(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
シリンダと、シリンダ内部を摺動可能に設けられた駆動ピストンと、駆動ピストンによってシリンダ内部に区画された第1の液室及び第2の液室を有し、第1の液室と第2の液室の圧力差によって駆動ピストンが動作する駆動部と、
前記第1の液室に液体を供給する給液部と、
前記第1の液室に連通する給液流路と前記第2の液室に連通する制御流路とを備え、前記第1の液室から前記第2の液室への液体の供給と前記第2の液室からの液体の排出を行って、前記第1の液室と前記第2の液室の圧力差を制御する液圧制御部と、
前記液圧制御部から排出される液体を収容する排液部と、
を備え、
前記液圧制御部は、
前記給液流路、前記制御流路及び前記排液部に連通する排液流路がそれぞれ接続された筒状のケースと、
前記ケース内部を摺動し、前記制御流路と前記排液流路との間を開閉する排液弁と、
前記排液弁の内部を摺動し、前記制御流路と前記給液流路との間を開閉する給液弁と、
を備え、
前記排液弁内部には、前記液体の供給及び排出によって昇圧及び減圧され、前記給液弁を摺動させる第3の液室が設けられ、
前記給液弁内部には、前記第3の液室に対して絞り開口を介して連通する第4の液室が設けられていることを特徴とする液圧操作装置。
前記補助ピストンは、前記給液弁内部を摺動するピストン部と、当該ピストン部に接続され、前記排液弁の端面を摺動可能に挿通するロッド部とから構成され、前記ロッド部の周面には前記排液弁の端面に当接する凸部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の液圧操作装置。
前記排液流路は前記ケースの一端側に設けられ、前記ケースの他端側には前記排液部と連通する第2の排液流路が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の液圧操作装置。
前記駆動ロッドが挿通する前記貫通孔の内周部には2つのシール部が設けられ、当該2つのシール部の間に、前記第1の液室と前記排液部とを連通する戻り液流路の起点が設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の液圧操作装置。
前記排液部は前記駆動部よりも高い位置に配置され、前記戻り液流路の終点が、前記排液部内に収容された液体の液面よりも高い位置に位置するように設けられていることを特徴とする請求項7に記載の液圧操作装置。
前記駆動ピストンの前記第1の液室側には、前記駆動ピストンと前記駆動ロッドとを接続する第2ダンパー部と、隔壁によって区画され前記ダンパー部が挿入可能な挿入孔を有する第2ダンパー室とが設けられ、
前記貫通孔の内周部には、前記2つのシール部の第1の液室側に圧力封止リングが設けられ、当該圧力封止リングと前記2つのシール部との間に前記第1の液室と前記給液部を連通する流路に合流する分岐流路が設けられていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の液圧操作装置。
【背景技術】
【0002】
電力系統において、事故電流等の過電流を遮断するために遮断器が用いられている。遮断器は電極の開閉によって電流の遮断及び投入を行う。近年、電力需要の増大により電力系統の大容量化及び高圧化が進み、遮断器にも性能向上が求められている。
【0003】
このような大容量及び高圧電流用の遮断器としては、SF
6ガス等の絶縁ガスを用いたガス遮断器が主流となっている。ガス遮断器の電極を開閉させる駆動源としては、気体又は液体の流体が用いた操作装置が一般的である。
【0004】
このうち、気体として圧縮空気を用いる操作装置は、電力系統の大容量化や高圧化に伴い、必要とされる駆動力が著しく大きくなって空気圧シリンダや空気タンクなどの設備が大型化してしまう。また、操作時の給排気音が大きいことから、消音装置が必要となり、この消音装置の使用によって設備が複雑化してしまう。
【0005】
これに対して、液体を利用した液圧操作装置では、空気に比べて高圧・大出力化が容易であるため、小型化が可能である。また、操作時の騒音を著しく軽減させることができる。さらに、液体の非圧縮性により応答性に優れているなどの利点を有する。このような利点を有する液圧操作装置は、遮断器の駆動源として有望視されており、一層の性能向上が期待されている。
【0006】
このような、液圧操作装置として従来から提案されているものを、
図9を参照して説明する。
液圧操作装置4は、遮断器に接続され遮断器の開路動作及び閉路動作を行う。遮断器は固定電極2と可動電極3とから構成される開閉部1を有する。液圧操作装置4は、可動電極3に接続され、この可動電極3を固定電極2に対して接続及び離反させるように駆動することで、開閉動作が行われる。
【0007】
液圧操作装置4は、可動電極3に連結された駆動部5を備えている。この駆動部5の構成の一例を、
図10に示す。駆動部5は円筒状のシリンダ20を有し、このシリンダ20内部には、円柱状の駆動ピストン22が内壁に沿って摺動可能に配置されている。シリンダ20の内部はこの駆動ピストン22によって二分され、それぞれに液体を収容する液室が形成されている。駆動ピストン22の可動電極3側に液室24が形成され、その反対側に液室25が形成されている。
【0008】
駆動ピストン22の液室24側には駆動ロッド23が連結されている。駆動ロッド23は液室24内部を延び、シリンダ20端部に設けられた貫通孔21を挿通してシリンダ20外部の可動電極3に連結される。
【0009】
駆動部5は、液室24と液室25に収容された液体の圧力差によって駆動ピストン22が動作し、可動電極3を駆動する構成となっている。
図9に示すように、液圧操作装置4は、液体を昇圧するポンプユニット18と、昇圧された液体を蓄積して液室24に常時供給するアキュムレータ15とを備える。液圧操作装置4は更に、液室24及び液室25と連通する液圧制御部11を備える。液圧制御部11は、液室24から液室25への昇圧液体の供給と、液室25からの昇圧液体の排出を行って、駆動ピストン22を動作させるための液室24及び液室25の圧力差を制御する。液圧操作装置4は更に、液圧制御部11から排出された液体を回収する低圧タンク17を備える。
【0010】
