特許第6045946号(P6045946)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6045946基板処理装置、プログラムおよび記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6045946
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】基板処理装置、プログラムおよび記録媒体
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20161206BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20161206BHJP
   H01L 21/02 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   H01L21/68 A
   H01L21/304 648A
   H01L21/304 648D
   H01L21/304 648G
   H01L21/02 Z
【請求項の数】11
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-48988(P2013-48988)
(22)【出願日】2013年3月12日
(65)【公開番号】特開2014-33180(P2014-33180A)
(43)【公開日】2014年2月20日
【審査請求日】2015年12月15日
(31)【優先権主張番号】特願2012-157717(P2012-157717)
(32)【優先日】2012年7月13日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】山本 真弘
【審査官】 山口 大志
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−203610(JP,A)
【文献】 特開2001−210700(JP,A)
【文献】 特開2012−114448(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
H01L 21/02
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する基板処理装置であって、
基板を搬入または搬出するための開口が形成される密封容器と、
前記開口を開閉する開閉部と、
前記基板に対して所定の処理を行う処理部と、
前記密封容器から基板を搬出する、または、前記密封容器に基板を搬入する基板搬送部と、
前記処理部における基板の処理時間に応じて、前記開閉部が前記開口を開閉する時間、および、前記基板搬送部が前記密封容器から基板を搬出する、または、前記密封容器に基板を搬入する時間を規定したスケジュールを作成するスケジュール作成部と、
前記スケジュールに基づいて、前記開閉部および前記基板搬送部に動作の実行を指示する実行指示部と
を備えている、基板処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記スケジュール作成部は、
前記開口が開閉部によって開放されている状態において、次に前記基板搬送部が前記密封容器から基板を搬出し始める、または、前記密封容器に基板を搬入し始めるまでの時間幅が、前記開閉部の閉動作に要する時間幅および前記開閉部の開動作に要する時間幅の合計時間幅よりも長い場合に、前記開閉部が前記開口を閉じるように前記スケジュールを作成する、基板処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の基板処理装置において、
前記スケジュール作成部は、
前記開口が前記開閉部によって閉じられている状態において、次に前記基板搬送部が前記密封容器から基板を搬出し始める、または、前記密封容器に基板を搬入し始める時間よりも、前記開閉部による開動作に要する時間幅以上に早いタイミングで、前記開閉部が前記開口の開放を開始するように前記スケジュールを作成する、基板処理装置。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか1項に記載の基板処理装置において、
不活性ガスを前記容器内に供給する不活性ガス供給部と、
前記密封容器内の不活性ガス濃度を取得する濃度取得部と、
をさらに備え、
前記スケジュール作成部は、
前記濃度取得部によって取得される前記不活性ガス濃度が、所定の基準値を下回る場合に、前記開閉部によって前記開口が閉じられるように前記スケジュールを作成する、基板処理装置。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか1項に記載の基板処理装置において、
前記開閉部は、
前記開口を閉じる第一開閉部と、
前記開口を閉じるとともに、前記開口を閉じた際に、前記第一開閉部によって前記開口を閉じたときよりも、前記密封容器の密封度が低くなる第二開閉部と、
を有し、
前記スケジュール作成部は、
前記第二開閉部の開閉動作のタイミングを規定したスケジュールを作成する、基板処理装置。
【請求項6】
コンピュータが読み取り可能なプログラムであって、前記コンピュータが前記プログラムを実行することによって、前記コンピュータを、
基板を搬入または搬出するための開口が形成される密封容器と、
前記開口を開閉する開閉部と、
前記基板に対して所定の処理を行う処理部と、
前記密封容器から基板を搬出する、または、前記密封容器に基板を搬入する基板搬送部と、
を備えている基板処理装置において、
前記処理部における基板の処理時間に応じて、前記開閉部が前記開口を開閉するタイミング、および、前記基板搬送部が前記密封容器から基板を搬出する、または、前記密封容器に基板を搬入する時間を規定したスケジュールを作成するスケジュール作成部、として機能させるプログラム。
【請求項7】
プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
前記コンピュータが前記プログラムを実行することによって、前記コンピュータに、
密閉容器に形成された開口を開閉することによって、基板の搬入または搬出を可能にする開閉部と、前記開口を介して基板を搬入または搬出する基板搬送部と、基板に対して所定の処理を行う処理部とを備えた基板処理装置において
(a) 前記処理部において、基板に対する処理を行う処理スケジュールを作成する工程と、
(b) 前記処理スケジュールに基づいて、前記開閉部が前記密閉容器の前記開口を開閉するタイミングを決定する工程と、
実行させる記録媒体
【請求項8】
請求項7に記載の記録媒体において、
前記(b)工程は、
