(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
マクロセルを形成するマクロ基地局と第1キャリアを用いて通信するユーザ端末が、前記マクロセルよりも小さいスモールセルを形成するスモール基地局と前記第1キャリアよりも高い周波数帯域の第2キャリアを用いて通信する無線通信方法であって、
前記マクロ基地局と前記ユーザ端末との前記第1キャリアを用いた通信により取得された前記ユーザ端末の位置関連情報に基づいて、前記スモール基地局から前記ユーザ端末に向けた送信ビームを形成するためのビーム形成情報を生成する工程と、
前記スモール基地局が、前記ビーム形成情報に基づいて、前記スモールセル内で共通の共通制御信号及び参照信号の少なくとも1つをプリコーディングして、前記第2キャリアを用いて複数の送信アンテナから送信する工程と、
を有することを特徴とする無線通信方法。
前記ビーム形成情報は、前記マクロ基地局において、前記ユーザ端末の位置関連情報と、前記スモール基地局の位置関連情報と、に基づいて生成され、前記スモール基地局に通知されることを特徴とする請求項1に記載の無線通信方法。
前記ビーム形成情報は、前記スモール基地局から前記ユーザ端末に向けた前記送信ビームの方向、該送信ビームを形成するためのプリコーディングウェイト、前記ユーザ端末までのパスロス、前記ユーザ端末に対する送信電力の少なくとも1つであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の無線通信方法。
前記ユーザ端末の位置関連情報は、前記ユーザ端末の位置情報、前記第1キャリアのパスロス、前記マクロ基地局から前記ユーザ端末に向けた送信ビームの方向、前記ユーザ端末から前記マクロ基地局に向けた受信ビームの方向、該送信ビームを形成するためのプリコーディングウェイト、前記マクロ基地局から前記ユーザ端末に向けた送信電力の少なくとも1つであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の無線通信方法。
前記複数の送信アンテナの素子数は、前記送信ビームのビーム幅を狭くして前記送信ビームのカバレッジが大きくなるように、増加させて設定されることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の無線通信方法。
マクロセルを形成するマクロ基地局と第1キャリアを用いて通信するユーザ端末と前記第1キャリアよりも高い周波数帯域の第2キャリアを用いて通信するとともに、前記マクロセルよりも小さいスモールセルを形成する無線基地局であって、
前記ユーザ端末に向けた送信ビームを形成するためのビーム形成情報に基づいて、前記スモールセル内で共通の共通制御信号及び参照信号の少なくとも1つをプリコーディングするプリコーディング部と、
プリコーディングされた前記共通制御信号及び前記参照信号の少なくとも1つを、前記第2キャリアを用いて送信する複数の送信アンテナと、を具備し、
前記ビーム形成情報は、前記マクロ基地局と前記ユーザ端末との前記第1キャリアを用いた通信により取得された前記ユーザ端末の位置関連情報に基づいて生成されることを特徴とする無線基地局。
第1キャリアを用いてユーザ端末と通信するとともに、前記第1キャリアよりも高い周波数帯域の第2キャリアを用いて前記ユーザ端末と通信するスモール基地局に接続された無線基地局であって、
前記ユーザ端末との前記第1キャリアを用いた通信により前記ユーザ端末の位置関連情報を取得する取得部と、
前記ユーザ端末の位置関連情報に基づいて生成された前記スモール基地局から前記ユーザ端末に向けた送信ビームを形成するためのビーム形成情報を、前記スモール基地局に通知する通知部と、
を具備し、
前記ビーム形成情報は、前記スモール基地局が、前記スモールセル内で共通の共通制御信号及び参照信号の少なくとも1つをプリコーディングして、前記第2キャリアを用いて複数の送信アンテナから送信するために用いられることを特徴とする無線基地局。
マクロセルを形成するマクロ基地局と第1キャリアを用いて通信するユーザ端末が、前記マクロセルよりも小さいスモールセルを形成するスモール基地局と前記第1キャリアよりも高い周波数帯域の第2キャリアを用いて通信する無線通信システムであって、
前記マクロ基地局と前記ユーザ端末との前記第1キャリアを用いた通信により取得された前記ユーザ端末の位置関連情報に基づいて、前記スモール基地局から前記ユーザ端末に向けた送信ビームを形成するためのビーム形成情報を生成し、
前記スモール基地局が、前記ビーム形成情報に基づいて、前記スモールセル内で共通の共通制御信号及び参照信号の少なくとも1つをプリコーディングして、前記第2キャリアを用いて複数の送信アンテナから送信することを特徴とする無線通信システム。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、LTE−Aで定められた階層型帯域幅構成を示す図である。
図1に示す例は、複数の基本周波数ブロック(以下、コンポーネントキャリアとする)で構成される第1システム帯域を持つLTE−Aシステムと、1コンポーネントキャリアで構成される第2システム帯域を持つLTEシステムとが併存する場合の階層型帯域幅構成である。LTE−Aシステムにおいては、例えば、100MHz以下の可変システム帯域幅で無線通信し、LTEシステムでは、20MHz以下の可変システム帯域幅で無線通信する。LTE−Aシステムのシステム帯域は、LTEシステムのシステム帯域を1単位とする少なくとも1つのコンポーネントキャリアとなっている。このように、複数のコンポーネントキャリアを集めて広帯域化することをキャリアアグリゲーションという。
【0014】
例えば、
図1においては、LTE−Aシステムのシステム帯域は、LTEシステムのシステム帯域(ベース帯域:20MHz)を1つのコンポーネントキャリアとする5つのコンポーネントキャリアの帯域を含むシステム帯域(20MHz×5=100MHz)となっている。
図1においては、ユーザ端末UE(User Equipment)#1は、LTE−Aシステム対応(LTEシステムにも対応)のユーザ端末であり、100MHzまでのシステム帯域に対応可能である。UE#2は、LTE−Aシステム対応(LTEシステムにも対応)のユーザ端末であり、40MHz(20MHz×2=40MHz)までのシステム帯域に対応可能である。UE#3は、LTEシステム対応(LTE−Aシステムには対応せず)のユーザ端末であり、20MHz(ベース帯域)までのシステム帯域に対応可能である。
【0015】
ところで将来のシステムでは、
図2に示すように、マクロセルMと多数のスモールセルSとが地理的に重複するように配置される構成が想定される。この場合、ネットワークコストに対するキャパシティを考慮して、スモールセルSを設計することが求められている。ネットワークコストとしては、例えば、ネットワークノードやバックホールリンク等の設置コスト、セルプランニングや保守対応等のオペレーションコスト、ネットワーク側の消費電力等が挙げられる。また、スモールセルSには、キャパシティ以外の要求として、ユーザ端末側の省消費電力化やランダムセルプランニングのサポートが求められている。
