(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0013】
以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0014】
また、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見易くするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。
【0015】
(実施の形態1)
<半導体装置の製造工程について>
本実施の形態の半導体装置の製造工程を、図面を参照して説明する。
図1および
図2は、本実施の形態の半導体装置の製造工程を示す工程フロー図である。
図3〜
図27は、本実施の形態の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【0016】
まず、
図3に示されるように、例えば1〜10Ωcm程度の比抵抗を有するp型の単結晶シリコンなどからなる半導体基板(半導体ウエハ)SUBを用意(準備)する(
図1のステップS1)。
【0017】
半導体基板SUBは、低耐圧のMISFETQ1が形成される領域である低耐圧MISFET形成領域1Aと、中耐圧のMISFETQ2が形成される領域である中耐圧MISFET形成領域1Bと、高耐圧のMISFETQ3が形成される領域である高耐圧MISFET形成領域1Cとを有している。
図3においては、理解を簡単にするために、低耐圧MISFET形成領域1A、中耐圧MISFET形成領域1Bおよび高耐圧MISFET形成領域1Cを互いに隣接して示しているが、半導体基板SUBにおける低耐圧MISFET形成領域1A、中耐圧MISFET形成領域1Bおよび高耐圧MISFET形成領域1Cの位置関係(実際の位置関係)は、必要に応じて変更することができる。
【0018】
なお、高耐圧のMISFETQ3の動作電圧は、中耐圧のMISFETQ2の動作電圧よりも高く、中耐圧のMISFETQ2の動作電圧は、低耐圧のMISFETQ1の動作電圧よりも高い。換言すれば、高耐圧のMISFETQ3は、第1の電源電圧で動作するMISFETであり、中耐圧のMISFETQ2は、この第1の電源電圧よりも低い第2の電源電圧で動作するMISFETであり、低耐圧のMISFETQ1は、この第2の電源電圧よりも低い第3の電源電圧で動作するMISFETである。高耐圧のMISFETQ3が動作する上記第1の電源電圧は、例えば5V程度であり、中耐圧のMISFETQ2が動作する上記第2の電源電圧は、例えば3V程度であり、低耐圧のMISFETQ1が動作する上記第3の電源電圧は、例えば1V程度である。後述するように、高耐圧のMISFETQ3のゲート絶縁膜の厚みは、中耐圧のMISFETQ2のゲート絶縁膜の厚みよりも厚く、中耐圧のMISFETQ2のゲート絶縁膜の厚みは、低耐圧のMISFETQ1のゲート絶縁膜の厚みよりも厚い。
【0019】
次に、半導体基板SUBの主面に、例えばSTI(Shallow Trench Isolation)法などにより、絶縁体(溝に埋め込まれた絶縁体)からなる素子分離領域STを形成する(
図1のステップS2)。
【0020】
すなわち、エッチングなどにより半導体基板SUBの主面に素子分離溝(溝)STaを形成してから、酸化シリコン(例えばオゾンTEOS(Tetraethoxysilane)酸化膜)などからなる絶縁膜を素子分離溝STaを埋めるように半導体基板SUB上に形成する。それから、この絶縁膜をCMP(Chemical Mechanical Polishing:化学的機械的研磨)法などを用いて研磨することで、素子分離溝STaの外部の不要な絶縁膜を除去し、かつ素子分離溝STa内に絶縁膜を残すことにより、素子分離溝STaを埋める絶縁膜(絶縁体)からなる素子分離領域STを形成することができる。
【0021】
素子分離領域STによって、半導体基板SUBの活性領域が規定される。低耐圧MISFET形成領域1Aにおける素子分離領域STで規定された活性領域に、後述するようにしてMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)Q1が形成される。また、中耐圧MISFET形成領域1Bにおける素子分離領域STで規定された活性領域に、後述するようにしてMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)Q2が形成される。また、高耐圧MISFET形成領域1Cにおける素子分離領域STで規定された活性領域に、後述するようにしてMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)Q3が形成される。
【0022】
次に、
図4に示されるように、半導体基板SUBの主面から所定の深さに渡ってn型ウエル(n型半導体領域)NW1,NW2,NW3を形成する(
図1のステップS3)。
【0023】
n型ウエルNW1,NW2,NW3は、半導体基板SUBに、例えばリン(P)またはヒ素(As)などのn型の不純物をイオン注入することなどによって形成することができる。n型ウエルNW1は低耐圧MISFET形成領域1Aに形成され、n型ウエルNW2は中耐圧MISFET形成領域1Bに形成され、n型ウエルNW3は高耐圧MISFET形成領域1Cに形成される。
【0024】
n型ウエルNW1を形成するためのイオン注入とn型ウエルNW2を形成するためのイオン注入とn型ウエルNW3を形成するためのイオン注入とは、同じイオン注入工程で行なえば工程数を低減できるが、異なるイオン注入工程として行なってもよい。
【0025】
次に、半導体基板SUBの主面にゲート絶縁膜GI1,GI2,GI3を形成する(
図1のステップS4)。ゲート絶縁膜GI1は、低耐圧MISFET形成領域1Aにおける半導体基板SUBの表面(すなわちn型ウエルNW1の上面)に形成される。ゲート絶縁膜GI2は、中耐圧MISFET形成領域1Bにおける半導体基板SUBの表面(すなわちn型ウエルNW2の上面)に形成される。ゲート絶縁膜GI3は、高耐圧MISFET形成領域1Cにおける半導体基板SUBの表面(すなわちn型ウエルNW3の上面)に形成される。
【0026】
ステップS4のゲート絶縁膜GI1,GI2,GI3形成工程は、例えば、次(
図5〜
図7)のようにして行うことができる。
【0027】
まず、例えばフッ酸(HF)水溶液を用いたウェットエッチングなどにより半導体基板SUBの表面を清浄化(洗浄)した後、
図5に示されるように、半導体基板SUBの表面(n型ウエルNW1,NW2,NW3の表面も含む)に、酸化シリコン膜などからなる絶縁膜IL1を形成する。
【0028】
絶縁膜IL1は、高耐圧MISFET形成領域1Cに形成されるMISFETのゲート絶縁膜GI3用の絶縁膜である。絶縁膜IL1は、例えば、熱酸化処理により形成することができるが、熱酸化膜形成後に熱酸化膜上にCVD膜(CVD法で形成した酸化シリコン膜)を更に堆積して絶縁膜IL1を形成することもできる。
【0029】
次に、フォトリソグラフィ法を用いて形成したフォトレジスト層(図示せず)をエッチングマスクとして用いて絶縁膜IL1をエッチングすることにより、低耐圧MISFET形成領域1Aおよび中耐圧MISFET形成領域1Bの絶縁膜IL1を除去し、高耐圧MISFET形成領域1Cの絶縁膜IL1を残す。
【0030】
次に、半導体基板SUBの熱酸化処理を行うことにより、半導体基板SUBの主面上に酸化シリコン膜を形成する。これにより、
図6に示されるように、低耐圧MISFET形成領域1Aおよび中耐圧MISFET形成領域1Bの半導体基板SUB上(すなわちn型ウエルNW1,NW2上)に酸化シリコン膜(熱酸化膜)からなる絶縁膜IL2が形成されるとともに、高耐圧MISFET形成領域1Cの絶縁膜IL1が厚くなる。
【0031】
次に、フォトリソグラフィ法を用いて形成したフォトレジスト層(図示せず)をエッチングマスクとして用いて絶縁膜IL2をエッチングすることにより、低耐圧MISFET形成領域1Aの絶縁膜IL2を除去し、中耐圧MISFET形成領域1Bの絶縁膜IL2と高耐圧MISFET形成領域1Cの絶縁膜IL1とを残す。
【0032】
次に、半導体基板SUBの熱酸化処理を行うことにより、半導体基板SUBの主面上に酸化シリコン膜を形成する。これにより、
図7に示されるように、低耐圧MISFET形成領域1Aの半導体基板SUB上(すなわちn型ウエルNW1上)に酸化シリコン膜(熱酸化膜)からなる絶縁膜IL3が形成されるとともに、中耐圧MISFET形成領域1Bの絶縁膜IL2と高耐圧MISFET形成領域1Cの絶縁膜IL1とが厚くなる。
【0033】
高耐圧MISFET形成領域1Cの絶縁膜IL1は、絶縁膜IL2の形成時と絶縁膜IL3の形成時との両方で厚みが増加し、中耐圧MISFET形成領域1Bの絶縁膜IL2は、絶縁膜IL3の形成時に厚みが増加する。このため、中耐圧MISFET形成領域1Bに形成されている絶縁膜IL2の厚みは、低耐圧MISFET形成領域1Aに形成されている絶縁膜IL3の厚みよりも厚く、高耐圧MISFET形成領域1Cに形成されている絶縁膜IL1の厚みは、中耐圧MISFET形成領域1Bに形成されている絶縁膜IL2の厚みよりも厚い状態になる。
【0034】
低耐圧MISFET形成領域1Aに形成された絶縁膜IL3が、低耐圧MISFET形成領域1Aに形成される低耐圧のMISFETQ1用のゲート絶縁膜GI1となる。また、中耐圧MISFET形成領域1Bに形成された絶縁膜IL2が、中耐圧MISFET形成領域1Bに形成される中耐圧のMISFETQ2用のゲート絶縁膜GI2となる。また、高耐圧MISFET形成領域1Cに形成された絶縁膜IL1が、高耐圧MISFET形成領域1Cに形成される高耐圧のMISFETQ3用のゲート絶縁膜GI3となる。
【0035】
このようにして、ステップS4のゲート絶縁膜GI1,GI2,GI3形成工程が行われる。これにより、低耐圧MISFET形成領域1Aにおける半導体基板SUBの表面にゲート絶縁膜GI1が形成され、中耐圧MISFET形成領域1Bにおける半導体基板SUBの表面にゲート絶縁膜GI2が形成され、高耐圧MISFET形成領域1Cにおける半導体基板SUBの表面にゲート絶縁膜GI3が形成された状態が得られる。
【0036】
中耐圧MISFET形成領域1Bのゲート絶縁膜GI2の厚みは、低耐圧MISFET形成領域1Aのゲート絶縁膜GI1の厚みよりも厚く、高耐圧MISFET形成領域1Cのゲート絶縁膜GI3の厚みは、中耐圧MISFET形成領域1Bのゲート絶縁膜GI2の厚みよりも厚い。ゲート絶縁膜GI1,GI2,GI3の厚みの一例をあげると、ゲート絶縁膜GI1の厚みは、例えば2〜3nm程度とすることができ、ゲート絶縁膜GI2の厚みは、例えば5〜10nm程度とすることができ、ゲート絶縁膜GI3の厚みは、例えば10〜15nm程度とすることができる。
【0037】
中耐圧MISFET形成領域1Bのゲート絶縁膜GI2の厚みは、低耐圧MISFET形成領域1Aのゲート絶縁膜GI1の厚みよりも厚いので、中耐圧MISFET形成領域1Bに形成されるMISFETQ2の耐圧は、低耐圧MISFET形成領域1Aに形成されるMISFETQ1の耐圧よりも高くなる。また、高耐圧MISFET形成領域1Cのゲート絶縁膜GI3の厚みは、中耐圧MISFET形成領域1Bのゲート絶縁膜GI2の厚みよりも厚いので、高耐圧MISFET形成領域1Cに形成されるMISFETQ3の耐圧は、中耐圧MISFET形成領域1Bに形成されるMISFETQ2の耐圧よりも高くなる。
【0038】
次に、ゲート電極GE1,GE2,GE3を形成する(
図1のステップS5)。ステップS5のゲート電極GE1,GE2,GE3形成工程は、例えば、次(
図8および
図9)のようにして行うことができる。
【0039】
まず、
図8に示されるように、半導体基板SUBの主面の全面上に(すなわちゲート絶縁膜GI1,GI2,GI3上を含む領域上に)、例えば多結晶シリコン膜(ドープトポリシリコン膜)DPのような導電性材料膜(導体膜、シリコン膜)を形成(堆積)する。この多結晶シリコン膜DPは、成膜時または成膜後に不純物を導入して低抵抗の半導体膜(導電性材料膜)とされている。多結晶シリコン膜DPの厚み(堆積膜厚)は、例えば180nm程度とすることができる。また、多結晶シリコン膜DPは、成膜時にはアモルファスシリコン膜であったものを、成膜後の熱処理により多結晶シリコン膜に変えることもできる。
【0040】
次に、
図9に示されるように、多結晶シリコン膜DPをフォトリソグラフィ法およびドライエッチング法を用いてパターニングすることにより、ゲート電極GE1,GE2,GE3を形成する。ゲート電極GE1,GE2,GE3は、それぞれ、パターニングされた多結晶シリコン膜DPからなる。
【0041】
このうち、ゲート電極GE1は、低耐圧MISFET形成領域1Aにおいて、半導体基板SUB上(すなわちn型ウエルNW1上)にゲート絶縁膜GI1を介して形成される。すなわち、ゲート電極GE1は、低耐圧MISFET形成領域1Aにおいて、半導体基板SUB(n型ウエルNW1)の表面のゲート絶縁膜GI1上に形成される。また、ゲート電極GE2は、中耐圧MISFET形成領域1Bにおいて、半導体基板SUB上(すなわちn型ウエルNW2上)にゲート絶縁膜GI2を介して形成される。すなわち、ゲート電極GE2は、中耐圧MISFET形成領域1Bにおいて、半導体基板SUB(n型ウエルNW2)の表面のゲート絶縁膜GI2上に形成される。また、ゲート電極GE3は、高耐圧MISFET形成領域1Cにおいて、半導体基板SUB上(すなわちn型ウエルNW3上)にゲート絶縁膜GI3を介して形成される。すなわち、ゲート電極GE3は、高耐圧MISFET形成領域1Cにおいて、半導体基板SUB(n型ウエルNW3)の表面のゲート絶縁膜GI3上に形成される。
【0042】
このようにして、ステップS5のゲート電極GE1,GE2,GE3形成工程が行われる。
【0043】
また、多結晶シリコン膜DPをパターニングするためのドライエッチング、あるいはそのドライエッチングの後のウェットエッチングにより、ゲート電極GE1,GE2,GE3で覆われていない領域のゲート絶縁膜GI1,GI2,GI3は除去され得る。
【0044】
また、ここでは図示しないけれども、低耐圧MISFET形成領域1Aにおけるnチャネル型MISFET形成予定領域には、パターニングされた多結晶シリコン膜DPにより、nチャネル型MISFET用のゲート電極が形成される。
【0045】
また、本実施の形態では、ゲート電極GE1,GE2,GE3を多結晶シリコン膜DPにより形成する場合について説明したが、他の形態として、ゲート電極GE1,GE2,GE3を金属膜または金属化合物膜により形成することもでき、その場合、ゲート電極GE1,GE2,GE3は、いわゆるメタルゲート電極となる。
【0046】
次に、
図10に示されるように、中耐圧MISFET形成領域1Bおよび高耐圧MISFET形成領域1Cの半導体基板SUB(n型ウエルNW2,NW3)に、p型不純物をイオン注入することにより、エクステンション領域(ソース・ドレインエクステンション領域、p
−型半導体領域、p型不純物拡散層)EX2,EX3を形成する(
図1のステップS6)。ステップS6で行うエクステンション領域EX2,EX3を形成するためのイオン注入を、以下ではイオン注入IM1と称し、
図10では、このイオン注入IM1を矢印で模式的に示してある。
【0047】
ステップS6では、低耐圧MISFET形成領域1Aを覆いかつ中耐圧MISFET形成領域1Bおよび高耐圧MISFET形成領域1Cを露出するフォトレジスト層PR1を、低耐圧MISFET形成領域1Aの半導体基板SUB上に形成してから、イオン注入IM1を行う。その後、フォトレジスト層PR1を除去する。イオン注入IM1において、低耐圧MISFET形成領域1Aはフォトレジスト層PR1で覆われているため、低耐圧MISFET形成領域1Aの半導体基板SUBにはイオン注入されない。このため、ステップS6では、中耐圧MISFET形成領域1Bおよび高耐圧MISFET形成領域1Cの半導体基板SUB(n型ウエルNW2,NW3)に対して、イオン注入IM1が行われることになる。
【0048】
ステップS6のイオン注入IM1の際、中耐圧MISFET形成領域1Bおよび高耐圧MISFET形成領域1Cにおいて、ゲート電極GE2,GE3はマスク(イオン注入阻止マスク)として機能することができる。これにより、半導体基板SUB(n型ウエルNW2)におけるゲート電極GE2,GE3の直下の領域では、イオン注入IM1の際に不純物の注入が防止される。
【0049】
このため、中耐圧MISFET形成領域1Bにおいては、半導体基板SUB(n型ウエルNW2)におけるゲート電極GE2の両側の領域に、ホウ素(B)などのp型の不純物がイオン注入されることにより、エクステンション領域EX2が形成される。従って、中耐圧MISFET形成領域1Bにおいて、エクステンション領域EX2は、ゲート電極GE2の側壁に整合(自己整合)して形成される。また、高耐圧MISFET形成領域1Cにおいては、半導体基板SUB(n型ウエルNW3)におけるゲート電極GE3の両側の領域に、ホウ素(B)などのp型の不純物がイオン注入されることにより、エクステンション領域が形成される。従って、高耐圧MISFET形成領域1Cにおいて、エクステンション領域EX3は、ゲート電極GE3の側壁に整合(自己整合)して形成される。また、イオン注入IM1において、ゲート電極GE2,GE3(を構成するシリコン膜)にもp型の不純物がイオン注入され得る。
【0050】
エクステンション領域EX2は、後で形成するソース・ドレイン領域SD2と同じ導電型(ここではp型)の半導体領域であるが、ソース・ドレイン領域SD2よりも不純物濃度が低く、かつ、エクステンション領域EX2の深さ(接合深さ)は、後で形成されるソース・ドレイン領域SD2の深さ(接合深さ)よりも浅い。また、エクステンション領域EX3は、後で形成するソース・ドレイン領域SD3と同じ導電型(ここではp型)の半導体領域であるが、ソース・ドレイン領域SD3よりも不純物濃度が低く、かつ、エクステンション領域EX3の深さ(接合深さ)は、後で形成されるソース・ドレイン領域SD3の深さ(接合深さ)よりも浅い。
【0051】
また、本実施の形態では、中耐圧MISFET形成領域1Bのエクステンション領域EX2と高耐圧MISFET形成領域1Cのエクステンション領域EX3とを、同じイオン注入工程により形成している。他の形態として、中耐圧MISFET形成領域1Bのエクステンション領域EX2と高耐圧MISFET形成領域1Cのエクステンション領域EX3とを、異なるイオン注入工程により形成することもできる。
【0052】
イオン注入IM1の後、上記フォトレジスト層PR1は除去される。
【0053】
次に、
図11に示されるように、半導体基板SUBの主面上に、ゲート電極GE1,GE2,GE3を覆うように、絶縁膜IL4を形成する(
図1のステップS7)。
【0054】
