(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ガイド部は割筒形状を有し、前記送気送水ノズルが前記可撓管に取り付けられた状態において、前記底面から前記遠位端部の先端面にかけて前記ガイド部と前記可撓管の軸との距離が長くなる請求項2に記載の内視鏡。
前記送気送水ノズルが前記可撓管に取り付けられた状態において、前記送気送水ノズル及び前記可撓管の外周に外皮が設けられ、前記外皮の上から前記送気送水ノズル及び前記可撓管の外周に固定糸が巻き回され、前記外皮及び前記固定糸の外周から接着剤が塗布される請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の内視鏡。
前記可撓管の長手方向外側から前記遠位端を見たとき、前記噴出口側平面は、前記撮影レンズの光軸と前記送気送水ノズルの中心軸とを結ぶ直線に対して直角を成す請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の内視鏡。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の送気送水ノズルでは、遠位端からの突出量が少ないため、送気送水量が十分でないために、撮影レンズに付着した異物を除去できないおそれがある。また、特許文献2に記載の送気送水ノズルは、遠位端から突出して送気送水を行うため、送気送水により飛ばされた異物が送気送水ノズルに付着して、送気送水ノズルを遠位端に退避させたときに送気送水ノズルと遠位端との間に異物が挟まることが予想される。送気送水ノズルと遠位端との間に異物が挟まると、送気送水ノズルが遠位端に完全に退避できず、撮影レンズの画角に送気送水ノズルが入ってしまう可能性がある。
【0006】
本発明はこれらの問題に鑑みてなされたものであり、撮影レンズを洗浄するに十分な量の流体を送気送水ノズルから噴出させることが可能な内視鏡を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明による内視鏡は、観察対象物に近接する遠位端を有する可撓管と、遠位端から可撓管の長手方向に沿って延び、かつ可撓管の側面に開口する切欠部と、切欠部と係合して可撓管に取り付けられる送気送水ノズルとを備えることを特徴とする。
【0008】
可撓管の内部かつ略全長に渡って設けられる管路をさらに備え、切欠部は、遠位端とは反対側の端部に底面を有し、管路は、底面に開口する開口部を有し、送気送水ノズルは開口部に接続されることが好ましい。
【0009】
観察対象物を撮影するために用いられる撮影レンズが遠位端に設けられ、切欠部は、遠位端から底面まで可撓管の長手方向に沿って延びる噴出口側平面を有し、可撓管の長手方向外側から遠位端を見たとき、噴出口側平面は、撮影レンズの光軸と開口部の中心とを結ぶ直線に対して直角を成すことが好ましい。
【0010】
噴出口側平面は、底面から遠位端に近づくに従い、可撓管の軸との距離が長くなるように構成されても良い。
【0011】
噴出口側平面は、可撓管の軸に平行であるように構成されても良い。
【0012】
送気送水ノズルは、切欠部と係合するガイド部と、ガイド部の端部に接続される蓋部とを有し、ガイド部は、遠位端側に位置する遠位端側端面を有し、可撓管の軸に平行な断面において、蓋部は、遠位端側端面から可撓管の軸方向に向けて所定の距離を開けてガイド部の遠位端側を覆うように設けられ、かつ、可撓管の長手方向外側から遠位端を見たとき、蓋部は、遠位端側端面から撮影レンズ方向に延びる庇部を有し、庇部の先端と撮影レンズの光軸との距離は、噴出口側平面と撮影レンズの光軸との距離よりも短いことが好ましい。
【0013】
ガイド部は割筒形状を有し、送気送水ノズルが可撓管に取り付けられた状態において、底面から遠位端付近に近づくに従ってガイド部と可撓管の軸との距離が長くなることが好ましい。
【0014】
ガイド部は、割筒形状を有し、外側面に設けられた凹部を有するように構成されても良い。
【0015】
