、追加の可撓性アーム247が、構成要素262の制限部237にちょうど接触している位置にある注入装置210を例示している。
【0040】
制限部237が、両方のベベル表面に補助され、追加の可撓性アーム247を内側に移動させ、この追加の可撓性アーム247が、
(駆動力を第1の駆動要素232から第2の駆動要素234に伝達する)可撓性アーム235を移動させ、これにより、
可撓性アーム235が、図示されている位置から、第1の駆動要素と第2の駆動要素との結合が解除される位置に内側に移動する。この状態になると、第1の駆動要素232が、第2の駆動要素234に対して作用しなくなり、第1の駆動要素232が第2の駆動要素234に対して移動することができる。
【0041】
減衰流体が、第1の駆動要素232の端部と第2の駆動要素234の盲孔246との間に画定されたレザバー248内に収容されているため、第1の駆動要素232が、駆動ばね230によって作動されて第2の駆動要素234に対して移動するにつれて、レザバー248の容積が減少する。レザバー248が縮小すると、減衰流体が、収集チャンバ242内に押しやられる。したがって、可撓性ラッチアーム235が解放されると、駆動ばね230によって生成される力が、減衰流体に作用して、この減衰流体が収集チャンバ242内に流れ、減衰流体を介して静止流体力学的にも、そして第1の駆動要素232と第2の駆動要素234との間の摩擦、したがって第2の駆動要素234を介しても作用する。減衰流体の流れに関連した減損は、注射器の本体に作用する力を大きく弱めない。したがって、戻しばね226は、圧縮された状態に維持され、皮下注射針は、突出した状態に維持される。
【0042】
しばらくすると、第2の駆動要素234が、注射器本体216内での移動を終了し、それ以上進まない。この時点で、注射器214の内容物が完全に排出され、駆動ばね230による力が作用して、第2の駆動要素234がその終端位置に維持され、減衰流体が引き続き収集チャンバ242内に流れ、第1の駆動要素232が引き続き移動することができる。
【0043】
第2の駆動要素234の後部のフランジ270は通常、可撓性アーム233を駆動スリーブ231に係合した状態に維持する。しかしながら、流体のレザバー248が空になる前に、駆動スリーブ231と第1の駆動要素232を連結している可撓性ラッチアーム233が、第2の駆動要素234に対して十分に前方に移動するため、フランジ270が、可撓性アーム233の戻り部272に整合し、可撓性アーム233が駆動スリーブ231に係合して維持される効果が切れる。ここで、駆動スリーブ231が、可撓性ラッチアーム233を、可撓性アーム233のベベルラッチ表面274に補助され、図示されている位置から、駆動スリーブ231と第1の駆動要素232との結合が解除される位置まで内側に移動させる。この状態になると、駆動スリーブ231が、第1の駆動要素232に作用しなくなり、駆動スリーブ231と第1の駆動要素232が互いに移動することができる。この時点で、駆動ばね230によって生成される力が、注射器214に伝達されなくなるため、注射器214が解放され、注射器に作用する力は、戻しばね226からの戻す力のみとなる。したがって、注射器214は、その格納位置に戻り、注入サイクルが完了する。
【0044】
〔実施の態様〕
(1) 解除可能な駆動結合において、
第1の突出する可撓性アームを有する第1の駆動要素と、
前記第1の要素に対してスライド可能な第2の駆動要素であって、
駆動表面であって、前記第1の可撓性アームに受容され、一方の駆動要素から他方の駆動要素に軸方向の荷重を伝達できるように構成された駆動表面、および
第2の突出する可撓性アームであって、内側に曲がると、前記第1の可撓性アームに作用して、前記駆動表面に接触しなくなる位置まで前記第1の可撓性アームを曲げ、前記第1の駆動要素と前記第2の駆動要素が互いに対して自由にスライドして前記駆動結合が結合解除されるように前記駆動表面に対して配置されている、第2の突出可撓性アーム、
を有する、第2の駆動要素と、
を含む、結合。
(2)実施態様(1)に記載の結合において、
前記第1の可撓性アームは、圧縮されて、前記一方の駆動要素から前記他方の駆動要素に軸方向の荷重を伝達する、結合。
(3)実施態様(1)または(2)に記載の結合において、
前記第1の駆動要素は、内側駆動要素であり、
前記第1の可撓性アームは、前記内側駆動要素から外側に突出しており、
前記第2の駆動要素は、前記内側駆動要素の上をスライドできる外側駆動要素であり、
前記第2の可撓性アームは、前記外側駆動要素から外側に突出しており、
前記外側可撓性アームは、内側に曲がると、前記内側可撓性アームを内側に曲げる、
結合。
(4)実施態様(3)に記載の結合において、
前記外側駆動要素は、前記内側駆動要素を受容する孔を備えている、結合。
(5)実施態様(3)または(4)に記載の結合において、
前記内側駆動要素は、外側に突出する複数の内側可撓性アームを備えており、
前記外側駆動要素は、対応する複数の駆動表面、および対応する複数の外側に突出する外側可撓性アームを有する、
結合。
【0045】
(6)実施態様(5)に記載の結合において、
