(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記接続バスバーは、複数列に並んで配置され、前記絶縁部材は、複数の接続バスバーの内、中央部に位置する接続バスバー上に重ねて配置されている請求項2又は3に記載の二次電池装置。
前記接続バスバーの少なくとも1つは、金属板を折り曲げて形成され、それぞれ前記電極端子に接続される複数の接続部と、これら接続部間に位置し凸状に折り曲げられた凸曲げ部と、前記接続部と凸曲げ部との間に設けられた前記溶断部と、を有している請求項1ないし4のいずれか1項に記載の二次電池装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、実施形態に係る二次電池装置について詳細に説明する。
図1は、実施形態に係る二次電池装置の外観を示す斜視図、
図2は、トップカバーを分解して示す二次電池装置の分解斜視図、
図3は、絶縁シート、制御回路基板および外ケースを分解して示す二次電池装置の分解斜視図、
図4は、二次電池装置の外ケースに収容される電池セル郡を示す斜視図である。
【0009】
図1ないし
図4に示すように、二次電池装置10は、例えば、矩形箱状の外ケース14と、この外ケース内に並んで収容された複数、例えば、18個の電池セル(二次電池セル)12と、各電池セルの電圧を検出し制御する制御回路基板(電圧検出基板、セルマネージメントユニット)17と、を備え、電池モジュール(組電池)として構成されている。隣り合う電池セル12の電極端子間は、導電部材としての接続バスバーにより電気的に接続されている。
【0010】
外ケース14は、上面が開口しているとともに底を有する矩形箱状のケース本体16と、このケース本体16の上面開口を覆う上ケース18と、更に、上ケースを覆うトップカバー20と、を有している。ケース本体16および上ケース18は、それぞれ絶縁性を有する合成樹脂、例えば、ボリカーボネイト(PC)、ポリフェニレンエーテル(PPE)等の熱可塑性樹脂を用い、射出成形法などにより製造される。トップカバー20は、脱着が容易なように比較的柔軟な樹脂、例えば、ポリプロピレンにより形成されている。
【0011】
図4に示すように、各電池セル12は、例えば、リチウムイオン電池等の非水電解質二次電池であり、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成された扁平な略直方体形状の外装容器21と、外装容器21内に非水電解液と共に収納された電極体23と、を備えている。外装容器21は、上端が開口した容器本体21aと、容器本体に溶接され容器本体の開口を閉塞した矩形板状の蓋体21bとを有し、内部が液密に形成されている。電極体23は、例えば、正極板および負極板をその間にセパレータを介在させて渦巻き状に捲回し、更に、径方向に圧縮することにより、偏平な矩形状に形成されている。
【0012】
正極端子22aおよび負極端子22bが蓋体21bの長手方向両端部にそれぞれ設けられ、蓋体から突出している。正極端子22aおよび負極端子22bは、電極体23の正極および負極にそれぞれ接続されている。一方の端子、例えば、正極端子22aは、蓋体21bに電気的に接続され、外装容器21と同電位となっている。負極端子22bは、蓋体21bを貫通して延びている。負極端子22bと蓋体21bとの間には、合成樹脂、ガラス等の絶縁体からなるシール材、例えば、ガスケットが設けられている。
【0013】
蓋体21bの中央部には、例えば、矩形状の安全弁24が形成されている。電池セル12の異常モード等により外装容器21内にガスが発生し、外装容器内の内圧が所定の値以上に上昇した際、安全弁24が開放し、内圧を下げて外装容器21の破裂等の不具合を防止する。
なお、電池セル12は、上述したような金属缶に電極体を収容した缶セルに限らず、いわゆる、ラミネートセルを用いても良い。
【0014】
図4に示すように、複数の電池セル12は、6個ずつ3列に並んで配設されている。各列において、6個の電池セル12は、外装容器21の主面同士が所定の隙間を置いて向い合った状態で、かつ、電極端子22a、22bが設けられている外装容器21の上端が同一方向を向いた状態で並んで配設されている。また、各列において、電池セル12は、2個ずつ、3組に分けられ、各組の2つの電池セル12は、正極端子22a同士、および負極端子22b同士が並ぶように、同一の向きに配置されている。更に、隣合う2つの組は、正極端子22aと負極端子22bとが隣合うように、互いに180度反転した逆向きに配置されている。隣合う2列の電池セル12は、一方の列の電池セル12の正極端子22aと他方の列の負極端子22bとが隣合うように、かつ、一方の列の電池セル12の負極端子22bと他方の列の電池セルの正極端子22aとが隣合うように、並んで配置されている。
