(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1のような従来技術では、各砥粒をその一面を当て部に面接触させながら基台の取付面に位置決めしている。この場合、各砥粒は、当て部に対して比較的安定して接触するので、基台の取付面に対して不安定な接触状態で位置決めされることがある。つまり、例えば、各砥粒は、その1つの頂点のみが基台の取付面に接触(点接触)した状態で位置決めされることがある。このような砥粒は、基台に電着したとしても、当該基台から脱落してしまう。
【0006】
また、各砥粒の一面が当て部に面接触していると、これら砥粒を基台に電着する際に、各砥粒の一面と当て部とが接着し易くなる。そうすると、当て部に接着した砥粒は、当て部と各砥粒とを離間させる際に、基台の取付面に対して位置ずれすることがあり、場合によっては、基台の取付面から脱落することも有り得る。
【0007】
本発明は、このような課題を考慮してなされたものであり、各砥粒の基台の取付面からの脱落及び各砥粒の前記取付面に対する位置ずれを抑えることができる砥石製造方法及び砥石製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[1] 本発明に係る砥石製造方法は、基台の取付面に複数の砥粒が並設された砥石を製造する砥石製造方法であって、前記基台を砥粒位置決め治具の支持部に装着した状態でめっき液に浸漬させる浸漬工程と、各前記砥粒の一面を前記砥粒位置決め治具の当て部に線接触させながら各当該砥粒を前記取付面に位置決めする位置決め工程と、位置決めされた複数の前記砥粒を前記基台に電着する電着工程と、を行う、ことを特徴とする。
【0009】
本発明に係る砥石製造方法によれば、各砥粒の一面を当て部に線接触させながら各砥粒を基台の取付面に位置決めしている。そうすると、各砥粒は、その一面を当て部に面接触させる場合と比較して、当て部に対して不安定な状態で接触するため、基台の取付面に対して安定して(面接触した状態で)位置決めされ易くなる。換言すれば、各砥粒は、基台の取付面に対して座りがよくなる。そして、このような砥粒は、電着工程により基台にしっかりと電着されるため、各当該砥粒の基台からの脱落を抑えることができる。また、当て部に線接触している各砥粒は、各砥粒の一面を当て部に面接触させた場合と比較して、電着工程中に当て部に接着し難くなる。これにより、電着工程中に各砥粒が当て部に接着して、各砥粒と当て部とを離間させた際に各砥粒が基台の取付面に対して位置ずれすることを抑えることができる。
【0010】
[2] 上記の砥石製造方法において、前記電着工程は、前記砥粒を前記基台に仮電着する仮電着工程であって、前記仮電着工程の後で前記砥粒と前記当て部とを離間させる離間工程と、前記砥粒と前記当て部とを離間させた状態で当該砥粒を前記基台に本電着する本電着工程と、をさらに行ってもよい。
【0011】
このような方法によれば、仮電着工程の後で離間工程を行うため、本電着工程の後で離間工程を行う場合と比較して、各砥粒の当て部に対する接着を効率的に抑えることができる。これにより、離間工程の際に各砥粒が基台の取付面に対して位置ずれすることを一層抑えることができる。また、各砥粒と当て部とが離間した状態で本電着工程を行うため、本電着工程中に各砥粒の外周面にめっき液を確実に接触させることができる。換言すれば、当て部によって各砥粒のめっき液の接触が阻害されることはない。よって、各砥粒に均一なめっき層を形成することができる。
【0012】
[3] 上記の砥石製造方法において、前記離間工程では、前記当て部を含む位置決め部と前記支持部とを接続する接続ボルトを緩めると共に弾性部材の弾性力で当該支持部と当該位置決め部とを相対移動させることによって、各前記砥粒と前記当て部とを離間させてもよい。
【0013】
このような方法によれば、位置決め部と支持部とを人手で相対移動させて各砥粒と当て部とを離間させる場合と比較して、離間工程に伴うめっき液の流動を抑えることができる。これにより、基台に仮電着されている各砥粒が離間工程の際に位置ずれすることをより一層抑えることができる。
【0014】
[4] 上記の砥石製造方法において、前記離間工程では、前記支持部と前記位置決め部とをガイドシャフトで案内しながら相対移動させることによって、各前記砥粒と前記当て部とを離間させてもよい。
【0015】
このような方法によれば、位置決め部と支持部とをより円滑に相対移動させることができるので、離間工程に伴うめっき液の流動をさらに抑えることができる。
