(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記少なくとも1つのドリルガイドが複数の円形ドリルガイドを備え、ドリルビットがこの複数の円形ドリルガイドのいずれか1つを通って延びる場合、このドリルビットが前記複数のリーマ加工用フィンのうち対応する2つの間を延びるように、この複数の円形ドリルガイドのそれぞれが位置付けられる、請求項2に記載のキット。
動力延長部であって、前記駆動部分と連結されて前記駆動部分に回転力を伝達するように構成された第1の連結部分と、回転する動力ツールと連結されるように構成された第2の連結部分と、を含む、動力延長部を更に備える、請求項1に記載のキット。
手動延長部であって、前記駆動部分に連結されて前記駆動部分に回転力を伝達するように構成された連結部分を備える第1の端部と、第2の端部に位置しているハンドルと、を含む、手動延長部を更に備える、請求項6に記載のキット。
前記手動延長部の前記第1の端部が第1の軸を画定し、前記手動延長部の前記第2の端部が第2の軸を画定し、前記第1の軸及び前記第2の軸が180度以外の角度を形成する、請求項7に記載のキット。
前記少なくとも1つの組み合わせ装置が複数の組み合わせ装置を備え、この複数の組み合わせ装置のそれぞれが、前記複数の組み合わせ装置のうちその他のもののリーマ加工直径とは異なるリーマ加工直径を画定する、請求項7に記載のキット。
【背景技術】
【0003】
図1に示されるように、一般的な肩又は肩甲上腕関節は、人体内において上腕骨10が肩甲骨12と可動接触する部分に形成される。肩甲骨12は、上腕骨10の骨頭が関節するソケットを形成する関節窩14を有している。このソケットにおいて、肩甲骨12はその関節機能を促進する軟骨16を有している。軟骨の下には軟骨下骨18があり、海綿骨22が収容される空洞を画定する関節窩円蓋20の壁を形成している。関節窩円蓋20を形成する軟骨下骨18は、軟骨16に付着した関節窩円蓋20の外周において関節窩縁24を確定している。患者の生涯において、関節窩14は特にその後部及び/又は上部が磨耗する可能性があり、磨耗により激しい肩の痛みが生じ、患者の肩関節の可動域が制限される場合がある。このような痛みを軽減し、患者の可動域を拡げる目的で肩関節形成術が行われる場合がある。関節形成術は、1つ以上のプロテーゼによる関節の1つ以上の骨構造の外科的置換術である。
【0004】
肩関節形成術では、プロテーゼ関節窩コンポーネントによる肩甲骨の関節窩の置換をしばしば行う。従来の関節窩コンポーネントは、関節の手術中にプロテーゼ上腕骨頭(又は、関節窩半関節形成術の場合では、再利用された自然上腕骨頭)を支承することが可能なほぼ側方又は外側を向いたほぼ凹面の支承面を一般的に与える。従来の関節窩コンポーネントはまた、関節窩14を適宜切除し、関節窩円蓋20から海綿骨22を適宜切除することによって構築されたキャビティ内に関節窩コンポーネントを固定するための、ほぼ中央側又は内側に突出したステムも一般的に与える。
【0005】
肩関節形成術の目的は、肩の正常な運動機能を回復することである。したがって、公知のシステムは、関節内の関節面の幾何形状及びプロテーゼが移植される骨内におけるプロテーゼの位置決めを注意深く制御することによって正常な運動機能を再現しようとするものである。このため、上腕骨コンポーネントの関節面は一般的に球状であり、上腕骨コンポーネントの位置決めは、上腕骨の解剖頸を上腕骨頭の再形成における基準面として用いることによって行われる。
【0006】
従来、肩関節では、関節窩コンポーネント上で上腕骨コンポーネントが回転に加えて並進運動を行うという理解がなされてきた。このため、関節窩の関節面は、上腕骨コンポーネントの曲率半径よりも大幅に大きい曲率半径を有するように一般的に形成される。これらのシステムでは、関節窩関節面のこの大きな曲率半径は、上腕骨コンポーネントの曲率半径よりも2〜6mm大きくなっている。
【0007】
公知のシステムでは、関節窩コンポーネントは関節窩の幾何学的中心に配置される。この幾何学的中心は、関節窩縁の最上部の点から関節窩縁の最下部の点に到る線(Saller線)を引くことによって確立される。関節窩縁の最後部の点と関節窩縁の最前部の点との間に第2の線が引かれる。このように引かれた2本の線の交点が、関節窩縁によって囲まれる領域の幾何学的中心と考えられる。例として、
