【文献】
三浦真太郎,プロセス向けモデリング&シミュレーション Process Modeling & Simulation,横河技報,日本,1999年 7月20日,Vol. 43 No. 3,Pages 129-132,3.1章「シミュレータ構築機能」を特に参照
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
プラントと、前記プラントに備えられた複数の機器および設備を監視して前記プラントを運転する監視制御装置とを模擬する運転訓練装置に通信可能に接続され、前記運転訓練装置が出力する運転情報に基づいて前記運転訓練装置が実行する運転訓練を支援する運転訓練支援装置であって、
前記機器および設備について、少なくともイメージ画像、形状および大きさのいずれかの情報を含むイメージ情報を格納するイメージ情報DBと、
前記機器および設備について、少なくとも音、文字もしくは前記機器および設備から入出力される入出力信号のいずれかの情報を含むシグナル情報を格納するシグナル情報DBと、
前記運転訓練を支援するための複数の条件判定要素の組み合わせである複数の訓練条件それぞれに、少なくとも前記イメージ情報および前記シグナル情報のいずれか一つが関連付けられた訓練情報を格納する訓練情報DBと、
少なくとも前記イメージ情報および前記シグナル情報のいずれか一つを表現する表現手段と、
前記運転訓練装置から前記運転情報を取得し、前記訓練情報DBに格納された前記訓練情報を参照して、取得した前記運転情報に基づいて前記訓練情報の前記訓練条件を満たすか否かを判定する訓練条件判定手段と、
前記イメージ情報DBから前記イメージ情報の選択もしくは前記シグナル情報DBから前記シグナル情報の選択を受け付け、または、選択された前記イメージ情報もしくは前記シグナル情報の編集を受け付け、または、前記訓練条件を追加もしくは編集を受け付ける入出力処理手段と、を備え、
前記訓練条件判定手段は、前記訓練条件の判定ごとに、前記訓練条件を満たすと判定した場合には前記訓練条件に関連付けられた少なくとも前記イメージ情報および前記シグナル情報のいずれか一つを前記表現手段に表現し、
前記訓練条件判定手段は、前記入出力処理手段を介して、前記イメージ情報DBに格納された前記イメージ情報および前記シグナル情報DBに格納された前記シグナル情報の少なくともいずれか一つを抽出し、前記訓練条件を追加または編集された場合に、抽出した少なくとも前記イメージ情報および前記シグナル情報のいずれか一つを追加または編集した前記訓練条件に関連付けて前記訓練情報として前記訓練情報DBに登録する
ことを特徴とする運転訓練支援装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る実施形態の運転訓練支援装置、運転訓練支援方法および運転訓練支援システムについて、図面を参照して具体的に説明する。ここで、互いに同一または類似の部分には共通の符号を付して、重複する説明は省略する。ここで説明する下記の実施形態はいずれも、発電所などのプラント設備の運転訓練支援装置の一例をとりあげて説明する。
【0014】
[第1の実施形態]
図1は、本発明に係る運転訓練支援システムの第1の実施形態の構成を示すブロック図である。
図2は訓練情報DB(DataBase、データベース)、イメージ情報DBおよびシグナル情報DBの構成例を示す図であり、
図3は運転訓練支援装置による運転訓練支援処理の表示例を示す図である。また、
図4は第1の実施形態の運転訓練支援システムの運転訓練支援処理フローを示すフロー図である。
【0015】
以下、本発明に係わる運転訓練支援システムの第1の実施形態について説明する。第1の実施形態の運転訓練支援システムは、プラントを運転する監視制御装置の運転訓練を支援するシステムである。プラントは、複数の機器および設備を備えている。機器は、例えば発電所などのプラントの場合には、発電機、タービン、電動機、変圧器、それらを監視・制御する種々の電気部品・装置や、機械装置などである。設備は、液体や気体などを輸送する配管、タンク、それらに関連する構造物などである。
【0016】
図1に示すように、運転訓練支援システム3aは、運転訓練支援装置1aおよび運転訓練装置2を備えている。運転訓練装置2は、プラント(実プラント)の監視業務を訓練するために、プラントと、プラントに備えられた複数の機器および設備を監視し、プラントを運転する監視制御装置とを模擬する装置である。なお、プラントと、プラントに備えられた複数の機器および設備とを模擬するものを、模擬プラントと記す。
【0017】
運転訓練員は、この運転訓練装置2を使用して、模擬プラントを監視するための運転訓練を行う。運転訓練支援装置1aは、運転訓練員が運転訓練装置2により実行する運転訓練を支援するための装置である。運転訓練支援装置1aは、運転訓練装置2に通信可能に接続されて、運転訓練装置2が出力する運転情報に基づいて、運転訓練装置2が実行する運転訓練を支援する。
【0018】
はじめに、運転訓練装置2の構成について説明する。運転訓練装置2は、表示装置21、監視制御盤22、画面表示手段23、模擬操作入力手段24、機器操作処理手段25、運転条件判定手段26、プロセス変量模擬手段27、部品情報DB28、およびインターロック情報DB29を備えている。
【0019】
監視制御盤22は、プラントが備える監視制御装置から入出力される監視制御信号を模擬する。監視制御盤22は、実プラントの監視制御装置と同型、同機能または類似の機能を有し、模擬プラントの状態を監視および制御する。監視制御盤22には、模擬プラントの状態を把握するための各種ランプ、指示計等が設けられており、さらに模擬プラントの運転操作を行うための各種スイッチ、ボタン等が設けられている。
【0020】
表示装置21は、運転訓練員に模擬プラントの必要な監視状態および制御状態を把握させるための表示手段である。また、運転訓練員がタッチ操作で必要な監視状態または制御状態を確認するための入力手段を有してもよい。
【0021】
画面表示手段23は、模擬プラントの監視・操作画面、監視制御盤22のスイッチ操作等に対応する画面等を表示装置21に出力する。
【0022】
模擬操作入力手段24は、プラントの監視制御装置に対応する操作入力を模擬する。模擬操作入力手段24には、画面表示手段23を介して、表示装置21でのタッチ入力よるタッチ操作信号が入力される。模擬操作入力手段24は、入力されたタッチ操作信号を対応する機器操作指令に変換し、変換した機器操作指令を機器操作処理手段25に出力する。
【0023】
