【実施例】
【0028】
〔実施例1〕
本実施例では、
図2において、円形キャピラリーカラム5に代えて、内径1.2mmのステンレス管を用い、該ステンレス管をd
1が0.12mmになるようにして圧延して、その横断面に狭窄部3と膨出部4とを形成した。前記ステンレス管の内表面には不活性薄膜被覆層が形成されておらず、前記固定相も形成されていない。
【0029】
次に、前記狭窄部3と膨出部4とが形成されたステンレス管の内面に、SiO
2からなる不活性薄膜被覆層と、ポリジメチルシロキサンからなる固定相とを形成し、キャピラリーカラム1を得た。
【0030】
本実施例で得られたキャピラリーカラム1は、d
1が0.12mm、d
2が0.18mm、Lが1.72mmであり、d
2/d
1が1.5、L/d
1が14.33であった。
【0031】
次に、本実施例のキャピラリーカラム1を用いて、複数の有機化合物をヘキサンに溶解した溶液を試料としてガスクロマトグラフィーを行った。前記試料は、飽和炭化水素化合物としてウンデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、アルコール化合物として1−デカノール、フェノール化合物として4−クロロフェノール、アミン化合物として1−デシルアミン、芳香族化合物としてアセナフチレン、エステル化合物としてメチルカプレートを、それぞれ約500ppmの濃度で含む。前記ガスクロマトグラフィーは、カラム長を20m、恒温槽の温度を140℃とし、キャリアガスとしてヘリウムを3.0ml/分の流量で流通させた。このとき、最適線速度は20.2cm/秒であり、理論段数は分配比4.82の成分について2775段/mであった。
【0032】
次に、本実施例で得られたキャピラリーカラム1の試料負荷容量を算出した。前記試料負荷容量は、本実施例のキャピラリーカラム1のd
2を近似的に0.25mmとし、内径0.25mmの円形キャピラリーカラム5の試料負荷容量を1.0として、これと比較することにより算出した。この結果、本実施例のキャピラリーカラム1は、前記内径0.25mmの円形キャピラリーカラム5に対し、27.6の試料負荷容量を備えていた。
【0033】
d
1と理論段数との関係を
図3に、d
2と理論段数との関係を
図4に、d
2/d
1と理論段数との関係を
図5に、L/d
1と理論段数との関係を
図6にそれぞれ示す。
【0034】
また、得られたクロマトグラムを
図7に示す。
図7において、ピークaはヘキサン、ピークbはウンデカン、ピークcは4−クロロフェノール、ピークdは1−デシルアミン、ピークeはトリデカン、ピークfはメチルカプレート、ピークgはテトラデカン、ピークhはアセナフチレン、ピークiは1−デカノール、ピークjはペンタデカンである。
【0035】
〔実施例2〕
本実施例では、内径1.2mmのステンレス管をd
1が0.1mmになるようにして圧延した以外は、実施例1と全く同一にして、キャピラリーカラム1を得た。本実施例のキャピラリーカラム1は、d
1が0.1mm、d
2が0.20mm、Lが1.72mmであり、d
2/d
1が2.0、L/d
1が17.2であった。
【0036】
次に、本実施例のキャピラリーカラム1を用いた以外は、実施例1と全く同一にして、ガスクロマトグラフィーを行った。このとき、最適線速度は20.8cm/秒であり、理論段数は分配比5.0の成分について1650段/mであった。
【0037】
次に、実施例1と全く同一にして、本実施例で得られたキャピラリーカラム1の試料負荷容量を算出した。この結果、本実施例のキャピラリーカラム1は、前記内径0.25mmの円形キャピラリーカラム5に対し、35.8の試料負荷容量を備えていた。
【0038】
d
1と理論段数との関係を
図3に、d
2と理論段数との関係を
図4に、d
2/d
1と理論段数との関係を
図5に、L/d
1と理論段数との関係を
図6にそれぞれ示す。
【0039】
また、得られたクロマトグラムを
図8に示す。