【0016】
マクロセルMとスモールセルSとを地理的に重複するように配置する場合、
図3A、3Bに示すように2種類のHeterogeneous Network(以下、HetNetと称する)構成が考えられる。
図3Aに示す第1のHetNet構成では、マクロセルMとスモールセルSとが同一のキャリアを用いるようにスモールセルSが配置される。
図3Bに示す第2のHetNet構成では、マクロセルMとスモールセルSとが異なるキャリアを用いるようにスモールセルSが配置される。第2のHetNet構成では、スモールセルSが専用のキャリアを用いるので、マクロセルMでカバレッジを確保しつつ、スモールセルSでキャパシティを確保できる。今後(Rel.12以降)は、この第2のHetNet構成が重要になると考えられる。
【0017】
図4を参照し、第2のHetNet構成において用いられるキャリアの一例を説明する。なお、第2のHetNet構成において、マクロセルMは、相対的に広範なカバレッジ(例えば、半径10km程度)を有するセルであり、ワイドエリア等と称されても良く、セクタであってもよい。また、スモールセルSは、局所的なカバレッジを有するセル(例えば、半径数メートル程度)であり、ローカルエリア、ピコセル、ナノセル、フェムトセル、マイクロセル、eLA(enhanced local area)セル等と称されてもよい。以下、マクロセルM、スモールセルSをそれぞれ形成する(カバレッジとする)無線基地局、装置、ノード、送信ポイントなどをマクロ基地局、スモール基地局と称する。
【0018】
図4に示すように、第2のHetNet構成のマクロセルMでは、例えば、2GHz帯等の低周波数帯域のキャリアが用いられる。マクロセル用キャリアは、広範なカバレッジを有するように、相対的に高い電力密度を有し、相対的に大きい送信電力で送信される。このマクロセル用キャリアは、カバレッジキャリアやレガシーキャリア等と呼ばれてもよく、以下では、カバレッジキャリアと称する。また、マクロセルMで用いられる周波数帯域は、カバレッジ帯域、既存セルラ帯域等と呼ばれてもよい。
【0019】
一方、第2のHetNet構成のスモールセルSでは、例えば、3.5GHz帯や10GHz帯等の高周波数帯域のキャリアが用いられる。スモールセル用キャリアは、高い伝送レートを実現できるように、相対的に広い帯域幅を有する。すなわち、スモールセル用キャリアは、スモールセルSのキャパシティを向上させるため、マクロセル用キャリアよりも広い帯域幅を有する。また、スモールセル用キャリアの帯域幅は、周波数帯が高くなるほど広くなる。例えば、
図4に示すように、10GHz帯のキャリアの帯域幅は、3.5GHz帯のキャリアよりも広くなる。また、スモールセル用キャリアは、キャパシティキャリア、追加キャリア(additional carrier)や拡張キャリア(extension carrier)等と呼ばれてもよく、以下では、キャパシティキャリアと称する。また、スモールセルMで用いられる周波数帯域は、キャパシティ帯域等と呼ばれてもよい。
【0020】
このような第2のHetNet構成では、
図5に示すように、マクロセルMとスモールセルSとで要求条件等が異なることが想定される。例えば、マクロセルMでは、帯域幅が限定されるため、周波数利用効率が非常に重要である。これに対して、スモールセルSでは、帯域幅を広く取り易いので、広い帯域幅を確保できればワイドエリアほど周波数利用効率の重要性は高くない。マクロセルMでは車等の高いモビリティにも対応する必要があるが、スモールセルSでは低いモビリティに対応すればよい。また、マクロセルMではカバレッジを広く確保する必要がある。一方で、スモールセルSではカバレッジを広く確保することが好ましいが、カバレッジの不足分はマクロセルMでカバー可能である。
【0021】
また、マクロセルMでは、マクロ基地局とユーザ端末との能力差が大きいので、上下リンクの最大送信電力差が大きくなり、上下リンクの送信電力が非対称となる。一方、スモールセルSでは、スモール基地局とユーザ端末との能力差が小さいので、上下リンクの最大送信電力差が小さくなり、上下リンクの送信電力が対称に近くなっている。さらに、マクロセルMでは、セル当たりの接続ユーザ数が多く、セルプランニングもされているため、トラヒックの変動が小さい。これに対し、スモールセルSでは、セル当たりの接続ユーザ数が少なく、セルプランニングがされていない可能性もあるので、トラヒックの変動が大きい。このように、スモールセルSの特性はマクロセルMとは異なるので、スモールセルSに適した無線通信方式の設計が望まれる。
【0022】
図6は、第2のHetNet構成における無線通信方式の一例を示す図である。
図6では、例えば、2GHz帯などの低周波数帯が用いられるマクロセルMと、例えば、3.5GHz帯などの高周波数帯が用いられるスモールセルSと、が地理的に重複するように、配置されている。
【0023】
図6に示す第2のHetNet構成において、ユーザ端末は、マクロセルMを形成するマクロ基地局とCプレーンの通信を行うとともに、スモールセルSを形成するスモール基地局とUプレーンの通信を行う。具体的には、ユーザ端末は、マクロ基地局の制御により、スモール基地局との間のコネクションの確立、再構成、開放などを行う。ユーザ端末は、スモール基地局との間において、ユーザデータを主に送受信することから、スモールセルにおけるキャパシティを向上させることができる。このように、ユーザ端末とスモール基地局との間の通信をマクロ基地局がアシストする方式は、“Macro-assisted”とも呼ばれる。
【0024】
また、第2のHetNet構成のスモールセルSでは、マクロセルMに対する干渉低減やシステム全体のスループット向上のため、ユーザデータが存在する場合にのみ信号送信が行なわれることが好ましい。このため、
図7に示すように、スモールセルSでは、UE-specificな信号をベースとした設計が望まれる。例えば、
図7では、LTEにおけるPSS/SSS(Primary Synchronization Signal/Secondary Synchronization Signal)、CRS(Cell-specific Reference Signal)、PDCCH(Physical Downlink Control Channel)等を使用せずePDCCH(enhanced Physical Downlink Control Channel)、DM−RS(Demodulation − Reference Signal)をベースとした信号設計が示される。
【0025】