液圧制御部11は、駆動部5の液室24から液室25への昇圧液体の供給と、液室25からの昇圧液体の排出を切り換える主操作弁部12を備える。この主操作弁部12自体も、昇圧液体の供給および排出を受け、その液圧によって駆動される。液圧制御部11はさらに、電磁コイルによって駆動され、主操作弁部12を駆動する液圧の出力制御を行うパイロット弁部13を備える。
【0011】
主操作弁部12は、円筒状のケース53に他の部材へ連通する流路が接続された構成となっている。具体的には、駆動部5の液室24に連通する給液流路65と、液室25と連通する制御流路64と、低圧タンク17に連通する排液流路67とが、それぞれケース53に接続されている。
【0012】
ケース53内周面には円筒状の排液弁51が摺動可能に配置され、さらに排液弁51内部には円筒状の給液弁52が摺動可能に配置されている。ケース53内部には、排液流路67と制御流路64の間に位置し、ケース53内部に向けて突出する第1シート部54が設けられている。排液弁51はケース53内部を摺動することによって、この第1シート部54に対して当接及び離反し、排液流路67と制御流路64との間を開閉する。
【0013】
排液弁51には、制御流路64と給液流路65それぞれに接続する連通口が設けられ、これらの連通口の間には排液弁51内部に向けて突出する第2シート部55が設けられている。給液弁52は排液弁51内部を摺動することによって、この第2シート部55に対して当接及び離反し、給液流路65と制御流路64との間を開閉する。
【0014】
遮断器の開路動作時は、パイロット弁部13の制御により、排液弁51がケース53内部を摺動して第1シート部54から離反し、制御流路64と排液流路67との間が連通される。液室25内部の液体は、制御流路64を通ってケース内部に移動し、さらに排液流路67を通って低圧タンク17に排出される。液体が排出された液室25は、アキュムレータ15から昇圧された液体が供給される液室24に対して低圧となる。これによって、駆動ピストン22は液室25側に移動する。駆動ピストン22に連結された駆動ロッド23によって、可動電極3は固定電極2から引き外され、遮断器の電流が遮断される。
【0015】
遮断器の閉路動作時は、パイロット弁部13の制御により、給液弁52が排液弁51内部を摺動して、第2シート部55から離反し、制御流路64と給液流路65との間が連通される。液室24内部の液体は、給液流路65を通って排液弁51内部に入り、制御流路64を通って液室25に供給される。液室24から液室25に移動することによって、液室25は液室24に対して高圧となる。これによって、駆動ピストン22は液室24側に移動する。駆動ピストン22に連結された駆動ロッド23によって、可動電極3は固定電極2に接続され、遮断器の電流が投入される。
【0016】
排液弁51内部に給液弁52を収納する構成は、主操作弁部12を小型化し、液圧操作装置4全体の小型化にも寄与している。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、液圧操作装置の複数の実施形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0023】
(第1の実施形態)
(構成)
図1に、第1の実施形態に係る液圧操作装置の全体的な構成を示している。なお、
図9及び10を参照して説明した液圧操作装置と同一の構成については同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0024】
図1に示すように、本実施形態の液圧操作装置4は、遮断器の開閉部1の可動電極3に接続されている。なお、
図1の例では固定電極2に対して可動電極3が移動して接離され、電流の投入及び遮断を行うものとなっている。しかし、この構成は一例に過ぎず、対向する2つの電極のそれぞれに液圧操作装置4が接続され、これらの電極が相対的に運動する構成であっても良い。
【0025】
液圧操作装置4は、可動電極3を駆動させる駆動部5を備えている。駆動部5は、シリンダ20と、シリンダ20の内部を摺動可能に設けられた駆動ピストン22を有する。シリンダ20の内部は、駆動ピストン22によって2つに区画され、第1の液室として液室24と第2の液室として液室25とが形成されている。液室24と液室25の圧力差によって駆動ピストン22が動作する。駆動ピストンの液室24側には駆動ロッド23が接続され、この駆動ロッド23がシリンダ外部に延び、可動電極3に接続される。可動電極3は、駆動ピストンの移動に追随し、遮断器の開閉動作を行う。
【0026】
液圧操作装置4は、液体を昇圧するポンプユニット18と、昇圧された液体を蓄積して保持するアキュムレータ15を備える。アキュムレータ15は給液部として、液室24に昇圧された液体を供給する。
【0027】
液圧操作装置4は、液室24と連通する給液流路65と液室25と連通する制御流路64が設けられた液圧制御部11を備える。液圧制御部11は、給液流路65と制御流路64を介して液室25への液体の供給と液室25からの液体の排出を行い、液室24と液室25の圧力差を制御する。
【0028】
液圧操作装置4は更に、液圧制御部11から排出された昇圧液体を収容する排液部として低圧タンク17を備える。以下、各部構成について詳説する。
【0029】
(駆動部5)
図1及び
図2に示すように、シリンダ20は、所定の厚みを有する両端有底円筒状である。このシリンダ20内部に、円板状の駆動ピストン22が挿入されている。駆動ピストン22は、シリンダ20の内径と略同径であり、外周部分がシリンダ20の内壁に沿って長手軸方向に摺動可能となっている。
【0030】
シリンダ20の内壁と接触する駆動ピストン22の外周部分にはシール部22aが設けられ、液室24及び液室25間の液漏れを防止している。
【0031】
駆動ピストン22の液室24側の表面には、液室24内部に突出するダンパー部22bが設けられている。このダンパー部22bに駆動ロッド23が連結されている。駆動ロッド23は液室24内部を延び、シリンダ20の可動電極3側端部に設けられた貫通孔21を介してシリンダ20外部に露出し、可動電極33に連結されている。駆動ピストン22の摺動に伴って、ダンパー部22bと駆動ロッド23も移動する。
【0032】