図8において、ピークa,b,e,f,g,h,jは、それぞれ
図7と同一の化合物を示す。
【0040】
〔実施例3〕
本実施例では、内径1.2mmのステンレス管をd
1が0.14mmになるようにして圧延した以外は、実施例1と全く同一にして、キャピラリーカラム1を得た。本実施例のキャピラリーカラム1は、d
1が0.14mm、d
2が0.20mm、Lが1.7mmであり、d
2/d
1が1.43、L/d
1が12.14であった。
【0041】
次に、本実施例のキャピラリーカラム1を用いた以外は、実施例1と全く同一にして、ガスクロマトグラフィーを行った。このとき、最適線速度は20.3cm/秒であり、理論段数は分配比4.56の成分について1970段/mであった。
【0042】
次に、実施例1と全く同一にして、本実施例で得られたキャピラリーカラム1の試料負荷容量を算出した。この結果、本実施例のキャピラリーカラム1は、前記内径0.25mmの円形キャピラリーカラム5に対し、32.8の試料負荷容量を備えていた。
【0043】
d
1と理論段数との関係を
図3に、d
2と理論段数との関係を
図4に、d
2/d
1と理論段数との関係を
図5に、L/d
1と理論段数との関係を
図6にそれぞれ示す。
【0044】
また、得られたクロマトグラムを
図9に示す。
図9において、ピークa,b,e,f,g,h,jは、それぞれ
図7と同一の化合物を示す。
【0045】
〔実施例4〕
本実施例では、内径1.2mmのステンレス管をd
1が0.18mmになるようにして圧延した以外は、実施例1と全く同一にして、キャピラリーカラム1を得た。本実施例のキャピラリーカラム1は、d
1が0.18mm、d
2が0.23mm、Lが1.7mmであり、d
2/d
1が1.28、L/d
1が
9.44であった。
【0046】
次に、本実施例のキャピラリーカラム1を用いた以外は、実施例1と全く同一にして、ガスクロマトグラフィーを行った。このとき、最適線速度は18.1cm/秒であり、理論段数は分配比4.23の成分について1885段/mであった。
【0047】
次に、実施例1と全く同一にして、本実施例で得られたキャピラリーカラム1の試料負荷容量を算出した。この結果、本実施例のキャピラリーカラム1は、前記内径0.25mmの円形キャピラリーカラム5に対し、33.5の試料負荷容量を備えていた。
【0048】
d
1と理論段数との関係を
図3に、d
2と理論段数との関係を
図4に、d
2/d
1と理論段数との関係を
図5に、L/d
1と理論段数との関係を
図6にそれぞれ示す。
【0049】
また、得られたクロマトグラムを
図10に示す。
図10において、ピークa,b,e,f,g,h,jは、それぞれ
図7と同一の化合物を示す。
【0050】
〔実施例5〕
本実施例では、内径1.2mmのステンレス管をd
1が0.28mmになるようにして圧延した以外は、実施例1と全く同一にして、キャピラリーカラム1を得た。本実施例のキャピラリーカラム1は、d
1が0.28mm、d
2が0.30mm、Lが1.75mmであり、d
2/d
1が1.07、L/d
1が6.25であった。
【0051】
次に、本実施例のキャピラリーカラム1を用いた以外は、実施例1と全く同一にして、ガスクロマトグラフィーを行った。このとき、最適線速度は18.9cm/秒であり、理論段数は分配比4.05の成分について1352段/mであった。
【0052】
次に、実施例1と全く同一にして、本実施例で得られたキャピラリーカラム1の試料負荷容量を算出した。この結果、本実施例のキャピラリーカラム1は、前記内径0.25mmの円形キャピラリーカラム5に対し、39.6の試料負荷容量を備えていた。
【0053】
d
1と理論段数との関係を
図3に、d
2と理論段数との関係を
図4に、d
2/d
1と理論段数との関係を
図5に、L/d
1と理論段数との関係を
図6にそれぞれ示す。
【0054】
また、得られたクロマトグラムを
図11に示す。