機器操作処理手段25は、模擬操作入力手段24により模擬された操作入力および監視制御盤22により模擬された監視制御信号を入力し、操作入力および監視制御信号を機器操作指令に変換し、変換した機器操作指令を運転条件判定手段26に出力する。例えば、機器操作処理手段25は、監視制御盤22でのスイッチ操作等を操作信号(監視制御信号に含まれる)として入力し、入力した操作信号を対応する機器操作指令に変換して運転条件判定手段26に出力する。機器操作処理手段25は、対応する機器ごとに、模擬操作入力手段24から入力した機器操作指令および監視制御盤22でのスイッチ操作等の監視制御信号から変換した機器操作指令を運転条件判定手段26に出力する。
【0024】
運転条件判定手段26は、入力した機器操作指令、インターロック情報DB29に格納されたインターロック情報、および、プロセス変量模擬手段27により算出された模擬プラントのプロセス特性の変量に基づいて、模擬プラントの運転条件を判定する。運転条件判定手段26は、判定した模擬プラントの運転条件に従って、模擬プラントの運転を実行する。なお、プロセス特性の変量については後に説明する。
【0025】
例えば、運転条件判定手段26は、運転条件により予め定められた複数のプロセス特性についての判定処理などを有する。この際に、運転条件判定手段26は、前述した機器操作指令などの運転条件に応じて、模擬プラントにおけるプロセス特性の演算を行う。プロセス特性とは、例えばプラントに備えられた所定の設備の温度、圧力等のプロセス量についての物理演算等である。なお、運転条件判定手段26は、これらの演算結果などを、表示装置21および監視制御盤22に、各プロセス状態として設備に備えられた機器の計器値、また、監視制御盤22からの指示値などを表示させる。
【0026】
この際に、運転条件判定手段26は、判定した模擬プラントの運転条件およびこれらの演算結果などを、運転訓練支援装置1aの訓練条件判定手段11に出力する。訓練条件判定手段11に出力されるデータは、例えば所定のファイル形式で記載されてもよい。例えば、所定のファイルには、時刻ごとの監視項目、各プロセス状態、指示値、計器値などを含むログ情報ファイルを用いてよい。訓練条件判定手段11は、運転条件判定手段26からこの出力データを受信(または取得)すると、後述する処理を実行する。
【0027】
プロセス変量模擬手段27は、機器操作処理手段25の機器操作指令、運転条件判定手段26の運転条件、および部品情報DB28に格納された部品情報に基づき、プロセス変量を模擬する。プロセス変量模擬手段27は、模擬したプロセス変量に基づいて、模擬プラントの各プロセス特性の変量を算出する。プロセス変量とは、例えばタンクの液漏れや、配管の破損による液漏れなどによる部品、機器や、設備などの故障・事故等による各プロセスへの影響度である。プロセス変量模擬手段27は、模擬したプロセス変量に基づいて、各プロセス特性の変量を算出する。模擬プラントのプロセス特性の変量は、例えばタンクの液漏れや、配管の破損による液漏れなどによる部品、機器や、設備などの故障・事故等による圧力、温度、水位等の変量(故障・事故等の前(通常時)との比較量)である。
【0028】
部品情報DB28は、プラントに備えられた複数の機器および設備についての情報を含む部品情報を格納する。部品情報DB28には、例えば実プラントに備えられた機器、設備等を所定の区分まで部品化した範囲の情報を含む部品情報が格納されている。部品情報DB28には、対象となる複数の部品から構成される機器により形状や寸法が異なるため、特徴的な形状毎に部品化や要素化されて(所定の区分とされ)、部品情報として登録されている。
【0029】
部品情報DB28に格納される部品情報は、その部品情報を特定可能なように部品識別番号が付与され、その部品ごとに寸法や特性などが登録されている。部品情報DB28に登録されている部品情報には、例えば四角柱形状、幅X、奥行きY、高さZなどを含む。また、例えばトレイA1からの液漏を検知するセンサーSXなどの種類、設置位置などを含む部品情報も有している。
【0030】
インターロック情報DB29には、実プラントに備えられた機器、設備等から入出力されるインターロック信号、制御信号、警報信号等を含む入出力信号、それらの入出力信号と警報などの信号接続元および先、信号内容(信号種別、信号形式など)を含むインターロック情報が格納されている。
【0031】
次に、運転訓練支援装置1aの構成について説明する。
【0032】
運転訓練支援装置1aは、
図1に示すように、訓練条件判定手段11、イメージ情報生成手段12、シグナル情報生成手段13、入出力処理手段14、表示装置15、入出力装置16、訓練情報DB17、イメージ情報DB18およびシグナル情報DB19を備えている。
【0033】
訓練情報DB17には、運転訓練装置2に関する訓練条件JTごとに、イメージ情報と、シグナル情報とが関連付けられて、訓練情報として予め格納され、または、作成されて格納される。
【0034】
訓練条件JTは、例えばインストラクタ(例えば運転訓練装置2の指導員)からの入力指示(インストラクタ要求)、模擬プラントに関する警報の有無、特定事象に関する所定の模擬状態、これらに対応する模擬プラントの監視信号、制御信号等の条件判定要素の組み合わせであり、かつ、訓練条件JTごとに定められた論理和、論理積等、またはこれらの組み合わせの条件判断が定められている。なお、訓練情報DB17の構成および訓練条件JTについては、詳しくは後述する。
【0035】
イメージ情報DB18には、実プラントに存在する機器、発生し得る故障や障害などを模擬プラントで表現するためのイメージ画像などを含むイメージ情報が格納されている。イメージ情報は、例えば
図3に示すような模擬プラントにおけるタンクT1、トレイA1、センサーSX等の機器についてのイメージ画像や、漏洩液C1等の事故事象・警報事象についてのイメージ画像、機器等の形状・大きさの数値等を含む。
【0036】
シグナル情報DB19には、模擬プラントで処理するインターロック信号、制御信号、警報信号等と、警報などの音声データと、それらに関連する注釈等のメッセージ(文字や画像等によるデータも含む)と、または、それらの組み合わせを含むシグナル情報が格納されている。シグナル情報は、例えば運転訓練に関わる機器のインターロック信号、その機器の運転操作についての少なくとも一つのセンサー信号、制御信号などである。なお、模擬プラントで処理されるインターロック信号、制御信号、警報信号等、警報などは、インターロック情報DB29にインターロック情報として予め格納されている。
【0037】
また、訓練情報DB17に、入出力装置16から入力・設定された訓練条件JTを含む訓練情報を編集または登録可能である。訓練情報は、編集または登録される際に、少なくとも、イメージ情報DB18に格納されたイメージ情報と、シグナル情報DB19に格納されたシグナル情報とのいずれか一つに関連付けられる。