液室24の、シリンダ20の端部近傍に、円環部材24bが配置されている。この円環部材24bは、移動可能な隔壁として液室24を区切るもので、円環部材24bとシリンダ20の端部の間にダンパー室24aが形成されている。円環部材24bは、中央開口部がダンパー部22bの挿入穴22cとなっている。この挿入孔22cは、ダンパー部22bの最大直径よりわずかに大きい直径を持つ。円環部材24bの外周部には、ダンパー室24aの内壁に沿って延びる円筒状のブッシュ24dが接続されている。このブッシュ24dはダンパー室24aの内壁に沿って摺動可能であり、円環部材24bはブッシュ24dの移動に追随する。シリンダ20の可動電極3側の端部にはブッシュ用バネ部材24eが配置され、このブッシュ用バネ部材24eが円環部材24bに接触して付勢し、ダンパー室24aの容積を最大となるようにしている。
【0033】
液室24の、シリンダ20の端部近傍に、円環部材24bが配置されている。この円環部材24bは、移動可能な隔壁として液室24を区切るもので、円環部材24bとシリンダ20の端部の間にダンパー室24aが形成されている。円環部材24bの中央開口部はダンパー部22bの挿入孔22cとなっている。ダンパー部22bは、例えば、円筒や円錐等の、周面が湾曲した形状となっている。挿入孔22cは、ダンパー部22bの最大直径よりわずかに大きい直径を持ち、駆動ピストン22の摺動に伴って、ダンパー部22bは挿入孔22cを介して一部がダンパー室24a内部に進入及び退避する。
【0034】
駆動ピストン22の液室25側の表面には、液室25内部に突出するダンパー部26が設けられている。このダンパー部26は駆動ピストン22の摺動に伴って移動する。液室25の、シリンダ20の端部近傍に、円環状の壁部25bが設けられている。この壁部25bは隔壁として液室25を区切るもので、壁部25bとシリンダ20の端部の間にダンパー室25aが形成されている。壁部25bの中央開口部は、ダンパー部26の挿入孔25cとなっている。ダンパー部26は、例えば、円筒や円錐等の、周面が湾曲した形状となっている。挿入孔25cは、ダンパー部26の最大直径よりわずかに大きい直径を持ち、駆動ピストン22の摺動に伴って、ダンパー部26は挿入孔25cを介して一部がダンパー室25a内部に進入及び退避する。
【0035】
液室25のダンパー部26の内部には、L字流路26aが設けられている。このL字流路26aは、ダンパー部26の先端に起点を有し、駆動ピストン22側に直線状に延び、途中で略直角に折れてダンパー部26側面に終点を有する。ダンパー部26がダンパー室25a内に進入した際に、このL字流路26aはダンパー室25aと液室25を連通する流路となる。よって、本実施形態ではL字流路26aを用いているが、ダンパー室25aと液室25を連通するものであれば良く、流路の形状はL字型に限られない。
【0036】
L字流路26aの途中に、流路の径を狭めるように張り出した一対の突出部26bが間隔を空けて設けられており、この突出部26bの間にL字流路26aを開閉するためのチェック弁27が配置されている。チェック弁27は、径の異なる筒が2段重ねられた構成である。ダンパー室25a側に配置された筒27aは、L字流路26aの内径と略一致する外径を有するブッシュであり、L字流路26aの内壁を摺動する摺動部として機能する。もうひとつの筒27bは、液室25側が有底の筒である。筒27bの外径は、L字流路26aの内径よりは小さく、突出部26b部分の径よりも大きい。筒27bの側面には、筒内部と外部を連通する孔が設けられている。筒27bは筒27aに追随して移動し、突出部26bに突き当たってL字流路26aを塞ぐ弁部として機能する。
【0037】
ダンパー室25a側の突出部26bには、チェック弁27を液室25側突出部26bに付勢するチェック弁用バネ部材26cが設けられている。チェック弁用バネ部材26cに付勢されることによって、弁部27bは液室25側の突出部26bに当接してL字流路26aを塞いで閉止する。液室25側の圧力がバネの付勢力より強くなると、チェック弁27はダンパー室25a側に移動し、筒27aの内部、筒27bの内部及び側面の孔を介してL字流路26aが開放される。
【0038】
液室24は、アキュムレータ15に連通する高圧流路16と液圧制御部11に連通する給液流路65が接続されている。高圧流路16及び給液流路65は、液室24の隔壁24b近傍に起点が設けられ、シリンダ20の壁部を貫通してシリンダ20外部に配管される。液室25は、液圧制御部11と連通する制御流路64が接続されている。制御流路64は液室25の壁部25b近傍に起点が設けられ、シリンダ20壁を貫通してシリンダ20外部に配管される。
【0039】
駆動ロッド23が挿通するシリンダ20の貫通孔21の周面には、シリンダ20内部を密閉して漏液を防ぐ2つのシール部が間隔を空けて設けられている。シリンダ20内部側に高圧シール部20aが配置され、シリンダ20外部側に低圧シール部20bが配置されている。高圧シール部20aと低圧シール部20bとの間に、戻り液流路28の起点が設けられている。戻り液流路28は、シリンダ20の壁部を貫通して低圧タンク17に連通する。低圧シール部20bと戻り液流路28は、高圧シール部20a破損の際に、漏液を低圧タンク17に導いて外部流出を防ぐ。
【0040】
(液圧制御部11)
図1,
図3及び
図4に示すように、液圧制御部11は、駆動部5への液体の供給および排出を切り換える主操作弁部12を備える。さらに、主操作弁部12に複数の流路を介して接続され、電磁コイルによる切換弁43の駆動によって主操作弁部12を作動させる液圧の出力制御を行うパイロット弁部13とから構成される。
【0041】
主操作弁部12は、両端有底円筒状のケース53内部に排液弁51と給液弁52が収容された構成となっている。このケース53に液圧操作装置4の各部材に接続する流路が接続される。具体的には、ケース53の一端部に低圧タンク17に連通している排液流路67が接続される。ケース53周面の略中央部には、駆動部5の液室24に連通する給液流路65が接続される。ケース53周面の、排液流路67と給液流路65との間の位置には、液室25に連通する制御流路64が接続される。さらに、排液流路67とは反対側のケースの他端部にも、低圧タンク17に連通する第2排液流路92が設けられている。
【0042】
さらに、ケース53周面の、パイロット弁部13側には、パイロット弁部13に連通する3つの流路として、操作制御流路68、操作給液流路72及び操作排液流路70が設けられている。これらの流路についてはパイロット弁部13の説明と併せて後程詳述する。
【0043】