絶縁膜IL4は、低耐圧のnチャネル型MISFETのオフセットスペーサ用の絶縁膜である。絶縁膜IL4は、例えば酸化シリコン膜からなり、その形成膜厚は、例えば3〜5nm程度とすることができる。絶縁膜IL4は、ゲート電極GE1,GE2,GE3の上面および側壁上と、ゲート電極GE1,GE2,GE3で覆われていない部分の半導体基板SUB(n型ウエルNW1,NW2,NW3)上とに、形成される。絶縁膜IL4は、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition:化学的気相成長)法などを用いて形成することができる。
【0055】
次に、図示はしないけれども、低耐圧MISFET形成領域1Aにおけるnチャネル型MISFET形成予定領域に、n
−型のエクステンション領域を形成するためのイオン注入(n型不純物のイオン注入)を行う。この際、低耐圧MISFET形成領域1Aのpチャネル型MISFET形成予定領域と、中耐圧MISFET形成領域1Bと、高耐圧MISFET形成領域1Cとを覆い、かつ低耐圧MISFET形成領域1Aのnチャネル型MISFET形成予定領域を露出するフォトレジスト層(図示せず)を、半導体基板SUB上に形成してから、イオン注入を行う。その後、そのフォトレジスト層を除去する。これにより、低耐圧MISFET形成領域1Aにおけるnチャネル型MISFET形成予定領域において、半導体基板SUB(p型ウエル)におけるnチャネル型MISFET用のゲート電極の両側の領域に、n型の不純物がイオン注入されることにより、n
−型のエクステンション領域(図示せず)が形成される。この際、nチャネル型MISFET用のゲート電極とその側壁上の絶縁膜IL4とがマスク(イオン注入阻止マスク)として機能することができる。このため、低耐圧MISFET形成領域1Aにおけるnチャネル型MISFET形成予定領域において、n
−型のエクステンション領域は、nチャネル型MISFET用のゲート電極の側壁上の絶縁膜IL4の側面に整合(自己整合)して形成される。
【0056】
次に、
図12に示されるように、半導体基板SUBの主面上に、すなわち絶縁膜IL4上に、ゲート電極GE1,GE2,GE3を覆うように、絶縁膜IL5を形成する(
図1のステップS8)。
【0057】
絶縁膜IL5は、低耐圧のpチャネル型MISFETのオフセットスペーサ用の絶縁膜である。絶縁膜IL5は、例えば窒化シリコン膜からなり、その形成膜厚は、例えば5〜10nm程度とすることができる。絶縁膜IL5は、例えばCVD法などを用いて形成することができる。
【0058】
次に、
図13に示されるように、絶縁膜IL5,IL4をRIE(Reactive Ion Etching:反応性イオンエッチング)法などによりエッチバック(異方性エッチング)することによって、ゲート電極GE1,GE2,GE3の側壁上に絶縁膜IL5,IL4を残し、他の領域の絶縁膜IL5,IL4を除去する。これにより、ゲート電極GE1,GE2,GE3の側壁上に残存する絶縁膜IL5,IL4からなるオフセットスペーサ(側壁絶縁膜)SPが形成される(
図1のステップS9)。
【0059】
図13には、絶縁膜IL5,IL4をエッチバックすることによって、ゲート電極GEの側壁上に絶縁膜IL4,IL5を残し、他の領域(ゲート電極GE1,GE2,GE3の上面上およびゲート電極GE1,GE2,GE3で覆われていない部分の半導体基板SUB上)の絶縁膜IL5,IL4を除去した場合が示されている。この場合、ゲート電極GE1,GE2,GE3の側壁上に、側壁絶縁膜として、絶縁膜IL4と絶縁膜IL5との積層膜からなるオフセットスペーサSPが形成される。
【0060】
ここで、
図13と同様、
図14も、ステップS9を行った段階を示す断面図である。但し、
図14には、ステップS9において、ゲート電極GE1,GE2,GE3の側壁上以外の絶縁膜IL5は除去される(すなわちゲート電極GE1,GE2,GE3で覆われていない部分の半導体基板SUBの上面上の絶縁膜IL5は除去される)が、ゲート電極GE1,GE2,GE3で覆われていない部分の半導体基板SUBの上面上に絶縁膜IL4が層状に残存する場合が示されている。すなわち、ステップS9でゲート電極GE1,GE2,GE3の側壁上以外の絶縁膜IL5が除去される点は、
図13と
図14とで共通であるが、ゲート電極GE1,GE2,GE3で覆われていない部分の半導体基板SUBの上面上に絶縁膜IL4が層状に残存する(
図14の場合に対応)か、残存しない(
図13の場合に対応)かが、
図13と
図14とで相違している。本実施の形態では、
図13の場合も、
図14の場合も、許容することができる。
図13の場合と、
図14の場合とで、ステップS9以降の工程は、基本的には同じである。このため、
図15以降は、
図13のように絶縁膜IL4を除去したものとして図面を作成しているが、
図15以降においても、
図14のように絶縁膜IL4を層状に残存させていてもよい(但し、後述のサリサイド工程において、露出する絶縁膜IL4は除去され得る)。
【0061】
次に、
図15に示されるように、低耐圧MISFET形成領域1Aにおけるpチャネル型MISFET形成予定領域の半導体基板SUB(n型ウエルNW1)に、p型不純物をイオン注入することにより、エクステンション領域(ソース・ドレインエクステンション領域、p
−型半導体領域、p型不純物拡散層)EX1を形成する(
図1のステップS10)。このエクステンション領域EX1を形成するためのイオン注入を、以下ではイオン注入IM2と称し、
図15では、イオン注入IM2を矢印で模式的に示してある。
【0062】
ステップS10では、低耐圧MISFET形成領域1Aのnチャネル型MISFET形成予定領域と、中耐圧MISFET形成領域1Bと、高耐圧MISFET形成領域1Cとを覆い、かつ低耐圧MISFET形成領域1Aのpチャネル型MISFET形成予定領域を露出するフォトレジスト層PR2を、半導体基板SUB上に形成してから、イオン注入IM2を行う。その後、フォトレジスト層PR2を除去する。イオン注入IM2において、低耐圧MISFET形成領域1Aのnチャネル型MISFET形成予定領域と、中耐圧MISFET形成領域1Bと、高耐圧MISFET形成領域1Cとは、フォトレジスト層PR1で覆われているため、これらの領域の半導体基板SUBにはイオン注入されない。このため、ステップS6では、低耐圧MISFET形成領域1Aのpチャネル型MISFET形成予定領域の半導体基板SUB(n型ウエルNW1)に対して、イオン注入IM2が行われることになる。
【0063】
ステップS10のイオン注入IM2の際、低耐圧MISFET形成領域1Aにおけるpチャネル型MISFET形成予定領域において、ゲート電極GE1とその側壁上のオフセットスペーサSPとが、マスク(イオン注入阻止マスク)として機能することができる。これにより、半導体基板SUB(n型ウエルNW1)におけるゲート電極GE1およびその側壁上のオフセットスペーサSPの直下の領域では、イオン注入IM2の際に不純物の注入が防止される。このため、低耐圧MISFET形成領域1Aにおけるpチャネル型MISFET形成予定領域においては、半導体基板SUB(n型ウエルNW1)におけるゲート電極GE1およびその側壁上のオフセットスペーサSPの両側の領域に、ホウ素(B)などのp型の不純物がイオン注入されることにより、エクステンション領域EX1が形成される。従って、低耐圧MISFET形成領域1Aにおいて、エクステンション領域EX1は、ゲート電極GE1の側壁上のオフセットスペーサSPの側面に整合(自己整合)して形成される。また、イオン注入IM2において、ゲート電極GE1(を構成するシリコン膜)にもp型の不純物がイオン注入され得る。
【0064】
エクステンション領域EX1は、後で形成するソース・ドレイン領域SD1と同じ導電型(ここではp型)の半導体領域であるが、ソース・ドレイン領域SD1よりも不純物濃度が低く、かつ、エクステンション領域EX1の深さ(接合深さ)は、後で形成されるソース・ドレイン領域SD1の深さ(接合深さ)よりも浅い。
【0065】
イオン注入IM2の後、上記フォトレジスト層PR2は除去される。
【0066】
なお、本実施の形態では、低耐圧のMISFETのエクステンション領域(EX1など)を形成するのに、ゲート電極(GE1など)の側壁上にオフセットスペーサを形成する場合について説明した。他の形態として、エクステンション領域(EX1など)を形成するのにゲート電極(GE1など)の側壁上にオフセットスペーサを形成する必要が無い場合は、ステップS7(絶縁膜IL4形成工程)、ステップS8(絶縁膜IL5形成工程)およびステップS9(絶縁膜IL5,IL4エッチバック工程)を省略することもできる。
【0067】
次に、
図16に示されるように、半導体基板SUBの主面上に、ゲート電極GE1,GE2,GE3およびその側壁上のオフセットスペーサSPを覆うように、絶縁膜IL6を形成する(
図2のステップS11)。
【0068】
絶縁膜IL6は、ゲート電極GE1、GE2,GE3の側壁上に形成すべき後述のサイドウォールスペーサSW2用の絶縁膜であり、好ましくは単層の絶縁膜である。絶縁膜IL6は、酸化シリコン膜または窒化シリコン膜であることがより好ましく、窒化シリコン膜であれば更に好ましい。絶縁膜IL6の形成膜厚(堆積膜厚)T3は、例えば30〜50nm程度とすることができる。絶縁膜IL6の形成膜厚T3は、後で形成すべきサイドウォールスペーサSW2a,SW2bの幅(T1a,T1b)を考慮して、設定する。絶縁膜IL6は、例えばCVD法などを用いて形成することができる。
【0069】
次に、
図17に示されるように、半導体基板SUBの主面上に、すなわち絶縁膜IL6上に、絶縁膜IL7を形成する(
図2のステップS12)。
【0070】
絶縁膜IL7は、ゲート電極GE1、GE2,GE3の側壁上に形成すべき後述のサイドウォールスペーサSW2の幅を制御するための絶縁膜である。絶縁膜IL7は、好ましくは単層の絶縁膜であり、絶縁膜IL6とは異なる材料からなる。絶縁膜IL6が窒化シリコン膜の場合は、絶縁膜IL7は酸化シリコン膜が好ましく、絶縁膜IL6が酸化シリコン膜の場合は、絶縁膜IL7は窒化シリコン膜が好ましい。ステップS12における絶縁膜IL7の形成膜厚T4は、ステップS11における絶縁膜IL6の形成膜厚T3よりも小さい(薄い)ことが、より好ましい。絶縁膜IL7の形成膜厚(堆積膜厚)T4は、例えば10〜30nm程度とすることができる。絶縁膜IL7の形成膜厚T4は、後で形成すべきサイドウォールスペーサSW2cの幅(T1c)とサイドウォールスペーサSW2a,SW2bの幅(T1a,T1b)との差を考慮して、設定する。絶縁膜IL7は、例えばCVD法などを用いて形成することができる。
【0071】
ステップS11,S12を行うことで、絶縁膜IL6と絶縁膜IL6上の絶縁膜IL7との積層膜が、半導体基板SUB上に、ゲート電極GE1,GE2,GE3およびその側壁上のオフセットスペーサSPを覆うように、形成された状態となる。
【0072】
次に、
図18に示されるように、異方性エッチング技術により、絶縁膜IL7をエッチバック(エッチング、ドライエッチング、異方性エッチング)することにより、絶縁膜IL6の側面(側壁)IL6a上に、側壁絶縁膜としてサイドウォールスペーサ(サイドウォール、側壁絶縁膜)SW1を形成する(
図2のステップS13)。
【0073】
ここで、絶縁膜IL6の側面IL6aは、絶縁膜IL6の表面のうち、ゲート電極GE1,GE2,GE3の側壁に対応する側面である。
【0074】
ステップS11で、絶縁膜IL6は、半導体基板SUB上にゲート電極GE1,GE2,GE3を覆うように形成されているので、絶縁膜IL6は、下地の凹凸形状を反映し、ゲート電極GE1,GE2,GE3に対してコンフォーマルに形成される。このため、絶縁膜IL6には、ゲート電極GE1,GE2,GE3の側壁に対応する側面(側壁)IL6aが形成される。すなわち、絶縁膜IL6における各ゲート電極GE1,GE2,GE3を覆う部分では、絶縁膜IL6の表面が凸状になり、その凸状部の側面が、ゲート電極GE1,GE2,GE3の側壁に対応する側面IL6aである。絶縁膜IL6の側面IL6aは、各ゲート電極GE1,GE2,GE3の側壁から、絶縁膜IL6の厚みの分だけ(オフセットスペーサSPを形成している場合は絶縁膜IL6の厚みとオフセットスペーサSPの厚みの合計の分だけ)、ゲート長方向に離れた位置に形成されている。絶縁膜IL6の側面IL6aは、対応するゲート電極GE1,GE2,GE3の側壁に対して、概ね平行であるが、側面IL6aの上部は丸みを帯びる場合もある。
【0075】
ステップS13を行うと、絶縁膜IL6の側面IL6a上に、サイドウォールスペーサSW1が形成されている状態となるが、これを別の見方をすると、ゲート電極GE1,GE2,GE3の側壁上に、絶縁膜IL6を介して(オフセットスペーサSPを形成している場合はオフセットスペーサSPおよび絶縁膜IL6を介して)、サイドウォールスペーサSW1が形成された状態となる。
【0076】
ステップS13では、絶縁膜IL6の側面IL6a上に、絶縁膜IL7をサイドウォールスペーサSW1として残し、他の領域の絶縁膜IL7を除去する。このため、ステップS13を行うと、絶縁膜IL6の側面IL6a上に絶縁膜IL7が局所的に残存してサイドウォールスペーサSW1となり、サイドウォールスペーサSW1で覆われた部分以外の絶縁膜IL6は露出された状態となる。
【0077】
なお、低耐圧MISFET形成領域1Aにおいて、ゲート電極GE1の側壁に対応する絶縁膜IL6の側面IL6a上に形成されたサイドウォールスペーサSW1を、以下ではサイドウォールスペーサSW1aと称することとする。また、中耐圧MISFET形成領域1Bにおいて、ゲート電極GE2の側壁に対応する絶縁膜IL6の側面IL6a上に形成されたサイドウォールスペーサSW1を、以下ではサイドウォールスペーサSW1bと称することとする。また、高耐圧MISFET形成領域1Cにおいて、ゲート電極GE3の側壁に対応する絶縁膜IL6の側面IL6a上に形成されたサイドウォールスペーサSW1を、以下ではサイドウォールスペーサSW1cと称することとする。
【0078】
ステップS13では、絶縁膜IL6のエッチング速度よりも絶縁膜IL7のエッチング速度が大きく(速く)なるような条件(エッチング条件)で、エッチバックを行うことが好ましい。換言すれば、ステップS13では、絶縁膜IL7のエッチング速度よりも絶縁膜IL6のエッチング速度が小さく(遅く)なるような条件(エッチング条件)で、エッチバックを行うことが好ましい。つまり、ステップS13では、絶縁膜IL7よりも絶縁膜IL6がエッチングされにくいようなエッチング条件で、エッチバックを行うことが好ましい。これにより、ステップS13では、絶縁膜IL6をエッチングストッパとして機能させることができる。このため、ステップS13において絶縁膜IL6がエッチングされるのを抑制または防止することができる。
【0079】
ステップS13では、絶縁膜IL6と絶縁膜IL7とのエッチング速度を異ならせる必要がある。また、後述のステップS14でも、絶縁膜IL6と絶縁膜IL7(サイドウォールスペーサSW1)とのエッチング速度を異ならせる必要がある。このため、絶縁膜IL6と絶縁膜IL7とは、互いに異なる材料で形成する。
【0080】
また、ステップS13および後述のステップS14では、絶縁膜IL7をエッチングできかつ絶縁膜IL6はできるだけエッチングされないようなエッチング条件を採用することが好ましい。このため、絶縁膜IL7は、絶縁膜IL6に対してエッチング選択比を高くすることができる材料を選択することが好ましい。この観点で、絶縁膜IL6および絶縁膜IL7の一方を酸化シリコン膜とし、絶縁膜IL6および絶縁膜IL7の他方を窒化シリコン膜とすることは好適である。
【0081】
ステップS13の絶縁膜IL7のエッチバック工程について、絶縁膜IL7が酸化シリコン膜で絶縁膜IL6が窒化シリコン膜の場合のエッチングガスの一例をあげると、次の通りである。すなわち、例えば、C
4F
8ガス、O
2ガスおよびArガスの混合ガスなどを用いることができる。
【0082】
次に、低耐圧MISFET形成領域1Aおよび中耐圧MISFET形成領域1BのサイドウォールスペーサSW1(すなわちサイドウォールスペーサSW1a,SW1b)を除去し、高耐圧MISFET形成領域1CのサイドウォールスペーサSW1(すなわちサイドウォールスペーサSW1c)を残す(
図2のステップS14)。
【0083】
ステップS14は、次のようにして行うことができる。すなわち、
図19に示されるように、まず、高耐圧MISFET形成領域1Cを覆い、かつ低耐圧MISFET形成領域1Aおよび中耐圧MISFET形成領域1Bを露出するフォトレジスト層(マスク層)PR3を、半導体基板SUB上に形成する。それから、低耐圧MISFET形成領域1Aおよび中耐圧MISFET形成領域1Bに形成されているサイドウォールスペーサSW1(すなわちサイドウォールスペーサSW1a,SW1b)を、エッチングにより除去する。その後、
図20に示されるように、フォトレジスト層PR3を除去する。このようにして、ステップS14が行われ、低耐圧MISFET形成領域1Aおよび中耐圧MISFET形成領域1BのサイドウォールスペーサSW1a,SW1bが除去される。
【0084】
ステップS14では、低耐圧MISFET形成領域1Aおよび中耐圧MISFET形成領域1BのサイドウォールスペーサSW1(SW1a,SW1b)が露出され、かつ、高耐圧MISFET形成領域1CのサイドウォールスペーサSW1(SW1c)が露出しない(すなわちフォトレジスト層PR3で覆われた)状態で、エッチングを行う。このため、ステップS14のエッチングでは、低耐圧MISFET形成領域1Aおよび中耐圧MISFET形成領域1BのサイドウォールスペーサSW1(SW1a,SW1b)は除去されるが、高耐圧MISFET形成領域1CのサイドウォールスペーサSW1(SW1c)は除去されずに残存する。
【0085】
ステップS14では、絶縁膜IL6のエッチング速度よりもサイドウォールスペーサSW1のエッチング速度が大きく(速く)なるような条件(エッチング条件)で、エッチングを行うことが好ましい。換言すれば、ステップS14では、サイドウォールスペーサSW1のエッチング速度よりも絶縁膜IL6のエッチング速度が小さく(遅く)なるような条件(エッチング条件)で、エッチングを行うことが好ましい。つまり、ステップS14では、サイドウォールスペーサSW1よりも絶縁膜IL6がエッチングされにくいようなエッチング条件で、エッチングを行うことが好ましい。これにより、ステップS14において絶縁膜IL6がエッチングされるのを抑制または防止することができる。
【0086】
