(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
蓋体によって開閉可能とした乾燥室を有する本体と、前記乾燥室内を臨む吹出口を有するダクトと、前記ダクトを通して前記吹出口から前記乾燥室内に空気を供給する送風手段と、前記送風手段により供給する空気を加熱する加熱手段と、を備えた温風処理装置において、
前記ダクトの前記加熱手段より送風方向下流側に、排気ダクトが分岐して設けられており、
前記排気ダクトは、前記ダクトの前記吹出口の側部に接続され、排出口へ向けた排出方向が分岐前の前記ダクト内の送風方向に対して90度から180度の範囲であることを特徴とする温風処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0016】
(第1実施形態)
図1および
図2は、本発明の第1実施形態に係る温風処理装置である食器乾燥器10を示す。この食器乾燥器10は、蓋体18A,18Bによって開閉可能とした乾燥室12を有する本体11と、乾燥室12内に着脱可能に配設する水受トレー21およびカゴ23A,23Bとを備える。また、本体11は、送風手段であるファン25と加熱手段であるヒータ26とを配設し、所定温度に加熱した温風を乾燥室12内に吐出するためのダクト24を備える。
【0017】
本体11は、前端を開口した乾燥室12を備える。この乾燥室12は、底壁13と、底壁13の後縁から立設された後壁14と、底壁13の側縁から立設された一対の側壁15,15と、後壁14および側壁15,15の上端を覆う上壁16とで画定される。開放された乾燥室12の前側は、上壁16に突設されたヒンジ接続部17に回動可能に取り付けられ、垂直方向の軸線を中心として水平方向に回動する一対の蓋体18A,18Bにより閉塞される。
【0018】
底壁13には、中央に排水孔19が設けられている。各側壁15には、高さ方向の中間位置にガイドレール20が設けられている。底壁13の上面には、排水孔19上に位置する排水孔21aを有する水受トレー21が配置される。底壁13の下部には、排水孔19,21aから排出された食器類に付着した水を貯める貯留容器22が着脱可能に配設されている。下側のカゴ23Aは、水受トレー21上に載置される。上側のカゴ23Bは、両端が各側壁15,15のガイドレール20,20に差し込まれ、乾燥室12の高さ方向の中間部分に配置される。
【0019】
本体11は、上壁16の中央付近から後壁14の高さ方向の中央にかけて延び、上壁16に位置する一端側に吸込口33を有するとともに、後壁14に位置する他端側に吹出口69を有するダクト24を備える。
図4に示すように、ダクト24の内部には、外気を吸込口33から吸い込んで吹出口69から吐出させるファン25と、ファン25により吸い込んだ空気を加熱するヒータ26とが配設される。ファン25は、回転軸に沿って空気を吸い込み、径方向外向きに送風するシロッコファンである。ヒータ26は、ニクロム線を螺旋状に巻回したニクロム線ヒータである。ヒータ26は、ファン25による送風方向下流側に配設されている。なお、後壁14のダクト24の両側には、上下方向に延びる複数のスリットからなり、乾燥室12内の空気を外部に排気する排気部27(
図1参照。)が設けられている。
【0020】
図2および
図3に示すように、ダクト24は、上壁16の前端から後端へかけて延びる上側空間部30の後側部分と、後壁14の上端から中央にかけて下向きに延びる後側空間部35とで構成される。また、ダクト24は、ファン25およびヒータ26を配設するために、後側空間部35を画定する一面である後壁14に開口部28が設けられ、この開口部28が後カバー41により閉塞されている。なお、開口部28には、後カバー41を取り付けるための取付枠29が、外向きに突出するように設けられている。
【0021】
上側空間部30は、上壁16から下向きに突設した一対の側板部31,31と、側板部31,31の下端部を連続する下板部32とで画定される。上側空間部30の前後方向の中央である上壁16の中央には、外気を取り入れる吸込口33が形成されている。上側空間部30は、吸込口33から後側がダクト24を構成し、吸込口33から前側が後述する収容部77を構成する。吸込口33を含む蓋体18A,18Bのヒンジ接続部17は、上壁16上に着脱可能に配設する上カバー34により覆われる。なお、外気は、上壁16と上カバー34との間の隙間から流入し、吸込口33を通してダクト24内に流入する。
【0022】