ケース53内部の排液流路67側の端部近傍には第1シート部54が設けられている。第1シート部54は、排液流路67と制御流路64との間で、ケース53の内壁から一段中心方向に高くなった段部により形成されている。また、排液流路67側とは反対側の他端部には、ケース端面からケース内部を軸方向に延びる略円柱状のガイド部56が設けられている。ガイド部56は、中心部に対してケース端面に接続する基端部56aと先端部56bとが拡径した形状となっている。基端部56aの方が、センタ部56bよりも大径である。
【0044】
ケース53内部の中央部には中空円筒形状の排液弁51が配置されている。排液弁51は、その外周がケース53内壁に沿って摺動する。排液弁51の内部に、ガイド部56が挿入されている。ガイド部56の先端部56bは排液弁51の内径と略一致する径を有し、排液弁51内部を密閉し、かつ排液弁51内部を摺動する。ガイド部56の周囲に、排液弁51を排液流路67側に付勢する排液弁用バネ部材60が設けられている。
【0045】
排液弁51は、排液流路67側に摺動した際は、第1シート部54に突き当たって移動が係止される。その反対側へ摺動した際には、ガイド部56の基端部56aに突き当たって移動が係止される。なお、排液弁51の第1シート部54と当接する角部は面取りされており、第1シート部54との接触面積が広く確保されている。
【0046】
排液弁51の排液流路67側の端部の開口には蓋部材99が嵌め込まれている。蓋部材99は、開口を封止し、排液弁51の端面を形成する円板と、この円板の外周から排液弁51の内壁に沿って延びる円筒とから構成されている。蓋部材99には、排液弁51内部に配置された給液弁52をガイド部56側へ付勢する給液弁用バネ部材59が設けられている。
【0047】
排液弁51の周面には、排液弁51内部とケース53に接続された各流路を接続して連通する連通口が複数設けられている。この連通口は、それぞれ、排液弁51の一方の側面から反対の側面へ、筒を横断方向に貫くように設けられている。図示の例においては、略中央部に設けられた連通口51aは給液流路65及びパイロット弁部13の操作給液流路72と連通する。排液流路67側に設けられた連通部51bは、制御流路64と連通する。ガイド部56側に設けられた連通口51cは、パイロット弁部13の操作制御流路68と連通している。なお、この配置は一例に過ぎず、各流路を形成する配管の配置や駆動部5、及びパイロット弁部13の配置位置に応じて適宜変更することができる。
【0048】
排液弁51内部は、大径部と小径部が軸方向に連続して配置されて構成となっている。蓋部材99側に大径部が配置され、ガイド部56側に小径部が配置されている。大径部と小径部の境目には段部が形成されている。この段部は、給液流路65と連通する中央の連通口51aと制御流路64と連通する排液流路67側の連通口51bとの間に位置し、第2シート部55として機能する。
【0049】
排液弁51内部の大径部から小径部に掛けて、給液弁52が配置されている。給液弁52は中空の略円筒形状であるが、中央部に対して両端部は拡径した形状となっている。両端部のうち、ガイド部56側に位置する端部52eは、小径部内部に配置される。端部52eは排液弁51の小径部に略一致する外径を有し、小径部の内壁に沿って摺動する摺動部となっている。このガイド部56側の端部52eの摺動に伴って、給液弁52全体が排液弁51内部を移動する。
【0050】
一方、給液弁52の、蓋部材99側に位置する端部52dは、大径部内部に配置されている。端部52dは第2シート部55より大きい径を有する。これによって、給液弁52がガイド部56側に移動した際に、端部52dは第2シート部55に突き当たって給液弁52を係止させる。端部52dの第2シート部55と当接する角部は面取りされており、接触面積が広く確保されている。
【0051】
端部52dの一部は排液弁51の蓋部材99の円筒内部に挿入され、蓋部材99に摺動可能に支持されている。また、蓋部材99に設けられた給液弁用バネ部材59によって、第2シート部55側に付勢されている。
【0052】
給液弁52は、ガイド部56側が有底で、蓋部材99側が開口端となっている。給液弁52内部は、小径部52aと大径部52bが軸方向に連続して配置された構成となっている。ガイド部56側に小径部52aが配置され、蓋部材99側に大径部52bが配置されている。
【0053】
蓋部材99側の開口端から大径部52b内部には補助ピストン93が差し込まれている。補助ピストン93は、円板状のピストン部93aと、このピストン部93aに連結されたロッド部93bとからなる。ピストン部93aは大径部52bと略一致する径を有し、給液弁52内部を封止し、かつ大径部52bの内壁に沿って摺動する。ピストン部93aの移動に伴って、補助ピストン93全体も移動する。
【0054】
ロッド部93bは、ピストン部93aから大径部52bの内部を軸方向に延び、蓋部材99の円板中央に設けられた貫通孔から排液弁51外部に露出している。ロッド部93bの周面には、径方向に突出する凸部93cが設けられている。ピストン部93aが摺動する際、小径部52a側へ移動すると、ピストン部93aが大径部52bと小径部52aの境目の段部に突き当たって補助ピストン93は係止される。蓋部材99側へ移動すると、ロッド部93bの凸部93cが蓋部材99の円板に突き当たって補助ピストン93は係止される。
【0055】
排液弁51内部及び給液弁52内部には、給液流路65を介してアキュムレータ15から供給される液体を収容する液室が複数形成される。まず、排液弁51内部には、排液弁51の内壁、ガイド部56及び給液弁52のガイド部56側端面によって区画された液室57が形成される。液室57は、排液弁51の連通口51cを介して操作制御流路68と連通するようになっている。
【0056】
排液弁51内部には、給液弁52の中央部及び両端部52d,52e並びに排液弁51によって区画された液室58が形成される。この液室58は排液弁51の連通口51aを介して給液流路65及び操作給液流路72と連通する。さらに、給液弁52の端部52dが第2シート部55から離反している状態では、連通口51bを介して制御流路64と連通する。
【0057】
給液弁52の内壁と、補助ピストン93の頭部93aとによって区画させる空間に液室94が形成される。給液弁52のガイド部56側端面には、細径の貫通孔である絞り開口95が設けられている。この絞り開口95によって、液室57と液室94との間で、両液室の圧力差に応じて液体が移動するようになっている。また、液室94の容積は補助ピストン93の摺動によって増減するようになっている。ピストン部93aが給液弁52の大径部52bと小径部52aの境目の段部に突き当たったときに、液室94の容積は最小となり、ロッド部93bの凸部93cが蓋部材99の円板に当接したとき、液室94の容積は最大となる。