【0038】
図2に、訓練情報DB17の構成例を示す。訓練情報DB17は、
図2に示すように、訓練条件JTごとに、例えばイメージ情報、シグナル情報、出力情報を格納する。すなわち、訓練情報は、訓練条件JTとともに、各訓練条件JTについて定められたイメージ情報、シグナル情報および出力情報を紐付けて記録したものである。
【0039】
訓練条件JTは、運転訓練装置2の運転訓練を支援するための条件判定要素である。訓練条件JTは、識別された条件番号ごとに、少なくとも一つの条件判定要素(条件#1〜#n)からなる。ただし、nは1以上の整数である。条件判定要素ごとに、プラントに備えられた設備や機器などから入出力される信号や監視項目などの信号要素(模擬信号#1〜#nと記す)が定義される。
【0040】
例えば、
図2に示すように、識別された条件番号として、インストラクタ要求J11等が定められたとする。運転訓練支援装置1aは、運転条件判定手段26およびプロセス変量模擬手段27から出力された運転情報に基づいて、例えば「条件#1=インストラクタ要求J11」として「模擬信号#1=漏洩液C1」、「条件#2=A1プロセス変量液位警報J21」として「模擬信号#2=機器N2」、「条件#3=T1漏洩模擬実行中J31」として「模擬信号#3=インターロック信号IT1」等の条件判定要素を満たすか否か判定する。運転訓練支援装置1aは、訓練情報DB17に格納された訓練情報について、このように判定していく。
【0041】
なお、インストラクタ要求J1n(1nは識別番号、nは1以上の整数)は、運転訓練支援装置1aに対してインストラクタの要求があるか否かを示すものであり、予め要求有りと登録されてもよい。すなわち、この場合には、インストラクタが運転訓練シミュレーションの度に入出力装置16へインストラクタ要求J1nを指示しなくても、他の条件#2〜が比較する運転情報の判断条件に一致すれば、当該訓練情報に関連付けられたイメージ情報およびシグナル情報が、表示装置15や、入出力装置16などの表現手段に出力(表現)される。なお、表現手段は、例えば画像表示、文字表示、色表示、音出力、振動出力などによる人間の五感(視覚、聴覚、触覚)などに表現可能な手段である。以降では、表示装置15および入出力装置16による表現を、単に表示、出力等として記す。
【0042】
また、インストラクタ要求J1nの識別番号ごとに、インストラクタがコメントや題名を付して、そのコメント等も訓練情報DB17に格納されてもよい。コメント等は、例えば「タンク用液漏れ事故表示」と文字列で登録可能とされる。
【0043】
イメージ情報は、模擬プラントの所定の状態を表現するためのイメージ画像(プラントに用いられる機器などの形状)、機器の寸法(大きさ)、形状、機器の状態などを含む。イメージ画像は、例えば
図3に示すようなタンクT1、トレイA1、センサーSX等の機器の2次元的または3次元的な形状や、その中に溶液等を含む場合の状態、漏洩液C1等の事故状態などを模擬する画像である。
【0044】
シグナル情報は、運転訓練に関わる機器のインターロック信号、その機器の運転操作についての少なくとも一つのセンサー信号や、警報信号、プラントの状態などを説明するための注釈等のメッセージなどを含む。例えば、「条件#1=インストラクタ要求J11」について、シグナル情報として特定のインターロック信号に関連付けられたインターロック信号IT1、
図3に示すような模擬プラントの状態や警報信号などを注釈するための音声K1、メッセージM1、メッセージM2等が登録されている。
【0045】
出力情報は、イメージ情報の表示位置や大きさ等の情報、または、メッセージの表示位置や表示状態等の情報を含む。入出力処理手段14は、イメージ情報と共に出力された出力情報に基づいて、表示装置15にイメージ画像の表示位置、大きさなどを調整して表示することができる。同様に、入出力処理手段14は、シグナル情報と共に出力された出力情報に基づいて、表示装置15にメッセージ等の表示位置、大きさなどを調整し、また、入出力装置16に音量などを調整して表現することができる。
【0046】
なお、
図2に示す訓練情報DB17の構成例では、訓練条件JTごとに、イメージ情報、シグナル情報および出力情報を格納しているが、イメージ情報、シグナル情報および出力情報の少なくとも1つ、または組み合わせであってもよい。
【0047】
訓練条件判定手段11は、判定された模擬プラントの運転条件およびこれらの演算結果などの運転情報を、運転訓練装置2の運転条件判定手段26およびプロセス変量模擬手段27から受信(入力)する。
【0048】
訓練条件判定手段11は、受信した運転情報に基づいて、訓練情報DB17に格納されている訓練条件JTを満たすか否か判定する。そして、訓練条件JTを満たす場合に、訓練条件判定手段11は、訓練情報DB17に登録された該当する訓練情報に関連付けられたイメージ情報を抽出する。また、訓練条件判定手段11は、同じく訓練情報に関連付けられたシグナル情報を抽出する。
【0049】
訓練条件判定手段11は、これら抽出したイメージ情報およびシグナル情報を、入出力処理手段14を介して、表示装置15に出力(表現)する。
【0050】
イメージ情報生成手段12は、入出力処理手段14を介してインストラクタの要求に応じ、部品情報DB28に登録されている部品番号を検索する。イメージ情報生成手段12は、検索した部品番号から部品情報を抽出して機器のイメージ情報を生成する。イメージ情報生成手段12は、入出力処理手段14を介して、生成したイメージ情報を表示装置15に出力(表現)する。
【0051】
イメージ情報生成手段12は、表示したイメージ情報に対応する部品情報(部品番号)について、インストラクタが表示位置・大きさなどの情報を付加した場合、その付加した内容の登録または編集を受け付けて、イメージ情報DB18に登録または更新する。
【0052】
シグナル情報生成手段13は、入出力処理手段14を介してインストラクタの要求に応じ、運転訓練装置2のインターロック情報DB29に登録されているインターロック情報を検索する。シグナル情報生成手段13は、入出力処理手段14を介して、検索したインターロック情報を表示装置15に出力(表現)する。
【0053】
シグナル情報生成手段13は、インストラクタが表示装置15などに出力されたインターロック情報に対して、例えば字、音、色、画像、振動などのシグナル情報が関連付けられた場合に、そのインターロック情報に関連付けられたシグナル情報をシグナル情報DB19に登録または更新する。例えば、シグナル情報生成手段13は、インターロック情報中のインターロック信号に、特定のシグナル情報を割り付けることができる。
【0054】
