(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ディスプレイと、当該ディスプレイに重ねられ、指でタッチされたタッチ位置を検出する、少なくとも一部に曲面領域を有するタッチパネルと、を備える携帯機器のコンピュータに、
前記タッチ位置が前記曲面領域内である場合に、指が前記曲面領域へ近づく接近方向を判定する判定機能と、
前記接近方向に応じて前記曲面領域における前記タッチ位置を補正する補正機能と、を付与する、
ことを特徴とするプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0022】
<携帯電話機の構成>
図1(a)ないし(d)は、それぞれ、携帯電話機1の正面図、背面図、右側面図および底面図である。以下、説明の便宜上、
図1(a)ないし(d)に示すように、キャビネット2の長手方向を上下方向と定義し、キャビネット2の短手方向を左右方向と定義する。さらに、これら上下方向および左右方向に垂直な方向を前後方向と定義する。
【0023】
図1(a)ないし(d)に示すように、携帯電話機1は、キャビネット2と、ディスプレイ3と、タッチパネル4と、マイクロフォン5と、通話スピーカ6と、外部スピーカ7と、カメラ8とを含む。
【0024】
キャビネット2は、正面から見て、ほぼ長方形の輪郭を有する。
図1(d)に示すように、キャビネット2の正面の両端部は、内側から外側に向って低くなるよう湾曲する曲面形状に形成されている。キャビネット2の正面側に、ディスプレイ3が配されている。ディスプレイ3には、各種の画像(画面)が表示される。ディスプレイ3は、キャビネット2の左右両端まで拡がっており、その両端部は、キャビネット2の両端部と同様、曲面形状に形成されている。ディスプレイ3は、液晶ディスプレイであり、液晶パネルと、液晶パネルを照明するLEDバックライトを含む。ディスプレイ3は、有機ELディスプレイ等、他の種類のディスプレイであってもよい。
【0025】
さらに、ディスプレイ3に重なるように、タッチパネル4が配置されている。タッチパネル4は、透明なシート状に形成されている。タッチパネル4の両端部は、ディスプレイ3の両端部に対応するよう、曲面形状に形成されている。即ち、タッチパネル4は、その両端部に曲面領域4aを有する。タッチパネル4の両端部以外の部位は、平坦な形状を有する。本実施の形態では、タッチパネル4は、静電容量式のタッチパネルである。タッチパネル4として、超音波式、感圧式、抵抗膜式、光検知式等、静電容量式以外のタッチパネルが用いられても良い。
【0026】
キャビネット2の内部には、下端部にマイクロフォン5が配されている。また、キャビネット2の内部には、上端部に通話スピーカ6が配されている。マイクロフォン5は、キャビネット2の正面に形成されたマイク孔5aを通過した音声を受け付ける。マイクロフォン5は、入力された音に応じた電気信号を生成する。通話スピーカ6は、音を出力する。出力された音は、キャビネット2の正面に形成された出力孔6aを通過してキャビネット2の外に放出される。通話の際には、通信先の機器(携帯電話機等)から受信された受話音声が通話スピーカ6から出力され、ユーザが発した発話音声がマイクロフォン5に入力される。なお、音は、音声、報知音等、様々な音を含む。
【0027】
キャビネット2の内部には、外部スピーカ7が配されている。キャビネット2の背面には、外部スピーカ7と対向する領域に出力孔7aが形成されている。外部スピーカ7から出力された音は、出力孔7aを通過してキャビネット2の外に放出される。
【0028】
キャビネット2の上部には、正面側にカメラ8が配されている。カメラ8は、携帯電話機1の正面方向に存在する撮影対象を撮影する。カメラ8は、CCD、CMOSセンサ等の撮像素子と、撮影対象の像を撮像素子に結像させるレンズとを含む。
【0029】
図2は、携帯電話機1の全体構成を示すブロック図である。
【0030】
図2に示されるように、携帯電話機1は、制御部11と、記憶部12と、画像出力部13と、タッチ検出部14と、音声入力部15と、音声出力部16と、音声処理部17と、キー入力部18と、通信部19と、撮影部20と、加速度検出部21とを含む。
【0031】
記憶部12は、ROM、RAM、外部メモリを含む。記憶部12には、各種のプログラムが記憶されている。記憶部12に記憶されるプログラムは、携帯電話機1の各部を制御するための制御プログラムの他、各種アプリケーションプログラム(以下、単に「アプリケーション」と称する)、たとえば、電話、メッセージ、カメラ、ウェブブラウザ、地図、ゲーム、スケジュール管理等のアプリケーションを含む。さらに、記憶部12に記憶されるプログラムは、後述するタッチ位置補正処理を実行するためのプログラムを含む。プログラムは、メーカによって携帯電話機1の製造時に記憶部12に記憶される他、通信網やメモリカード、CD−ROM等の記憶媒体を介して記憶部12に記憶される。