【0058】
排液弁51の蓋部材99と、給液弁52の蓋部材側端部52dとの間には液室96が形成される。給液弁52の大径部52bには、液室94の径方向外側に、大径部52bを軸方向に貫くように小流路97が形成されている。小流路97によって液室96は液室58と連通している。図示の例では、小流路97は給液弁52の2か所に配置されているが、これに限られず、一か所でも、給液弁の円周方向に複数個所配置しても良い。
【0059】
パイロット弁部13は、主操作弁部12のケース53に隣接して設けられている。ケース53に連通する操作制御流路68、操作給液流路72及び操作排液流路70を有する。さらに、これらの流路の開閉を切り換える切換弁43と、この切換弁43を駆動するための電磁コイルとして開路用ソレノイド41及び閉路用ソレノイド42を有する。
【0060】
操作制御流路68は排液弁51の開口部51cを介して液室57と連通する。操作給液流路72は排液弁51の開口部51aを介して液室58と連通する。操作排液流路70はケース53内部の排液流路67側に連通する。
【0061】
切換弁43は、操作制御流路68と操作給液流路72の間、または操作制御流路68と操作排液流路70の間を開閉する。切換弁43は、各流路が接続された円筒状の弁ケース69内部に、中央に膨出部75aを有するロッド弁75が摺動可能に配置された構成となっている。操作制御流路68は弁ケース69の中央部に接続され、操作給液流路72と操作排液流路70はその両側に接続されている。
【0062】
弁ケース69内部は大径部と小径部が軸方向に連続して配置された構成となっている。大径部は操作制御流路68が接続された中央部に配置され、小径部はその両側が配置されている。ロッド弁75は、大径部及び小径部に渡って延びているが、膨出部75aは大径部内部に配置され、その最大外径は、大径部よりも小さく、小径部よりも大きくなっている。ロッド弁75が摺動し、膨出部75aが大径部と操作給液流路72側の小径部の境目となる段部に突き当たると、操作制御流路68と操作給液流路72との間は閉止され、操作制御流路68と操作排液流路70との間は開放される。一方、膨出部75aが大径部と操作排液流路70側の小径部の境目となる段部に突き当たると、操作制御流路68と操作給液流路72との間は開放され、操作制御流路68と操作排液流路70との間は閉止される。
【0063】
開路用ソレノイド41は、切換弁43の操作排液流路70側に設けられている。閉路用ソレノイド42は、切換弁43の操作給液流路72側に設けられている。それぞれのソレノイドは、不図示の制御部から動作指令を受けて励磁され、切換弁43をそれぞれのソレノイドから離反する方向に動作させる。
【0064】
アキュムレータ15には昇圧液体を発生させるポンプユニット18が接続されている。アキュムレータ15はポンプユニット18から供給された昇圧液体を保持し、かつ高圧流路16を介して液室24に常時昇圧した液体を供給している。液室24に供給された昇圧液体は、給液流路65を介して排液弁51内部の液室58に常時供給されている。また、流路97を介して液室96にも常時供給されている。また、排液弁51が第1シート部54から離反すると、昇圧液体は排液流路67を介して低圧タンク17に排出される。さらに、給液弁52が第2シート部55から離反すると、昇圧液体は制御流路64を介して液室25に供給される。さらに昇圧液体は操作給液流路72を介してパイロット弁部13の弁ケース69内部にも供給される。切換弁43の動作により、供給された液体は操作排液流路70を介して排液流路67に排出され、あるいは操作給液流路72を介して液室57に供給される。
【0065】
低圧タンク17は、排液流路67及び第2排液流路92から排出される低圧となった液体を回収して保持するタンクである。低圧タンク17にはポンプユニット18が接続され、低圧となった液体はポンプユニット18で再び昇圧され、アキュムレータ15に供給されることで循環利用される。低圧タンク17内部には、駆動部5に接続された戻り液流路28を形成する配管が配置されている。戻り液流路28の開口部28bは、駆動部5への液体の逆流を防ぐために、低圧タンク17に収容される液体の液面最大高さよりも高い位置になるように設定されている。
【0066】
なお、駆動部5及び液圧制御部11において、部材同士が摺動可能に接触する部分には、各部の密閉を保つためのシール部材が設けられている。
【0067】
また、液圧操作装置4の実際のレイアウトとしては、
図5に示すように、低圧タンク17の液面17aが液圧制御部11や駆動部55よりも高い位置になるように配置し、駆動部5への空気の流入を防止するのが一般的である。
【0068】
(作用)
以上の構成を有する液圧操作装置4において、電流遮断時の開路動作は、排液弁51を開き、駆動部の液室25の昇圧液体を低圧タンク17に排出し、液室25を液室24に対して低圧とし、駆動ピストン22を液室25側に移動させることで行われる。また、電流投入時の閉路動作は、給液弁52を開き、液室24から液室25へ昇圧液体を移動させ、液室25を液室24に対して高圧とし、駆動ピストン22を液室24側に移動させることで行われる。以下、開路動作及び閉路動作についてそれぞれ詳述する。
【0069】
(開路動作)
不図示の制御部からの開路指令信号を受けて、パイロット弁部13の開路用ソレノイド41が励磁される。切換弁43において、ロッド弁75の膨出部75aが操作給液流路72側の小径部に突き当たり、操作制御流路68と操作排液流路70との間が開状態となる。
【0070】
液室57に供給されていた昇圧液体は、操作制御流路68を介してパイロット弁部13の弁ケース69内部を通り、操作排液流路70を介して液圧制御部11のケース53の排液流路67側に入り、排液流路67を通って低圧タンク17に排出される。これによって、液室57の圧力が低下する。
【0071】
一方、制御流路64は閉路状態で昇圧液体を供給されており、高圧となっている。制御流路64の圧力が、液室57の圧力と排液弁用バネ部材60の付勢力を合わせた力を超えると、排液弁51は第1シート部54から離反する方向に移動し、
図1に示すように制御流路64と排液流路67が連通する。
【0072】
