特許第6046076号(P6046076)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6046076
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】流路切換弁用の弁体
(51)【国際特許分類】
   F16K 11/065 20060101AFI20161206BHJP
   F25B 41/04 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   F16K11/065 Z
   F25B41/04 C
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-81195(P2014-81195)
(22)【出願日】2014年4月10日
(65)【公開番号】特開2015-200400(P2015-200400A)
(43)【公開日】2015年11月12日
【審査請求日】2015年8月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000143949
【氏名又は名称】株式会社鷺宮製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100060690
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 秀雄
(74)【代理人】
【識別番号】100070002
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100110733
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥野 正司
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【弁理士】
【氏名又は名称】朴 志恩
(72)【発明者】
【氏名】上野 知之
(72)【発明者】
【氏名】木村 宏光
(72)【発明者】
【氏名】香川 大樹
【審査官】 冨永 達朗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−196857(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 11/065
F25B 41/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍サイクルの高圧側配管に連通される弁室内で、低圧ポートと2つの切換ポートが形成された弁座に対向する椀状凹部を有する弁体であって、
前記低圧ポートと切換ポートの弁ポート径をD(mm)、
前記低圧ポートと切換ポートとのポート間ピッチをP(mm)、
前記椀状凹部の前記移動方向の凹部長さをL(mm)、
前記椀状凹部の前記移動方向と直角な方向の凹部幅をW(mm)、
前記椀状凹部の高さをH(mm)、
としたとき、
8mm≦D≦12mm…(1)
1.3≦P/D≦1.7…(2)
1.00≦L/(P+D)≦1.06…(3)
1.05≦W/D≦1.15…(4)
を満たし、
0.99≦H/D≦1.39…(5)
であることを特徴とする流路切換弁用の弁体。
【請求項2】
請求項1に記載の流路切換弁用の弁体であって、
1.00≦H/D≦1.10…(5.1)
または、
1.11≦H/D≦1.21…(5.2)
または、
1.24≦H/D≦1.34…(5.3)
であることを特徴とする流路切換弁用の弁体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機等の冷凍サイクルに用いられる流路切換弁(四方切換弁等)に内蔵される弁体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷凍サイクルに設けられた流路切換弁としてスライド式の流路切換弁がある。この流路切換弁は、冷凍サイクルの高圧側配管に連通される弁室内で弁座に対して弁体の椀状凹部を対向させ、弁体を移動して、椀状凹部により弁座の低圧ポートと一方の切換ポートとを連通し、他方の切換ポートを弁室を介して高圧側配管に連通して、冷媒の流れを切り換えるものである。
【0003】
上記弁体の椀状凹部は低圧側の流路であり、弁体を改良して、低圧側の流量を改善するようにしたものである。この種の流路切換弁用の弁体として、例えば実開昭62−162469号公報(特許文献1)、特開2012−193855号公報(特許文献2)、特許第5175144号公報(特許文献3)及び中国実用新案公告第201963922号明細書(特許文献4)に開示されたものがある。
【0004】
図10は上記従来の流路切換弁用の弁体を示す図である。特許文献1のものは、図10(A)に示すように、弁体(スライド弁)21の低圧側の流路21Aをパイプ形状にしたものである。特許文献2のものは、図10(B)に示すように、弁体21の低圧側の流路21A内に整流板22を設けたものである。特許文献3のものは、図10(C)に示すように、弁体21の低圧側の流路21A内に設けた補助ピン23の両端に鍔23aを設け、補助ピン23のピン自体の径を細くしたものである。特許文献4のものは、図10(D)に示すように、弁体21の低圧側の流路21A内に設けた補助ピン24の形状を断面半円形状としたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭62−162469号公報