前記開口が前記開閉部によって開放されている状態において、次に前記基板搬送部が前記密封容器から基板を搬出し始める、または、前記密封容器に基板を搬入し始めるまでの時間幅が、前記開閉部の閉動作に要する時間幅および前記開閉部の開動作に要する時間幅の合計時間幅よりも長い場合に、前記開閉部が前記開口部を閉じるように前記タイミングを決定する工程である、記録媒体
【請求項9】
請求項7または8に記載の記録媒体おいて、
前記(b)工程は、
前記開口が前記開閉部によって閉じられている状態において、次に前記基板搬送部が前記密封容器から基板を搬出し始める、または、前記密封容器に基板を搬入し始める時間よりも、前記開閉部による開動作に要する時間幅以上に早いタイミングで、前記開閉部が前記開口の開放を開始するように前記タイミングを決定する工程である、記録媒体
【請求項10】
請求項7から9までのいずれか1項に記載の記録媒体において、
前記基板処理装置は、不活性ガスを前記容器内に供給する不活性ガス供給部と、
前記密封容器内の不活性ガス濃度を取得する濃度取得部と、
を備えており、
前記(b)工程は、
前記濃度取得部によって取得される前記不活性ガス濃度が、所定の基準値を下回る場合に、前記開閉部によって前記開口が閉じられるように、前記タイミングを作成する工程である、記録媒体
【請求項11】
請求項7から10までのいずれか1項に記載の記録媒体において、
前記開閉部は、
前記開口を閉じる第一開閉部と、
前記開口を閉じるとともに、前記開口を閉じた際に、前記第一開閉部によって前記開口を閉じたときよりも、前記密封容器の密封度が低い第二開閉部と、
を有しており、
前記(b)工程は、
前記第二開閉部の開閉動作のタイミングを決定する工程である、記録媒体
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、処理部にて複数の基板を順次処理する技術に関し、特に複数の基板を収納する密封容器から基板を搬出する、または、該密封容器に基板を搬入する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体の製造工程においては、歩留まりや品質の向上のため、クリーンルーム内でウエハ(基板)の処理がなされている。しかしながら、半導体素子の高集積化や回路の微細化などの理由から、許容できる塵などの異物の大きさが極めて小さくなっている。このため、いわゆるミニエンバイロメントシステムが採用される場合がある。
【0003】
このミニエンバイロメントシステムでは、クリーンルーム全体が高清浄化されるのではなく、局所的に高洗浄空間が形成される。例えば、基板を納めたキャリアカセットが密封容器(例えば、FOUP:Front-Opening Unified Pod)に収納されることで、基板の各工程間(または各工程内)で搬送または保管が行われる。
【0004】
密封容器内の基板を基板処理装置(半導体製造装置)の処理部との間で出し入れすると共に、搬送装置との間で密封容器の受け渡しを行うロードポートと呼ばれるインターフェース部が知られている。クリーンルーム内において特に密封容器内と基板処理装置を超高清浄化し、密封容器と半導体製造装置との間の基板受け渡し空間を所定程度高清浄化することで、クリーンルームの建設コストまたは稼働コストが抑制される(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−232560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、一般的な基板処理の場合、プロセス開始時に密封容器が開放され、そのままプロセス完了後に密封容器の開口が閉鎖されたとしても、基板処理に特に問題は少ない。しかしながら、基板の種類によっては、開状態が継続することで、基板が酸化するなどのダメージを受けてしまう虞があった。
【0007】
この問題を回避するため、従来の半導体製造装置においては、1枚(または必要な枚数)の基板が密封容器から取り出されて一定時間経過した後、密封容器の開口を閉鎖し、搬送装置が次に基板を取りに来るまで密封容器を閉じておく、といった制御がなされる。しかしながら、この場合、上記一定時間が経過するまで、密封容器の開状態が継続することとなるため、基板がダメージを受けてしまう虞があった。密閉容器を開閉させるための開閉装置は、半導体製造装置とは独立した制御系になっていることが一般的である。そのため、搬送装置側から開閉装置側に、基板を搬出する、あるいは、基板を搬入する、という信号が送られた後、開閉装置が密閉容器の開閉動作を行う。このため、搬送装置が基板を密封容器から搬出したり、密封容器に搬入したりする際、密封容器の開口が開放されるまで、搬送装置を待機させる必要があった。したがって、このような搬送装置の待機時間が発生することによって、半導体製造装置の稼働率、すなわち、基板処理効率が低下する虞があった。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、基板処理効率が低下することを抑制し、かつ、密封容器の開放によって内部に収納された基板が受けるダメージを低減する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、第1の態様は、基板を処理する基板処理装置であって、基板を搬入または搬出するための開口が形成される密封容器と、前記開口を開閉する開閉部と、前記基板に対して所定の処理を行う処理部と、前記密封容器から基板を搬出する、または、前記密封容器に基板を搬入する基板搬送部と、前記処理部における基板の処理時間に応じて、前記開閉部が前記開口を開閉する時間、および、前記基板搬送部が前記密封容器から基板を搬出する、または、前記密封容器に基板を搬入する時間を規定したスケジュールを作成するスケジュール作成部と、前記スケジュールに基づいて、前記開閉部および前記基板搬送部に動作の実行を指示する実行指示部とを備えている。
【0010】
また、第2の態様は、第1の態様に係る基板処理装置において、前記スケジュール作成部は、前記開口が開閉部によって開放されている状態において、次に前記基板搬送部が前記密封容器から基板を搬出し始める、または、前記密封容器に基板を搬入し始めるまでの時間幅が、前記開閉部の閉動作に要する時間幅および前記開閉部の開動作に要する時間幅の合計時間幅よりも長い場合に、前記開閉部が前記開口を閉じるように前記スケジュールを作成する、基板処理装置。
【0011】
また、第3の態様は、第1または第2の態様に係る基板処理装置において、前記スケジュール作成部は、前記開口が前記開閉部によって閉じられている状態において、次に前記基板搬送部が前記密封容器から基板を搬出し始める、または、前記密封容器に基板を搬入し始める時間よりも、前記開閉部による開動作に要する時間幅以上に早いタイミングで、前記開閉部が前記開口の開放を開始するように前記スケジュールを作成する、基板処理装置。
【0012】