排液弁51が開かれ、制御流路64と排液流路67が連通すると、制御流路64及び駆動部5の液室25内の昇圧液体は排液流路67を介して低圧タンク17に排出される。液室25の圧力が低下し、液室24の圧力より小さくなると、駆動ピストン22が液室25側へ摺動する。駆動ピストン22に連結された駆動ロッド23は、可動電極3を固定電極2から引き外され、電流が遮断される。
【0073】
開路動作前に、液室24のダンパー部22bはダンパー室24a内に位置している。開路動作が開始すると、ダンパー部22bはダンパー室24aから退避する方向に移動を始める。ダンパー部22bの退避によってダンパー室24a内の圧力は低下する。圧力が低下すると、挿入孔22cを介して液室24から液体が流入するため、ダンパー部22bのスムーズな退避が阻害される。しかしながら、液室24の圧力が、ダンパー室24aの圧力とブッシュ用バネ部材24eの付勢力を合わせた力を上回ると、ブッシュ24dはシリンダ20端部側へ移動する。ダンパー室24aを区画する円環部24bもブッシュ24dと共に移動するため、ダンパー室24aの容積は減少する。容積が小さくなるとダンパー室24a内の圧力は増加するため、液室24からの液体の流入が低減され、ダンパー部22bはダンパー室24aからスムーズに離脱し、開路動作を良好に開始させることができる。
【0074】
開路動作が進むと、駆動ピストン22に連結されたダンパー部26は挿入孔25cを介してダンパー室25aに挿入される。ダンパー部26と挿入孔25cとの間の円筒状の狭小な間隙を残して、ダンパー室25aは閉塞状態となる。これによってダンパー室25a内の液体が排出されにくくなって圧力が上昇し、開路動作速度を低下させる制動力が働く。なお、このとき、ダンパー室25a内の圧力は、第2の液室25の圧力に対して高いので、チェック弁27はL字流路26aを閉じた状態となり、制動力への影響を与えない。
【0075】
また、排液弁51が第1シート部54から離反し、ケース53の他端側に移動することで液室91内の液体が排液弁51に押圧されるが、低圧タンク17に直接連通した第2排液流路92を介してスムーズに排出され、排液弁51の移動を妨げることがない。
【0076】
また、排液弁51は、開路動作が進んで制御流路64の圧力が、液室57の圧力と排液弁用バネ部材60の付勢力を合わせた力を下回ると、排液流路67側に移動して第1シート部54に当接し、
図3に示すように排液流路67と制御流路64の間を閉じる。このとき、排液弁51内部の液室57と、絞り開口95を介して液室57に連通する給液弁52内部の液室94の圧力は共に低圧となっている。これに対して、蓋部材99側の液室96は流路97を介して昇圧液体が流れ込み高圧となっているため、給液弁52内部の補助ピストン93は、大径部52bと小径部52aの境目の段部に押し付けられる。そのため液室94の容積は最小となっている。
【0077】
(閉路動作)
不図示の制御部からの閉路指令信号を受けて、パイロット弁部13の閉路用ソレノイド41が励磁される。切換弁43において、ロッド弁75の膨出部75aが大径部と操作排液流路70側の小径部との境目の段部に突き当たり、操作制御流路68と操作給液流路72との間が開状態となる。
【0078】
これによって、アキュムレータ15から液室24に供給される昇圧液体が、給液流路65、排液弁51の開口部51a、操作給液流路72及び操作制御流路68を通って排液弁内部の液室57に供給され、液室57は昇圧される。液室57の圧力が、給液板用バネ部材59の付勢力と制御流路64の圧力を合わせた力を超えると、給液弁52を第2シート部55から離反する方向に移動させる。その結果、
図4に示すように制御流路64と給液流路65が連通する。
【0079】
給液弁52が開かれて制御流路64と給液流路65が連通すると、給液流路65を介して排液弁51内部の液室58に供給された液体が、制御流路64を介して駆動部5の液室25に供給される。液室25の圧力が上昇し、駆動ピストン22は液室24側に摺動する。駆動ピストン22に連結された駆動ロッド23が可動電極3を固定電極2側に駆動し、可動電極3が固定電極2に接触すると電流が投入される。
【0080】
一方、液室94と液室57との圧力差により、絞り開口95を介して液室57から液室94へ液体が徐々に移動する。液室94と液室57の圧力が均衡すると液室57から液室94へ液体は移動しなくなる。しかしながら、液室94内に供給された液体の圧力によって、補助ピストン93が、大径部52bと小径部52aの境目の段部から離れて蓋部材99側に移動を開始する。これによって、液室94の容積は徐々に増加する。液室94の容積が増加すると内部圧力は一時的に低下するため、液室57から液室94への液体の移動が継続される。したがって、補助ピストン93の凸部93cが蓋部材99に突き当たって移動が停止されるまで、液室57内部の液体は液室94に対して徐々に移動し続ける。
【0081】
補助ピストン93の凸部93cが蓋部材99に突き当たると、液室94は昇圧される。液室57の圧力が、液室94や制御流路64の圧力及び給液板用バネ部材59の付勢力を合わせた力を下回ると、
図3に示すように給液弁52は閉止方向に移動して第2シート部55に突き当たる。給液流路65と制御流路64との間が遮断される。この時、補助ピストン93は液室57の高圧液によって蓋部材99側に押し付けられているため、次の開路動作時に動作遅れを生じない。
【0082】
閉路動作時、駆動部5の液室25に昇圧液体が供給されると、液室25の圧力が、ダンパー室25a内部と比べて高くなるため、チェック弁27が開かれ、流路26aを介して、液室25とダンパー室25a内部が連通する。ダンパー部26とオリフィス25cとの間のわずかな間隙のほかにも、ダンパー室25a内部への液体の流路が設けられ、ダンパー室25aの圧力が上昇し、駆動ピストン22の動作に伴って、ダンパー部26をダンパー室25aから速やかに押し出す。
【0083】
また閉路動作が進むと、駆動ピストン22に連結されたダンパー部22bはオリフィス24cを介してダンパー室24aに挿入される。ダンパー部22bとオリフィス24cとの間の円筒状の狭小な間隙を残して、ダンパー室24aは閉塞状態となる。これによってダンパー室24a内の液体が排出されにくくなって圧力が上昇し、閉路動作速度を低下させる制動力が働く。
【0084】