【0015】
次に、外ケース14の構成を詳細に説明する。
図1ないし
図3に示すように、ケース本体16は、18個分の電池セル12に対応する大きさに形成され電池セル12の底に対向する矩形状の底壁30と、底壁30の対向する2側縁、ここでは、長辺に沿って立設され電池セル12の主面に対向する一対の第1側壁32a、32bと、底壁30の対向する他の2側縁、ここでは、短辺に沿って立設され電池セル12の側面に対向する一対の第2側壁34a、34bと、ケース本体内で、底壁に立設された複数の図示しない仕切り壁と、を有している。底壁30、第1側壁32a、32b、および第2側壁34a、34bあるいは仕切り壁により、複数、ここでは、18個の電池収容部が規定されている。各電池収容部は、電池セル12の横断面形状よりも僅かに大きな横断面形状に形成され、また、電池セルを挿通可能な上部開口を有している。各電池収容部の深さ、つまり、高さ、は、例えば、電池セル12の電極側の端部を除く約9割を収容可能な大きさに形成されている。18個の電池セル12は、それぞれ対応する電池収容部に装着され、図示しない押圧ばね、接着剤等の位置決め手段により、位置決めされる。
【0016】
図1ないし
図3に示すように、電池セル12が収容されたケース本体16に、上ケース18が上から被され、ケース本体16に取付けられる。これにより、全体として矩形箱状の外ケース14が構成される。上ケース18は、ケース本体16の底壁30とほぼ同一の大きさを有する矩形板状の天井壁36と、天井壁の周囲に形成された矩形枠状の周壁38と、を一体に有している。周壁38の下部に形成された図示しない複数の係合爪を、ケース本体16の各側壁の上部に形成された係合孔37に係合させることにより、周壁38は、ケース本体16の側壁に連続して取り付けられている。
【0017】
天井壁36は、ケース本体16の底壁30と平行に対向して位置し、複数の電池セル12の上部を覆っている。
図2、
図3、
図5、および
図6に示すように、天井壁36には、それぞれ電池セル12の電極端子を挿通するための複数の開口40および複数の排気孔42が形成されている。開口40は、天井壁36の幅方向に沿って、6列に並んで設けられている。排気孔42は、天井壁36の幅方向に沿って、3列に並んで形成され、各列は、2列の開口40間のほぼ中央に設けられている。
【0018】
ケース本体16内に収容された電池セル12は、上ケース18の天井壁36内面に当接することにより、上端位置、特に、電極端子22a、22bの高さ位置が決めされている。各電池セル12の正極端子22aおよび負極端子22bは、それぞれ対応する天井壁36の開口40内に挿通され、上方に露出している。各電池セル12の安全弁24は天井壁36の排気孔42に対向している。
【0019】
図2、
図3、
図5、および
図6に示すように、天井壁36の上面に、制御回路基板17をねじ止めするための複数、例えば、3つの円柱形状のボス44が立設されている。これらのボス44は、天井壁36の長手方向に延びる中心軸線上に、互いに間隔をおいて設けられている。各ボス44には、金属の雌ねじが埋め込まれている。天井壁36の上面に、複数、例えば、8本の支持突起46が立設されている。各支持突起46は、例えば、細長い円柱形状に形成され、その基端側に、十字形状の補強リブが形成されている。8本の支持突起46は、天井壁36の長手方向に沿って4本ずつ2列に並んで設けられている。2列の支持突起46は、天井壁36の幅方向において、ほぼ中央、ここでは、ボス44の両側に配置されている。各支持突起46は、後述する制御回路基板17の対応する透孔を挿通され、トップカバー20の内面に当接可能な高さに形成されている。
【0020】
更に、天井壁36の上面には、制御回路基板17を位置決めするための複数、例えば、2つの板状の位置決め突起48、制御回路基板17の下面に当接してこの制御回路基板を支持する複数の支持リブ53、および後述するバスバーを位置決めするための複数の線状の位置決めリブ50、板状の位置決め突起が、突設されている。