また、第4の態様は、第1から第3までの態様のいずれか1態様に係る基板処理装置において、不活性ガスを前記容器内に供給する不活性ガス供給部と、前記密封容器内の不活性ガス濃度を取得する濃度取得部とをさらに備え、前記スケジュール作成部は、前記濃度取得部によって取得される前記不活性ガス濃度が、所定の基準値を下回る場合に、前記開閉部によって前記開口が閉じられるように前記スケジュールを作成する、基板処理装置。
【0013】
また、第5の態様は、第1から第4までの態様のいずれか1態様に係る基板処理装置において、前記開閉部は、前記開口を閉じる第一開閉部と、前記開口を閉じるとともに、前記開口を閉じた際に、前記第一開閉部によって前記開口を閉じたときよりも、前記密封容器の密封度が低くなる第二開閉部とを有し、前記スケジュール作成部は、前記第二開閉部の開閉動作のタイミングを規定したスケジュールを作成する、基板処理装置。
【0014】
また、第6の態様は、コンピュータが読み取り可能なプログラムであって、前記コンピュータが前記プログラムを実行することによって、前記コンピュータを、基板を搬入または搬出するための開口が形成される密封容器と、前記開口を開閉する開閉部と、前記基板に対して所定の処理を行う処理部と、前記密封容器から基板を搬出する、または、前記密封容器に基板を搬入する基板搬送部とを備えている基板処理装置において、前記処理部における基板の処理時間に応じて、前記開閉部が前記開口を開閉するタイミング、および、前記基板搬送部が前記密封容器から基板を搬出する、または、前記密封容器に基板を搬入する時間を規定したスケジュールを作成するスケジュール作成部、として機能させる。
【0015】
また、第7の態様は、プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、前記コンピュータが前記プログラムを実行することによって、前記コンピュータに、密閉容器に形成された開口を開閉することによって、基板の搬入または搬出を可能にする開閉部と、前記開口を介して基板を搬入または搬出する基板搬送部と、基板に対して所定の処理を行う処理部とを備えた基板処理装置において、(a)前記処理部において、基板に対する処理を行う処理スケジュールを作成する工程と、(b)前記処理スケジュールに基づいて、前記開閉部が前記密閉容器の前記開口を開閉するタイミングを決定する工程と、を実行させる
【0016】
また、第8の態様は、第7の態様に係る記録媒体において、前記(b)工程は、前記開口が前記開閉部によって開放されている状態において、次に前記基板搬送部が前記密封容器から基板を搬出し始める、または、前記密封容器に基板を搬入し始めるまでの時間幅が、前記開閉部の閉動作に要する時間幅および前記開閉部の開動作に要する時間幅の合計時間幅よりも長い場合に、前記開閉部が前記開口部を閉じるように前記タイミングを決定する工程である。
【0017】
また、第9の態様は、第7または第8の態様に係る記録媒体において、前記(b)工程は、前記開口が前記開閉部によって閉じられている状態において、次に前記基板搬送部が前記密封容器から基板を搬出し始める、または、前記密封容器に基板を搬入し始める時間よりも、前記開閉部による開動作に要する時間幅以上に早いタイミングで、前記開閉部が前記開口の開放を開始するように前記タイミングを決定する工程である。
【0018】
また、第10の態様は、第7から第9までの態様のいずれか1態様に係る記録媒体において、前記基板処理装置は、不活性ガスを前記容器内に供給する不活性ガス供給部と、前記密封容器内の不活性ガス濃度を取得する濃度取得部と、を備えており、前記(b)工程は、前記濃度取得部によって取得される前記不活性ガス濃度が、所定の基準値を下回る場合に、前記開閉部によって前記開口が閉じられるように、前記タイミングを決定する工程である。
【0019】
また、第11の態様は、第7から第10までの態様のいずれか1態様に係る記録媒体において、前記開閉部は、前記開口を閉じる第一開閉部と、前記開口を閉じるとともに、前記開口を閉じた際に、前記第一開閉部によって前記開口を閉じたときよりも、前記密封容器の密封度が低い第二開閉部とを有しており、前記(b)工程は、前記第二開閉部の開閉動作のタイミングを決定する工程である。
【発明の効果】
【0020】
第1の態様に係る基板処理装置によると、密封容器の開口を開閉する時間を、予めスケジュールにて決めることができる。このため、基板の種類に応じて、密封容器が無駄に開放されることを予防することで、基板が受けるダメージを軽減することができる。また、密封容器から基板を搬出する、または、基板を搬入する時間に合わせて、密封容器を開けておくことで、基板の稼働率が低下することを抑制できる。
【0021】
第2の態様に係る基板処理装置によると、基板搬送部による、基板の搬出または搬入に支障がでないように、密封容器の開口を開閉することができる。このため、密封容器内の基板がダメージを受けることを軽減することができる。
【0022】
また、第3の態様に係る基板処理装置によると、基板搬送部が基板を取り出すために密封容器に侵入する前に、開口を確実に開放しておくことができる。このため、基板のとりだしを円滑に行うことができる。したがって、基板処理を高効率で行うことができる。
【0023】
第4の態様に係る基板処理装置によると、密封容器内の不活性ガス濃度を基準値以上に保つことができる。これにより、密封容器内の基板が受けるダメージを軽減できる。
【0024】
第5の態様に係る基板処理装置によると、第一開閉部を開放したままとして、第二開閉部で密封容器の開口の開閉を行うことによって、開口の開閉を簡易に行うことができる。これにより、開動作に要する時間幅または閉動作に要する時間幅を短縮できるため、スケジュール作成の自由度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】実施形態に係る基板処理装置の概略平面図である。
図2】基板処理装置の概略側面図である。
図3】容器載置部に載置されている密封容器を示す概略断面図である。
図4】制御部のハードウエア構成を示すブロック図である。
図5】基板処理装置の構成を示すブロック図である。
図6】基板処理装置の動作の一例を示す流れ図である。
図7】仮タイムテーブルに規定された、基板処理装置の動作の流れを示すタイムチャートである。
図8】基板処理動作が規定されたスケジュールの一例を示すタイムチャートである。
図9】開閉動作の時間が規定されたスケジュールの一例を示すタイムチャートである。
図10】開閉動作の時間が規定された他のスケジュールの例を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であり、本発明の技術的範囲を限定する事例ではない。また、図面においては、理解容易のため、各部の寸法や数が誇張または簡略化して図示されている場合がある。
【0027】
<1. 実施形態>
