(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記冷却部の処置領域の前記外縁部領域に近い冷却部の接触領域の密度が、前記冷却部の前記皮膚組織への隣接する配置の間の重複する領域内の前記皮膚組織の過剰な冷却を防ぐように構成された、請求項1に記載の皮膚処置装置。
前記冷却部と結合された冷却構成部をさらに含み、前記冷却構成部が、前記冷却部を−5から−20℃の温度に冷却して、前記皮膚の表面と前記冷却部との接触が2分未満で、前記皮膚組織の凍結を局所的に制御するように、前記皮膚組織から制御された熱除去を提供するように構成された、請求項1に記載の皮膚処置装置。
前記冷却部と前記皮膚組織の前記表面との間の接触の間に、前記皮膚組織の局所的な凍結の開始を検出するように構成された凍結検出センサをさらに含む、請求項6に記載の皮膚処置装置。
前記タイミング構成部が、(1)組織の前記局所的な凍結の開始、及び(2)前記冷却部の接触領域をいつ前記皮膚組織の表面から除去すべきか、の少なくとも1つを示す警告を出力するように構成された、請求項9に記載の皮膚処置装置。
前記冷却構成部及び前記凍結検出センサと通信するフィードバックシステムをさらに含み、前記フィードバックシステムが、局所的に凍結された前記皮膚組織の過剰な冷却を防ぐために、前記皮膚組織の局所的な凍結の開始の検出に応じて、前記冷却構成部にフィードバック信号を発生するように構成された、請求項7に記載の皮膚処置装置。
温度センサをさらに含み、前記熱制御構成部が、前記温度センサによって提供される信号に基づいて前記ペルチェ装置に提供される電力を減少させまたは増加させるように構成された、請求項15に記載の皮膚処置装置。
温度センサをさらに含み、前記熱制御構成部が、前記温度センサによって提供される信号に基づいて前記ペルチェ装置に提供される電力のデューティサイクルパラメータを変更するように構成された、請求項15に記載の皮膚処置装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、制御された皮膚またはその他の組織の凍結を提供することが可能な方法及び装置並びに本明細書において上述した欠点や問題点の少なくともいくつかに対処し及び/または解決することが可能な皮膚組織を段階的に明るくすることを提供する必要がありうる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書において説明される例示的な実施形態は、美容的な方法及び装置に関連する。本明細書に記載された特徴及び実施形態の様々な組み合わせは、その全てが詳細に記載されているとは限らないが、相乗効果を発生させることがありうる。さらに、方法に関する本開示の全ての例示的な実施形態が、記載された通りの段階の順序で実行されうるが、このことは本方法の段階の唯一かつ本質的な順序である必要はないことに注意すべきである。本方法の段階の異なる順序及び組み合わせの全てが合わせて説明される。
【0008】
本開示の例示的な実施形態は、皮膚組織の制御された冷却及び凍結のための非侵襲的な方法及び装置に関連し、これは、低温技術を用いることにより、皮膚の領域の色素沈着全体を低減することができる。本開示の1つの例示的な実施形態において、皮膚の外観を明るくするために皮膚の小さい、または非連続的な領域を冷却し、または凍結するための装置が提供可能である。
【0009】
本開示の例示的な実施形態によれば、本装置は複数の突起部、例えば、好適には大きな熱拡散率、例えば皮膚組織よりも少なくとも10倍大きな拡散率を有する材料で形成された、短い円柱またはテーパー状の物体を含むことができる。例えば、突起部は少なくとも部分的に真鍮、金、銀、銅または類似のもののような金属または合金、ダイヤモンド、ダイヤモンドライクカーボン、凍結した材料またはダイヤモンドのような高い熱拡散率を有するその他の材料から形成することができる。突起部は、ベースに機械的に及び/または熱的に取り付けられることができ、少なくとも部分的に高い熱容量及び/または大きな熱拡散性または熱拡散率を有する材料から形成されることもできる。特定の例示的な実施形態において、ベース及び突起部は単一の材料から形成することができる。ベースに、絶縁されたハンドルまたはカバーを提供することができる。例示的な装置は、冷凍機内に配置されることができ、突起部が0℃より低い温度まで冷却され、次いで突起部の先端が処置される皮膚の領域に接触するように配置することができる。
【0010】
本開示のさらなる例示的な実施形態において、装置のベースは1つ以上のリザーバーまたはダクトを含むことができる。冷媒または塩水溶液、水―アルコール混合物、水―グリコール混合物、または類似のものなどのその他の熱吸収媒体がリザーバー内に提供されてプレートを冷却することができる。任意に、冷却された冷媒はベース及び取り付けられた突起部に連続的な冷却を提供するようにベース内部に形成されうる、リザーバー及び/または1つ以上のダクトを通して循環されることができる。
【0011】
本開示の他の例示的な実施形態において、ペルチェデバイスまたはその他の冷却装置もしくは熱源がベース及び/または突起部に熱的に接触して提供され、複数の突起部を冷却することができる。
【0012】