図2に肩甲骨12の矢状面図を示す。
図2では、Saller線30は、関節窩縁24の最上部の点32と関節窩縁24の最下部の点34との間に延びている。第2の線36が、関節窩縁24の最後部の点38から関節窩縁の最前部の点40へと延びている。関節窩14の幾何学的中心42は、線36とSaller線30との交点に位置している。本明細書で言うところの前、後、上、下とは、特に断らないかぎりは、
図2に示される肩甲骨12の向きに対して用いられる。
【0008】
外科医が関節窩コンポーネントの配置を決定したなら、関節窩を貫通してガイドピンを配置する。次いでリーマを使用して、通常は関節窩円蓋にキャビティを形成することにより、関節窩コンポーネントを受容するような形状に肩甲骨を成形する。関節窩円蓋内に関節窩コンポーネントを固定するための中心ペグを有する関節窩コンポーネントでは、ガイドピンをガイドとして用いて穴をドリル穿孔する。この後、ガイドピンを抜き取る。関節窩円蓋内に関節窩コンポーネントを固定するために中心ペグに加えてオフセットペグを有する関節窩コンポーネントでは、準備処置を行ったキャビティ内にドリルガイドを導入し、複数のオフセットペグのそれぞれに対して更なる穴をドリル穿孔する。その後、トライアルの関節窩コンポーネントを準備処置したキャビティ内に移植し、適合が充分であるようであれば、トライアルを外して準備処置したキャビティ内に関節窩コンポーネントを移植する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図3】本発明の原理に従って肩甲骨内に移植することが可能な円形の関節窩コンポーネントの底面斜視図。
【
図4】
図3の円形の関節窩コンポーネントの底面平面図。
【
図5】
図3の円形の関節窩コンポーネントの側面平面図。
【
図6】関節窩コンポーネントのペグを受容するための穴を形成すると同時に関節窩コンポーネントを受容するために関節窩にリーマ加工するために使用することが可能な組み合わせ装置の側面斜視図。
【
図7】組み合わせ装置の遠位先端部から延びるガイド穴を示す
図6の組み合わせ装置の底面斜視図。
【
図9】この実施形態では組み合わせ装置の本体部分の六角形状の穴である駆動部分にまで延びるガイド穴を示す
図6の組み合わせ装置の側面平面図。
【
図10】動力回転ツール(図に示されていない)を
図6の組み合わせ装置に連結するために組み合わせ装置と使用することが可能な動力延長部の側面平面図。
【
図11】動力延長部の遠位先端部から動力延長部の近位先端部へと延びるガイド穴を示す
図10の動力延長部の底面平面図。
【
図13】
図6の組み合わせ装置の各ガイド穴と
図10の動力延長部とが一直線になるように、動力延長部と連結された組み合わせ装置の側面平面図。
【
図14】
図6の組み合わせ装置を手で位置付ける、組み合わせ装置と連結可能な手動延長部の側面平面図。
【
図15】手動延長部の遠位部分によって画定される軸に沿って手動延長部の遠位先端部から延びるガイド穴を示す、
図14の手動延長部の底面平面図。
【
図18】
図6の組み合わせ装置の各ガイド穴と
図14の手動延長部とが一直線になるように、手動延長部と連結された組み合わせ装置の側面平面図。
【
図19】
図6の組み合わせ装置を使用して肩甲骨内に
図3の円形の関節窩コンポーネントを移植するために使用することができる医療手順。
【
図20】ガイドワイヤがガイドテンプレート及びガイドテンプレートマニピュレータを使用して肩甲骨内に位置決めされた状態の
図2の肩甲骨の斜視図。
【
図21】
図6の組み合わせ装置が
図20のガイドワイヤにより関節窩に隣接する位置にガイドされた状態の
図20の肩甲骨の部分断面図。
【
図22】
図10の動力延長部が
図6の組み合わせ装置に連結され、動力延長部及び組み合わせ装置の両方が
図20のガイドワイヤにより関節窩に隣接する位置にガイドされた状態の
図20の肩甲骨の部分断面図。
【
図23】
図22の組み合わせ装置を使用して肩甲骨内に
図3の関節窩コンポーネントを移植するための準備処置において関節窩にリーマ加工すると同時に穴が形成された後の
図20の肩甲骨、並びに連結された動力延長部及び組み合わせ装置の部分断面図。