【0032】
記憶部12には、プログラムの実行の際、一時的に利用または生成されるデータを記憶するワーキング領域も含まれる。
【0033】
記憶部12には、位置記憶部12aが備えられている。位置記憶部12aには、ユーザの指がタッチパネル4に近づく過程において、指が最も接近したタッチパネル4上の位置が、最近接位置Xとして、時系列的に記憶される。
【0034】
制御部11は、CPUを含む。制御部11は、記憶部12に記憶されたプログラムに従って、携帯電話機1を構成する各部(記憶部12、画像出力部13、タッチ検出部14、音声入力部15、音声出力部16、音声処理部17、キー入力部18、通信部19、撮影部20、加速度検出部21、等)を制御する。
【0035】
画像出力部13は、
図1(a)に示すディスプレイ3を含む。画像出力部13は、制御部11からの制御信号と画像信号に基づき、ディスプレイ3に画像(画面)を表示する。また、画像出力部13は、制御部11からの制御信号に応じて、ディスプレイ3の点灯、消灯および輝度の調整を行う。
【0036】
タッチ検出部14は、
図1(a)に示すタッチパネル4を含み、タッチパネル4に対するタッチ操作を検出する。より具体的には、タッチ検出部14は、タッチパネル4に対する、ユーザの指などの接触対象が接触する位置(以下、「タッチ位置」と称する)を検出する。タッチ検出部14は、検出したタッチ位置に基づいて生成されたタッチ位置信号を制御部11へ出力する。タッチパネル4に対するタッチ操作は、ディスプレイ3に表示される画面やオブジェクト画像を対象として行われるものであり、ディスプレイ3に対するタッチ操作である、と言い換えることができる。
【0037】
なお、タッチパネル4を含むキャビネット2の正面が、ガラス等で構成される透明なカバーで覆われる場合、タッチパネル4へ触れようとする指はタッチパネル4でなくカバーに接触する。この場合、タッチパネル4は、指がカバーに接触したときにタッチ位置を検出する。このように、カバーがある場合、タッチパネル4は、指により間接的にタッチされることになるが、タッチパネル4へのタッチは、直接的でも間接的でもよく、どちらの場合もタッチパネル4が指でタッチされることに変わりはない。
【0038】
ユーザは、タッチパネル4に指を触れることにより、ディスプレイ3に対し様々なタッチ操作を行うことができる。タッチ操作は、たとえば、タップ操作、フリック操作、スライド操作等を含む。タップ操作とは、ユーザがタッチパネル4に指を接触させた後、短時間のうちに指をタッチパネル4から離す操作である。フリック操作とは、ユーザがタッチパネル4に指を接触させた後、タッチパネル4を指で任意の方向に弾くあるいは掃う操作である。スライド操作とは、ユーザがタッチパネル4に指を接触させたまま、任意の方向へ指を移動させる操作である。
【0039】
たとえば、タッチ検出部14がタッチ位置を検出した場合に、タッチ位置が検出されてから予め定められた第1時間以内にタッチ位置が検出されなくなると、制御部11は、タッチ操作をタップ操作と判定する。タッチ位置が検出されてから予め定められた第2時間以内に予め定められた第1距離以上タッチ位置が移動した後、タッチ位置が検出されなくなった場合、制御部11は、タッチ操作をフリック操作と判定する。タッチ位置が検出された後、予め定めた第2距離以上タッチ位置が移動すると、制御部11は、タッチ操作をスライド操作と判定する。
【0040】
タッチパネル4は、静電容量式であり、指がある程度タッチパネル4に近づくと、近づいた位置(検出点)では静電容量が変化し始める。指がタッチパネル4に近づくほど、その位置の静電容量の変化は大きくなり、やがて、指がその位置に触れると、静電容量の変化量が、タッチを判断するための検出閾値を超える。タッチ検出部14は、静電容量の変化量が検出閾値を超えたタッチパネル4上の位置をタッチ位置として検出し、タッチ位置信号を出力する一方で、静電容量の変化が生じたタッチパネル4上の位置を近接位置として検出し、近接位置とその近接位置での静電容量の変化量とを示す近接位置信号を制御部11に出力する。
【0041】
音声入力部15は、マイクロフォン5を含む。音声入力部15は、マイクロフォン5からの電気信号を音声処理部17へ出力する。
【0042】