ここでePDCCH(拡張下り制御信号)は、PDSCH(Physical Downlink Shared Channel)(下りデータ信号)と周波数分割多重される下り制御信号である。ePDCCHは、PDSCHと同様に、ユーザ固有の復調用参照信号であるDM−RSを用いて復調される。スモールセルSでは、サブフレームの先頭から最大3OFDMシンボルに配置されるPDCCH(下り制御信号)を設けずに、ePDCCH(拡張下り制御信号)に基づいてPDSCH(下りデータ信号)を受信するように構成することも可能である。なおePDCCHは、FDM型PDCCHと呼ばれてもよいし、UePDCCHと呼ばれてもよい。
図7では、PDSCH、ePDCCH、DM−RS等が、UE-specific L1/L2 signalsとして記載されている。
【0026】
また、スモールセルSでは、
図7に示すように、下りリンクにおいてディスカバリー信号(Discovery Signal)を定義することも検討されている。ここで、ディスカバリー信号とは、ユーザ端末によるスモール基地局の検出に用いられる検出信号であり、スモールセルS内で共通の共通制御信号の1つである。
図7に示すように、ディスカバリー信号は、ユーザ端末が測定回数を減らしてバッテリセービングできるように、比較的長周期(例えば、数秒周期)で送信されてもよい。このディスカバリー信号は、PDCH(Physical Discovery Channel)、BS(Beacon Signal)、DPS(Discovery Pilot Signal)等と呼ばれてもよい。
【0027】
ところで、以上のような第2のHetNet構成のスモールセルSでは、3.5GHz帯や10GHz帯などの高周波数帯のキャパシティキャリアが用いられることから、カバレッジが小さくなる傾向にある。そこで、
図8Aに示すように、スモール基地局からユーザ端末(UE)に向けた送信ビームを形成することで、スモールセルSのカバレッジを拡大することが想定される。ユーザ端末に向けた送信ビームは、ユーザ端末からのフィードバック情報(例えば、PMI(Precoding Matrix Indicator))など)に基づいて形成できる。ユーザ端末は、この送信ビームを用いて送信された下りデータ信号(PDSCH)や拡張下り制御信号(ePDCCH)について、ビームフォーミングゲインを得ることができる。
【0028】
一方、
図8Bに示すように、ユーザ端末の接続前においては、スモール基地局は、ユーザ端末からのフィードバック情報を取得できず、当該フィードバック情報に基づく送信ビームを形成することもできない。このため、ユーザ端末の接続前にスモール基地局から送信されるスモールセルS内で共通の共通制御/参照信号については、ビームフォーミングゲインを得ることができず、カバレッジを確保できない。
【0029】
この共通制御/参照信号のカバレッジを確保する方法としては、
図8Cに示すように、時分割又は周波数分割で、スモールセルS内のあらゆる方向に向けた送信ビームを形成することが考えられる。例えば、
図8Cに示すように、タイムスロット#1〜#3でそれぞれ異なる方向に向けた送信ビームを形成することや、周波数ビン#1〜#3でそれぞれ異なる方向に向けた送信ビームを形成することが考えられる。
【0030】
図8Cに示すように、時分割又は周波数分割で異なる方向に向けた送信ビームを形成する場合、ユーザ端末からのフィードバック情報がなくとも、上記共通制御/参照信号のカバレッジを確保可能である。一方で、
図8Cに示す場合、ユーザ端末が存在しない方向(例えば、ユーザ端末の位置とは全く逆の方向)へも送信ビームが形成され得るため、当該送信ビームを用いて送信される共通制御/参照信号をユーザ端末が検出するまでに要する時間が長くなるという問題点があった。また、この問題点は、ユーザ端末の接続前に送信される共通制御/参照信号だけでなく、ユーザ端末の接続後に送信される共通制御/参照信号にも生じ得ることが想定される。
【0031】
そこで、本発明者らは、マクロセルと地理的に重複して配置され、高周波数帯のキャリアが用いられるスモールセルにおいて、スモール基地局から送信される制御/参照信号のカバレッジを確保しながら、スモールセル内で共通の共通制御/参照信号をユーザ端末が検出するまでに要する時間を短縮するために、本発明に至った。すなわち、本発明の骨子は、マクロ基地局が、ユーザ端末とのカバレッジキャリアを用いた通信により推定されたユーザ端末の大まかな位置を推定し、スモール基地局が、推定されたユーザ端末の大まかな位置に向けた送信ビームを用いて、スモールセル内で共通の共通制御/参照信号を送信することである。これにより、スモールセル内で共通の共通制御/参照信号のカバレッジを確保しながら、当該共通制御/参照信号をユーザ端末が検出するまでに要する時間を短縮することにある。
【0032】
以下、本実施の形態に係るスモールセルでの送信ビーム形成について説明する。なお、以下の説明は、マクロセルC1内に複数のスモールセルC2を配置した無線通信システム(
図13参照)を想定する。この無線通信システムでは、上述の第2のHetNet構成が適用されており、マクロセルC1では、例えば、2GHz帯などの低周波数帯のカバレッジキャリアが用いられ、スモールセルC2では、例えば、3.5GHz帯や10GHz帯などの高周波数帯のキャパシティキャリアが用いられるものとする。ただし、この無線通信システムは、例示にすぎず、マクロセルC1で、高周波数帯のキャリアが用いられてもよい。
【0033】
図9は、本実施の形態に係るスモールセルでの送信ビーム形成を示す概念図である。
図9に示すように、マクロ基地局10は、カバレッジキャリア(第1キャリア)を用いたユーザ端末30との通信により、ユーザ端末30の位置関連情報を推定する。マクロ基地局10は、バックホールリンク(X2インターフェースなどの有線インターフェースや、無線インターフェース)を介して、推定したユーザ端末30の位置関連情報をスモール基地局20に通知する。スモール基地局20は、マクロ基地局10から通知されたユーザ端末30の位置関連情報に基づいて、ユーザ端末30に向けたキャパシティキャリア(第2キャリア)の送信ビームBを形成し、当該送信ビームBを用いてスモールセルC2内で共通の共通制御信号及び参照信号の少なくとも1つを送信する。
【0034】
ここで、ユーザ端末30の位置関連情報とは、ユーザ端末30の位置情報(例えば、緯度及び経度など)であってもよいし、マクロ基地局10からユーザ端末30までの距離情報、カバレッジキャリアにおけるユーザ端末30までのパスロス、カバレッジキャリアの送信/受信ビームの方向(Direction of departure (DOD)、Direction of arrival (DOA)等)や当該送信ビームを形成するためのプリコーディングウェイト、送信電力など、ユーザ端末30の位置を推定可能な情報であってもよい。同様に、後述するスモール基地局20の位置関連情報とは、スモール基地局20の位置情報であってもよいし、スモール基地局20の位置を推定可能な情報であってもよい。
【0035】
また、共通制御信号とは、スモールセルC2内で共通(Cell-Specific)の制御信号であり、例えば、
