(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、フロン類を効率的に回収するシステムを提供する。
本発明は、従来再利用に適さない少量回収フロン類でも再利用することが可能となり、回収フロン類の再利用を促進し、その結果環境への貢献を果たすことができるシステムを提供する。
本発明は、回収したフロン類を、再利用希望者の要請を満たすように提供することができるシステムを提供する。
さらに本発明は、フロン類を効率的に回収し、回収したフロン類を再利用希望者の要請を満たすように提供することを可能にした包括的なフロン類の回収・再利用システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、回収されたもしくは回収予定のフロン類について、種類、量および所在地を含むフロン類回収情報を得るフロン類回収情報取得手段と、
前記フロン類回収情報に基づいて回収フロン類の移送先および移送方法を指示する移送指示手段と、
回収フロン類を分析して品質に係る分析情報を得る工程と、
得られた分析情報に基づき、所定の基準に照らして、回収フロン類の再生および破壊の要否、並びに再生を要する場合の再生の方法を指示する工程を含む分析手段と、
再生も破壊もされない回収フロン類および再生を経た回収フロン類(再生済フロン類)について、その種類毎に所定の容器への保管を指示する保管指示手段と、
保管された回収フロン類の種類と量を含む回収フロン類保管情報を作成させる手段とを備えるフロン類の回収システム
に関する。
【0011】
本発明はまた、回収されたもしくは回収予定のフロン類について、種類、量および所在地を含むフロン類回収情報を得るフロン類回収情報取得手段と、
前記フロン類回収情報に基づいて回収フロン類の移送先および移送方法を指示する移送指示手段と、
回収フロン類を分析して品質に係る分析情報を得る工程と、
得られた分析情報に基づき、所定の基準に照らして、回収フロン類の再生および破壊の要否、並びに再生を要する場合の再生の方法を指示する工程を含む分析手段と、
再生も破壊もされない回収フロン類および再生を経た回収フロン類(以下両回収フロン類を再生済フロン類と総称する)について、その種類毎に所定の容器への保管を指示する保管指示手段と、
保管された再生済フロン類の種類と量を含む再生済フロン類保管情報を作成させる手段と、
再生済フロン類の再利用希望者が希望する再生済フロン類の種類、量、使用機器および納入期限を含む再利用希望情報を取得する工程、
前記再利用情報と前記再生済フロン類保管情報を照合して供給の可否を判定する供給可否判定手段と、
再利用希望情報を満たして供給する場合の価格を含む条件を作成する供給条件作成手段と、
前記再利用希望者に供給の可否および供給の条件を伝達する回答手段と、
再利用希望者の条件合意に基づき再生済フロン類を納入する手段と、
供給した再生済フロン類の種類と量を含む再生済フロン類再利用情報を作成する手段と、
を備えるフロン類の回収および再利用システムに
関する。
【0012】
前記フロン類の回収および再利用システムにおいて、前記供給可否判定手段が、再生済フロン類保管情報に、さらに新造フロン類供給可能情報を加えて判定される手段であり、前記再生済フロン類を納入する手段が 再生済フロン類及び/または新造フロン類を納入する手段である前記したフロン類の回収および再利用システムは、本発明の好ましい態様である。
【0013】
すなわち本発明
は、少なくともフロンの回収機関、分析機関、破壊機関、再生機関及び保管機関の端末とネットワーク上で接続された中央管理手段を設けたシステムにおける該中央管理手段が行う、フロン類を回収して再使用するための方法であって、
回収機関の端末から回収されたもしくは回収予定のフロン類について、種類、量および所在地を含むフロン類回収情報を得るフロン類回収情報
をデータベースに登録し、
登録されたフロン類回収情報に基づいて作成された回収フロン類の移送先および移送方法を指
示し、
分析機関の端末から回収フロン類を分析して
得られた種類および品質に係る分析情報を
データベースに登録し、登録された分析情
報と所定の基準に照らして
作成された回収フロン類
を再生もしくは破壊する
指示を再生機関もしくは破壊機関の端末に表示し、
保管機関において再生済フロン
類の種類毎に所定の容器に保管
された回収フロン類の種類および量を
データベースに登録し、再生済フロン類の種類および量を含む再生済フロン類保管情報を作成
し、
前記中央管理手段がネットワーク上でさらに新造フロン類供給機関に接続されており、
新造フロン類供給機関の端末から受信した新造フロン類供給可能情報をデータベースに登録し、
再利用希望者
の端末と前記ネットワークを介して中央管理手段に接続され、該再利用希望者の希望する再生済フロン類の種類、量、使用機器および納入期限を含む再利用希望情報を
データベースに登録し、
前記再利用情報と前記再生済フロン類保管情報
および前記新造フロン類供給可能情報を照合して供給の可否を判定し、
供給が可能な場合に、価格を含む条件を作成し、前記再利用希望者
の端末に供給の可否および供給の条件を伝達する
ことを特徴とする、
フロン類を回収して再利用する
ための方法、
を提供する。
【0014】
前記のフロン類を回収して再利用する方法において、前記供給の可否を判定する工程が、再生済フロン類保管情報に加えて、さらに新造フロン類供給可能情報を加えて判定される工程であり、前記再生済フロン類を納入する工程が、再生済フロン類及び/または新造フロン類を納入する工程であるフロン類を回収して再利用する方法は本発明の好ましい態様である。
【0015】
本発明
はまた、データ保存装置と中央処理装置を含んで構成されている中央管理手段と、複数の端末装置と
がネットワークで接続されており、
中央管理手段が
フロン類回収情報取得手段と、
フロン類回収情報に基づいて回収フロン類の移送先および移送方法を指示する手段と、
回収フロン類の種類および分析情報に基づき、所定の基準に照らして、回収フロン類の再生および破壊の要否、並びに再生の方法を指示する手段と、
再生済フロン類を種類毎に所定の容器への保管を指示する手段と、
保管された再生済フロン類の種類および量を含む再生済フロン類保管情報を作成する手段と、
新造フロン類供給機関の供給可能新造フロン類の種類および量を含む供給可能新造フロン類情報を受信する手段と、
再生済フロン類の再利用希望者の希望する再生済フロン類の種類、量、使用機器および納入期限を含む再利用希望情報を取得する手段と、
前記再利用情報と前記再生済フロン類保管情報
および前記供給可能新造フロン類情報を照合して供給の可否を判定する手段と、
再利用希望情報を満たして供給する場合の価格を含む条件を作成する手段と、
前記再利用希望者に供給の可否および供給の条件を伝達する回答する手段と、
供給した再生済フロン類の種類および量を含む再生済フロン類再利用情報を作成する手段と