【0016】
[5] 本発明に係る砥石製造装置は、基台の取付面に複数の砥粒が並設された砥石を製造する砥石製造装置であって、複数の前記砥粒を前記基台に電着するために、めっき液に浸漬された状態で前記取付面に複数の前記砥粒を位置決めする砥粒位置決め治具を備え、前記砥粒位置決め治具は、前記基台を支持する支持部と、各前記砥粒の一面に線接触した状態で各当該砥粒を前記取付面に位置決めする当て部と、を有している、ことを特徴とする。
【0017】
本発明に係る砥石製造装置によれば、各砥粒の一面を当て部に線接触させながら各砥粒を基台の取付面に位置決めすることができる。これにより、各砥粒は、その一面を当て部に面接触させる場合と比較して、当て部に対して不安定な状態で接触するため、基台の取付面により安定して位置決めされ易くなる。そして、このような砥粒は、基台にしっかりと電着することができるので、当該砥粒の基台からの脱落を抑えることができる。また、当て部に線接触している各砥粒は、各砥粒の一面を当て部に面接触させた場合と比較して、基台に電着する際に当て部に接着し難くなる。これにより、各砥粒と当て部とを離間させた際に、これら砥粒が基台の取付面に対して位置ずれすることを抑えることができる。
【0018】
[6] 上記の砥石製造装置において、前記当て部は、各前記砥粒の一面に線接触して断面円弧状に形成された湾曲面を有していてもよい。この場合、各砥粒の一面を当て部に対して効率的に線接触させることができる。
【0019】
[7] 上記の砥石製造装置において、前記砥粒位置決め治具は、前記当て部を含む位置決め部と、前記位置決め部と前記支持部とを接続する接続ボルトと、前記位置決め部と前記支持部とを相対移動させるための弾性部材と、をさらに備え、前記接続ボルトを緩めると共に前記弾性部材の弾性力で当該位置決め部と当該支持部とを相対移動させることによって、各前記砥粒と前記当て部とを離間させてもよい。
【0020】
このような構成によれば、位置決め部と支持部とを人手で相対移動させて各砥粒と前記当て部とを離間させる場合と比較して、各砥粒と当て部との離間に伴うめっき液の流動を抑えることができる。これにより、各砥粒と当て部とを離間させる際に、基台に位置決めされた(電着された)各砥粒が位置ずれすることをより一層抑えることができる。
【0021】
[8] 上記の砥石製造装置において、前記接続ボルトの軸線方向に沿って延在して前記位置決め部と前記支持部との相対移動を案内するガイドシャフトをさらに備えていてもよい。
【0022】
このような構成によれば、位置決め部と支持部とをより円滑に相対移動させることができるので、各砥粒と当て部との離間に伴うめっき液の流動をさらに抑えることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る砥石製造方法及び砥石製造装置によれば、各砥粒の一面を当て部に線接触させながら各砥粒を基台の取付面に位置決めすることができる。よって、各砥粒の基台からの脱落及び各砥粒の前記取付面に対する位置ずれを抑えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る砥石製造方法及び砥石製造装置について、好適な実施形態を例示し、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0026】
本実施形態に係る砥石製造装置10は、
図10A及び
図10Bに示す砥石200を製造するための装置である。先ず、砥石200の構成について説明する。砥石200は、例えば、ワークWを加工(研削)するための中ぐり加工用工具に用いられ、金属材料で構成された基台(台金)202と、基台202に設けられた複数の砥粒204とを備えている。
【0027】
図2及び
図4Aに示すように、基台202は、一方向に延在した平板部206と、平板部206からその厚み方向に突出した凸部208とを有している。平板部206の両端部の各々には、平板部206の幅方向に延在してボルト210が挿通する長孔212が形成されている。
【0028】
凸部208は、一対の長孔212の間に位置して平板部206の長手方向に沿って延在している。凸部208の先端部は、先端に向かって幅狭となるように横断面が略台形状に形成されている。すなわち、凸部208の先端には、複数の砥粒204が並設される平坦な取付面214が形成されている。なお、
図2及び
図4Aでは、便宜上、基台202に対する各砥粒204の大きさを実際よりも大きく誇張して示している。本実施形態において、各砥粒204は、切頂八面体のダイヤモンドで構成されている。ただし、各砥粒の形状及び材質は、任意に選定することができる。