なお、イメージ情報生成手段12またはシグナル情報生成手段13により、イメージ情報DB18またはシグナル情報DB19が更新された後に、インストラクタが入出力装置16を介して訓練情報DB17を更新してもよい。すなわち、インストラクタは、容易に訓練情報を更新、追加等を行うことができる。
【0055】
入出力処理手段14は、表示装置15および入出力装置16から入出力されるデータを、所定のI/O(Input/Output)データ形式に従って相互に変換する。例えば、イメージ情報DB18から抽出されたイメージ画像が、入出力処理手段14を介して、表示装置15および入出力装置16などの表現手段に表現可能な形式に変換されて、出力(表現)される。
【0056】
表示装置15は、表示可能なイメージ情報およびシグナル情報等を表示する、モニタ装置等である。例えば、表示装置15には、模擬プラントの状態を表現するためのイメージ画像や、インターロック信号、警報信号、プラントの状態などを説明するための注釈等のメッセージが表示される。
【0057】
入出力装置16は、例えばキーボード、マウス等の入力手段と、印刷等を行うための出力手段と、外部のネットワークとインタフェースをとるための入出力手段などを備えている。なお、運転訓練支援装置1aと運転訓練装置2とから入出力される運転情報等とのデータ送受信を、ネットワークを介して行ってもよい。
【0058】
運転訓練支援装置1aは、以上のように作成されたイメージ情報およびシグナル情報と、予め用意されたイメージ情報およびシグナル情報を用いて、訓練情報DB17の訓練情報を構築することができる。
【0059】
運転訓練シミュレーションは模擬運転の操作により進行するが、進行する過程のどの段階で、運転訓練の支援を提示すれば良いかは、複数の運転条件が成立した場合など複雑なケースが多い。しかし、本実施形態の運転訓練支援装置1aは、容易に運転訓練の支援を提示するための訓練条件を設定することができる。また、運転訓練支援装置1aは、運転訓練装置2から取得する運転情報に基づいて、容易に訓練条件を満たすか否か判定することができる。また、運転訓練支援装置1aは、運転訓練装置2と独立して動作するために、運転訓練の支援を提示するための訓練条件を設定する場合にも運転訓練装置2自体の変更を不要とする。
【0060】
図3には、運転訓練支援装置1aの運転訓練支援処理を説明するために、運転訓練支援装置1aによる運転訓練支援処理の表示例を示す。
図3に示す表示装置15には、例えばタンクT1が万一壊れた場合に、トレイA1は、タンクT1から漏洩した液(漏洩液C1)を受けるための受け皿の役割を果たすものとして登録されたイメージ画像を表示させている。
【0061】
運転訓練装置2の運転訓練シミュレーションと並行して、運転訓練支援装置1aが運転訓練支援処理を実行し、運転訓練支援装置1aが備える表示装置15に、例えば
図3に示すように、模擬プラントのタンクT1の状態を表示しているとする。
【0062】
運転訓練支援装置1aは、運転訓練装置2の運転訓練シミュレーションの状態および訓練情報DB17に基づいて、
図3に示すようなタンクT1のイメージ画像を表示する。また、運転訓練支援装置1aは、訓練情報DB17の訓練情報に関連付けられた(または関連付ける)シグナル情報に基づいて、メッセージM1およびメッセージM2を表示装置15に表示し、音声K1を入出力装置16から出力する。なお、入出力装置16は、例えばスピーカなどの音声出力装置161を有し、音声K1は音声出力装置161から出力(表現)されるとする。
【0063】
運転訓練支援装置1aにおいて、運転訓練装置2の運転訓練シミュレーションの状態は、
図1に示す運転条件判定手段26およびプロセス変量模擬手段27から訓練条件判定手段11が運転情報を取得することにより判断される。
【0064】
例えば、運転条件判定手段26から
図3に示すタンクT1(機器N1に相当)、トレイA1(機器N2に相当)およびセンサーSX(機器N3に相当)についての模擬検出信号についての運転情報が出力される。また、プロセス変量模擬手段27から
図3のセンサーSXについて「A1プロセス変量液位警報J21」、タンクT1について「T1漏洩模擬実行中J31」の模擬プラントの各プロセス変量についての運転情報が出力される。
【0065】
なお、これらの運転条件判定手段26およびプロセス変量模擬手段27から出力される運転情報に基づいて、訓練条件判定手段11により運転条件および模擬プラントの各プロセス状態が判断される。
【0066】
訓練条件判定手段11は、入出力装置16を介して入力されるインストラクタ要求入力J1nに応じて、取得した運転情報に基づき、このインストラクタ要求J1nに対応する訓練情報DB17に格納された訓練条件JTを満たすか否か判定する。訓練条件判定手段11は、訓練条件JTを満たすと判定した場合に、訓練情報に関連付けられたイメージ情報、シグナル情報を、表示装置15に出力する。
【0067】
また、表示装置15が複数のモニタ等で構成され、例えばインストラクタ用のモニタには
図3に示す表示画面にインストラクタ要求J11等に対応する識別マーキング表示がされる。その識別マーキング表示をインストラクタがマウス等でクリックすると、他の訓練条件JTが満たされる場合に、当該選択したインストラクタ要求に関連付けられたイメージ情報、シグナル情報が表示や出力等されてもよい。一方、運転訓練員用モニタには、イメージ情報や、シグナル情報のみが表示、出力等されるようにしてもよい。
【0068】
図3では、タンクT1から溶液Bの液漏れが発生している模擬画像(イメージ情報のイメージ画像)が、表示装置15に表示されている。また、同じく、表示装置15に、円筒形で、その底面の半径r、高さhであるタンクT1が表示され、それと共にタンクT1の液位がRL1であることが表示されている。このタンクT1についての半径r、高さh、円筒形等を含むイメージ情報は、前述したように、イメージ情報DB18に予め登録されており、また、訓練情報としても訓練情報DB17に登録されている。
【0069】
さらに、表示装置15に、底面の横の長さXおよび縦の長さY、高さZである立方体容器のトレイA1が表示されている。それと共に、トレイA1を満たす溶液Bの液位がRL2であることが表示されている。
【0070】
この他にも、表示装置15に、トレイA1を満たす溶液Bの液位を検出するためのセンサーSXが表示されている。センサーSXは2重化されて、トレイA1中に溶液検知部分が取り付けられている。
図3では、この溶液検知部分が、例えばトレイA1の底面から高さSTの位置に取り付けられている。
【0071】
例えば、運転訓練員が
図3に示すような表示を見た場合に、運転訓練員はその表示画面からセンサーSXにおいて溶液Bを検知していること、かつ、トレイA1中の溶液Bの液位RL2が高さST以上であることを理解することができる。また、運転訓練員が