を備えており、
複数の端末装置が、
回収フロン類に関する情報を送信する手段と、回収フロン類の
前記移送指示を受信する手段を備えている端末装置、
回収フロン類の種類および量に関する情報、分析情報、再生に関する情報、破壊に関する情報を送信する手段と、回収フロン類の再生およびその方法の指示、回収フロン類の破壊の指示、再生済フロン類の保管に関する指示を受信する手段を備えている端末装置、
新造フロン類供給機関の供給可能新造フロン類の種類および量を含む供給可能新造フロン類情報を送信する手段を備えている端末装置、
および、
再生済フロン類再利用希望者の再利用希望情報を送信する手段と、再生済フロン類の供給可否および供給条件を受信する手段を備えている端末装置、
を含んでいる、
フロン類の回収および再利用のための
システム、
を提供する。
【0016】
少なくとも前記した回収フロン類の回収および再利用するための装置を含む複数のフロン類の回収および再利用するための装置が、データ保存装置と中央処理装置を含んで構成され、フロン類の回収の種類と量および再利用の種類と量の集約データベースとなるサーバーに接続されているフロン類の回収および再利用のための装置は本発明の好ましい態様である。
【0017】
前記のサーバーが、少なくともフロン類使用機器使用者、フロン類使用機器製造業者、フロン類回収業者、フロン類破壊業者、フロン類再生業者、回収フロン類保管機関および新造フロン類供給者から選ばれた者を会員として構成される団体によって運営され、所定の通信方法によって、回収フロン類の回収量、再利用量、それぞれのフロン類の種類を含む統計的情報であって、所定のプログラムによって規定された情報が、個々の会員および関係行政機関に通知され、さらに所定のプログラムによって規定された情報を公開されることを特徴とするフロン類の回収および再利用に関する情報の伝達方法は、本発明を利用する好ましい形態である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によって、回収されるフロン類を、効率よく回収することができるシステムが提供される。
本発明により、従来再利用に適さない少量回収フロン類でも再利用することが可能となり、回収フロン類の再利用を促進し、その結果環境への貢献を果たすことができるシステムが提供される。
本発明によって、回収したフロン類を、再利用希望者の要請を満たすように提供することができるシステム、装置および方法が提供される。
本発明によって、フロン類を効率的に回収し、回収したフロン類を再利用希望者の要請を満たすように提供することを可能にした包括的なフロン類の回収および再利用システムが提供される。
本発明によって提供されるシステムによって、フロン類の破壊に消費されるエネルギーに比して各段にすくないエネルギーでその回収を実現すること省エネに貢献し、フロン類回収によってフロン類の新規製造機会を減少させることによってさらに省エネに貢献し、またさらに現存する冷媒使用機器の冷媒需要を満たしつつ次世代の冷媒への代替時間を確保することができるという、地球温暖化抑制への大きな貢献をすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明におけるフロン類とは、炭素とフッ素を含む化合物であって、炭素とフッ素のほか水素および/または塩素、臭素などのフッ素以外のハロゲンを含む含フッ素化合物、および炭素とフッ素からなる化合物の総称である。
フロン類の例としてはクロロフルオロカーボン(CFC)、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、ハイドロフルオロカーボン(HFC)であり、それぞれの類には化学構造が異なる多種類の物質、例えばCFC−11、CFC−12、HCFC−22、HCFC−123、HFC−32、HFC−134aなどが含まれる。また、フロン類の例にはパーフルオロカーボン(PFC)も含まれる。
【0021】
フッ素含有冷媒およびその他の用途にCFCが使用されていたところ、オゾン層破壊効果が問題視されたため、それを代替するフロン類として、HCFCやHFCが開発されたという経緯があるので、CFCが特定フロンと呼ばれ、HCFCやHFCが代替フロンと呼ばれることがある。
【0022】
前記「特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律」(以下「フロン類回収・破壊法」と呼ぶ)によれば、フロン類は、クロロフルオロカーボン(CFC)、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)及びハイドロフルオロカーボン(HFC)がフロン類とされている。
【0023】
本発明は、フロン類、特にはフッ素含有冷媒として用いられるフロン類の回収および再利用システムを提供するものである。
【0024】
回収すべきフロン類が発生する場合について例を挙げて説明する。第1の例は、業務用のエアコンディショナー、冷蔵機器及び冷凍機器でフロン類が充填されているものが、機器の整備、部品のリサイクル、廃棄などの際に排出される場合である。たとえば、フロン類を充填した機器が設置されたビルや建物を廃棄する場合があるが、そのときには解体は工事請負業者が請け負うが、フロン類が充填された機器についてはフロン類の回収は業者に委託することになる。また、大型店舗や冷凍倉庫業者など空調などのフロン類を充填した機器を所有していてその冷媒を更新しようとする場合や、フロン類を充填した機器の製造業者が冷媒の更新などの理由によってフロン類を排出する場合などがある。
【0025】
第2の例は、自動車に搭載されている人用のフロン類を充填したエアコンディショナーから排出される場合である。冷媒の更新や、エアコンディショナーの更新、自動車を廃車などの理由によってフロン類が排出されることになる。第3の例は、フロン類を充填した家庭用のエアコンディショナーや冷凍・冷蔵庫等の家電製品が、廃棄される場合である。
【0026】
回収すべきフロン類が発生する場合は、上記した例に限定されるものではないが、排出されるフロン類は大気中にみだりに放出されることなく、適切に回収するか破壊される必要がある。その回収にあたる者を本発明では回収業者と呼ぶ。回収業者には、特段の制限はなく本発明の回収すべきフロン類の回収業者として機能するものであればよい。
【0027】
前記フロン類回収・破壊法では、業務用のエアコンディショナー、冷蔵機器及び冷凍機器でフロン類が充填されているものを「第一種特定製品」と規定し、機器の整備、部品のリサイクル、廃棄等の際の、フロン類の回収フロン類の回収については、登録を受けたフロン類回収業者に依頼しなければならないとされているので、以下本発明の説明を「第一種特定製品」から排出されるフロン類の場合であって、回収業者がフロン類を回収する場合を例として説明することにする。しかしながら、本発明はこのような場合に限定されるものではない。