<1.1. 基板処理装置の構成および機能>
図1は、実施形態に係る基板処理装置1の概略平面図である。また、図2は、基板処理装置1の概略側面図である。図1および以降の各図においては、各要素の位置関係を明確にするため、XYZ直交座標系が付されている場合がある。このXYZ直交座標系において、X軸およびY軸で定義される平面を水平面、Z軸を鉛直方向として説明する。
【0028】
図1および図2に示されるように、基板処理装置1は、4つの容器載置部ST1〜ST4、基板受渡部PS1、第一搬送ロボットIR1および第二搬送ロボットCR1を有する基板搬送部20、複数の洗浄ユニットSP(SP1〜SP12)を有する基板処理部30、制御部40を備えている。
【0029】
基板処理装置1は、円形の半導体ウエハである基板9を洗浄処理する洗浄処理装置として構成されている。ただし、基板9は、円形状のものに限定されるものではなく、任意の形状のものであってもよい。
【0030】
容器載置部ST1〜ST4は、複数枚の基板9を内部に収納する密封容器11が載置されるロードポートを構成している。このようなロードポートは、基板処理装置1の本体部(基板処理部30などが設けられている部分)に対して、一体的に設けられていてもよいし、あるいは、装着および脱着可能に構成されていてもよい。密封容器11は、基板処理装置1の外部装置(例えば、天井走行式無人搬送車(OHT:Overhead Hoist Transfer))によって、容器載置部ST1〜ST4のいずれかに搬入され、または、容器載置部ST1〜ST4のいずれかから搬出される。
【0031】
図3は、容器載置部ST1に載置されている密封容器11を示す概略断面図である。ここでは、主に容器載置部ST1について説明するが、容器載置部ST2〜ST4についても、容器載置部ST1とほぼ同様の構成を備えている。図3に示されるように、密封容器11は、基板処理装置1の本体部側(+X側)に蓋部12が設けられている。蓋部12が閉じられた状態では、密封容器11は、ほぼ密閉状態とされる。
【0032】
密封容器11の底部は、容器載置部ST1に設けられた不活性ガス供給部13およびガス吸引部14に接続可能に構成されている。密封容器11が容器載置部ST1に載置されると、密封容器11の底部に接続された不活性ガス供給部13から密封容器11の内部空間(基板収納空間)に向けて、不活性ガス(例えば、N2、Ar、He、Kr、またはXeガス、もしくはこれらの混合ガス)が供給される。この不活性ガス供給部13によって、密封容器11の内部の不活性ガス濃度を高濃度に維持することができる。また、ガス吸引部14によって、密封容器11の内部の雰囲気が外部に排出される。
【0033】
図3に示されるように、容器載置部ST1は、鉛直方向に延びるフレーム15を備えている。フレーム15における、密封容器11の蓋部12と略同じ高さには、X軸方向に貫通するフレーム開口部151が形成されている。また、フレーム15には、蓋部12の+X側表面に接近して、該蓋部12を保持して密封容器11から取り外す、蓋開閉部16を備えている。蓋開閉部16は、不図示の昇降機構によって、鉛直方向に昇降可能に構成されている。また、フレーム15の+X側には、フレーム開口部151を開閉する開閉機構17を備えている。開閉機構17は、昇降機構171によって鉛直方向に昇降可能に構成されている。
【0034】
蓋開閉部16によって蓋部12が密封容器11から取り外された状態で、開閉機構17が下降してフレーム開口部151を開放すると、第一搬送ロボットIR1が、開口121を介して、密封容器11の内部に進入することが可能となる。すなわち、密封容器11の開口121が、開閉機構17によって開放された状態となり、第一搬送ロボットIR1が密封容器11から基板9を搬出したり、もしくは密封容器11に基板9を搬入したりすることができる。
【0035】
また、図3中、二点鎖線で示されるように、開閉機構17は、上昇することによって、フレーム開口部151を閉鎖する。これにより、密封容器11の開口121が、開閉機構17によって閉じられることとなり、第一搬送ロボットIR1が、密封容器11の開口に進入することができない状態となる。ただし、開閉機構17が開口121を閉じている状態では、密封容器11と開閉機構17との間に、若干の隙間が、形成される。このため、密封容器11は、完全に密閉されていない状態となっている。このように、開閉機構17によると、開口121を蓋開閉部16によって蓋部12で閉鎖するより場合よりも、密閉度は低いものの、短時間で開口121を閉じることが可能となっている。本実施形態においては、蓋部12および蓋開閉部16が、第一開閉部の一例であり、また、開閉機構17が、第二開閉部の一例となっている。
【0036】
図1または図2に示されるように、基板搬送部20は、第一搬送ロボットIR1および第二搬送ロボットCR1を備えている。第一搬送ロボットIR1は、容器載置部ST1〜ST4に載置された密封容器11に収納されている基板9を搬出して、基板受渡部PS1に基板を載置する。また、第一搬送ロボットIR1は、基板処理部30にて所定の基板処理(ここでは、洗浄処理)が施された後、基板受渡部PS1に載置された基板9を、再び密封容器11に搬入する。第一搬送ロボットIR1は、基板9を下方から支持するハンド部21と、ハンド部21をX軸方向に前後させるアーム部22と、ハンド部21およびアーム部22を一体的にZ軸方向に沿って昇降させる昇降機構23とを備えている。また、第一搬送ロボットIR1は、第一搬送ロボットIR1全体をY軸方向に移動可能とする移動機構24を備えている。移動機構24が駆動されることによって、第一搬送ロボットIR1は、容器載置部ST1〜ST4のそれぞれに対応する位置に移動して、基板9の搬出または搬入を行う。
【0037】
第一搬送ロボットIR1は、ハンド部21にて基板9を水平姿勢(基板9が水平面(XY平面)に対して平行な状態)で保持する。第一搬送ロボットIR1によって、密封容器11から基板9が搬出される場合は、Z軸方向に多段に収納されている複数の基板9の中から、取り出すべき基板9の高さに応じて、昇降機構23によってハンド部21の高さが調整される。また、第一搬送ロボットIR1によって基板9が密封容器11に搬入される場合は、基板9を収納すべき高さに応じて、昇降機構23によってハンド部21の高さが調整される。
【0038】
第二搬送ロボットCR1は、基板受渡部PS1と洗浄ユニットSP1〜SP12のいずれかとの間で、基板9の搬送を行う。第二搬送ロボットCR1は、ハンド部21およびアーム部22を上下に2組備えている。この2組のハンド部21およびアーム部22は、昇降機構23の駆動によって、上下に一体的に昇降するように構成されていてもよいが、それぞれが個別に昇降するように構成されていてもよい。また、第二搬送ロボットCR1は、移動機構24を備えていないため、XY平面内において、固定された位置に配置されている。ただし、移動機構24を設けることで、第二搬送ロボットCR1がX軸およびY軸方向に移動するようにしてもよい。