後側空間部35は、後壁14の開口部28の側縁から前向きに突設した一対の側板部36,36と、側板部36,36の内端部を連続する内板部37と、開口部28に配設した後カバー41により画定される。側板部36は、上側空間部30の側板部31と連続して一体的な壁を構成する。内板部37は、下板部32と傾斜板部38を介して連続して一体的な壁を構成する。後側空間部35の下部には、吹出口ユニット45を配置する配設部39が形成されている。この配設部39は、後側空間部35の上流側より横幅が広い。また、配設部39に位置する内板部37の下端縁と開口部28の下端縁との間には、乾燥室12内に連通する連通口40が形成されている。
【0023】
後カバー41は、ネジ止めによって開口部28の取付枠29に取り付けられる。後カバー41の内面側には、インボリュート通路42を形成する枠壁43が突設されている。インボリュート通路42は、取付基板44をネジ止めすることにより塞がれる。取付基板44には、枠壁43内に位置するようにファン25が回転可能に配設され、反対側の面にファン25の駆動モータ(図示せず)が配設される。
【0024】
配設部39には、ヒータ26によって加熱した温風を混合し、温度分布を均一にして吐出するための吹出口ユニット45が配設される。
図5に示すように、吹出口ユニット45は、吸込口33の側に配設される第1部材50と、連通口40の側に配設される第2部材60とを備える。これら第1部材50および第2部材60により、ヒータ26が内部に配設される流入部46(第1通路)と、流入部46から分岐する一対の分流部47A,47B(第2通路)と、各分流部47A,47Bを合流させる合流部48(第3通路)とが形成される。また、本実施形態では、吹出口69が塞がれた場合にファン25による送風を乾燥室12の外部へ送出し、ダクト24内での通風を確保するための排気ダクト49が形成されている。
【0025】
図5および
図6に示すように、第1部材50は、長方形状の上板51と、上板51の外周縁に設けた四角筒状の外板52とを有する下端開口の蓋状である。この第1部材50には、第2部材60にネジ止めして固定するためのブラケット部53が設けられている。
【0026】
第1部材50には、本体11への組付状態で後カバー41の側に位置するように流入部46が形成されている。この流入部46は、インボリュート通路42の出口に配設され、吸込口33の側に連通する。流入部46は、横方向Xの寸法が上板51の横寸法より狭く、縦方向Yの寸法が上板51の縦寸法と略同一の四角筒状である。また、流入部46は、上端が上板51より上方に位置し、下端が外板52の下端と同一高さに位置する。流入部46は、縦方向Yの内端板54が上板51の略中央に位置され、内端板54に対向する外端板55が上板51より外向きに突出している。内端板54は、下端が後述する第2部材60の隔壁65の上端に係合する。
【0027】
第1部材50は、外板52で囲まれた内部において、流入部46を除く領域が分流部47A,47Bの出口側および合流部48の入口側を構成する。分流部47A,47Bは、
図6中一点鎖線で示す内端板54の延長線を境界として、流入部46が形成されている外側からなる。合流部48は、内端板54の延長線を境界して、流入部46が形成されていない内側からなる。
【0028】
また、第1部材50の横方向Xの両側部には、排気ダクト49の出口側である排出部56が形成されている。排出部56は、仕切壁57によって分流部47A,47Bおよび合流部48と仕切られている。排出部56は、
図12に示すように、合流部48の側に接続口58が形成され、分流部47A,47Bの側に排出口59が形成されたL字形状の通路である。この排出口59は、乾燥室12の外部で開口される。具体的には、
図5に示すように、仕切壁57は、後述する第2部材60の隔壁65に対して直交方向に延びる第1仕切部57aと、隔壁65から分流部47A,47B内に位置するように上板51と平行に延びる第2仕切部57bとを備える。第2仕切部57bが形成されていない合流部48側の領域が接続口58を構成する。第1および第2仕切部57a,57bで囲まれた分流部47A,47B側の領域に、排出口(出口)59が形成されている。
【0029】
図5および
図7に示すように、第2部材60は、第1部材50の外板52および流入部46の外端板55に対向する平面視凸形状の枠板61を備える。この枠板61は、下端縁が長方形状になるように、流入部46の外端板55に対向する突出部62が、下側に向けて内向きに傾斜している。枠板61の外周部には、配設部39に装着するための取付部63が設けられている。取付部63には、第1部材50のブラケット部53に対向するネジ止め用のボス64が設けられている。