図7で説明したディスカバリー信号や、CCH(Common Control Channel)信号、報知信号BCH(Broadcast Channel),同期用信号などが含まれる。また、参照信号には、CRS(Cell-Specific Reference Signal)や、チャネル推定用参照信号CSI−RS(Channel State Information Reference Signal)などが含まれる。以下、
図9の送信ビームBを用いて送信される共通制御信号及び参照信号の少なくとも1つを、説明の便宜上、共通制御/参照信号と略する。
【0036】
なお、図示しないが、
図9で形成される送信ビームBは、制御信号や参照信号を複数の送信ビーム(マルチビーム)で送信してもよい。かかる場合、各送信ビームは、
図8Cに示すように、ユーザ端末30の大まかな位置に向けた異なるビームパターン(指向性、プリコーディングウェイト)を有していてもよい。
【0037】
また、
図9で形成される送信ビームBは、送信タイムスロットやサブフレームなどの時間リソースユニットが異なる複数の送信ビームであってもよいし,周波数方向で周波数ブロックなどの周波数リソースユニットが異なる複数の送信ビームであってもよい。かかる場合、各送信ビームは、
図8Cに示すように、ユーザ端末30の大まかな位置に向けた異なるビームパターン(指向性、プリコーディングウェイト)を有していてもよい。
【0038】
以上のように、
図9では、マクロ基地局10とユーザ端末30とのカバレッジキャリアを用いた通信により推定されたユーザ端末30の位置関連情報(すなわち、ユーザ端末30の大まかな(Rough)位置)に基づいて、キャパシティキャリアの送信ビームBが形成される。このため、ユーザ端末30が全く存在しない方向に向けた送信ビームが形成されることがない。この結果、スモールセルC2で共通の共通制御/参照信号のカバレッジを確保しながら、当該共通制御/参照信号をユーザ端末が検出するまでに要する時間を短縮できる。
【0039】
次に、
図10及び11を参照して、本実施の形態に係る無線通信方法を詳述する。
図10は、本実施の形態の第1の態様に係る無線通信方法を示すシーケンス図である。
図10において、マクロ基地局10とスモール基地局20とは、バックホールリンク(X2インターフェースなどの有線インターフェース、又は、無線インターフェース)で接続されている。また、ユーザ端末30は、マクロ基地局10及びスモール基地局20と無線インターフェースで接続されるものとする。
【0040】
図10に示すように、ユーザ端末30は、カバレッジキャリアを用いて、マクロ基地局10に対する接続処理を行う(ステップS101)。マクロ基地局10は、カバレッジキャリアを用いたユーザ端末30との通信に基づいて、ユーザ端末30の位置関連情報を推定する(ステップS102)。例えば、マクロ基地局10は、カバレッジキャリアの信号受信品質(例えば、SINR(signal to noise interference ratio)など)などに基づいて、ユーザ端末30の位置関連情報を推定する。なお、マクロ基地局10は、ユーザ端末30の位置関連情報をユーザ端末30から取得してもよい。
【0041】
マクロ基地局10は、バックホールリンクを介して、ユーザ端末30の位置関連情報を通知する(ステップS103)。スモール基地局20は、マクロ基地局10から通知されたユーザ端末30の位置関連情報と、自局(スモール基地局20)の位置関連情報とに基づいて、ビーム形成情報を生成する(ステップS104)。
【0042】
ここで、ビーム形成情報とは、スモール基地局20からユーザ端末30に向けたキャパシティキャリアの送信ビームを形成するための情報であり、例えば、当該送信ビームの方向(Direction of departure (DOD)、Direction of arrival (DOA)等)や、プリコーディングウェイトや、送信電力や、ユーザ端末30までのパスロスなどである。
【0043】
例えば、スモール基地局20は、ユーザ端末30の位置関連情報をI1、スモール基地局20の位置関連情報をI2として、以下の式(1)に示すように、所定の関数を用いてビーム形成情報としてのプリコーディングウェイトW
beam及び送信電力Pを生成してもよい。
(P,W
beam)=function(I1,I2)…式(1)
【0044】
スモール基地局20は、ステップS104のビーム形成情報に基づいて形成された送信ビームを用いて、共通制御/参照信号(例えば、ディスカバリー信号)を送信する(ステップS105)。具体的には、スモール基地局20は、ビーム形成情報として生成されたプリコーディングウェイトを用いて共通制御/参照信号をプリコーディングし、プリコーディングされた共通制御/参照信号を複数の送信アンテナからキャパシティキャリアを用いて送信してもよい。また、スモール基地局20は、ビーム形成情報として生成された送信電力で、共通制御/参照信号を送信してもよい。
【0045】
ユーザ端末30は、上記送信ビームを用いて送信された共通制御/参照信号を検出すると、当該共通制御/参照信号の検出結果に基づいて、キャパシティキャリアを用いてスモール基地局20に対する接続処理を行う(ステップS106)。具体的には、ユーザ端末30は、スモール基地局20に対して上り制御信号(例えば、DACH(Direct Access Channel)など)を送信する。この上り制御信号には、スモール基地局20からの共通制御/参照信号の受信品質やパスロスや、測定用参照信号(CSI−RS)に基づいて測定されたチャネル状態情報(CSI)などのフィードバック情報が含まれてもよい。
【0046】
ユーザ端末30によるスモール基地局20に対する接続処理が完了すると、スモール基地局20は、拡張下り制御信号(ePDCCH)及び下りデータ信号(PDSCH)を送信する(ステップS107)。このePDCCH及びPDSCHは、ユーザ端末30からのフィードバック情報(例えば、PMIなど)に基づいて形成されるユーザ端末30固有(UE-Specific)の送信ビームを用いて送信される。
【0047】
以上のように、
図10に示す第1の態様に係る無線通信方法によれば、マクロ基地局10とユーザ端末30とのカバレッジキャリアを用いた通信により推定されたユーザ端末30の位置関連情報(すなわち、ユーザ端末30の大まかな(Rough)位置)と、スモール基地局20の位置関連情報とに基づいて、キャパシティキャリアの送信ビームが形成される。このため、スモール基地局20は、ユーザ端末30からのフィードバック情報を取得できない場合であっても、ユーザ端末30が全く存在しない方向に向けた送信ビームを形成することがない。この結果、スモールセルC2で共通の共通制御/参照信号のカバレッジを確保しながら、当該共通制御/参照信号をユーザ端末30が検出するまでに要する時間を短縮できる。
【0048】
図11は、本実施の形態の第2の態様に係る無線通信方法を示すシーケンス図である。
図11に示す無線通信方法は、ビーム形成情報が、スモール基地局20ではなく、マクロ基地局10で生成される点で、
図10に示す無線通信方法と異なる。以下、
図10との相違点を中心に説明を行う。
【0049】