【0039】
なお、第一搬送ロボットIR1についても、複数組のハンド部21およびアーム部22を設けることで、複数枚の基板9を同時に保持できるように構成してもよい。
【0040】
基板処理部30は、基板9に対して洗浄処理を行う複数の洗浄ユニットSP1〜SP12を備えている。図1に示されるように、基板処理部30の中心部には、第二搬送ロボットCR1が配置されている。そして、第二搬送ロボットCR1の周囲には、洗浄ユニットSP1〜SP12が4つの組(洗浄ユニットSP1〜SP3、洗浄ユニットSP4〜SP6、洗浄ユニットSP7〜SP9および洗浄ユニットSP10〜SP12)に分けられて、設置されている。洗浄ユニットSP1〜SP12は、各組毎に、鉛直方向に沿って積層されることによって、多段に配置されている。
【0041】
洗浄ユニットSP1〜SP12は、図示を省略するが、それぞれ、基板9を保持する保持台、該保持台を回転する回転機構、この保持台に保持された基板9に洗浄液(薬液またはリンス液など)を供給するノズル、および、洗浄液を回収する回収機構などを備えている。洗浄ユニットSP1〜SP12は、レシピ情報にしたがって基板9に洗浄液を供給したあと、基板9を回転させることで基板9を乾燥させる(スピンドライ)。
【0042】
図4は、制御部40のハードウエア構成を示すブロック図である。制御部40は、基板処理装置1が備える各部と電気的に接続されており、各種の演算処理を実行しつつ基板処理装置1の各部の動作を制御する。図4に示されるように、制御部40は、例えば、CPU41、ROM42、RAM43、記憶部44などがバスライン45を介して相互接続された一般的なコンピュータによって、構成されている。ROM42は基本プログラムなどを格納している。RAM43はCPU41が所定の処理を行う際の作業領域として供される。記憶部44は、フラッシュメモリ、または、ハードディスク装置などの不揮発性の補助記憶装置によって構成されている。
【0043】
記憶部44にはプログラムP1が格納されており、このプログラムP1に記述された手順に従って、主制御部としてのCPU41が演算処理を行うことによって、各種機能が実現されるように構成されている。
【0044】
プログラムP1は、通常、予め記憶部44などに格納されて使用されるものである。しかしながら、プログラムP1は、光学メディア(CD−ROMなど)、磁気メディア、フラッシュメモリなどの半導体メモリなど、可搬の記録媒体に記録された形態(プログラムプロダクト)で提供され、あるいは、ネットワークを介した外部サーバからのダウンロードなどによって提供され、記憶部44などに格納されるものであってもよい。
【0045】
また、制御部40では、入力部46、表示部47、通信部48がバスライン45に接続されている。入力部46は、各種スイッチ、タッチパネルなどによって構成されており、オペレータから各種の入力設定指示を受け付ける。表示部47は、液晶表示装置、ランプなどによって構成されており、CPU41による制御の下、各種情報を表示する。通信部48は、LANなどを介したデータ通信機能を有する。
【0046】
図5は、基板処理装置1の構成を示すブロック図である。図5に示されるように、制御部40においては、プログラムP1に記述された手順に従って主制御部としてのCPU41が演算処理を行うことによって、スケジュール作成部401および実行指示部402が実現される。なお、制御部40において実現される一部あるいは全部の機能は、専用の論理回路などでハードウエア的に実現されてもよい。
【0047】
スケジュール作成部401は、処理内容が記録されたレシピ情報に基づいて、開閉機構17、基板搬送部20(第一搬送ロボットIR1、第二搬送ロボットCR1)、および、基板処理部30(洗浄ユニットSP1〜SP12)の動作を規定したスケジュールを作成する。レシピ情報には、対象物に対して施されるべき処理の条件が所定のデータ形式で記述されている。具体的には、処理手順(例えば、搬送手順および洗浄処理手順)または処理内容(例えば、処理時間、温度、圧力または洗浄液の供給量)などが記述されている。このようなレシピ情報は、オペレータが入力する情報に基づいて生成される。
【0048】
スケジュール作成部401は、レシピ情報に基づき、基板処理装置1(特に、洗浄ユニットSP1〜SP12)の稼働率がなるべく高く維持されるよう、基板処理装置1の各要素が動作する時間(動作開始タイミング(時刻))を決定する。具体的には、開閉機構17が密封容器11の開口121を開閉する時間、第一搬送ロボットIR1が基板9を搬送する時間、第二搬送ロボットCR1が基板9を搬送する時間、および、洗浄ユニットSP1〜SP12の各々が洗浄処理を行う時間などが規定される。また、他の要素についての動作の時間(例えば、蓋開閉部16が開口121を開閉する時間)が規定されることも考えられる。スケジュール作成部401が作成したスケジュールは、スケジュールデータ441として記憶部44(またはRAM43)に保存される。
【0049】
なお、基板処理装置1の各要素が動作に要する時間幅は、要素毎に予め定められているか、もしくは、レシピ情報に基づいて定められる。例えば、第一搬送ロボットIR1または第二搬送ロボットCR1が基板9を搬送するに要する時間幅は、要素毎に固有のものとして予め定められている。また、洗浄ユニットSP1〜SP12が基板9の洗浄に要する時間幅は、レシピ情報に規定された処理条件などによって予め定められる。したがって、各要素の動作開始の時間が決定されれば、各要素の動作終了の時間も自動的に決定されることとなる。
【0050】
実行指示部402は、記憶部44(またはRAM43)に保存されたスケジュールデータ441に基づいて、基板処理装置1の各要素に、所定の動作の実行を指示する制御信号を出力する。具体的には、開閉機構17、基板搬送部20(第一搬送ロボットIR1、第二搬送ロボットCR1)、および、洗浄ユニットSP1〜SP12などに動作の実行を指示する。
【0051】
<1.2. 基板処理装置の動作>
図6は、基板処理装置1の動作の一例を示す流れ図である。まず、スケジュール作成部401は、レシピ情報に基づき、処理する基板9毎に、一連の処理の流れに関する仮タイムテーブルを作成する(ステップS1)。仮タイムテーブルには、第一搬送ロボットIR1、第二搬送ロボットCR1および洗浄ユニットSPが、1枚の基板9に対して実行する処理のシーケンスが規定されている。
【0052】
