特許第6045904号(P6045904)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6045904
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】キャピラリーカラム
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/60 20060101AFI20161206BHJP
   G01N 30/56 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   G01N30/60 K
   G01N30/56 E
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-277104(P2012-277104)
(22)【出願日】2012年12月19日
(65)【公開番号】特開2014-119430(P2014-119430A)
(43)【公開日】2014年6月30日
【審査請求日】2015年10月14日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 〔研究集会名〕 日本分析化学会第61年会 〔開催日〕 平成24年9月19日、20日 〔開催場所〕 金沢大学角間キャンパス、金沢市
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 〔研究集会名〕 第17回高分子分析討論会 〔開催日〕 平成24年10月25日、26日 〔開催場所〕 名古屋中小企業振興会館、名古屋市
(73)【特許権者】
【識別番号】392013224
【氏名又は名称】フロンティア・ラボ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 忠一
(72)【発明者】
【氏名】伊東 浩一
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 壱
【審査官】 黒田 浩一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−370760(JP,A)
【文献】 特開2006−177917(JP,A)
【文献】 特開平03−099256(JP,A)
【文献】 特開平09−043223(JP,A)
【文献】 特表2008−533485(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0178563(US,A1)
【文献】 H.D.PAPENDICK et al.,TAPEWORM COLUMNS IN GAS CHROMATOGRAPHY,J.Chromatography,1976年,Vol.122,p.443-450
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/00−30/96
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスクロマトグラフィーに用いられ、不活性化された内面に固定相を備えるキャピラリーカラムにおいて、
内部空間の横断面の中央部に形成された狭窄部と、該狭窄部の両側に形成された膨出部とを備え、該狭窄部の内寸の最小幅dが0.1〜0.28mmの範囲、該膨出部の内寸の最大幅dが0.18〜0.3mmの範囲、一方の該膨出部から該狭窄部を介して他方の該膨出部に至る方向の内寸の最大幅Lが0.7〜2mmの範囲、d/dが1.07〜3の範囲、L/dが6〜20の範囲であり、d>dであることを特徴とするキャピラリーカラム。
【請求項2】
請求項1記載のキャピラリーカラムにおいて、金属管からなり、該金属管の内表面に形成された不活性薄膜被覆層上に前記固定相を備えることを特徴とするキャピラリーカラム。
【請求項3】
ガスクロマトグラフィーに用いられ、内部空間の横断面の中央部に形成された狭窄部と、該狭窄部の両側に形成された膨出部とを備え、該狭窄部の内寸の最小幅dが0.1〜0.28mmの範囲、該膨出部の内寸の最大幅dが0.18〜0.3mmの範囲、一方の該膨出部から該狭窄部を介して他方の該膨出部に至る方向の内寸の最大幅Lが0.7〜2mmの範囲、d/dが1.07〜3の範囲、L/dが6〜20の範囲であり、d>dであって、不活性化された内面に固定相を備えるキャピラリーカラムの製造方法であって、