音声出力部16は、通話スピーカ6および外部スピーカ7を含む。音声出力部16には、音声処理部17からの電気信号が入力される。音声出力部16は、通話スピーカ6または外部スピーカ7から音を出力させる。
【0043】
音声処理部17は、音声入力部15からの電気信号にA/D変換等を施し、変換後のデジタルの音声信号を制御部11へ出力する。音声処理部17は、制御部11からのデジタルの音声信号にデコード処理およびD/A変換等を施し、変換後の電気信号を音声出力部16に出力する。
【0044】
キー入力部18は、少なくとも1つ以上のハードキーを含む。たとえば、キー入力部18は、携帯電話機1に電源を投入するための電源キー等を含む。キー入力部18は、押下されたハードキーに対応する信号を制御部11に出力する。
【0045】
通信部19は、通話や通信を行うため、信号を変換するための回路、電波を送受信するアンテナ等を含む。通信部19は、制御部11から入力される通話や通信のための信号を無線信号に変換し、変換された無線信号を、アンテナを介して基地局や他の通信装置等の通信先へ送信する。さらに、通信部19は、アンテナを介して受信した無線信号を制御部11が利用できる形式の信号へ変換し、変換された信号を制御部11へ出力する。
【0046】
撮影部20は、
図1(a)に示すカメラ8、撮像制御回路などを含む。撮影部20は、カメラ8により撮影された画像の画像データに各種の画像処理を施し、画像処理後の画像データを制御部11に出力する。
【0047】
加速度検出部21は、3軸加速度センサを含む。3軸加速度センサは、携帯電話機1の前後方向、上下方向および左右方向の3方向に生じる重力加速度を検出する。加速度検出部21は、3軸加速度センサが検出した、携帯電話機1(キャビネット2)の姿勢に応じた加速度を示す加速度信号を制御部11に出力する。
【0048】
図3は、ホーム画面101が表示されたディスプレイ3を示す図である。
【0049】
携帯電話機1では、種々の画面がディスプレイ3に表示され、画面上においてユーザにより種々のタッチ操作がなされる。たとえば、初期画面として、ホーム画面101がディスプレイ3に表示される。
図3に示すように、ホーム画面101は、各種のアプリケーションを起動するための起動用アイコン101aを含む。起動用アイコン101aには、たとえば、電話アイコン101b、カメラアイコン101c、メールアイコン101d等が含まれる。
【0050】
ディスプレイ3には、ホーム画面101の他に、通知バー102および操作キー群103が表示される。通知バー102は、ディスプレイ3に表示されたホーム画面101の上方に表示される。通知バー102は、現在時刻、バッテリー残量を示す残量メータ、電波の強度を示す強度メータ等を含む。操作キー群103は、ホーム画面101の下方に表示される。操作キー群103は、設定キー103a、ホームキー103bおよびバックキー103cから構成されている。設定キー103aは、主に、各種設定を行う設定画面をディスプレイ3に表示させるためのキーである。ホームキー103bは、主に、ディスプレイ3の表示を他の画面からホーム画面101に移行させるためのキーである。バックキー103cは、主に、実行された処理を1ステップ前の処理に戻すためのキーである。
【0051】
各種アプリケーションを利用する場合、ユーザは、利用するアプリケーションに対応する起動用アイコン101aに対してタップ操作を行う。アプリケーションが起動されて、アプリケーションに基づく実行画面が表示される。なお、実行されたアプリケーションの実行画面が表示されても、あるいは、アプリケーションの進行に伴って実行画面が遷移しても、通知バー102および操作キー群103は、ディスプレイ3に表示され続ける。
【0052】
さて、本実施の形態の携帯電話機1では、上述の通り、タッチパネル4が、その両端部に曲面領域4aを含む。曲面領域4aに指がタッチされるとき、ユーザがタッチしようとする目標のタッチ位置と実際にタッチされる実際のタッチ位置とにずれが生じやすい。
【0053】
図4(a)ないし(c)は、タッチパネル4の曲面領域4aが、それぞれ、タッチパネル4の正面方向、側面方向および斜め上方向から指でタッチされる様子を示す図である。
図4(a)に示すように、曲面領域4aが、キャビネット2の正面方向から指でタッチされる場合、目標のタッチ位置Pに対して、実際のタッチ位置Qがタッチパネル4の内側にずれる。一方、
図4(b)に示すように、曲面領域4aが、キャビネット2の側面方向から指でタッチされる場合、目標のタッチ位置Pに対して、実際のタッチ位置Qがタッチパネル4の外側にずれる。
図4(c)に示すように、曲面領域4aが、キャビネット2の斜め上方向(曲面の法線方向)から指でタッチされる場合、目標のタッチ位置Pと実際のタッチ位置Qがほぼ同じ位置となる。
