(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6045876
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】免震・防振装置
(51)【国際特許分類】
F16F 15/02 20060101AFI20161206BHJP
F16F 15/03 20060101ALI20161206BHJP
E04H 9/02 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
F16F15/02 N
F16F15/03 G
E04H9/02 331Z
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-227783(P2012-227783)
(22)【出願日】2012年10月15日
(65)【公開番号】特開2014-81000(P2014-81000A)
(43)【公開日】2014年5月8日
【審査請求日】2015年10月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000103644
【氏名又は名称】オイレス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106563
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 潤
(72)【発明者】
【氏名】荒水 照夫
(72)【発明者】
【氏名】下田 郁夫
【審査官】
村山 禎恒
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−072139(JP,A)
【文献】
特開2000−304089(JP,A)
【文献】
特開2000−249187(JP,A)
【文献】
特開平02−296975(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 15/00−15/36
E04H 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同心に配置された複数の環状体と、
該複数の環状体の隣接する2つの環状体の間に介在し、該2つの環状体の一方に対して他方が振り子運動を行うように両者を連結する複数の振り子リンクと、
前記複数の環状体のうち最内側の環状体に振り子リンクを介して連結され、上部構造体に固定される上部取付板と、
前記複数の環状体のうち最外側の環状体に装着され、下部構造体に固定される下部取付板と、
前記上部取付板が前記最外側の環状体から鉛直方向に離間するのを防止する引き抜き防止手段とを備えることを特徴とする免震・防振装置。
【請求項2】
前記引き抜き防止手段は、
前記最外側の環状体から水平方向に延設されるストッパと、
前記上部取付板から水平方向に延設され、前記ストッパよりも下方に位置する板状部材とで構成され、
前記上部取付板が前記最外側の環状体に対して水平方向に移動し、さらに、前記上部取付板が前記最外側の環状体から鉛直方向に離間した際に、前記板状部材が前記ストッパに当接して前記上部取付板が前記最外側の環状体から鉛直方向に離間するのを防止することを特徴とする請求項1に記載の免震・防振装置。
【請求項3】
前記引き抜き防止手段は、
前記複数の環状体の相対向する2つの環状体の外側の環状体から水平方向に延設されるストッパと、
前記複数の環状体の相対向する2つの環状体の内側の環状体から水平方向に延設され、前記ストッパよりも下方に位置する板状部材とで構成され、
前記内側の環状体が前記外側の環状体に対して水平方向に移動し、さらに、前記内側の環状体が前記外側の環状体から鉛直方向に離間した際に、前記板状部材が前記ストッパに当接して前記内側の環状体が前記外側の環状体から鉛直方向に離間するのを防止することを特徴とする請求項1に記載の免震・防振装置。
【請求項4】
前記上部取付板と最外側の環状体とが水平方向に相対移動した際に、該相対移動量を減衰させる減衰手段を備えることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の免震・防振装置。
【請求項5】
前記減衰手段は、前記上部取付板又は下部取付板のいずれか一方に設けられた磁石と、いずれか他方に設けられる導体とで構成される磁気ダンパであることを特徴とする請求項4に記載の免震・防振装置。
【請求項6】