横断面が円形状の金属管を圧延し、該金属管の内表面に不活性薄膜被覆層を形成した後、該不活性薄膜被覆層上に前記固定相を形成する材料を塗布して乾燥させることを特徴とするキャピラリーカラムの製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャピラリーカラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスクロマトグラフィー用キャピラリーカラムは、一般に横断面の形状が円形であり、同一長でより高い分解能を得ようとするときには、カラムの内径を小さくすればよいことが理論的に知られている。例えば、前記横断面の形状が円形であるキャピラリーカラム(以下、円形キャピラリーカラムと略記する)で現在入手可能なもののうち最小径のものは内径が0.1mmであり、9000段/mという高い理論段数を備え、高い分解能を得ることができる。しかし、前記内径0.1mmのキャピラリーカラムは、十分な試料負荷容量を得ることができないという問題がある。
【0003】
尚、本願において、あるキャピラリーカラムの「試料負荷容量」とは、該キャピラリーカラムをクロマトフラフィーに用いたときに、シャープな同一形状のピークを得ることができる最大の試料容量を意味する。即ち、試料負荷容量が大であるほど、試料を希釈又は分割することなくクロマトグラフィーを実施することができ、それによって微量成分の検出感度も向上するので有利である。ここで、あるキャピラリーカラムの「試料負荷容量」は、そのキャピラリーカラムの厚さ方向の内寸の最大幅に相当する内径を有する円形キャピラリーカラムの試料負荷容量に対する比で表される。
【0004】
一方、前記円形キャピラリーカラムに対し、横断面の形状を矩形状とすることにより、該円形キャピラリーカラムよりも高い分解能を得ることができるとする理論が提唱されている(非特許文献1参照)。ここで、前記矩形状の横断面の内周長と、前記円形キャピラリーカラムの内周長とが同一であれば、横断面の形状が矩形状であるキャピラリーカラムは、該円形キャピラリーカラムに比較して高い試料負荷容量を得ることができ、高い分解能と高い試料負荷容量とを兼ね備えることができると考えられる。
【0005】
しかし、前記理論は、横断面の形状が矩形状であるキャピラリーカラムの円形キャピラリーカラムに対する優位性を単に数式により示したものであり、横断面の形状が矩形状であるキャピラリーカラムを実現したものではない。
【0006】
これに対して、従来、横断面の形状を矩形状としたキャピラリーカラムも提案されている(例えば、特許文献1参照)。前記従来の横断面の形状を矩形状としたキャピラリーカラムは、厚さ0.2mm、幅100mmのステンレスシートからなる隔壁を2枚重ね合わせ、該隔壁の両端にスペーサとして厚さ0.2mm、幅5mmのステンレスシートを配設してロウ付けすると共に、内面に固定相となる材料を塗布したものである。或いは、前記キャピラリーカラムは、前記隔壁の内面に前記固定相となる材料を塗布しておき、重ね合わせた2枚の隔壁の両端を接着又はハンダ付けしてもよいとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−177917号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】H.D.Papendick et al. J.Chromatogr., 122, 443-450(1978)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前記横断面の形状が矩形状のキャピラリーカラムは、数十mに及ぶ長尺なものとして製造することが困難であり、仮に製造することができたとしても、その内面の前記隔壁と前記スペーサとの境界が直角になっているため、固定相を均一に形成することが難しいという不都合がある。
【0010】