【0054】
実際のタッチ位置Qが目標のタッチ位置Pからずれた場合、目標のタッチ位置Pに近づけるよう、実際のタッチ位置Qを補正することが望ましい。しかしながら、上記のように、タッチパネル4に指が近づく方向によって、タッチ位置のずれ方が異なるため、即ち、ずれの有無が生じたりずれの方向が異なったりするため、実際のタッチ位置Qを一様に補正することができない。
【0055】
そこで、本実施の形態の携帯電話機1では、曲面領域4aに指がタッチされたときに、タッチパネル4へ指が近づく方向に応じたタッチ位置の補正を行うためのタッチ位置補正処理が、制御部11によって行われる。即ち、記憶部12に保持されたプログラムによって、制御部11にタッチ位置を補正するための機能が付与され、この機能によって、タッチ位置補正処理が実行される。
【0056】
以下、タッチ位置補正処理の具体的実施例について説明する。
【0057】
<実施例1>
図5(a)ないし(c)は、それぞれ、タッチパネル4の曲面領域4aがキャビネット2の正面方向、側面方向および斜め上方向から指でタッチされる場合の、指がタッチパネル4に近づく過程における、指に最も接近したタッチパネル4上の最近接位置Xの動きを示す図である。
図5(a)に示すように、曲面領域4aが、キャビネット2の正面方向から指でタッチされる場合、指が曲面領域4aに近づくに従って、最近接位置Xは、タッチパネル4の内側から外側へ移動する。一方、
図5(b)に示すように、曲面領域4aが、キャビネット2の側面方向から指でタッチされる場合、指が曲面領域4aに近づくに従って、最近接位置Xは、タッチパネル4の外側から内側へ移動する。
図5(c)に示すように、曲面領域4aが、キャビネット2の斜め上方向から指でタッチされる場合、最近接位置Xはほぼ動かない。
【0058】
そこで、本実施例では、最近接位置Xの動きに基づいて指の接近方向が推測され、推測された接近方向に応じたタッチ位置の補正が行われる。
【0059】
図6は、本実施例のタッチ位置補正処理を示すフローチャートである。
【0060】
制御部11は、タッチ検出部14によりタッチパネル4上の近接位置が検出されたか否かを判定する(S101)。ユーザが、タッチパネル4にタッチするため、タッチパネル4に指を近づけていくと、やがて、タッチ検出部14により、近接位置が検出される。近接位置が検出されるようになると(S101:YES)、制御部11は、検出された近接位置の中から静電容量の変化が最も大きな近接位置、即ち、タッチパネル4に近づく指に最も接近した近接位置を、最近接位置Xとして取得し(S102)、取得した最近接位置Xを位置記憶部12aに記憶させる(S103)。
【0061】
次に、制御部11は、タッチ検出部14によりタッチ位置が検出されたか否かを判定する(S104)。タッチ位置が検出されなければ(S104:NO)、制御部11は、ステップS102に戻り、再び最近接位置Xを取得する(S102)。こうして、タッチ位置が検出されるまで、最近接位置Xが取得され、取得された最近接位置Xが時系列的に位置記憶部12aに記憶される。
【0062】
ユーザの指がタッチパネル4にタッチされると、タッチ検出部14により、タッチ位置が検出される。タッチ位置が検出されると(S104:YES)、制御部11は、タッチ位置が曲面領域4a内であるか否かを判定する(S105)。タッチ位置が曲面領域4a内でなければ(S105:NO)、制御部11は、タッチ位置の補正を行うことなく(S106)、タッチ位置補正処理を終了する。一方、タッチ位置が曲面領域4a内であれば(S105:YES)、制御部11は、位置記憶部12aに記憶された最近接位置Xに基ついて、指が曲面領域4aにタッチされる過程での最近接位置Xの移動量と移動方向を求める(S107)。そして、制御部11は、求めた移動量が所定量より大きいか否かを判定する(S108)。
【0063】
移動量が所定量以下である場合、即ち、最近接位置Xがほぼ同じ位置に留まっている場合、
図5(c)に示すように、指がキャビネット2の斜め上方向から曲面領域4aに接近してきたと推測される。指がキャビネット2の斜め上方向から曲面領域4aにタッチされる場合、
図4(c)に示すように、実際のタッチ位置Qと目標のタッチ位置Pとがほぼ同じ位置となる。よって、制御部11は、移動量が所定量以下であると判定すると(S108:NO)、タッチ位置の補正を行うことなく(S106)、タッチ位置補正処理を終了する。
【0064】