【0028】
フロン類回収・破壊法では、解体業者、産廃業者、設備業者、リサイクル業者等は第一種フロン類引渡委託者と呼ばれていて、最終的には回収をフロン回収業者に委託することになるが、例えば建物の解体工事の請負業者は、業務用のエアコン、冷蔵庫及び冷凍機器の有無について事前確認する義務を負っているので、この段階でフロン回収の必要性を認識することになる。
【0029】
したがって、回収すべきフロン類の情報は、フロン回収業者に委託される前に生じるが、最終的には回収をフロン回収業者に委託されるので、回収フロン類に関する情報を、まとめてフロン類回収業者に引渡されたまたは引渡される予定のフロン類に関する情報(以下「フロン類回収情報」と呼ぶことがある)として扱う。
【0030】
フロン回収業者が回収したフロン類は、回収業者が自ら再利用することはできるが、回収フロン類がHCFCであって、再充填希望フロン類がHFCであるときや、容器から抜き出し再利用しようとする間に組成変化が生じるようなときには、再利用は断念して、フロン類破壊業者に引き渡して破壊されることになる。しかし、本発明によれば、このような回収フロン類も、保管機関によって有効に保管されて、その再利用を希望する者に供給されるという回収フロン類が効率的に再利用されるシステムが提供されるのである。
【0031】
フロン類回収業者に引渡されたまたは引渡される予定のフロン類に関する情報(「フロン類回収情報」)は、フロン類回収情報入力手段によって保管機関の管理下にある中央管理手段に伝えられる。情報入力手段は、通信回線を通じた情報伝達方法によって構成されているのが好ましい。通信回線を通じる情報の伝達は、通常インターネットにより行われるが、これが保管機関への電話やファクシミリにより行われてもよい。電話やファクシミリにより伝達される情報は、その受信者を通じて電子情報として中央管理手段に保存される。
フロン類回収業者情報は登録され、当該フロン類回収業者に登録番号等のIDが付与されて同回収業者に通知される。
【0032】
フロン類回収情報には、少なくともフロン類の種類と量及びフロン類回収業者名が含まれる。さらに、フロン類回収の時期、回収されるフロン類が充填されている機器及びその状態など関連する情報が含まれていればさらによい。回収時にはフロン類の種類は、それが充填されている機器に刻印等の方法で記載された銘柄などの情報により判断される。また量は計量によって知ることができる。
回収フロン類の種類情報としては、CFCか、HCFCか、HFCかの種別情報があり、それが単一系か混合系かの情報があり、CFCであれば、CFC−11、CFC−12、CFC−112、CFC−113、CFC−114、CFC−115などの単一系なのか、R−500、R−502などの混合系なのかの情報が、HCFCであれば、HCFC−22、HCFC−123、HCFC−124、HCFC−141a、HCFC−141bなどなのかの情報、またHFCならば、HFC−23、HFC−32、HFC−125、HFC−134aなどの種類なのかの情報がある。フロン類の正確な種類情報は、後記する中間保管所における一次分析および保管場所における分析によって得ることができる。
【0033】
さらに、フロン類回収情報には、これらの回収フロン類が、どのような量で回収されるのか、または回収されたのかの量情報およびフロン類回収業者の情報が含まれる。また、回収フロン類が、いつ回収されたのか、いつ回収される予定なのかのフロン類回収の時期情報も重要な情報の一つである。
【0034】
回収されるフロン類は、その量によって1kg用、5kg用などの小口回収容器で回収されることもあれば、大型の回収容器で回収されることもある。容器のサイズ、容器番号なども容器に関する情報である。回収後に回収フロン類は保管機関が指定する保管場所に移送される。回収フロンの保管場所は、複数個所あってもよい。
【0035】
保管場所は、回収フロン類の分析機能を有しており、保管場所に移送された回収フロン類の種類と不純物を分析し、その結果は中央管理手段に伝えられる。分析値から、再利用に適うと判定された回収フロン類は、必要に応じて再生工程を経てその種類ごとに保管容器に保管される。分析の結果、再利用に適わないと判定された回収フロン類は、破壊されることになりフロン類破壊業者に引き渡される。
【0036】
フロン類の分析は、種類と品質に係る分析が行われる。種類に係る分析は、構成する成分の分析であって、TCD方式ガスクロ等の従来公知の機器を使用して、適宜公知のカラムを選択して行うことができる。また品質に係る分析は、主として不純物の種類およびその量を測定するものである。不純物としては、水分、油分、パーティクル、酸分、分解生成物、異種冷媒などが挙げられる。
【0037】
回収されたフロン類は全量分析に付されるので、分析に付された量および分析結果に基づいた種類毎の量を、回収フロン類の総量および種類毎の量として記録することができる。
【0038】
保管機関は、回収フロン類を保管場所に移送する途中に中間保管所を設けて、回収フロン類を一時的に保管してもよい。中間保管所においては、より大きな容器に移充填して、所定の保管場所への移送の効率化を図ってもよい。フロン類回収・破壊法によれば、移充填は登録認定業者(フロン類回収・破壊法施工規則第7条)によって行われる。移充填のために中間保管所に移送するかどうかは、回収時の回収フロン類の量および容器の大きさ等の状況に基づいて作成された基準に基づいて決定することができる。回収したフロン類の移送先は、前記基準に照らして保管場所か、中間保管所かを指示することが好ましい。中央管理手段にこのような指示をする機能を設定することができる。
【0039】
中間保管所が回収フロン類の一次分析機能を有していることが望ましい。一次分析によって回収されたフロン類の種類と不純物の有無およびその程度が確認される。一次分析の結果再利用に適わないと判定された回収フロン類は、この段階で破壊されことになり、フロン類破壊業者に引き渡される。破壊されない回収フロン類は、種類ごとに移充填した後、所定の保管場所に輸送される。中間保管所における分析情報および移充填に関する情報は、中央管理手段に伝えられる。回収フロンの中間保管所は、適宜設置することができ複数個所あってもよい。
【0040】
回収フロン類が、抜き取りや移充填の際に組成変化を起こすものであるとき、または回収フロン類を再利用するのに必要であるときは、フロン類再生機関によって、特許文献4および5に記載の方法や、その他の従来公知の方法などで蒸留再生や組成調整による再生をして保管する。得られた分析情報に基づき、所定の基準に照らして、回収フロン類の再生および破壊の要否、並びに再生を要する場合の再生の方法を指示することが好ましい。中央管理手段にこのような指示をする機能を設定することができる。
【0041】