図11のステップS201、S202は、
図10のステップS101、S102と同様である。
図11に示すように、マクロ基地局10は、スモール基地局20の位置関連情報を取得する(ステップS203)。なお、マクロ基地局10は、予めスモール基地局20の位置関連情報を記憶している場合、ステップS203は省略されてもよい。
【0050】
マクロ基地局10は、ステップS202で推定されたユーザ端末30の位置関連情報と、スモール基地局20の位置関連情報とに基づいて、上述のビーム形成情報を生成する(ステップS204)。マクロ基地局10は、生成されたビーム形成情報をスモール基地局20に通知する(ステップS205)。
【0051】
スモール基地局20は、マクロ基地局10から通知されたビーム形成情報に基づいて送信ビームを形成する(ステップS206)。具体的には、スモール基地局20は、ビーム形成情報(例えば、プリコーディングウェイト、送信ビームの方向に基づいて算出されるプリコーディングウェイトなど)を用いて共通制御/参照信号をプリコーディングする。
【0052】
スモール基地局20は、形成された送信ビームを用いて共通制御/参照信号を送信する(ステップS207)。具体的には、スモール基地局20は、プリコーディングされた共通制御/参照信号を複数の送信アンテナからキャパシティキャリアを用いて送信する。また、スモール基地局20は、マクロ基地局10から通知されたビーム形成情報(例えば、送信電力)を用いて、共通制御/参照信号を送信してもよい。なお、
図11のステップS207−S209は、
図10のステップS105−107と同様である。
【0053】
以上のように、
図11に示す第2の態様に係る無線通信方法によれば、マクロ基地局10とユーザ端末30とのカバレッジキャリアを用いた通信により推定されたユーザ端末30の位置関連情報(すなわち、ユーザ端末30の大まかな(Rough)位置)に基づいて、マクロ基地局10がビーム形成情報を生成してスモール基地局20に通知する。この結果、スモール基地局20で、ユーザ端末30に向けた送信ビームを形成するためのビーム形成情報を生成する必要がなく、第1の態様に係る無線通信方法と比較して、スモール基地局20の処理負荷を軽減できる。
【0054】
次に、
図12を参照し、本実施の形態に係るスモール基地局に適した送信アンテナ構成を説明する。
図4を参照して説明したように、スモールセルC2では、3.5GHz帯や10GHz帯などの高周波数帯が用いられる。高周波数帯では、20〜23
*log(f)でパスロスが大きくなる。例えば、1GHz帯のキャリアを10GHz帯のキャリアに変更することは、20dBの電力を喪失することと等しい。このため、スモール基地局において”Massive MIMO”を適用することで、高周波数帯でのパスロスを補償し、カバレッジの縮小を防止することが考えられる。
【0055】
図12は、本実施の形態に係るスモール基地局での“Massive MIMO”の適用例を説明するための図である。
図12Aは、スモール基地局20において6個の送信アンテナ207(素子)をアンテナ長さL及び素子間隔λ/2で配置した場合を示す。この場合、
図12Aに示すように、2GHz帯などの低周波数帯では、ビーム幅φ
minでビームフォーミングゲインGの送信ビームが形成される。
【0056】
図12Bは、
図12Aの2倍のアンテナ長さ2Lに
図12Aと同じ素子間隔λ/2で、
図12Aの2倍の12個の送信アンテナ207(素子)を配置した場合を示す。この場合、
図12Aと同じ2GHz帯などの低周波数帯においても、ビーム幅を
図12Aの半分のφ
min/2とすることができ、
図12Aの2倍のビームフォーミングゲイン2Gの送信ビームを形成できる。一方で、
図12Bでは、送信アンテナ207(素子)のアンテナ長さ2Lが
図12Aの2倍となるため、スペース上の問題が大きい。
【0057】
図12Cは、
図12Aと同じアンテナ長さL及び
図12Aの半分の素子間隔(λ/2)/2で、
図12Aの2倍の12個の送信アンテナ207(素子)を配置した場合を示す。この場合、
図12Aの2倍の周波数帯(すなわち、4GHz帯などの高周波数帯)を用いることで、ビーム幅を
図12Aの半分のφ
min/2とすることができ、
図12Aの2倍のビームフォーミングゲイン2Gの送信ビームを形成できる。すなわち、
図12Cでは、
図12Aと同じスペースで、
図12Bと同様の効果を得ることができる。
【0058】
このため、3.5GHz帯や10GHz帯などの高周波数帯が用いるスモール基地局20において、
図12Cに示すように、送信アンテナ207(素子)の素子間隔を、送信アンテナ数(素子数)を増加させても同じアンテナ長さLとなるように、短く設定することが考えられる。これにより、スモール基地局20において、送信アンテナ207の配置スペースを拡大せずに、ビーム幅が狭い送信ビームを形成でき、カバレッジを効果的に拡大できる。
【0059】
以上のように、スモール基地局20において“Massive MIMO”を適用することで、高周波数帯のキャパシティキャリアの送信ビームのカバレッジをより効果的に拡大できる。
【0060】
ここで、本実施の形態に係る無線通信システムについて詳細に説明する。
【0061】
図13は、本実施の形態に係る無線通信システムのシステム構成の説明図である。なお、
図13に示す無線通信システムは、例えば、LTEシステム或いは、SUPER 3Gが包含されるシステムである。この無線通信システムでは、LTEシステムのシステム帯域を1単位とする複数の基本周波数ブロック(コンポーネントキャリア)を一体としたキャリアアグリゲーションが適用される。また、この無線通信システムは、IMT−Advancedと呼ばれても良いし、4G、FRA(Future Radio Access)と呼ばれても良い。
【0062】
図13に示すように、無線通信システム1は、マクロセルC1を形成するマクロ基地局10と、マクロセルC1内に配置され、マクロセルC1よりも狭いスモールセルC2を形成する複数の複数のスモール基地局20とを備えている。また、マクロセルC1及び各スモールセルC2には、多数のユーザ端末30が配置されている。ユーザ端末30は、マクロセル用及びスモールセル用の無線通信方式に対応しており、マクロ基地局10及びスモール基地局20と無線通信可能に構成されている。
【0063】
ユーザ端末30とマクロ基地局10との間は、カバレッジキャリア(例えば、低周波数帯のキャリア)を用いて通信される。ユーザ端末30とスモール基地局20との間は、キャパシティキャリア(例えば、高周波数帯のキャリア)を用いて通信される。また、マクロ基地局10及び各スモール基地局20は、有線接続又は無線接続されている。
【0064】
マクロ基地局10及び各スモール基地局20は、それぞれ図示しない上位局装置に接続され、上位局装置を介してコアネットワーク40に接続される。なお、上位局装置には、例えば、アクセスゲートウェイ装置、無線ネットワークコントローラ(RNC)、モビリティマネジメントエンティティ(MME)等が含まれるが、これに限定されるものではない。また、スモール基地局20は、マクロ基地局10を介して上位局装置に接続されてもよい。