また、ステップS14では、絶縁膜IL6がエッチングされるのをできるだけ抑制しながら、サイドウォールスペーサSW1a,SW1bを除去することが望ましい。これにより、低耐圧MISFET形成領域1Aおよび中耐圧MISFET形成領域1Bの絶縁膜IL6の厚みが、ステップS14のエッチングによって減少するのを抑制または防止でき、低耐圧MISFET形成領域1Aおよび中耐圧MISFET形成領域1Bにおける絶縁膜IL6の厚みと、高耐圧MISFET形成領域1Cにおける絶縁膜IL6の厚みとに差が生じるのを抑制または防止できる。この観点で、ステップS14のエッチングは、ウェットエッチングが好ましく、これにより、絶縁膜IL6がエッチングされるのをできるだけ抑制しながら、サイドウォールスペーサSW1a,SW1bを的確に除去できるようになる。また、酸化シリコン膜と窒化シリコン膜とは、ウェットエッチングを採用すれば、高選択比のエッチングを容易に実現できる。このため、絶縁膜IL6および絶縁膜IL7の一方を酸化シリコン膜とし、絶縁膜IL6および絶縁膜IL7の他方を窒化シリコン膜とし、ステップS14のエッチングにウェットエッチングを用いれば、より好ましい。絶縁膜IL6を窒化シリコン膜とし、絶縁膜IL7を酸化シリコン膜とした場合、ステップS14では、例えばフッ酸(緩衝フッ酸)を用いたウェットエッチングを好適に用いることができる。
【0087】
また、上記ステップS13は、サイドウォールスペーサSW1を形成できるように異方性のエッチングが必要なので、ドライエッチングを行う。また、後述のステップS15は、サイドウォールスペーサSW2を形成できるように異方性のエッチング(但しサイドエッチングも生じる)が必要なので、ドライエッチングを行う。一方、ステップS14は、露出している絶縁膜IL6のエッチングを抑制しながら、サイドウォールスペーサSW1a,SW1b全体を除去するため、等方性のエッチングが好ましく、ウェットエッチングが特に好ましい。
【0088】
次に、
図21および
図22に示されるように、サイドウォールスペーサSW1cおよび絶縁膜IL6をエッチバック(エッチング、ドライエッチング)することにより、ゲート電極GE1,GE2,GE3の側壁上に側壁絶縁膜としてサイドウォールスペーサ(サイドウォール、側壁絶縁膜)SW2を形成する(
図2のステップS15)。
【0089】
ステップS15のエッチバックは、異方性のエッチングを行うが、異方性のエッチングだけでなく、サイドエッチング(等方性のエッチング)も生じるように、エッチング条件を調整する。すなわち、ステップS15では、サイドウォールスペーサSW1cおよび絶縁膜IL6は、異方性エッチングされるとともに、サイドエッチングされるようにする。異方性エッチングとサイドエッチングとのバランスは、エッチングに用いるガスの種類と流量比などにより、制御することができる。
【0090】
このため、ステップS15では、サイドウォールスペーサSW1cおよび絶縁膜IL6が異方性エッチングされることで、半導体基板SUBの主面に略垂直な方向で見たときの絶縁膜IL6の厚みが減少する。それとともに、ステップS15では、サイドウォールスペーサSW1cおよび絶縁膜IL6がサイドエッチングされることで、ゲート電極(GE1,GE2,GE3)のゲート長方向に略平行な方向で見たときのサイドウォールスペーサSW1cおよび絶縁膜IL6の厚みも減少する。
【0091】
ステップS15では、サイドウォールスペーサSW1cが除去され、ゲート電極GE1,GE2,GE3の側壁上に絶縁膜IL6が残存してサイドウォールスペーサSW2となり、他の領域の絶縁膜IL6は除去される。これにより、ゲート電極GE1,GE2,GE3の側壁上に残存する絶縁膜IL6により、サイドウォールスペーサSW2が形成される。ステップS15では、ゲート電極GE1,GE2,GE3の側壁上に残存してサイドウォールスペーサSW2となる部分以外の絶縁膜IL6は除去される。
【0092】
また、ステップS15では、サイドウォールスペーサSW1cが残存しないように、サイドウォールスペーサSW1c全体が除去されることが好ましい。これにより、ステップS15の終了後、ゲート電極GE1,GE2,GE3の側壁上には、残存する絶縁膜IL6からなるサイドウォールスペーサSW2が形成されているが、サイドウォールスペーサSW1は形成されていない(残存していない)状態になる。すなわち、ステップS15の終了後にゲート電極GE1,GE2,GE3の側壁上に形成されているサイドウォールスペーサSW2は、絶縁膜IL6とサイドウォールスペーサSW1の残存部とで形成されるのではなく、絶縁膜IL6の単層で形成されることになる。
【0093】
ステップS15では、サイドウォールスペーサSW1c(絶縁膜IL7)と絶縁膜IL6との両方がエッチングされるような条件(エッチング条件)で、エッチバックを行う。ステップS15のエッチバック工程について、絶縁膜IL7(サイドウォールスペーサSW1c)が酸化シリコン膜で絶縁膜IL6が窒化シリコン膜の場合のエッチングガスの一例をあげると、次の通りである。すなわち、例えば、CF
4ガスおよびArガスの混合ガスなどを用いることができる。
【0094】
ここで、
図21は、ステップS15のエッチングの途中の段階が示されており、具体的には、ステップS15のエッチング工程中にサイドウォールスペーサSW1c全体が除去された直後の段階が示されている。また、
図21は、
図20の段階の後、ステップS15のエッチングを更に継続し、ステップS15のエッチングを終了した直後の段階が示されている。
【0095】
ステップS15のエッチング工程では、サイドウォールスペーサSW1c全体が除去された段階で、
図21のように、半導体基板SUB上に絶縁膜IL6が層状に残存していることが好ましい。そして、ステップS15のエッチング工程において、サイドウォールスペーサSW1c全体が除去された後、エッチングを継続して半導体基板SUB上に絶縁膜IL6が層状に残存しないようにすることが好ましい。すなわち、サイドウォールスペーサSW2となる部分以外の絶縁膜IL6が除去されるようにする。
【0096】
ゲート電極GE1,GE2,GE3の側壁上にオフセットスペーサSPを形成していた場合には、サイドウォールスペーサSW2は、ゲート電極GE1,GE2,GE3の側壁上に、オフセットスペーサSPを介して形成される。
【0097】
サイドウォールスペーサSW2のうち、ゲート電極GE1の側壁上に形成されたサイドウォールスペーサSW2を、以下ではサイドウォールスペーサSW2aと称することとする。また、サイドウォールスペーサSW2のうち、ゲート電極GE2の側壁上に形成されたサイドウォールスペーサSW2を、以下ではサイドウォールスペーサSW2bと称することとする。また、サイドウォールスペーサSW2のうち、ゲート電極GE3の側壁上に形成されたサイドウォールスペーサSW2を、以下ではサイドウォールスペーサSW2cと称することとする。
【0098】
サイドウォールスペーサSW2cの幅T1cは、サイドウォールスペーサSW2aの幅T1aおよびサイドウォールスペーサSW2bの幅T1bよりも大きい(すなわちT1c>T1aかつT1c>T1b)。換言すれば、サイドウォールスペーサSW2aの幅T1aはサイドウォールスペーサSW2cの幅T1cよりも小さく(T1a<T1c)、かつ、サイドウォールスペーサSW2bの幅T1bはサイドウォールスペーサSW2cの幅T1cよりも小さい(T1b<T1c)。サイドウォールスペーサSW2aの幅T1aとサイドウォールスペーサSW2bの幅T1bとは、ほぼ同じである(すなわちT1a=T1b)。
【0099】
ここで、サイドウォールスペーサSW2aの幅T1aは、サイドウォールスペーサSW2aの側面のうち、ゲート電極GE1の側壁に対向(隣接)する側の側面(サイドウォールスペーサSW2aの側面)と、それとは反対側の側面(サイドウォールスペーサSW2aの側面)との間の距離(ゲート電極GE1のゲート長方向に平行な方向で測った距離)に対応している。すなわち、サイドウォールスペーサSW2aの幅T1aは、ゲート電極GE1の側壁下部上において、ゲート電極GE1のゲート長方向に平行な方向に測ったときのサイドウォールスペーサSW2aの寸法(幅)に対応している。
【0100】
また、サイドウォールスペーサSW2bの幅T1bは、サイドウォールスペーサSW2bの側面のうち、ゲート電極GE2の側壁に対向(隣接)する側の側面(サイドウォールスペーサSW2bの側面)と、それとは反対側の側面(サイドウォールスペーサSW2bの側面)との間の距離(ゲート電極GE2のゲート長方向に平行な方向で測った距離)に対応している。すなわち、サイドウォールスペーサSW2bの幅T1bは、ゲート電極GE2の側壁下部上において、ゲート電極GE2のゲート長方向に平行な方向に測ったときのサイドウォールスペーサSW2bの寸法(幅)に対応している。
【0101】
また、サイドウォールスペーサSW2cの幅T1cは、サイドウォールスペーサSW2cの側面のうち、ゲート電極GE3の側壁に対向(隣接)する側の側面(サイドウォールスペーサSW2cの側面)と、それとは反対側の側面(サイドウォールスペーサSW2cの側面)との間の距離(ゲート電極GE3のゲート長方向に平行な方向で測った距離)に対応している。すなわち、サイドウォールスペーサSW2cの幅T1cは、ゲート電極GE3の側壁下部上において、ゲート電極GE3のゲート長方向に平行な方向に測ったときのサイドウォールスペーサSW2cの寸法(幅)に対応している。
【0102】
サイドウォールスペーサSW2aの幅T1aは、サイドウォールスペーサSW2aの厚み(ゲート電極GE1の側壁上での厚み)とみなすこともできる。また、サイドウォールスペーサSW2bの幅T1bは、サイドウォールスペーサSW2bの厚み(ゲート電極GE2の側壁上での厚み)とみなすこともできる。また、サイドウォールスペーサSW2cの幅T1cは、サイドウォールスペーサSW2cの厚み(ゲート電極GE2の側壁上での厚み)とみなすこともできる。
【0103】
サイドウォールスペーサSW2aの幅T1aおよびサイドウォールスペーサSW2bの幅T1bが、サイドウォールスペーサSW2cの幅T1cよりも小さくなる(すなわちT1a<T1cかつT1b<T1cとなる)理由について、以下に説明する。
【0104】
ステップS15のエッチングでは、異方性のエッチングだけでなく、サイドエッチングも生じる。しかしながら、高耐圧MISFET形成領域1Cでは、絶縁膜IL6の側面IL6a上にサイドウォールスペーサSW1cが形成されているため、サイドエッチングされるのは主としてサイドウォールスペーサSW1cであり、サイドウォールスペーサSW1c全体が除去されるまでは、絶縁膜IL6の側面IL6aはサイドエッチングされない。つまり、高耐圧MISFET形成領域1Cでは、ステップS15のエッチングの全期間のうち、サイドウォールスペーサSW1cが除去されて絶縁膜IL6の側面IL6aが露出してから後の期間だけ、絶縁膜IL6の側面IL6aがサイドエッチングされることになる。
【0105】
一方、低耐圧MISFET形成領域1Aおよび中耐圧MISFET形成領域1Bでは、絶縁膜IL6の側面IL6a上にサイドウォールスペーサSW1が形成されていない状態(既にサイドウォールスペーサSW1a,SW1bを除去した状態)でステップS15のエッチングを開始する。このため、低耐圧MISFET形成領域1Aおよび中耐圧MISFET形成領域1Bでは、ステップS15のエッチングの全期間で、絶縁膜IL6の側面IL6aがサイドエッチングされることになる。
【0106】
このため、高耐圧MISFET形成領域1Cに比べて、低耐圧MISFET形成領域1Aおよび中耐圧MISFET形成領域1Bの方が、絶縁膜IL6の側面IL6aがサイドエッチングされる時間が長くなる。絶縁膜IL6の側面IL6aがサイドエッチングされる場合、サイドエッチングされる時間が長くなるほど、サイドエッチング量(サイドエッチングされる厚み)は大きくなり、ゲート電極の側壁上での絶縁膜IL6の厚みは薄くなる。
【0107】
従って、ステップS15のエッチングを終了した段階で、高耐圧MISFET形成領域1Cにおいてゲート電極GE3の側壁上に残存する絶縁膜IL6の厚みよりも、低耐圧MISFET形成領域1Aおよび中耐圧MISFET形成領域1Bにおいてゲート電極GE1,GE2の側壁上に残存する絶縁膜IL6の厚みの方が小さく(薄く)なる。すなわち、サイドウォールスペーサSW2cの幅T1cよりも、サイドウォールスペーサSW2a,SW2bの幅T1a,T1bが小さくなる(T1c>T1aかつT1c>T1bとなる)のである。
【0108】
このように、本実施の形態では、高耐圧MISFET形成領域1Cでは絶縁膜IL6の側面IL6a上にサイドウォールスペーサSW1cを残し、低耐圧MISFET形成領域1Aおよび中耐圧MISFET形成領域1Bでは絶縁膜IL6の側面IL6a上からサイドウォールスペーサSW1a,SW1bを除去した状態で、ステップS15のエッチングを行う。高耐圧MISFET形成領域1CではサイドウォールスペーサSW1cが絶縁膜IL6のサイドエッチングの防止膜として機能できるため、低耐圧MISFET形成領域1Aおよび中耐圧MISFET形成領域1Bに比べて、高耐圧MISFET形成領域1Cの方が、絶縁膜IL6のサイドエッチング時間を短くして絶縁膜IL6のサイドエッチング量を少なくすることができる。この絶縁膜IL6のサイドエッチング量の違いにより、低耐圧MISFET形成領域1Aおよび中耐圧MISFET形成領域1Bよりも、高耐圧MISFET形成領域1Cの方が、ゲート電極の側壁上での絶縁膜IL6の厚みが薄くなり、サイドウォールスペーサSW2cの幅T1cを、サイドウォールスペーサSW2a,SW2bの幅T1a,T1bよりも大きくすることができる。
【0109】
このようにしてサイドウォールスペーサSW2(SW2a,SW2b,SW2c)が形成される。
【0110】
ここで、サイドウォールスペーサSW2は、LDD(Lightly doped Drain)構造における低不純物濃度のエクステンション領域(ここではエクステンション領域EX1、EX2,EX3)を形成した後にゲート電極(ここではゲート電極GE1,GE2,GE3)の側壁上に形成されたものである。そして、サイドウォールスペーサSW2は、LDD構造における高不純物濃度のソース・ドレイン領域(ここでは後述のソース・ドレイン領域SD1,SD2,SD3)を形成するためのイオン注入工程の前に形成されて、そのイオン注入工程で、イオン注入阻止マスクとして機能するものである。
【0111】
次に、
図23に示されるように、n
+型半導体領域(n型不純物拡散層)であるソース・ドレイン領域SD1,SD2,SD3を形成する(
図2のステップS16)。
【0112】
ソース・ドレイン領域SD1は、低耐圧MISFET形成領域1Aの半導体基板SUBに対して、ホウ素(B)などのp型の不純物をイオン注入する(このイオン注入をイオン注入IM3aと称する)ことにより形成することができる。なお、
図23では、ソース・ドレイン領域SD1を形成するためのイオン注入IM3aを矢印で模式的に示してある。
【0113】
イオン注入IM3aの際、低耐圧MISFET形成領域1Aにおいて、ゲート電極GE1とその側壁上のサイドウォールスペーサSW2aとは、マスク(イオン注入阻止マスク)として機能することができる。また、ゲート電極GE1とサイドウォールスペーサSW2aとの間にオフセットスペーサSPが形成されている場合は、そのオフセットスペーサSPもマスク(シオン注入阻止マスク)として機能することができる。これにより、半導体基板SUB(n型ウエルNW1)におけるゲート電極GE1およびその側壁上のサイドウォールスペーサSW2aの直下の領域では(オフセットスペーサSPが形成されている場合はそのオフセットスペーサSPの直下の領域も)、イオン注入IM3aの際に不純物の注入が防止される。
【0114】
このため、低耐圧MISFET形成領域1Aにおいては、半導体基板SUB(n型ウエルNW1)におけるゲート電極GE1およびその側壁上のサイドウォールスペーサSW2aの両側の領域に、ホウ素(B)などのp型の不純物がイオン注入されることにより、ソース・ドレイン領域SD1が形成される。従って、低耐圧MISFET形成領域1Aにおいて、ソース・ドレイン領域SD1は、ゲート電極GE1の側壁上のサイドウォールスペーサSW2aの側面に整合(自己整合)して形成される。また、イオン注入IM3aにおいて、ゲート電極GE1(を構成するシリコン膜)にもp型の不純物がイオン注入され得る。
【0115】
ソース・ドレイン領域SD1は、エクステンション領域EX1と同じ導電型(ここではp型)の半導体領域であるが、エクステンション領域EX1よりも不純物濃度(p型不純物濃度)が高く、かつ、ソース・ドレイン領域SD1の深さ(接合深さ)は、エクステンション領域EX1の深さ(接合深さ)よりも深い。
【0116】
これにより、低耐圧MISFET形成領域1Aにおいて、pチャネル型のMISFETQ1のソースまたはドレインとして機能するp型の半導体領域(不純物拡散層)が、ソース・ドレイン領域SD1およびエクステンション領域EX1により形成される。換言すれば、エクステンション領域EX1と、それよりも高不純物濃度のソース・ドレイン領域SD1とは、MISFETQ1のソースまたはドレイン用の半導体領域(p型の半導体領域)として機能する。従って、MISFETQ1のソース領域およびドレイン領域は、LDD構造を有している。上述のように、エクステンション領域EX1は、ゲート電極GEの側壁上のオフセットスペーサSPに対して自己整合的に形成され、ソース・ドレイン領域SD1は、ゲート電極GE1の側壁上にオフセットスペーサSPを介して形成されたサイドウォールスペーサSW2aに対して自己整合的に形成される。
【0117】
ソース・ドレイン領域SD2は、中耐圧MISFET形成領域1Bの半導体基板SUBに対して、ホウ素(B)などのp型の不純物をイオン注入する(このイオン注入をイオン注入IM3bと称する)ことにより形成することができる。なお、
図23では、ソース・ドレイン領域SD2を形成するためのイオン注入IM3bを矢印で模式的に示してある。
【0118】
イオン注入IM3bの際、中耐圧MISFET形成領域1Bにおいて、ゲート電極GE2とその側壁上のサイドウォールスペーサSW2bとは、マスク(イオン注入阻止マスク)として機能することができる。また、ゲート電極GE2とサイドウォールスペーサSW2bとの間にオフセットスペーサSPが形成されている場合は、そのオフセットスペーサSPもマスク(シオン注入阻止マスク)として機能することができる。これにより、半導体基板SUB(n型ウエルNW2)におけるゲート電極GE2およびその側壁上のサイドウォールスペーサSW2bの直下の領域では(オフセットスペーサSPが形成されている場合はそのオフセットスペーサSPの直下の領域も)、イオン注入IM3bの際に不純物の注入が防止される。
【0119】
このため、中耐圧MISFET形成領域1Bにおいては、半導体基板SUB(n型ウエルNW2)におけるゲート電極GE2およびその側壁上のサイドウォールスペーサSW2bの両側の領域に、ホウ素(B)などのp型の不純物がイオン注入されることにより、ソース・ドレイン領域SD2が形成される。従って、中耐圧MISFET形成領域1Bにおいて、ソース・ドレイン領域SD2は、ゲート電極GE2の側壁上のサイドウォールスペーサSW2bの側面に整合(自己整合)して形成される。また、イオン注入IM3bにおいて、ゲート電極GE2(を構成するシリコン膜)にもp型の不純物がイオン注入され得る。