【0021】
上ケース18において、周壁38には、全周に亘って複数の係合孔39が形成されている。後述するトップカバー20の係合爪がそれぞれ係合孔39に係合し、トップカバー20が上ケース18に取り付けられる。
【0022】
図2、
図3、
図5、および
図6に示すように、複数の電池セル12は、導電部材としての複数の接続バスバーにより、電気的に、例えば、2つずつ並列に接続され、更に、並列に接続された9組の電池セルが直列に接続されている。本実施形態において、導電部材、接続部材としての接続バスバーは、4種類のものを用いている。すなわち、
図5および
図7に示すように、外ケース14の長手方向に隣合う2組の電池セル12の正極端子22aと負極端子22bとを接続するほぼH形状の第1接続バスバー52、一列に並んでいる2組の電池セル12の2つの正極端子と2つの負極端子とを接続する直線形状の第2接続バスバー54、および1組の電池セルの正極端子あるいは負極端子を電気的に接続するとともに出力端子を一体に有する第1出力バスバー56a、第2出力バスバー56bを用いている。
【0023】
図7(a)に示すように、第1接続バスバー52は、それぞれ接続開口60が形成された一対の平坦な接続部62aと、それぞれ接続開口60が形成された一対の一対の接続部62bと、これら2つの接続部を連結した連結部62cと、更に、各接続部から延出しているとともにねじ孔63が形成された接続片64と、を有し、導電材料、例えば、アルミニウム、真鍮等からなる金属板を折曲げ成形して形成されている。連結部62cは、断面が円弧状、U字状、あるいは、V字状の凸状に折り曲げられた凸曲げ部を構成している。また、第1接続バスバー52は、連結部62cと接続部62aとの間、および連結部62cと接続部62bとの間、すなわち、連結部62cの両側に設けられた溶断部62dを有している。各溶断部62dは、第1接続バスバー52の幅方向全長を横切って延びている。溶断部62dは、第1接続バスバー52に異常な高電流が流れた際に溶断するように、第1接続バスバー52の他の部分よりも薄く、あるいは、幅が狭く形成され、他の部分よりも高い電気抵抗を有するように形成されている。
【0024】
図7(b)に示すように、第2接続バスバー54は、それぞれ接続開口60が形成された4つの平坦な接続部68aと、これら4つの接続部68aを一列に連結した3つの連結部68bと、1つの接続部68aから延出しているとともにねじ孔69が形成された接続片70と、を有し、導電材料、例えば、アルミニウム、真鍮等からなる金属板を折曲げ成形して形成されている。各連結部68bは、断面が円弧状、U字状、あるいは、V字状の凸状に折り曲げられた凸曲げ部を構成している。また、第2接続バスバー54は、少なくとも1つの連結部68bの片側もしくは両側、ここでは、各連結部68bの両側に設けられた溶断部68dを有している。各溶断部68dは、第2接続バスバー54の幅方向全長を横切って延びている。溶断部68dは、第2接続バスバー54に異常な高電流が流れた際に溶断するように、第2接続バスバー54の他の部分よりも薄く、あるいは、幅が狭く形成され、他の部分よりも高い電気抵抗を有するように形成されている。
【0025】
図7(c)に示すように、第1出力バスバー56aは、それぞれ接続開口60が形成された一対の平坦な接続部77と、これらの接続部77から延出し180度、上方に折り返して延びるターン部78と、ターン部から延出する幅の狭い帯状の溶断部79と、溶断部79から接続部77と同一の方向へ延出した平坦な出力端子74aと、一方の接続部77から延出しているとともにねじ孔81bが形成された接続片81aと、を有し、導電材料、例えば、アルミニウム、真鍮等からなる金属板を折曲げ成形して形成されている。溶断部79および出力端子74aは、ターン部78から接続部77と同一方向に、かつ、接続部77とほぼ平行に延出し、更に、接続部77に対して所定の間隔を置いて位置している。溶断部79は、第1出力バスバー56aに異常な高電流が流れた際に溶断するように、第1出力バスバー56aの他の部分よりも薄く、あるいは、幅が狭く形成され、他の部分よりも断面積を小さくし高い電気抵抗を有するように形成されている。また、溶断部79は、接続部77から同一方向に折り返して延びているため、比較的狭い設置スペース内で、溶断部79の長さを長くすることができ、その分、溶断部の電気抵抗を低くすることが可能となる。