【0029】
続いて、砥石製造装置10の構成について説明する。
図1及び
図2に示すように、砥石製造装置10は、めっき液12を貯留するめっき漕14と、めっき電源16と、めっき液12に浸漬された電極部18と、複数(
図2では3つ)の基台202が装着される砥粒位置決め治具20とを備えている。
【0030】
めっき液12は、任意の組成のものを選択することができる。めっき電源16は、電極部18がアノードとなると共に各基台202がカソードとなるように、電極部18と各基台202とに電気的に接続されている。電極部18は、任意の材料及び形状で構成することが可能であり、例えば、ニッケル板が用いられる。
【0031】
砥粒位置決め治具20は、各基台202の取付面214に複数の砥粒204を位置決めするためのものであって、複数の基台202が装着された状態でめっき液12に浸漬される。砥粒位置決め治具20は、めっき漕14の底面に配設されたベース板22と、ベース板22に立設して対向配置された一対の連結プレート24と、各連結プレート24に軸支された支持ピン26の各々に接続された回動板28とを備えている。なお、
図1では、連結プレート24及び支持ピン26を1つのみ示している。
【0032】
回動板28は、各支持ピン26の軸線と直交する方向に延在した平板の先端側をベース板22側に所定角度だけ折り曲げた形状を有している。すなわち、回動板28は、その基端側(各支持ピン26が位置する側)を構成する第1部位30と、その折り曲げられた先端側を構成する第2部位32とを有している。
【0033】
第2部位32には、支持ボルト33が挿通する孔34が形成されると共に当該支持ボルト33に螺合するナット36が固着されている。ナット36に螺合した支持ボルト33の先端面はベース板22に当接する。これにより、回動板28は、第1部位30の平面が水平方向に対して所定角度だけ傾斜した状態で保持される。
【0034】
砥粒位置決め治具20は、複数の基台202を支持する支持部38と、支持部38よりも複数の支持ピン26側に配設された位置決め部40とをさらに備えている。支持部38は、第2部位32に移動可能に設けられた可動ブロック42と、可動ブロック42に固着された支持部本体44とを有している。可動ブロック42は、各支持ピン26の軸線方向(
図2の左右方向)に沿って延在すると共に横断面が略L字状に形成されている。
【0035】
支持部本体44は、絶縁材料で構成されている。支持部本体44の構成材料としては、例えば、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)樹脂等の樹脂材料を用いることができる。支持部本体44は、可動ブロック42の長手方向に沿って延在すると共に横断面が略U字状に形成されている。すなわち、支持部本体44には、その長手方向に沿って延在した長溝46が形成されている。
【0036】
長溝46には、その延在方向に沿って複数の基台202が並設される。長溝46の溝幅は、基台202の幅寸法よりも大きく形成されている。長溝46を構成する溝側面と各基台202との間には、シリコンゴム等のゴム部材48が介設されている。
【0037】
支持部本体44には、長溝46の溝側面に開口してゴム部材48を押圧するための複数の保持ボルト50が螺合する複数のボルト孔52が形成されている。各保持ボルト50には、ゴムワッシャ54が通されている。すなわち、本実施形態では、各保持ボルト50を各ボルト孔52に螺合して各ゴム部材48を各基台202側に押し付けることによって、各基台202が長溝46内に保持される。これにより、各基台202の取付面214は、水平方向に対して傾斜した状態で砥粒位置決め治具20に対して装着されることとなる。
【0038】
なお、長溝46を構成する溝底面には、基台202の各長孔212に挿通されたボルト210が螺合する複数の図示しないボルト孔が形成されていてもよい。この場合、各長孔212に挿通された各ボルト210を各前記ボルト孔に締め付けることによって、各基台202を支持部本体44に対してより強固に保持することが可能となる。
【0039】
位置決め部40は、各支持ピン26に接続された固定ブロック56と、固定ブロック56に設けられた当て部(基準ブロック)58とを有している。固定ブロック56は、可動ブロック42の長手方向に沿って延在している。
