特許第6046008号(P6046008)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6046008
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】定置式溶接装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 11/11 20060101AFI20161206BHJP
   B23K 11/14 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   B23K11/11 550Z
   B23K11/14 310
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-179364(P2013-179364)
(22)【出願日】2013年8月30日
(65)【公開番号】特開2015-47610(P2015-47610A)
(43)【公開日】2015年3月16日
【審査請求日】2015年3月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】390023917
【氏名又は名称】八千代工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100127801
【弁理士】
【氏名又は名称】本山 慎也
(72)【発明者】
【氏名】石山 樹雄
(72)【発明者】
【氏名】永尾 竜一
【審査官】 青木 正博
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−300473(JP,A)
【文献】 米国特許第01635583(US,A)
【文献】 特開2012−187629(JP,A)
【文献】 特開平09−010956(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 11/11
B23K 11/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1溶接ガンと第2溶接ガンとを備えた定置式溶接装置であって、
前記第1溶接ガンと前記第2溶接ガンとは、一対の電極をそれぞれ別個に有して互いに独立したタイミングで溶接可能であり、
前記第1溶接ガンと前記第2溶接ガンは鉛直方向で上下に配置され、溶接位置が周方向にオフセットしており、
前記第1溶接ガンと前記第2溶接ガンは、相対角度が調整可能であることを特徴とする定置式溶接装置。
【請求項2】
前記第1溶接ガンと前記第2溶接ガンは、所定角度ごとに相対角度が調整可能であることを特徴とする請求項に記載の定置式溶接装置。
【請求項3】
前記第1溶接ガンと前記第2溶接ガンの少なくとも一方は、鉛直方向に直交する平面内で位置調整が可能であり、
前記第1溶接ガンと前記第2溶接ガンの、溶接位置が周方向及び径方向にオフセットしていることを特徴とする請求項1又は2に記載の定置式溶接装置。
【請求項4】
前記第1溶接ガンと前記第2溶接ガンは、鉛直方向で1m以上離れていることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の定置式溶接装置。
【請求項5】
前記第1溶接ガンと前記第2溶接ガンは、一方がナット溶接機であり、他方がスポット溶接機であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の定置式溶接装置。
【請求項6】
前記第1溶接ガンと前記第2溶接ガンは、両方がナット溶接機であり、径寸法の異なるナット溶接を行うことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の定置式溶接装置。
【請求項7】
前記ナット溶接機には、少なくとも2つの溶接ナットフィーダーが設けられ、