図11において、ピークa,b,e,f,g,h,jは、それぞれ
図7と同一の化合物を示す。
【0055】
〔実施例6〕
本実施例では、ステンレス管をd
1が0.14mmになるようにして圧延した以外は、実施例1と全く同一にして、キャピラリーカラム1を得た。本実施例のキャピラリーカラム1は、d
1が0.14mm、d
2が0.23mm、Lが1.74mmであり、d
2/d
1が1.64、L/d
1が12.43であった。
【0056】
次に、本実施例のキャピラリーカラム1を用いた以外は、実施例1と全く同一にして、ガスクロマトグラフィーを行った。このとき、最適線速度における理論段数は2100段/mであった。
【0057】
次に、実施例1と全く同一にして、本実施例で得られたキャピラリーカラム1の試料負荷容量を算出した。この結果、本実施例のキャピラリーカラム1は、前記内径0.25mmの円形キャピラリーカラム5に対し、31.7の試料負荷容量を備えていた。
【0058】
d
1と理論段数との関係を
図3に、d
2と理論段数との関係を
図4に、d
2/d
1と理論段数との関係を
図5に、L/d
1と理論段数との関係を
図6にそれぞれ示す。
【0059】
〔実施例7〕
本実施例では、内径0.5mmのステンレス管をd
1が0.17mmになるようにして圧延した以外は、実施例1と全く同一にして、キャピラリーカラム1を得た。本実施例のキャピラリーカラム1は、d
1が0.17mm、d
2が0.30mm、Lが1.74mmであり、d
2/d
1が1.76、L/d
1が10.24であった。
【0060】
次に、本実施例のキャピラリーカラム1を用いた以外は、実施例1と全く同一にして、ガスクロマトグラフィーを行った。このとき、最適線速度における理論段数は1263段/mであった。
【0061】
次に、実施例1と全く同一にして、本実施例で得られたキャピラリーカラム1の試料負荷容量を算出した。この結果、本実施例のキャピラリーカラム1は、前記内径0.25mmの円形キャピラリーカラム5に対し、5.0の試料負荷容量を備えていた。
【0062】
d
1と理論段数との関係を
図3に、d
2と理論段数との関係を
図4に、d
2/d
1と理論段数との関係を
図5に、L/d
1と理論段数との関係を
図6にそれぞれ示す。
【0067】
〔比較例1〕
本比較例では、内径1.2mmのステンレス管をd
1が0.07mmになるようにして圧延した以外は、実施例1と全く同一にして、キャピラリーカラム1を得た。本比較例のキャピラリーカラム1は、d
1が0.07mm、d
2が0.19mm、Lが1.73mmであり、d
2/d
1が2.71、L/d
1が24.71であった。
【0068】
次に、本比較例のキャピラリーカラム1を用いた以外は、実施例1と全く同一にして、ガスクロマトグラフィーを行った。このとき、最適線速度における理論段数は266段/mであった。
【0069】
次に、実施例1と全く同一にして、本比較例で得られたキャピラリーカラム1の試料負荷容量を算出した。この結果、本比較例のキャピラリーカラム1は、前記内径0.25mmの円形キャピラリーカラム5に対し、89.2の試料負荷容量を備えていた。
【0070】
d
1と理論段数との関係を
図3に、d
2と理論段数との関係を
図4に、d
2/d
1と理論段数との関係を
図5に、L/d
1と理論段数との関係を
図6にそれぞれ示す。
【0071】
〔比較例2〕
本比較例では、内径1.2mmのステンレス管をd
1が0.01mmになるようにして圧延した以外は、実施例1と全く同一にして、キャピラリーカラム1を得た。本比較例のキャピラリーカラム1は、d
1が0.01mm、d
2が0.14mm、Lが1.79mmであり、d
2/d
1が14.0、L/d
1が179.0であった。
【0072】
次に、本比較例のキャピラリーカラム1を用いた以外は、実施例1と全く同一にして、ガスクロマトグラフィーを行った。このとき、最適線速度における理論段数は87段/mであった。