【0030】
枠板61の内部には、流入部46、分流部47A,47Bおよび合流部48を画定する隔壁65が、横方向Xに延びるように設けられている。この隔壁65は、枠板61の下端縁から上端縁に向けて、流入部46による送風方向に対して逆向きに延びる。
図10に示すように、隔壁65の上端中央には、流入部46の内端板54に係合する係合板部66が形成されている。この第2部材60の内部は、隔壁65を境界として、突出部62の側が分流部47A,47Bを構成し、反対側が合流部48を構成する。
図11に示すように、分流部47A,47Bと合流部48とは、隔壁65の先端である第1部材50内で連通する。
【0031】
図7および
図8に示すように、分流部47A,47Bは、下端が底板67により閉塞されている。即ち、枠板61の突出部62の側の下端縁から隔壁65の下端縁にかけて閉塞するように底板67が設けられている。この底板67の中央には、三角形状をなす分岐部67aが突設されている。この分岐部67aは、流入部46からの送風方向の対向部に位置し、枠板61の上端である流入部46の出口中央から底板67にかけて延び、流入部46から供給される温風を分流する。各分流部47A,47Bでは、第1部材50の流入部46から供給された温風が、第2部材60の分岐部67a、底板67、枠板61、第1部材50の上板51に衝突することにより、送風方向が変更される。具体的には、第2部材60の分岐部67aおよび底板67が、流入部46からの下向きの送風方向を直交方向である横(外)向きに変更する第1ベンド部68Aを構成する。また、第2部材60の底板67および枠板61が、横向きの送風方向を上向きに変更する第2ベンド部68Bを構成する。さらに、第2部材60の枠板61および第1部材50の上板51が、上向きの送風方向を横(前)向きに変更する第3ベンド部68Cを構成する。
【0032】
図7および
図9に示すように、合流部48は、分流部47A,47Bからの温風を合流させ、温度分布を均一にして送出する。合流部48の下端縁は、配設部39の連通口40に位置され、本体11の乾燥室12内を臨む吹出口69を構成する。
図11に示すように、吹出口69は、隔壁65から枠板61の内端板61aにかけて上向きに傾斜し、乾燥室12を画定する後壁14から底壁13に向けて広角に吐出可能である。
図9に示すように、合流部48の内部には、吹出口69への送風方向に沿って延びる複数のルーバー70が形成されている。流入部46に位置する1つ置きのルーバー70aは、隔壁65の上端を越えて上向きに延び、流入部46の壁を支持する。
図7に示すように、分流部47A,47Bの出口からの送風方向の対向位置である合流部48の両側部には、通風可能な面積を狭くする絞り部71が設けられている。この絞り部71は、両端に位置するルーバー70b,70bの上端を部分的に閉塞するように設けた板部からなる。これにより、絞り部71は、絞り部71を設けていない部分より、通風可能な面積が狭くなる。
【0033】
図9および
図12に示すように、合流部48の両側部には、第1部材50の排出部56に連通する排気ダクト49の連通部72が設けられている。連通部72は、両端に位置するルーバー70bと枠板61との間に並設した仕切壁73により、吹出口69の側部に隣接して設けられている。仕切壁73は、枠板61の内端板61aの下端縁から排出部56の仕切壁57の内面にかけて延びる。これにより、吹出口69と仕切壁73の下端縁との間には、ファン25による送風が旋回することにより通気可能な通気部74(分岐部分)が形成される。連通部72を通した排出方向は、分岐前の合流部48での送風方向に対して逆向き(180度)である。
【0034】
吹出口69が塞がれていない通常の使用状態では、ルーバー70,70間の流体抵抗が低いため、排出方向が逆向きで流体抵抗が高い排気ダクト49に温風が流入することはなく、全てまたは大部分が乾燥室12内へ吐出される。一方、吹出口69が塞がれた誤使用状態では、ルーバー70,70間の流体抵抗が高くなるため、両端のルーバー70bと仕切壁73との間を通り、通気部74で略180度旋回して排気ダクト49の連通部72および排出部56を通して、温風を乾燥室12の外部へ送出できる。なお、排気ダクト49を通したダクト24から外部への排気は、通気部74が形成された吹出口69の両端(一部)が塞がれた場合にも生じる。