【
図24】動力延長部が取り外された後の
図23の肩甲骨の斜視図。
【
図25】
図14の手動延長部が
図20のワイヤーガイドによってガイドされて
図6の組み合わせ装置と連結されることによって、使用者が肩甲骨上で組み合わせ装置を手で方向付けることが可能となった後の
図24の肩甲骨の斜視図。
【
図26】
図6の組み合わせ装置を使用して
図3の関節窩コンポーネントのオフセットペグを受容する穴を形成するためのドリルビットをガイドする一方で、肩甲骨上で組み合わせ装置を手で安定させるために
図14の手動延長部が使用されている
図25の肩甲骨の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の説明文及び添付の図面の全体を通じて同様の参照符合は同様の部材を示す。
【0015】
図3〜5は、関節窩コンポーネント100を示している。関節窩コンポーネント100は、球状関節面104及び反対側の骨接触面106を有する本体部分102を有している。外側壁108が骨接触面106から離れるように延びて本体部分102の外周を画定している。骨接触面106は概ね凸面状である。フィン形成された中心ペグ110が、
図5に見られるように骨接触面106の最下点から離れるように延びている。3本のオフセットペグ112、114、及び116が、中心ペグ110と外側壁108との間の各位置において骨接触面106から離れるように延びている。球状関節面104の最下点118は、関節窩コンポーネント100の中心線120上に位置している。
【0016】
この実施形態の関節窩コンポーネント100は、耐久性を有する生体適合性プラスチック又は他の任意の適当な耐久性の生体適合性材料で形成された一体成形された部材である。例えば関節窩コンポーネント100はポリエチレンで形成することができる。関節窩コンポーネント100に特に適しているポリエチレンの1つに、例えば超高分子量ポリエチレン(「UHMWPE」)などの高分子量ポリエチレンがある。このようなUHMWPEの1つが、ニュージャージー州ブルンスウィック所在のジョンソン・アンド・ジョンソン社(Johnson & Johnson)よりMARATHON(商標)UHMWPEとして販売されており、本明細書に援用するマッケロップ(McKellop)に付与された米国特許第6,228,900号及び同第6,281,264号により詳しく述べられている。
【0017】
関節窩コンポーネント100の関節面104及び他の部分が異なる材料で形成されている実施形態では、関節窩コンポーネント100の関節面104以外の部分は、例えばコバルトクロム合金、ステンレス鋼合金、チタン合金、又は他の任意の適当な耐久性材料などの適当な生体適合性金属で形成することができる。これらの実施形態では、関節面104は任意の適当な方法で本体部分102に固定される。例えば、関節面104を本体部分102に固着させてもよく、あるいは関節面104をポリエチレンで形成し、本体部分102に対して圧縮成形することもできる。また、関節面104を、例えば接着剤によって本体部分102に接着することもできる。また、関節面104は、関節面104を本体部分102内にテーパーロック又は他の方法によって圧入するによって本体部分102に機械的に連結してもよく、本体102が例えばリブ、リップ、つめ、及び/又は他の突起、並びにこれらと嵌まり合う溝、うね、又はくぼみなどの他の適当な連結機構を有してもよい(図に示されていない)。
【0018】
代替的な実施形態では、外側壁108、骨接触面106、中心ペグ110、及びオフセットペグ112、114、及び116の1つ以上のものが関節窩コンポーネント100内への骨の侵入を促進する多孔質コーティングを有してもよい。多孔質コーティングは任意の適当な多孔質コーティングであってよく、例えばニュージャージー州ブルンスウィック所在のジョンソン・アンド・ジョンソン社(Johnson&Johnson)の製品であり、本明細書に援用するピリアー(Pilliar)に付与された米国特許第3,855,638号により詳しく述べられるPOROCOAT(登録商標)を使用することができる。
【0019】
関節窩コンポーネント100を肩甲骨に移植するためには、最初に関節窩コンポーネント100を受容するように肩甲骨に準備処置を行う必要がある。関節窩コンポーネント100を受容するように肩甲骨の準備処置を行うために使用することができる装置が