【0073】
次に、実施例1と全く同一にして、本比較例で得られたキャピラリーカラム1の試料負荷容量を算出した。この結果、本比較例のキャピラリーカラム1は、前記内径0.25mmの円形キャピラリーカラム5に対し、156.2の試料負荷容量を備えていた。
【0074】
d
1と理論段数との関係を
図3に、d
2と理論段数との関係を
図4に、d
2/d
1と理論段数との関係を
図5に、L/d
1と理論段数との関係を
図6にそれぞれ示す。
【0075】
〔比較例3〕
本比較例では、内径1.2mmのステンレス管をd
1が0.01mmになるようにして圧延した以外は、実施例1と全く同一にして、キャピラリーカラム1を得た。本比較例のキャピラリーカラム1は、d
1が0.01mm、d
2が0.22mm、Lが1.80mmであり、d
2/d
1が22.0、L/d
1が180.0であった。
【0076】
次に、本比較例のキャピラリーカラム1を用いた以外は、実施例1と全く同一にして、ガスクロマトグラフィーを行った。このとき、最適線速度における理論段数は150段/mであった。
【0077】
次に、実施例1と全く同一にして、本比較例で得られたキャピラリーカラム1の試料負荷容量を算出した。この結果、本比較例のキャピラリーカラム1は、前記内径0.25mmの円形キャピラリーカラム5に対し、118.8の試料負荷容量を備えていた。
【0078】
d
1と理論段数との関係を
図3に、d
2と理論段数との関係を
図4に、d
2/d
1と理論段数との関係を
図5に、L/d
1と理論段数との関係を
図6にそれぞれ示す。
【0079】
〔比較例4〕
本比較例では、内径1.2mmのステンレス管をd
1が0.45mmになるようにして圧延した以外は、実施例1と全く同一にして、キャピラリーカラム1を得た。本比較例のキャピラリーカラム1は、d
1が0.45mm、d
2が0.50mm、Lが1.44mmであり、d
2/d
1が1.11、L/d
1が3.20であった。
【0080】
次に、本比較例のキャピラリーカラム1を用いた以外は、実施例1と全く同一にして、ガスクロマトグラフィーを行った。このとき、最適線速度における理論段数は750段/mであった。
【0081】
次に、実施例1と全く同一にして、本比較例で得られたキャピラリーカラム1の試料負荷容量を算出した。この結果、本比較例のキャピラリーカラム1は、前記内径0.25mmの円形キャピラリーカラム5に対し、53.1の試料負荷容量を備えていた。
【0082】
d
1と理論段数との関係を
図3に、d
2と理論段数との関係を
図4に、d
2/d
1と理論段数との関係を
図5に、L/d
1と理論段数との関係を
図6にそれぞれ示す。
【0083】
実施例1〜8のキャピラリーカラム1は、d
1が0.1〜0.3mmの範囲、d
2が0.1〜0.3mmの範囲、Lが0.7〜2mmの範囲、d
2/d
1が1〜3の範囲、L/d
1が6〜20の範囲であることにより、
図3〜6に示すように、最適線速度における理論段数を1263〜2775段/mの範囲とすることができる。また、実施例1〜8のキャピラリーカラム1は、上述のように、内径0.25mmの円形キャピラリーカラム5の試料負荷容量を1.0とするときに、3.8〜39.6の範囲の試料負荷容量を得ることができる。従って、実施例1〜8のキャピラリーカラム1によれば、高い分解能と高い試料負荷容量とを兼ね備えることができることが明らかである。
【0084】
これに対して、d
1が0.1mm未満である比較例1〜3のキャピラリーカラム1では、89.2〜156.0の範囲の高い試料負荷容量を備えるにも拘わらず、最適線速度における理論段数は87〜266段/mの範囲であり、十分な分解能を得ることができないことが明らかである。また、d
1が0.3mmを超える比較例4のキャピラリーカラム1も、53.1の高い試料負荷容量を備えるにも拘わらず、最適線速度における理論段数は750段/mであり、十分な分解能を得ることができないことが明らかである。