図7は、仮タイムテーブルに規定された、基板処理装置1の動作の流れを示すタイムチャートである。図7に示されるように、仮タイムテーブルには、まず、第一搬送ロボットIR1が、基板9を密封容器11から搬出する時間(搬出時間、ブロックB11)および該基板9を基板受渡部PS1に搬入する時間(搬入時間、ブロックB12)が規定されている。また、仮タイムテーブルには、第二搬送ロボットCR1が、第一搬送ロボットIR1によって、基板受渡部PS1に載置された基板9を搬出する時間(搬出時間、ブロックB13)および該基板9を基板処理部30の洗浄ユニットSPに搬入する時間(搬入時間、ブロックB14)が規定されている。
【0053】
さらに、仮タイムテーブルには、洗浄ユニットSPが、第二搬送ロボットCR1によって搬入された基板9を洗浄処理する時間(基板処理時間、ブロックB15)が規定されている。また、仮タイムテーブルには、第二搬送ロボットCR1が、洗浄処理後の基板9を搬出する時間(搬出時間、ブロックB16)および該基板9を基板受渡部PS1に搬入する時間(搬入時間、ブロックB17)が規定されている。そして、仮タイムテーブルには、第一搬送ロボットIR1が、第二搬送ロボットCR1によって基板受渡部PS1に載置された基板9を搬出する時間(搬出時間、ブロックB18)および該基板9を密封容器11に搬入する時間(搬入時間、ブロックB19)が、規定されている。
【0054】
次に、スケジュール作成部401は、基板処理動作のスケジューリングを行う(ステップS2)。具体的には、スケジュール作成部401は、処理対象である複数の基板9について、処理する順序を所定のルールに従って決定する。そして、その決定された順番に従って、全ての基板9のそれぞれの処理の流れを示す仮タイムテーブルを、順に組み合わせていく。これにより、第一搬送ロボットIR1、第二搬送ロボットCR1および洗浄ユニットSP1〜SP12のそれぞれの動作する時間が規定されたスケジュール(処理スケジュール)が、作成される。
【0055】
図8は、基板処理動作が規定されたスケジュールの一例を示すタイムチャートである。なお、図8に示されるスケジュールは、理解容易のため、容器載置部ST1に載置された密封容器11からのみ、基板9の搬出および搬入が行われ、かつ、洗浄ユニットSP1〜SP6の6個の処理ユニットSPのみを用いて、洗浄処理が行われるスケジュールの一例である。図8に示されるように、ステップS2で生成されたスケジュールでは、第一搬送ロボットIR1、第二搬送ロボットCR1および洗浄ユニットSP1〜SP6の各々がそれぞれの動作を実行する時間が、時間の経過に合わせて規定されている。
【0056】
具体的に、図8に示されるスケジュールによると、第一搬送ロボットIR1は、時間t1から時間t2の間に、1枚目の基板9を密封容器11から搬出し、基板受渡部PS1に搬入する。さらに、第二搬送ロボットCR1は、その1枚目の基板9を、時間t2から時間t3の間に、基板受渡部PS1から搬出し、洗浄ユニットSP1に搬入する。
【0057】
また、洗浄ユニットSP1は、時間t3から時間t4までの間に、1枚目の基板9を洗浄する。そして、第二搬送ロボットCR1は、時間t4から時間t5の間に、1枚目の基板9を洗浄ユニットSP1から搬出し、基板受渡部PS1に搬入する。さらに、第一搬送ロボットIR1は、時間t5から時間t6の間に、1枚目の基板9を基板受渡部PS1から搬出し、密封容器11に搬入する。以上のように、1枚目の基板9についての一連の処理の流れがスケジュールデータ441において規定されている。
【0058】
また、図8に示されるスケジュールによると、次の2枚目の基板9については、第一搬送ロボットIR1が先の1枚目の基板9の搬送を完了した時間(時間t2)で、搬送処理が開始される。つまり、第一搬送ロボットIR1は、時間t2から時間t3の間に、2枚目の基板9を密封容器11から搬出し、基板受渡部PS1に搬入する。このようにして、第一搬送ロボットIR1は、先の基板9の搬送を終えた時点で、次の基板9の搬送を実行することで、1枚目から6枚目までの基板9について、密封容器11から基板受渡部PS1への搬送を連続して行う。
【0059】
同様に、第二搬送ロボットCR1は、先の基板9の搬送を終えた時点で、次の基板9の搬送を実行することで、1枚目から6枚目までの基板9について、基板受渡部PS1から各洗浄ユニットSP1〜SP6への搬送を連続して行う。
【0060】
そして、洗浄ユニットSP1が1枚目の基板9の洗浄処理を終えると、第二搬送ロボットCR1が該洗浄ユニットSP1に7枚目の基板9を搬入する。この第二搬送ロボットCR1による7枚目の基板の搬入に合わせるため、第一搬送ロボットIR1は、洗浄ユニットSP1が洗浄処理を行っている期間内(時間t3から時間t4)の或る時点(時間t7)で、7枚目の基板9を密封容器11から搬出し始め、基板受渡部PS1に搬入する。そして、第二搬送ロボットCR1は、洗浄ユニットSP1における、1枚目の基板の洗浄処理が終わるタイミングに合わせて、時間t8に、7枚目の基板9を基板受渡部PS1から搬出し始める。そして、第二搬送ロボットCR1は、時間t4までに該基板9を洗浄ユニットSP1に搬入する。
【0061】
この時間t4の時点では、洗浄処理後の1枚目の基板9が洗浄ユニットSP1に残っている。このため、第二搬送ロボットCR1は、まず先に、一方のハンド部21にて1枚目の基板9を取り出す。そして、他方のハンド部21に保持した7枚目の基板9を洗浄ユニットSP1に搬入する。これにより、洗浄ユニットSP1が、1枚目の基板9の洗浄処理を終えた後、直ぐに7枚目の基板9の洗浄処理を開始することができる。したがって、洗浄ユニットSP1の稼働率を上げることが可能となっている。
【0062】
なお、図8に示されるように、洗浄ユニットSP1〜SP12の動作として、基板9の洗浄処理を開始する前に、ブロックB20で示される前処理(例えば、ノズルの初期化、保持台の回転の確認作業など)が実行されるようにスケジュールが作成されてもよい。
【0063】
以上のように、第一搬送ロボットIR1、第二搬送ロボットCR1および洗浄ユニットSP1〜SP12の各々が処理を実行する時間が規定されたスケジュールが、ステップS2において生成される。
【0064】
図6に戻って、スケジュール作成部401は、ステップS2の基板処理動作のスケジュ−リングを完了すると、密封容器11の開閉動作のスケジューリングを行う(ステップS3)。具体的に、このステップでは、スケジュール作成部401が、ステップS2において規定した、第一搬送ロボットIR1が密封容器11との間で基板9の授受を行う時間に合わせて、開閉機構17が密封容器11の開口121を開閉する時間を、決定する。これにより、開閉機構17の開閉動作の時間が規定されたスケジュールが生成される。
【0065】
また、スケジュール作成部401は、ステップS3の開閉動作のスケジューリングを完了すると、スケジュールを示すスケジュールデータ441を記憶部44(またはRAM43)に保存する。このスケジュールに基づき、基板処理装置1の実行指示部402が、各要素に動作指示を行うことで、基板処理が実行される(ステップS4)。