再生も破壊も必要のない回収フロン類、および再生を経た回収フロン類(再生済フロン類)は、その種類毎に所定の容器へ保管される。保管される再生済フロン類の種類およびその量は記録されて、再利用可能なフロン類の種類および量を含む再生済フロン類保管情報として保存される。種類毎に所定の容器に保管を指示し、保管される再生済フロン類の種類およびその量を記録し、再利用可能な回収フロン類の種類および量を含む再生済フロン類保管情報を作成する機能を中央管理手段に設定することができる。
【0042】
上述の本発明のフロン類の回収システムによって、従来再利用されなかったフロン類の回収が可能となり、またフロン類の回収を促進することになり、再利用可能な再生済フロン類の量を増大させるだけでなく、再利用しやすい形態で再生済フロン類を保管することができるようになる。さらに本発明により、フロン類を排出した者が、異なった種類の再生済フロン類を使用することをも可能にするという優れた特徴を有するフロン類の回収システムが提供される。
【0043】
すなわち、本発明のフロン類の回収システムは、回収されたもしくは回収予定のフロン類について、種類、量および所在地を含むフロン類回収情報を得るフロン類回収情報取得手段と、前記フロン類回収情報に基づいて回収フロン類の移送先および移送方法を指示する移送指示手段と、回収フロン類を分析して種類および品質に係る分析情報を得る工程と、得られた分析情報に基づき、所定の基準に照らして、回収フロン類の再生および破壊の要否、並びに再生を要する場合の再生の方法を指示する工程を含む分析手段と、再生も破壊も必要のない回収フロン類および再生を経た回収フロン類(再生済フロン類)について、その種類毎に所定の容器への保管を指示し、保管される再生済フロン類の種類およびその量を記録し、再利用可能な回収フロン類(再生済フロン類)の種類および量を含む再生済フロン類保管情報を作成させる保管手段とを備えるフロン類の回収システムである。
【0044】
本発明において、「再生済フロン類」は、回収されて後の再利用可能なフロン類を総称して用いられる。すなわち、再生済フロン類は、再生も破壊も必要のない回収フロン類と、再生を経た回収フロン類とを併せて総称する意味で用いられる。回収された後に再生も破壊も必要のない回収フロン類も、分析によって再利用が可能であることを確認する工程を経ているので、再生済フロン類として扱うものである。
【0045】
前記フロン類の回収システムにおいて、移送指示手段に、回収フロンを最終移送先までの間に設けられた中間保管所に移送し、中間保管所にて一次分析をし、一次分析結果に基づいて所定の基準に照らして、移充填の要否を判定し、要するものについて移充填して最終移送先に移送する指示をする工程を含む態様は本発明の回収システムの好ましい態様である。
【0046】
再生済フロンの再利用を希望する者が、再生済フロン類の再利用システムにアクセスしたとき、入力手段によって再生済フロン類再利用希望に関する情報が中央管理手段に伝達される。伝達される情報には、再利用希望者に関する再利用者情報のほか、再利用を希望する再生済フロン類の種類、量などの再利用希望情報が含まれる。再利用希望情報にはそのほか充填を予定する機器などの情報および納入期限などの情報が含まれることが好ましい。再生済フロン類再利用希望者情報は登録され、当該再生済フロン類再利用希望者に登録番号等のIDが付与されて再利用希望者に通知される。
【0047】
再利用希望情報と、再生済フロン類データベースに保存されている再生済フロン類保管情報と照合して、再生済フロン類提供の可否が決定される。このような照合および可否決定の機能を、中央管理手段に設定することができる。
【0048】
保管場所に保管されている再生済フロン類の量では、再利用希望者の希望を満たせないときは、その時点での中間保管所での保管量に、回収から保管場所に保管されるまでのフロン類の回収計画等に基づいた保管予定量を加えて供給希望時点での供給可能な再生済フロン類保管情報として、それと再利用希望情報とを照合して、再生済フロン類提供の可否を決定してもよい。このような供給可能再生済フロン類保管情報の作成、再利用希望情報との照合および再生済フロン類の供給の可否決定の機能を、中央管理手段に設定することができる。
【0049】
保管場所に保管されている再生済フロン類の量では、再利用希望者の希望を満たせないときは、供給可能な新造フロン類を追加して供給可能フロン類情報を作成し、その供給可能フロン類情報と再利用希望情報とを照合して、フロン類提供の可否を決定してもよい。このような供給可能フロン類情報の作成、再利用希望情報との照合およびフロン類の供給の可否を決定の機能を、中央管理手段に設定することができる。
【0050】
再利用希望情報を満たして供給することができる場合には、再利用希望に価格、納入時期、納入方法を含む条件が提示される。提示される条件は、保存されている情報に基づいて、所定の方式で作成することができる。このような供給条件作成の機能を中央管理手段に設定することができる。
【0051】
再利用希望者には、再利用希望の回答として、供給の可否通知と供給条件の提示がされる。この通知と提示は、通常再利用希望者端末あてに行われる。提示された条件が再利用希望者との間で合意されたとき、取引成立となるので、そのときに供給する再生済フロン類の供給が指示される。
【0052】
再生済フロン類の供給指示には、供給する再生済フロン類の充填場所、充填容器および搬送先などの指示情報が含まれる。
【0053】
すなわち、本発明のフロン類の再利用システムは、再利用者が希望する再生済フロン類の種類、量、使用機器および納入期限を含む再利用希望情報を取得する再利用情報取得手段と、保管されている再生済フロン類の種類および量を含む再生済フロン類保管情報と、前記再利用情報とを照合して供給の可否を判定する供給可否判定手段と、再利用希望情報を満たして供給する場合の価格を含む条件を作成する供給条件作成手段と、再利用者に供給の可否および供給の条件を提示する条件提示手段とを備える回収フロン類の再利用システムである。
【0054】
前記フロン類の再利用システムにおいて、再生済フロン類が前記した本発明のフロン類の回収システムによる再生済フロン類であるシステムは本発明の好ましい態様である。
【0055】
再利用希望者が複数あって、その希望が競合する場合には、当該回収フロン類を排出した者であること、フロン類を排出したが異なった種類のフロン類を希望する者であること、過去の取引状況等の事項を勘案して優先順位をつけて、順位の高い者から優先的に供給先を決める方法をとることもできる。
【0056】
本発明のフロン類の再利用システムを、図を用いてより具体的に説明するが、本発明はこれらの図により限定されるものではない。
【0057】
図1は、本発明のフロン類の回収および再利用システムにおける回収フロン類の流れの一態様を図示したものである。