前記少なくとも2つの溶接ナットフィーダーは、同一径且つ異なる形状のナットをそれぞれ供給することを特徴とする請求項又はに記載の定置式溶接装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定置式溶接装置に関し、より詳細には、1台の溶接装置により、被溶接材の複数の溶接箇所を溶接可能な定置式溶接装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、1台の溶接装置に2つの溶接ガンを搭載して、溶接作業時間の短縮や設備費の削減を図った溶接装置が種々開示されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に記載の複式溶接ガン構造体は、溶接ロボットのロボットアームに、同時に溶接可能な第1溶接ガン及び第2溶接ガンを搭載すると共に、ピッチ可変装置によって第1溶接ガンと第2溶接ガンとのガンピッチを変更可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−25251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1によると、少なくとも一方の溶接ガンが垂直軸を中心として回動可能とされた同一構造を有する2つの溶接ガンが、溶接ロボットのロボットアームに並列配置されているので、最小でも溶接ガン2台分の比較的大きな設置面積が必要となる。また、垂直軸を中心として回動させる機構上の制約から、変更可能なガンピッチの範囲も狭い範囲に制限される。更に、許容搭載重量があるロボットアームに2つの溶接ガンを搭載しなければならず、軽量の小型溶接ガンに制限される問題点があった。
【0005】
また、それぞれ溶接ガンを備える定置式溶接装置を2台設置することも考えられるが、2台分の設置面積が必要となり、さらに広い設置面積を確保する必要があった。
【0006】
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、1台の溶接装置に2つの溶接ガンを備え、溶接装置1台分の少ない設置スペースでも設置することができ、且つ作業性のよい定置式溶接装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
(1) 第1溶接ガンと第2溶接ガンとを備えた定置式溶接装置であって、
前記第1溶接ガンと前記2溶接ガンとは、一対の電極をそれぞれ別個に有して互いに独立したタイミングで溶接可能であり、
前記第1溶接ガンと前記第2溶接ガンは鉛直方向で上下に配置され、溶接位置が周方向にオフセットしており、
前記第1溶接ガンと前記第2溶接ガンは、相対角度が調整可能であることを特徴とする定置式溶接装置。
) 前記第1溶接ガンと前記第2溶接ガンは、所定角度ごとに相対角度が調整可能であることを特徴とする()に記載の定置式溶接装置。
) 前記第1溶接ガンと前記第2溶接ガンの少なくとも一方は、鉛直方向に直交する平面内で位置調整が可能であり、
前記第1溶接ガンと前記第2溶接ガンの、溶接位置が周方向及び径方向にオフセットしていることを特徴とする(1)又は(2)に記載の定置式溶接装置。
) 前記第1溶接ガンと前記第2溶接ガンは、鉛直方向で1m以上離れていることを特徴とする(1)〜()のいずれかに記載の定置式溶接装置。
) 前記第1溶接ガンと前記第2溶接ガンは、一方がナット溶接機であり、他方がスポット溶接機であることを特徴とする(1)〜()のいずれかに記載の定置式溶接装置。
) 前記第1溶接ガンと前記第2溶接ガンは、両方がナット溶接機であり、径寸法の
異なるナット溶接を行うことを特徴とする(1)〜()のいずれかに記載の定置式溶接装置。
) 前記ナット溶接機には、少なくとも2つの溶接ナットフィーダーが設けられ、
前記少なくとも2つの溶接ナットフィーダーは、同一径且つ異なる形状のナットをそれぞれ供給することを特徴とする()又は()に記載の定置式溶接装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明の定置式溶接装置によれば、第1溶接ガンと2溶接ガンとは、一対の電極をそれぞれ別個に有して互いに独立したタイミングで溶接可能であり、第1溶接ガンと第2溶接ガンは、鉛直方向で上下に配置され、溶接位置が周方向にオフセットしているので、2つの溶接ガンを備える溶接装置を小型軽量化することができ、従来2台分の設置スペースを要する溶接装置を、1台分の狭い設置スペースに設置することができる。また、定置式であるので、比較的大型の溶接ガンを備えることができ、負荷の大きな溶接部位でも溶接することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る定置式溶接装置の一実施形態の全体斜視図である。