前記複数の環状体の相対向する2つの環状体の外側の環状体と内側の環状体とが水平方向に相対移動した際に、該相対移動量を減衰させる減衰手段を備えることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の免震・防振装置。
【請求項7】
前記減衰手段は、前記複数の環状体の相対向する2つの環状体の外側の環状体又は内側の環状体のいずれか一方に設けられた磁石と、いずれか他方に設けられる導体とで構成される磁気ダンパであることを特徴とする請求項6に記載の免震・防振装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免震・防振装置に関し、特に、省スペースかつ低コストで免震及び防振を行うことのできる免震・防振装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の免震台には、一方向へ動作する機構を2段直列に組み合わせたり、球面形状の転がりや滑り面を使用したものが存在するが、これらは装置高さを抑え難い構造であった。また、固体音に代表される固体中を伝播する微振動に対しては、支持体を通して免震対象に直接振動が加わるため、微振動に対する対策はほとんど不可能であった。
【0003】
そこで、特許文献1に記載のように、同心に配置された複数の環状体からなり最外側の環状体が地上に固定されている環状体群と、各環状体同士を垂直方向で球面継手を介して結合する複数の振り子リンクと、振り子リンクのうち最内側の振り子リンクと結ばれる中央体と、中央体に結合され被免震体が固定される支持座と、最外側環状体と中央体との間で水平方向に設けられる水平ダンパとを備え、省スペース及び低コストで免震を行うことのできる免震装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−72139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の免震装置は、省スペース、低コストでの免震が可能となるが、支持座、中央体及び各環状体からなる構造が上方への引き抜きに対して無抵抗であるため、大地震等により上部構造体が上方に大きく移動したような場合には、引き抜きにより転倒する虞があった。
【0006】
また、この免震装置には、水平ダンパが最外側環状体と中央体との間に水平方向に設けられるが、上面視で半径方向に互いに直角な2カ所に配置されるに過ぎないため、上面視で全方向の水平振動に対して同様に減衰機能を発揮することができず、また、水平ダンパのストロークによって支持座の移動距離が制限される。そこで、これらの問題を解消させるため、水平ダンパを最外側環状体と中央体との間ではなく、免震装置の基本構造の外側に設ける構造も考えられるが、装置全体の構成が複雑になる。
【0007】
そこで、本発明は、上記従来の免震装置における問題点に鑑みてなされたものであって、大地震等が発生した場合でも転倒を回避することができ、減衰機能を備え、装置全体の構成が簡単な免震・防振装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、免震・防振装置であって、同心に配置された複数の環状体と、該複数の環状体の隣接する2つの環状体の間に介在し、該2つの環状体の一方に対して他方が振り子運動を行うように両者を連結する複数の振り子リンクと、前記複数の環状体のうち最内側の環状体に
振り子リンクを介して連結され、上部構造体に固定される上部取付板と、前記複数の環状体のうち最外側の環状体に装着され、下部構造体に固定される下部取付板と、前記
上部取付板が前記最外側の環状体から鉛直方向に離間するのを防止する引き抜き防止手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、複数の環状体と複数の振り子リンクとで構成される複振り子を採用するため、省スペース及び低コストで免震を行うことができると共に、引き抜き防止手段によって、
上部取付板が最外側の環状体から鉛直方向に離間するのを防止するため、大地震等が発生した場合でも転倒を回避することができる。
【0010】
上記免震・防振装置において、前記引き抜き防止手段を、前記最外側の環状体から水平方向に延設されるストッパと、前記
上部取付板から水平方向に延設され、前記ストッパよりも下方に位置する板状部材とで構成し、前記
上部取付板が前記最外側の環状体に対して水平方向に移動し、さらに、前記