図6〜9に示されている。
図6〜9を参照すると、組み合わせ装置130は、駆動部分132、本体部分134、及びドリル、つまり穿孔部分136を有している。この実施形態における駆動部分132は、本体部分134に形成された六角形の形状を有する穴である。
【0020】
多数のリーマ加工用フィン140が本体部分134の下側中央部からドリル部分136の方向に延びている。リーマ加工用フィン140は、本体部分134の下側中央部から本体部分134の外周へと近位で外側方向に湾曲している。リーマ加工用フィン140は、弓状の前縁142を有している。本体部分134には、隣り合うリーマ加工用フィン140の間の各位置に多数の貫通穴が画定されている。
図6〜9の実施形態中の貫通穴には、3個のドリルガイド146及び3個のポート148が含まれている。
【0021】
ドリル部分136は、本体部分134から遠位先端部150に向かって延びている。2本の溝152及び154が、本体部分134と遠位先端部150との間でドリル部分136の周りに螺旋状に延びている。ガイド穴156が、遠位先端部150から駆動部分132へと延びている。
【0022】
下記に更に詳しく述べるように、組み合わせ装置130の使用を容易にする各種の器具と一緒に1つ以上の組み合わせ装置130をキットに含めることができる。例として、
図10は、キットに含まれてよい動力延長部160を示す。動力延長部160は、動力受容部分162と、動力伝達部分164と、を含む。動力受容部分162は、動力ツールと連結されるようなサイズ及び構成となっており、対の互いに反対側の動力受容平坦面166、並びに各動力受容平坦面166の間で動力受容部分162の周囲に延びる対の連結溝168及び170を有している。
【0023】
動力伝達部分164は、駆動部分132に対して相補的な形状となっている。したがって、
図10及び11の実施形態では、動力伝達部分164は、駆動部分132内に嵌合するようなサイズに構成された六角形の形状を有する突起である。ガイド穴172は、動力伝達部分164の遠位先端部から動力受容部分162の近位端部へと延びている。
【0024】
組み合わせ装置130と動力延長部160とを連結するために、動力伝達部分164は、
図12に示されるように、駆動部分132と一直線になっている。次いで、動力伝達部分164を駆動部分132に挿入して
図13の構成をもたらすように、組み合わせ装置130及び動力延長部160を互いに近づける。
図13では、組み合わせ装置130のガイド穴156が、動力延長部160のガイド穴172と一直線になっている。
【0025】
図14〜16は、キットに含まれてよい手動延長部180を示す。手動延長部180は、ハンドル部分182と、動力伝達部分184と、を含む。ハンドル部分182は、容易に把持でき、第1の軸186を画定するようなサイズ及び構成となっている。
【0026】
動力伝達部分184は、駆動部分132に対して相補的な形状となっている六角形の突出部188を含む。動力伝達部分184は第2の軸190を画定している。第2の軸190は、第1の軸186と約145度の角度192を成す。ガイド穴194は、第2の軸190に沿って動力伝達部分184の遠位先端部から延びる。
【0027】
組み合わせ装置130と手動延長部180とを連結するために、動力伝達部分184は、
図17に示されるように、駆動部分132と一直線になっている。次いで、六角形の突出部188を駆動部分132に挿入して
図18の構成をもたらすように、組み合わせ装置130及び手動延長部180を互いに近づける。
【0028】
図18では、組み合わせ装置130のガイド穴156が、手動延長部180のガイド穴194と一直線になっている。有利にも、ハンドル部分182と動力伝達部分184との間の角度192(
図14を参照)は、使用者がガイド穴194を容易に見ることができるようにし、したがって、動力伝達部分184と駆動部分132、又は下記に更に詳しく述べるように、動力伝達部分184とガイド穴156を通って延びるガイドワイヤとのアラインメントを支援する。角度192は、下記に述べるように、組み合わせ装置130を所望の位置に維持するうえで機械的な利点を更にもたらす。