図3に示すイメージ画像を見て理解できない場合でも、さらに、シグナル情報のメッセージM1=「センサーSXは2重化されています。検出高さSTは、YYmです。」と表示装置15に表示されるため、運転訓練員に模擬プラントの状態を容易に把握させることができる。
【0072】
また、この他にも、例えば、シグナル情報のメッセージM2=「この系統は、溶液Bが流れており、通常はU℃程度であるが、漏洩発生時は、トレイA1の容量がXXm
3なのでセンサーSXの警報が発報した場合、速やかに溶液Bの移送処理を行う必要がある。漏洩により格納エリアの温度上昇が考えられるため、室温の監視もこまめに実施する必要がある。」と表示装置15に表示させることができる。これにより、運転訓練員に模擬プラントの状態に対する監視上の留意事項などを容易に把握させることができる。
【0073】
さらに上記訓練において運転訓練員が適切な操作(溶液Bの移送処理)を行った場合、この操作に応じて再度プロセス特性の演算が行われる。この結果、警報発生となる訓練条件JTが回避されれば、上記の警報やメッセージは表示されなくなる。さらに警報発生を回避した状態について訓練条件JTを定め、正常状態に復帰した旨をメッセージにて表示することもできる。
【0074】
イメージ情報生成手段12は、部品情報DB28に登録された部品情報を用いて、運転訓練の対象となる機器等のイメージ画像、表示位置、大きさなどを含むイメージ情報を生成する。また、イメージ画像の作成は、外部のコンピュータグラフィックスによる仮想イメージ作成手段などを用いてもよい。この場合には、外部の仮想イメージ作成手段で作成されたビットマップデータ、CADデータなどのファイルを、イメージ情報生成手段12が取り込み可能とし、取り込んだファイルをイメージ情報DB18に登録する。
【0075】
以上説明したような、タンクT1、トレイA1、センサーSX等のイメージ情報は、イメージ情報DB18に登録される。必要に応じて、機器の高さや寸法などもイメージ情報に含めてもよい。さらに、このイメージ情報に訓練条件が設定されて、訓練情報として訓練情報DB17に登録される。なお、訓練情報DB17には、登録する訓練情報にイメージ情報を含んでもよく、また、イメージ情報DB18に格納されたイメージ情報を関連付けするように設定してもよい。また、このことは、シグナル情報についても同様である。
【0076】
以上のように、例えばタンクT1の漏洩を想定した運転訓練装置2の運転訓練シミュレーションの際に、実際に起こりえる状況を想定しやすいように、運転訓練支援装置1aが
図3に示すような漏洩液C1等のイメージ画像を表示装置15に表示することができる。
【0077】
次に、
図4に示す運転訓練支援装置1aの運転訓練支援処理フローを説明する。
【0078】
例えば、運転訓練支援処理フローは、運転訓練支援装置1aのパワーオン後、表示装置15に表示された所定のメインメニューの選択(例えば訓練条件設定メニュー)により、以下のステップS10の処理が開始される。
【0079】
イメージ情報生成手段12は、インストラクタ要求J1nに応じて、部品情報DB28から部品情報を抽出し、抽出した部品情報に基づいてイメージ情報を生成する(ステップS10)。イメージ情報生成手段12は、生成したイメージ情報をイメージ情報DB18に登録する。
【0080】
シグナル情報生成手段13は、インストラクタ要求J1nに応じて、インターロック情報DB29からインターロック情報を抽出し、抽出したインターロック情報に基づいてシグナル情報を生成する(ステップS11)。シグナル情報生成手段13は、生成したシグナル情報をシグナル情報DB19に登録する。
【0081】
訓練条件判定手段11は、運転訓練装置2の運転条件判定手段26から訓練条件JTを入力する(ステップS12)。
【0082】
訓練条件判定手段11は、入力した訓練条件JTを含む訓練情報を、訓練情報DB17に登録する(ステップS13)。
【0083】
入出力処理手段14は、入出力装置16の指示に応じて、登録した訓練情報を編集する(ステップS14)。
【0084】
訓練条件判定手段11は、編集された訓練情報を、訓練条件JTと少なくともイメージ情報およびシグナル情報のいずれか一つに関連付けて、訓練情報DB17に登録する(ステップS15)。
【0085】
訓練情報の編集が終了した場合(ステップS16のYes)、訓練条件判定手段11は、運転訓練装置2から取得した運転情報に基づいて、訓練情報DB17に登録された訓練条件JTと、模擬プラントの状態とを比較する(ステップS17)。すなわち、訓練条件判定手段11は、運転情報に基づいて、訓練情報DB17に登録された訓練条件JTを満たすものがあるか否か判定する。
【0086】
訓練条件JTを満たすものがある場合(ステップS17のYes)、その訓練条件JTに関連付けられたイメージ情報とシグナル情報を抽出して出力データを生成する(ステップS18)。一方、訓練条件JTを満たすものがない場合(ステップS17のNo)、消去のためのデータを生成する(ステップS19)する。
【0087】
訓練情報の編集が終了していない場合(ステップS16のNo)、処理をステップS10に戻す。
【0088】
訓練条件判定手段11は、入出力処理手段14に対して出力データの出力を要求する(ステップS20)。
【0089】
訓練情報DB17に登録されたすべての訓練情報についての判定が終了していない場合、処理をステップS17に戻す(ステップS21のNo)。すべての訓練情報についての判定が終了した場合(ステップS21のYes)、本処理フローを終了する。
【0090】
なお、
図4に示す運転訓練支援処理フローは、ステップS10から開始する例を示したが、例えば運転訓練支援装置1aがステップS17から開始する処理を選択するステップを設けてもよい。この場合には、例えば運転訓練支援装置1aがインストラクタ要求J1nを受けると、ステップS17に移行する処理フローとなる。
【0091】
ここで、
図1に示す運転訓練支援装置1aの主な機器構成として、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、キーボード、マウス、モニタなどを備える構成であってもよい。また、この場合には、例えば前述したような運転訓練支援処理などを実行するプログラムが運転訓練支援装置1aに備えられ、CPU、RAM等により当該プログラムに従って、運転訓練支援装置1aの各々の処理部における処理を実行することになる。
【0092】
また、上記例の構成の場合に、インストラクタがキーボード、マウスなどから、訓練条件、インストラクタ要求J1n等を入力する構成であってもよい。また、運転訓練支援装置1aがLAN等を介して、外部から訓練条件、インストラクタ要求J1n等を入力する構成であってもよい。