上部取付板が前記最外側の環状体から鉛直方向に離間した際に、前記板状部材が前記ストッパに当接して前記
上部取付板が前記最外側の環状体から鉛直方向に離間するのを防止することができ、簡単な構成で引き抜き防止手段を構成することができる。
【0011】
また、上記引き抜き防止手段を、前記複数の環状体の相対向する2つの環状体の外側の環状体から水平方向に延設されるストッパと、前記複数の環状体の相対向する2つの環状体の内側の環状体から水平方向に延設され、前記ストッパよりも下方に位置する板状部材とで構成し、前記内側の環状体が前記外側の環状体に対して水平方向に移動し、さらに、前記内側の環状体が前記外側の環状体から鉛直方向に離間した際に、前記板状部材が前記ストッパに当接して前記内側の環状体が前記外側の環状体から鉛直方向に離間するのを防止することができる。
【0012】
上記免震・防振装置において、前記
上部取付板と最外側の環状体とが水平方向に相対移動した際に、該相対移動量を減衰させる減衰手段を設けることで、
上部取付板と最外側の環状体との間で減衰機能を発揮させることができる。
【0013】
この減衰手段は、前記複数の環状体のうち
上部取付板又は
下部取付板のいずれか一方に設けられた磁石と、いずれか他方に設けられた導体とで構成される磁気ダンパとすることができ、磁気ダンパを免震装置の基本構造と一体化することで、装置全体の構成を簡単にすることができる。
【0014】
また、上記免震・防振装置において、前記複数の環状体の相対向する2つの環状体の外側の環状体と内側の環状体とが水平方向に相対移動した際に、該相対移動量を減衰させる減衰手段を設けることで、相対向する2つの環状体との間で減衰機能を発揮させることができる。
【0015】
この減衰手段は、前記複数の環状体の相対向する2つの環状体の外側の環状体又は内側の環状体のいずれか一方に設けられた磁石と、いずれか他方に設けられた導体とで構成される磁気ダンパとすることができ、磁気ダンパを免震装置の基本構造と一体化することで、装置全体の構成を簡単にすることができる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明によれば、大地震等が発生した場合でも転倒を回避することができ、減衰機能を備え、装置全体の構成が簡単な免震・防振装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係る免震・防振装置を免震装置として使用する場合の一例を示す概略図であって、(a)は上面図、(b)は通常の状態を示す断面図、(c)は地震等により振動した状態を示す断面図である。尚、(a)の上面図において、(b)、(c)で描かれている上部取付板の記載を省略している。
【
図2】本発明に係る免震・防振装置を免震装置として使用する場合の他の例を示す概略断面図であって、(a)は通常の状態、(b)は地震等により振動した状態を示す。
【
図3】本発明に係る免震・防振装置を免震装置として使用する場合の他の例を示す概略断面図であって、(a)は通常の状態、(b)は地震等により振動した状態を示す。
【
図4】本発明に係る免震・防振装置を防振装置として使用する場合の一例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明に係る免震・防振装置の第1の実施形態を示し、本実施形態では、免震装置として使用する場合を例示するため、以下では、免震装置として説明する。
【0020】
この免震装置1は、複数の同心の環状体2〜6と、隣接する2つの環状体の間に介在し、2つの環状体の一方に対して他方が振り子運動を行うように両者を連結する複数の振り子リンク12〜16と、最内側の環状体2に連結され、上部構造体に固定される上部取付板8と、最外側の環状体6に一体に形成され、下部構造体に固定される下部取付板6d等で構成される。
【0021】
環状体2〜5は、各々上面視円形の円形帯状部2a〜5aと、上面視で環状体2〜5の各々の3カ所に設けられ、上面視矩形状で断面S字状の連結部2b〜5bとで構成され、隣接する2つの環状体の外側の環状体の上部と、内側の環状体の下部とが振り子リンク13〜16で連結される。また、上部取付板8の下部突出部8cと、環状体2の連結部2bの上部とが振り子リンク12で連結される。
【0022】
環状体6は、全体的に導体からなり、環状体2〜6の最外側に配置され、連結部6bの上部が振り子リンク16を介して環状体5の連結部5bの下部に連結される。環状体6の下部内面から中心部に向かって、上面視円環状の板状のストッパ6cが水平方向に延設される。