送気送水ノズルが可撓管に取り付けられた状態において、送気送水ノズル及び可撓管の外周に外皮が設けられ、外皮の上から送気送水ノズル及び可撓管の外周に固定糸が巻き回され、外皮及び固定糸の外周から接着剤が塗布されることが好ましい。
【0016】
ガイド部は、長手方向に直角な断面においてU字形の断面を有するとともに、互いに平行な第1の側部及び第2の側部を有し、切欠部は、噴出口側平面と直角に交わる第1の切欠側面と、第1の切欠平面と直角に交わり、かつ第1の切欠側面と平行な第2の切欠側面とを有し、第1の側部は第1の切欠側面と係合し、第2の側部は第2の切欠側面と係合することが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、撮影レンズを洗浄するに十分な量の流体を送気送水ノズルから噴出させることが可能な内視鏡を得る。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の第1の実施形態による第1の内視鏡100について
図1から10を用いて説明する。
【0020】
まず、
図1を用いて第1の内視鏡100について説明する。第1の内視鏡100は、被験者の体内に挿入される第1の可撓管110と、術者が保持する操作部120と、図示しない内視鏡プロセッサに第1の内視鏡100を接続するコネクタ130とを主に備える。ユニバーサルケーブル131がコネクタ130と操作部120とを接続する。
【0021】
第1の可撓管110は、被験者の体内に挿入される遠位端部101を有する。第1の可撓管110の内部には、操作部120から遠位端部101まで延びる吸入管(非図示)及び送気送水管113(
図2参照)、並びにコネクタ130から遠位端部101まで延びる照明ファイバ(非図示)及び信号線152(
図2参照)が設けられる。遠位端部101は、金属、樹脂、又はセラミック等から成る先端部材112の内部に、
図2に示すCCDユニット140及び第1の送気送水ノズル160、並びに
図3に示す吸入口104及び照明レンズ105を設けて成る。遠位端部101の詳細については、後述される。
【0022】
操作部120は、鉗子口121、内視鏡用バルブ122、及びスイッチ123を有する。鉗子口121は吸入管に接続される。鉗子口121に挿入された鉗子は、吸入管の内部に沿って遠位端部101まで運ばれる。内視鏡用バルブ122は、押し下げることによって遠位端部101まで吸入口104に水又は空気を供給するバルブであって、ニップル124及び送気送水管113が接続される。以下、水又は空気を水等という。ニップル124には、図示しない給気給水管が接続され、内視鏡用バルブ122に水等を供給する。内視鏡用バルブ122を押し下げると、ニップル124と送気送水管113とが接続されて、ニップル124から送気送水管113に水等が供給される。スイッチ123は、第1の内視鏡100及び内視鏡プロセッサを操作するために用いられる。
【0023】
コネクタ130は、図示しない内視鏡プロセッサに接続される信号端子132と、図示しない照明ユニットに接続される照明端子133とを有する。信号端子132は、コネクタ130内において信号線に接続され、CCDユニット140からの画像信号を内視鏡プロセッサに送信する。照明端子133は、コネクタ130内において照明ファイバに接続され、照明光を照明レンズ105まで送信する。
【0024】
次に、
図2を用いて遠位端部101について説明する。遠位端部101の内部には、CCDユニット140、第1の送気送水ノズル160、並びに図示しない吸入口及び照明レンズ105等が設けられる。ここでは、CCDユニット140及び第1の送気送水ノズル160について説明する。
【0025】
CCDユニット140は、先端に設けられる凹レンズである撮影レンズ141と、観察対象物を撮像する撮像素子であるCCD142と、これらの部材を格納するケーシング143とから主に構成される。
【0026】
撮影レンズ141は、遠位端面107から僅かに突出するようにケーシング143の先端に設けられ、接着剤144によりケーシング143に固定される。接着剤144は撮影レンズ141とケーシング143との隙間に充填されて、撮影レンズ141をケーシング143に固定する。