【0035】
この吹出口ユニット45を配設したダクト24内は、吸込口33から吹出口ユニット45の流入部46の出口(下端)にかけた領域が、ファン25およびヒータ26を配設する第1通路を構成する。また、吹出口ユニット45内の分流部47A,47Bが、第1通路から分岐し、第1通路とは異なる方向へ送風させる一対の第2通路を構成する。さらに、吹出口ユニット45内の合流部48が、各第2通路の下流側に連通し、各第2通路からの温風を合流させる第3通路を構成する。そのうち、ヒータ26を含む第1通路の下流側、第2通路および第3通路は、前述のように吹出口ユニット45に集約して、乾燥室12を画定する後壁14の外側に配置されている。
【0036】
図4および
図8に示すように、本実施形態の食器乾燥器10には、ヒータ26の過熱を防止するための過熱防止素子である温度ヒューズ75と、加熱した温風温度を検出するための温度検出手段であるサーミスタ76とが配設されている。
【0037】
温度ヒューズ75は、流入部46内のヒータ26の下流側に配設されている。この温度ヒューズ75は、ヒータ26に直列に接続され、過熱により設定温度(例えば172℃)を超えると溶損し、ヒータ26への通電を遮断する。
【0038】
サーミスタ76は、温度ヒューズ75の下流側である一方の分流部47Bに配設されている。このサーミスタ76は、排気ダクト49が分岐接続された通気部74の上流側に位置する。本実施形態では、分流部47Bにおける底板67と枠板61との角部である第2ベンド部68Bに配設されている。この部分は、ヒータ26により加熱された温風が、第1ベンド部68Aで混合された後、更に二次混合される部分である。そのため、サーミスタ76は、温度分布を均一にした温風の温度を検出することができる。
【0039】
図2および
図4に示すように、上側空間部30内は、吸込口33に対してファン25の送風方向逆側に位置する空間を、制御基板80を収容する収容部77としている。収容部77には、制御基板80を配置するための基板ホルダ78に配設される。また、収容部77の前端には操作パネル部79が形成されている。
【0040】
制御基板80には、ファン25およびヒータ26を制御するための電子部品(図示せず)が実装されている。電子部品の1つであるマイコン(制御手段)は、サーミスタ76から入力される検出値に基づいて、ファン25およびヒータ26への通電を制御する。具体的には、サーミスタ76の検出値による温風温度が下限値(例えば50℃)を下回るとヒータ26をオンする。また、サーミスタ76の検出値による温風温度が上限値(例えば86℃)を上回るとヒータ26をオフする。即ち、サーミスタ76の検出値に基づいてヒータ26への通電を遮断するしきい値は、過熱により温度ヒューズ75が作動する設定温度より低い。
【0041】
制御基板80には、電子部品が発した熱を放熱するための放熱素子であるヒートシンク81が配設されている。ヒートシンク81は、制御基板80を介して電子部品に取り付けられる取付部82と、収容部77内から吸込口33に対向する下部にかけて延びる風受部83とを備える。また、風受部83は、ファン25による送風方向の下流側に向けて傾斜し、吸込口33を臨むように配設したガイド面84を備える。このヒートシンク81は、熱伝導性が良好な金属(例えばアルミニウム)製の板材を屈曲して形成される。吸込口33の側に位置するガイド面84の端縁は、吸込口33における送風方向逆側の端部(収容部77側)に位置する。これにより、ガイド面84は、吸込口33から吸い込んだ空気をファン25による送風方向下流側へ誘導する。
【0042】
(通常使用時の温風の流れ)
図2および
図4に示すように、食器乾燥器10は、ファン25が回転されると外部の空気が吸込口33から吸い込まれる。吸い込まれた常温の空気は、まず、ヒートシンク81のガイド面84に衝突し、ダクト24の下流側へ誘導される。この際、ヒートシンク81は、常温の空気との熱交換により冷却される。
【0043】
このように、本実施形態の食器乾燥器10は、吸込口33に対向する風受部83を設けているため、吸込口33に対して送風方向逆側に位置し、空気の流動が少ない収容部77であっても、制御基板80に実装した電子部品が発する熱を確実に放熱できる。また、風受部83は、吸込口33へ向けて突出し、送風方向下流側へ誘導するガイド面84を有するため、ダクト24内の空気の流れを良好に維持できるとともに、空気が接触する表面積を十分に確保できるので放熱性能を向上できる。