ダンパー室24aの圧力が上昇すると、ダンパー室24aを区画する円環部24bは、ダンパー室24aの上昇した圧力とブッシュ用バネ部材24eの付勢力とにより、ダンパー室24aの容積を最大とする初期位置に保持される。このとき、高圧シール部20aには制動時の圧力が直接作用しているが、戻り液流路28と低圧シール部20bにより、高圧ロッドシール部20aが破損した場合でも、外部への漏液が防止される。
【0085】
(効果)
(1)以上のように、本実施形態では、液圧制御部11の主操作弁部12において、液室24と連通する給液流路65、液室25と連通する制御流路64、低圧タンクに連通する排液流路67が接続されたケース53を備える。このケース53内部に排液弁51が収容され、さらに排液弁51内部に給液弁52が配置された構成となっている。排液弁51内部には、昇圧液体の供給および排出によって昇圧及び減圧され、給液弁52を摺動して開閉させる液室57が、第3の液室として設けられている。ここで、給液弁52内部に、この液室57と絞り開口95を介して連通する液室94を第2の液室として設けた。閉路動作が進むと、液室57と液室94の圧力差により、液室57に供給された昇圧液体は絞り開口95を介して液室94へ徐々に移動する。
【0086】
給液弁52を開く液室57の圧力が、液室94の圧力と給液弁用バネ部材59の付勢力を合わせた力を下回ると給液弁52は閉止動作を開始するが、液室94は細径の絞り開口95を介して液体の移動によって徐々に昇圧されるため、給液弁52の閉止動作は遅延され、かつ安定した速度で行われる。そのため、閉路動作が進んでも駆動ピストン22は減速することなく、閉路動作終了まで安定して駆動する。これによって、遮断器の開閉を安定して行うことができる信頼性の高い液圧操作装置4を得ることができる。
【0087】
(2)さらに、給液弁52内部には、液室94内部の圧力に応じて液室94の容積を増減させる補助ピストン93が設けられている。液室57から液室94への液体の移動に伴って、補助ピストン93が移動して液室94の容積を増加される。そのため、補助ピストンが移動する間は、液室57と液室94の圧力差が保たれるため、液室57から液室94への液体の移動が持続される。これによって、給液弁52の閉止動作はさらに遅延され、閉路動作を安定して行うことができる。これによって、液圧操作装置4の信頼性をさらに向上させる。
【0088】
このように、給液弁52の閉止動作を遅延させる構成として、液室94、絞り開口95及び補助ピストン93を設けた構成によって、閉路動作時に給液弁52が開かれている時間を十分に確保することができ、駆動ピストン22の減速を防ぎ、閉路動作を安定して速やかに完了することができる。さらに、この液室94と補助ピストン93は給液弁52の内部に設けられているため、ケース53を大型化させる必要がなく、液圧操作装置4をコンパクトな構成とすることができる。
【0089】
(3)補助ピストン93は、給液弁52内部を摺動して液室57の容積を増減させるピストン部93aと、ピストン部93aを支持して、排液弁51の蓋部材99に設けられた貫通孔を摺動可能に挿通するロッド部93bとを有する構成となっている。そしてロッド部93bの周面に、蓋部材99に当接する凸部93cを設けた。これによって、閉路動作時に補助ピストン93による液室94の容積増加限度を適宜調整することができ、給液弁52の開度調整を容易に行うことができる。
【0090】
(4)本実施形態では、主操作弁部12のケース53一端側に開路動作時に昇圧液体を低圧タンク17に排出する排液流路67が設けられているが、ケース53の他端側にも低圧タンク17と連通する第2排液流路92を、第2の排液流路として別個に設けた。これによって、開路動作時に排液弁51が第1シート部54から離反してケース53の他端側に向かって移動した際に、排液弁51とケース53との間の液室91の液体を、第2排液流路92を介して低圧タンク17にスムーズに排出することができる。これによって、排液弁51の開口速度が向上し、開路動作開始時の駆動ピストン22の応答の高速化が図られる。
【0091】
なお、上述の例では第2排液流路92は排液流路67と別個に設けたが、排液流路67に途中で合流する分岐流路としても良い。
【0092】
(5)駆動部5内には、駆動ロッド23が内部を延びる液室24が第1の液室として設けられ、液圧制御部11の制御流路64と連通して昇圧液体が供給及び排出される液室25が第2の液室として設けられている。液室25内に突出するダンパー部26に、液室25とダンパー室25aと連通可能なL字流路26aを設け、さらにこのL字流路26aを開閉するチェック弁27を設けた。このチェック弁27は、ダンパー室25a内の圧力が液室25内の圧力よりも低くなるときに開かれる。したがって、ダンパー室25aの圧力が高い開路動作時にはL字流路26aが閉じられているため、ダンパー部26による安定した制動効果を得られる。一方、閉路動作開始時にはダンパー室25aの圧力が低下することによってチェック弁27が開き、L字流路26aを介してダンパー室25aに昇圧液体を十分に供給することができ、駆動ピストン22の良好な動作応答が保たれる。
【0093】
なお、このL字流路26aとチェック弁27は、ダンパー部26でなくシリンダ20内壁に液室25とダンパー室25aを連通するように設けても、同様の効果が得られる。しかし、ダンパー部26内部は駆動部5のデッドスペースともいえるため、このデットスペースを有効利用することで、シリンダ20に新たな流路を設ける必要がなく、装置をコンパクトに保ちながら、高い動作性を得ることができる。
【0094】
(6)シリンダ20の液室24側の端部には、駆動ロッド23が挿通する貫通孔21が設けられている。この貫通孔21の内周部に、漏液を防ぐために、高圧シール部20aと低圧シール部20bの2つのシール部を設け、さらに2つのシール部の間に、低圧タンク17と連通する戻り液流路28の起点を設けた。これによって、高圧ロッドシール部20aが破損した場合でも、低圧シール部20bと戻り液流路28により漏液は低圧タンク17へ導かれるため、液体の外部流出を防止することができ、液圧操作装置4の信頼性を向上させることができる。
【0095】
(7)低圧タンク17を駆動部5よりも高い位置に配置し、戻り液流路28の開口部28bが、低圧タンク17内に回収される液体の液面よりも高い位置となるように設定した。これによって、低圧シール部20bが万一破損した場合においても低圧タンク17からの液体が逆流して外部への流出することを防止することができ、液圧操作装置4の信頼性を向上させることができる。
【0096】
[2.第2の実施形態]