【0027】
撮影レンズ141の後端には、撮影レンズ141から入射した光の光量及び被写界深度を調整する絞り145が設けられる。絞り145の後端には、第1の対物レンズ146及び第2の対物レンズ147が設けられ、CCD142に被写体像を結像させる。第1の対物レンズ146と第2の対物レンズ147との間にはスペーサ148が設けられ、第1の対物レンズ146と第2の対物レンズ147との間隔を保持しながら、第1の対物レンズ146及び第2の対物レンズ147をケーシング143に固定する。第2の対物レンズ147とCCD142との間には、遮光マスク149及びカバーガラス150が設けられる。遮光マスク149は、鏡筒内の乱反射などが撮影画像に対して与える影響を抑制する。CCD142は基板151に取り付けられ、基板151上にはCCD142の周辺回路が形成される。導電性金属から成る信号線152が基板151に接続され、信号線152の外周を包むように第1の保護チューブ153が設けられ、第1の保護チューブ153の外周を包むように第2の保護チューブ154が設けられる。ケーシング143は、撮影レンズ141、絞り、第1の対物レンズ146、スペーサ148、第2の対物レンズ147、遮光マスク149、カバーガラス150、CCD142、及び基板151を格納しながら、第2の保護チューブ154の一端を支持する。そして、ケーシング143の外側面の一部を覆い、かつ第2の保護チューブ154の外側面を覆うように保護管155が設けられる。
【0028】
次に、第1の送気送水ノズル160及び送気送水管113について概略的に説明する。送気送水管113は、筒状の樹脂から成る弾性部材114と、弾性部材114に巻き回される保護コイル115とから主に構成される。弾性部材114の外周面には螺旋状の螺旋溝が形成され、この螺旋溝に保護コイル115が係合して弾性部材114に固定される。螺旋溝の深さは、保護コイル115を構成する鋼線の直径と略同じであるため、弾性部材114の外周面から保護コイル115が突出することがない。送気送水管113の遠位端部側端部は、先端部材112の内部に構成される接続管118に接続される。接続管118の内側面に第1の送気送水ノズル160の底部が差し込まれる。これにより、送気送水管113に第1の送気送水ノズル160が接続される。第1の送気送水ノズル160は、樹脂により形成され、先端部材112の側面に開口する第1の切欠部119に係合して取り付けられる。第1の送気送水ノズル160の形状については後述される。
【0029】
先端部材112は、ケーシング143、保護管155、送気送水管113、及び第1の送気送水ノズル160を格納する。先端部材112の遠位端面107側には、先端部材112の全周に渡って溝108が設けられる。溝108は、先端部材112の径方向に対して僅かに窪んでいる。先端部材112の後端部の外周には、接輪管116が巻き回され、接輪管116の周囲には網状管117が巻き回される。そして、網状管117の上から樹脂から成る外皮111が設けられる。
【0030】
第1の送気送水ノズル160が先端部材112に取り付けられた状態において、第1の送気送水ノズル160及び先端部材112の外周に外皮111が設けられ、外皮111の上から第1の送気送水ノズル160及び先端部材112の外周に固定糸102が巻き回され、外皮111及び固定糸102の外周から接着剤144が塗布される。外皮111の端部及び固定糸102は溝108に嵌り込み、溝108は固定糸102の直径と略同じ深さを有するため、溝108が無い部分に設けられた外皮111よりも固定糸102が突出することはない。
【0031】
次に、
図3を用いて遠位端面107について説明する。
図3は、第1の可撓管110の軸方向外側から遠位端面107を見た図である。遠位端面107には、撮影レンズ141、第1の送気送水ノズル160、吸入口104、及び2つの照明レンズ105が露出する。撮影レンズ141はケーシング143に取り付けられ、遠位端から外部に露出する。2つの照明レンズ105は、撮影レンズ141の両側に配され、照明光を観察対象物に対して照射する。第1の送気送水ノズル160は、その開口が撮影レンズ141に向くように、第1の切欠部119に係合して取り付けられる。