【0029】
組み合わせ装置130と、動力延長部160と、手動延長部180と、を含むキットを、
図19に示される手順200に従って関節窩コンポーネント100のような関節窩コンポーネントを受容するように肩に準備処置するのに使用することができる。最初に、所望の外科的手法に従ってブロック202において肩甲骨にアクセスする。ブロック204において、手順200で使用される他の器具と一緒にキットとして与えることができるガイドワイヤを肩甲骨上に位置決めする。ガイドワイヤの位置決めはコンピュータ支援によって行うことができる。一実施形態では、ガイドワイヤは下側関節窩円の識別に基づいて位置決めされる。例として、
図20は、肩甲骨612の関節窩614内に移植されたガイドワイヤ206を示している。
図20の実施形態では、ガイドワイヤ206は、ガイドプレート208及びガイドプレートマニピュレータ210の助けによって位置決めされている。
【0030】
ガイドワイヤが位置決めされたなら、組み合わせ装置130を、ガイド穴156がガイドワイヤと一直線になるようにして位置決めする。次いで、組み合わせ装置130をガイドワイヤの方向に動かし、ブロック212においてガイドワイヤを使用して組み合わせ装置130を、
図21に示されるような肩甲骨12の関節窩14に隣接した位置へとガイドする。
【0031】
ブロック214において、動力延長部160を、概ね上記に述べたようにして組み合わせ装置130と連結する。ガイドワイヤ206は、組み合わせ装置130のガイド穴156を通って延びるが、動力延長部160の組み合わせ装置130への連結は、動力延長部160のガイド穴172とガイドワイヤ206とを一直線にすることにより開始される。したがって、ガイドワイヤ206は、動力延長部160を組み合わせ装置130へとガイドする。動力伝達部分164を組み合わせ装置130の駆動部分132と一直線にして、動力延長部160と組み合わせ装置130とを連結できるようにするには、動力延長部160をある程度回転させることが必要な場合がある。得られた構成は、
図22に示されている。
【0032】
次いでブロック216において回転ツール(図に示されていない)を組み合わせ装置130と連結させる。幾つかの実施形態において、回転ツールは、組み合わせ装置130に直接連結されてもよい。この例では、動力延長部160は、上記のように組み合わせ装置130に連結されている。これにより、回転ツールは動力延長部160の動力受容部分162に連結され、組み合わせ装置130と間接的に連結される。
【0033】
次いで、回転ツールに動力を加えて回転ツールによって動力延長部160を回転させる。回転力は動力伝達部分164(
図12を参照)を介して組み合わせ装置130の駆動部分132に伝達される。最初に組み合わせ装置130がガイドワイヤ206を中心として回転すると、ドリル部分136が関節窩14と接触して関節窩14に穴を穿孔し始める。しかしながらリーマ加工用フィン140は、
図22に示されるように最初は関節窩14から離れている。したがってリーマ加工(孔拡大)は行われない。ドリル部分136によって関節窩14に穴が形成されるにつれて、組み合わせ装置130がガイドワイヤによってガイドされ、
図23に示されるようにリーマ加工用フィン140が関節窩14と接触する。これにより、回転ツールを用いた組み合わせ装置130の継続的な回転によって、ブロック218においてリーマ加工用フィン140による関節窩14のリーマ加工と、ドリル部分136による肩甲骨12への穿孔と、が同時に行われる。
【0034】
関節窩14が所望の深さにまでリーマ加工された時点でブロック220において動力ツールの動力供給を断ち、接続が外される。ドリル部分132の長さ及び直径の両方のサイズは、関節窩コンポーネント100の中心ペグ110のサイズと相補的であるように選択される。したがって、リーマ加工が完了した時点で、ドリル部分によって形成された穴は、フィン形成された中心ペグ110を受容するサイズとなっている。ブロック222において、動力延長部160を外すと、
図24の構成が得られる。
【0035】