図2から諒解されるように、固定ブロック56には、3本の接続ボルト60と、2本のガイドシャフト62と、2つのスプリングプランジャ64とが設けられている。なお、接続ボルト60、ガイドシャフト62及びスプリングプランジャ64の個数は、任意に設定することができる。
【0040】
3本の接続ボルト60は、各基台202に対応して固定ブロック56の長手方向に沿って所定間隔離間して並設されている。各接続ボルト60は、固定ブロック56の貫通孔66に挿通した状態で可動ブロック42のボルト孔68に螺合している(
図7A参照)。これにより、支持部38と位置決め部40とを確実に接続することができる。
【0041】
2本のガイドシャフト62は、隣接する接続ボルト60の間に1つずつ配設されている。また、各ガイドシャフト62は、固定ブロック56の貫通孔70に挿通した状態で可動ブロック42の嵌合孔72に圧入されている(
図8A参照)。
【0042】
2つのスプリングプランジャ64は、中央に位置する接続ボルト60とガイドシャフト62の間に配設されている。
図9Aに示すように、各スプリングプランジャ64は、可動ブロック42に固定された筒体74を有している。筒体74の一端側の開口部には閉塞部材76が嵌合されており、筒体74内には、スプリング(弾性部材)78とピン80とが配設されている。スプリング78は、閉塞部材76とピン80との間に介在されており、例えば、圧縮コイルスプリングとして構成されている。ピン80は、筒体74の他端側の開口部から突出すると共にその先端が可動ブロック42に接触している。すなわち、各スプリングプランジャ64は、スプリング78の弾性力によって、可動ブロック42を他端側(第2部位32が位置する側)に押圧(付勢)する。
【0043】
当て部58は、絶縁材料で構成されている。当て部58の構成材料としては、例えば、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)樹脂等の樹脂材料を用いることができる。当て部58は、複数の固定ボルト82(
図2及び
図9A参照)で固定ブロック56に固定された保持部84と、保持部84から基台202の取付面214に向けて突出した複数の突出部86とを有している。保持部84は、固定ブロック56の延在方向に沿って延在している。
【0044】
複数の突出部86は、複数の基台202に対応して設けられている。すなわち、本実施形態において、突出部86は、基台202と同じ数(3つ)設けられている。各突出部86は、各基台202の取付面214の全長に亘って延在している。また、各突出部86は、その先端に向かって薄肉に形成されている。各突出部86の先端は、各基台202の取付面214の幅方向略中央に位置した状態で当該取付面214に対して離間している。各突出部86の先端と各基台202の取付面214との間の間隔は、砥粒204の大きさに応じて設定される。各突出部86の先端部には、各砥粒204の一面に線接触して断面円弧状に形成された湾曲面88(
図4B参照)が形成されている。
【0045】
本実施形態に係る砥石製造装置10は、基本的には以上のように構成されるものであり、以下、その作用及び効果について砥石製造方法との関係で説明する。
【0046】
先ず、複数の基台202と各基台202に取り付ける複数の砥粒204を準備する(
図3のステップS1:準備工程)。そして、複数の基台202を砥粒位置決め治具20に装着する(ステップS2:装着工程)。具体的には、複数の基台202を長溝46に配設した状態で各保持ボルト50を各ボルト孔52に締め付けると共に、各ボルト210を各長孔212に挿通させた状態で長溝46の底面に形成された図示しないボルト孔に締め付ける。これにより、複数の基台202が支持部本体44に確実に保持される。
【0047】
次いで、複数の基台202が装着された砥粒位置決め治具20をめっき漕14のめっき液12に浸漬する(ステップS3:浸漬工程)。このとき、各基台202の取付面214は、水平方向に対して所定角度だけ傾斜する。換言すれば、取付面214は、固定ブロック56に向かって斜め下方に傾斜する。なお、この浸漬工程は、ステップS2の前に行っても構わない。すなわち、砥粒位置決め治具20をめっき液12に浸漬した状態で複数の基台202を砥粒位置決め治具20に装着してもよい。
【0048】
続いて、複数の砥粒204を各基台202の取付面214に供給する(ステップS4:供給工程)。具体的には、
図4Aに示すように、複数の供給筒215をその先端開口部が各基台202の取付面214における各砥粒設置部位に指向するように配設する。そして、各供給筒215の内部に砥粒204を導入する。各供給筒215の先端開口部から導出された各砥粒204は、取付面214を転がり、各当該砥粒204の一面が当て部58に線接触した状態で取付面214に位置決めされる(ステップS5:位置決め工程、