本開示のまたさらに例示的な実施形態において、突起部は遠位部及び近位部を有し、突起部の遠位部は皮膚表面に接触するように構成されることができる。突起部の少なくとも遠位部または端部はダイヤモンド、金、銅または類似のもののような高い熱伝導性を有する材料を用いて形成されてもよい。皮膚に接触するように構成された突起部または冷却物体の遠位端または端部の幅または直径は、約2mmよりも大きく、約5mmよりも大きく、または約20mm程度の大きさであることができる。これらの遠位部の間の平均間隔は、例えば領域の幅もしくは直径とほぼ同一であり、またはこの幅もしくは直径よりもやや小さく、例えば幅または直径の約1/2もしくは1/4であり、またはそれよりも小さいものとすることができる。そのため、上述した直径の値もまた本開示のある特定の本明細書で開示された実施形態における間隔またはその倍数に対応することができる。そのような遠位端の大きさ及び間隔は、突起部または冷却物体に接触された皮膚の部位間にあまり冷却されていないまたは凍結していない領域の存在を可能にする一方で、皮膚組織の領域の急速な、信頼性のある、及び/または制御された冷却を可能にするほど十分大きくすることができ、このことは皮膚のより制御された全体的な色素沈着の減少を発生させることができる。
【0013】
皮膚組織に接触するように構成された突起部の遠位部の全面積及び/または長さは、ベースまたはその他の熱質量と熱的に接触した高伝導性の材料の近位部よりも小さい。例えば、遠位端の全面積及び/または長さは高伝導性材料の近位部の面積及び/または長さの約0.8倍よりも小さいものであることができる。この面積の比は、皮膚の小さな部分を突起部の遠位端に接触させて、より低い温度で提供されるベースまたはその他の熱質量のより広い面積と効率的に熱的に接触することを容易にし、このことは皮膚の部分のより急速で効率的な局所冷却を提供することができる。
【0014】
本開示のさらなる例示的な実施形態において、ベースと熱的に接触する複数の熱伝導性構成部を含む装置が提供可能である。熱伝導性構成部の間に、熱伝導性構成部の遠位端が絶縁材料の下部表面と実質的に同一平面上であるように絶縁材料が提供可能である。この例示的な装置は、皮膚組織の空間的に離隔された領域から熱伝導性構成部を通してベースまで熱の取出しを提供することができ、その一方でこれらの空間的に離隔された領域の間の組織の領域からの顕著な熱の取出しを抑制しまたは防ぐことができる。これらの熱伝導性構成部の遠位端の大きさ及び間隔は、突起部または冷却物体の遠位部または端部に関して上述した寸法と実質的に同一とすることができる。
【0015】
本開示のさらなる例示的な実施形態において、皮膚組織の色素沈着の減少を発生させる美容の方法が提供可能である。そのような方法は、顔、首、手、腕、足または胴体を含む皮膚の様々な部分において使用可能である。1つの例示的な実施形態において、複数の小さな皮膚の領域を冷却及び/または凍結させて局所的な色素沈着の減少効果を引き起こすことを含む皮膚の外観を明るくするための方法が提供可能である。冷却または凍結される個々の領域は約2mmよりも大きな、約5mmよりも大きな、または約8mmよりも大きな皮膚の表面に沿って最小の寸法を有することができる。より大きな領域が冷却または凍結されることも可能である。冷却されまたは凍結されたこれらの個々の領域の皮膚の表面に沿った最大寸法は、約20mm、15mmまたは10mmであることができる。離隔された冷却されまたは凍結された領域の面積のそのような大きさは、冷却または凍結プロセスの安定性及び制御性を容易にできるほど十分大きい一方で、次第に全体的に明るくするのに十分小さいものとすることができる。皮膚の特定の領域を2回以上処置することによってさらに明るくすることが達成可能である。
【0016】
本開示のまたさらなる例示的な実施形態において、美容の方法は、複数の熱伝導性構成部または例えば低温突起部のアレイの先端部もしくは複数の熱伝導性突起部のような冷却物体を用いて皮膚組織の領域を凍結し、凍結された領域の色素の表出を減少させ及び/または排除することを含むことができる。凍結された領域を発生させるために皮膚に接触させるように構成された冷却物体の幅または直径は、約2mmよりも大きく、約5mmよりも大きくまたは約20mm程度の大きさであることができる。これらの冷却されまたは凍結された領域の間の平均間隔は、例えば、領域の幅または直径とほぼ同一であり、またはこの幅または直径よりもやや小さく、例えば冷却物体の幅または直径の約1/2または1/4であることができる。そのため、上述した直径の値はまた、本開示の本明細書で開示されたある特定の実施形態の間隔に対応することができる。
【0017】
本開示のまたさらなる例示的な実施形態において、美容の方法は皮膚組織の領域を、例えば少なくとも基底層の深さまで、例えば少なくともおよそ真皮・上皮接合部の深さまで凍結することを含むことができ、これによって色素沈着減少の効果を提供できる。この凍結は、皮膚表面を約−5℃またはそれよりも低い温度、例えば約−7℃から−10℃の間で提供される冷却物体に接触することによって好適には達成することができる。特定の実施形態において、約−15℃から−20℃程度の低温を用いることができる。冷却時間は、局所組織の凍結が始まってから、冷却物体が皮膚表面に接触される持続時間に相当することができるが、冷却物体の温度が約−7℃から−10℃である場合に、約2分より短くすることができ、または好適には約1分よりも短くすることができ、例えば約30秒から1分の間とすることができる。冷却物体がより低い温度で提供される場合には、より短い冷却時間を用いることが可能であり、例えば、冷却物体の温度が約−15℃から−20℃の間であるときには約30秒よりも短く、または約15秒よりも短いものであってさえもよい。そのような温度及び時間は、皮膚の複数の領域を順に容易に冷却できるほど十分速い一方で、皮膚組織に色素沈着減少反応を引き起こさせることができる。最小寸法、最大寸法、間隔及び冷却時間に関する上述の特徴は、本開示の開示内容から逸脱することなく当業者が任意に組み合わせることが可能である。