【0044】
吸込口33からダクト24の下流側へ誘導された空気は、上側空間部30から後側空間部35へ送風される。そして、後側空間部35の下流側で吹出口ユニット45の流入部46内に流入し、ヒータ26によって加熱されて温風になる。この状態での温度分布は、ヒータ26から離れるに従って加熱温度が徐々に低くなっている。
【0045】
加熱された温風は、流入部46から分流部47A,47Bへ送出される。分流部47A,47Bでは、まず分岐部67aに衝突し、送風方向が分岐部67aの傾斜面に沿った斜め方向に変更されて、温度分布に偏りが生じていた温風が混合される。次いで温風は、底板67に衝突して送風方向が直交方向(水平外向き)に変更されることにより、更に混合される。次いで、枠板61に衝突して送風方向が直交方向(垂直上向き)に変更されることにより、更に混合される。次いで、上板51に衝突して送風方向が直交方向(水平前向き)に変更されることにより、更に混合される。
【0046】
このように複数回の衝突により混合された温風は、分流部47A,47Bから合流部48へ送出される。合流部48では、まず、外板52に衝突して送風方向が直交方向に変更される。この際、各分流部47A,47Bからの温風の送風方向は、垂直下向きに変更される一部と水平内向きに変更される残りになる。なお、送風方向が垂直下向きに変更される風量は、分流部47A,47Bの出口の対向位置に設けた絞り部71により抑制される。その結果、分流部47A,47Bからの温風は、水平内向きの風量が多くなり、温風同士の合流(衝突)により混合される。
【0047】
合流により混合された温風は、ルーバー70に衝突することにより更に混合された後、ルーバー70,70間の隙間を通過して乾燥室12の底壁13へ向けて吐出される。その後、乾燥室12内で旋回して上向きに流動し、排気部27から本体11の外部へ排気される。この際、乾燥室12内に配設した食器類の間を通過することにより、食器類を乾燥させる。
【0048】
このように、本実施形態の食器乾燥器10では、ヒータ26によって加熱された温風が吹出口69から乾燥室12内へ吐出されるまでの間に、複数回衝突により混合されるため、温風の温度分布を均一にすることができる。よって、乾燥室12内にセットした食器類の位置によって乾燥状態(効率)に偏りが生じることを確実に防止できる。
【0049】
また、本実施形態では、送風方向を直交方向に変更する複数のベンド部68A〜68Cを有する吹出口ユニット45を設けているため、ヒータ26から吹出口69までの寸法を変更することなく、コンパクトな容積で確実に温度分布を均一にすることができる。しかも、温度分布を均一にする混合作用は、合流部48に設けた絞り部71およびルーバー70により、更に確実に実現できる。
【0050】
さらに、ヒータ26を含む吹出口ユニット45を乾燥室12を画定する後壁14の外側に配設しているため、本体11の全高が高くなることを防止できるとともに、吸込口33を形成する高さを希望の位置に設定できる。しかも、吹出口ユニット45は、吹出口69から乾燥室12の底壁13に向けて温風を吐出するようにしているため、昇温させ難い乾燥室12の下部温度を確実に高くすることができる。
【0051】
そして、複数のベンド部68A〜68Cを有する分流部47A,47Bに、ヒータ26により加熱した温風温度を検出するサーミスタ76を配設しているため、偏りがない正確な数値(温度)を検出することができる。そのため、過剰加熱または加熱不足を生じさせることなく、確実に乾燥室12内を温度調節できる。
【0052】
(誤使用時の温風の流れ)
食器乾燥器10は、本来の目的とは異なる布巾を乾燥および殺菌するために、布巾をカゴ23Bに引っ掛けて誤使用される可能性がある。この誤使用状態では、布巾が吹出口69を完全に塞ぐと、ファン25による吹出口69へ向けた送風が遮断される。その結果、ヒータ26の周囲の空気は過熱されるが、その熱はサーミスタ76には伝わらない。この場合、ヒータ26の周辺の部品(例えばダクト24を画定する壁)が過熱される可能性がある。そして、安全装置として搭載した温度ヒューズ75が作動する可能性がある。
【0053】
しかし、本実施形態では、吹出口ユニット45のヒータ26の下流側に排気ダクト49を設けているため、この排気ダクト49を通して乾燥室12の外部へ加熱した空気を送風できる。よって、ダクト24内での送風は遮断されない。
【0054】