【0120】
ソース・ドレイン領域SD2は、エクステンション領域EX2と同じ導電型(ここではp型)の半導体領域であるが、エクステンション領域EX2よりも不純物濃度(p型不純物濃度)が高く、かつ、ソース・ドレイン領域SD2の深さ(接合深さ)は、エクステンション領域EX2の深さ(接合深さ)よりも深い。
【0121】
これにより、中耐圧MISFET形成領域1Bにおいて、pチャネル型のMISFETQ2のソースまたはドレインとして機能するp型の半導体領域(不純物拡散層)が、ソース・ドレイン領域SD2およびエクステンション領域EX2により形成される。換言すれば、エクステンション領域EX2と、それよりも高不純物濃度のソース・ドレイン領域SD2とは、MISFETQ2のソースまたはドレイン用の半導体領域(p型の半導体領域)として機能する。従って、MISFETQ2のソース領域およびドレイン領域は、LDD(Lightly doped Drain)構造を有している。上述のように、エクステンション領域EX2は、ゲート電極GE2に対して自己整合的に形成され、ソース・ドレイン領域SD2は、ゲート電極GE2の側壁上に形成されたサイドウォールスペーサSW2bに対して自己整合的に形成される。
【0122】
ソース・ドレイン領域SD3は、高耐圧MISFET形成領域1Cの半導体基板SUBに対して、ホウ素(B)などのp型の不純物をイオン注入する(このイオン注入をイオン注入IM3cと称する)ことにより形成することができる。なお、
図23では、ソース・ドレイン領域SD3を形成するためのイオン注入IM3cを矢印で模式的に示してある。
【0123】
イオン注入IM3cの際、高耐圧MISFET形成領域1Cにおいて、ゲート電極GE3とその側壁上のサイドウォールスペーサSW2cとは、マスク(イオン注入阻止マスク)として機能することができる。また、ゲート電極GE3とサイドウォールスペーサSW2cとの間にオフセットスペーサSPが形成されている場合は、そのオフセットスペーサSPもマスク(シオン注入阻止マスク)として機能することができる。これにより、半導体基板SUB(n型ウエルNW3)におけるゲート電極GE3およびその側壁上のサイドウォールスペーサSW2cの直下の領域では(オフセットスペーサSPが形成されている場合はそのオフセットスペーサSPの直下の領域も)、イオン注入IM3cの際に不純物の注入が防止される。
【0124】
このため、高耐圧MISFET形成領域1Cにおいては、半導体基板SUB(n型ウエルNW3)におけるゲート電極GE3およびその側壁上のサイドウォールスペーサSW2cの両側の領域に、ホウ素(B)などのp型の不純物がイオン注入されることにより、ソース・ドレイン領域SD3が形成される。従って、高耐圧MISFET形成領域1Cにおいて、ソース・ドレイン領域SD3は、ゲート電極GE3の側壁上のサイドウォールスペーサSW2cの側面に整合(自己整合)して形成される。また、イオン注入IM3cにおいて、ゲート電極GE3(を構成するシリコン膜)にもp型の不純物がイオン注入され得る。
【0125】
ソース・ドレイン領域SD3は、エクステンション領域EX3と同じ導電型(ここではp型)の半導体領域であるが、エクステンション領域EX3よりも不純物濃度(p型不純物濃度)が高く、かつ、ソース・ドレイン領域SD3の深さ(接合深さ)は、エクステンション領域EX3の深さ(接合深さ)よりも深い。
【0126】
これにより、高耐圧MISFET形成領域1Cにおいて、pチャネル型のMISFETQ3のソースまたはドレインとして機能するp型の半導体領域(不純物拡散層)が、ソース・ドレイン領域SD3およびエクステンション領域EX3により形成される。換言すれば、エクステンション領域EX3と、それよりも高不純物濃度のソース・ドレイン領域SD3とは、MISFETQ3のソースまたはドレイン用の半導体領域(p型の半導体領域)として機能する。従って、MISFETQ3のソース領域およびドレイン領域は、LDD(Lightly doped Drain)構造を有している。上述のように、エクステンション領域EX3は、ゲート電極GE3に対して自己整合的に形成され、ソース・ドレイン領域SD3は、ゲート電極GE3の側壁上に形成されたサイドウォールスペーサSW2cに対して自己整合的に形成される。
【0127】
ソース・ドレイン領域SD1を形成するためのイオン注入IM3aとソース・ドレイン領域SD2を形成するためのイオン注入IM3bとソース・ドレイン領域SD3を形成するためのイオン注入IM3cとは、同じイオン注入工程で行ってもよいし、あるいは、別々のイオン注入工程で行うこともできる。あるいは、イオン注入IM3aとイオン注入IM3bとイオン注入IM3cとのうち、いずれか2つを同じイオン注入工程で行い、残りの1つを他のイオン注入工程で行うことも可能である。
【0128】
イオン注入IM3aとイオン注入IM3bとイオン注入IM3cとを同じイオン注入工程で行う場合は、低耐圧MISFET形成領域1Aと中耐圧MISFET形成領域1Bと高耐圧MISFET形成領域1Cの半導体基板SUBに対してイオン注入を行い、このイオン注入によりソース・ドレイン領域SD1とソース・ドレイン領域SD2とソース・ドレイン領域SD3とを一括して形成する。
【0129】
イオン注入IM3aとイオン注入IM3bとイオン注入IM3cとを別々のイオン注入工程で行う場合は、低耐圧MISFET形成領域1Aと中耐圧MISFET形成領域1Bと高耐圧MISFET形成領域1Cのうち、イオン注入によりソース・ドレイン領域を形成する対象の領域を露出し、他の領域を覆うようなフォトレジスト層を形成した状態で、そのイオン注入を行うようにする。例えば、中耐圧MISFET形成領域1Bと高耐圧MISFET形成領域1Cとを覆いかつ低耐圧MISFET形成領域1Aを露出するフォトレジスト層を形成した状態で、低耐圧MISFET形成領域1Aの半導体基板SUBに対してイオン注入IM3aを行って、ソース・ドレイン領域SD1を形成する。また、低耐圧MISFET形成領域1Aと高耐圧MISFET形成領域1Cとを覆いかつ中耐圧MISFET形成領域1Bを露出するフォトレジスト層を形成した状態で、中耐圧MISFET形成領域1Bの半導体基板SUBに対してイオン注入IM3b行って、ソース・ドレイン領域SD2を形成する。また、低耐圧MISFET形成領域1Aと中耐圧MISFET形成領域1Bとを覆いかつ高耐圧MISFET形成領域1Cを露出するフォトレジスト層を形成した状態で、高耐圧MISFET形成領域1Cの半導体基板SUBに対してイオン注入IM3c行って、ソース・ドレイン領域SD3を形成する。
【0130】
また、イオン注入IM3aとイオン注入IM3bとイオン注入IM3cとのうち、イオン注入IM3bとイオン注入IM3cとを同じイオン注入工程で行い、イオン注入IM3aを他のイオン注入工程で行う場合であれば、例えば次のようにすればよい。すなわち、中耐圧MISFET形成領域1Bと高耐圧MISFET形成領域1Cとを覆いかつ低耐圧MISFET形成領域1Aを露出するフォトレジスト層を形成した状態で、低耐圧MISFET形成領域1Aの半導体基板SUBに対してイオン注入IM3aを行って、ソース・ドレイン領域SD1を形成する。そして、低耐圧MISFET形成領域1Aを覆いかつ中耐圧MISFET形成領域1Bと高耐圧MISFET形成領域1Cとを露出するフォトレジスト層を形成した状態で、中耐圧MISFET形成領域1Bおよび高耐圧MISFET形成領域1Cの半導体基板SUBに対してイオン注入を行い、このイオン注入によりソース・ドレイン領域SD2,SD3を一括して形成する。
【0131】
次に、これまでのイオン注入で導入した不純物の活性化のためのアニール処理(熱処理)を行う(
図2のステップS17)。
【0132】
このようにして、半導体基板SUBの低耐圧MISFET形成領域1AにMISFETQ1が形成され、中耐圧MISFET形成領域1BにMISFETQ2が形成され、高耐圧MISFET形成領域1CにMISFETQ3が形成される。
【0133】
低耐圧MISFET形成領域1Aにおいて、半導体基板SUBにおけるゲート電極GE1の両側(ゲート長方向の両側)に、MISFETQ1のソースまたはドレイン用の半導体領域が形成され、このソースまたはドレイン用の半導体領域は、エクステンション領域EX1と、それよりも高不純物濃度のソース・ドレイン領域SD1とにより形成される。すなわち、低耐圧MISFET形成領域1Aの半導体基板SUBにおいて、チャネル形成領域を挟んで互いに離間する領域に、(一対の)エクステンション領域EX1が形成され、エクステンション領域EX1の外側(チャネル形成領域から離れる側)に、エクステンション領域EX1よりも不純物濃度が高いソース・ドレイン領域SD1が形成された状態となる。従って、エクステンション領域EX1は、チャネル形成領域に隣接し、ソース・ドレイン領域SD1は、チャネル形成領域からエクステンション領域EX1の分だけ離間しかつエクステンション領域EX1に接する位置に形成された状態となる。ゲート電極GE1の下部の半導体基板SUBが、MISFETQ1のチャネルが形成される領域(チャネル形成領域)となる。ゲート電極GE1とゲート電極GE1の下のゲート絶縁膜GI1とが、MISFETQ1のゲート電極およびゲート絶縁膜としてそれぞれ機能する。
【0134】
中耐圧MISFET形成領域1Bにおいて、半導体基板SUBにおけるゲート電極GE2の両側(ゲート長方向の両側)に、MISFETQ2のソースまたはドレイン用の半導体領域が形成され、このソースまたはドレイン用の半導体領域は、エクステンション領域EX2と、それよりも高不純物濃度のソース・ドレイン領域SD2とにより形成される。すなわち、中耐圧MISFET形成領域1Bの半導体基板SUBにおいて、チャネル形成領域を挟んで互いに離間する領域に、(一対の)エクステンション領域EX2が形成され、エクステンション領域EX2の外側(チャネル形成領域から離れる側)に、エクステンション領域EX2よりも不純物濃度が高いソース・ドレイン領域SD2が形成された状態となる。従って、エクステンション領域EX2は、チャネル形成領域に隣接し、ソース・ドレイン領域SD2は、チャネル形成領域からエクステンション領域EX2の分だけ離間しかつエクステンション領域EX2に接する位置に形成された状態となる。ゲート電極GE2の下部の半導体基板SUBが、MISFETQ2のチャネルが形成される領域(チャネル形成領域)となる。ゲート電極GE2とゲート電極GE2の下のゲート絶縁膜GI2とが、MISFETQ2のゲート電極およびゲート絶縁膜としてそれぞれ機能する。
【0135】
高耐圧MISFET形成領域1Cにおいて、半導体基板SUBにおけるゲート電極GE3の両側(ゲート長方向の両側)に、MISFETQ3のソースまたはドレイン用の半導体領域が形成され、このソースまたはドレイン用の半導体領域は、エクステンション領域EX3と、それよりも高不純物濃度のソース・ドレイン領域SD3とにより形成される。すなわち、高耐圧MISFET形成領域1Cの半導体基板SUBにおいて、チャネル形成領域を挟んで互いに離間する領域に、(一対の)エクステンション領域EX3が形成され、エクステンション領域EX3の外側(チャネル形成領域から離れる側)に、エクステンション領域EX3よりも不純物濃度が高いソース・ドレイン領域SD3が形成された状態となる。従って、エクステンション領域EX3は、チャネル形成領域に隣接し、ソース・ドレイン領域SD3は、チャネル形成領域からエクステンション領域EX3の分だけ離間しかつエクステンション領域EX3に接する位置に形成された状態となる。ゲート電極GE3の下部の半導体基板SUBが、MISFETQ3のチャネルが形成される領域(チャネル形成領域)となる。ゲート電極GE3とゲート電極GE3の下のゲート絶縁膜GI3とが、MISFETQ3のゲート電極およびゲート絶縁膜としてそれぞれ機能する。
【0136】
上述のように、サイドウォールスペーサSW2a,SW2bの幅T1a,T1bは、サイドウォールスペーサSW2cの幅T1cよりも小さい(T1a<T1cかつT1b<T1c)。これを反映して、低耐圧MISFET形成領域1Aにおけるソース・ドレイン領域SD1とチャネル形成領域(ゲート電極GE1の直下のチャネル形成領域)との間の距離(間隔)は、高耐圧MISFET形成領域1Cにおけるソース・ドレイン領域SD3とチャネル形成領域(ゲート電極GE3の直下のチャネル形成領域)との間の距離(間隔)よりも小さくなる。従って、ゲート電極GE1のゲート長方向で測ったときのエクステンション領域EX1の幅(寸法)は、ゲート電極GE3のゲート長方向で測ったときのエクステンション領域EX3の幅(寸法)よりも小さくなる。また、中耐圧MISFET形成領域1Bにおけるソース・ドレイン領域SD2とチャネル形成領域(ゲート電極GE2の直下のチャネル形成領域)との間の距離(間隔)は、高耐圧MISFET形成領域1Cにおけるソース・ドレイン領域SD3とチャネル形成領域(ゲート電極GE3の直下のチャネル形成領域)との間の距離(間隔)よりも小さくなる。従って、ゲート電極GE2のゲート長方向で測ったときのエクステンション領域EX2の幅(寸法)は、ゲート電極GE3のゲート長方向で測ったときのエクステンション領域EX3の幅(寸法)よりも小さくなる。
【0137】
次に、
図24に示されるように、サリサイド(Salicide:Self Aligned Silicide)技術により、ゲート電極GE1,GE2,GE3およびソース・ドレイン領域SD1,SD2,SD3の表面(表層部分、上層部分)に、低抵抗の金属シリサイド層MSを形成する(
図2のステップS18)。
【0138】
例えば、ゲート電極GE1,GE2,GE3およびソース・ドレイン領域SD1,SD2,SD3の表面(上面)を露出させてから、例えばコバルト膜、ニッケル膜またはニッケル白金合金膜のような金属膜を、半導体基板SUB上にゲート電極GE1,GE2,GE3およびサイドウォールスペーサSW2a,SW2b,SW2cを覆うように形成する。それから、熱処理を行うことにより、ゲート電極GE1,GE2,GE3およびソース・ドレイン領域SD1,SD2,SD3の上層部分をその金属膜と反応させる。これにより、ゲート電極GE1,GE2,GE3およびソース・ドレイン領域SD1,SD2,SD3の表面(表層部分、上層部分)に、それぞれ金属シリサイド層MSを形成することができる。その後、未反応の金属膜は除去し、
図24はこの段階が示されている。金属シリサイド層MSを形成することにより、ソース・ドレイン領域SD1,SD2,SD3の拡散抵抗やコンタクト抵抗などを低抵抗化することができる。
【0139】
次に、
図25に示されるように、半導体基板SUBの主面上に絶縁膜(層間絶縁膜)IL8を形成する。すなわち、ゲート電極GE1,GE2,GE3およびサイドウォールスペーサSW2a,SW2b,SW2cを覆うように、金属シリサイド層MS上を含む半導体基板SUB上に絶縁膜IL8を形成する。絶縁膜IL8は、例えば、酸化シリコン膜の単体膜や、あるいは、窒化シリコン膜とそれよりも厚い酸化シリコン膜との積層膜(窒化シリコン膜が下層側で酸化シリコン膜が上層側)などからなる。その後、絶縁膜IL8の表面(上面)をCMP法により研磨するなどして、絶縁膜IL8の上面を平坦化する。下地段差に起因して絶縁膜IL8の表面に凹凸形状が形成されていても、絶縁膜IL8の表面をCMP法により研磨することにより、その表面が平坦化された層間絶縁膜を得ることができる。
【0140】
次に、
図26に示されるように、絶縁膜IL8上に形成したフォトレジスト層(図示せず)をエッチングマスクとして用いて、絶縁膜IL8をドライエッチングすることにより、絶縁膜IL8にコンタクトホール(貫通孔、孔)CTを形成する。コンタクトホールCTの底部では、半導体基板SUBの主面の一部、例えばソース・ドレイン領域SD1,SD2,SD3の表面上の金属シリサイド層MSの一部や、ゲート電極GE1,GE2,GE3の表面上の金属シリサイド層MSの一部などが露出される。
【0141】
次に、コンタクトホールCT内に、タングステン(W)などからなる導電性のプラグ(接続用導体部)PGを形成する。プラグPGを形成するには、例えば、コンタクトホールCTの内部(底部および側壁上)を含む絶縁膜IL8上に、スパッタリング法またはプラズマCVD法などによりバリア導体膜(例えばチタン膜、窒化チタン膜、あるいはそれらの積層膜)を形成する。それから、タングステン膜などからなる主導体膜をCVD法などによってバリア導体膜上にコンタクトホールCTを埋めるように形成する。その後、コンタクトホールCTの外部(絶縁膜IL8上)の不要な主導体膜およびバリア導体膜をCMP法またはエッチバック法などによって除去する。これにより、絶縁膜IL8の上面が露出し、絶縁膜IL8のコンタクトホールCT内に埋め込まれて残存するバリア導体膜および主導体膜により、プラグPGが形成される。
図26では、図面の簡略化のために、プラグPGは、主導体膜とバリア導体膜を一体化して示してある。プラグPGは、その底部で、ゲート電極GE1,GE2,GE3またはソース・ドレイン領域SD1,SD2,SD3の表面上の金属シリサイド層MSなどと接して、電気的に接続される。
【0142】
次に、
図27に示されるように、プラグPGが埋め込まれた絶縁膜IL8上に、配線形成用の絶縁膜IL9を形成する。絶縁膜IL9は、単体膜(単体絶縁膜)または積層膜(積層絶縁膜)とすることができる。
【0143】
次に、シングルダマシン法により第1層目の配線である配線M1を形成する。具体的には、例えば次のようにして配線M1を形成することができる。まず、フォトレジスト層(図示せず)をマスクとしたドライエッチングによって絶縁膜IL9の所定の領域に配線溝を形成した後、配線溝の底部および側壁上を含む絶縁膜IL9上にバリア導体膜(例えば窒化チタン膜、タンタル膜または窒化タンタル膜など)を形成する。続いて、CVD法またはスパッタリング法などによりバリア導体膜上に銅のシード層を形成し、さらに電解めっき法などを用いてシード層上に銅めっき膜を形成して、銅めっき膜により配線溝の内部を埋め込む。それから、配線溝以外の領域の主導体膜(銅めっき膜およびシード層)とバリア導体膜をCMP法により除去して、配線溝に埋め込まれ銅を主導電材料とする第1層目の配線M1を形成する。なお、図面の簡略化のために、
図27では、配線M1を構成する銅めっき膜、シード層およびバリアメタル膜を一体化して示してある。
【0144】
配線M1は、プラグPGに接続され、プラグPGを介して、ソース・ドレイン領域SD1,SD2,SD3またはゲート電極GE1,GE2,GE3などと電気的に接続される。
【0145】
その後、デュアルダマシン法により2層目の配線を形成するが、ここでは図示およびその説明は省略する。また、配線M1および2層目以降の配線は、ダマシン配線に限定されず、配線用の導電体膜をパターニングして形成することもでき、例えばタングステン配線またはアルミニウム配線などとすることもできる。
【0146】