図2図1に示す定置式溶接装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る定置式溶接装置の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1及び図2に示すように、本実施形態の定置式溶接装置10は、ベース部11と、ベース部11の一端側から一体的に立設されたコラム部12と、を備える。コラム部12の下部には、第1溶接ガン20が配設され、コラム部12の上部には、第2溶接ガン50が配設されている。
【0011】
第1溶接ガン20は、ベース部11及びコラム部12の下部に溶接固定された、側面視で略C字形に形成された第1基台13を備える。第1基台13の下部から前方に延設される下部腕13aには、第1下部電極ホルダ14が前方に突出してボルト15により固定されている。第1下部電極ホルダ14の先端側には、第1下部電極16が着脱自在に装着されている。
【0012】
また、第1基台13の上部から前方に延設される上部腕13bには、ブラケット取付板27が鉛直方向に向けて溶接固定されており、このブラケット取付板27に略L字形のブラケット21がボルト固定されている。更に、ブラケット21には、リニアガイド22で上下方向に案内される第1上部電極ホルダ23が、スライド移動可能に配設されている。
【0013】
第1上部電極ホルダ23には、不図示の絶縁部材を介してエアシリンダ24のピストンロッド25が固定され、エアシリンダ24の作動により第1上部電極ホルダ23が上下移動する。第1上部電極ホルダ23には、第1下部電極16に対向して第1上部電極26が着脱自在に装着されている。これにより、エアシリンダ24が作動すると、第1上部電極26が第1下部電極16に対して接近又は離間する。第1上部電極26と第1下部電極16との接触位置が、第1溶接位置WP1となる。
【0014】
第1下部電極ホルダ14及び第1上部電極ホルダ23には、電源ケーブル35の一端が接続されている。電源ケーブル35の他端は、コラム部12の後部に配置されたトランス31から導出する連結バー32と、コラム部12の側面に沿って立設され、連結バー32に接続された電極バー33と、一端が電極バー33に接続されて前方に突出する連結バー34の他端に接続されて、溶接に要する電力が、トランス31から第1下部電極16及び第1上部電極26に供給される。第1下部電極ホルダ14、第1上部電極ホルダ23、連結バー32、電極バー33、連結バー34、及び電源ケーブル35は、銅又は銅合金などの導電性材料で形成されている。
【0015】
トランス31から第1下部電極16及び第1上部電極26に供給される電力量、通電タイミング、及び通電時間などは、トランス31の上方に配置された制御装置36により制御される。
【0016】
なお、第1下部電極ホルダ14、第1上部電極ホルダ23、連結バー32、電極バー33、連結バー34、及び電源ケーブル35は、不図示の絶縁部材によりコラム部12などの他の部材から電気的に絶縁されている。
【0017】
また、第1基台13の側面には、溶接するための溶接ナット(図示せず)を、第1上部電極26と第1下部電極16との間に供給する溶接ナットフィーダー28が配置されている(図には、溶接ナットフィーダー28の一部のみを図示する)。
【0018】
第1基台13の上面には、第2溶接ガン50の基台となるパイプ状の支柱41がボルト42により固定されている。支柱41の上面には、円板状の下支持板43が溶接固定されている。また、コラム部12の上部には、補強部材45で強度補強された、側面視で略L字形に形成された上支持板44が、下支持板43に対向して固定されている。下支持板43及び上支持板44には、それぞれ、30°間隔で12個のボルト穴46が設けられている。
【0019】
第2溶接ガン50は、側面視で略C字形に形成された第2基台53を備える。C字形の第2基台53の上部及び下部には、それぞれ矩形板状の上角度調整用板51及び下角度調整用板52が溶接固定されている。上下角度調整用板51,52には、下支持板43及び上支持板44に設けられた12個のボルト穴46に対向して、30°間隔で12個の雌ねじ54が形成されている。第2溶接ガン50は、締結ボルト47を下支持板43及び上支持板44のボルト穴46に挿通し、上下角度調整用板51,52の雌ねじ54に螺合することで、下支持板43と上支持板44とで固定支持されている。