【0032】
次に、
図4を用いて第1の切欠部119について説明する。第1の切欠部119は、先端部材112の側面を抉るように第1の可撓管110の長手方向に沿って延び、かつ先端部材112の側面に開口する。接続管118の一端が開口する第1の切欠底面174と、遠位端面107から第1の切欠底面174まで延びる第1の噴出口側平面171、第1の側面172、及び第2の側面173とが第1の切欠部119を構成する。第1の噴出口側平面171は、遠位端面107から第1の切欠底面174まで第1の可撓管110の長手方向に沿って延びる。そして、第1の可撓管110の長手方向外側から遠位端面107を見たとき、第1の噴出口側平面171は、撮影レンズ141の光軸Aと第1の送気送水ノズル160の中心軸B1とを結ぶ直線に対して直角を成す(
図3参照)。第1の側面172及び第2の側面173は、第1の噴出口側平面171と直角を成すように接続される。
図2を参照すると、第1の噴出口側平面171は、第1の切欠底面174から遠位端面107に近づくに従い、第1の可撓管110の軸との距離が長くなる。すなわち、第1の噴出口側平面171は、第1の切欠底面174から遠位端面107に向けて、遠位端部101の外側面側に傾いている。
【0033】
次に、
図5から7を用いて第1の送気送水ノズル160の形状について説明する。
図5及び6を参照すると、第1の送気送水ノズル160は、第1のガイド部161、第1のガイド部161の一端に接続される第1の蓋162、及び第1のガイド部161の他端に接続される第1の挿入管163とから構成される。第1のガイド部161は、割筒形状を有し、長手方向に直角な断面においてU字形状を成す。U字形状の曲部は、第1の背部164を成し、直線から成る部分は第1の側部165及び第2の側部166を成す。第1の送気送水ノズル160の右側面について
図7を参照して説明する。第1の背部164は、第1の送気送水ノズル160の長手方向に対して斜めに延びる部分と、長手方向に沿って延びる部分とから成る。第1の側部165は、五角形を成し、
図7において左側の辺は第1の送気送水ノズル160の長手方向に対して斜めに延び、右側の辺は、長手方向に対して斜めかつ左側の辺と平行に延びる部分と長手方向に沿って延びる部分とから成る。第2の側部166もまた第1の側部165と同様の構成を有する。第1の蓋162は、第1の背部164、第1の側部165、及び第2の側部166の長手方向に沿って所定の距離を開けて第1のガイド部161の遠位端側を覆うように、第1の背部164、第1の側部165、及び第2の側部166と連続的に接続される。そして、第1の蓋162は、
図7において左に向けて側部から突出する。この突出する部位を庇部167という。第1の蓋162の頂部は平面を成す。第1のガイド部161の内側面及び第1の蓋162の内側面が第1の噴出管路180の一部を形成する(
図5参照)。第1の挿入管163は、円筒形状を有し、その外径は接続管118の内径よりも僅かに短い。
【0034】
次に
図2、3、8、及び9を用いて第1の切欠部119に取り付けられた第1の送気送水ノズル160について説明する。
図8は、第1の切欠部119に取り付けられた第1の送気送水ノズル160を遠位端部101の外側上方から示した図である。
【0035】
図9を参照すると、第1の側部165の外側が第1の側面172と面接触し、第1の側部165の端面が第1の噴出口側平面171と面接触し、第2の側部166の外側が第2の側面173と面接触し、そして第2の側部166の端面が第1の噴出口側平面171と面接触するように、第1の送気送水ノズル160が第1の切欠部119に取り付けられる。第1の挿入管163が接続管118の内周に挿入される。第1の挿入管163の外周と接続管118の内周とは水等が漏れない程度に密着する。遠位端部101の軸に対する第1の側部165及び第2の側部166の傾きと、第1の噴出口側平面171の傾きは同じであるため、第1の側部165及び第2の側部166は全長に渡って第1の噴出口側平面171と密着する。これにより、第1の噴出口側平面171と、第1のガイド部161の内側面と、第1の蓋162の内側面とが第1の噴出管路180を形成する。