【0065】
なお、マクロ基地局10は、相対的に広いカバレッジを有する無線基地局であり、eNodeB、無線基地局装置、送信ポイントなどと呼ばれてもよい。また、スモール基地局20は、局所的なカバレッジを有する無線基地局であり、ピコ基地局、フェムト基地局、Home eNodeB、RRH(Remote Radio Head)、マイクロ基地局、送信ポイントなどと呼ばれてもよい。各ユーザ端末30は、LTE、LTE−Aなどの各種通信方式に対応した端末であり、移動通信端末だけでなく固定通信端末を含んでよい。
【0066】
無線通信システムにおいては、無線アクセス方式として、下りリンクについてはOFDMA(直交周波数分割多元接続)が適用され、上りリンクについてはSC−FDMA(シングルキャリア−周波数分割多元接続)が適用される。OFDMAは、周波数帯域を複数の狭い周波数帯域(サブキャリア)に分割し、各サブキャリアにデータをマッピングして通信を行うマルチキャリア伝送方式である。SC−FDMAは、システム帯域を端末毎に1つ又は連続したリソースブロックからなる帯域に分割し、複数の端末が互いに異なる帯域を用いることで、端末間の干渉を低減するシングルキャリア伝送方式である。
【0067】
ここで、
図13に示す無線通信システムで用いられる通信チャネルについて説明する。下りリンクの通信チャネルは、各ユーザ端末30で共有されるPDSCH(Physical Downlink Shared Channel)と、下りL1/L2制御チャネル(PDCCH、PCFICH、PHICH)とを有する。PDSCHにより、ユーザデータ及び上位制御情報が伝送される。PDCCH(Physical Downlink Control Channel)により、PDSCHおよびPUSCHのスケジューリング情報等が伝送される。PCFICH(Physical Control Format Indicator Channel)により、PDCCHに用いるOFDMシンボル数が伝送される。PHICH(Physical Hybrid-ARQ Indicator Channel)により、PUSCHに対するHARQのACK/NACKが伝送される。また、ePDCCH(Enhanced Physical Downlink Control Channel)により、PDSCH及びPUSCHのスケジューリング情報等が伝送されてもよい。
【0068】
上りリンクの通信チャネルは、各ユーザ端末30で共有される上りデータチャネルとしてのPUSCH(Physical Uplink Shared Channel)と、上りリンクの制御チャネルであるPUCCH(Physical Uplink Control Channel)とを有する。このPUSCHにより、ユーザデータや上位制御情報が伝送される。また、PUCCHにより、下りリンクの無線品質情報(CQI:Channel Quality Indicator)、ACK/NACK等が伝送される。また、マクロ基地局10に対するアクセスチャネルとして、PRACH(Physical Random Access channel)、スモール基地局20に対するアクセスチャネルとして、DACH(Direct Access Channel)などが用いられてもよい。
【0069】
次に、
図14〜16を参照して、本実施の形態に係る無線通信システムの詳細構成を説明する。
【0070】
図14は、本実施の形態に係るマクロ基地局10の詳細構成を示す概略ブロック図である。マクロ基地局10は、送信系の処理部として、送信信号処理部101、複数の送信アンテナ102を備えている。
【0071】
送信信号処理部101は、カバレッジキャリアを用いて送信する下り信号を生成し、後述するフィードバック情報取得部105から入力されたフィードバック情報に基づいて、生成した下り信号の符号化・変調処理、プリコーディング処理、リソースエレメントへのマッピング処理、OFDM変調処理などの送信信号処理を行う。送信アンテナ102は、送信信号処理部101から入力された下り信号を、カバレッジキャリアを用いて送信する。
【0072】
また、マクロ基地局10は、受信系の処理部として、受信アンテナ103、受信信号処理部104、フィードバック情報取得部105(取得部)、位置関連情報推定部106(通知部)を備えている。受信アンテナ103は、ユーザ端末30からカバレッジキャリアを用いて送信された上り信号(例えば、上りデータ信号(PUSCH)や上り制御信号(PUCCH)やアクセス信号(PRACH)など)を受信する。受信信号処理部104は、受信アンテナ103による受信信号に対して、OFDM復調処理、復調処理、復号処理などの受信信号処理を行う。
【0073】
フィードバック情報取得部105は、受信信号処理部104で受信信号処理された受信信号からユーザ端末30からのフィードバック情報を取得する。フィードバック情報には、例えば、マクロセルC1におけるカバレッジキャリアによるチャネル状態を示す情報(例えば、CQI(Channel Quality Indicator)、PMI(Precoding Matrix Indicator)、RI(Rank Indicator)などのCSI(Channel State Information)など)が含まれる。また、フィードバック情報には、ユーザ端末30におけるカバレッジキャリアの受信品質(例えば、SINRなど)やパスロス、ユーザ端末30の位置情報(例えば、経度、緯度)などが含まれてもよい。
【0074】
位置関連情報推定部106は、フィードバック情報取得部105で取得されたフィードバック情報に基づいて、ユーザ端末30の位置関連情報を推定する。上述のように、ユーザ端末30の位置関連情報は、ユーザ端末30の位置情報(例えば、緯度及び経度など)であってもよいし、マクロ基地局10からユーザ端末30までの距離情報、カバレッジキャリアのパスロス、カバレッジキャリアの送信/受信ビームの方向(Direction of departure (DOD)、Direction of arrival (DOA)等)や当該送信ビームを形成するためのプリコーディングウェイト、送信電力など、ユーザ端末30の位置を推定可能な情報であってもよい。位置関連情報推定部106は、推定したユーザ端末30の位置関連情報を、X2インターフェースなどの有線インターフェース又は無線インターフェースを介して、スモール基地局20に通知する。
【0075】
なお、マクロ基地局10は、位置関連情報推定部106で推定されたユーザ端末30の位置関連情報と、スモール基地局20の位置関連情報とに基づいて、スモール基地局20からユーザ端末30に向けた送信ビームを形成するためのビーム形成情報を生成するビーム形成情報生成部(通知部)(