以上のようにして、本実施の形態の半導体装置が製造される。
【0147】
<検討例の半導体装置の製造工程について>
次に、本発明者が検討した検討例について説明する。
【0148】
図28〜
図31は、第1検討例の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。第1検討例では、本実施の形態の半導体基板SUBに相当する半導体基板SUB101は、低耐圧のMISFETが形成される領域である低耐圧MISFET形成領域101Aと、高耐圧のMISFETが形成される領域である高耐圧MISFET形成領域101Cとを有している。
【0149】
第1検討例では、
図28に示されるように、半導体基板SUB101に上記素子分離領域STに相当する素子分離領域ST101が形成され、低耐圧MISFET形成領域101Aの半導体基板SUB101にn型ウエルNW101が形成され、高耐圧MISFET形成領域101Cの半導体基板SUB101にn型ウエルNW103が形成される。それから、低耐圧MISFET形成領域101Aの半導体基板SUB101(n型ウエルNW101)上にゲート絶縁膜GI101を介してゲート電極GE101が形成され、高耐圧MISFET形成領域101Cの半導体基板SUB101(n型ウエルNW103)上にゲート絶縁膜GI103を介してゲート電極GE103が形成される。ゲート絶縁膜GI103の厚みはゲート絶縁膜GI101の厚みよりも厚い。それから、低耐圧MISFET形成領域101Aの半導体基板SUB101にp
−型のエクステンション領域EX101を、高耐圧MISFET形成領域101Cの半導体基板SUB101にp
−型のエクステンション領域EX103を、それぞれイオン注入により形成する。
【0150】
このようにして
図28の構造を得た後、ゲート電極GE101,GE103の側壁上にサイドウォールスペーサSW102a,SW102cを形成する。サイドウォールスペーサSW102a,SW102cは、次のようにして形成する。
【0151】
まず、
図29に示されるように、半導体基板SUB101上に、ゲート電極GE101,GE103を覆うように、絶縁膜IL106を形成する。それから、
図30に示されるように、異方性エッチング技術により、絶縁膜IL106をエッチバックすることによって、ゲート電極GE101,GE103の側壁上に絶縁膜IL106を残し、他の領域の絶縁膜IL106を除去する。これにより、ゲート電極GE101,GE103の側壁上に残存する絶縁膜IL106からなるサイドウォールスペーサSW102a,SW102cが形成される。サイドウォールスペーサSW102aは、ゲート電極GE101の側壁上に形成され、サイドウォールスペーサSW102cは、ゲート電極GE103の側壁上に形成される。
【0152】
このようにしてサイドウォールスペーサSW102a,SW102cを形成した後、
図31に示されるように、イオン注入によりソース・ドレイン領域SD101,SD103を形成する。ソース・ドレイン領域SD101は、エクステンション領域EX101と同じ導電型(ここではp型)でかつエクステンション領域EX101よりも高不純物濃度の半導体領域であり、ソース・ドレイン領域SD103は、エクステンション領域EX103と同じ導電型(ここではp型)でかつエクステンション領域EX103よりも高不純物濃度の半導体領域である。
【0153】
ソース・ドレイン領域SD101を形成するためのイオン注入の際、低耐圧MISFET形成領域101Aにおいて、ゲート電極GE101とその側壁上のサイドウォールスペーサSW102aとは、マスク(イオン注入阻止マスク)として機能することができる。従って、低耐圧MISFET形成領域101Aにおいて、ソース・ドレイン領域SD101は、ゲート電極GE101の側壁上のサイドウォールスペーサSW102aの側面に整合(自己整合)して形成される。また、ソース・ドレイン領域SD103を形成するためのイオン注入の際、高耐圧MISFET形成領域101Cにおいて、ゲート電極GE103とその側壁上のサイドウォールスペーサSW102cとは、マスク(イオン注入阻止マスク)として機能することができる。従って、高耐圧MISFET形成領域101Cにおいて、ソース・ドレイン領域SD103は、ゲート電極GE103の側壁上のサイドウォールスペーサSW102cの側面に整合(自己整合)して形成される。
【0154】
その後、サリサイド工程により、上記金属シリサイド層MSに相当するものが形成され、更に、上記絶縁膜IL8に相当するもの、上記コンタクトホールCTに相当するもの、および上記プラグPGに相当するものが形成されるが、ここでは図示およびその説明は省略する。
【0155】
図28〜
図31に示される第1検討例では、低耐圧MISFET形成領域101Aのゲート電極GE101の側壁上に形成されたサイドウォールスペーサSW102aの幅T101aと、高耐圧MISFET形成領域101Cのゲート電極GE103の側壁上に形成されたサイドウォールスペーサSW102cの幅T101cとは、同じである(すなわちT101a=T101c)。
【0156】
第1検討例では、低耐圧MISFET形成領域101Aと高耐圧MISFET形成領域101Cとにほぼ同じ厚みで絶縁膜IL106を形成し、この絶縁膜IL106を、低耐圧MISFET形成領域101Aと高耐圧MISFET形成領域101Cとで同じエッチング状態となるように、エッチバックする。このため、サイドウォールスペーサSW102cの幅T101cとサイドウォールスペーサSW102aの幅T101aとが、同じ(すなわちT101c=T101a)になる。
【0157】
しかしながら、半導体装置の性能をできるだけ向上させる上では、ゲート電極の側壁上に形成するサイドウォールスペーサの幅を、MISFETによって異ならせることが求められる場合がある。
【0158】
例えば、低耐圧のMISFETは電流駆動力を高めることが求められ、高耐圧のMISFETは耐圧を高めることが求められる。このため、高耐圧のMISFETのソース・ドレイン領域SD103とチャネル形成領域との間の距離はある程度の大きさを確保し、一方、低耐圧のMISFETのソース・ドレイン領域SD101とチャネル形成領域との間の距離は、あまり大きくし過ぎないことが望ましい。従って、高耐圧のMISFETのソース・ドレイン領域SD103とチャネル形成領域との間の距離は、低耐圧のMISFETのソース・ドレイン領域SD101とチャネル形成領域との間の距離よりも大きくできれば、半導体装置の総合的な性能を向上することができるため、好適である。
【0159】
しかしながら、サイドウォールスペーサSW102cの幅T101cとサイドウォールスペーサSW102aの幅T101aとを同じ(T101c=T101a)にした場合には、低耐圧のMISFETと高耐圧のMISFETとで、ソース・ドレイン領域(SD101、SD103)とチャネル形成領域との間の距離が同じになってしまう。
【0160】
そこで、低耐圧MISFET形成領域101Aと高耐圧MISFET形成領域101Cとで、ゲート電極の側壁上に形成されるサイドウォールスペーサの幅を異ならせる技術を検討した。
図32〜
図37は、第2検討例の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【0161】
第2検討例においても、第1検討例と同様にして、上記
図28の構造を得る。それから、第2検討例では、
図32〜
図36のようにして、ゲート電極GE101,GE103の側壁上にサイドウォールスペーサSW202a,SW202cを形成する。サイドウォールスペーサSW202a,SW202c形成工程について、以下、具体的に説明する。
【0162】
まず、
図32に示されるように、半導体基板SUB101上に、ゲート電極GE101,GE103を覆うように、絶縁膜IL206を形成する。それから、
図33に示されるように、高耐圧MISFET形成領域101Cを覆いかつ低耐圧MISFET形成領域101Aを露出するようなフォトレジスト層PR201を絶縁膜IL206上に形成する。
【0163】
それから、
図34に示されるように、フォトレジスト層PR201をマスク(エッチングマスク)として絶縁膜IL206をエッチングする。このとき、絶縁膜IL206の全厚みをエッチングするのではなく、絶縁膜IL206の厚みの途中までエッチングする。これにより、高耐圧MISFET形成領域101Cにおける絶縁膜IL206はエッチングされず、低耐圧MISFET形成領域101Aにおける絶縁膜IL206は、厚みの途中までエッチングされることで、低耐圧MISFET形成領域101Aにおける絶縁膜IL206の厚みT201aが、高耐圧MISFET形成領域101Cにおける絶縁膜IL206の厚みT201cよりも薄くなる。すなわち、T201a<T201cとなる。なお、厚みT201a,T201cは
図35に示してある。
【0164】
その後、
図35に示されるようにフォトレジスト層PR201を除去してから、
図36に示されるように、絶縁膜IL206をエッチバックすることにより、ゲート電極GE101,GE103の側壁上に絶縁膜IL206を残し、他の領域の絶縁膜IL206を除去する。これにより、ゲート電極GE101,GE103の側壁上に残存する絶縁膜IL206からなるサイドウォールスペーサSW202a,SW202cが形成される。サイドウォールスペーサSW202aは、ゲート電極GE101の側壁上に形成され、サイドウォールスペーサSW202cは、ゲート電極GE103の側壁上に形成される。
【0165】
このようにしてサイドウォールスペーサSW202a,SW202cを形成した後は、第2検討例の製造工程も、上記第1検討例の製造工程と同様である。すなわち、第2検討例においても、第1検討例と同様に、
図37に示されるように、イオン注入によりソース・ドレイン領域SD101,SD103を形成する。
【0166】
図32〜
図37に示される第2検討例では、低耐圧MISFET形成領域101Aと高耐圧MISFET形成領域101Cとにほぼ同じ厚みで絶縁膜IL206を形成してから(
図32)、低耐圧MISFET形成領域101Aにおける絶縁膜IL206の厚みT201aを高耐圧MISFET形成領域101Cにおける絶縁膜IL106の厚みT201cよりも薄くする(
図34)。その後、絶縁膜IL206をエッチバックしてサイドウォールスペーサSW202a,SW202cを形成することで、絶縁膜IL206の厚みT201a,T201cの違いが、サイドウォールスペーサSW202a,SW202cの幅T202a,T202cに反映される。このため、低耐圧MISFET形成領域101AのサイドウォールスペーサSW202aの幅T202aを、高耐圧MISFET形成領域101CのサイドウォールスペーサSW202cの幅T202cよりも小さく(T202a<T202c)することができる。
【0167】
しかしながら、第2検討例では、
図35のように低耐圧MISFET形成領域101Aにおける絶縁膜IL206の厚みT201aを高耐圧MISFET形成領域101Cにおける絶縁膜IL106の厚みT201cよりも薄くしてから、
図36のように絶縁膜IL206をエッチバックしてサイドウォールスペーサSW202a,SW202cを形成している。このため、
図36の絶縁膜IL206のエッチバック工程においては、高耐圧MISFET形成領域101Cでゲート電極GE103の側壁上以外の部分の絶縁膜IL206が除去されるまで、低耐圧MISFET形成領域101Aでもエッチングが継続されることになる。このため、低耐圧MISFET形成領域101Aにおける絶縁膜IL206の厚みT201aが高耐圧MISFET形成領域101Cにおける絶縁膜IL106の厚みT201cよりも薄いことから、低耐圧MISFET形成領域101Aでは、ゲート電極GE101の側壁上以外の部分の絶縁膜IL206が除去されてからも、エッチングがしばらく継続されることになる。これは、低耐圧MISFET形成領域101Aにおける半導体基板SUB101のオーバーエッチングを招き、半導体基板SUB101のダメージにつながるため、低耐圧MISFET形成領域101Aに形成されるMISFETの性能または信頼性を低下させる虞がある。これは、製造された半導体装置の信頼性の低下につながる虞がある。
【0168】
<本実施の形態の主要な特徴と効果について>
本実施の形態では、ステップS11で半導体基板SUB上にゲート電極GE1,GE2,GE3を覆うように絶縁膜IL6を形成してから、ステップS12で絶縁膜IL6上に絶縁膜IL6とは異なる材料からなる絶縁膜IL7を形成する。それから、ステップS13で絶縁膜IL7をエッチバックして、側壁絶縁膜であるサイドウォールスペーサSW1a,SW1b,SW1cを形成する。サイドウォールスペーサSW1a,SW1b,SW1cは、絶縁膜IL6の側面IL6a上に残存する絶縁膜IL7からなる。このうち、サイドウォールスペーサSW1aは、ゲート電極GE1の側壁に対応する絶縁膜IL6の側面IL6a上に形成され、サイドウォールスペーサSW1bは、ゲート電極GE2の側壁に対応する絶縁膜IL6の側面IL6a上に形成され、サイドウォールスペーサSW1cは、ゲート電極GE3の側壁に対応する絶縁膜IL6の側面IL6a上に形成される。それから、ステップS14で、サイドウォールスペーサSW1a,SW1bを除去し、サイドウォールスペーサSW1cを残存させる。その後、ステップS15で、サイドウォールスペーサSW1cおよび絶縁膜IL6をエッチバックして、ゲート電極GE1,GE2,GE3の側壁上に、サイドウォールスペーサSW2a,SW2b,SW2cを形成する。このうち、サイドウォールスペーサSW2aは、ゲート電極GE1の側壁上に残存する絶縁膜IL6からなり、サイドウォールスペーサSW2bは、ゲート電極GE2の側壁上に残存する絶縁膜IL6からなり、サイドウォールスペーサSW2cは、ゲート電極GE3の側壁上に残存する絶縁膜IL6からなる。このようにして形成されたサイドウォールスペーサSW2a,SW2b,SW2cの幅T1a,T1b,T1cの関係は、サイドウォールスペーサSW2aの幅T1aおよびサイドウォールスペーサSW2bの幅T1bが、それぞれサイドウォールスペーサSW2cの幅T1cよりも小さくなっている(すなわちT1a<T1c、T1b<T1c)。
【0169】
サイドウォールスペーサSW2aの幅T1aおよびサイドウォールスペーサSW2bの幅T1bが、それぞれサイドウォールスペーサSW2cの幅T1cよりも小さく(T1a<T1c、T1b<T1c)なる理由は、既に上述したが、簡単に述べれば次のようになる。
【0170】
すなわち、ステップS12,S13でサイドウォールスペーサSW1a,SW1b,SW1cを形成してから、ステップS14でサイドウォールスペーサSW1a,SW1bを除去しかつサイドウォールスペーサSW1cを残存させた後、ステップS15で、サイドウォールスペーサSW1cおよび絶縁膜IL6をエッチバックする。このステップS15のエッチバック工程において、ゲート電極GE3の側壁上では、サイドウォールスペーサSW1cが除去されるまでは絶縁膜IL6がサイドエッチングされない分、絶縁膜IL6のサイドエッチング量は、ゲート電極GE3の側壁上よりも、ゲート電極GE1,GE2の側壁上で大きくなる。この絶縁膜IL6のサイドエッチング量の違いを反映して、サイドウォールスペーサSW2aの幅T1aおよびサイドウォールスペーサSW2bの幅T1bが、それぞれサイドウォールスペーサSW2cの幅T1cよりも小さく(T1a<T1c、T1b<T1c)なる。
【0171】
このように、本実施の形態では、サイドウォールスペーサSW2aの幅T1aおよびサイドウォールスペーサSW2bの幅T1bを、それぞれサイドウォールスペーサSW2cの幅T1cよりも小さく(T1a<T1c、T1b<T1c)することができる。
【0172】
このサイドウォールスペーサSW2aの幅T1aとサイドウォールスペーサSW2cの幅T1cとの差を反映して、MISFETQ1のソース・ドレイン領域SD1とチャネル形成領域との間の距離(ゲート長方向に平行な方向の距離)を、MISFETQ3のソース・ドレイン領域SD3とチャネル形成領域との間の距離(ゲート長方向に平行な方向の距離)よりも小さくすることができる。また、サイドウォールスペーサSW2bの幅T1bとサイドウォールスペーサSW2cの幅T1cとの差を反映して、MISFETQ2のソース・ドレイン領域SD2とチャネル形成領域との間の距離(ゲート長方向に平行な方向の距離)を、MISFETQ3のソース・ドレイン領域SD3とチャネル形成領域との間の距離(ゲート長方向に平行な方向の距離)よりも小さくすることができる。
【0173】
従って、MISFETQ1におけるソース・ドレイン領域SD1とチャネル形成領域との間に延在する低不純物濃度のエクステンション領域EX1の寸法(ゲート長方向の寸法)を、MISFETQ3におけるソース・ドレイン領域SD3とチャネル形成領域との間に延在する低不純物濃度のエクステンション領域EX3の寸法(ゲート長方向の寸法)よりも小さくすることができる。また、MISFETQ2におけるソース・ドレイン領域SD2とチャネル形成領域との間に延在する低不純物濃度のエクステンション領域EX2の寸法(ゲート長方向の寸法)を、MISFETQ3におけるソース・ドレイン領域SD3とチャネル形成領域との間に延在する低不純物濃度のエクステンション領域EX3の寸法(ゲート長方向の寸法)よりも小さくすることができる。
【0174】
これにより、MISFETQ3については、ソース・ドレイン領域SD3とチャネル形成領域との間の距離はある程度の大きさを確保することができ、MISFETQ3の耐圧を向上することができる。一方、MISFETQ1,Q2については、MISFETQ3に比べてソース・ドレイン領域(SD1,SD2)とチャネル形成領域との間の距離を小さくすることができ、MISFETQ1,Q2の電流駆動力を高めることができる。このため、半導体装置の総合的な性能を向上することができる。
【0175】
また、本実施の形態では、ステップS12で絶縁膜IL7を形成し、この絶縁膜IL7をステップS13でエッチバックしてサイドウォールスペーサSW1a,SW1b,SW1cを形成している。このため、ステップS13において、低耐圧MISFET形成領域1Aと中耐圧MISFET形成領域1Bと高耐圧MISFET形成領域1Cとで、サイドウォールスペーサSW1a,SW1b,SW1cとなる部分以外の絶縁膜IL7が除去されて絶縁膜IL6が露出されるタイミングは概ね同じであり、絶縁膜IL6のオーバーエッチング量も概ね同じである。このため、ステップS13でサイドウォールスペーサSW1a,SW1b,SW1cを形成した段階で、低耐圧MISFET形成領域1Aと中耐圧MISFET形成領域1Bと高耐圧MISFET形成領域1Cとで、絶縁膜IL6の厚みをほぼ同じにすることができる。従って、ステップS15でサイドウォールスペーサSW1cおよび絶縁膜IL6をエッチバックする際に、低耐圧MISFET形成領域1Aと中耐圧MISFET形成領域1Bと高耐圧MISFET形成領域1Cとで、ゲート電極(GE1,GE2,GE3)の側壁上以外の絶縁膜IL6が除去されるタイミングを概ね一致させることができる。このため、ステップS15のエッチバック工程で、低耐圧MISFET形成領域1Aと中耐圧MISFET形成領域1Bと高耐圧MISFET形成領域1Cとのいずれかで過剰なオーバーエッチングが生じるのを抑制または防止でき、半導体基板SUBのダメージを抑制または防止することができる。これにより、低耐圧MISFET形成領域1Aと中耐圧MISFET形成領域1Bと高耐圧MISFET形成領域1Cとで、半導体基板SUBのオーバーエッチングを抑制または防止でき、半導体基板SUBのダメージを抑制または防止できるため、製造された半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0176】