一方、制御部11は、移動量が所定量より大きいと判定すると(S108:YES)、最近接位置Xの移動方向が、タッチパネル4の内側から外側へ向かう方向(外側方向)であるか、タッチパネル4の外側から内側へ向かう方向(内側方向)であるかを判定する(S109)。
【0065】
最近接位置Xの移動方向が外側方向である場合、
図5(a)に示すように、指がキャビネット2の正面方向から曲面領域4aに接近してきたと推測される。指がキャビネット2の正面方向から曲面領域4aにタッチされる場合、
図4(a)に示すように、目標のタッチ位置Pに対して、実際のタッチ位置Qがタッチパネル4の内側にずれる。よって、制御部11は、最近接位置Xの移動方向が外側方向であると判定すると(S109:外側)、外側へ所定の補正量だけシフトするよう、検出されたタッチ位置を補正する(S110)。補正後のタッチ位置は、ユーザが目標とするタッチ位置に近くなる。なお、この場合、補正量は予め定められている。
【0066】
一方、最近接位置Xの移動方向が内側方向である場合、
図5(b)に示すように、指がキャビネット2の側面方向から曲面領域4aに接近してきたと推測される。指がキャビネット2の側面方向から曲面領域4aにタッチされる場合、
図4(b)に示すように、目標のタッチ位置Pに対して、実際のタッチ位置Qがタッチパネル4の外側にずれる。よって、制御部11は、最近接位置Xの移動方向が内側方向であると判定すると(S109:内側)、内側へ所定の補正量だけシフトするよう、検出されたタッチ位置を補正する(S111)。補正後のタッチ位置は、ユーザが目標とするタッチ位置に近くなる。
【0067】
制御部11は、タッチ位置を補正すると(S110、S111)、タッチ位置補正処理を終了する。なお、制御部11は、タッチ位置補正処理を終了する際、位置記憶部12aに記憶された最近接位置Xを削除させる。
【0068】
以上、本実施例によれば、タッチパネル4の曲面領域4aが指でタッチされたとき、タッチに際して指が近づけられた方向に応じてタッチ位置の補正が行われる。よって、曲面領域4aへのタッチの行われ方に応じて、タッチ位置を適正に補正することができる。
【0069】
<実施例2>
図7(a)ないし(c)は、キャビネット2の姿勢と、タッチパネル4の曲面領域4aに指が近づけられる方向との関係について説明するための図である。
【0070】
ユーザがディスプレイ3を正面方向から見て、ディスプレイ3に対して操作を行う場合、
図7(a)に示すように、キャビネット2が、左右方向(曲面領域4aの湾曲方向)に関して、水平面からほぼ傾かないように、携帯電話機1がユーザに把持される。キャビネット2が左右方向に傾けられない状態で曲面領域4aがタッチされる場合には、
図7(a)に示すように、キャビネット2の正面方向から指が曲面領域4aに近づけられることが多いと考えられる。
【0071】
一方、曲面領域4aに重なるディスプレイ3の領域にアイコン等の操作対象となるオブジェクト画像が表示され、そのオブジェクト画像に対して操作が行われるような場合には、そのオブジェクト画像が見やすいよう、キャビネット2が、左右方向に関して、水平面から傾くように、携帯電話機1がユーザに把持されることがある。キャビネット2が左右方向に傾けられた状態で曲面領域4aがタッチされる場合には、
図7(b)および(c)に示すように、キャビネット2の側面方向または斜め上方向から指が曲面領域4aに近づけられることが多いと考えられる。特に、
図7(b)のように、キャビネット2の傾き角Rが大きい場合には、側面方向から指が曲面領域4aに近づけられることが多く、
図7(c)のように、キャビネット2の傾き角Rが小さい場合には、斜め上方向から指が曲面領域4aに近づけられることが多いと考えられる。
【0072】
そこで、本実施例では、左右方向に関するキャビネット2の水平面からの傾き状態に基づいて指の接近方向が推測され、推測された接近方向に応じたタッチ位置の補正が行われる。
【0073】
図8は、本実施例のタッチ位置補正処理を示すフローチャートである。
【0074】
制御部11は、タッチ検出部14によりタッチ位置が検出されると(S201:YES)、タッチ位置が曲面領域4a内であるか否かを判定する(S202)。タッチ位置が曲面領域4a内でなければ(S202:NO)、制御部11は、タッチ位置の補正を行うことなく(S203)、タッチ位置補正処理を終了する。
【0075】
一方、タッチ位置が曲面領域4a内であれば(S202:YES)、制御部11は、左右方向に関するキャビネット2の水平面からの傾き角Rを求める(S204)。記憶部12には、携帯電話機1に生じる前後、左右および上下の3方向の重力加速度と、左右方向に関する傾き角Rとが対応付けられた角度テーブルが記憶されている。制御部11は、加速度検出部21により検出された3方向の加速度に基づいて、角度テーブルから傾き角Rを取得する。