【0066】
ステップS3に関して、開閉機構17による開口121の開閉動作の時間は、以下の開閉条件にしたがって決定される。
【0067】
○第1の開閉条件
まず、第1の開閉条件は、開口121が閉じられている場合、第一搬送ロボットIR1が密封容器11から基板9を搬出し始める、または、密封容器11に基板9を搬入し始める時間よりも、開閉機構17による開動作に要する時間幅以上に早いタイミングで、開閉機構17が開口121の開放を開始する。
【0068】
○第2の開閉条件
また、第2の開閉条件は、開閉機構17によって開口121が開放された状態とされている場合に、その時点から、次に第一搬送ロボットIR1が密封容器11から基板9を搬出し始める、または、密封容器11に基板9を搬入し始めるまでの時間幅が、開閉機構17による閉動作所要時間および開動作所要時間の合計時間幅よりも長い場合、開閉機構17が開口121を閉じる。
【0069】
図9は、開閉動作の時間が規定されたスケジュールの一例を示すタイムチャートである。図9において、ブロックB31は、開閉機構17が密封容器11を開放する時間(開動作時間)を示しており、ブロックB32は、開閉機構17が密封容器11の開口121を閉じる時間(閉動作時間)を示している。
【0070】
なお、以下の説明においては、予め、密封容器11の蓋部12が蓋開閉部16によって開閉されるものとする。もちろん、この蓋開閉部16による蓋部12の開閉動作の時間についても、スケジュール作成部401が規定するようにしてもよい。
【0071】
まず、第1の開閉条件に基づいて、開閉機構17の開動作の時間が決定される過程について説明する。例えば、図9に示されるスケジュールによると、第一搬送ロボットIR1が1枚目の基板9を密封容器11から搬出し始める時間が、t1となっている。この時点では、まだ、開口121が開閉機構17によって閉じられた状態にある。このため、第1の開閉条件に基づき、この時間t1よりも、開閉機構17による開動作に要する時間幅(開動作所要時間TR1)の分、早いタイミング(ta)で、開閉機構17が開口121の開放を開始するように、スケジュールが作成される。
【0072】
同様に、第一搬送ロボットIR1が、洗浄処理を終えた1枚目の基板9を、密封容器11に搬入し始める時間(t9)よりも、開動作所要時間TR1の分、早いタイミング(tb)で、開閉機構17が開口121の開放を開始するように、スケジュールが作成される。
【0073】
さらに、第一搬送ロボットIR1が7枚目の基板9を密封容器11から搬出し始める時間(t7)よりも、開動作所要時間TR1の分、早いタイミング(tc)で、開閉機構17が開口121の開放を開始する。これにより、第一搬送ロボットIR1が密封容器11に対して基板9の授受を行う時点で、開閉機構17によって開口121を開放させておくことができる。したがって、第一搬送ロボットIR1が、開口121が開放されるまで待機することが無くなる。このため、基板処理装置1の稼働率を高めることができる。
【0074】
もちろん、開閉機構17が開口121を開放し始める時間を、上記時間t1、t9、t7よりも開動作所要時間TR1の分を超えて、早めてもよい。ただし、開口121の開放を必要最小限に抑えて、基板9が受けるダメージを軽減する観点から、好ましくは、上述のように、開閉機構17が、時間t1,t9,t7よりも開動作所要時間TR1の分だけ早いタイミングで、開動作を開始するように、スケジュールが作成される。
【0075】
次に、第2の開閉条件に基づいて、開閉機構17の閉動作の時間が決定される過程について説明する。例えば、図9に示されるスケジュールによると、第一搬送ロボットIR1が、6枚目の基板9を密封容器11から搬出する動作を完了する時間は、時間tdとなっている。この時点においては、開閉機構17によって開口121は開放されており、次に第一搬送ロボットIR1が密封容器11から基板9を搬出し始める、または、密封容器11に基板9を搬入し始める時間が時間t7となっている。ここで、時間tdから時間t7までの時間幅TR3は、開閉機構17による開口121の開動作所要時間TR1と閉動作所要時間TR2の合計時間幅よりも長くなっている(TR3>TR1+TR2)。
【0076】
このような場合、時間tdの時点で開口121を閉じたとしても、次に第一搬送ロボットIR1が密封容器11にアクセスする時間t7までに、再び開放するだけの十分な時間を確保することができる。したがって、第2の開閉条件に従い、時間tdの時点で開閉機構17が開口121を閉じられることとなる。同様に、乾燥処理後の6枚目の基板9が密封容器11に搬入された時点(時間td)および7枚目の基板9が密封容器11から搬出された時点(時間tf)においても、開閉機構17が開口121を閉じられる。これにより、開閉機構17が開口121を必要な分だけ開放するように、スケジュールが作成することができる。したがって、密封容器11の内部の基板が、外気に触れることによって受ける酸化などのダメージを軽減できる。
【0077】
なお、時間td、tfから所定の時間(例えば、数秒〜数十秒)が経過した後に、開閉機構17が閉動作を開始するように、スケジュールが作成されてもよい。
【0078】
また、その他の開閉条件として、密封容器11の内部における不活性ガス濃度に基づき、開閉機構17による開口121の開閉時間が決定されてもよい。例えば、密封容器11の内部の不活性ガス濃度がある基準値が維持されるように、開口121を開放できる時間が決定してもよい。このとき、シミュレーションなどによる所定の演算処理によって、開閉機構17が開口121を開放したときの、密封容器11の内部の不活性ガスの濃度変化を取得する濃度取得部403が設けられていてもよい(図5参照)。もちろん、スケジュール作成部401が、不活性ガス濃度とは無関係に、スケジュールを作成する場合には、この濃度取得部403を省略してもよい。
【0079】
図10は、開閉動作の時間が規定された他のスケジュールの例を示すタイムチャートである。図10に示される例では、2つの容器載置部ST1、ST2に載置された密封容器11に対して、第一搬送ロボットIR1が、基板9の搬出または搬入を行うようにスケジュールが作成されている。より具体的には、1枚目から3枚目までの基板9が、容器載置部ST1の密封容器11から搬出され、または、容器載置部ST1の密封容器11に搬入される。そして、4枚目から6枚目までの基板9が、容器載置部ST2の密封容器11から搬出され、または、容器載置部ST2の密封容器11に搬入される。洗浄ユニットSP1〜SP6のみを用いて、洗浄処理が行われている点は、図8および図9において示される例と同様である。
【0080】
図10に示されるスケジュールデータ441は、図9に示されるスケジュールデータ441と同様に、第一搬送ロボットIR1、第二搬送ロボットCR1および洗浄ユニットSP1〜SP6の動作がスケジューリングされ(図6:ステップS2)、次に上記第1および第2の開閉条件にしたがって、開閉機構17の開閉動作がスケジューリングされることによって(図6:ステップS3)生成されたものである。