図4B参照)。
【0049】
このとき、各砥粒204の一面が各突出部86の先端部に形成された断面円弧状の湾曲面88に線接触するため、各砥粒204は当て部58に対して比較的不安定な状態で接触する。よって、各砥粒204は、各基台202の取付面214に対して安定して位置決めされる。言い換えれば、各砥粒204は、各当て部58に接触する一面とは異なる面が各基台202の取付面214に面接触した状態で位置決めされる。
【0050】
また、
図4Bから諒解されるように、各当て部58は、各砥粒204の一面に対して斜め上方から接触する。これにより、各基台202の取付面214に位置決めされた複数の砥粒204は、各当て部58に接触する一面が同一平面上に位置した状態で並設される(整列する)こととなる。ここで、
図5に示すように、複数の砥粒204には、粒径の異なる砥粒204(以下、粒径の比較的大きい砥粒204を砥粒204aと称することがある。)が混在することがある。しかしながら、このような場合であっても、各砥粒204、204aは、各当て部58に接触する一面が同一平面上に位置する。
【0051】
砥粒位置決め治具20に装着された複数の基台202の全てに対して複数の砥粒204を位置決めした後、各砥粒204を各基台202の取付面214に対して仮電着する(ステップS6:仮電着工程)。すなわち、各基台202と電極部18との間に所定の電圧を所定の仮電着時間だけ印加することにより、各基台202の取付面214に仮めっき層90を形成する(
図6A参照)。なお、このとき、各基台202のうちめっきを施したくない部位には予めマスキング剤が塗布されているので、取付面214にのみ仮めっき層90が形成される。また、仮めっき層90は、必要めっき厚の略5%の厚みに設定される。
【0052】
そして、仮電着工程が終了すると、図示しない工具を用いて複数の接続ボルト60を回して緩めることにより各当て部58と各砥粒204とを離間させる(ステップS7:離間工程)。複数の接続ボルト60を緩めると、複数のスプリングプランジャ64に押圧された可動ブロック42が複数のガイドシャフト62に案内されながら第2部位32の位置する側に移動する(
図7A〜
図9B参照)。これにより、各当て部58と各砥粒204とが離間することとなる。
【0053】
このように、前記工具を用いて複数の接続ボルト60を回して緩めて複数のスプリングプランジャ64の弾性力で可動ブロック42を移動させると、可動ブロック42を直接人手で移動させる場合と比較して、離間工程中におけるめっき液12の流動が抑えられる。そのため、各基台202に仮電着されている各砥粒204が離間工程の際に位置ずれすることはない。また、前記工具により各接続ボルト60を徐々に回して緩めることにより、可動ブロック42を固定ブロック56に対して比較的低速で移動させることができる。この場合、めっき液12の流動が効率的に抑えられる。
【0054】
各当て部58が各砥粒204から離間すると、各砥粒204を各基台202の取付面214に対して本電着する(ステップS8:本電着工程)。すなわち、各基台202と電極部18との間に所定の電圧を所定の本電着時間だけ印加することにより、各基台202の取付面214に本めっき層92を形成する(
図6B参照)。なお、この場合にも、マスキング剤の塗布されていない各基台202の取付面214にのみ本めっき層92が形成されることとなる。
【0055】
本電着工程の終了後、複数の基台202を砥粒位置決め治具20から取り外す(ステップS9:取外工程)。そして、これら基台202を加工ステーションに移送して、図示しない加工装置を用いて各基台202に本電着された各砥粒204に逃げ面216を形成する(ステップS10:加工工程、
図10A参照)。これにより、複数の砥石200が製造されることとなる。
【0056】
このようにして製造された各砥石200では、各砥粒204におけるすくい面218と逃げ面216との境界部の刃部220が、取付面214に対して略平行な同一直線上に位置することとなる。すなわち、
図10Aから諒解されるように、粒径の比較的大きい砥粒204aの刃部220aと他の複数の砥粒204の刃部220とが、取付面214に対して略平行な同一直線上に位置することとなる。換言すれば、各砥粒204、204aの刃部220の取付面214からの高さが略均一になる。これにより、全ての砥粒204、204aをワークWに作用(接触)させた状態で当該ワークWを中ぐり加工(研削)することができる(