【0023】
振り子リンク12〜16は、ワイヤー等からなり、上述のように、隣接する2つの環状体の間に介在し、2つの環状体の一方に対して他方が振り子運動を行うように両者を連結する。
【0024】
上部取付板8は、下部突出部8cにおいて最内側の環状体2と振り子リンク12によって連結されると共に、上部に上部構造体に固定される上面視円形の取付部8aを備える。上部取付板8の下部には、上面視円形状の板状部材8dが水平方向に延設される。板状部材8dの底面には、磁石9が固着される。この磁石9と、環状体6の下部取付板6dとで磁気ダンパを構成する。
【0025】
次に、上記構成を有する免震装置1の動作について、
図1を参照しながら説明する。
【0026】
通常の状態では、
図1(b)に示すように、複数の環状体2〜6は同心に等間隔に配置され、最内側の環状体2は上面視で免震装置1の中心部に位置し、上部取付板8を介して上部構造体の荷重を支持している。
【0027】
地震等が発生し、
図1(b)の状態から、下部構造体に固定された下部取付板6d(すなわち環状体6)が上部取付板8に対して右方向に移動した場合には、
図1(c)に示すように、左側の環状体2〜6同士の間隔は狭くなり、右側の環状体2〜6同士の間隔は広くなる。この際、上部構造体が上方に大きく移動し、これに伴って上部取付板8が上方に移動した場合でも、上部取付板8の板状部材8dの上面が環状体6のストッパ6cの下面に当接し、それ以上上部取付板8が上方へ移動するのを妨げられるため、上部取付板8及び環状体2〜5が環状体6及び下部取付板6dから鉛直方向に離間するのを防止することができ、免震装置1の転倒を回避することができる。
【0028】
また、地震等により、
図1(b)の状態から下部取付板6dが上部取付板8に対して右方向に移動した場合には、
図1(c)に示すように、下部取付板6dと上部取付板8との水平方向相対位置が変化する。そのため、上部取付板8の板状部材8dの底面に固着された磁石9と、環状体6の下部取付板6dとの間で、磁石9による磁束を横切る動きが生じ、磁石9と下部取付板6dとで構成される磁気ダンパによる減衰効果が働き、下部取付板6dと上部取付板8との間の振動を迅速に収束させることができる。
【0029】
次に、本発明に係る免震・防振装置の第2の実施形態について、
図2を参照しながら説明する。本実施形態でも、免震装置として使用する場合を例示するため、以下では、免震装置として説明する。
【0030】
この免震装置21は、
図2では上面図を省略しているが、
図1(a)に示した免震装置1と同様に構成され、
図2(a)は、
図1(b)に相当する図(すなわち、
図1のA−A線断面に相当する図)であって、この免震装置21の複数の同心の環状体22〜26は、上記第1の実施形態における環状体2〜6と断面形状が異なると共に、第1の実施形態では、磁石9が上部取付
板8の板状部
材8dの下面にのみ固着されているのに対し、本実施形態では、各々の環状体22〜26に2つの磁石45、46が固着されている点が異なる。尚、磁石45、46は、
図2において環状体24にのみ参照番号を付して示しているが、その他の環状体22、23、25、及び上部取付板28にも環状体24と同様の位置に固着されているものとする。
【0031】
すなわち、この免震装置21は、複数の同心の環状体22〜26と、隣接する2つの環状体の間に介在し、2つの環状体の一方に対して他方が振り子運動を行うように両者を連結する複数のワイヤー等からなる振り子リンク32〜36と、最内側の環状体22に振り子リンク32を介して連結され、上部構造体に固定される上部取付板28と、最外側の環状体26の下部26dに取り付けられ、下部構造体に固定される下部取付板(不図示)等で構成される。
【0032】
環状体22〜25は、各々全体的に導体からなり、図示を省略するが、各々上面視円形の円形帯状部と、上面視で環状体22〜25の各々の3カ所に設けられる連結部(環状体24の連結部24bのみ図示)とで構成され、隣接する2つの環状体の外側の環状体の上部と、内側の環状体の下部とが振り子リンク33〜36で連結される。また、上部取付板28の下部突出部28cと、環状体22の連結部の上部とが振り子リンク32で連結される。
【0033】
環状体26は、全体的に導体からなり、環状体22〜26の最外側に配置され、連結部26bの上部が振り子リンク36を介して環状体25の連結部の下部に連結される。
【0034】