【0026】
図7(d)に示すように、第2出力バスバー56bは、それぞれ接続開口60が形成された一対の平坦な接続部72と、これらの接続部72から延出しクランク状に折曲げられ段差を形成する段差曲げ部73aと、段差曲げ部73aから接続部72と反対の方向へ延出し、接続部72に対してほぼ平行に、かつ、段差を持って位置する平坦な出力端子74bと、一方の接続部72から延出しているとともにねじ孔75が形成された接続片76と、を有し、導電材料、例えば、アルミニウム、真鍮等からなる金属板を折曲げ成形して形成されている。また、第2出力バスバー56bは、段差曲げ部73aと、出力端子74bとの間に設けられた溶断部73bを有している。溶断部73bは、第2出力バスバー56bの幅方向全長を亘って延びている。溶断部73bは、第2出力バスバー56bに異常な高電流が流れた際に溶断するように、第2出力バスバー56bの他の部分よりも薄く、あるいは、幅が狭く形成され、他の部分よりも断面積を小さくし高い電気抵抗を有するように形成されている。
【0027】
上述した接続バスバーおよび出力バスバーの溶断部は、例えば、以下の通り設計する。
【0028】
溶断部について、加熱開始から溶断するまでの溶断時間と、供給電流との関係を考察した。測定用の溶断部としては、出力バスバー56aの溶断部79を用い、A)溶断部断面積100%、B)溶断部断面積94%、C)溶断部断面積88%の3種類の出力バスバーを用意し、それぞれについて溶断時間と供給電流とを測定した。
図10に示すように、供給電流が低い側では溶断時間のばらつきが大きく、寸法変更(溶断部の抵抗を変化させる)に対する溶断時間の傾向が見られない。二次電池装置の設置環境により、バスバーの初期温度は、−30〜+60℃のバラツキがある。また、バスバーの電気導電率のばらつきおよびバスバー溶断部の寸法公差によるバラツキによっても溶断時間が変動する。そこで、
図10では、溶断時間のシュミレーションセンタ値;シュミレーション・バラツキ・−側値;およびシュミレーション・バラツキ・+側値をそれぞれ示している。溶断時間をコントロールするためには、バラツキが小さいものを利用することが望ましい。
図10から、溶断時間のシュミレーションセンタ値を10秒程度以内に設定すると、約1500A以上の電流が入力されると、溶断部が溶断することが分かる。
【0029】
また、Liイオン電池セルを用いる場合、大電流投入時、電子伝導に対して、Liイオンの移動が追いつかない状態にあり、一般に、平衡状態に達するまでの時間が約10ないし20秒程度以上となる。Liイオン移動の抵抗は、電池セルが電流を流す際の発熱の大きな原因のひとつであるため、Liイオン移動が十分に平衡に達するまでは発熱および化学反応によるガス発生が電池セルの弁開放にいたるほど十分には起きていないと考えられる。従って、大電流投入時、20秒程度以内で接続バスバーの溶断部を溶断すれば、電池セルは弁開放せずに確実に電流が遮断される。このことから、上記低電流側での溶断時間のばらつきを考慮し、溶断時間を10秒以内に設定することが望ましい。
以上のことから、接続バスバー52、54および出力バスバー54a、54bの溶断部は、約1500A以上の投入電流に対して、約10秒以内に溶断する、断面積あるいは抵抗値に形成する。これにより、
図10に示すように、約1500Aの電流が入力されると、10秒程度で出力バスバー、接続バスバーの溶断部が溶断し、溶断時間のばらつきが小さくなり、安定して狙った時間で溶断させることが可能となる。
【0030】
図3、
図5、および
図6に示すように、上記のように構成された6個の第1接続バスバー52、2つの第2接続バスバー54、および2つの第1および第2出力バスバー56a、56bが天井壁36の上面の所定位置に装着され、それぞれ電池セル12の電極端子に接続されている。
【0031】
第1出力バスバー56aは、例えば、天井壁36の右下の角部(
図5)に配置され、一対の接続部77は、1組の電池セル12の正極端子22aに接続されている。接続部77の2つの接続開口60に正極端子22aがそれぞれ係合し、レーザ溶接、電子ビーム溶接、抵抗溶接等により第1出力バスバー56aに溶接されている。そして、第1出力バスバー56aの出力端子74aは、正極側出力端子を形成している。
【0032】