具体的には、吹出口69が塞がれるとルーバー70,70間は流体抵抗が高くなるため、合流部48内ではルーバー70,70間へ向けた流動が遮断される。これにより温風は、出口が乾燥室12の外部に開放され、ルーバー70,70間より流体抵抗が低い両端のルーバー70bと仕切壁73との間を通り、通気部74に流入する。その後、温風は、通気部74内で旋回して連通部72に流入した後、排出部56の排出口59を通して乾燥室12の外部へ送出される。なお、本実施形態では、排出口59から排出された温風は、再びファン25により吸い込まれる。
【0055】
このように、本実施形態の食器乾燥器10では、誤使用により吹出口69が塞がれた場合でもダクト24内での通風を確保できる。しかも、排出口59は、本体11内かつ乾燥室12外に開口されているため、この排出口59が塞がれることはない。そのため、ヒータ26の周辺部品が空気を介して過熱されることを防止できる。また、温度ヒューズ75が作動する前にサーミスタ76によって温度上昇を検出することができる。その結果、温度ヒューズ75の作動により、食器乾燥器10の運転が不可能な状態になることを防止できる。また、排気ダクト49は、吹出口69の側部に設けているため、ダクト24との分岐部分である通気部74および排出口59を効果的に配置できる。
【0056】
(第2実施形態)
図13は第2実施形態の食器乾燥器10の吹出口ユニット45および後カバー41を示す。この第2実施形態では、排気ダクト49のから排出する温風を本体11の外部へ排出可能とした点で、第1実施形態と相違する。具体的には、吹出口ユニット45の第1部材50には、排気ダクト49の出口である排出口59が、後カバー41に対向する外板52だけ開口するように設けられている。後カバー41には、開口部28を閉塞することにより排出口59内に挿入される排気部85が設けられている。この排気部85は、両端を開口した四角筒形状をなす。このように構成した第2実施形態では、第1実施形態と同様の作用および効果を得ることができる。しかも、吹出口69が塞がれると、加熱された空気を確実に外部へ排出できるため、異常過熱を確実に防止できる。
【0057】
(第3実施形態)
図14は第3実施形態の食器乾燥器10の吹出口ユニット45の第2部材60を示す。この第2実施形態では、各ルーバー70に通気部74に連通する連通孔86を設けた点で、第1実施形態と相違する。このように構成した第3実施形態では、吹出口69の全部または一部が閉塞された際に確実に排気ダクト49へ排気できる。
【0058】
なお、本発明の温風処理装置は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0059】
例えば、前記実施形態では、排気ダクト49の排出方向は、分岐部分である合流部48での送風方向に対して180度旋回するように設定したが、
図15に示すように、90度旋回するように設定してもよい。このようにしても、第1実施形態と略同様の作用および効果を得ることができる。即ち、本発明の排気ダクト49において、排出口59へ向けた排出方向を逆向きに設定するとは、分岐前のダクト24内の送風方向に対して90度から180度の範囲で設定すればよい。これは、1度から89度の範囲とした場合、通常使用時に排気ダクト49に温風が漏れる可能性が高くなるためである。但し、排気ダクト49に所定圧力になると開弁する開閉弁を介設した場合には、この限りではない。また、前記実施形態では、排気ダクト49は、吹出口69の側部に隣接して設けたが、ヒータ26の下流側であれば分岐位置は希望に応じて変更が可能である。
【0060】
また、第1実施形態では、排気ダクト49によってダクト24内の空気を乾燥室12に排気し、第2実施形態では、排気ダクト49によってダクト24内の空気を本体11の外部に排気したが、乾燥室12を画定する壁に吹出口69とは異なる別の異常時用吹出口を設け、排出口59からの温風を異常時用吹出口から乾燥室12内に排出してもよい。
【0061】
そして、前記実施形態では、全高が高い縦型の食器乾燥器10に本発明のダクト24に分岐接続する排気ダクト49を採用したが、本体11の上方を円弧状の蓋体によって開閉可能としたドーム型の食器乾燥器10に、本発明のダクト24を採用する構成としてもよい。また、本発明の温風処理装置は、食器類を乾燥させる食器乾燥器10を適用して説明したが、食器洗い乾燥機、除湿乾燥器、布団乾燥器および殺菌器など、空気を加熱して吐出する機器であれば、本発明の排気ダクト49を採用することにより、同様の作用および効果を得ることができる。