図2を参照すると、第1の送気送水ノズル160が第1の切欠部119に取り付けられた状態において、第1の切欠底面174から遠位端面107へ移動するに従って第1のガイド部161と撮影レンズ141の光軸Aとの距離が長くなる。庇部167は、第1のガイド部161から撮影レンズ141方向に延びる。庇部167の先端から撮影レンズ141の光軸Aまでの距離は、第1の噴出口側平面171と遠位端面107との交線から撮影レンズ141の光軸Aまでの距離よりも短い。第1の切欠底面174から遠位端面107に近づくに従って第1のガイド部161と撮影レンズ141の光軸Aとの距離を長くすることにより、第1の可撓管110内において送気送水管113を従来と同じ位置に保ちながら、噴出管路の軸B1と撮影レンズ141の光軸Aとの距離を従来よりも長くすることができる。これにより、庇部167の突出長さを従来よりも長くしたり、遠位端面107から庇部167までの距離H1を従来よりも長くしたりしても、庇部167が撮影レンズ141の画角αに入らない(
図2参照)。
【0036】
図2を参照して、第1の噴出管路180内の水等の流れについて説明する。送気送水管113から水等が送られると、水等は第1の噴出管路180を経て第1の蓋162の内側面に衝突し、庇部167に導かれる。水等は庇部167によって流出方向を変えられて、撮影レンズ141に向けて流れる。これにより第1の送気送水ノズル160を経た水等が遠位端面107から剥離せず、遠位端面107に沿った流体の流れが形成される。噴出した水等は、撮影レンズ141に導かれ、撮影レンズ141に付着した汚物等を除去する。
【0037】
本実施形態によれば、遠位端面107から庇部167までの距離を長くできるため、従来よりも大きな流量を持つ水等を第1の送気送水ノズル160から噴出させ、迅速に撮影レンズ141に付着した液体や異物を迅速に除去することができる。
【0038】
また、従来よりも庇部167の突出長さを長くできるため、第1の送気送水ノズル160から噴出する水等を撮影レンズ141に向けて正確に噴出することができる。
【0039】
そして、第1の側部165の外側面が第1の切欠部119の第1の側面172と面接触し、第1の側部165の端面が第1の切欠部119の第1の噴出口側平面171と面接触するため、第1の送気送水ノズル160を第1の切欠部119に差し込むだけで、第1の送気送水ノズル160が第1の切欠部119に対して回転せずに固定される。そのため、送気送水ノズルを遠位端部101に対して固定するために従来用いられていたリング状の部材を必要としない。
【0040】
第1の送気送水ノズル160が第1の切欠部119に取り付けられた状態において、第1の切欠底面174付近において第1の送気送水ノズル160と先端部材112の外周面との間に段差ができる。この段差において固定糸102の直径と略同じ深さを有する部分に外皮111の端部及び固定糸102を設けることにより、この段差に外皮111の端部及び固定糸102が嵌り込んで、段差が無い部分に設けられた外皮111よりも固定糸102が突出することはない。これにより第1の可撓管110の外周面に凹凸が少なくなって、患者の苦痛を減少させることができる。なお、段差には接着剤が充填される。
【0041】
次に、
図10から17を用いて第2の実施形態による第2の内視鏡200について説明する。第1の実施形態と同様の構成については同じ符号を付して説明を省略する。第2の実施形態では、送気送水管113及び第2の送気送水ノズル260が第1の実施形態よりも遠位端部101の外周寄りに設けられ、第2の送気送水ノズル260の形状が第1の送気送水ノズル160と異なり、かつ第2の切欠部219の形状が第1の切欠部119と異なる。
【0042】