【特許文献2】特開2012−193855号公報
【特許文献3】特許第5175144号公報
【特許文献4】中国実用新案公告第201963922号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1における弁体では、弁体を成形により製造する場合、パイプ形状を一体成形により形成することは困難であるという問題がある。また、別部品を設けてパイプ形状とすると、部品が増加するとともに組み立て工数が増加するという問題がある。
【0007】
特許文献2における弁体では、弁体を成形により製造する場合、整流板を一体成形により形成することは困難であるという特許文献1と同様の問題がある また、整流板を別部品とすると、部品が増加するとともに組み立て工数が増加するという問題がある。
【0008】
特許文献3における弁体では、弁体の種類毎に専用の補助ピンが必要となり、部品の種類が増加するとともに組み立て工数が増加するという問題がある。なお、この特許文献3の技術は補助ピンにより弁体の強度を向上させるものであるが、補助ピンのピン自体の径を小さくすることで流量も改善される。
【0009】
特許文献4における弁体では、弁体の補助ピンの形状が複雑になるとともに、この補助ピンの位置が流量に影響するため、高い精度で位置管理を行う必要がある。
【0010】
本発明は、上述の如き問題点を解消するためになされたものであり、流路切換弁の弁体の低圧側の流路を構成する椀状凹部の形状を改良して、組み立て工数の増加や部品点数増加によるコストアップを招かずに低圧側の流量(Cv値)を改善することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の流路切換弁用の弁体は、冷凍サイクルの高圧側配管に連通される弁室内で、低圧ポートと2つの切換ポートが形成された弁座に対向する椀状凹部を有する弁体であって、
前記低圧ポートと切換ポートの弁ポート径をD(mm)、
前記低圧ポートと切換ポートとのポート間ピッチをP(mm)、
前記椀状凹部の前記移動方向の凹部長さをL(mm)、
前記椀状凹部の前記移動方向と直角な方向の凹部幅をW(mm)、
前記椀状凹部の高さをH(mm)、
としたとき、
8mm≦D≦12mm…(1)
1.3≦P/D≦1.7…(2)
1.00≦L/(P+D)≦1.06…(3)
1.05≦W/D≦1.15…(4)
を満たし、
0.99≦H/D≦1.39…(5)
であることを特徴とする。
【0012】
請求項2の流路切換弁用の弁体は、請求項1に記載の流路切換弁用の弁体であって、
1.00≦H/D≦1.10…(5.1)
または、
1.11≦H/D≦1.21…(5.2)
または、
1.24≦H/D≦1.34…(5.3)
であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の流路切換弁用の弁体によれば、前記(1)乃至(4)の条件で、0.99≦H/D≦1.39とすることにより、低圧側の流量(Cv値)を効果的に改善できる。
【0014】
請求項2の流路切換弁用の弁体によれば、前記(1)乃至(4)の条件で、1.00≦H/D≦1.10、または、1.11≦H/D≦1.21、または、1.24≦H/D≦1.34…(5.3)とすることにより、低圧側の流量(Cv値)をさらに効果的に改善できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係る流路切換弁を示す図である。
図2】実施形態の検証に用いた基準流量モデルを説明する図である。
図3】実施形態の弁体の椀状凹部の下面開口部のR寸法と凹部長さの関係を説明する図である。
図4】実施形態の弁体の椀状凹部の凹部長さ(L)を示す図である。
図5】実施形態における凹部長さ(L)の変化に対するCv値の変化を示す図である。
図6】実施形態の弁体の椀状凹部の凹部幅(W)を示す図である。
図7】実施形態における凹部幅(W)の変化に対するCv値の変化を示す図である。
図8】実施形態の弁体の椀状凹部の凹部高さ(H)を示す図である。
図9】実施形態における凹部高さ(H)の変化に対するCv値の変化を示す図である。
図10】従来の弁体の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の実施形態について説明する。図1は実施形態に係る流路切換弁を示す図である。実施形態に係る流路切換弁は四方切換弁であり、この流路切換弁にはキャピラリ(配管)により図示しないパイロット弁が接続されている。流路切換弁の弁ハウジングは円筒形状の円筒部11とその両端のキャップ部12a,12bとで構成され、その内部に、連結部材13により互いに連結された2つのピストン14a,14bが収容されている。これにより、弁ハウジングの内部は、中央部の主弁室11Aと両側の2つの副弁室11B,11Cとに仕切られている。