【0081】
図10に示されるスケジュールによると、例えば、第一搬送ロボットIR1が1枚目の基板9を容器載置部ST1の密封容器11から搬出し始める時間(t1)よりも前に、容器載置部ST1の開閉機構17によって、密封容器11の開口121が開放される。そして、3枚目の基板9について、密封容器11からの搬出が完了した時点(時間tg)で、容器載置部ST1の開閉機構17によって密封容器11の開口121が閉じられる。
【0082】
また、第一搬送ロボットIR1が洗浄処理後の1枚目の基板9を容器載置部ST1の密封容器11に搬入し始める時間(t9)よりも前に、容器載置部ST1の開閉機構17によって密封容器11の開口121が開放される。そして、第一搬送ロボットIR1が乾燥処理後の3枚目の基板9を密封容器11に搬入し終えた時点(時間ti)で、容器載置部ST1の開閉機構17によって密封容器11の開口121が閉じられる。
【0083】
一方、図10に示されるスケジュールによると、第一搬送ロボットIR1が4枚目の基板9を容器載置部ST2の密封容器11から搬出し始める時間(th)よりも前に、容器載置部ST2の開閉機構17によって密封容器11の開口121が開放される。そして、6枚目の基板9について、密封容器11からの搬出が完了した時点(時間td)で、容器載置部ST2の開閉機構17によって密封容器11の開口121が閉じられる。
【0084】
また、第一搬送ロボットIR1が洗浄処理後の4枚目の基板9を容器載置部ST2の密封容器11に搬入し始める時間(ti)よりも前に、容器載置部ST2の開閉機構17によって密封容器11の開口121が開放される。そして、第一搬送ロボットIR1が乾燥処理後の6枚目の基板9を密封容器11に搬入し終えた時点(時間te)で、容器載置部ST2の開閉機構17によって密封容器11の開口121が閉じられる。
【0085】
以上のように、複数の容器載置部ST1、ST2の密封容器11における開閉機構17の開閉動作をスケジューリングした場合であっても、単一の容器載置部ST1の密封容器11を用いた場合と同様に、基板9が受けるダメージを軽減できる。また、第一搬送ロボットIR1が密封容器11から基板9を搬出する、または密封容器11から基板9を搬入する前に、密封容器11の開口121を開放しておくことができる。このため、円滑な基板搬送を実現することができる。よって、基板処理装置1の稼働率が低下することを抑制することができる。
【0086】
<2. 変形例>
以上、実施形態について説明してきたが、本発明は上記のようなものに限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0087】
例えば、上記実施形態では、スケジュール作成部401は、開閉機構17の開閉動作をスケジューリングするものとしている。しかしながら、開閉機構17の代わりに、蓋開閉部16による開口121の開閉動作をスケジューリングするようにしてもよい。この場合、開閉動作に時間がかかる(つまり、開動作所要時間TR1または閉動作所要時間TR2が長くなる)虞があるものの、密封容器11の密閉度が高まるので、密封容器11に収容されている基板9が酸化などによって受けるダメージを軽減することができる。
【0088】
また、スケジュール作成部401が、状況に応じて、蓋開閉部16および開閉機構17のいずれか一方で開口121が閉じられるように、スケジュールを作成してもよい。例えば、第一搬送ロボットIR1が密封容器11に対してアクセスする時間間隔が比較的長いとき(つまり、アクセス頻度が低いとき)は、蓋部12および蓋開閉部16によって開口121を閉じ、アクセスする時間間隔が比較的短いとき(つまり、アクセス頻度が高い)ときは、開閉機構17によって開口121を閉じるようにすることも考えられる。
【0089】
また開閉機構17による閉状態の際に、密封容器11の開口部121の位置を、図3に示される位置から、さらにフレーム開口部151に入り込む位置にまで移動させることで、開閉機構17に接近させるようにしてもよい。これにより、開閉機構17によって開口121を閉じたときの、密封容器11の密閉度をさらに向上することが可能である。
【0090】
また、密封容器11の開口121の開閉を、蓋部12と蓋開閉部16によって行う場合に、蓋開閉部16が蓋部12を密封容器11の開口端に当てて密着させるだけで、完全に蓋部12を密封容器11に固定(ロック)しないようにすることも考えられる。この場合においても、蓋開閉部16によって密封容器11を密閉したときと、ほぼ同様の密閉効果を得ることができる。しかも、密封容器11を開閉する際に、蓋部12のロックおよびロック解除に要する時間を短縮することができる。
【0091】
また、基板処理装置1の基板処理部30は、複数の洗浄ユニットSP1〜SP12を備えている。しかしながら、本発明は、基板処理部30が単一の洗浄ユニットのみで構成される場合にも有効である。
【0092】
また、基板処理部30に設けられる処理ユニットは、基板を洗浄処理するものに限定されない。例えば、露光、乾燥、プラズマエッチングなどの各処理のいずれかを実行する処理ユニットが、基板処理部30に設けられていてもよい。また、異なる処理を行う複数種類の処理ユニットが、基板処理部30に設けられることも有効である。
【0093】
また、基板9は、半導体ウエハに限定されるものではなく、その他の基板(プリント基板、カラーフィルタ用基板、液晶表示装置やプラズマ表示装置に具備されるフラットパネルディスプレイ用ガラス基板、光ディスク用基板、太陽電池用パネル)であってもよい。このとき、基板の種別に応じて、基板処理装置1を変形してもよい。また、基板処理装置1は、洗浄処理を行うものに限定されるものではなく、露光処理、現像処理、プラズマエッチング処理、乾燥処理などの処理を行う装置に変形することも考えられる。
【0094】
また、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0095】
1 基板処理装置
11 密封容器
12 蓋部
121 開口
13 不活性ガス供給部
16 蓋開閉部
17 開閉機構
171 昇降機構
20 基板搬送部
30 基板処理部
40 制御部
401 スケジュール作成部
402 実行指示部
403 濃度取得部
441 スケジュールデータ
9 基板
CR1 第二搬送ロボット
IR1 第一搬送ロボット
P1 プログラム
PS1 基板受渡部
SP(SP1〜SP12) 洗浄ユニット
ST1〜ST4 容器載置部
TR1 開動作所要時間
TR2 閉動作所要時間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10