図10を用いて送気送水管113及び第2の送気送水ノズル260について概略的に説明する。送気送水管113は、第1の実施形態よりも遠位端部101の外周寄りに設けられる。第2の送気送水ノズル260は、樹脂により形成され、その開口が撮影レンズ141に向くように、先端部材112の側面に開口する第2の切欠部219に係合して取り付けられる。第2の送気送水ノズル260の外周側面には、凹部267が設けられる。凹部267は、溝108と略同じ深さを有する。第2の送気送水ノズル260の詳細な形状については後述される。第2の送気送水ノズル260の底部が接続管118の内側面に差し込まれる。これにより、送気送水管113に第2の送気送水ノズル260が接続される。第2の送気送水ノズル260が先端部材112に取り付けられた状態において、第2の送気送水ノズル260及び先端部材112の外周に外皮111が設けられ、第2の送気送水ノズル260及び先端部材112の外周に外皮111の上から固定糸102が巻き回され、外皮111及び固定糸102の外周から接着剤144が塗布される。外皮111の端部及び固定糸102は溝108及び凹部267に嵌り込み、溝108及び凹部267は固定糸102の直径と略同じ深さを有するため、溝108及び凹部267が無い部分に設けられた外皮111よりも固定糸102が突出することはない。
【0043】
次に、
図10から12を用いて第2の切欠部219について説明する。
図11を参照すると、第2の切欠部219は、先端部材112の側面を抉るように第2の可撓管210の長手方向に沿って延び、かつ先端部材112の側面に開口する。接続管118の一端が開口する第2の切欠底面274と、遠位端面107から切欠底面まで延びる第2の噴出口側平面271、第3の側面272、及び第4の側面273とが第2の切欠部219を構成する。第2の噴出口側平面271は、遠位端面107から第2の切欠底面274まで第2の可撓管210の長手方向に沿って延びる。そして、第2の可撓管210の長手方向外側から遠位端面107を見たとき、第2の噴出口側平面271は、撮影レンズ141の光軸Aと第2の送気送水ノズル260の中心軸B2とを結ぶ直線に対して直角を成す(
図12参照)。第3の側面272及び第4の側面273は、第2の噴出口側平面271と直角を成すように接続される。
図10を参照すると、第2の噴出口側平面271は、第2の切欠底面274から直角に第2の可撓管210の軸に沿って延びる。すなわち第2の噴出口側平面271は、第2の可撓管210の軸に対して平行な平面である。なお、第2の送気送水ノズル260の外周面と第2の切欠底面274との間にできる段差には接着剤が充填される。
【0044】
次に、
図13から15を用いて第2の送気送水ノズル260の形状について説明する。第2の送気送水ノズル260は、第2のガイド部261、第2のガイド部261の一端に接続される第2の蓋262、及び第2のガイド部261の他端に接続される第2の挿入管263とから構成される。第2のガイド部261は、割筒形状を有し、長手方向に直角な断面においてU字形状を成す。U字形状の曲部は、第2の背部264を成し、直線から成る部分は第3の側部265及び第4の側部266を成す。第2の送気送水ノズル260の右側面について
図14を参照して説明する。第2の背部264は、第2の送気送水ノズル260の長手方向に沿って延びる。すなわち第2の背部264は、第2の可撓管210の軸に対して平行に延びる。第3の側部265は、長方形を成し、長辺は第2の送気送水ノズル260の長手方向と平行に延びる。第4の側部266もまた第3の側部265と同様の構成を有する。第2の蓋262は、第2の背部264、第3の側部265、及び第4の側部266の長手方向に沿って所定の距離を開けて第2のガイド部261の遠位端側を覆うように、第2の背部264、第3の側部265、及び第4の側部266と連続的に接続される。そして、第2の蓋262は、
図14において左に向けて側部から突出する。この突出する部位を庇部167という。第2の蓋262の頂部は平面を成す。第2のガイド部261の内側面及び第2の蓋262の内側面が第2の噴出管路280の一部を形成する(
図13参照)。第2の挿入管263は、円筒形状を有し、その外径は接続管118の内径よりも僅かに短い。