そこで、本発明は、横断面を矩形状とすることなく、高い分解能と高い試料負荷容量とを兼ね備えることができるキャピラリーカラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる目的を達成するために、本発明は、ガスクロマトグラフィーに用いられ、不活性化された内面に固定相を備えるキャピラリーカラムにおいて、内部空間の横断面の中央部に形成された狭窄部と、該狭窄部の両側に形成された膨出部とを備え、該狭窄部の内寸の最小幅dが0.1〜0.28mmの範囲、該膨出部の内寸の最大幅dが0.18〜0.3mmの範囲、一方の該膨出部から該狭窄部を介して他方の該膨出部に至る方向の内寸の最大幅Lが0.7〜2mmの範囲、d/dが1.07〜3の範囲、L/dが6〜20の範囲であり、d>dであることを特徴とする。
【0012】
本発明のキャピラリーカラムによれば、内部空間の横断面を前記形状とすることにより、全体的に扁平な形状とすることができ、横断面を矩形状とすることなく、高い分解能を得ることができる。また、本発明のキャピラリーカラムによれば、前記膨出部の内寸の最大幅に相当する内径を有する円形キャピラリーカラムに対して高い試料負荷容量を得ることができる。また、本発明のキャピラリーカラムによれば、内部空間の横断面を前記形状とすることにより、長尺なものでも容易に製造することができ、横断面の形状が連続した曲線からなるので、均一な固定相を備えることができる。
【0015】
本発明のキャピラリーカラムは、溶融シリカ又は金属管からなるものを用いることができる。前記金属管を構成する金属としては、例えば、ステンレス、ニッケル等を挙げることができる。ここで、本発明のキャピラリーカラムが前記金属管からなるときには、該金属管の内表面に形成された不活性薄膜被覆層上に前記固定相を備えるものを用いることができる。
【0016】
前記金属管からなる本発明のキャピラリーカラムは、例えば、円形キャピラリーカラムを圧延して押し潰し、前記狭窄部と前記膨出部とを備える横断面を形成することにより製造することができる。前記円形キャピラリーカラムは、横断面の形状が円形である金属管の内表面に前記不活性薄膜被覆層が形成されている。しかし、このようにするときには、予め形成されている前記不活性薄膜被覆層が前記圧延により損傷して活性点が形成されることがある。
【0017】
そこで、本発明のキャピラリーカラムの製造方法は、横断面が円形状の金属管を圧延し、該金属管の内表面に前記不活性薄膜被覆層を形成した後、該不活性薄膜被覆層上に前記固定相を形成する材料を塗布して乾燥させてなることを特徴とする。このようにすることにより、前記活性点が形成されることなく、優れた分析性能を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明のキャピラリーカラムの構成を示す説明的断面図。
図2】本発明のキャピラリーカラムの製造方法を示す斜視図。
図3】dと理論段数との関係を示すグラフ。
図4】dと理論段数との関係を示すグラフ。
図5】d/dと理論段数との関係を示すグラフ。
図6】L/dと理論段数との関係を示すグラフ。
図7】第1の実施例のキャピラリーカラムをガスクロマトグラフィーに用いたときの結果の一例を示すクロマトグラム。
図8】第2の実施例のキャピラリーカラムをガスクロマトグラフィーに用いたときの結果の一例を示すクロマトグラム。
図9】第3の実施例のキャピラリーカラムをガスクロマトグラフィーに用いたときの結果の一例を示すクロマトグラム。
図10】第4の実施例のキャピラリーカラムをガスクロマトグラフィーに用いたときの結果の一例を示すクロマトグラム。
図11】第5の実施例のキャピラリーカラムをガスクロマトグラフィーに用いたときの結果の一例を示すクロマトグラム。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、添付の図面を参照しながら本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。
【0020】
図1に模式的に示すように、本実施形態のキャピラリーカラム1は、ステンレス管2の内部空間の横断面の中央部に形成された狭窄部3と、狭窄部3の両側に形成された膨出部4とを備えている。ステンレス管2は、内表面にSi又はSiOからなる不活性薄膜被覆層(図示せず)が形成されることにより不活性化されており、該不活性薄膜被覆層上に例えばポリジメチルシロキサンを含む0.01〜数μmの厚さの固定相(図示せず)を備えている。
【0021】
また、キャピラリーカラム1は、狭窄部3の内寸の最小幅をd、膨出部4の内寸の最大幅をd、一方の膨出部4から狭窄部3を介して他方の膨出部4に至る方向の内寸の最大幅をLとしたときに、理論段数が1000〜3000段/mの範囲となるようにd、d及びLの値が調整されている。ここで、d、d及びLの値は、dが0.1〜0.3mmの範囲、dが0.1〜0.3mmの範囲、Lが0.7〜2mmの範囲、d/dが1〜3の範囲、L/dが6〜20の範囲とされている。