【0020】
第2基台53の下部から前方に延設される下部腕53aには、第2下部電極ホルダ55が前方に突出してボルト15により固定されている。第2下部電極ホルダ55の先端側には、第2下部電極56が着脱自在に装着されている。
【0021】
第2基台53の上部から前方に延設される上部腕53bには、ブラケット取付板57が鉛直方向に向けて溶接固定されており、このブラケット取付板57に略L字形のブラケット58がボルト固定され、更に、ブラケット58の下面に、ガイド板59が水平に固定されている。ガイド板59には、後述する第2上部電極ホルダ60を案内する一対のガイドブロック61と、エアシリンダ62が固定されている。
【0022】
第2上部電極ホルダ60は、ガイドブロック61に摺動自在に嵌合するカイド軸63を備えると共に、エアシリンダ62のピストンロッドの一端が連結されている。また、第2上部電極ホルダ60には、第2下部電極56に対向して第2上部電極66が着脱自在に装着されている。これにより、エアシリンダ62が作動すると、第2上部電極66が第2下部電極56に対して接近又は離間する。第2上部電極66と第2下部電極56との接触位置が、第2溶接位置WP2となる。
【0023】
第2下部電極ホルダ55及び第2上部電極ホルダ60には、第1溶接ガン20と同様に、コラム部12の後部に配置されたトランス31から、連結バー32、電極バー33、連結バー34、及び電源ケーブル35が接続されており、これらを介して溶接に要する電力が第2上部電極66と第2下部電極56とに供給される。また、第2上部電極66及び第2下部電極56に供給される電力量、通電タイミング、及び通電時間などは、制御装置36により制御される。
【0024】
また、第2基台53の側面には、溶接するための溶接ナット(図示せず)を、第2上部電極66と第2下部電極56との間に供給する溶接ナットフィーダー28が配置されている(図には、溶接ナットフィーダー28の一部のみを図示する)。
【0025】
このように、定置式溶接装置10の第1溶接ガン20及び第2溶接ガン50は、鉛直方向で上下に離間して配置されている。第1溶接ガン20と第2溶接ガン50との高低差は、少なくとも1m以上に設定されているので、大型の被溶接材であっても他方の溶接ガンが作業の邪魔になることはない。
【0026】
また、第1溶接ガン20及び第2溶接ガン50の溶接位置WP1,WP2は、周方向にオフセット(本実施形態では30°)しており、このオフセット量は、被溶接材の溶接作業に最適な位置に調整することができる。具体的には、第2溶接ガン50は、上下角度調整用板51,52の雌ねじ54に螺合する締結ボルト47を取り外し、下支持板43及び上支持板44に対して第2溶接ガン50を所望の角度だけ回動させた後、締結ボルト47を再び螺合させることで、第2溶接ガン50は、第1溶接ガン20に対して30°間隔で相対角度を調整することができる。
【0027】
また、第1下部電極ホルダ14と第1上部電極ホルダ23、及び第2下部電極ホルダ55と第2上部電極ホルダ60を固定しているボルト15を取り外して、長さの異なる電極ホルダを取り付けることで、第1溶接ガン20及び第2溶接ガン50の溶接位置WP1,WP2の径方向(鉛直方向に直交する平面内で位置)のオフセット量を、被溶接材に応じて調整することができる。また、第1下部電極ホルダ14と第1上部電極ホルダ23、及び第2下部電極ホルダ55と第2上部電極ホルダ60は、第1上部電極26と第1下部電極16の径方向位置及び鉛直方向位置、及び第2上部電極66と第2下部電極56の径方向位置及び鉛直方向位置を調整可能なホルダであってもよい。これにより、電極ホルダを変えることなく、第1上部電極26と第1下部電極16の径方向位置及び/又は鉛直方向位置、及び第2上部電極66と第2下部電極56の径方向位置及び/又は鉛直方向位置を調整することができる。これにより、第1及び第2溶接ガン20,50の溶接位置WP1,WP2を、周方向及び径方向にオフセットさせることができ、鉛直方向位置を適宜調整することもできる。
【0028】
そして、第1上部電極26と第1下部電極16との間、及び第2上部電極66と第2下部電極56との間に被溶接材を配置した後、エアシリンダ24,62を作動させて第1上部電極26及び第2上部電極66を下降させ、第1上部電極26と第1下部電極16、及び第2上部電極66と第2下部電極56とで被溶接材を所定の圧力で挟持し、通電することで溶接する。