回収フロン類110が発生する場合としては、建物の解体工事を請負った業者が、業務用のエアコン、冷蔵庫及び冷凍機器の有無について事前確認した結果回収フロン類が発生する場合、業務用のエアコン、冷蔵庫及び冷凍機器等の使用者が、機器の買い替えや、冷媒の更新のためにフロン類を排出する結果発生する場合、エアコン、冷蔵庫及び冷凍機器等を製造販売する設備業者が冷媒の置換や更新のためにフロン類を排出する結果発生する場合、エアコン、冷蔵庫及び冷凍機器等のリサイクルを請負ったリサイクル業者から発生する場合などが挙げられる。このようにして発生したフロン類は、フロン類回収業者120に回収が委託される。回収業者120によって回収されたフロン類は、容器に収容して保管機関1000が指定する保管場所に移送される。
図1の上部左側の経路(1)は、回収フロン類が所定の保管場所310に移送される態様を表している。
図1の上部右側の経路(2)は、回収フロン類が一旦中間保管所320に移送されてから、最終的に保管場所310に移送される態様を表している。中間保管所320に移送された回収フロン類は、一次分析機関421において一次分析が行われ、フロン類の種類、不純物の確認が行われる。この段階で再利用に適わないと判明した回収フロンは、破壊業者921に破壊を委託することとなる。破壊の必要がない回収フロン類は、保管場所310に移送される。中間保管所320では、回収フロン類を大型容器に移充填してから保管場所310に移送することによって、移送の効率化を図ることもできる。
【0058】
上記ようにして保管場所310に移送された回収フロン類は、分析機関410において分析が行われ、フロン類の種類、品質の確認が行われる。この段階で再利用に適わないと判明した回収フロンは、破壊業者910に委託して破壊される。また、再生が必要な回収フロン類は、再生機関210で蒸留によって再生したり、組成調整によって再生したりしてから、再利用可能な再生済フロン類として保管される。分析の結果、再生も破壊も必要のない回収フロン類は、再利用可能である旨の確認がなされてこれも再生済フロン類として保管される。
本発明の再生機関および分析機関は、保管機関が再生機能および分析機能を有する場合には、保管機関と同じであってもよい。
【0059】
単一組成の冷媒、例えばCFC−12、CFC−115、HCFC−22、HCFC−123、HFC−32、HFC−125、HFC−134a、HFC−143aなどでは容器から抜き出して使用したり小分けしたりした場合にも組成変化は起こらないので、通常は蒸留によって再生する。簡易蒸留で再生できる場合も多い。
【0060】
一方、複数成分の混合系冷媒の場合、R502(HCFC−22/CFC−115)などの共沸混合冷媒では組成変化は起こらないが、R404A(HFC−143a/125/134a)やR410A(HFC−32/125)などの疑似共沸混合物では、容器から回収するときや移充填するときの変化は少ないものの組成変化が起こる。さらに、R407C(HFC−32/125/134a)のような非共沸混合物の場合、回収時や移充填時には大きく組成が変化するので組成調整によって再生する。
【0061】
組成変化が起こった場合の組成調整は簡便な方法ではできないので、混合系冷媒の場合の回収と再利用は小規模で実施することは難しい。本発明のフロン類の回収および再利用システムは、特に混合系冷媒についてその特徴を発揮し、優れた効果を達成することになる。換言すれば、本発明における回収フロン類が混合系冷媒を含むフロン類である態様は、本発明の好ましい態様である。
【0062】
混合系冷媒であるフロン類としては、前記したR502、R404AおよびR410Aのほか、R407E、R413A、R417A、R422A、R422D、R437A、
R507A、R509Aなど、ASHRAE 34冷媒安全性分類規格[American Society of Heating, Refrigerating and Air-conditioning Engineers, Inc.(米国冷凍空調技術者協会)]に記載されるものを挙げることができる。
【0063】
回収フロン類が再生工程を要しないものであれば、再生することなく保管することができるが、使用済みの回収フロン類のほとんどは再生する必要がある。
【0064】
再生済フロン類の再利用希望者の希望フロン類が保管場所310に再生済フロン類として保管されている場合には、経路(3)によって、再利用希望者に供給される。再利用希望者が希望する再生済フロン類が、保管場所310に保管されている再生済フロン類で賄えないときには、中間保管所320から保管場所310への回収フロン類移送予定情報や、フロン類回収業者からの回収フロン類移送予定情報を加えて再利用希望者が希望する再生済フロン類の供給が可能かどうかの情報を加えて再生済フロン類で賄えるかどうかを判定してもよい。すなわち保管されている再生済フロン類の量を、供給する時点での供給可能再生済フロン類の量とすることができる。その結果、供給が可能であれば再利用希望者に供給条件が提示されることになる。
【0065】
さらに、再利用希望者が希望する回収フロン類が、保管されている再生済フロン類で賄えないときには、新造フロン類供給者710から供給される新造フロン類を加えて再利用希望者に提供することがあるが、その場合には新造フロン類を加えて経路(4)で再利用希望者に供給されることになる。なお、再利用希望者が回収フロン類と新造フロン類の双方を希望するときには、経路(3)に新造フロン類を加えて再利用希望者に供給されることになる。
【0066】
図2は、本発明の回収フロン類の回収および再利用システムを運用するためのコンピュータネットワークの一態様を示すブロックダイアグラムである。
図2では、回収フロン類業者端末100が、中央管理手段500に接続されている。端末100によって、フロン類回収業者からのフロン類回収情報が中央管理手段500に伝達される。中央管理手段500において、フロン類回収情報を保存するとともに、フロン類回収業者情報を登録し、当該フロン類回収業者に登録番号等のIDが付与され、フロン類回収業者に通知される。さらに、中央管理手段500は、フロン類回収情報に基づいて、回収フロン類をいずれの中間保管所または保管場所かの移送先や必要に応じて移送時期などの移送に関する指示も伝達される。なお、端末には、双方向通信装置、記憶装置、表示装置などが含まれて必要な情報の伝達および受信が行われる。
【0067】
図2では、中間保管場所が設置されている場合に、その端末301が中央管理手段500に接続されている様子が示されている。回収フロン類保管場所端末300は、分析機関端末400および破壊業者端末900とも接続されていて、回収フロン類の分析については、分析指示をし、分析結果情報を受信するし、破壊業者に関しては、破壊すべき回収フロン類の破壊を委託し、破壊結果情報を受信する。保管場所端末300は、保管している再生済フロン類情報、分析情報および破壊情報を中央管理手段500に伝達する。中間保管所場所端末301は、一次分析機関端末401および破壊業者端末901とも接続されていて、回収フロン類の分析については、分析指示をし、分析結果情報を受信するし、破壊業者に関しては、破壊すべき回収フロン類の破壊を委託し、破壊結果情報を受信する。フロン類の破壊結果情報は、回収フロン類破壊情報として保存される。中間保管場所端末301は、保管している再生済フロン類情報、分析情報および破壊情報を中央管理手段500に伝達する。