図14では、不図示)を具備してもよい。ここで、ビーム形成情報は、上記送信ビームの方向(Direction of departure (DOD)、Direction of arrival (DOA)等)であってもよいし、上記送信ビームを形成するためのプリコーディングウェイト、送信電力、ユーザ端末30までのパスロスなどであってもよい。ビーム形成情報生成部は、生成されたビーム形成情報をX2インターフェースなどの有線インターフェース又は無線インターフェースを介して、スモール基地局20に通知する。
【0076】
また、
図14に示すマクロ基地局10の構成は、模式的なものであり、これに限られるものではない。例えば、送信アンテナ102と受信アンテナ103は、別々に構成されているが、物理的には同じアンテナで構成されていてもよい。また、マクロ基地局10は、図示しないプロセッサ、メモリなどを含んでも良いことはもちろんである。
【0077】
図15は、本実施の形態に係るスモール基地局20の詳細構成を示す概略ブロック図である。スモール基地局20は、送信系の処理部として、複数の符号化・変調部201、共通制御信号生成部202、参照信号生成部203、ビームフォーミング及びプリコーディング部204、複数のリソースエレメントマッピング部205、複数のOFDM信号生成部206、複数の送信アンテナ207を具備する。
【0078】
符号化・変調部201は、上位レイヤから入力された送信データに対して符号化処理及び変調処理を行う。具体的には、符号化・変調部201は、後述するフィードバック情報取得部210で取得されたフィードバック情報(例えば、CQI(Channel Quality Indicator))に基づいて符号化率及び変調方式を決定する。符号化・変調部201は、決定した符号化率及び変調方式を用いて、ユーザ端末30に対する送信データに対して符号化処理及び変調処理を行ってビームフォーミング及びプリコーディング部204に出力する。なお、上位レイヤから符号化・変調部201に入力される送信データには、ユーザ端末30に対するユーザデータだけでなく、RRCシグナリングなど上位レイヤシグナリングの制御データなどが含まれてもよい。
【0079】
共通制御信号生成部202は、共通制御信号を生成する。ここで、共通制御信号とは、スモールセルS内で共通の制御信号であり、例えば、
図7で説明したディスカバリー信号や、CCH(Common Control Channel)信号、報知信号(BCH:Broadcast Channel)、同期用信号などを生成する。なお、共通制御信号生成部202は、所定の符号化率及び変調方式を用いて、共通制御信号に対して符号化処理及び変調処理を行ってもよい。共通制御信号生成部202は、生成された共通制御信号をビームフォーミング及びプリコーディング部204に出力する。
【0080】
参照信号生成部203は、参照信号を生成する。ここで、参照信号には、例えば、ユーザ端末30における下りデータ信号(PDSCH:Physical Data Shared Channel)の復調に用いられる復調用参照信号(DM−RS:Demodulation-Reference Signal)、ユーザ端末30におけるチャネル推定に用いられる測定用参照信号(CSI−RS:Channel State Information-Reference Signal)、セル固有の参照信号(CRS:Cell-specific Reference Signal)などを生成する。参照信号生成部203は、生成された参照信号をビームフォーミング及びプリコーディング部204に出力する。
【0081】
ビームフォーミング及びプリコーディング部204は、スモール基地局20からユーザ端末30に向けた送信ビームを形成するためのビーム形成情報を生成する。具体的には、ビームフォーミング及びプリコーディング部204は、マクロ基地局10から通知されたユーザ端末30の位置関連情報と、自局(スモール基地局20)の位置関連情報とに基づいて、共通制御/参照信号を送信する送信ビームを形成するためのビーム形成情報(例えば、送信ビームの方向(Direction of departure (DOD)、Direction of arrival (DOA)等)やプリコーディングウェイト、送信電力、ユーザ端末30までのパスロスなど)を生成する。当該ビーム形成情報は、マクロ基地局10から、X2インターフェースなどの有線インターフェース又は無線インターフェースを介して通知されてもよい。
【0082】
なお、共通制御/参照信号を送信する送信ビームは、異なる送信レイヤ(アンテナポート)の複数の送信ビームであってもよいし、異なる時間リソース単位(例えば、タイムスロットやサブフレームなど)に割り当てられる複数の送信ビームであってもよいし、異なる周波数リソース単位(例えば、リソースブロックなど)に割り当てられる複数の送信ビームであってもよい。かかる場合、ビームフォーミング及びプリコーディング部204は、
図8Cに示すように、ユーザ端末30の大まかな位置に向けた異なるビームパターン(指向性、プリコーディングウェイト)を有する複数の送信ビームを形成するためのビーム形成情報を生成してもよい。
【0083】
また、ビームフォーミング及びプリコーディング部204は、後述するフィードバック情報取得部210から出力されたフィードバック情報(例えば、PMI)に基づいて、ユーザ固有の下り信号(例えば、下りデータ信号(PDSCH)、拡張下り制御信号(ePDCCH)、復調用参照信号(DM−RS)など)の送信ビームを形成するためのビーム形成情報(例えば、送信ビームの方向やプリコーディングウェイト、送信電力)を生成してもよい。
【0084】
また、ビームフォーミング及びプリコーディング部204は、符号化・変調部201から入力されたデータ信号、共通制御信号生成部202から入力された共通制御信号、参照信号生成部203から入力された参照信号のプリコーディングを行う。具体的には、ビームフォーミング及びプリコーディング部204は、上述のビーム形成情報(例えば、送信ビームの方向、又は、プリコーディングウェイト)に基づいて、送信アンテナ207毎に、位相及び/又は振幅シフト(プリコーディングによる各送信アンテナ207の重みづけ)を施す。なお、ビームフォーミング及びプリコーディング部204は、送信レイヤ(アンテナポート)に応じたプリコーディングを行ってもよい。また、ビームフォーミング及びプリコーディング部204は、上述のビーム形成情報(例えば、送信電力)に基づいて、送信アンテナ207毎に、送信電力を決定してもよい。
【0085】
リソースエレメントマッピング部205は、ビームフォーミング及びプリコーディング部204から出力された送信信号を、送信レイヤ(アンテナポート)のリソースエレメントにマッピングする。なお、リソースエレメントマッピング部205は、参照信号生成部203で生成された参照信号のうちプリコーディングを行わない参照信号を、所定のマッピングパターンに従ってリソースエレメントにマッピングしてもよい。
【0086】