また、本実施の形態では、ステップS14でサイドウォールスペーサSW1a,SW1bを除去しかつサイドウォールスペーサSW1cを残存させた後、ステップS15で、サイドウォールスペーサSW1cおよび絶縁膜IL6をエッチバックする。このステップS14でサイドウォールスペーサSW1a,SW1bを除去しかつサイドウォールスペーサSW1cを残存させるためのエッチングの際には、絶縁膜IL6のエッチングをできるだけ抑制しながら、サイドウォールスペーサSW1a,SW1bをエッチングして除去することが望ましい。そうすることで、ステップS14でサイドウォールスペーサSW1a,SW1bを除去した段階で、低耐圧MISFET形成領域1Aと中耐圧MISFET形成領域1Bと高耐圧MISFET形成領域1Cとで、絶縁膜IL6の厚みに差が生じるのを、より的確に抑制または防止できる。これにより、ステップS15でサイドウォールスペーサSW1cおよび絶縁膜IL6をエッチバックする際に、低耐圧MISFET形成領域1Aと中耐圧MISFET形成領域1Bと高耐圧MISFET形成領域1Cとで、ゲート電極(GE1,GE2,GE3)の側壁上以外の絶縁膜IL6が除去されるタイミングをより的確に一致させることができる。従って、ステップS15のエッチバック工程で、低耐圧MISFET形成領域1Aと中耐圧MISFET形成領域1Bと高耐圧MISFET形成領域1Cとのいずれかで過剰なオーバーエッチングが生じて半導体基板SUBがダメージを受けるのを、より的確に抑制または防止することができる。
【0177】
このように、ステップS14でサイドウォールスペーサSW1a,SW1bを除去しかつサイドウォールスペーサSW1cを残存させるためのエッチングの際には、絶縁膜IL6のエッチングをできるだけ抑制することが望ましい。この観点で、ステップS14では、絶縁膜IL6に対するサイドウォールスペーサSW1a,SW1b(絶縁膜IL7)のエッチング選択比が1より大きくなるようなエッチング条件を選ぶことが好ましく、エッチング選択比が1.5以上であれば、より好ましい。
【0178】
また、ステップS14でサイドウォールスペーサSW1a,SW1bを除去しかつサイドウォールスペーサSW1cを残存させるためのエッチングの際には、絶縁膜IL6のエッチングをできるだけ抑制しながらサイドウォールスペーサSW1a,SW1bを確実に除去することが望ましいため、ウェットエッチングを用いることが好ましい。
【0179】
一方、ステップS13のエッチバックには、ドライエッチングを用いることが好ましく、これにより、サイドウォールスペーサSW1a,SW1b,SW1cを形成しやすくなる。また、ステップS15のエッチバックにはドライエッチングを用いることが好ましく、これにより、サイドウォールスペーサSW2a,SW2b,SW2cを形成しやすくなる。
【0180】
また、絶縁膜IL6と絶縁膜IL7のうちの一方を酸化シリコン膜とし、他方を窒化シリコン膜とすれば好ましく、これにより、絶縁膜IL6に対する絶縁膜IL7(サイドウォールスペーサSW1)のエッチング選択比を大きくしやすくなる。このため、ステップS14で絶縁膜IL6のエッチングをできるだけ抑制しながらサイドウォールスペーサSW1a,SW1bを除去しやすくなる。また、ステップS13で絶縁膜IL6がエッチングされることも、抑制または防止しやすくなる。
【0181】
また、絶縁膜IL6と絶縁膜IL7のうちの一方を酸化シリコン膜とし、他方を窒化シリコン膜とした方がより好ましいが、他の形態として、絶縁膜IL6と絶縁膜IL7のうちの一方を酸化シリコン膜または窒化シリコン膜とし、他方を酸窒化シリコン膜とすることも可能である。また、更に他の形態として、絶縁膜IL6と絶縁膜IL7とを、組成比が異なる酸窒化シリコン膜とすることも可能である。
【0182】
また、ステップS15のエッチバック工程では、サイドウォールスペーサSW1c(絶縁膜IL7)のエッチング速度が遅すぎると、サイドウォールスペーサSW1c全体を除去しきる前に、ゲート電極GE1,GE2,GE3の側壁上以外の半導体基板SUB上の絶縁膜IL6が除去されてしまう虞がある。この場合、ゲート電極GE1,GE2,GE3の側壁上以外の半導体基板SUB上の絶縁膜IL6が除去された状態でエッチングがしばらく(サイドウォールスペーサSW1c全体が除去されかつサイドウォールスペーサSW2a,SW2b,SW2cが形成されるまで)継続されることになる。これは、半導体基板SUBがオーバーエッチングされてダメージを受けることにつながる虞がある。
【0183】
このため、ステップS15では、サイドウォールスペーサSW1c(絶縁膜IL7)のエッチング速度をある程度早めて、上記
図21に示されるように、サイドウォールスペーサSW1c全体が除去された段階で、半導体基板SUB上に絶縁膜IL6が層状に残存しているようにすることが好ましい。換言すれば、ステップS15では、サイドウォールスペーサSW1c全体が除去された段階で、半導体基板SUB上に絶縁膜IL6が層状に残存しているように、サイドウォールスペーサSW1cおよび絶縁膜IL6の各エッチング速度を調整しておくことが好ましい。これにより、ステップS15において、サイドウォールスペーサSW1c全体が除去された段階で、半導体基板SUB上に絶縁膜IL6が層状に残存することにより、半導体基板SUBが露出するのを防止できる。このため、ステップS15で半導体基板SUBがオーバーエッチングされるのを抑制または防止することができる。
【0184】
すなわち、ステップS15では、サイドウォールスペーサSW1c全体が除去された段階で、半導体基板SUB上に絶縁膜IL6が層状に残存し、その後もエッチングを継続して、その層状の絶縁膜IL6がエッチングされて除去された段階(すなわちゲート電極GE1,GE2,GE3の側壁上以外の半導体基板SUB上の絶縁膜IL6が除去された段階)でエッチングを停止することが好ましい。これにより、サイドウォールスペーサSW2a,SW2b,SW2cを形成することができるとともに、半導体基板SUBがオーバーエッチングされるのを的確に抑制または防止することができる。
【0185】
また、ステップS15で、サイドウォールスペーサSW1c(絶縁膜IL7)のエッチング速度が早すぎると、サイドウォールスペーサSW1c全体が除去された段階で、ゲート電極GE1,GE2の側壁上での絶縁膜IL6の厚みと、ゲート電極GE3の側壁上での絶縁膜IL6の厚みとの差があまり大きくならない。この場合、サイドウォールスペーサSW2cの幅T1cとサイドウォールスペーサSW2a,SW2bの幅T1a,T1bとの差が小さくなってしまう。
【0186】
このため、ステップS15では、
図21に示されるように、サイドウォールスペーサSW1c全体が除去された段階で、ゲート電極GE1の側壁上での絶縁膜IL6の厚みT2aとゲート電極GE2の側壁上での絶縁膜IL6の厚みT2bとが、それぞれ、ゲート電極GE3の側壁上での絶縁膜IL6の厚みT2cよりも3nm以上薄いことが好ましい。すなわち、サイドウォールスペーサSW1c全体が除去された段階で、T2a≦T2c−3nmかつT2b≦T2c−3nmが成り立つことが好ましい。換言すれば、ステップS15においてサイドウォールスペーサSW1c全体が除去された段階で、T2a≦T2c−3nmかつT2b≦T2c−3nmが成り立つように、サイドウォールスペーサSW1cおよび絶縁膜IL6の各エッチング速度を調整しておくことが好ましい。つまり、ステップS15のエッチバックを開始してからサイドウォールスペーサSW1c全体が除去されてしまうまでに、ゲート電極GE1,GE2の側壁上の絶縁膜IL6が、サイドエッチングにより3nm以上厚みを減少させていることが好ましい。これにより、サイドウォールスペーサSW2a,SW2bの幅T1a,T1bを、サイドウォールスペーサSW2cの幅T1cよりも小さくするとともに、その差(幅T1cと幅T1a,T1bとの差)を、的確に確保できるようになる。なお、ゲート電極GE1,GE2,GE3の側壁上での絶縁膜IL6の厚みT2a,T2b,T2cは、
図21に示されている。
【0187】
ここで、ゲート電極GE1の側壁上での絶縁膜IL6の厚みT2aは、ゲート電極GE1の側壁上において、ゲート電極GE1のゲート長方向に平行な方向に測ったときの絶縁膜IL6の厚み(寸法)に対応している。絶縁膜IL6の厚みT2aの測定方向と上記サイドウォールスペーサSW2aの幅T1aの測定方向とは同じである。また、ゲート電極GE2の側壁上での絶縁膜IL6の厚みT2bは、ゲート電極GE2の側壁上において、ゲート電極GE2のゲート長方向に平行な方向に測ったときの絶縁膜IL6の厚み(寸法)に対応している。絶縁膜IL6の厚みT2bの測定方向と上記サイドウォールスペーサSW2bの幅T1bの測定方向とは同じである。また、ゲート電極GE3の側壁上での絶縁膜IL6の厚みT2cは、ゲート電極GE3の側壁上において、ゲート電極GE3のゲート長方向に平行な方向に測ったときの絶縁膜IL6の厚み(寸法)に対応している。絶縁膜IL6の厚みT2cの測定方向と上記サイドウォールスペーサSW2cの幅T1cの測定方向とは同じである。
【0188】
また、上述のように、サイドウォールスペーサSW1c全体が除去された段階で、T2a≦T2c−3nmかつT2b≦T2c−3nmが成り立つようにすることで、ステップS15を終了した段階で、サイドウォールスペーサSW2aの幅T1aとサイドウォールスペーサSW2bの幅T1bとを、サイドウォールスペーサSW2cの幅T1cよりも3nm以上小さくすることができる。すなわち、T1a≦T1c−3nmかつT1b≦T1c−3nmを成り立たせることができる。これにより、サイドウォールスペーサSW2a,SW2bの幅T1a,T1bを、サイドウォールスペーサSW2cの幅T1cよりも小さくするとともに、その差(幅T1cと幅T1a,T1bとの差)を、的確に確保することができる。また、製造ばらつきが生じたとしても、サイドウォールスペーサSW2a,SW2bの幅T1a,T1bが、サイドウォールスペーサSW2cの幅T1cよりも小さくなっている関係(T1a<T1c、T1b<T1c)を、確実に維持することができるようになる。
【0189】
また、ステップS12で形成した縁膜IL7の厚みが厚すぎると、ステップS13で形成されるサイドウォールスペーサSW1の幅(ゲート長方向に平行な方向の寸法に対応)が大きくなり、それゆえ、ステップS15におけるサイドウォールスペーサSW1cのエッチング量が多くなる。この場合、最終的に形成されるサイドウォールスペーサSW2a,SW2b,SW2cの幅(T1a,T1b,T1c)にばらつきが生じる虞がある。これは、絶縁膜は、その厚みが厚いほど、厚みのばらつき(変動)が生じやすいため、絶縁膜IL7の形成膜厚が厚すぎると、サイドウォールスペーサSW1の幅のばらつきが大きくなることにつながり、それが最終的に形成されるサイドウォールスペーサSW2a,SW2b,SW2cの幅(T1a,T1b,T1c)のばらつきにつながるためである。また、エッチングの際には、エッチング厚みが厚いほど、エッチングのばらつきが生じやすいため、絶縁膜IL7の形成膜厚が厚すぎてサイドウォールスペーサSW1の幅が大きいと、エッチングばらつきにより、最終的に形成されるサイドウォールスペーサSW2a,SW2b,SW2cの幅(T1a,T1b,T1c)のばらつきが生じやすくなってしまう。
【0190】
このため、ステップS12で形成する絶縁膜IL7の形成膜厚(厚み)T4は、ステップS11で形成する絶縁膜IL6の形成膜厚(厚み)T3よりも小さい(薄い)ことが好ましい(すなわちT4<T3)。これにより、サイドウォールスペーサSW2a,SW2b,SW2cの幅(T1a,T1b,T1c)にばらつきが生じるのを、抑制または防止することができる。
【0191】
また、絶縁膜IL7の形成膜厚T4を絶縁膜IL6の形成膜厚T3よりも小さく(T4<T3)した上で、ステップS15において、サイドウォールスペーサSW1c(絶縁膜IL7)のエッチング速度よりも絶縁膜IL6のエッチング速度が大きく(速く)なるエッチング条件で、サイドウォールスペーサSW1cおよび絶縁膜IL6のエッチバックを行うことが、より好ましい。これにより、絶縁膜IL7の形成膜厚T4が薄いことで、サイドウォールスペーサSW1cの幅が小さくなったとしても、ステップS15において、サイドウォールスペーサSW1cがエッチングされている間に、ゲート電極GE1,GE2の側壁上での絶縁膜IL6の厚みを十分に減少させることができる。このため、ステップS15により形成されたサイドウォールスペーサSW2cの幅T1cとサイドウォールスペーサSW2a,SW2bの幅T1a,T1bとの差を、大きくすることができる。
【0192】
また、絶縁膜が形成された半導体基板に対してイオン注入する場合、絶縁膜の材料によって、不純物の突き抜けやすさが相違している。窒化シリコン膜は、酸化シリコン膜などに比べて、イオン注入する不純物(例えばリン(P)、ホウ素(B)またはヒ素(As)など)が、突き抜けにくい性質がある。このため、ゲート電極の側壁上に形成するサイドウォールスペーサが窒化シリコン膜と酸化シリコン膜との積層膜により形成されていた場合、ソース・ドレイン領域を形成するためのイオン注入の際に、注入する不純物イオンがサイドウォールスペーサを不均一に突き抜けてしまい、半導体基板におけるサイドウォールスペーサの直下の領域に不均一に注入されてしまう虞がある。これは、サイドウォールスペーサの直下のエクステンション領域の不純物濃度が不均一になることにつながり、それは、MISFET同士でエクステンション領域の状態(不純物分布)がばらつく(変動する)ことにつながるため、MISFET間での特性のばらつき(変動)を招く虞がある。
【0193】
それに対して、本実施の形態では、サイドウォールスペーサSW2a,SW2b,SW2cは、絶縁膜IL6により形成されている。すなわち、サイドウォールスペーサSW2a,SW2b,SW2cは、単層の絶縁膜により形成されている。このため、ステップS16でソース・ドレイン領域を形成するためのイオン注入を行う際に、注入する不純物イオンが、サイドウォールスペーサ(SW2a,SW2b,SW2c)を不均一に突き抜けてしまうことを防止でき、半導体基板SUBにおけるサイドウォールスペーサ(SW2a,SW2b,SW2c)の直下の領域に不均一に注入されてしまうのを防止できる。このため、MISFET同士でエクステンション領域の状態(不純物分布)がばらつく(変動する)ことを抑制または防止することができ、MISFET間で特性のばらつき(変動)が生じるのを抑制または防止することができる。従って、半導体装置の性能を向上させることができる。また、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0194】
例えば、絶縁膜IL6を酸化シリコン膜の単層により形成した場合には、サイドウォールスペーサSW2a,SW2b,SW2cは、酸化シリコン膜により形成されることになる。この場合、ステップS16でソース・ドレイン領域を形成するためのイオン注入を行う際に、注入する不純物イオンは、単層の酸化シリコン膜からなるサイドウォールスペーサ(SW2a,SW2b,SW2c)をある程度突き抜ける可能性があるが、サイドウォールスペーサ(SW2a,SW2b,SW2c)全体が酸化シリコンで形成されているため、突き抜け方は均一になりやすい。このため、ステップS16でソース・ドレイン領域を形成するためのイオン注入で、半導体基板SUBにおけるサイドウォールスペーサ(SW2a,SW2b,SW2c)の直下の領域に不純物イオンが注入されたとしても、均一に注入される。このため、MISFET同士でエクステンション領域の状態(不純物分布)がばらつく(変動する)ことを抑制または防止することができ、MISFET間で特性のばらつき(変動)が生じるのを抑制または防止することができる。
【0195】
また、例えば、絶縁膜IL6を窒化シリコン膜の単層により形成した場合には、サイドウォールスペーサSW2a,SW2b,SW2cは、窒化シリコン膜により形成されることになる。この場合、ステップS16でソース・ドレイン領域を形成するためのイオン注入を行う際に、注入する不純物イオンは、単層の窒化シリコン膜からなるサイドウォールスペーサ(SW2a,SW2b,SW2c)を突き抜けにくい。このため、ステップS16でソース・ドレイン領域を形成するためのイオン注入で、半導体基板SUBにおけるサイドウォールスペーサ(SW2a,SW2b,SW2c)の直下の領域に不純物イオンがほとんど注入されなくなる。このため、MISFET同士でエクステンション領域の状態(不純物分布)がばらつく(変動する)ことを抑制または防止することができ、MISFET間で特性のばらつき(変動)が生じるのを抑制または防止することができる。
【0196】
また、絶縁膜IL6を窒化シリコン膜の単層により形成した場合が、特に好ましく、この場合、ステップS16でソース・ドレイン領域を形成するためのイオン注入を行う際に、注入する不純物イオンがサイドウォールスペーサ(SW2a,SW2b,SW2c)の直下の領域の半導体基板SUBに注入されるのを、最も的確に防止できる。このため、MISFET同士でエクステンション領域の状態(不純物分布)がばらつく(変動する)ことを、最も的確に抑制または防止することができ、MISFET間で特性のばらつき(変動)が生じるのを、最も的確に抑制または防止することができる。
【0197】
(実施の形態2)
上記実施の形態1では、低耐圧MISFET形成領域1Aおよび中耐圧MISFET形成領域1Bに形成されるサイドウォールスペーサSW2a,SW2bの幅T1a,T1bを、高耐圧MISFET形成領域1Cに形成されるサイドウォールスペーサSW2cの幅T1cよりも小さく(T1a<T1c、T1b<T1c)していた。そして、サイドウォールスペーサSW2aの幅T1aとサイドウォールスペーサSW2bの幅T1bとは、ほぼ同じ(T1a=T1b)にしていた。
【0198】
それに対して、本実施の形態2では、中耐圧MISFET形成領域1Bに形成されるサイドウォールスペーサSW2bの幅T1bを、高耐圧MISFET形成領域1Cに形成されるサイドウォールスペーサSW2cの幅T1cよりも小さく(T1b<T1c)する。そして、低耐圧MISFET形成領域1Aに形成されるサイドウォールスペーサSW2aの幅T1aを、中耐圧MISFET形成領域1Bに形成されるサイドウォールスペーサSW2bの幅T1bよりも小さく(T1a<T1b)する。