(構成)
第2の実施形態について、
図6及び
図7を用いて説明する。この第2の実施形態では、前述の第1実施形態とは異なる点のみを説明し、前述の第1実施形態と同じ部分については同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0097】
第2の実施形態では、第1の実施形態の液室94の容積を増減させる補助ピストン93に代えて、液室94の圧力を増減させる補助弁98を用いている。補助弁98は、円板状の頭部98aと、頭部98aより小径の円柱状の胴部98bとを有する弁部材である。
【0098】
本実施形態では、補助弁98は給液弁52内部の大径部52bに配置され、頭部98aが小径部52a側に位置するように配置される。頭部98aは、給液弁52の小径部52aよりも大径であり、大径部52bと小径部52aの境目の段部に突き当たるようになっている。
【0099】
給液弁52には、排液流路67側端部の開口端から軸方向に突出する円筒部52cが設けられている。一方、排液弁51の蓋部材99には、円板中央に設けられた円形孔から立ち上がって給液弁52に向かって延びる小円筒部99aが更に設けられている。この小円筒部99aが、給液弁52の円筒部52c内部に挿入され、給液弁52の移動に伴って大径部52b内部を相対的に摺動するように構成されている。小円筒部99aの先端には補助弁用バネ部材99bが取り付けられている。補助弁用バネ部材99bは、補助弁98の頭部98aに取り付けられて補助弁98を支持し、かつ小径部52a側に付勢している。
【0100】
(作用)
閉路動作時、第1の実施の形態と同様に、パイロット弁部13の切換動作により液室57に昇圧液体が供給され、給液弁52が第2シート部55から離反して蓋部材99に向かって移動し、
図6に示すように制御流路64と給液流路65が連通する。閉路動作開始時において、補助弁98は液室94を開放した状態であるため、液室94内部の液体は開口した補助弁98を介して給液弁52外部に排出される。これによって液室57と液室94との圧力差は大きくなり、閉路動作がスムーズに行われる。
【0101】
給液弁52がさらに蓋部材99に向かって移動すると、補助弁98は給液弁内部の大径部52bと小径部52aとの境目の段部に突き当たり、液室94が閉じられた状態になる。この液室94には、絞り開口95を介して液室57から徐々に昇圧液体が供給されるため、液室94内部は次第に高圧となる。
【0102】
液室57の圧力が、液室94の圧力と給液弁用バネ部材59の付勢力を合わせた力を下回ると、給液弁52は蓋部材99から離れ、第2シート部55に当接する方向に移動し始める。給液弁52が移動を開始すると、補助弁98が小径部52aから離れることによって開かれ、液室94の液体が補助弁98から排出され、圧力が低下する。
【0103】
このように、閉路動作が進み、給液弁52が閉止する方向に移動を開始すると、補助弁98が開いて液室94の圧力を低下させる。これによって、給液弁52が閉止する速度が遅くなり、駆動ピストン22が閉路動作を完了するまで、給液弁52の開度が保たれる。
【0104】
(効果)
以上のように、本実施形態の液圧操作装置4によれば、主操作弁部12の給液弁52の端部に補助弁98を設けた。閉路動作が進み、給液弁52が制御流路64と給液流路65との間を閉止する方向に移動すると、補助弁が開いて、第4の液室内部の圧力を減少させる。これによって、閉路動作が進んでも、給液弁52が閉止される時間が遅延され、給液弁52の開度を十分に保つことができる。従って駆動ピストン22は減速することなく、閉路動作を安定して完了することができ、第1の実施形態と同様に、信頼性の高い液圧操作装置4を提供することができる。さらに、この補助弁98や液室94などは主操作弁内に配置されるものであるため、液圧操作装置4をコンパクトな構成とすることができる。
【0105】
また、補助弁98は、蓋部材99の小円筒部99a先端に取り付けられた補助弁用バネ部材99bに支持されている。したがって、この小円筒部99aの高さを適宜調整することで、給液弁52の開度調整を容易に行うことができる。
【0106】
[3.第3の実施形態]
(構成)
第3の実施形態について、
図8を用いて説明する。この第3の実施形態では、前述の第1実施形態とは異なる点のみを説明し、前述の第1実施形態と同じ部分については同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0107】
第3の実施形態では、駆動部5のシリンダ20において、駆動ロッド23が挿通する貫通孔21の周面に圧力封止リング29を設けている。この圧力封止リング29は、高圧シール部20aよりも液室24近傍に設けられている。さらに、圧力封止リング29と高圧シール部20aとの間に起点を有し、シリンダ20壁部を貫通して、アキュムレータ15に連通する高圧流路16に合流する分岐流路29aを設けている。
【0108】
(作用)
閉路動作が進み、ダンパー部22bがダンパー室24aに侵入すると、ダンパー室24aの圧力が上昇し、シリンダ20の貫通孔21にも大きな圧力がかかる。ここで、液室24近傍に設けられた圧力封止リング29によって、昇圧された液体のダンパー室24a内から貫通孔21への流出が防がれる。液体の一部が圧力封止リング29を通過する可能性もあるが、そのような圧力封止リング29から漏れた液体も、分岐流路29aを介して、高圧流路16に導かれ、低圧タンク17に排出される。
【0109】
(効果)
以上のように、本実施形態においては、2つのシール部に加えて液室24近傍に圧力封止リング29と分岐流路29aを設けることによって、高圧シール部20aに加わる圧力を軽減することができ、過大な圧力に起因する損傷を防止することができる。これによって、液圧操作装置4の信頼性をさらに向上させることができる。
【0110】
なお、分岐流路29aは、液室24やアキュムレータ15等と連通するように配置しても良い。
【0111】
[4.その他の実施形態]
(構成)
上述の実施形態では、円筒内に形成された段部を第1シート部54及び第2シート部55とし、排液弁51及び給液弁52と当接させたが、シート部の構成はこれに限られない。例えば、円筒の内径を狭めるように張り出した突出部を形成し、第1シート部54及び第2シート部55としても良い。
【0112】
本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。