【0017】
主弁室11A内の中間部には弁座15が配設され、弁座15上には弁ハウジングの軸線X方向に摺動する実施形態の弁体10が配設されている。弁座15には、弁ハウジングの軸線X方向に一直線上に並んで「弁ポート」としてのEポート15a、Sポート15b及びCポート15cが形成されており、これらEポート15a、Sポート15b、Cポート15cには、それぞれE継手管16a、S継手管16b、C継手管16cが取り付けられている。また、弁ハウジングの中間部の弁座15と対向する位置には、D継手管16dが取り付けられている。なお、Eポート15a及びCポート15cは「切換ポート」であり、Sポート15bは「低圧ポート」である。
【0018】
弁体10は連結部材13の中央に嵌め込まれており、この弁体10は連結部材13に対して軸線X方向に僅かに遊びを持って保持されている。そして、図示しないパイロット弁の切換動作により、副弁室11Bが減圧する状態と副弁室11Cが減圧する状態とが切り換えられる。これにより、弁体10は、ピストン14a,14bと連結部材13に連動して、弁座15上を軸線X方向に移動する。
【0019】
弁体10は合成樹脂を射出成形して形成されたものであり、内部に略半楕円体形状の椀状凹部10Aを有している。なお、この椀状凹部10Aの開口部には補強ピン101が差し渡されている。弁体10は、図1の左側の端部位置において、Sポート15bとEポート15aとを椀状凹部10Aにより連通する。このとき、Cポート15cは主弁室11Aを介してD継手管16dに連通する。これにより、図1に矢印で示すように、高圧側流路と低圧側流路が形成される。なお、図1の例では、冷房運転の時を示しているが、弁体10が図1の右側の端部位置になると暖房運転となる。
【0020】
以上のように、冷凍サイクルが運転中には、主弁室11A内は高圧冷媒により高圧になり、弁体10の椀状凹部10A内は低圧冷媒により低圧になる。本発明は、この椀状凹部10Aを流れる流体の流量(Cv値)を改善するものであり、次に実施形態の弁体10の椀状凹部10Aの形状について説明する。
【0021】
まず、椀状凹部10Aにおいて流量の改善に特に効果的な寸法は、図4に示す軸線X方向(弁体10の移動方向)の椀状凹部10Aの長さ(以下、「凹部長さ(L)」という。)、図6に示す軸線Xと直交する方向の椀状凹部10Aの幅(以下、「凹部幅(W)」という。)、図8に示す椀状凹部10Aの高さ(以後、「凹部高さ(H)」という。)の3つのパラメータであることが判明した。また、どのパラメータにおいても、Eポート15a、Sポート15b及びCポート15cの弁ポート径(D)と、Eポート15a、Sポート15b及びCポート15cの軸線X方向のピッチ(各ポートの中心軸線間の距離)であるポート間ピッチ(P)(図4参照)に対して、最適な割合(比)があり、この割合を下回っても上回っても改善効果は低下してしまう。
【0022】
以下に、それぞれのパラメータにおいて、弁ポート径(D)またはポート間ピッチ(P)との比率を変化させていった時の、流量変化(Cv値の変化)について説明する。なお、Cv値の改善効果は、弁ポート径(D)がφ8mm〜12mmの範囲、ポート間ピッチ(P)と弁ポート径(D)の比率(P/D)が1.3〜1.7の範囲で確認できた。
【0023】
ここで、凹部長さ、凹部幅及び凹部高さについての検証結果について説明するが、この検証に用いたCv値改善の基準流量モデル、及び弁体10の椀状凹部10Aの下面開口部のR寸法の取り方は以下のとおりである。
【0024】
[基準流量モデル]
検証結果のCv値は、図2に示す基準流量モデルのCv値の検証結果を“Cv値=1”として算出した。図2に示すように、基準流量モデルは、弁ポート径(D)、ポート間ピッチ(P)、凹部長さ(L)、凹部幅(W)、凹部高さ(H)、椀状凹部の下面開口部のR寸法(R)として、
L=D+P
W=D
H=D
R=D/2
の条件とする。
【0025】
[椀状凹部10Aの下面開口部のR寸法]
図3に示すように、R寸法=凹部幅(W)/2とし、凹部長さ(L)と凹部幅(W)を変化させる場合、以下のようにした。凹部長さ(L)を変化させる場合、凹部幅(W)は固定のため、R寸法も変化させずに凹部長さ(L)だけを変化させた。凹部幅(W)を変化させる場合、凹部幅(W)を変化させる毎にR寸法も凹部幅(W)に応じて変化させた。
【0026】
図4は凹部長さ(L)を示す図であり、図5はこの凹部長さ(L)の変化に対するCv値(基準流量モデルのCv値比率=1)の変化を示す図である。図5に示すように、凹部長さ(L)がポート間ピッチ(P)+弁ポート径(D)より小さい場合は、弁体10の一部が流路を塞いでしまうため、Cv値は低下する傾向にある。また、凹部長さ(L)がポート間ピッチ(P)+弁ポート径(D)より過度に大きい場合は、弁ポートに流体がスムーズに流れ込まないため、Cv値は低下する傾向にある。そして、凹部長さ(L)/[ポート間ピッチ(P)+弁ポート径(D)]の比率(以下、「長さ比率」という。)が、1.00〜1.06の時にCv値が最適となることが判明した。
【0027】