図3、
図8、
図9に示すように、第1出力バスバー56aは、そのターン部78が溶断部79に対して制御回路基板17側に位置するように配置されている。溶断部79および出力端子74aは、天井壁36と隙間をおいてほぼ平行に対向している。出力端子74aは、細長い2枚の導電板102a、102bにより上下から挟まれ、これらの導電板102a、102bを固定ねじ104によって天井壁36へ固定することにより、天井壁36上に強固に支持されている。また、導電板102bおよび出力端子74aを通して、出力ボルト106aが下側の導電板102aにねじ込まれている。
【0033】
図3および
図5に示すように、第2出力バスバー56bは、例えば、天井壁36の左上の角部(
図5)に配置され、一対の接続部72は、1組の電池セル12の負極端子22bに接続されている。接続部72の2つの接続開口60に負極端子22bがそれぞれ係合し、レーザ溶接、電子ビーム溶接、抵抗溶接等により第2出力バスバー56bに溶接されている。そして、第2出力バスバー56bの出力端子74bは、負極側出力端子を形成している。第2出力バスバー56bの溶断部79および出力端子74aは、天井壁36と隙間をおいてほぼ平行に対向している。出力端子74bは、細長い2枚の導電板により上下から挟まれ、これらの導電板を固定ねじによって天井壁36へ固定することにより、天井壁36上に強固に支持されている。また、上側の導電板および出力端子74bを通して、出力ボルト106bが下側の導電板にねじ込まれている。
【0034】
図3、
図5、
図6に示すように、一方の第2接続バスバー54は、正極側の出力バスバー56aが接続されている電池セル12の正極端子22aと同列に並んだ1組の電池セル12の負極端子22b、および1組の電池セル12の正極端子22aの4つの電極端子に接続されている。4つの接続部68aの4つの接続開口60に2つの負極端子22bおよび2つの正極端子22aがそれぞれ係合し、レーザ溶接、電子ビーム溶接、抵抗溶接等により第2接続バスバー54に溶接されている。
【0035】
他方の第2接続バスバー54は、負極側の出力バスバー56bが接続されている電池セル12の負極端子22bと同列に並んだ1組の電池セル12の正極端子22a、および1組の電池セル12の負極端子22bの4つの電極端子に接続されている。4つの接続部68aの4つの接続開口60に2つの負極端子22bおよび2つの正極端子22aがそれぞれ係合し、第2接続バスバー54に溶接されている。
【0036】
6個の第1接続バスバー52は、3個ずつ2列に並んで配置され、天井壁36のほぼ中央部に位置している。4列に並んだ接続バスバーの内、第1接続バスバー52は真ん中の2列に並んで配置されている。各第1接続バスバー52は、1組の電池セル12の2つの正極端子22aと、外ケース14の長手方向に隣合う他の1組の電池セル12の2つの負極端子22bとに接続されている。2つの接続部62aの2つの接続開口60に2つの負極端子22bあるいは2つの正極端子22aがそれぞれ係合し、レーザ溶接、電子ビーム溶接、抵抗溶接等により第1接続バスバー52に溶接されている。他方の2つの接続部62bの2つの接続開口60に2つの正極端子22aあるいは2つの負極端子22bがそれぞれ係合し、第1接続バスバー52に溶接されている。
【0037】
これにより、18個の電池セル12は、バスバーにより、2つずつ(1組ずつ)並列に接続され、更に、9組の電池セルは、正極側の第1出力バスバー56aから負極側の第2出力バスバー56bまで、直列に接続されている。
【0038】
なお、
図3では、ボス44、各バスバーのねじ孔にそれぞれネジがねじ込まれた状態を示しているが、これらのねじは、組立時、制御回路基板17の透孔を通して、ボスおよびバスバーのねじ孔にねじ込まれる。
【0039】
図2、
図3、
図6、
図9に示すように、制御回路基板17は、矩形状に形成され、上ケース18の天井壁36よりも僅かに小さい幅および長さを有している。制御回路基板17上に複数の電子部品80が実装されている。制御回路基板17は、その表面および裏面に形成された図示しない回路パターン(配線パターン)を有する。この回路パターンは、接続バスバーに接続される配線として機能する。また、制御回路基板17は、天井壁36の位置決め突起48が挿通される2つのスリット状の透孔82、この制御回路基板17および複数のバスバーの接続片をねじ止めするためのねじを挿通可能な複数の透孔83を有している。この制御回路基板17は、本実施形態に係る二次電池装置、および、異なる他の二次電池装置、例えば、24個の電池セルを収納した二次電池装置のいずれにも適用可能な制御回路基板として構成されている。そして、複数の透孔83は、本実施形態に係る二次電池装置に適した複数の透孔、および、他の二次電池装置に適した複数の透孔の両方を含んでいる。