【0068】
中央管理手段500は、フロン類回収情報およびその分析情報を基に、保管場所端末300に対して、回収フロン類の蒸留による再生または組成調整による再生の指示を、また保管場所端末300および中間保管場所端末301に対して破壊の指示を作成して通知する。
【0069】
図2では、再生済フロン類再利用希望者端末600が、中央管理手段500に接続されている。端末600によって、再生済フロン類再利用希望者のフロン類再利用希望情報が中央管理手段500に伝達される。フロン類再利用希望情報には、再利用希望者に関する再利用者情報のほか、再利用を希望する再生済フロン類の種類、量、供給希望時期などの再利用希望情報が含まれている。中央管理手段500は、保管されている再生済フロン類情報と照会して再利用を希望する回収フロン類の供給の可否、並びに供給時期、供給方法および代金などを回収フロン類再利用希望者端末600に回答する。
【0070】
図2では、新造フロン類供給者の端末700が中央管理手段500に接続されているが、再利用希望者が回収フロン類と新造フロン類の混合物を希望することがあるので、その新造フロン類の供給を受けるための情報を受送信するために接続されているものである。また、再利用希望者が希望する再生済フロン類が、保管されている再生済フロン類で賄えないときに、再利用希望者に新造フロン類を加えた形で提案することもあるので、その備えとして接続されているものである。新造フロン類供給者端末からは、新造フロン類の供給可能種類、量および供給可能時期などの情報が中央管理手段500に伝達されて保存される。
【0071】
図3は、中央管理手段500の構成の例を示すブロックダイアグラムである。中央管理手段500には、制御装置501、メモリー502、表示装置503、複数の装置を接続して通信する通信装置504、回収フロン類保管プロセッサー505および再利用回収フロン類供給プロセッサー506を含む中央処理装置(CPU)510、並びにデータ保存装置550が含まれている。
【0072】
回収フロン類保管プロセッサー505には、フロン類の回収から再利用可能な再生済フロン類の保管に至る諸機能を担わせ、再利用回収フロン類供給プロセッサー506には、再利用希望情報の受理から再生済フロン類および/または新造フロン類の納入に至る諸機能を担わせてもよい。
【0073】
データ保存装置550には、保管場所及び中間保管所における回収フロン類の種類、量などを保存した回収フロン類データベース(DB)551、フロン類回収業者の名称、所在地、登録番号などが保存されたフロン類回収業者データベース552、保管されている再生済フロン類の種類、量などを保存した保管再生済フロン類データベース553、保管場所及び中間保管所における回収フロン類の分析に関する情報を保存した分析データベース554、破壊業者に引き渡した回収フロン類に関する情報が保存されている破壊フロン類データベース555、回収フロン類の移送に関する情報を保存する回収フロン類移送データベース556、回収フロン類の再利用の希望について、使用する回収フロン類の種類、量などの情報、並びに充填を予定する機器などの情報を保存する再利用データベース561、収フロン類の再利用希望者に関する情報を保存する再利用者データベース562を含んでいる。また、データ保存装置550には、供給可能な新造フロン類の種類、量などの情報を保存する新造フロン類データベース571および新造フロン類供給可能者に関する情報を保存する新造フロン供給者データベース572などが含まれていてもよい。
【0074】
そのほかデータ保存装置550には、フロン類回収業者との回収フロン類の代価および費用負担に係る約定に関するするフロン類回収契約データベース581および再利用希望者との代金および供給条件などの交渉および契約に関する再利用契約データベース582が含まれていてもよい。
【0075】
回収フロン類が発生し、フロン類回収業者に回収を依頼する場合を、
図4によってもう少し具体的に説明する。まず、回収フロン類を産出する者として、フロン類を充填した機器そのものを廃棄する者(010)を挙げることができる。機器廃棄者が、フロン類を充填した機器が設置されたビルや建物を廃棄する者であるとき、解体工事請負業者(040)が請け負って、それを廃棄実施業者(041)に委託する。受託した廃棄実施業者はフロン類を充填した機器の調査をして委託者に報告し、委託者がフロン類回収業者に回収依頼書をもって回収業者に回収を依頼するか、回収フロン類の引き取りを委託して、回収フロン類引取委託書をもって回収業者に回収を依頼する。廃棄する者(010)がフロン類を充填した機器をリサイクル業者(050)に処分を委託した場合、リサイクル業者がフロン類回収業者に回収を依頼することになる。
【0076】
第2の回収フロン類を産出する者として、フロン類を充填した機器の所有者(020)を挙げることができる。大型店舗や冷凍倉庫業者など空調などの機器を所有していて、その冷媒を更新しようとする者を、また第3の回収フロン類を産出する者として、フロン類を充填した機器の製造業者(030)を挙げることができる。機器の製造業者もまた冷媒の更新などの理由によって、フロン類を排出する必要が出てくる。これら第2及び第3の回収フロン類産出者は、自らフロン類回収業者に回収を依頼する場合もあるし、処分を依頼した産廃業者が回収依頼書をもって回収業者に回収を依頼する場合もある。
【0077】
回収業者への回収依頼書(または引取委託書)には、フロン類を充填した機器の種類、数および所在(設置場所等)が記載されているし、回収業者において回収フロン類の種類および量を確認することになるので、これらの情報はフロン類回収情報として、フロン類回収業者のもとに発生する。
【0078】
フロン類回収業者が、フロン類回収業者端末100にアクセスしてIDをもって中央管理手段にログインするか、回収業者情報を入力して付与されるIDをもってログインして、得られたフロン類回収情報を入力すれば、中央管理手段に回収業者情報とともに、フロン類回収情報が登録される。
【0079】
回収フロン類を提供したフロン類回収業者には、回収フロン類の代価支払条件および破壊される場合の破壊費用負担等が、回収フロン類の引き取り時に約定され、それに基づいて精算される。
【0080】
回収フロン類の再利用希望者としては、空調機器を製造する業者、機器にフロン類を充填しその製品を販売する業者などの回収フロン類を使用する機器を製造する機器製造業者、及び空調機器等フロン類を使用する機器を既に所有していて回収フロン類の使用を希望するスーパーマーケット等の大型店舗、冷凍倉庫業者等の業者などを挙げることができる。