図6は凹部幅(W)を示す図であり、図7はこの凹部幅(W)の変化に対するCv値(基準流量モデルのCv値比率=1)の変化を示す図である。図7に示すように、凹部幅(W)が弁ポート径(D)に対して所定の範囲内の比率でないと弁ポートに流体がスムーズに流れ込まなくなるため、Cv値は低下する傾向にある。そして、凹部幅(W)/弁ポート径(D)の比率(以下、「幅比率」という。)が、1.05〜1.15の時にCv値が最適となることが判明した。
【0028】
図8は凹部高さ(H)を示す図であり、図9はこの凹部高さ(H)の変化に対するCv値(基準流量モデルのCv値比率=1)の変化を示す図である。この図9は、図5に示す長さ比率が1.00〜1.06である最適値、及び図7に示す幅比率が1.05〜1.15である最適値について、その上限と下限の範囲において、凹部高さ(H)を変化させた場合を示している。なお、図9では、長さ比率の最小値“1.00”と幅比率の最小値“1.05”同士、長さ比率の最大値“1.06”と幅比率の最大値“1.15”同士について検証した結果だけを図示してある。
【0029】
また、図9に示す各曲線は以下の条件に対応する。ピークを「□」で図示した曲線は、弁ポート径(D)=φ8mmで長さ比率と幅比率が最大値の場合である。ピークを「×」で図示した曲線は弁ポート径(D)=φ8mmで長さ比率と幅比率が最小値、または弁ポート径(D)=φ12mmで長さ比率と幅比率が最大値の場合である。ピークのみを「◇」で図示した曲線は、弁ポート径(D)=φ9mmで長さ比率と幅比率が最大値の場合である。ピークのみを「◆」で図示した曲線は、弁ポート径(D)=φ9mmで長さ比率と幅比率が最小値の場合である。ピークのみを「○」で図示した曲線は、弁ポート径(D)=φ11mmで長さ比率と幅比率が最大値の場合である。ピークのみを「●」で図示した曲線は、弁ポート径(D)=φ11mmで長さ比率と幅比率が最小値の場合である。ピークを「△」で図示した曲線は、弁ポート径(D)=φ12mmで長さ比率と幅比率が最小値の場合である。
【0030】
なお、図9では、各弁ポート径毎の長さ比率と幅比率の組み合わせとして、長さ比率と幅比率が共に最大値、長さ比率と幅比率が共に最小値という組み合わせの場合を図示している。しかし、長さ比率が最小値で幅比率が最大値、長さ比率が最大値で幅比率が最小値という組み合わせ、あるいは、長さ比率と幅比率が共に中間値という組み合わせを検証した結果、これらの場合でも、図示の共に最大値である組み合わせと、共に最小値である組み合わせにおける“Cv値が改善できる範囲内”に収まることが判明した。
【0031】
図9に示すように、全体の傾向としては、凹部高さ(H)を高くしていくと、Cv値は定期的に増減を繰り返しながら徐々に増加していく傾向にある。また、凹部高さ(H)/弁ポート径(D)の比率(以下、「高さ比率」という。)が0.99以上でCv値比率が常時“1”を上回ることが判明した。図に斜線で示す高さ比率が0.99を下回る範囲では、Cv値比率が“1”を下回る場合があることが判明した。図に斜線で示す高さ比率が1.39を超える範囲では、Cv値の改善効果は小さいことが判明した。なお、1.39を超える範囲では、弁体10の材料の使用量の増加、流路切換弁の大型化につながるため、効果的ではない。
【0032】
このように、
0.99≦H/D≦1.39
の条件を満たすと、Cv値の改善効果が高い。
【0033】
さらに、この高さ比率が0.99〜1.39の範囲内で、高さ比率が1.00〜1.10の範囲、高さ比率が1.11〜1.21の範囲、高さ比率が1.24〜1.34の範囲で、それぞれCv値のピークが現れ、特に効果的にCv値が改善できることが判る。
【0034】
このように、
1.00≦H/D≦1.10…(5.1)
または、
1.11≦H/D≦1.21…(5.2)
または、
1.24≦H/D≦1.34…(5.3)
の条件を満たすと、Cv値の改善効果がさらに高い。
【0035】
図9に示す高さ比率の範囲E1は、弁ポート径(D)=φ8〜9mmで最適高さ比率が1.00〜1.06の範囲である。高さ比率の範囲E2は、弁ポート径(D)=φ8〜9mmで最適高さ比率が1.11〜1.17の範囲である。高さ比率の範囲E3は、弁ポート径(D)=φ8〜9mmで最適高さ比率が1.24〜1.30の範囲である。高さ比率の範囲E4は、弁ポート径(D)=φ11〜12mmで最適高さ比率が1.03〜1.10の範囲である。高さ比率の範囲E5は、弁ポート径(D)=φ11〜12mmで最適高さ比率が1.14〜1.21の範囲である。高さ比率の範囲E6は、弁ポート径(D)=φ11〜12mmで最適高さ比率が1.27〜1.34の範囲である。
【0036】
なお、流路切換弁の本体サイズと流量のバランスを考慮すると、高さ比率が1.24〜1.34の範囲が最適な寸法であるが、他の部品との兼ね合いで採用できない場合は、高さ比率を1.11〜1.21の範囲または高さ比率を1.00〜1.10の範囲とすることで効果的にCv値を改善できる。
【符号の説明】
【0037】
10 弁体
10A 椀状凹部
15 弁座
15a Eポート
15b Sポート
15c Cポート
X 軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10