【0023】
キャピラリーカラム1によれば、前記範囲のd又はdに相当する内径を備える円形キャピラリーカラムと同等の理論段数を備えるので、高い分解能を得ることができる。また、キャピラリーカラム1によれば、d、d、L、d/d及びL/dを前記範囲とすることにより、dに相当する内径を有する円形キャピラリーカラムに対して高い試料負荷容量を得ることができる。
【0024】
キャピラリーカラム1は、例えば図2に示すように、円形キャピラリーカラム5を1対のローラ6a,6b間に挿通することにより、圧延して押し潰し、狭窄部3と膨出部4とを備える横断面を形成することにより製造することができる。円形キャピラリーカラム5は、例えばステンレス、ニッケル等の金属からなり横断面の形状が円形である金属管からなり、該金属管の内面に前記不活性薄膜被覆層及び前記固定相が形成されている。
【0025】
しかし、円形キャピラリーカラム5は、前記のようにして圧延すると、予め形成されている前記不活性薄膜被覆層が前記圧延により損傷して活性点が形成されることがある。この結果、形成されたキャピラリーカラム1を用いてガスクロマトグラフィーを行ったときに、分離された成分のうち、一部の極性を有する成分の前記活性点に吸着されて検出できなくなることがある。
【0026】
そこで、図2において、円形キャピラリーカラム5に代えて、横断面が円形状であって、前記内表面に前記不活性薄膜被覆層及び前記固定相が形成されていない金属管をローラ6a,6b間に挿通することにより、圧延し、狭窄部3と膨出部4とを備える横断面を形成することが好ましい。前記横断面が形成された金属管は、次いでその内表面に前記不活性薄膜被覆層及び前記固定相を形成することにより、キャピラリーカラム1とすることができる。このようにして得られたキャピラリーカラム1は、前記活性点が形成される虞が無いので、ガスクロマトグラフィーを行ったときに、分離された成分のうち前記活性点に吸着されるものが無く、優れた分析性能を得ることができる。
【0027】
次に、本発明の実施例及び比較例を示す。
【実施例】
【0028】
〔実施例1〕
本実施例では、図2において、円形キャピラリーカラム5に代えて、内径1.2mmのステンレス管を用い、該ステンレス管をdが0.12mmになるようにして圧延して、その横断面に狭窄部3と膨出部4とを形成した。前記ステンレス管の内表面には不活性薄膜被覆層が形成されておらず、前記固定相も形成されていない。
【0029】
次に、前記狭窄部3と膨出部4とが形成されたステンレス管の内面に、SiOからなる不活性薄膜被覆層と、ポリジメチルシロキサンからなる固定相とを形成し、キャピラリーカラム1を得た。
【0030】
本実施例で得られたキャピラリーカラム1は、dが0.12mm、dが0.18mm、Lが1.72mmであり、d/dが1.5、L/dが14.33であった。
【0031】
次に、本実施例のキャピラリーカラム1を用いて、複数の有機化合物をヘキサンに溶解した溶液を試料としてガスクロマトグラフィーを行った。前記試料は、飽和炭化水素化合物としてウンデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、アルコール化合物として1−デカノール、フェノール化合物として4−クロロフェノール、アミン化合物として1−デシルアミン、芳香族化合物としてアセナフチレン、エステル化合物としてメチルカプレートを、それぞれ約500ppmの濃度で含む。前記ガスクロマトグラフィーは、カラム長を20m、恒温槽の温度を140℃とし、キャリアガスとしてヘリウムを3.0ml/分の流量で流通させた。このとき、最適線速度は20.2cm/秒であり、理論段数は分配比4.82の成分について2775段/mであった。
【0032】
次に、本実施例で得られたキャピラリーカラム1の試料負荷容量を算出した。前記試料負荷容量は、本実施例のキャピラリーカラム1のdを近似的に0.25mmとし、内径0.25mmの円形キャピラリーカラム5の試料負荷容量を1.0として、これと比較することにより算出した。この結果、本実施例のキャピラリーカラム1は、前記内径0.25mmの円形キャピラリーカラム5に対し、27.6の試料負荷容量を備えていた。