図15を参照すると、第2の送気送水ノズル260の外周側面には、凹部267が設けられる。凹部267は、
図10に示す溝108と略同じ深さを有する。
【0045】
次に
図10、12、16、及び17を用いて第2の切欠部219に取り付けられた第2の送気送水ノズル260について説明する。
図16は、第2の切欠部219に取り付けられた第2の送気送水ノズル260を遠位端部101の外側上方から示した図である。
【0046】
図17を参照すると、第3の側部265の外側が第3の側面272と面接触し、第3の側部265の端面が第2の噴出口側平面271と面接触し、第4の側部266の外側が第4の側面273と面接触し、そして第4の側部266の端面が第2の噴出口側平面271と面接触する。
図10を参照すると、第2の挿入管263が接続管118の内周に挿入される。第2の挿入管263の外周と接続管118の内周とは水等が漏れない程度に密着する。遠位端部101の軸に対して第3の側部265、第4の側部266、及び第2の噴出口側平面271は平行であるため、第3の側部265及び第4の側部266は全長に渡って第2の噴出口側平面271と密着する。これにより、第2の噴出口側平面271と、第2のガイド部261の内側面と、第2の蓋262の内側面とが第2の噴出管路280を形成する。
図12を参照すると、庇部167は、遠位端側端面から撮影レンズ141方向に延びる。庇部167の先端と撮影レンズ141の光軸Aとの距離は、第2の噴出口側平面271と撮影レンズ141の光軸Aとの距離よりも短い。
【0047】
送気送水管113及び第2の送気送水ノズル260を遠位端部101の外周寄りに設けることにより、噴出管路の軸B2と撮影レンズ141の光軸Aとの距離を従来よりも長くすることができる。これにより、庇部167の突出長さを従来よりも長くしたり、遠位端面107から庇部167までの距離H2を従来よりも長くしたりしても、庇部167が撮影レンズ141の画角αに入らない(
図10参照)。また、送気送水管113及び第2の送気送水ノズル260を遠位端部101の外周寄りに設けると、第2の送気送水ノズル260及び先端部材112に巻き回す固定糸102が遠位端部101の外周面に凹凸を形成するおそれがあるが、本実施形態では、第2の送気送水ノズル260の外周面に凹部267を設け、この凹部267に固定糸102を巻き回すことにより、遠位端部101の外周面に凹凸を形成しない。
【0048】
本実施形態によれば、遠位端面107から庇部167までの距離を長くできるため、従来よりも大きな流量を持つ水等を第2の送気送水ノズル260から噴出させ、迅速に撮影レンズ141に付着した液体や異物を迅速に除去することができる。
【0049】
また、従来よりも庇部167の突出長さを長くできるため、第2の送気送水ノズル260から噴出する水等を撮影レンズ141に向けて正確に噴出することができる。
【0050】
そして、第3の側部265の外側が第3の側面272と面接触し、第3の側部265の端面が第2の噴出口側平面271と面接触するため、第2の送気送水ノズル260を切欠部に差し込むだけで、第2の送気送水ノズル260が第2の切欠部219に対して回転せずに固定される。そのため、従来、送気送水ノズルを遠位端部101に対して固定していたリング状の部材を必要としない。
【0051】
第2の送気送水ノズル260の外周面に凹部267を設け、この凹部267に固定糸102を巻き回すことにより、凹部267に外皮111の端部及び固定糸102が嵌り込んで、凹部267が無い部分に設けられた外皮111よりも固定糸102が突出することはない。これにより第2の可撓管210の外周面に凹凸が少なくなって、患者の苦痛を減少させることができる。また、第2の送気送水ノズル260の外周面が外皮111と密着するため、第2の送気送水ノズル260を強固に固定できる。そして、凹部267が設けられているため、固定糸を容易に巻き回すことができる。
【0052】
なお、いずれの実施形態においても、撮像素子はCCD142に限定されない。
【0053】
また、第1の送気送水ノズル160及び第2の送気送水ノズル260の外周面を先端部材の外周面と面一と成るように形成しても良い。