前記外側に突出する内側可撓性アームは、前記内側駆動要素の外周面に実質的に等距離で離間している、結合。
(7)実施態様(6)に記載の結合において、
正反対に配置された2つの内側可撓性アームを含む、結合。
(8)実施態様(5)または(6)に記載の結合において、
前記外側に突出する外側可撓性アームは、前記外側駆動要素の外周面に実質的に等距離で離間している、結合。
(9)実施態様(7)に記載の結合において、
正反対に配置された2つの外側可撓性アームを含む、結合。
(10)自動的に解除可能な駆動結合において、
実施態様(1)〜(9)のいずれかに記載の解除可能な駆動結合と、
前記駆動要素の一方に作用するアクチュエータと、
結合解除構成要素であって、前記第2の駆動要素が前記アクチュエータによって進められる際に、前記第2の可撓性アームを内側に曲げて、自動的に前記駆動結合を結合解除するように構成された、結合解除構成要素と、
を含む、結合。
【0046】
(11)実施態様(10)に記載の結合において、
前記結合解除構成要素は、前記アクチュエータによって作動されると、前記第1および前記第2の駆動要素が通過する通路を含み、
前記通路は、前記第2の駆動要素がこの通路を通過すると、前記第2の可撓性アームを内側に曲げて、自動的に前記駆動結合を結合解除するように構成されている、
結合。
(12)注入装置において、
排出ノズルを有する注射器を受容するように構成されたハウジングであって、前記注射器を、前記排出ノズルが前記ハウジングから延出する延出位置から、前記排出ノズルが前記ハウジング内に収容される格納位置に付勢するための手段を含む、ハウジングと、
実施態様(10)に記載の自動的に解除可能な駆動結合であって、
前記第1の駆動要素が、前記アクチュエータによって作動され、前記第2の駆動要素が、前記注射器に作用して、この注射器をその格納位置から延出位置に前進させて、前記注射器の内容物を前記排出ノズルから排出させ、かつ、
前記駆動要素が、公称結合解除位置(nominal decoupling position)に前進すると、前記結合解除構成要素が、前記駆動結合を自動的に結合解除する、
自動的に解除可能な駆動結合と、
を含む、注入装置。
(13)実施態様(12)に記載の注入装置において、
解放機構であって、前記公称結合解除位置よりも前方の公称解放位置に前記第1の駆動要素が前進すると作動され、前記注射器を、前記アクチュエータの作用から解放し、この時点で、前記付勢手段が、前記注射器をその格納位置に戻すように構成されている、解放機構、をさらに含む、注入装置。
(14)実施態様(13)に記載の注入装置において、
前記公称解放位置は、前記第1の駆動要素のさらなる移動が前記注射器によって制限される前記公称結合解除位置に達すると、前記第1の駆動要素と相互作用する前記アクチュエータによって画定される、注入装置。
(15)実施態様(13)または(14)に記載の注入装置において、
前記解放機構は、前記公称解放位置に達すると、前記第1の駆動要素を前記アクチュエータから結合解除し、これにより、前記注射器を前記アクチュエータから解放するように構成されている、注入装置。
【0047】
(16)実施態様(13)〜(15)のいずれかに記載の注入装置において、
第2の結合であって、前記公称解放位置に達するまで、前記アクチュエータが前記第1の駆動要素に対して移動するのを防止する、前記アクチュエータと前記第1の駆動要素との間の第2の結合、をさらに含む、注入装置。
(17)実施態様(16)に記載の注入装置において、
前記第2の結合は、前記アクチュエータの協働機構および前記第1の駆動要素の協働機構を含み、前記アクチュエータの前記協働機構が、前記第1の駆動要素の協働機構に対して作用できる、注入装置。
(18)注入装置において、
排出ノズルを有する注射器を受容するように構成されたハウジングであって、前記注射器を、前記排出ノズルが前記ハウジングから延出する延出位置から、前記排出ノズルが前記ハウジング内に収容される格納位置に付勢するための手段を含む、ハウジングと、
アクチュエータと、
第1の駆動要素および第2の駆動要素であって、前記第1の駆動要素は、前記アクチュエータによって作動されて前記第2のアクチュエータに作用し、前記第2のアクチュエータは、前記注射器に作用して、前記注射器の内容物を前記排出ノズルから排出させ、前記第1の駆動要素が前記アクチュエータによって作動されると、前記第1の駆動要素は、前記第2の駆動要素に対して移動することができ、前記第2の駆動要素は、前記注射器によって拘束される、第1の駆動要素および第2の駆動要素と、
を含み、
前記アクチュエータおよび前記第1の駆動要素の一方は、前記アクチュエータおよび前記第1の駆動要素の他方の駆動表面に係合する可撓性アームを含み、これにより、前記アクチュエータが前記第1の駆動要素に作用して、前記アクチュエータが前記第1の駆動要素に対して移動するのを防止することができ、