【0033】
と理論段数との関係を図3に、dと理論段数との関係を図4に、d/dと理論段数との関係を図5に、L/dと理論段数との関係を図6にそれぞれ示す。
【0034】
また、得られたクロマトグラムを図7に示す。図7において、ピークaはヘキサン、ピークbはウンデカン、ピークcは4−クロロフェノール、ピークdは1−デシルアミン、ピークeはトリデカン、ピークfはメチルカプレート、ピークgはテトラデカン、ピークhはアセナフチレン、ピークiは1−デカノール、ピークjはペンタデカンである。
【0035】
〔実施例2〕
本実施例では、内径1.2mmのステンレス管をdが0.1mmになるようにして圧延した以外は、実施例1と全く同一にして、キャピラリーカラム1を得た。本実施例のキャピラリーカラム1は、dが0.1mm、dが0.20mm、Lが1.72mmであり、d/dが2.0、L/dが17.2であった。
【0036】
次に、本実施例のキャピラリーカラム1を用いた以外は、実施例1と全く同一にして、ガスクロマトグラフィーを行った。このとき、最適線速度は20.8cm/秒であり、理論段数は分配比5.0の成分について1650段/mであった。
【0037】
次に、実施例1と全く同一にして、本実施例で得られたキャピラリーカラム1の試料負荷容量を算出した。この結果、本実施例のキャピラリーカラム1は、前記内径0.25mmの円形キャピラリーカラム5に対し、35.8の試料負荷容量を備えていた。
【0038】
と理論段数との関係を図3に、dと理論段数との関係を図4に、d/dと理論段数との関係を図5に、L/dと理論段数との関係を図6にそれぞれ示す。
【0039】
また、得られたクロマトグラムを図8に示す。図8において、ピークa,b,e,f,g,h,jは、それぞれ図7と同一の化合物を示す。
【0040】
〔実施例3〕
本実施例では、内径1.2mmのステンレス管をdが0.14mmになるようにして圧延した以外は、実施例1と全く同一にして、キャピラリーカラム1を得た。本実施例のキャピラリーカラム1は、dが0.14mm、dが0.20mm、Lが1.7mmであり、d/dが1.43、L/dが12.14であった。
【0041】
次に、本実施例のキャピラリーカラム1を用いた以外は、実施例1と全く同一にして、ガスクロマトグラフィーを行った。このとき、最適線速度は20.3cm/秒であり、理論段数は分配比4.56の成分について1970段/mであった。
【0042】
次に、実施例1と全く同一にして、本実施例で得られたキャピラリーカラム1の試料負荷容量を算出した。この結果、本実施例のキャピラリーカラム1は、前記内径0.25mmの円形キャピラリーカラム5に対し、32.8の試料負荷容量を備えていた。
【0043】
と理論段数との関係を図3に、dと理論段数との関係を図4に、d/dと理論段数との関係を図5に、L/dと理論段数との関係を図6にそれぞれ示す。
【0044】
また、得られたクロマトグラムを図9に示す。図9において、ピークa,b,e,f,g,h,jは、それぞれ図7と同一の化合物を示す。
【0045】
〔実施例4〕
本実施例では、内径1.2mmのステンレス管をdが0.18mmになるようにして圧延した以外は、実施例1と全く同一にして、キャピラリーカラム1を得た。本実施例のキャピラリーカラム1は、dが0.18mm、dが0.23mm、Lが1.7mmであり、d/dが1.28、L/d9.44であった。
【0046】
次に、本実施例のキャピラリーカラム1を用いた以外は、実施例1と全く同一にして、ガスクロマトグラフィーを行った。このとき、最適線速度は18.1cm/秒であり、理論段数は分配比4.23の成分について1885段/mであった。
【0047】
次に、実施例1と全く同一にして、本実施例で得られたキャピラリーカラム1の試料負荷容量を算出した。この結果、本実施例のキャピラリーカラム1は、前記内径0.25mmの円形キャピラリーカラム5に対し、33.5の試料負荷容量を備えていた。
【0048】
と理論段数との関係を図3に、dと理論段数との関係を図4に、d/dと理論段数との関係を図5に、L/dと理論段数との関係を図6にそれぞれ示す。
【0049】
また、得られたクロマトグラムを図10に示す。図10において、ピークa,b,e,f,g,h,jは、それぞれ図7と同一の化合物を示す。
【0050】
〔実施例5〕