【0081】
図5は、再生済フロン類再利用希望者の再利用希望情報が中央管理手段に登録される工程の例を示すフローダイアグラムである。再利用希望者が再利用希望者端末にアクセスし、再利用希望者IDを入力して中央管理手段にログインする。IDを持たない再利用希望者は、要求される情報を入力すれば、中央管理手段によってIDを付与されるので、そのIDを入力することによって中央管理手段にログインする。その際に再利用希望者の情報は再利用希望者情報として中央管理手段に登録される。再利用希望者が希望する回収フロン類の種類を入力するが、再利用希望者が再生済フロン類の種類を選択し易くするために端末に供給可能な再生済フロン類の種類を表示させることもできる。その場合には、再利用希望者は入力方法として端末に表示される再生済フロン類の種類から選択すればよい。再生済フロン類の種類には、フロン類の分類及び化学名もしくはその略称番号が含まれる。そして希望する再生済フロン類の種類が登録される。続いて付加条件が入力されるが、付加条件としては、各回収フロンの量、納入期限、納入方法等が含まれる。そして付加条件が登録される。これで中央管理手段に、再生済フロン類再利用希望が受理され、再利用希望情報が登録される。
【0082】
図6は、再生済フロン類再利用希望が受理された後の工程の例を示している。受理されたフロン類再利用希望条件は、保管されている再生済フロン類の情報、地域情報等のデータ等に照らして、満たせるか否かを判定する。満たせる場合再利用希望者に供給する再生済フロン類の価格等の条件が提示される。提示された条件に再利用希望者が合意した場合、保管機関と再利用希望者との取引が成立する。再利用希望者は発注し、発注に基づいて納品されて回収フロン類の取引が完了するが、提示された条件に再利用希望者が合意できない場合には取引不成立となる。
【0083】
その時点で保管されている再生済フロン類で再利用希望条件を満たせない場合、再生済フロン類の保管予定も含めて、供給の時点で再利用希望条件を満たせるか否かが判定される。その場合に供給可能と判定されれば、再利用希望者に供給する再生済フロン類の価格等の条件が提示される。提示された条件に再利用希望者が合意した場合には、保管機関と再利用希望者との取引が成立する。上記と同様に再利用希望者が発注し、発注に基づいて納品されて再生済フロン類の取引が完了するが、提示された条件に再利用希望者が合意できない場合には取引不成立となる。
【0084】
再生済フロン類保管情報に照らして、再利用希望条件を満たすことができないと判定される場合には、新造フロン類をも含めて再利用希望条件を満たせるか否かが判定される。その場合に供給可能と判定されれば、再利用希望者に供給するフロン類の価格等の条件が提示されることとなる。この場合にも提示された条件に再利用希望者が合意した場合には、上記と同様に再利用希望者が発注し、発注に基づいて納品されてフロン類の取引が完了するが、提示された条件に再利用希望者が合意できない場合には取引不成立となる。
【0085】
図7は、詳細に説明してきた本発明の回収フロン類の回収および再利用システムを、横軸に時間の経過要素を持たせて表示した概略図である。厳密な時系列とはなっていないが、本発明の一態様について理解を深めるための概略図である。
図7では、フロン類を充填した機器所有者、同機器製造業者、またはフロン類を充填した機器の廃棄者によって排出されるフロン類がフロン類回収業者によって、回収されて、保管機関の回収フロン類保管場所に保管される経路が記載されている。なお。
図7中で情報と表示されているのは、中央管理手段に登録される情報の一部を示している。
【0086】
図7の右下には、保管機関に保管されている再生済フロン類の例として、冷媒A、冷媒B、冷媒Cおよび冷媒Dが記載されている。もし、回収フロン類排出者であった機器製造業者が、再生済フロン類の再利用者aとして再利用を希望し、希望するフロン類が冷媒A、冷媒Bおよび冷媒Cであって、希望量、納入期限、価格等の条件で合意できたならば、保管機関と再利用希望者との取引成立となって、同機器製造業者の発注に基づいて希望の再生済フロン類が納入される。このシステムによって、排出したフロン類とは関係なく希望の再生済フロン類を入手することができるのである。
【0087】
図7では、回収フロン類排出者であった機器使用者の例も記載されている。機器使用者が、再生済フロン類の再利用者bとして再利用を希望し、希望するフロン類が冷媒B、冷媒Cおよび冷媒Dであって、希望量、納入期限、価格等の条件で合意できたならば、この場合にも保管機関と再利用希望者との間で取引成立となって、同機器製造業者の発注に基づいて希望の再生済フロン類が納入される。
【0088】
本発明は、詳細に説明してきたように、フロン類を効率的に回収し、回収したフロン類を再利用希望者の要請を満たすように提供することを可能にしたフロン類の回収および再利用のシステムを提供するものである。回収フロン類の排出現場では、再利用するに十分な量のフロン類が確保できないとか、回収の際にフロン類の組成変化が起こってしまうとか、少量の回収フロン類の再利用には経費がかかるとか、HCFCからHFCへの切り替えのためにHCFCの再利用の希望があるにもかかわらず破壊されてしまうとかの理由によって、破壊されてしまい再利用に回らない回収フロン類が多いところ、本発明によって再利用の機会が拡大されるのである。本発明により提供される回収フロン類の回収および再利用システムは、フロン類の破壊に消費されるエネルギーに比して各段にすくないエネルギーでその回収を実現すること省エネに貢献し、フロン類回収によってフロン類の新規製造機会を減少させることによってさらに省エネに貢献し、またさらに現存する冷媒使用機器の冷媒需要を満たしつつ次世代の冷媒への代替時間を確保することができるという、格段にすぐれた地球温暖化抑制への大きな貢献をすることができるシステムである。
【0089】
本発明のフロン類の回収および再利用システムは、前記「第一種特定製品」と規定された業務用のエアコンディショナー、冷蔵機器及び冷凍機器から排出されるフロン類のほかに、自動車に搭載されている人用のフロン類を充填したエアコンディショナーから排出されるフロン類や、家庭用のエアコンディショナーや冷凍・冷蔵庫等の家電製品から排出されるフロン類の回収および再利用にも適用できるものであるから、本発明によりフロン類の回収および再利用が促進されることが期待される。
【0090】
本発明のフロン類の回収および再利用システムは、上記のフロン類に限らず、洗浄剤等の用途に用いられているフロン類の回収および再利用にも好適に適用することができるものである。
【0091】
本発明の好ましい回収フロン類の回収および再利用システムは、回収されたもしくは回収予定のフロン類について、種類、量および所在地を含むフロン類回収情報を得るフロン類回収情報取得手段と、