【0093】
また、訓練情報DB17の訓練条件JTについて、例えばインストラクタ要求J1nを運転訓練員の習熟度別に、分類されるようにしてもよい。このような場合に、例えば上級者向けのインストラクタ要求{J1m、J1k、・・・}(m、kは1以上の整数)、初級者向けのインストラクタ要求{J1p、J1q、・・・}(p、qは1以上の整数)と分類可能なように、訓練情報DB17の訓練条件JTに習熟度別の識別符号を設けてもよい。これにより、運転訓練の習熟度に応じて効果的な運転訓練支援を行うことができる。
【0094】
以上説明したように、運転訓練による模擬プラントの状態を、イメージ情報およびシグナル情報に基づいて、
図3に示したようなタンクT1などの模擬プラントの状態をイメージ画像や注釈などのメッセージで表示することにより、運転訓練員に対し、実プラントでの想定し得る故障や、障害発生の状況を、視覚や聴覚を通じて効果的に模擬体験させることができる。これにより、シミュレーションデータや計器値などの監視項目が模擬プラントではどのような状態や、状況で影響するかを、効果的に模擬訓練や模擬体験させることができる。
【0095】
第1の実施形態によれば、運転訓練支援装置側でイメージ情報およびシグナル情報を作成することができる。これにより、運転訓練装置自体にこれらの情報の設定登録を行う必要がなく、独立して運転訓練支援装置に設定登録することができる。
【0096】
また、インストラクタが模擬プラントでの訓練状況にあわせて提供する情報や、内容を変更できるため、訓練状況において適切なタイミングで適切な情報を提供できるようになり、運転訓練の習熟効果の向上が図られる。
【0097】
また、運転訓練に有用な情報を提供できるようになるため、状況に応じた運転訓練のシナリオを短期間で構築することができる。
【0098】
また、理解すべき重要事項に絞ったイメージ情報と、状況に応じたシグナル情報を組み合わせて提供するため、理解すべきポイントが明確になり、プラントの運転の理解が容易となる。
【0099】
[第2の実施形態]
図5は、本発明に係る運転訓練支援システムの第2の実施形態の構成を示すブロック図である。以下、第2の実施形態の運転訓練支援システムについて、
図3および
図5を参照して説明する。なお、第1の実施形態と同一または類似の構成には、共通の符号を付し、重複する説明は省略する。また、第2の実施形態以降の実施形態についても同様である。
【0100】
図5に示すように、運転訓練支援システム3bは、運転訓練支援装置1bおよび運転訓練装置2を備えている。運転訓練支援装置1bは、訓練条件判定手段11、入出力処理手段14、表示装置15、入出力装置16、訓練情報DB17、イメージ情報DB18およびシグナル情報DB19を備えている。イメージ情報DB18およびシグナル情報DB19には、予めイメージ情報およびシグナル情報が格納されている。
【0101】
図5に示す運転訓練支援装置1bは、
図1に示した運転訓練支援装置1aの構成からイメージ情報生成手段12およびシグナル情報生成手段13を除いた構成である。運転訓練支援装置1bにおいて、予めイメージ情報やシグナル情報が作成されており、インストラクタはこれらを用いて、訓練条件JTを入力し、訓練情報を設定することができる。
【0102】
運転訓練装置1bは、入出力処理手段14を介して、表示装置15または入出力装置16から入力された訓練条件JTを訓練情報DB17に登録・編集可能である。訓練条件判定手段11は、この登録・編集された訓練条件JTと、少なくとも、イメージ情報DBに格納されたイメージ情報、および、シグナル情報DB19に格納されたシグナル情報のいずれか一つと関連付けることができる。
【0103】
訓練条件判定手段11は、運転訓練支援装置1bに登録された訓練情報の訓練条件JTと、運転訓練装置2から出力された運転情報とを比較し、運転訓練支援の内容を判断する。
【0104】
具体的には、訓練条件判定手段11は、運転条件判定手段26から模擬プラントの運転条件、また、プロセス変量模擬手段27からプロセス変量などの運転情報を入力する。訓練条件判定手段11は、入力した運転情報に基づいて、訓練情報DB17に登録(格納)された訓練情報の中で訓練条件JTを満たすものを検索する。
【0105】
訓練条件判定手段11は、訓練条件JTを満たすものがある場合に、当該訓練条件JTの訓練情報に関連づけられたイメージ情報を抽出し、また、シグナル情報を抽出する。訓練条件判定手段11は、抽出したイメージ情報およびシグナル情報を、入出力処理手段14を介して、表示装置15または入出力装置16に出力する。
【0106】
ここで、前述した
図3において、例えばタンクT1、トレイA1およびセンサーSXは、イメージ情報DB18に予め登録されている。また、メッセージM1、メッセージM2、および音声K1は、シグナル情報DB19に予め登録されている。
【0107】
例えば、インストラクタが、訓練条件JTとして要求J11を設定する。インストラクタが、インストラクタ要求J11をONしたタイミングで、対応するイメージ情報(例えばタンクT1)などを関連付けることができる。
【0108】
訓練条件JTには、例えばトレイA1に関連付けられたA1プロセス変量液位警報J2や、タンクT1に関連付けられたT1漏洩模擬実行中J31などの信号も入力できるようにし、それらのAND、OR等の論理条件を定義(設定)してもよい。
【0109】
訓練条件判定手段11は、訓練条件JTに入力された、例えば「条件#2=A1プロセス変量液位警報J21」および「模擬信号#2=N2」からイメージ情報DB18を検索し、機器N2のイメージ画像であるトレイA1などを抽出する。
【0110】
さらに、訓練条件判定手段11は、タンクT1に関連付けられた、「条件#3=T1漏洩模擬実行中J31」および「模擬信号#3=IT1」からシグナル情報DB19を検索する。訓練条件判定手段11は、この検索によりシグナル情報DB19からインターロック信号IT1に関連付けられた音声K1、メッセージM1およびメッセージM2などを抽出する。
【0111】
なお、例えば、上述した検索には、イメージ情報を作成する際に登録される機器番号N1〜N3や、シグナル情報を作成する際に登録されるインターロック信号IT1を用いてもよい。
【0112】
図3に示すように、訓練条件判定手段11は、入出力処理手段14を介して、表示装置15にメッセージM1およびメッセージM2を出力し、入出力装置16(音声出力装置161)に音声K1を出力する。
【0113】
インストラクタは、表示装置15および入出力装置16に出力された情報の中から必要なものを選択し、訓練条件JTと選択した情報とを関連付けて訓練情報として訓練情報DB17に登録することができる。