【0076】
制御部11は、傾き角Rが予め定めた第1角度より小さいか否かを判定する(S205)。第1角度は、キャビネット2が水平面からほぼ傾いていないか否かを判定するための閾値であり、0度に近い角度に定められる。よって、キャビネット2が水平面からほぼ傾いていなければ、傾き角Rが第1角度より小さくなる。
【0077】
キャビネット2が水平面からほぼ傾いていない場合、
図7(a)に示すように、指がキャビネット2の正面方向から曲面領域4aに接近してきたと推測される。指がキャビネット2の正面方向から曲面領域4aにタッチされる場合には、目標のタッチ位置Pに対して、実際のタッチ位置Qがタッチパネル4の内側にずれる。よって、制御部11は、傾き角Rが第1角度より小さいと判定すると(S205:YES)、外側へ所定の補正量だけシフトするよう、検出されたタッチ位置を補正する(S206)。補正後のタッチ位置は、ユーザが目標とするタッチ位置に近くなる。
【0078】
制御部11は、ステップS205において、傾き角Rが第1角度以上であると判定すると(S205:NO)、傾き角Rが予め定めた第2角度より大きい否かを判定する(S207)。第2角度は、キャビネット2が水平面からある程度大きく傾いているか否かを判定するための閾値であり、第1角度より大きな角度に定められる。
【0079】
キャビネット2があまり大きく傾いていない場合、
図7(c)に示すように、指がキャビネット2の斜め上方向から曲面領域4aに接近してきたと推測される。指がキャビネット2の斜め上方向から曲面領域4aにタッチされる場合には、実際のタッチ位置Qと目標のタッチ位置Pとがほぼ同じ位置となる。よって、制御部11は、傾き角Rが第2角度以下であると判定すると(S207:NO)、タッチ位置の補正を行わない(S203)。
【0080】
一方、キャビネット2が大きく傾いている場合、
図7(b)に示すように、指がキャビネット2の側面方向から曲面領域4aに接近してきたと推測される。指がキャビネット2の側面方向から曲面領域4aにタッチされる場合には、目標のタッチ位置Pに対して、実際のタッチ位置Qがタッチパネル4の外側にずれる。よって、制御部11は、傾き角Rが第2角度より大きいと判定すると(S207:YES)、内側へ所定の補正量だけシフトするよう、検出されたタッチ位置を補正する(S208)。補正後のタッチ位置は、ユーザが目標とするタッチ位置に近くなる。
【0081】
制御部11は、タッチ位置を補正すると(S206、S208)、タッチ位置補正処理を終了する。
【0082】
本実施例によれば、実施例1と同様、曲面領域4aへのタッチの行われ方に応じて、タッチ位置を適正に補正することができる。
【0083】
<実施例3>
実施例2では、キャビネット2の傾き角Rを実際に検出することにより、キャビネット2が、左右方向に関して、水平面から傾いているか否かが判定される。これに対し、本実施例では、カメラ8で撮影された画像に顔画像が含まれるか否かに基づいて、キャビネット2が傾いているか否かが判定される。実施例2で説明されたように、キャビネット2が傾いていない場合、ユーザがディスプレイ3を正面方向から見ていると考えられる。この場合、正面方向を向くカメラ8によりユーザの顔が撮影される。一方、キャビネット2が傾いている場合、ユーザの顔がキャビネット2の正面方向には存在しないため、カメラ8によりユーザの顔が撮影されない。
【0084】
本実施例では、カメラ8による撮影画像中に顔画像が含まれるか否かにより、左右方向に関するキャビネット2の水平面からの傾き状態が推測され、さらに、キャビネット2の傾き状態に基づいて指の接近方向が推測される。そして、推測された接近方向に応じたタッチ位置の補正が行われる。
【0085】
図9は、本実施例のタッチ位置補正処理を示すフローチャートである。
【0086】
なお、本実施例では、タッチ位置補正処理が開始される際に、制御部11により、カメラ8が起動される。
【0087】
制御部11は、タッチ検出部14によりタッチ位置が検出されると(S301:YES)、タッチ位置が曲面領域4a内であるか否かを判定する(S302)。タッチ位置が曲面領域4a内でなければ(S302:NO)、制御部11は、タッチ位置の補正を行うことなく(S303)、タッチ位置補正処理を終了する。
【0088】