【0040】
制御回路基板17は、絶縁シート71を挟んで天井壁68上に載置され、大部分のバスバーを覆っている。
図3、
図5、
図6に示すように、絶縁部材として機能する絶縁シート71は、例えば、PPE、変性PPEによりほぼ矩形状に形成されている。絶縁シート71は、天井壁36のほぼ中央部に位置する6つの第2接続バスバー52に覆って、つまり、重ねて配置されている。なお、絶縁部材は、絶縁シートに限定されることなく、絶縁モールディング、絶縁性接着剤を用いてもく、絶縁モールドあるいは絶縁性接着剤により、第2接続バスバー52を埋め込む構成としてもよい。
【0041】
図2、
図3、
図5、
図6に示すように、制御回路基板17は、2つの位置決め突起48を制御回路基板17のスリット状の透孔82に挿通することにより、所定の位置に位置決めされる。制御回路基板17の中心軸線上に並んで形成された3つの透孔83aを通して、それぞれ固定ねじ84aを天井壁36のボス44にねじ込むことにより、制御回路基板17を天井壁36に固定している。また、制御回路基板17の裏面(下面)は、複数の支持リブ53に当接し、これらの支持リブ53により支持される。これにより、制御回路基板17は、複数のバスバーと隙間をおいて、天井壁36とほぼ平行に配置されている。
【0042】
第1接続バスバー52から延出した接続片64の先端部、第2接続バスバー54から延出する接続片70の先端部、第1出力バスバー56aから延出する接続片81aの先端部、および第2出力バスバー56bから延出する接続片76の先端部は、それぞれ制御回路基板17の裏面に当接している。
【0043】
制御回路基板17の複数の透孔83を通して複数の固定ねじ85が挿通され、それぞれ対応するバスバーの接続片に形成されたねじ孔63、69、75にねじ込まれている。これにより、接続片64、70、76、81aは、それぞれ制御回路基板17の裏面側にねじ止めされ、対応する回路パターン(配線パターン)に電気的に接続されている。
【0044】
図2、
図3、
図5、
図7に示すように、天井壁36に立設された複数の支持突起46は、それぞれ制御回路基板17に形成された複数の透孔83bに挿通され、制御回路基板17から上方へ突出している。前述したように、これらの透孔83bおよび支持突起46は、天井壁36の長手方向に沿って2列に並んで設けられ、かつ、天井壁の幅方向のほぼ中央よりに配置されている。透孔83bは、二次電池装置10の専用に設けられた透孔、あるいは、他種類の二次電池装置用に設けられている空きの透孔(余った透孔)、を用いている。
【0045】
図1、
図2、
図7に示すように、外ケース14のトップカバー20は、上ケース18の天井壁36とほぼ等しい大きさの矩形板状に形成され、その周縁部は、直角に折曲げられ周壁20bを形成している。周壁20bには、複数の係合爪86が突設され、全周に亘り間隔を置いて位置している。そして、トップカバー20は、周壁20bを上ケース18の周壁38内側に嵌め込み、係合爪86を周壁38の係合孔39に係合させることにより、上ケース18に装着され、上ケース18の開口を閉じているとともに、制御回路基板17およびバスバーを覆っている。
【0046】
前述したように、トップカバー20は、ポリプロピレン、PPE等の絶縁樹脂により、比較的薄く、柔軟に形成され、上ケース18に対して容易に脱着可能となっている。トップカバー20は、複数の支持突起46と対応する位置に形成され、内面側、つまり、上ケース18の天井壁36側に突出した複数のボス部88を有している。トップカバー20を上ケース18に装着した状態において、複数の支持突起46は、トップカバー20の内面、ここでは、ボス部88に当接あるいは、僅かな隙間を持って対向する。これにより、複数の支持突起46は、トップカバー20を内面側から支持している。そのため、トップカバー20が柔軟に形成されている場合にでも、支持突起によりトップカバーを支持し、制御回路基板側へ変形あるいは歪むことを防止している。従って、例えば、トップカバー20が上から押された場合でも、トップカバー20が制御回路基板に接触することを防止でき、電子部品等の損傷を防止し、保護することができる。