ブロック224において、概ね上記に述べたようにして手動延長部180を組み合わせ装置130と連結する。ガイドワイヤ206は、組み合わせ装置130のガイド穴156を通って延びるが、手動延長部180の組み合わせ装置130への連結は、手動延長部180のガイド穴190とガイドワイヤ206とを一直線にすることにより開始される。したがって、ガイドワイヤ206は、手動延長部180を組み合わせ装置130へとガイドする。手動延長部180の六角形の突出部188を組み合わせ装置130の駆動部分132と一直線にして、手動延長部180と組み合わせ装置130とを連結できるようにするには、手動延長部180をある程度回転させることが必要な場合がある。得られた構成は、
図25に示されている。
【0036】
手動延長部180が組み合わせ装置130に連結されると、手動延長部180は、ブロック226において、
図25を参照して説明されるように組み合わせ装置130と一直線にするために使用されてもよい。具体的には、ハンドル部分182は、ガイドワイヤ206によって画定される軸2288を中心として回転してもよい。軸228を中心としてハンドル部分182が回転すると、軸228を中心として組み合わせ装置130を回転させる。
【0037】
角度192(
図14を参照)による手動延長部180の湾曲のおかげで、外科医は、比較的遮るもののない状態で組み合わせ装置130を見ることができる。すなわち、外科医は、ドリルガイド146を通じて関節窩14のリーマ加工された表面を見ることができる。これにより外科医は、骨12内の、関節窩コンポーネント100のオフセット固定ペグ112、114、及び116を固定する位置を見ることができる。ドリルガイド146の数及び位置が、オフセット固定ペグ112、114及び116の数及び位置と相補的であるようなこの実施例の各実施形態では、外科医は、ドリルガイド146のそれぞれが、オフセット固定ペグ112、114及び116の良好な固定をもたらすことができる肩の各部分と一直線になるように組み合わせ装置130の位置を合わせることができる。
【0038】
ブロック226において組み合わせ装置130が一直線になったならば、ドリルガイド146の1つにドリルビットを挿通し、ブロック230においてドリル部分136を使用して形成した第1の穴から離間した位置で更なる穴をドリル穿孔する。例として、
図26は、組み合わせ装置130のドリルガイド146内に位置決めされたドリルビット232を示している。手動延長部180は、ドリル穿孔工程中に、組み合わせ装置130を固定させるために使用されてもよい。角度192によって軸228からハンドル部分182がオフセットしていることにより、組み合わせ装置130を所望の位置決めに維持するうえで機械的な利点が与えられる。ブロック226及び30を、更なる穴を形成するために必要なだけ繰り返することができる。
【0039】
所望の穴のすべてが形成された時点でブロック234において組み合わせ装置130を取り外す。手動延長部180は、組み合わせ装置130の取り外しを支援するために使用されてもよい。ブロック236において関節窩コンポーネントを移植する。この実施例では、関節窩コンポーネント100は、リーマ加工用フィン140のリーマ加工断面に対して相補的な形状を有する下側骨接触面106を有している。したがってこの実施例では、下側骨接触面106は、リーマ加工用フィン140の遠位曲面に対して相補的に湾曲している。他の実施形態では、平坦な骨接触面を有する関節窩コンポーネントが使用される場合には、平坦な下側領域を作製するようにリーマ加工用フィン140を構成することができる。したがって、キットは、異なる形状のリーマ加工断面を有する異なる組み合わせ装置を含んでもよい。
【0040】
組み合わせ装置130及び手順200は、上記の関連出願で開示される各種装置及び手順と組み合わせて使用されてもよい。したがって、組み合わせ装置130は、下側関節窩円の中心における円形の関節窩装置の移植に有用であるが、その一方で、組み合わせ装置130は、関節窩の任意の所望の位置に非円形の関節窩コンポーネントを含む他の関節窩コンポーネントを移植するために使用されてもよい。好ましくは、組み合わせ装置130のリーマ加工断面の直径は、関節窩コンポーネントの最大直径に一致するように選択される。したがって、キットには、同一のリーマ加工直径の1つ以上の組み合わせ装置130を含めることができる一方で。キットには、異なるサイズのリーマ加工直径を有する、多数の組み合わせ装置を含めることができる。