一方、タッチ位置が曲面領域4a内であれば(S302:YES)、制御部11は、カメラ8が撮影した画像を取得する(S304)。そして、制御部11は、既知の顔認識処理を実行することにより、撮影画像中に顔画像が含まれているか否かを判定する(S305)。上述の通り、撮影画像中に顔画像が含まれている場合、左右方向に関してキャビネット2が水平面からほぼ傾いていないと推測され、そのため、指がキャビネット2の正面方向から曲面領域4aに接近してきたと推測される。よって、制御部11は、撮影画像中に顔画像が含まれていると判定すると(S305:YES)、外側へ所定の補正量だけシフトするよう、検出されたタッチ位置を補正し(S306)、タッチ位置補正処理を終了する。補正後のタッチ位置は、ユーザが目標とするタッチ位置に近くなる。
【0089】
一方、撮影画像中に顔画像が含まれていない場合、左右方向に関してキャビネット2が水平面から傾いていると推測される。曲面領域4aに重なるディスプレイ3の領域に表示された画像が見やすいよう、ユーザによりキャビネット2が傾けられる場合、傾き角Rは、大きくなることよりもそれほど大きくならないことの方が多いと考えられる。これは、<実施例2>でいうところの、傾き角Rが第1角度以上であるが、第2角度より小さい場合に対応する。よって、本実施例では、撮影画像中に顔画像が含まれていない場合、指がキャビネット2の斜め上方向から曲面領域4aに接近してきたと推測される。よって、制御部11は、撮影画像中に顔画像が含まれていないと判定すると(S305:NO)、タッチ位置の補正を行わない(S303)。
【0090】
なお、本実施例において、撮影画像中に顔画像が含まれていない場合には、ユーザの顔がキャビネット2の側面方向に存在し、当該ユーザの指がキャビネット2の側面方向から曲面領域4aに接近してきたと推測することもできる。よって、撮影画像中に顔画像が含まれていない場合に(S305:NO)、制御部11が、内側へ所定の補正量だけシフトするよう、検出されたタッチ位置を補正するように、タッチ位置補正処理が変更されても良い。
【0091】
本実施例によれば、実施例1と同様、曲面領域4aへのタッチの行われ方に応じて、タッチ位置を適正に補正することができる。
【0092】
<実施例4>
本実施例では、ディスプレイ3に表示される画面の内容に基づいて、キャビネット2が傾いているか否かが判定される。実施例2で説明されたように、曲面領域4aに重なるディスプレイ3の領域にアイコン等の操作対象となるオブジェクト画像が表示される場合には、そのオブジェクト画像が見やすいよう、ユーザによりキャビネット2が傾けられやすいと考えられる。
【0093】
本実施例では、曲面領域4aに重なるディスプレイ3の領域に、オブジェクト画像が表示されているか否かにより、左右方向に関するキャビネット2の水平面からの傾き状態が推測され、さらに、キャビネット2の傾き状態に基づいて指の接近方向が推測される。そして、推測された接近方向に応じたタッチ位置の補正が行われる。
【0094】
図10は、本実施例のタッチ位置補正処理を示すフローチャートである。
【0095】
制御部11は、タッチ検出部14によりタッチ位置が検出されると(S401:YES)、タッチ位置が曲面領域4a内であるか否かを判定する(S402)。タッチ位置が曲面領域4a内でなければ(S402:NO)、制御部11は、タッチ位置の補正を行うことなく(S403)、タッチ位置補正処理を終了する。
【0096】
一方、タッチ位置が曲面領域4a内であれば(S402:YES)、制御部11は、曲面領域4aに重なるディスプレイ3の領域に、オブジェクト画像が表示されているか否かを判定する(S404)。オブジェクト画像が表示されていない場合は、左右方向に関してキャビネット2が水平面からほぼ傾いていないと推測され、そのため、指がキャビネット2の正面方向から曲面領域4aに接近してきたと推測される。よって、制御部11は、オブジェクト画像が表示されていないと判定すると(S404:NO)、外側へ所定の補正量だけシフトするよう、検出されたタッチ位置を補正し(S405)、タッチ位置補正処理を終了する。補正後のタッチ位置は、ユーザが目標とするタッチ位置に近くなる。
【0097】
一方、オブジェクト画像が表示されている場合、左右方向に関してキャビネット2が水平面から傾いていると推測され、そのため、指がキャビネット2の斜め上方向から曲面領域4aに接近してきたと推測される。よって、制御部11は、オブジェクト画像が表示されていると判定すると(S404:YES)、タッチ位置の補正を行わない(S403)。
【0098】
なお、本実施例において、曲面領域4aに重なるディスプレイ3の領域に、オブジェクト画像が表示されている場合には、ユーザの顔がキャビネット2の側面方向に存在し、当該ユーザの指がキャビネット2の側面方向から曲面領域4aに接近してきたと推測することもできる。よって、オブジェクト画像が表示されている場合に(S404:YES)、制御部11が、内側へ所定の補正量だけシフトするよう、検出されたタッチ位置を補正するように、タッチ位置補正処理が変更されても良い。