【0199】
以下、図面を参照して、本実施の形態2の半導体装置の製造工程について説明する。
図38は、本実施の形態2の半導体装置の製造工程を示す工程フロー図である。
図39〜
図45は、本実施の形態2の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。なお、
図38は、上記
図2に対応するものであり、上記
図1の工程フロー(ステップS1〜S10)に続く工程フローが示されている。
【0200】
本実施の形態2の製造工程と上記実施の形態1の製造工程との相違点は、主として、上記ステップS14(サイドウォールスペーサSW1a,SW1b除去工程)の後で、かつ上記ステップS15(エッチバックによるサイドウォールスペーサSW2形成工程)の前に、
図38のステップS21,S22,S23を追加した点である。以下、具体的に説明する。
【0201】
本実施の形態2の製造工程は、上記
図20の構造を得るまでは、上記実施の形態1の製造工程とほぼ同様であるので、ここではその繰り返しの説明を省略し、上記
図20の構造を得た後の工程について説明する。
【0202】
上記実施の形態1と同様にして上記ステップS14までの工程を行って上記
図20の構造を得た後、本実施の形態では、
図39に示されるように、半導体基板SUBの主面上に、すなわち絶縁膜IL6上に、サイドウォールスペーサSW1cを覆うように、絶縁膜IL10を形成する(
図38のステップS21)。
【0203】
絶縁膜IL10は、ゲート電極GE1、GE2,GE3の側壁上に形成すべきサイドウォールスペーサSW2の幅を制御するための絶縁膜である。絶縁膜IL10は、好ましくは単層の絶縁膜であり、絶縁膜IL6とは異なる材料からなる。但し、絶縁膜IL10は、上記絶縁膜IL7と同じ材料膜であることが好ましい。すなわち、上記絶縁膜IL7が窒化シリコン膜の場合は、絶縁膜IL10も窒化シリコン膜が好ましく、上記絶縁膜IL7が酸化シリコン膜の場合は、絶縁膜IL10も酸化シリコン膜が好ましい。絶縁膜IL10は、例えばCVD法などを用いて形成することができる。ステップS21における絶縁膜IL10の形成膜厚T5は、上記ステップS11における絶縁膜IL6の形成膜厚T3よりも小さい(薄い)ことが、より好ましい。絶縁膜IL10の形成膜厚T5は、後で形成すべきサイドウォールスペーサSW2bの幅(T1b)とサイドウォールスペーサSW2aの幅(T1a)との差を考慮して、設定する。
【0204】
次に、
図40に示されるように、異方性エッチング技術により、絶縁膜IL10をエッチバック(エッチング、ドライエッチング、異方性エッチング)することにより、絶縁膜IL6の側面(側壁)IL6a上に、側壁絶縁膜としてサイドウォールスペーサ(サイドウォール、側壁絶縁膜)SW3を形成する(
図38のステップS22)。
【0205】
ステップS22では、絶縁膜IL6の側面IL6a上に、絶縁膜IL10をサイドウォールスペーサSW3として残し、他の領域の絶縁膜IL10を除去する。このため、ステップS22を行うと、絶縁膜IL6の側面IL6a上の絶縁膜IL10が局所的に残存してサイドウォールスペーサSW3となり、サイドウォールスペーサSW3,SW1cで覆われた部分以外の絶縁膜IL6は露出された状態となる。
【0206】
なお、低耐圧MISFET形成領域1Aにおいて、ゲート電極GE1の側壁に対応する絶縁膜IL6の側面IL6a上に形成されたサイドウォールスペーサSW3を、以下ではサイドウォールスペーサSW3aと称することとする。また、中耐圧MISFET形成領域1Bにおいて、ゲート電極GE2の側壁に対応する絶縁膜IL6の側面IL6a上に形成されたサイドウォールスペーサSW3を、以下ではサイドウォールスペーサSW3bと称することとする。また、高耐圧MISFET形成領域1Cにおいて、ゲート電極GE3の側壁に対応する絶縁膜IL6の側面IL6a上に形成されたサイドウォールスペーサSW3を、以下ではサイドウォールスペーサSW3cと称することとする。
【0207】
ここで、高耐圧MISFET形成領域1Cにおいては、サイドウォールスペーサSW1cが残存していたため、サイドウォールスペーサSW3cは、絶縁膜IL6の側面IL6a上に、サイドウォールスペーサSW1cを介して形成される。一方、低耐圧MISFET形成領域1Aおよび中耐圧MISFET形成領域1Bにおいては、サイドウォールスペーサSW1a,SW1bをステップS14で除去していたため、サイドウォールスペーサSW3a,SW3bは、絶縁膜IL6の側面IL6a上に、直接的に形成される。
【0208】
すなわち、ステップS22までを行うと、高耐圧MISFET形成領域1Cにおいては、ゲート電極GE3の側壁に対応する絶縁膜IL6の側面IL6a上に、サイドウォールスペーサSW1cとサイドウォールスペーサSW3cとの積層体が形成された状態となる。また、中耐圧MISFET形成領域1Bにおいては、ゲート電極GE2の側壁に対応する絶縁膜IL6の側面IL6a上に、サイドウォールスペーサSW3bが形成された状態となり、低耐圧MISFET形成領域1Aにおいては、ゲート電極GE1の側壁に対応する絶縁膜IL6の側面IL6a上に、サイドウォールスペーサSW3aが形成された状態となる。
【0209】
なお、絶縁膜IL7と絶縁膜IL10とは同種の材料膜により形成することが好ましいが、そうした場合、サイドウォールスペーサSW1cとサイドウォールスペーサSW3cとは同種の材料膜により形成される。このため、サイドウォールスペーサSW1cとサイドウォールスペーサSW3cとが明確には区別されず、サイドウォールスペーサSW1cとサイドウォールスペーサSW3cとがほぼ一体化したサイドウォールスペーサが、高耐圧MISFET形成領域1Cにおけるゲート電極GE3の側壁に対応する絶縁膜IL6の側面IL6a上に形成される場合もあり得る。
【0210】
ステップS22では、絶縁膜IL6のエッチング速度よりも絶縁膜IL10のエッチング速度が大きく(速く)なるような条件(エッチング条件)で、エッチバックを行うことが好ましい。換言すれば、ステップS22では、絶縁膜IL10のエッチング速度よりも絶縁膜IL6のエッチング速度が小さく(遅く)なるような条件(エッチング条件)で、エッチバックを行うことが好ましい。つまり、ステップS22では、絶縁膜IL10よりも絶縁膜IL6がエッチングされにくいようなエッチング条件で、エッチバックを行うことが好ましい。これにより、ステップS22では、絶縁膜IL6をエッチングストッパとして機能させることができる。このため、ステップS22において絶縁膜IL6がエッチングされるのを抑制または防止することができる。
【0211】
ステップS22では、絶縁膜IL6と絶縁膜IL10とのエッチング速度を異ならせる必要がある。また、後述のステップS23でも、絶縁膜IL6と絶縁膜IL10(サイドウォールスペーサSW3)とのエッチング速度を異ならせる必要がある。このため、絶縁膜IL6と絶縁膜IL10とは、互いに異なる材料で形成する。
【0212】
また、後述のステップS15でサイドウォールスペーサSW3b,SW3cおよびサイドウォールスペーサSW1cをエッチバックすることを考慮すると、サイドウォールスペーサSW3とサイドウォールスペーサSW1cとが同じ材料で形成されるように、絶縁膜IL7と絶縁膜IL10とは同じ材料により形成することが好ましい。また、絶縁膜IL7と絶縁膜IL10とを同じ材料により形成した場合、ステップS22の絶縁膜IL10のエッチバック工程のエッチング条件は、上記ステップS13の絶縁膜IL7のエッチバック工程のエッチング条件とほぼ同様とすることができる。
【0213】
また、ステップS22および後述のステップS23では、絶縁膜IL10をエッチングできかつ絶縁膜IL6はできるだけエッチングされないようなエッチング条件を採用することが好ましい。このため、絶縁膜IL10は、絶縁膜IL6に対してエッチング選択比を高くすることができる材料を選択することが好ましい。この観点で、絶縁膜IL6および絶縁膜IL10の一方を酸化シリコン膜とし、絶縁膜IL6および絶縁膜IL10の他方を窒化シリコン膜とすることは好適である。
【0214】
次に、低耐圧MISFET形成領域1AのサイドウォールスペーサSW3(すなわちサイドウォールスペーサSW3a)を除去し、中耐圧MISFET形成領域1Bおよび高耐圧MISFET形成領域1CのサイドウォールスペーサSW3(すなわちサイドウォールスペーサSW3b,SW3c)を残す(
図38のステップS23)。
【0215】
ステップS23は、次のようにして行うことができる。すなわち、
図41に示されるように、まず、中耐圧MISFET形成領域1Bおよび高耐圧MISFET形成領域1Cを覆い、かつ低耐圧MISFET形成領域1Aを露出するフォトレジスト層(マスク層)PR11を、半導体基板SUB上に形成する。それから、低耐圧MISFET形成領域1Aに形成されているサイドウォールスペーサSW3(すなわちサイドウォールスペーサSW3a)を、エッチングにより除去する。その後、
図42に示されるように、フォトレジスト層PR11を除去する。このようにして、ステップS23が行われ、低耐圧MISFET形成領域1AのサイドウォールスペーサSW3aが除去される。
【0216】
ステップS23では、低耐圧MISFET形成領域1AのサイドウォールスペーサSW3(SW3a)が露出され、かつ、中耐圧MISFET形成領域1Bおよび高耐圧MISFET形成領域1CのサイドウォールスペーサSW3(SW3b,SW3c)が露出しない(すなわちフォトレジスト層PR11で覆われた)状態で、エッチングを行う。このため、ステップS23のエッチングでは、低耐圧MISFET形成領域1AのサイドウォールスペーサSW3(SW3a)は除去されるが、中耐圧MISFET形成領域1Bおよび高耐圧MISFET形成領域1CのサイドウォールスペーサSW3(SW3b,SW3c)は除去されずに残存する。
【0217】
ステップS23では、絶縁膜IL6のエッチング速度よりもサイドウォールスペーサSW3のエッチング速度が大きく(速く)なるような条件(エッチング条件)で、エッチングを行うことが好ましい。換言すれば、ステップS23では、サイドウォールスペーサSW3のエッチング速度よりも絶縁膜IL6のエッチング速度が小さく(遅く)なるような条件(エッチング条件)で、エッチングを行うことが好ましい。つまり、ステップS23では、サイドウォールスペーサSW3よりも絶縁膜IL6がエッチングされにくいようなエッチング条件で、エッチングを行うことが好ましい。これにより、ステップS23において絶縁膜IL6がエッチングされるのを抑制または防止することができる。
【0218】
また、ステップS23では、絶縁膜IL6がエッチングされるのをできるだけ抑制しながら、サイドウォールスペーサSW3aを除去することが望ましい。これにより、低耐圧MISFET形成領域1Aの絶縁膜IL6の厚みが、ステップS23のエッチングによって減少するのを抑制または防止でき、低耐圧MISFET形成領域1Aにおける絶縁膜IL6の厚みと、中耐圧MISFET形成領域1Bにおける絶縁膜IL6の厚みと、高耐圧MISFET形成領域1Cにおける絶縁膜IL6の厚みとに差が生じるのを抑制または防止できる。この観点で、ステップS23のエッチングは、ウェットエッチングが好ましく、これにより、絶縁膜IL6がエッチングされるのをできるだけ抑制しながら、サイドウォールスペーサSW3aを的確に除去できるようになる。また、酸化シリコン膜と窒化シリコン膜とは、ウェットエッチングを採用すれば、高選択比のエッチングを容易に実現できる。このため、絶縁膜IL6および絶縁膜IL10の一方を酸化シリコン膜とし、絶縁膜IL6および絶縁膜IL10の他方を窒化シリコン膜とし、ステップS23のエッチングにウェットエッチングを用いれば、より好ましい。絶縁膜IL6を窒化シリコン膜とし、絶縁膜IL10を酸化シリコン膜とした場合、ステップS23では、例えばフッ酸(緩衝フッ酸)を用いたウェットエッチングを好適に用いることができる。
【0219】
また、上記ステップS22は、異方性のエッチングが必要なので、ドライエッチングを行う。一方、ステップS23は、露出している絶縁膜IL6のエッチングを抑制しながら、サイドウォールスペーサSW3aを除去するため、等方性のエッチングが好ましく、ウェットエッチングが特に好ましい。
【0220】
ここまでの工程により、
図42の構造が得られる。すなわち、高耐圧MISFET形成領域1Cにおいては、ゲート電極GE3の側壁に対応する絶縁膜IL6の側面IL6a上に、サイドウォールスペーサSW1cとサイドウォールスペーサSW3cとの積層体が形成された状態となる。また、中耐圧MISFET形成領域1Bにおいては、ゲート電極GE2の側壁に対応する絶縁膜IL6の側面IL6a上に、サイドウォールスペーサSW3bが形成された状態となる。サイドウォールスペーサSW3cの幅T6cと、サイドウォールスペーサSW3bの幅T6bとは、ほぼ同じ(T6b=T6c)である。また、低耐圧MISFET形成領域1Aにおいては、ゲート電極GE1の側壁に対応する絶縁膜IL6の側面IL6aは露出した状態(すなわち側面IL6a上にサイドウォールスペーサが形成されていない状態)となる。
【0221】
ここで、サイドウォールスペーサSW3bの幅T6bは、サイドウォールスペーサSW3bの側面のうち、絶縁膜IL6の側面IL6aに対向(隣接)する側の側面(サイドウォールスペーサSW3bの側面)と、それとは反対側の側面(サイドウォールスペーサSW3bの側面)との間の距離(ゲート電極GE2のゲート長方向に平行な方向で測った距離)に対応している。また、サイドウォールスペーサSW3cの幅T6cは、サイドウォールスペーサSW3cの側面のうち、絶縁膜IL6の側面IL6aに対向(隣接)する側の側面(サイドウォールスペーサSW3cの側面)と、それとは反対側の側面(サイドウォールスペーサSW3cの側面)との間の距離(ゲート電極GE3のゲート長方向に平行な方向で測った距離)に対応している。サイドウォールスペーサSW3b,SW3cの幅は、サイドウォールスペーサSW3b,SW3cの厚み(絶縁膜IL6の側面IL6a上での厚み)とみなすこともできる。
【0222】
以降の工程は、上記実施の形態1と基本的には同じである。すなわち、
図43および
図44に示されるように、サイドウォールスペーサSW3b,SW3c,SW1cおよび絶縁膜IL6をエッチバック(エッチング、ドライエッチング)することにより、ゲート電極GE1,GE2,GE3の側壁上に側壁絶縁膜としてサイドウォールスペーサSW2を形成する(
図38のステップS15)。
【0223】
ステップS15のエッチバック工程のエッチング条件などについては、上記実施の形態1とほぼ同様である。
【0224】
ステップS15では、サイドウォールスペーサSW3b,SW3c,SW1cが除去され、ゲート電極GE1,GE2,GE3の側壁上に絶縁膜IL6が残存してサイドウォールスペーサSW2となり、他の領域の絶縁膜IL6は除去される。これにより、ゲート電極GE1,GE2,GE3の側壁上に残存する絶縁膜IL6により、サイドウォールスペーサSW2が形成される。ステップS15では、ゲート電極GE1,GE2,GE3の側壁上に残存してサイドウォールスペーサSW2となる部分以外の絶縁膜IL6は除去される。
【0225】
また、ステップS15では、サイドウォールスペーサSW3b,SW3c,SW1cが残存しないように、サイドウォールスペーサSW3b,SW3c,SW1c全体が除去されることが好ましい。これにより、ステップS15の終了後、ゲート電極GE1,GE2,GE3の側壁上には、残存する絶縁膜IL6からなるサイドウォールスペーサSW2が形成されているが、サイドウォールスペーサSW1は形成されていない(残っていない)状態になる。すなわち、ステップS15の終了後にゲート電極GE1,GE2,GE3の側壁上に形成されているサイドウォールスペーサSW2は、絶縁膜IL6とサイドウォールスペーサSW1,SW3の残存部とで形成されるのではなく、絶縁膜IL6の単層で形成されることになる。
【0226】
ここで、
図43は、上記
図21に対応するものであり、ステップS15のエッチングの途中の段階が示されており、具体的には、ステップS15のエッチング工程中にサイドウォールスペーサSW3b,SW3c,SW1c全体が除去された直後の段階が示されている。また、
図44は、上記
図21に対応するものであり、
図43の段階の後、ステップS15のエッチングを更に継続し、ステップS15のエッチングを終了した直後の段階が示されている。
【0227】
ステップS15のエッチング工程では、サイドウォールスペーサSW3b,SW3c,SW1c全体が除去された段階で、
図43のように、半導体基板SUB上に絶縁膜IL6が層状に残存していることが好ましく、その理由は、上記実施の形態1と同様である。そして、ステップS15のエッチング工程において、サイドウォールスペーサSW3b,SW3c,SW1c全体が除去された後、エッチングを継続して半導体基板SUB上に絶縁膜IL6が層状に残存しないようにすることが好ましい。すなわち、サイドウォールスペーサSW2となる部分以外の絶縁膜IL6が除去されるようにする。
【0228】
ゲート電極GE1,GE2,GE3の側壁上にオフセットスペーサSPを形成していた場合には、サイドウォールスペーサSW2は、ゲート電極GE1,GE2,GE3の側壁上に、オフセットスペーサSPを介して形成される。
【0229】
本実施の形態2では、ゲート電極GE3の側壁上に形成されたサイドウォールスペーサSW2cの幅T1cは、ゲート電極GE2の側壁上に形成されたサイドウォールスペーサSW2bの幅T1bよりも大きい(T1c>T1b)。そして、ゲート電極GE2の側壁上に形成されたサイドウォールスペーサSW2bの幅T1bは、ゲート電極GE1の側壁上に形成されたサイドウォールスペーサSW2aの幅T1aよりも大きい(T1b>T1a)。換言すれば、サイドウォールスペーサSW2aの幅T1aはサイドウォールスペーサSW2bの幅T1bよりも小さく(T1a<T1b)、かつ、サイドウォールスペーサSW2bの幅T1bはサイドウォールスペーサSW2cの幅T1cよりも小さい(T1b<T1c)。
【0230】
このように、上記実施の形態1では、サイドウォールスペーサSW2aの幅T1aとサイドウォールスペーサSW2bの幅T1bとは、ほぼ同じ(T1a=T1b)であったが、本実施の形態2では、サイドウォールスペーサSW2aの幅T1aはサイドウォールスペーサSW2bの幅T1bよりも小さく(T1a<T1b)なっている。
【0231】
本実施の形態2では、サイドウォールスペーサSW2a,SW2b,SW2cの幅T1a,T1b,T1cが、T1a<T1b<T1cの関係となっているが、その理由について、以下に説明する。
【0232】