前記第2の駆動要素は、前記第1の駆動要素が前記第2の駆動要素に対して公称解放位置(nominal release position)に前進するまで、前記可撓性アームが前記駆動表面から係合解除するのを防止するストッパーを含み、前記第1の駆動要素が前記公称解放位置に前進すると、前記可撓性アームが、前記駆動表面から係合解除し、これにより、前記アクチュエータが、前記第1の駆動要素に対して移動し、前記注射器が、前記アクチュエータの作用から解放され、この時点で、前記付勢手段が、前記注射器をその格納位置に戻す、注入装置。
(19)実施態様(18)に記載の注入装置において、
前記第2の駆動要素は、前記注射器をその格納位置から延出位置に前進させる、注入装置。
(20)注入装置において、
排出ノズルを有する注射器を受容するように構成されたハウジングであって、前記注射器を、前記排出ノズルが前記ハウジングから延出する延出位置から、前記排出ノズルが前記ハウジング内に収容される格納位置に付勢するための手段を含む、ハウジングと、
アクチュエータと、
駆動装置であって、前記アクチュエータによって作動され、前記注射器に作用して、前記注射器の内容物を前記排出ノズルから排出させる駆動装置と、
を含み、
前記アクチュエータおよび前記駆動装置の一方は、前記アクチュエータおよび前記駆動装置の他方の駆動表面に係合する可撓性アームを含み、これにより、前記アクチュエータが前記駆動装置に作用して、前記アクチュエータが前記駆動装置に対して移動するのが防止されており、
前記可撓性アームは、前記駆動装置が公称解放位置に前進するまで前記駆動表面から係合解除するのが防止されており、前記駆動装置が前記公称解放位置に前進すると、前記可撓性アームは、前記駆動表面から係合解除され、前記アクチュエータが前記駆動装置に対して移動することができ、これにより、前記注射器が前記アクチュエータの作用から解放され、この時点で、前記付勢手段が、前記注射器をその格納位置に戻す、
注入装置。
【0048】
(21)実施態様(18)〜(20)のいずれかに記載の注入装置において、
前記アクチュエータの作用により、前記可撓性アームが前記駆動表面から係合解除されるが、前記公称解放位置に達するまで、前記駆動表面からの前記可撓性アームの係合解除が防止される、注入装置。
(22)実施態様(18)または(19)に記載の注入装置において、
前記可撓性アームは、移動止め(detent)を含み、前記ストッパーは、前記公称解放位置に達すると前記移動止めに整合し、これにより、前記可撓性アームが曲がることができる、注入装置。
(23)実施態様(21)または(22)に記載の注入装置において、
前記可撓性アームは、この可撓性アームが前記第2の駆動表面に係合する位置に向かって付勢されており、前記アクチュエータの作動により、前記可撓性アームがその付勢に反して移動し、これにより、前記可撓性アームが前記駆動表面から係合解除される、注入装置。
(24)実施態様(18)〜(23)のいずれかに記載の注入装置において、
前記アクチュエータおよび前記駆動装置の前記一方は、前記第1の駆動要素である、注入装置。
(25)実施態様(21)〜(24)のいずれかに記載の注入装置において、
前記アクチュエータおよび前記駆動装置の前記一方は、複数の前記のような可撓性アームを含む、注入装置。
【0049】
(26)実施態様(18)〜(25)のいずれかに記載の注入装置において、
前記解除可能な結合は、前記第1の駆動要素の協働機構および第2の駆動要素の協働機構を含み、これにより、前記第1の駆動要素が前記第2の駆動要素に対して作用できる、注入装置。
(27)実施態様(26)に記載の注入装置において、
前記協働機構は、前記駆動要素の他方の駆動表面に係合する前記駆動要素の一方の可撓性アームを含む、注入装置。
(28)実施態様(26)または(27)に記載の注入装置において、
前記結合は、結合解除機構を含み、この結合解除機構は、前記駆動要素が前記公称結合解除位置に前進すると作動され、前記第1の駆動要素を前記第2の駆動要素から係合解除して、前記第1の駆動要素の前記第2の駆動要素に対する移動を可能にするように構成されている、注入装置。
(29)実施態様(26)に記載の注入装置において、
前記解除可能な結合は、前記駆動要素の一方の駆動表面に係合する前記駆動要素の他方の可撓性アームを含み、
結合解除構成要素が、前記公称結合解除位置に達すると、中間構成要素(intermediate component)に作用して、前記可撓性アームを移動させ、これにより、前記可撓性アームが前記駆動表面から係合解除され、前記第1の駆動要素の前記第2の駆動要素に対する移動を可能にする、
注入装置。
(30)実施態様(29)に記載の注入装置において、
前記中間構成要素は、前記駆動表面が画定されている前記駆動要素の可撓性構成要素である、注入装置。
【0050】
(31)実施態様(27)、(29)、および(30)のいずれかに記載の注入装置において、
前記可撓性アームは、前記駆動表面に係合する位置に向かって付勢されており、前記結合解除構成要素が、前記可撓性アームをその付勢に反して移動させ、これにより、前記可撓性アームが前記駆動表面から係合解除される、注入装置。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図1】前述した比較の注入装置を例示する断面図である。