【0099】
本実施例によれば、実施例1と同様、曲面領域4aへのタッチの行われ方に応じて、タッチ位置を適正に補正することができる。
【0100】
<変更例>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態等によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も、上記以外に種々の変更が可能である。
【0101】
たとえば、上記実施の形態において、タッチ位置の補正量をユーザが調整できても良い。
【0102】
図11は、タッチ位置の補正量を設定するための設定画面104が表示されたディスプレイ3を示す図である。
【0103】
ユーザによる所定の操作に基づいて、制御部11は、設定画面104をディスプレイ3に表示させる。設定画面104は、「補正量大」、「補正量中」、「補正量小」および「補正量0」の各項目104a、各項目104aに対応するチェックボックス104bおよび決定オブジェクト104cを含む。ユーザは、タッチ位置の補正を希望する場合、チェックボックス104bへのタッチ操作により、大、中、小の程度の異なる3つの補正量から所望の補正量を選択する。また、ユーザは、タッチ位置の補正を希望しない場合、チェックボックス104bへのタッチ操作により、補正量をゼロとすることを選択する。決定オブジェクト104cへのタッチ操作が行われると、制御部11はチェックボックス104bにチェックマークが記入された補正量を、タッチ位置補正処理で用いられる補正量に設定する。
【0104】
また、上記実施の形態では、携帯電話機1に、内側から外側に向って低くなるよう湾曲する曲面領域4aを両端部に有するタッチパネル4が用いられる。しかしながら、これに限られず、たとえば、
図12(a)に示すように、携帯電話機1に、凸湾曲形状の曲面領域を全面に有するタッチパネル4が用いられても良い。また、
図12(b)に示すように、携帯電話機1に、内側から外側に向って高くなるよう湾曲する曲面領域を両端部に有するタッチパネル4が用いられてもよい。さらに、
図12(c)に示すように、携帯電話機1に、凹湾曲形状の曲面領域を全面に有するタッチパネル4が用いられても良い。
図12(a)および(c)の構成とされた場合には、タッチ位置補正処理において、曲面領域を判定するステップ(S105、S202、S302、S402)が削除される。また、
図12(b)および(c)の構成とされた場合、
図6のタッチ位置補正処理のステップS109からS111の処理は変わらないが、最近接位置Xの移動方向が内側から外側へ向かう方向である場合に、キャビネット2の側面方向から指が近づいたと推測されることととなり、最近接位置Xの移動方向が外側から内側へ向かう方向である場合に、キャビネット2の正面方向から指が近づいたと推測されることとなる。さらに、
図12(b)および(c)の構成とされた場合、
図8のタッチ位置補正処理において、ステップS206の処理とステップS208の処理が入れ替えられ、
図9のタッチ位置補正処理のステップS306および
図10のタッチ位置補正処理のステップS405では、内側に所定の補正量だけシフトするよう、タッチ位置が補正される。
【0105】
さらに、上記実施の形態では、スマートフォン型の携帯電話機に本発明が適用されている。しかしながら、これに限らず、ストレート式、折りたたみ式、スライド式等、他のタイプの携帯電話機に本発明が適用されても良い。
【0106】
さらに、上記実施の形態では、タッチパネル4へ指が近づく方向に応じてタッチ位置の補正が行われたが、指に限らず、スタイラスペンのようにタッチパネル4に対してタッチ位置を指定することができる他のツールが利用された場合にも、そのツールが近づく方向に応じてタッチ位置の補正が行われてよい。なお、タッチパネルに対してタッチ位置を指示することができる指、または上記ツール等は、包括してタッチ位置指示部として表現されてもよい。
【0107】
さらに、本発明は、携帯電話機に限られず、PDA(Personal DigitalAssistant)、タブレットPC(Tablet PC)、電子書籍端末、携帯音楽プレーヤ、ポータブルテレビ、ポータブルナビゲーションシステム等の各種の携帯機器に適用可能である。
【0108】
この他、本発明の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。