ステップS15のエッチングでは、異方性のエッチングだけでなく、サイドエッチングも生じる。しかしながら、高耐圧MISFET形成領域1Cでは、絶縁膜IL6の側面IL6a上にサイドウォールスペーサSW3c,SW1cが形成されているため、サイドウォールスペーサSW3c,SW1c全体が除去されるまでは、絶縁膜IL6の側面IL6aはサイドエッチングされない。つまり、高耐圧MISFET形成領域1Cでは、ステップS15のエッチングの全期間のうち、サイドウォールスペーサSW3c,SW1cが除去されて絶縁膜IL6の側面IL6aが露出してから後の期間だけ、絶縁膜IL6の側面IL6aがサイドエッチングされることになる。
【0233】
また、中耐圧MISFET形成領域1Bでは、絶縁膜IL6の側面IL6a上にサイドウォールスペーサSW3bが形成されているため、サイドウォールスペーサSW3b全体が除去されるまでは、絶縁膜IL6の側面IL6aはサイドエッチングされない。つまり、中耐圧MISFET形成領域1Bでは、ステップS15のエッチングの全期間のうち、サイドウォールスペーサSW3bが除去されて絶縁膜IL6の側面IL6aが露出してから後の期間だけ、絶縁膜IL6の側面IL6aがサイドエッチングされることになる。
【0234】
なお、サイドウォールスペーサSW3bの幅T6bとサイドウォールスペーサSW3cの幅T6cとはほぼ同じである。このため、サイドウォールスペーサSW3cとサイドウォールスペーサSW1cとの合計の幅(側面IL6a上での厚み)は、サイドウォールスペーサSW1cの分だけ、サイドウォールスペーサSW3bの幅(側面IL6a上での厚み)よりも大きくなる。このため、高耐圧MISFET形成領域1CでサイドウォールスペーサSW3c,SW1cが除去されて絶縁膜IL6の側面IL6aが露出するまでに要する時間は、中耐圧MISFET形成領域1BでサイドウォールスペーサSW3bが除去されて絶縁膜IL6の側面IL6aが露出するまでに要する時間よりも、サイドウォールスペーサSW1cのエッチングに要する時間の分だけ、長くなる。
【0235】
一方、低耐圧MISFET形成領域1Aでは、絶縁膜IL6の側面IL6a上にサイドウォールスペーサが形成されていない状態(既にサイドウォールスペーサSW3aを除去した状態)でステップS15のエッチングを開始する。このため、低耐圧MISFET形成領域1Aでは、ステップS15のエッチングの全期間で、絶縁膜IL6の側面IL6aがサイドエッチングされることになる。
【0236】
このため、高耐圧MISFET形成領域1Cに比べて中耐圧MISFET形成領域1Bの方が、絶縁膜IL6の側面IL6aがサイドエッチングされる時間が長くなり、中耐圧MISFET形成領域1Bに比べて低耐圧MISFET形成領域1Aの方が、絶縁膜IL6の側面IL6aがサイドエッチングされる時間が長くなる。絶縁膜IL6の側面IL6aがサイドエッチングされる場合、サイドエッチングされる時間が長くなるほど、サイドエッチング量(サイドエッチングされる厚み)は大きくなり、ゲート電極の側壁上での絶縁膜IL6の厚みは薄くなる。
【0237】
従って、ステップS15のエッチングを終了した段階で、高耐圧MISFET形成領域1Cにおいてゲート電極GE3の側壁上に残存する絶縁膜IL6の厚みよりも、中耐圧MISFET形成領域1Bにおいてゲート電極GE2の側壁上に残存する絶縁膜IL6の厚みの方が小さく(薄く)なる。そして、ステップS15のエッチングを終了した段階で、中耐圧MISFET形成領域1Bにおいてゲート電極GE2の側壁上に残存する絶縁膜IL6の厚みよりも、低耐圧MISFET形成領域1Aにおいてゲート電極GE1の側壁上に残存する絶縁膜IL6の厚みの方が小さく(薄く)なる。このため、サイドウォールスペーサSW2cの幅T1cよりも、サイドウォールスペーサSW2bの幅T1bが小さくなり、かつ、サイドウォールスペーサSW2bの幅T1bよりもサイドウォールスペーサSW2aの幅T1aが小さくなる(T1a<T1b<T1c)。
【0238】
このように、本実施の形態2では、高耐圧MISFET形成領域1Cでは絶縁膜IL6の側面IL6a上にサイドウォールスペーサSW3c,SW1cを残し、中耐圧MISFET形成領域1Bでは絶縁膜IL6の側面IL6a上にサイドウォールスペーサSW3bを残し、低耐圧MISFET形成領域1Aでは絶縁膜IL6の側面IL6aを露出した状態で、ステップS15のエッチバックを行う。高耐圧MISFET形成領域1Cでは、サイドウォールスペーサSW3cとサイドウォールスペーサSW1cとが絶縁膜IL6のサイドエッチングの防止膜として機能できるため、低耐圧MISFET形成領域1Aおよび中耐圧MISFET形成領域1Bに比べて、絶縁膜IL6のサイドエッチング時間を短くして絶縁膜IL6のサイドエッチング量を少なくすることができる。また、中耐圧MISFET形成領域1Bでは、サイドウォールスペーサSW3bが絶縁膜IL6のサイドエッチングの防止膜として機能できるため、低耐圧MISFET形成領域1Aに比べて、絶縁膜IL6のサイドエッチング時間を短くして絶縁膜IL6のサイドエッチング量を少なくすることができる。この絶縁膜IL6のサイドエッチング量の違いにより、高耐圧MISFET形成領域1C、中耐圧MISFET形成領域1Bおよび低耐圧MISFET形成領域1Aの順に、ゲート電極の側壁上での絶縁膜IL6の厚みが薄くなり、サイドウォールスペーサSW2a,SW2b,SW2cの幅T1a,T1b,T1cを、T1a<T1b<T1cの関係とすることができる。
【0239】
このようにしてサイドウォールスペーサSW2(SW2a,SW2b,SW2c)が形成される。
【0240】
その後、
図45に示されるように、n
+型半導体領域(n型不純物拡散層)であるソース・ドレイン領域SD1,SD2,SD3を形成する(
図38のステップS16)が、このステップS16については、上記実施の形態1と同様であるので、ここではその繰り返しの説明は省略する。
【0241】
更に、上記ステップS17の活性化のためのアニール処理(熱処理)を行い、ステップS18のサリサイド工程で上記金属シリサイド層MSを形成し、上記絶縁膜IL8、上記コンタクトホールCT、上記プラグPG、上記絶縁膜IL9および上記配線M1を上記実施の形態1と同様に形成することができるが、ここではその図示および説明は省略する。
【0242】
このようにして、本実施の形態2の半導体装置が製造される。
【0243】
上記実施の形態1では、ゲート電極GE1の側壁上に形成されたサイドウォールスペーサSW2aの幅T1aとゲート電極GE2の側壁上に形成されたサイドウォールスペーサSW2bの幅T1bとが、ゲート電極GE3の側壁上に形成されたサイドウォールスペーサSW2cの幅T1cよりも小さくなっていた。そして、ゲート電極GE1の側壁上に形成されたサイドウォールスペーサSW2aの幅T1aとゲート電極GE2の側壁上に形成されたサイドウォールスペーサSW2bの幅T1bとは、ほぼ同じであった。すなわち、T1a=T1b<T1cであった。
【0244】
それに対して、本実施の形態2では、ゲート電極GE1の側壁上に形成されたサイドウォールスペーサSW2aの幅T1aが、ゲート電極GE2の側壁上に形成されたサイドウォールスペーサSW2bの幅T1bよりも小さく、このサイドウォールスペーサSW2bの幅T1bが、ゲート電極GE3の側壁上に形成されたサイドウォールスペーサSW2cの幅T1cよりも小さくなっている。すなわち、T1a<T1b<T1cである。
【0245】
このT1a<T1b<T1cの関係を反映して、MISFETQ1のソース・ドレイン領域SD1とチャネル形成領域との間の距離(ゲート長方向に平行な方向の距離)を、MISFETQ2のソース・ドレイン領域SD2とチャネル形成領域との間の距離(ゲート長方向に平行な方向の距離)よりも小さくすることができる。そして、MISFETQ2のソース・ドレイン領域SD2とチャネル形成領域との間の距離(ゲート長方向に平行な方向の距離)を、MISFETQ3のソース・ドレイン領域SD3とチャネル形成領域との間の距離(ゲート長方向に平行な方向の距離)よりも小さくすることができる。
【0246】
従って、MISFETQ1におけるソース・ドレイン領域SD1とチャネル形成領域との間に延在する低不純物濃度のエクステンション領域EX1の寸法(ゲート長方向の寸法)を、MISFETQ2におけるソース・ドレイン領域SD2とチャネル形成領域との間に延在する低不純物濃度のエクステンション領域EX2の寸法(ゲート長方向の寸法)よりも小さくすることができる。そして、MISFETQ2におけるソース・ドレイン領域SD2とチャネル形成領域との間に延在する低不純物濃度のエクステンション領域EX2の寸法(ゲート長方向の寸法)を、MISFETQ3におけるソース・ドレイン領域SD3とチャネル形成領域との間に延在する低不純物濃度のエクステンション領域EX3の寸法(ゲート長方向の寸法)よりも小さくすることができる。
【0247】
これにより、MISFETQ3については、MISFETQ1,Q2に比べてソース・ドレイン領域SD3とチャネル形成領域との間の距離を大きくすることができ、MISFETQ3の耐圧を向上することができる。MISFETQ1については、MISFETQ2,Q3に比べてソース・ドレイン領域SD1とチャネル形成領域との間の距離を小さくすることができ、MISFETQ1の電流駆動力を高めることができる。また、MISFETQ2については、MISFETQ1に比べてソース・ドレイン領域SD2とチャネル形成領域との間の距離を大きくすることができ、MISFETQ2の耐圧を向上することができ、また、MISFETQ3に比べてソース・ドレイン領域SD2とチャネル形成領域との間の距離を小さくすることができ、MISFETQ2の電流駆動力を高めることができる。このため、半導体装置の総合的な性能を向上することができる。
【0248】
これ以外については、本実施の形態2も、上記実施の形態1とほぼ同様の効果を得ることができる。
【0249】
本実施の形態2では、ステップS12で絶縁膜IL7を形成し、この絶縁膜IL7をステップS13でエッチバックしてサイドウォールスペーサSW1a,SW1b,SW1cを形成している。また、ステップS21で絶縁膜IL10を形成し、この絶縁膜IL10をステップS22でエッチバックしてサイドウォールスペーサSW3a,SW3b,SW3cを形成している。このため、ステップS13およびステップS22において、低耐圧MISFET形成領域1Aと中耐圧MISFET形成領域1Bと高耐圧MISFET形成領域1Cとで、絶縁膜IL6のオーバーエッチング量は概ね同じである。このため、ステップS15の直前の段階で、低耐圧MISFET形成領域1Aと中耐圧MISFET形成領域1Bと高耐圧MISFET形成領域1Cとで、絶縁膜IL6の厚みを概ね同じにすることができ、ステップS15中にゲート電極GE1,GE2,GE3の側壁上以外の絶縁膜IL6が除去されるタイミングを概ね一致させることができる。従って、ステップS15のエッチバック工程で、低耐圧MISFET形成領域1Aと中耐圧MISFET形成領域1Bと高耐圧MISFET形成領域1Cとのいずれかで過剰なオーバーエッチングが生じるのを抑制または防止でき、半導体基板SUBのダメージを抑制または防止することができる。これにより、低耐圧MISFET形成領域1Aと中耐圧MISFET形成領域1Bと高耐圧MISFET形成領域1Cとで、半導体基板SUBのオーバーエッチングを抑制または防止でき、半導体基板SUBのダメージを抑制または防止できるため、製造された半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0250】
また、本実施の形態2では、ステップS14でサイドウォールスペーサSW1a,SW1bを除去しかつサイドウォールスペーサSW1cを残存させ、また、ステップS23でサイドウォールスペーサSW3aを除去しかつサイドウォールスペーサSW3b,SW3cを残存させた後、ステップS15で、サイドウォールスペーサSW1cおよび絶縁膜IL6をエッチバックする。このステップS14とステップS23では、絶縁膜IL6のエッチングをできるだけ抑制しながら、サイドウォールスペーサSW1a,SW1b(ステップS14の場合)またはサイドウォールスペーサSW3a(ステップS23の場合)をエッチングして除去することが望ましい。そうすることで、ステップS15の直前の段階で、低耐圧MISFET形成領域1Aと中耐圧MISFET形成領域1Bと高耐圧MISFET形成領域1Cとで、絶縁膜IL6の厚みに差が生じるのを、より的確に抑制または防止できる。この観点で、ステップS14では、絶縁膜IL6に対するサイドウォールスペーサSW1a,SW1b(絶縁膜IL7)のエッチング選択比が1より大きくなるようなエッチング条件を選ぶことが好ましく、エッチング選択比が1.5以上であれば、より好ましい。また、ステップS23では、絶縁膜IL6に対するサイドウォールスペーサSW3a(絶縁膜IL10)のエッチング選択比が1より大きくなるようなエッチング条件を選ぶことが好ましく、エッチング選択比が1.5以上であれば、より好ましい。
【0251】
また、本実施の形態2においても、上記実施の形態1と同様に、
図43に示されるように、サイドウォールスペーサSW3b,SW3c,SW1c全体が除去された段階で、半導体基板SUB上に絶縁膜IL6が層状に残存しているようにすることが好ましい。これにより、ステップS15で半導体基板SUBがオーバーエッチングされるのを的確に抑制または防止することができるようになる。
【0252】
また、本実施の形態2においても、ステップS15では、
図43に示されるように、サイドウォールスペーサSW3b,SW3c,SW1c全体が除去された段階で、ゲート電極GE1の側壁上での絶縁膜IL6の厚みT2aが、ゲート電極GE2の側壁上での絶縁膜IL6の厚みT2bよりも3nm以上薄いことが好ましい。また、ゲート電極GE2の側壁上での絶縁膜IL6の厚みT2bが、ゲート電極GE3の側壁上での絶縁膜IL6の厚みT2cよりも3nm以上薄いことが好ましい。すなわち、サイドウォールスペーサSW3b,SW3c,SW1c全体が除去された段階で、T2a≦T2b−3nmかつT2b≦T2c−3nmが成り立つことが好ましい。これにより、サイドウォールスペーサSW2a,SW2b,SW2cの幅T1a,T1b,T1cを、幅T1c、幅T1bおよび幅T1aの順に小さくするとともに、その差(幅T1cと幅T1bとの差、および幅T1bと幅T1aとの差)を、的確に確保できるようになる。
【0253】
また、サイドウォールスペーサSW3b,SW3c,SW1c全体が除去された段階で、T2a≦T2b−3nmかつT2b≦T2c−3nmが成り立つようにすることで、ステップS15を終了した段階で、サイドウォールスペーサSW2a,SW2b,SW2cの幅T1a,T1b,T1cについて、T1a≦T1b−3nmかつT1b≦T1c−3nmを成り立たせることができる。すなわち、サイドウォールスペーサSW2aの幅T1aを、サイドウォールスペーサSW2bの幅T1bよりも3nm以上小さくし、また、サイドウォールスペーサSW2bの幅T1bを、サイドウォールスペーサSW2cの幅T1cよりも3nm以上小さくすることができる。これにより、サイドウォールスペーサSW2a,SW2b,SW2cの幅T1a,T1b,T1cを、幅T1c、幅T1bおよび幅T1aの順に小さくするとともに、その差(幅T1cと幅T1bとの差、および幅T1bと幅T1aとの差)を、的確に確保できるようになる。また、製造ばらつきが生じたとしても、サイドウォールスペーサSW2a,SW2b,SW2cの幅T1a,T1b,T1cが、幅T1c、幅T1bおよび幅T1aの順に小さくなっている関係(T1a<T1b<T1c)を、確実に維持することができるようになる。
【0254】
また、ステップS12で形成する絶縁膜IL7の形成膜厚T4は、ステップS11で形成する絶縁膜IL6の形成膜厚T3よりも小さい(薄い)ことが好ましい(すなわちT4<T3)。同様に、ステップS21で形成する絶縁膜IL10の形成膜厚T5は、ステップS11で形成する絶縁膜IL6の形成膜厚T3よりも小さい(薄い)ことが好ましい(すなわちT5<T3)。これにより、上記実施の形態1でも述べたように、サイドウォールスペーサSW2a,SW2b,SW2cの幅(T1a,T1b,T1c)にばらつきが生じるのを、抑制または防止することができる。
【0255】
また、絶縁膜IL7,IL10の形成膜厚T4,T5を絶縁膜IL6の形成膜厚T3よりも小さくした上で、ステップS15において、サイドウォールスペーサSW3b,SW3c,SW1c(絶縁膜IL7,IL10)のエッチング速度よりも絶縁膜IL6のエッチング速度が大きく(速く)なるエッチング条件で、エッチバックを行うことが、より好ましい。これにより、絶縁膜IL7,IL10の形成膜厚T4,T5が薄いことで、サイドウォールスペーサSW3b,SW3c,SW1cの幅が小さくなったとしても、ステップS15において、サイドウォールスペーサSW3b,SW3c,SW1cがエッチングされている間に、ゲート電極GE1,GE2の側壁上での絶縁膜IL6の厚みを十分に減少させることができる。このため、ステップS15により形成されたサイドウォールスペーサSW2cの幅T1cとサイドウォールスペーサSW2bの幅T1bとの差と、サイドウォールスペーサSW2bの幅T1bとサイドウォールスペーサSW2aの幅T1aとの差とを、大きくすることができる。
【0256】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【0257】
例えば、上記実施の形態1および実施の形態2では、低耐圧MISFET形成領域1AにMISFETQ1が形成され、中耐圧MISFET形成領域1BにMISFETQ2が形成され、高耐圧MISFET形成領域1CにMISFETQ3が形成される場合について説明した。しかしながら、上記実施の形態1において、低耐圧MISFET形成領域(MISFETQ1)または中耐圧MISFET形成領域(MISFETQ2)のいずれか一方を省略することもできる。また、上記実施の形態2において、低耐圧MISFET形成領域1A(MISFETQ1)と中耐圧MISFET形成領域1B(MISFETQ2)と高耐圧MISFET形成領域1C(MISFETQ3)とのうち、いずれか1つを省略することもできる。
【0258】
また、上記実施の形態1および実施の形態2では、耐圧が異なるMISFETについて、ゲート電極の側壁上に形成するサイドウォールスペーサSW2の幅を異ならせる場合について説明したが、耐圧が同じMISFET同士であっても、ゲート電極の側壁上に形成するサイドウォールスペーサの幅を異ならせたい場合には、上記実施の形態1または実施の形態2の手法を適用することができる。
【0259】
また、上記実施の形態1および実施の形態2では、MISFETQ1,Q2,Q3がpチャネル型のMISFETである場合について説明したが、導電型を反対にして、nチャネル型のMISFETを形成することもできる。また、MISFETQ1,Q2,Q3について、nチャネル型とpチャネル型とを混在させることもできる。また、pチャネル型のMISFETとnチャネル型のMISFETの両方を形成することもできる。