本実施例では、内径1.2mmのステンレス管をdが0.28mmになるようにして圧延した以外は、実施例1と全く同一にして、キャピラリーカラム1を得た。本実施例のキャピラリーカラム1は、dが0.28mm、dが0.30mm、Lが1.75mmであり、d/dが1.07、L/dが6.25であった。
【0051】
次に、本実施例のキャピラリーカラム1を用いた以外は、実施例1と全く同一にして、ガスクロマトグラフィーを行った。このとき、最適線速度は18.9cm/秒であり、理論段数は分配比4.05の成分について1352段/mであった。
【0052】
次に、実施例1と全く同一にして、本実施例で得られたキャピラリーカラム1の試料負荷容量を算出した。この結果、本実施例のキャピラリーカラム1は、前記内径0.25mmの円形キャピラリーカラム5に対し、39.6の試料負荷容量を備えていた。
【0053】
と理論段数との関係を図3に、dと理論段数との関係を図4に、d/dと理論段数との関係を図5に、L/dと理論段数との関係を図6にそれぞれ示す。
【0054】
また、得られたクロマトグラムを図11に示す。図11において、ピークa,b,e,f,g,h,jは、それぞれ図7と同一の化合物を示す。
【0055】
〔実施例6〕
本実施例では、ステンレス管をdが0.14mmになるようにして圧延した以外は、実施例1と全く同一にして、キャピラリーカラム1を得た。本実施例のキャピラリーカラム1は、dが0.14mm、dが0.23mm、Lが1.74mmであり、d/dが1.64、L/dが12.43であった。
【0056】
次に、本実施例のキャピラリーカラム1を用いた以外は、実施例1と全く同一にして、ガスクロマトグラフィーを行った。このとき、最適線速度における理論段数は2100段/mであった。
【0057】
次に、実施例1と全く同一にして、本実施例で得られたキャピラリーカラム1の試料負荷容量を算出した。この結果、本実施例のキャピラリーカラム1は、前記内径0.25mmの円形キャピラリーカラム5に対し、31.7の試料負荷容量を備えていた。
【0058】
と理論段数との関係を図3に、dと理論段数との関係を図4に、d/dと理論段数との関係を図5に、L/dと理論段数との関係を図6にそれぞれ示す。
【0059】
〔実施例7〕
本実施例では、内径0.5mmのステンレス管をdが0.17mmになるようにして圧延した以外は、実施例1と全く同一にして、キャピラリーカラム1を得た。本実施例のキャピラリーカラム1は、dが0.17mm、dが0.30mm、Lが1.74mmであり、d/dが1.76、L/dが10.24であった。
【0060】
次に、本実施例のキャピラリーカラム1を用いた以外は、実施例1と全く同一にして、ガスクロマトグラフィーを行った。このとき、最適線速度における理論段数は1263段/mであった。
【0061】
次に、実施例1と全く同一にして、本実施例で得られたキャピラリーカラム1の試料負荷容量を算出した。この結果、本実施例のキャピラリーカラム1は、前記内径0.25mmの円形キャピラリーカラム5に対し、5.0の試料負荷容量を備えていた。
【0062】
と理論段数との関係を図3に、dと理論段数との関係を図4に、d/dと理論段数との関係を図5に、L/dと理論段数との関係を図6にそれぞれ示す。
【0067】
〔比較例1〕
本比較例では、内径1.2mmのステンレス管をdが0.07mmになるようにして圧延した以外は、実施例1と全く同一にして、キャピラリーカラム1を得た。本比較例のキャピラリーカラム1は、dが0.07mm、dが0.19mm、Lが1.73mmであり、d/dが2.71、L/dが24.71であった。
【0068】
次に、本比較例のキャピラリーカラム1を用いた以外は、実施例1と全く同一にして、ガスクロマトグラフィーを行った。このとき、最適線速度における理論段数は266段/mであった。
【0069】
次に、実施例1と全く同一にして、本比較例で得られたキャピラリーカラム1の試料負荷容量を算出した。この結果、本比較例のキャピラリーカラム1は、前記内径0.25mmの円形キャピラリーカラム5に対し、89.2の試料負荷容量を備えていた。
【0070】
と理論段数との関係を図3に、dと理論段数との関係を図4に、d/dと理論段数との関係を図5に、L/dと理論段数との関係を図6にそれぞれ示す。
【0071】
〔比較例2〕