前記フロン類回収情報に基づいて回収フロン類の移送先および移送方法を指示する移送指示手段と、
回収フロン類を分析して種類および品質に係る分析情報を得る工程と、
得られた分析情報に基づき、所定の基準に照らして、回収フロン類の再生および破壊の要否、並びに再生の方法を指示する工程を含む分析手段と、
再生も破壊もされない回収フロン類および再生を経た回収フロン類(再生済フロン類)について、その種類毎に所定の容器への保管を指示する保管指示手段と、
保管された再生済フロン類の種類と量を含む再生済フロン類保管情報を作成させる手段と、
再生済フロン類の再利用希望者が希望する再生済フロン類の種類、量、使用機器および納入期限を含む再利用希望情報を取得する工程、
前記再利用情報と前記再生済フロン類保管情報を照合して供給の可否を判定する供給可否判定手段と、
再利用希望情報を満たして供給する場合の価格を含む条件を作成する供給条件作成手段と、
前記再利用希望者に供給の可否および供給の条件を伝達する回答手段と、
再利用希望者の条件合意に基づき再生済フロン類を納入する手段と、
供給した再生済フロン類の種類と量を含む再生済フロン類再利用情報を作成する手段と、
を備えるフロン類の回収および再利用システムである。
【0092】
本発明における保管機関は、通常回収フロン類を自己の設備で再生業務を行う者がなるが、これに限定されるものではない。また、保管機関が、フロン類回収業者であってもよい。
【0093】
保管機関が複数あるとき、複数の保管機関の各々と接続して、回収したフロン類の種類と量を含む回収情報、保管されている再生済フロン類の種類と量を含む再生済フロン類保管情報、および再利用された再生済フロン類の種類と量を含む再生済フロン類再利用情報のデータを集約して保存し、その情報を必要に応じて各保管機関に提供する集約データベース機能を設けた本発明のフロン類の回収および再利用システムは、好ましい態様である。集約されるデータには、回収フロン類の再生および破壊のデータが含まれていることが好ましい。
【0094】
図8には、複数の保管機関A、B、CおよびDのフロン類の回収および再生システムにおける中央管理手段500A、500B、500Cおよび500Dが、サーバー800に接続されている様子が示されている。サーバー800は、集約データベース機能を担うサーバーであって、制御装置、メモリー、表示装置、通信装置を備えた処理装置810とデータ保存装置850が備えられている。サーバー800の保存装置には、少なくとも回収フロン類の種類と量について保管機関ごとのデータおよび総量を保存するデータベース、再利用された再生済フロン類の種類と量について保管機関ごとのデータおよび総量、保管されている再利用可能な再生済フロン類の種類と量について保管機関ごとのデータおよび総量を保存するデータベースが備えられている。
図8におけるインターネットおよびそれに接続するコンピュータ(PC)、および行政機関Aおよび行政機関Bは、後記する集約データベース機能を担うサーバーを情報伝達の手段として用いる場合の態様を説明するために図示したものである。
【0095】
図8において、保管機関A、B、CおよびDが、ともに本発明のフロン類の回収および再生システムを実施する保管機関である態様は好ましい態様である。例えば、保管機関Aが、本発明のフロン類の回収および再生システムを実施する保管機関であり、保管機関B、CおよびDが、本発明のシステムと異なっているがフロン類の回収および再生システムを実施する保管機関であっても、目的とする集約データベースが作成できれば本発明の実施態様である。
【0096】
複数の保管機関の各々が独自のフロン類の回収および再利用活動をする場合、集約データベースから、各保存期間には必要に応じたデータの開示がなされる。例えば、各保管機関は、回収フロン類の種類と量についての総量、再生済フロン類の種類と総量および再利用された再生済フロン類の種類と量について総量を知ることによって、フロン類の回収および再利用の全体状況を把握することができるので、フロン類の回収および再利用活動の運営方針策定に役立てることができる。また、回収フロン類の再利用希望者との交渉にあたって提示条件を決定する材料に利用することもできる。
【0097】
さらに、本発明のシステムによれば、ある保管機関において、再利用希望があるが保管再生済フロン類の量が不足する場合、他の保管機関からの在庫で不足分を補って供給可能とすることができるようになる。すなわち、ある保管機関において、再生済フロン類再利用希望条件を満たせるかどうかの判定において、当該保管機関の再生済フロン類保管情報に加えて、前記集約データベースに保存されている他の保管機関のデータを加えて判定することができるようになる。
【0098】
集約データベースをフロン類の回収および再利用のための情報発信源として利用することもできる。例えば、一定期間の回収フロン類の回収・再生量、および再利用量を、CO
2換算データを含めて関係行政機関に報告して、フロン類回収・再生業務の進捗状況把握に役立ててもらうことができる。
図8では、サイバー800は行政機関Aおよび行政機関Bと接続しており、必要な報告ができることを示している。
また、インターネットを通じて、集約データバンク保存されている情報を必要に応じて公開することによって、回収フロン類の回収、再利用の普及に役立てることができる。
図8におけるインターネットおよびそれに接続するコンピュータ(PC)によって、公開された情報を知ることができる。
【0099】
集約データベースの運営を、複数の保管機関の共同運営とすることができる。また、集約データベースの運営を、各保管機関を会員として含んで、回収業者、前記した回収フロン類排出に関与する者などが、会員となった普及振興会のような組織が行ってもよい。同組織は、法人格を持たないまたは法人格を持つ組合や団体などであってよい。ここでは仮に普及振興会と呼ぶ。
【0100】
回収フロン類の再利用を希望する者が、普及振興会のホームページにアクセスすれば、再利用可能な回収フロン類の種類などを知ることができ、所定の手続を経てログインすれば、再利用を希望する回収フロン類の購入ができる保管機関情報を得ることもできるようにすることも可能である。再利用希望者が、保管機関Aを紹介されたとき、そのまま普及振興会のサーバーを通じて、または別途保管機関Aにアクセスし所定の手続を経て、前記した手順で保管機関Aと希望する利用可能回収フロン類の購入の取引をすることができるようにすることもできる。
【0101】
本発明が目的とする回収フロン類の回収および再利用の普及および拡大させるために、その必要性を認知させる活動が効果的である。そのような活動には、大々的キャンペーンや、インターネットを通じた宣伝広告、フロン類の商取引の交流の機会を利用した口達その他がある。さらに、回収フロン類の回収および再利用を促進するために、回収および再利用に協力した者にカーボンクレジットやエコマークを付与するようなインセンティブを与える施策を採用することもできる。