図10B参照)。よって、砥粒204の数の削減とワークWの安定加工の実現を図ることができる。
【0057】
本実施形態によれば、各砥粒204の一面を各当て部58に線接触させながら各砥粒204を各基台202の取付面214に位置決めしている。そうすると、各砥粒204は、その一面を各当て部58に面接触させる場合と比較して、各当て部58に対して不安定な状態で接触するため、各基台202の取付面214に対して安定して(面接触した状態で)位置決めされ易くなる。換言すれば、各砥粒204は、各基台202の取付面214に対して座りがよくなる。そして、このような砥粒204は、仮電着工程及び本電着工程により基台202にしっかりと電着されるため、当該砥粒204の基台202からの脱落を抑えることができる。
【0058】
また、各当て部58に線接触している各砥粒204は、各砥粒204の一面を各当て部58に面接触させた場合と比較して、仮電着工程中に各当て部58に接着し難くなる。これにより、仮電着工程中に各砥粒204が各当て部58に接着して、離間工程の際に各砥粒204が各基台202の取付面214に対して位置ずれすることを抑えることができる。さらに、各砥粒204の一面を各当て部58に線接触させているので、離間工程の際に各砥粒204と各当て部58との間に流入するめっき液12の量を比較的少なくすることができる。よって、離間工程に伴うめっき液12の流動を好適に抑えることができる。
【0059】
本実施形態において、各当て部58は、各前記砥粒204の一面に線接触して断面円弧状に形成された湾曲面88を有している。これにより、各砥粒204の一面を各当て部58の湾曲面88に対して効率的に線接触させることができる。
【0060】
本実施形態では、仮電着工程の後で離間工程を行うため、本電着工程の後で離間工程を行う場合と比較して、各砥粒204の各当て部58に対する接着を効率的に抑えることができる。これにより、離間工程の際に各砥粒204が各基台202の取付面214に対して位置ずれすることを一層抑えることができる。また、各砥粒204と各当て部58とが離間した状態で本電着工程を行うため、本電着工程中に各砥粒204の外周面にめっき液12を確実に接触させることができる。換言すれば、当て部58によって各砥粒204のめっき液12の接触が阻害されることはない。よって、各砥粒204に均一なめっき層(本めっき層92)を形成することができる。
【0061】
本実施形態によれば、所定の工具を用いて各接続ボルト60を回して緩めると共に各スプリングプランジャ64の弾性力で支持部38を位置決め部40に対して移動させることによって、各砥粒204と当て部58とを離間させている。これにより、直接人手で支持部38を位置決め部40に対して移動させて各砥粒204と各当て部58とを離間させる場合と比較して、離間工程に伴うめっき液12の流動を抑えることができる。よって、各基台202に仮電着されている各砥粒204が離間工程の際に位置ずれすることをより一層抑えることができる。
【0062】
また、支持部38を位置決め部40に対して複数のガイドシャフト62で案内しながら移動させている。これにより、支持部38を位置決め部40に対して円滑に移動させることができるので、離間工程に伴うめっき液12の流動をさらに抑えることができる。
【0063】
本実施形態は上述した構成乃至方法に限定されない。例えば、砥粒位置決め治具20は、1つの基台202のみを装着可能に構成されていても構わない。また、上述した実施形態では、支持部38を位置決め部40に対して移動させることにより各砥粒204と各当て部58とを離間させている。しかしながら、位置決め部40を支持部38に対して移動させることにより各砥粒204と各当て部58とを離間させても構わない。すなわち、砥粒位置決め治具20は、支持部38と位置決め部40とを相対移動させることにより各砥粒204と当て部58とを離間させることができるように構成されていればよい。
【0064】
また、本実施形態に係る砥粒位置決め治具20は、複数のスプリングプランジャ64に代えて1つ又は複数のばね部材又はゴム部材を可動ブロック42と固定ブロック56の間に介在させて構成してもよい。この場合であっても、支持部38と前記位置決め部40とを相対移動させることができる。
【0065】
本発明は、上述した実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることは当然可能である。