【0047】
図1、
図2、
図8、
図9に示すように、トップカバー20には、第1出力バスバー56aおよび第2出力バスバー56bと対向する位置に、天井壁36側に凹んだ凹所110、112が形成されている。凹所110の底壁は、絶縁部材として機能するシールド壁92aを構成し、このシールド壁92aは、第1出力バスバー56aの溶断部79の直上に隣接対向し、溶断部79を覆っている。シールド壁92aと溶断部79との間の隙間は、例えば、0.35mm以下に設定されている。また、凹所110の底には、開口92bが形成され、第1出力バスバー56aの出力端子74aに取り付けられた導電板102bおよび出力ボルト106は、開口92bを通して凹所110内に露出している。更に、凹所110に脱着自在なターミナルカバー95が装着され、導電板102bおよび出力ボルト106aを覆っている。
【0048】
同様に、凹所112の底壁は、絶縁部材として機能するシールド壁90aを構成し、このシールド壁90aは、第2出力端子56bの溶断部73bの直上に隣接対向し、溶断部73bを覆っている。シールド壁90aと溶断部37bとの間の隙間は、例えば、0.35mm以下に設定されている。また、凹所112の底には、開口90bが形成され、第2出力バスバー56bの出力端子74b取り付けられた導電板および出力ボルト106bは、開口90bを通して凹所112内に露出している。更に、凹所112に脱着自在なターミナルカバー94が装着され、導電板および出力ボルト106bを覆っている。
更に、トップカバー20には、外ケース14内で発生したガスを排気するための排気溝94が形成されている。この排気溝94は、脱着自在なターミナルカバー94により覆われている。
【0049】
以上のように構成された二次電池装置によれば、外部短絡などで異常な大電流が流れてしまった場合、セル主回路を構成する接続バスバーに凸曲げ部、ターン部、あるいは段差部と、これに隣接する溶断部とを設けることによって、大電流通電による発熱を意図的に溶断部に集中させて溶断させ、大電流の通電を遮断することができる。これにより、異常な大電流が流れた場合でも、各電池セルの異常膨張、安全弁開放を生じることなく、接続バスバーの溶断という最小限の損傷にて、二次電池装置を保護することが可能となる。そして、電池セルの異常膨張を防止することにより、外ケース内の余白スペースを削減することができ、電池セルの高密度実装が可能となる。
【0050】
一方、本実施形態の電池モジュールでは、通常稼動範囲の数百Aの電流では、接続バスバーはほとんど加熱せず、通常稼動範囲で十分に抵抗が低い。そのため、ヒューズなどを用いなくとも、十分に、異常時の電流遮断を確保しつつ、ヒューズよりも抵抗を低くすることが可能となる。更に、ヒューズが不要になることで、高体積エネルギー密度の電池モジュール構成が可能となる。
【0051】
二次電池装置内で最も昇温する箇所、すなわち、装置中央部に、同一断面積を有した複数の第2接続バスバー52を配置することにより、過大電流通電時に二次電池装置内の温度差を利用して選択的に第2接続バスバー52の溶断部を溶断することができる。また、これら第2接続バスバー52を絶縁シート71で覆うことにより、この絶縁シートによって第2接続バスバーの保温効果が得られ、第2接続バスバーの温度差をより大きくし、溶断部の溶断を促進することができる。
【0052】
また、前述したように、約1500Aの電流が入力されると、10秒程度で出力バスバーの溶断部が溶断し、溶断時間のばらつきが小さくなり、安定して狙った時間で溶断させることが可能となる。従って、二次電池装置10の入出力特性をバスバーにより低下させることなく、異常電流の入出力時にバスバーを溶断させることができる。
【0053】
接続バスバーと制御回路基板17の回路パターンとの間に上記絶縁シートを配置することにより、溶断時に発生するヒュームを絶縁シートで捕らえ、回路パターンおよび制御回路基板への飛散、および装置外部への飛散を防止することができる。更に、水平方向についても、接続バスバーを装置中央部で溶断させる事により、ヒューム発生部から装置外面までの距離を最大限設定する事が可能となるため、外部への飛散を防止することができる。