【0114】
例えば、「条件#1=インストラクタ要求J11」と、タンクT1の漏洩事象に関連する、
図3に示す漏洩液C1などを関連付けしておく。また、インストラクタ要求J1nに応じて、表示を追加できるようにしてもよい。表示装置15または入出力装置16に出力されたイメージ情報は、表示位置や大きさ等を調整して、これらを出力情報(IF1やIF2など)として付加し、訓練情報として訓練情報DB17に登録する。
【0115】
訓練情報の作成が完了し、運転訓練支援装置1bの運転訓練支援処理が実行されると、訓練条件判定手段11は、運転訓練装置2でシミュレーションしているプロセスの状態(プロセス変量も含む)が、例えば訓練条件JTに入力されたA1プロセス変量液位警報J21を満たすか否か判定する。
【0116】
A1プロセス変量液位警報J21が発生状態になった場合、訓練条件判定手段11は、訓練情報DB17で関連づけられたタンクT1、トレイA1、センサーSX、メッセージM1、メッセージM2、音声K1、および、出力情報IF1等(のいずれかの情報の組み合せから)の情報から出力データを作成し、入出力処理手段14を介して、表示装置15または、入出力装置16に出力する。
【0117】
また、訓練条件JTに入力されたT1漏洩模擬実行中J31についても、同様に出力データが作成され、入出力処理手段14を介して、表示装置15または、入出力装置16に出力される。
【0118】
訓練条件判定手段11は、以上のように表示装置15または入出力装置16に出力されたイメージ情報およびシグナル情報を、訓練条件JTに関連付けて訓練情報として訓練情報DB17に登録することができる。
【0119】
すなわち、運転訓練支援装置1bは、予め用意されたイメージ情報およびシグナル情報を用いて、訓練情報DB17の訓練情報を構築することができる。
【0120】
以上説明したように、運転訓練による模擬プラントの状態を、イメージ情報およびシグナル情報に基づいて、
図3に示したようなタンクT1などの模擬プラントの状態をイメージ画像や注釈などのメッセージで表示することにより、運転訓練員に対し、実プラントでの想定し得る故障や、障害発生の状況を、視覚や聴覚を通じて効果的に体験させることができる。これにより、シミュレーションデータや計器値などの監視項目が模擬プラントではどのような状態や、状況で影響するかを、効果的に模擬訓練および模擬体験させることができる。
【0121】
第2の実施形態によれば、インストラクタが模擬プラントでの訓練状況にあわせて提供する情報や、内容を変更できるため、訓練状況において適切なタイミングで適切な情報を提供できるようになり、運転訓練の習熟効果の向上が図られる。
【0122】
また、運転訓練に有用な情報を提供できるようになるため、状況に応じた運転訓練のシナリオを短期間で構築することができる。
【0123】
また、理解すべき重要事項に絞ったイメージ情報と、状況に応じたシグナル情報を組み合わせて提供するため、理解すべきポイントが明確になり、プラントの運転の理解が容易となる。
【0124】
[第3の実施形態]
図6は、本発明に係る運転訓練支援システムの第3の実施形態の構成を示すブロック図である。以下、第3の実施形態の運転訓練支援システムについて、
図2、
図3および
図6を参照して説明する。
【0125】
図6に示すように、運転訓練支援システム3cは、運転訓練支援装置1cおよび運転訓練装置2を備えている。運転訓練支援装置1cは、訓練条件判定手段11、イメージ情報生成手段12、入出力処理手段14、表示装置15、入出力装置16、訓練情報DB17
、イメージ情報DB18
、およびシグナル情報DB19を備えている。
【0126】
図6に示す運転訓練支援装置1cは、
図1に示した運転訓練支援装置1aの構成からシグナル情報生成手段1
3を除いた構成である。
【0127】
運転訓練支援装置1cは、入出力処理手段14を介して表示装置15または入出力装置16から入力した情報、および部品情報DB28の部品情報に基づいて、プラントに備えられる機器等のイメージ情報を生成する。運転訓練支援装置1cは、生成したイメージ情報をイメージ情報DB18に登録する。
【0128】
例えば、前述した
図3において、インストラクタは、運転訓練支援装置1cを用いて、例えば運転訓練装置2の部品情報DB28に登録されているタンクT1の半径r、高さh、円筒などの部品情報を抽出する。また、インストラクタは、入出力装置16を用いて、グラフィックス等の手法によりタンクT1のイメージ画像を作成し、このイメージ画像を含むイメージ情報をイメージ情報DB18に格納する。運転訓練支援装置1cでは、これをタンク部品とし、そのタンク部品のイメージ情報に半径r、高さhなどの情報を付加し、表示装置15または入出力装置16に出力する。
【0129】
表示装置15で表示される機器等のイメージ画像は、例えば
図3に示すタンクT1の場合、センサーSXのセンサー信号と関連付けて、算出された液位RL2とタンクT1の高さhとに応じて、タンクT1の高さhを3等分で区分した溶液状態を例えば低位、中位および高位の溶液で満たされた3パターンのイメージ画像が用意されてもよい。
【0130】
第3の実施形態の運転訓練支援システムは、イメージ情報を作成する対象の機器などについて、運転訓練装置2が備える部品情報DB28(または外部に備えられた部品情報DB)から、インストラクタが運転訓練支援装置1cを操作して、例えば部品識別番号や、所定の機器番号、部品名称、機器名称等を指定することで任意に抽出可能である。
【0131】
また、運転訓練支援装置1cにおいて、表示装置15または入出力装置16上で、複数の部品や機器のイメージ画像を組み合わせて、1つの部品や機器等のイメージ情報としてイメージ情報DB18に登録できる。例えば、
図3に示すトレイA1とセンサーSXを組み合わせて、新たなトレイ部品のイメージ情報としてイメージ情報DB18に登録できる。このとき、入出力装置16および入出力処理手段14を介して、実際のトレイA1の写真の画像データを登録可能にしてもよい。
【0132】
イメージ情報は、
図2に示すように、訓練条件JTと関連付けを容易にするため、タンクT1、トレイA1、漏洩液C1のようなイメージ画像と、例えばこれらが対応する機器番号Nnとあわせて部品ごとにイメージ情報DB18に登録可能とする。
【0133】
運転訓練支援装置1cは、以上のように作成されたイメージ情報および予め用意されたイメージ情報を用いて、訓練情報DB17の訓練情報を構築することができる。
【0134】
以上説明したように、運転訓練による模擬プラントの状態を、イメージ情報に基づいて、