【0029】
第1溶接ガン20及び第2溶接ガン50は、被溶接材に応じて第1下部電極16と第1上部電極26、及び第2上部電極66と第2下部電極56を交換することができる。これにより、例えば、第1溶接ガン20及び第2溶接ガン50の一方の溶接ガンでスポット溶接を行い、他方の溶接ガンでナット溶接することができる。また、第1溶接ガン20及び第2溶接ガン50の両方の溶接ガンでナット溶接することもできる。
【0030】
第1溶接ガン20及び第2溶接ガン50をナット溶接機とする場合、溶接する溶接ナットが同一径であれば、形状の異なるナットであっても、第1溶接ガン20及び第2溶接ガン50には、同一の溶接電極が配設される。また、径寸法の異なるナット溶接を行う場合には、第1溶接ガン20と第2溶接ガン50に、それぞれナットのサイズに適合した最適の溶接電極を配設する。これにより、1台の定置式溶接装置10で径寸法の異なるナットを溶接することができる。
【0031】
以上説明したように、本実施形態の定置式溶接装置10によれば、第1溶接ガン20と第2溶接ガン50は、鉛直方向で上下に配置され、溶接位置WP1,WP2が周方向にオフセットしているので、2つの溶接ガン20,50を備える定置式溶接装置10を小型軽量化し、従来2台の溶接装置を1台にして、狭いスペースにも設置することができる。また、定置式であるので、比較的大型の溶接ガンを備えることができ、負荷の大きな溶接部位でも溶接することができる。
【0032】
また、第1溶接ガン20と第2溶接ガン50は、相対角度が調整可能であるので、被溶接材移動の障害とならない様に、溶接される被溶接材に応じて第1溶接ガン20と第2溶接ガン50とを最適位置に調整することができ、これにより、作業効率が向上する。
【0033】
また、第1溶接ガン20と第2溶接ガン50は、所定角度ごとに相対角度が調整可能であるので、溶接位置を細かく調整して、最適溶接位置で作業することができる。なお、上記実施形態では30°ごとに相対角度を調整可能としたが、これに限らず、任意の角度ごとに調整可能とすることができる。
【0034】
また、第1溶接ガン20と第2溶接ガン50の少なくとも一方は、鉛直方向に直交する平面内で位置調整を可能とすることで、第1及び第2溶接ガン20,50の溶接位置WP1,WP2を、周方向及び径方向にオフセットさせることができ、種々の形態の被溶接材の溶接個所を溶接することができる。
【0035】
また、第1溶接ガン20と第2溶接ガン50は、鉛直方向で1m以上離れているので、大きな被溶接材の溶接が可能となる。
【0036】
また、第1溶接ガン20と第2溶接ガン50は、一方をナット溶接機とし、他方をスポット溶接機とすることで、従来、ナット溶接機とスポット溶接機の2台の溶接機で行っていた溶接作業を、1台の溶接機で溶接することができ、設置スペースが大幅に低減される。
【0037】
また、第1溶接ガン20と第2溶接ガン50は、両方をナット溶接機とし第1溶接ガン20と第2溶接ガン50に、それぞれナットのサイズに適合した最適の溶接電極16,26,56,66を配設することで、1台の溶接機により径寸法の異なるナットを溶接することができる。
【0038】
また、ナット溶接機は、同一径且つ異なる形状のナットをそれぞれ供給する、少なくとも2つの溶接ナットフィーダー28を備えるようにしてもよい。これにより、同一の溶接電極16,26,56,66が配設された第1溶接ガン20と第2溶接ガン50とのいずれでも、溶接ナットフィーダー28から供給される同一径且つ異なる形状のナットを溶接することができる。
【0039】
尚、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。
例えば、定置式溶接装置10は、長時間使用により性能が低下した電極を研磨するチップドレッサなどを備えることができる。
また、トランスを2台設けて、第1溶接ガン20と第2溶接ガン50とで、同時に溶接作業が行えるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0040】
10 定置式溶接装置
16 第1下部電極
20 第1溶接ガン
26 第1上部電極
28 溶接ナットフィーダー
50 第2溶接ガン
51 上角度調整用板
52 下角度調整用板
56 第2下部電極
66 第2上部電極
WP1 第1溶接位置
WP2 第2溶接位置
図1
図2