【0041】
以上の本発明の説明はあくまで説明的なものであって、本発明の範囲を上記に記載した正確な条件に限定することを目的としたものではない。更に、本発明を特定の例示的な実施形態を参照して上記に詳細に説明したが、多くの変形例及び改変例が以下の特許請求の範囲において定義される本発明の範囲及び趣旨の範囲内に存在するものである。
【0042】
〔実施の態様〕
(1) 関節窩コンポーネントを受容するように肩に準備処置を行う際に使用される器具キットであって、
少なくとも1つの組み合わせ装置であって、
回転により肩の関節窩に第1の穴を形成するように構成された穿孔部分と、
前記穿孔部分に動作可能に連結され、回転力を受容するように構成された駆動部分と、
前記穿孔部分から近位に配置され、前記駆動部分に動作可能に連結されたリーマ加工部分(reaming section)であって、回転によって前記関節窩の一部にリーマ加工するように構成された、リーマ加工部分と、
ドリルビットをガイドするように構成された少なくとも1つのドリルガイドであって、前記第1の穴から離間した位置で前記肩に第2の穴を形成するために前記ドリルビットをガイドするように位置決めされる、ドリルガイドと、を含む、組み合わせ装置を含み、
前記組み合わせ装置が前記関節窩に対して位置決めされ、前記駆動部分に前記回転力が加えられると、前記穿孔部分が回転により前記関節窩に前記第1の穴を形成し、かつ同時に前記リーマ加工部分が回転により前記第1の穴に隣接する前記関節窩の一部にリーマ加工するように、前記リーマ加工部分と前記穿孔部分とが互いに対して位置決めされる、器具キット。
(2) 更に本体部分を備え、
前記本体部分が前記少なくとも1つのドリルガイドを画定し、
前記本体部分が前記駆動部分を画定し、
前記リーマ加工部分が前記本体部分から遠位に延び、
前記穿孔部分が前記本体部分から遠位に延びる、実施態様1に記載のキット。
(3) 前記リーマ加工部分が、
前記本体部分から遠位に延び、それぞれが弓状の前縁を画定する複数のリーマ加工用フィンを備える、実施態様2に記載のキット。
(4) 前記少なくとも1つのドリルガイドが複数の円形ドリルガイドを備え、ドリルビットがこの複数の円形ドリルガイドのいずれか1つを通って延びる場合、このドリルビットが前記複数のリーマ加工用フィンのうち対応する2つの間を延びるように、この複数の円形ドリルガイドのそれぞれが位置付けられる、実施態様3に記載のキット。
(5) 前記本体部分の遠位面から前記本体部分の近位面へと延びる複数のポートを更に備える、実施態様4に記載のキット。
【0043】
(6) 前記組み合わせ装置が、前記穿孔部分の遠位先端部から前記駆動部分へと延びるガイド穴を更に備える、実施態様1に記載のキット。
(7) 動力延長部であって、前記駆動部分と連結されて前記駆動部分に回転力を伝達するように構成された第1の連結部分と、回転する動力ツールと連結されるように構成された第2の連結部分と、を含む、動力延長部を更に備える、実施態様1に記載のキット。
(8) 手動延長部であって、前記駆動部分に連結されて前記駆動部分に回転力を伝達するように構成された連結部分を備える第1の端部と、第2の端部に位置しているハンドルと、を含む、手動延長部を更に備える、実施態様7に記載のキット。
(9) 前記手動延長部の前記第1の端部が第1の軸を画定し、前記手動延長部の前記第2の端部が第2の軸を画定し、前記第1の軸及び前記第2の軸が180度以外の角度を形成する、実施態様8に記載のキット。
(10) 前記組み合わせ装置が、前記穿孔部分の遠位先端部から前記駆動部分へと延びる組み合わせ装置ガイド穴を更に備え、
前記動力延長部が、前記動力延長部が前記組み合わせ装置に連結されると、前記組み合わせ装置ガイド穴と一直線になるように構成された動力ガイド穴を更に備え、
前記手動延長部が、前記手動延長部が前記組み合わせ装置に連結されると、前記組み合わせ装置ガイド穴と一直線になるように構成された手動ガイド穴を更に備える、実施態様8に記載のキット。
【0044】
(11) 前記少なくとも1つの組み合わせ装置が複数の組み合わせ装置を備え、この複数の組み合わせ装置のそれぞれが、前記複数の組み合わせ装置のうちその他のもののリーマ加工直径とは異なるリーマ加工直径を画定する、実施態様8に記載のキット。