OFDM信号生成部206は、リソースエレメントマッピング部205が出力した周波数領域の送信信号を、逆高速フーリエ変換(IFFT(Inverse Fast Fourier Transform))などにより周波数時間変換処理を行い、時間領域の送信信号に変換する。さらに、OFDM信号生成部206は、それぞれのOFDMシンボルの一部を巡回的に拡張することでガードインターバル(サイクリックプレフィックス)を付加する。
【0087】
送信アンテナ207は、OFDM信号生成部206から入力された送信信号に対してベースバンドから無線周波数への変換処理などを行い、キャパシティキャリアを用いて送信する。
【0088】
また、スモール基地局20は、受信系の処理部として、受信アンテナ208、受信信号処理部209、フィードバック情報取得部210を具備する。受信アンテナ208は、ユーザ端末30からキャパシティキャリアを用いて送信された上り信号を受信する。受信信号処理部209は、受信アンテナ208による受信信号に対して、OFDM復調処理、復調処理、復号処理などの受信信号処理を行う。
【0089】
フィードバック情報取得部210は、受信信号に含まれるユーザ端末30からのフィードバック情報を取得し、ビームフォーミング及びプリコーディング部204、符号化・変調部201に出力する。フィードバック情報には、例えば、CQI(Channel Quality Indicator)、PMI(Precoding Matrix Indicator)、RI(Rank Indicator)などのCSI(Channel State Information)などが含まれる。
【0090】
また、
図15に示すスモール基地局20の構成は、模式的なものであり、これに限られるものではない。例えば、送信アンテナ207と受信アンテナ208は、別々に構成されているが、物理的には同じアンテナで構成されていてもよい。また、スモール基地局20は、図示しないプロセッサ、メモリなどを含んでも良いことはもちろんである。
【0091】
図16は、本実施の形態に係るユーザ端末30の詳細構成を示す概略ブロック図である。ユーザ端末30は、受信系の処理部として、複数の受信アンテナ301、複数のOFDM信号復調部302、複数のリソースエレメントデマッピング部303、チャネル推定部304、復調・復号部305、送信系の処理部として、送信信号処理部306、送信アンテナ307を具備する。
【0092】
受信アンテナ301は、マクロ基地局10からカバレッジキャリアを用いて送信された下り信号及びスモール基地局20からキャパシティキャリアを用いて送信された下り信号を受信する。受信アンテナ301は、マクロ基地局10又はスモール基地局20からの下り信号に対して無線周波数からベースバンド信号への変換処理などを行う。
【0093】
OFDM信号復調部302は、受信アンテナ301による受信信号に付加されたガードインターバルを除去し、高速フーリエ変換(FFT;Fast Fourier Transform)などにより時間周波数変換処理を行い、周波数領域の信号に変換する。
【0094】
リソースエレメントデマッピング部303は、マクロ基地局10又はスモール基地局20でマッピングされた信号をデマッピング(分離)し、データ信号を復調・復号部305に、測定用参照信号(CSI−RS)および復調用参照信号(DM−RS)をチャネル推定部304にそれぞれ出力する。また、制御信号は、ユーザ端末30全体(上位層も含む)で共有され、データ信号の復調など、ユーザ端末30における様々な制御に用いられる(図示しない)。
【0095】
チャネル推定部304は、入力された復調用参照信号(DM−RS)に基づいて、各受信アンテナ301の各レイヤー(ランク、空間多重)に対する、それぞれのリソースエレメントにおける振幅と位相の変動(周波数応答、伝達関数)を推定(チャネル推定)する。なお、復調用参照信号がマッピングされていないリソースエレメントは、復調用参照信号がマッピングされたリソースエレメントに基づいて、周波数方向および時間方向にチャネル推定値を補間し、チャネル推定を行う。チャネル推定部304は、チャネル推定による推定結果を復調・復号部305に出力する。
【0096】
また、チャネル推定部304は、入力された測定用参照信号(CSI−RS)に基づいてチャネル状態を測定して、測定結果に基づいてフィードバック情報を生成する。具体的には、受信した測定用参照信号を用いて、複数の送信アンテナ102又は208に対する受信アンテナ301のチャネル状態をそれぞれ測定し、測定結果に基づいて、フィードバック情報を生成する。さらに、フィードバック情報は、上り制御信号(PUCCH)又は上りデータ信号(PUSCH)を用いて、マクロ基地局10又はスモール基地局20に通知され、様々な処理の適応制御に用いられる。
【0097】
復調・復号部305は、チャネル推定部304から入力されたチャネル推定結果に基づいて、リソースエレメントデマッピング部303から入力されたデータ信号の復調処理及び復号処理を行う。
【0098】
送信信号処理部306は、チャネル推定部304から入力されたフィードバック情報を含む上り信号を生成し、生成した上り信号に対して、符号化処理、変調処理、OFDM変調処理などの送信信号処理を行う。
【0099】
送信アンテナ307は、送信信号処理部306から入力されたマクロ基地局10に対する上り信号を、カバレッジキャリアを用いて送信する。一方、送信アンテナ307は、送信信号処理部306から入力されたスモール基地局20に対する上り信号を、キャパシティキャリアを用いて送信する。
【0100】
また、
図16に示すユーザ端末30の構成は、模式的なものであり、これに限られるものではない。例えば、受信アンテナ301と送信アンテナ307は、別々に構成されているが、物理的には同じアンテナで構成されていてもよい。また、ユーザ端末30は、図示しないプロセッサ、メモリ、ディスプレイ、操作部などを含んでも良いことはもちろんである。また、マクロ基地局10からのカバレッジキャリアの受信系の処理部と、スモール基地局20からのキャパシティキャリアの受信系の処理部とは、別々に設けられてもよい。
【0101】
以上のように、本実施の形態に係る無線通信システム1によれば、マクロ基地局10とユーザ端末30とのカバレッジキャリアを用いた通信により推定されたユーザ端末30の位置関連情報(すなわち、ユーザ端末30の大まかな(Rough)位置)に基づいて、キャパシティキャリアの送信ビームが形成される。このため、スモール基地局20が、ユーザ端末30が全く存在しない方向に向けた送信ビームを形成することがない。この結果、スモールセルC2で共通の共通制御/参照信号のカバレッジを確保しながら、当該共通制御/参照信号をユーザ端末30が検出するまでに要する時間を短縮できる。
【0102】
本発明は上記実施の形態に限定されず、様々変更して実施することが可能である。例えば、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、上記説明におけるキャリア数、キャリアの帯域幅、シグナリング方法、追加キャリアタイプの種類、処理部の数、処理手順については適宜変更して実施することが可能である。その他、本発明の範囲を逸脱しないで適宜変更して実施することが可能である。