環状体22〜25の各々には、隣接する環状体の一対の突出部(環状体24の一対の突出部24c、24dのみ図示)の間に介在し、水平方向に延設されたストッパ(環状体25のストッパ25e、環状体26のストッパ26cのみ図示)が設けられる。
【0035】
環状体22〜26の各々には、隣接する環状体の一対の突出部(環状体24の一対の突出部24c、24dのみ図示)の相対向する面に磁石45、46(環状体24にのみ図示)が固着される。また、上部取付板28の一対の突出部28c、28dの相対向する面にも磁石が固着される。
【0036】
次に、上記構成を有する免震装置21の動作について、
図2を参照しながら説明する。
【0037】
通常の状態では、
図2(a)に示すように、複数の環状体22〜26は同心に等間隔に配置され、最内側の環状体22は上面視で免震装置21の中心部に位置し、上部取付板28を介して上部構造体の荷重を支持している。
【0038】
地震等が発生し、
図2(a)の状態から、下部構造体に固定された下部取付板(不図示)に取り付けられた環状体26が上部取付板28に対して右方向に移動した場合には、
図2(b)に示すように、左側の環状体22〜26同士の間隔は狭くなり、右側の環状体22〜26同士の間隔は広くなる。この際、上部構造体が上方に大きく移動し、これに伴って上部取付板28が上方に移動した場合でも、各々環状体22〜26の下方の突出部24d等の上面が各々環状体22〜26のストッパ25e、26c等の下面に当接し、隣接する環状体同士の相対移動が規制されると共に、環状体26が下部取付板に取り付けられているため、環状体22〜25及び上部取付板28が環状体26から鉛直方向に離間するのを防止することができ、免震装置21の転倒を回避することができる。
【0039】
また、地震等により、
図2(a)の状態から下部取付板に装着されている環状体26が上部取付板28に対して右方向に移動した場合には、
図2(b)に示すように、左側の環状体22〜26同士の間隔が狭くなり、右側の環状体22〜26同士の間隔が広くなることで、各々の突出部24c、24d等に固着された磁石45、46と、ストッパ25e、26c等との水平方向相対位置が変化し、磁石45、46により生じる磁束をストッパ25e、26c等が横切ることになる。そのため、導体であるストッパ25e、26c等に誘導電流が発生し、運動方向と逆向きに力が働くこととなる。そして、このような磁気ダンパの減衰効果により、環状体26と上部取付板28との間の振動を迅速に収束させることができる。
【0040】
尚、上記両実施の形態においては、環状体2〜5及び環状体22〜25が上面視円形の円形帯状部2a〜5a等を有する場合を例示したが、これらに代えて、連結部2b〜5b等が全周にわたって同一断面で連続するように構成することもでき、上面視円形に限らず、上面視三角形状や矩形状の環状体とすることもできる。また、上面視で環状体2〜5の各々の3カ所に連結部2b〜5bを設けたが、連結部の数は、4つ以上とすることもできる。
【0041】
図3は、
図1に示した免震装置1よりも環状体の数を増やすと共に、振り子リンクの長さを短くしたものであって、この免震装置51は、最外側の環状体57を含めて6つの環状体52〜57と、6つの振り子リンク62〜67とを備え、
図3では上面図を省略しているが、
図3(a)は、
図1(b)に相当する図(すなわち、
図1のA−A線断面に相当する図)である。このような薄型化した免震装置51についても、上記第1及び第2実施形態で示した引き抜き防止手段及び減衰手段を設けることもできる。
【0042】
図4は、本発明に係る免震・防振装置を防振装置として使用する場合の一例を示し、この防振装置
71は、
図1に示した免震装置1と同様の構成を有し、例えば、運転中に振動する機械装置
72と、土台
73との間に介装される。防振装置
71によって機械装置
72の振動を減じて土台
73に伝達すると共に、上述のように、防振装置
71に機械装置
72を介して上方へ引き抜く力が付加されたような場合でも、引き抜きを防止して防振装置
71の転倒を回避することができると共に、磁気ダンパによる減衰効果を発揮させることができる。
【符号の説明】
【0043】
1 免震装置
2〜6 環状体
8 上部取付板
9 磁石
12〜16 振り子リンク
21 免震装置
22〜26 環状体
28 上部取付板
32〜36 振り子リンク
45、46 磁石
51 免震装置
52〜57 環状体
58 上部取付板
62〜67 環状体
71 防振装置
72 機械装置
73 土台