図3に示したようなタンクT1などの模擬プラントの状態をイメージ画像で表示することにより、運転訓練員に対し、実プラントでの想定し得る故障や、障害発生の状況を、視覚を通じて効果的に体験させることができる。これにより、シミュレーションデータや計器値などの監視項目が模擬プラントではどのような状態や、状況で影響するかを、効果的に模擬訓練および模擬体験させることができる。
【0135】
また、第3の実施形態によれば、運転訓練支援装置側でイメージ情報を作成することができる。これにより、運転訓練装置自体にこれらの情報の設定登録を行う必要がなく、独立して運転訓練支援装置に設定登録することができる。
【0136】
また、インストラクタが模擬プラントでの訓練状況にあわせて提供する情報や、内容を変更できるため、訓練状況において適切なタイミングで適切な情報を提供できるようになり、運転訓練の習熟効果の向上が図られる。
【0137】
また、運転訓練に有用な情報を提供できるようになるため、状況に応じた運転訓練のシナリオを短期間で構築することができる。
【0138】
また、理解すべき重要事項に絞ったイメージ情報を提供するため、理解すべきポイントが明確になり、プラントの運転の理解が容易となる。
【0139】
[第4の実施形態]
図7は、本発明に係る運転訓練支援システムの第4の実施形態の構成を示すブロック図である。以下、第4の実施形態の運転訓練支援システムについて、
図2、
図3および
図7を参照して説明する。
【0140】
図7に示すように、運転訓練支援システム3dは、運転訓練支援装置1dおよび運転訓練装置2を備えている。運転訓練支援装置1dは、訓練条件判定手段11、シグナル情報生成手段13、入出力処理手段14、表示装置15、入出力装置16、訓練情報DB17、イメージ情報DB18、およびシグナル情報DB19を備えている。
【0141】
図7に示す運転訓練支援装置1dは、
図1に示した運転訓練支援装置1aの構成からイメージ情報生成手段12を除いた構成である。
【0142】
例えば、インストラクタが入出力装置16を介してインターロック情報の検索要求を行うと、シグナル情報生成手段13は入出力処理手段14を介してこの検索要求を受けて、インターロック情報DB29に登録されているインターロック情報を検索する。
【0143】
シグナル情報生成手段13は、入出力処理手段14を介して、インターロック情報の検索結果を表示装置15または入出力装置16に表示する。表示装置15に表示したインターロック情報に対して、インストラクタが入出力装置16を介して文字、音、色、画像、振動などの情報を割り付けると、シグナル情報生成手段13は表示したインターロック情報に割り付けられた情報を付加してシグナル情報としてシグナル情報DB19に登録または更新する。
【0144】
具体的には、
図7において、インストラクタが運転訓練支援装置1dを操作して、例えば運転訓練装置2のインターロック情報DB29に登録されているセンサーSX(インターロック信号IT1)に関するインターロック情報を検索したとする。さらに、インストラクタが運転訓練支援装置1dを操作して、このセンサーSX等のプラント内での設置状況についてのイメージ情報をイメージ情報DB18から抽出し、
図3に示すイメージ情報を表示装置15に表示している。
【0145】
インストラクタは、これらのイメージ情報に、入出力装置16を介してメッセージM1およびM2のようなコメントを入力することができる。シグナル情報生成手段13は、表示したインターロック情報に割り付けられた情報を付加し、シグナル情報としてシグナル情報DB19に登録または更新する。
【0146】
また、例えばインストラクタがシグナル情報DB19からインターロック信号IT1を指定することにより、シグナル情報を任意に抽出可能とし、抽出したシグナル情報を表示装置15または入出力装置16上で編集可能である。シグナル情報生成手段13は、この編集されたシグナル情報をシグナル情報DB19に追加または更新できる。
【0147】
また、メッセージM1、メッセージM2および音声K1のいくつかを組み合わせて、新たなシグナル情報として登録できるようにしてもよい。この際に、シグナル情報生成手段13は、入出力装置16および入出力処理手段14を介して、音声K1に実際の音声等を合わせて登録してもよい。
【0148】
図2に示すような、インターロック信号IT1、メッセージM1、メッセージM2、音声K1のようなシグナル情報と、訓練条件JTと関連付けがしやすいようにするために、例えば特定可能なインターロック信号(またはその組み合わせなど)ごとにシグナル情報DB19に登録してもよい。
【0149】
運転訓練支援装置1dは、以上のように作成されたシグナル情報および予め用意されたシグナル情報を用いて、訓練情報DB17の訓練情報を構築することができる。
【0150】
以上説明したように、運転訓練による模擬プラントの状態を、シグナル情報に基づいて、模擬プラントの状態をメッセージや音声などで表示または通知することにより、運転訓練員に対し、実プラントでの想定し得る故障や、障害発生の状況を、視覚および聴覚などを通じて効果的に体験させることができる。これにより、シミュレーションデータや計器値などの監視項目が模擬プラントではどのような状態や、状況で影響するかを、効果的に模擬訓練および模擬体験させることができる。
【0151】
第4の実施形態によれば、運転訓練支援装置側でシグナル情報を作成することができる。これにより、運転訓練装置自体にこれらの情報の設定登録を行う必要がなく、独立して運転訓練支援装置に設定登録することができる。
【0152】
また、インストラクタが模擬プラントでの訓練状況にあわせて提供する情報や、内容を変更できるため、訓練状況において適切なタイミングで適切な情報を提供できるようになり、運転訓練の習熟効果の向上が図られる。
【0153】
また、運転訓練に有用な情報を提供できるようになるため、状況に応じた運転訓練のシナリオを短期間で構築することができる。
【0154】
また、理解すべき重要事項に絞ったイメージ情報と、状況に応じたシグナル情報を組み合わせて提供するため、理解すべきポイントが明確になり、プラントの運転の理解が容易となる。
【0155】
[他の実施形態]
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。例えば、各実施形態の特徴を組み合わせてもよい。さらに、これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形には、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。また、前述した実施形態の適用例として、発電所などのプラントにおける設備監視を一例として示したが、工場や、倉庫の設備、ビル内の設備などを監視する場合にも、適用できることはいうまでもない。