【0054】
第1および第2出力バスバー56a、56bの溶断部79、73bの直上にトップカバーのシールド壁92a、90aを設けることにより、溶断時に発生するヒュームをシールド壁で捕らえ、回路パターンおよび制御回路基板への飛散を防止することができる。更に、第1出力バスバーにおいては、溶断部と制御回路基板との間にターン部が位置しているため、溶断時に発生するヒュームをターン部で止めて、制御回路基板側への飛散および装置外部への飛散を防止することができる。これにより、溶断時にヒュームが発生した場合でも、周囲への悪影響を防止し、信頼性の向上を図ることができる。
【0055】
以上のことから、高密度実装が可能であるとともに、外部短絡等で異常な大電流が流れた場合でも、変形を防止して他エリアに影響を及ぼすことのない二次電池装置が得られる。
【0056】
なお、この発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化可能である。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
接続バスバーに接続する配線部は、上述した制御回路基板の配線パターンに限らず、フレキシブルケーブル等を用いてもよい。電池セル群を構成する電池セルの数、外ケースの形状、構造等は、前述した実施形態に限定されることなく、必要に応じて適宜変更可能である。第1出力バスバーのターン部は、U字形状に限らず、コの字形状、波型、くの字型等でもよい。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]外ケースと、それぞれ電極端子を有し、前記外ケース内に並べて配置された複数の電池セルと、それぞれ溶断可能な溶断部を有し、それぞれ前記外ケース上に設けられ前記電池セルの電極端子間を電気的に接続する複数の接続バスバーと、前記複数の接続バスバーに接続され電圧を検出する配線部と、前記接続バスバーの溶断部に重ねて配置され、前記溶断部と前記配線部との間に位置する絶縁部材と、を備える二次電池装置。
[2]前記配線を有し、前記外ケース上に前記複数の接続バスバーに重ねて配置され、前記接続バスバーに電気的に接続された制御回路基板を備え、前記絶縁部材は、前記制御回路基板と前記複数の接続バスバーとの間で、前記複数の接続バスバーの溶断部に重ねて配置された絶縁シートを含んでいる[1]に記載の二次電池装置。
[3]前記絶縁部材は、前記接続バスバーを覆う絶縁性モールドあるいは絶縁性接着剤を含んでいる[1]に記載の二次電池装置。
[4]前記接続バスバーは、複数列に並んで配置され、前記絶縁部材は、複数の接続バスバーの内、中央部に位置する接続バスバー上に重ねて配置されている[2]又は[3]に記載の二次電池装置。
[5]前記接続バスバーの少なくとも1つは、金属板を折り曲げて形成され、それぞれ前記電極端子に接続される複数の接続部と、これら接続部間に位置し凸状に折り曲げられた凸曲げ部と、前記接続部と凸曲げ部との間に設けられた前記溶断部と、を有している[1]ないし[4]のいずれか1に記載の二次電池装置。
[6]前記接続バスバーの少なくとも1つは、出力バスバーを構成し、前記出力バスバーは、金属板を折り曲げて形成され、前記電極端子に接続される平坦な接続部と、平坦な出力端子部と、前記接続部から前記出力端子部側に折り返して延びるターン部と、前記ターン部から前記出力端子部まで延び、他の部分よりも幅が狭く形成された溶断部と、を有している[1]ないし[5]のいずれか1に記載の二次電池装置。
[7]前記接続バスバーの少なくとも1つは、出力バスバーを構成し、この出力バスバーは、金属板を折り曲げて形成され、前記電極端子に接続される平坦な接続部と、平坦な出力端子部と、前記接続部から前記出力端子部側に延びる段差を形成する段差曲げ部と、前記段差曲げ部から前記出力端子部まで延び、他の部分よりも幅が狭く形成された溶断部と、を有している[1]ないし[6]のいずれか1に記載の二次電池装置。
[8]前記複数の接続バスバーを覆って前記外ケースに装着された絶縁樹脂製のトップカバーを備え、前記トップカバーは、前記接続バスバーの溶断部の直上に隣接して対向し前記絶縁部材を構成するシールド壁を有する[6]又は[7]に記載の二次電池装置。
[9]前記接続バスバーのターン部は、前記溶断部と前記配線との間に配置されている[6]に記載の二次電池装置。