本比較例では、内径1.2mmのステンレス管をdが0.01mmになるようにして圧延した以外は、実施例1と全く同一にして、キャピラリーカラム1を得た。本比較例のキャピラリーカラム1は、dが0.01mm、dが0.14mm、Lが1.79mmであり、d/dが14.0、L/dが179.0であった。
【0072】
次に、本比較例のキャピラリーカラム1を用いた以外は、実施例1と全く同一にして、ガスクロマトグラフィーを行った。このとき、最適線速度における理論段数は87段/mであった。
【0073】
次に、実施例1と全く同一にして、本比較例で得られたキャピラリーカラム1の試料負荷容量を算出した。この結果、本比較例のキャピラリーカラム1は、前記内径0.25mmの円形キャピラリーカラム5に対し、156.2の試料負荷容量を備えていた。
【0074】
と理論段数との関係を図3に、dと理論段数との関係を図4に、d/dと理論段数との関係を図5に、L/dと理論段数との関係を図6にそれぞれ示す。
【0075】
〔比較例3〕
本比較例では、内径1.2mmのステンレス管をdが0.01mmになるようにして圧延した以外は、実施例1と全く同一にして、キャピラリーカラム1を得た。本比較例のキャピラリーカラム1は、dが0.01mm、dが0.22mm、Lが1.80mmであり、d/dが22.0、L/dが180.0であった。
【0076】
次に、本比較例のキャピラリーカラム1を用いた以外は、実施例1と全く同一にして、ガスクロマトグラフィーを行った。このとき、最適線速度における理論段数は150段/mであった。
【0077】
次に、実施例1と全く同一にして、本比較例で得られたキャピラリーカラム1の試料負荷容量を算出した。この結果、本比較例のキャピラリーカラム1は、前記内径0.25mmの円形キャピラリーカラム5に対し、118.8の試料負荷容量を備えていた。
【0078】
と理論段数との関係を図3に、dと理論段数との関係を図4に、d/dと理論段数との関係を図5に、L/dと理論段数との関係を図6にそれぞれ示す。
【0079】
〔比較例4〕
本比較例では、内径1.2mmのステンレス管をdが0.45mmになるようにして圧延した以外は、実施例1と全く同一にして、キャピラリーカラム1を得た。本比較例のキャピラリーカラム1は、dが0.45mm、dが0.50mm、Lが1.44mmであり、d/dが1.11、L/dが3.20であった。
【0080】
次に、本比較例のキャピラリーカラム1を用いた以外は、実施例1と全く同一にして、ガスクロマトグラフィーを行った。このとき、最適線速度における理論段数は750段/mであった。
【0081】
次に、実施例1と全く同一にして、本比較例で得られたキャピラリーカラム1の試料負荷容量を算出した。この結果、本比較例のキャピラリーカラム1は、前記内径0.25mmの円形キャピラリーカラム5に対し、53.1の試料負荷容量を備えていた。
【0082】
と理論段数との関係を図3に、dと理論段数との関係を図4に、d/dと理論段数との関係を図5に、L/dと理論段数との関係を図6にそれぞれ示す。
【0083】
実施例1〜8のキャピラリーカラム1は、dが0.1〜0.3mmの範囲、dが0.1〜0.3mmの範囲、Lが0.7〜2mmの範囲、d/dが1〜3の範囲、L/dが6〜20の範囲であることにより、図3〜6に示すように、最適線速度における理論段数を1263〜2775段/mの範囲とすることができる。また、実施例1〜8のキャピラリーカラム1は、上述のように、内径0.25mmの円形キャピラリーカラム5の試料負荷容量を1.0とするときに、3.8〜39.6の範囲の試料負荷容量を得ることができる。従って、実施例1〜8のキャピラリーカラム1によれば、高い分解能と高い試料負荷容量とを兼ね備えることができることが明らかである。
【0084】
これに対して、dが0.1mm未満である比較例1〜3のキャピラリーカラム1では、89.2〜156.0の範囲の高い試料負荷容量を備えるにも拘わらず、最適線速度における理論段数は87〜266段/mの範囲であり、十分な分解能を得ることができないことが明らかである。また、dが0.3mmを超える比較例4のキャピラリーカラム1も、53.1の高い試料負荷容量を備えるにも拘わらず、最適線速度における理論段数は750段/mであり、十分な分解能を得ることができないことが明らかである。
【符号の説明】
【0085】
1…キャピラリーカラム、 2…ステンレス管、 3…狭窄部、 4…膨出部。
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