【0018】
1つ以上の温度センサ及び/または光学センサが、冷却物体が皮膚表面に接触して配置されている間、冷却物体の温度を制御し、接触した/冷却した組織の局所温度を検出し、及び/または皮膚組織の局所的な凍結を検出するために提供可能である。処置時間は、冷却の初期化に関連して、例えば、局所組織の凍結が始まった後に冷却物体と皮膚表面との間の接触時間の持続時間として、決定することができる。温度は接触センサ、非接触センサまたはその両方を用いて測定することが可能である。特定の処置時間が経過した後に凍結組織を温めるために加熱構成部が任意に提供可能である。フィードバック信号が生成され、冷却装置に送信されて、望ましくないまたは過剰な冷却を防止する。換言すれば、処置を受ける人に危険やリスクを生じさせないために安全な処置手順を確実に行うために、フィードバック制御が提供可能である。
【0019】
本開示のさらなる例示的な実施形態によれば、そのような凍結の開始時における組織凍結の検出のための方法及び装置が提供される。そのような凍結検出は、温度制御及び/またはフィードバック、光学検出及び/または電気的な測定及び/または皮膚組織の機械的インピーダンスを含むことができ、以下により詳細に説明される。
【0020】
この例示的な方法は、肉眼で見えるような個々の色素除去されたスポットを形成することなく、非常に小さい色素除去された領域を形成することによって、処置される皮膚の領域を漸次明るくすることを提供することができる。さらに、領域を明るくするために複数の処置を用いることができる。本明細書で説明された例示的な方法及び装置はまた、凍結した組織の小さな領域内の反応を刺激することによって、皮膚の全体的な外観を改善しうる。
【0021】
本明細書で説明された美容の方法は試験をされたものであり、美容院またはその他の設定において利用可能である安全で通常の手順であることに、さらに注意すべきである。提示された方法は、非侵襲的な方法とすることができる。さらに、この方法は、非侵襲的であるため安全であり、実質的に健康へのリスクを呈さず、実施において専門家の医療に関する専門知識を必要としない。本明細書で説明される方法の実施形態を実施するのに医療従事者は必要とされず、以下の説明で明らかになるように、この美容の方法で処置される人には何の危険性もなく、健康の危険性も非常に少ない。
【0022】
本開示のこれらの、またその他の対象、特徴及び利点は、添付された特許請求の範囲と組み合わせて、以下の本発明の実施形態の詳細な説明を読むことによって明らかになるであろう。
【0023】
本開示のさらなる対象、特徴及び利点は、本開示の例示的な実施形態の具体例、結果及び/または特徴を示す添付した図面と組み合わせて、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図面を通して、同一の参照符号及び文字は、そうではないと記載されない限りは、図示された実施形態の同様の特徴、素子、構成要素、または部分を表すために用いられる。そのため同様の特徴は同一の参照符号で説明されることがあり、これを読む当業者に、明示的に説明されていなければ異なる実施形態間の特徴の交換が可能であることを示している。さらに、本開示はこれから図面を参照して詳細に説明されるが、例示的な実施形態と共になされ、図に示された特定の実施形態によって限定されるものではない。変更及び改良は、添付された特許請求の範囲に規定されるように、本開示の真の範囲及び思想を逸脱することなく説明された実施形態になされることが可能であると意図される。
【0026】
本開示の例示的な実施形態によれば、「分割低温医療」の手法が、皮膚組織の小さな領域を制御可能かつ非侵襲的に凍結させるために使用することが可能である。そのような凍結は、皮膚の外観全体を明るくすることができ、または過剰な色素を有する特定の皮膚の領域の全体的な暗さを減少させることができる。冷却物体と接触することができる皮膚の小さな領域は、その下にある皮膚の内部の色素の形成及び/または表出を抑制することができる。この例示的な効果は、処置される領域を長期間持続しまたは永続して明るくすることができる。
【0027】
図1は、本開示の例示的な実施形態に従う、制御可能に皮膚を凍結し、例えば皮膚組織内に制御された量の色素沈着の減少を発生させるための例示的な装置100を示している。例示的な装置100は、ベース120に取り付けられた複数の突起部110を含むことができる。突起部110は、ベース120と熱的に接触するように提供されることができる。複数のギャップ140が、突起部110の間に提供可能である。特定の例示的な実施形態において、突起部110及びベース120は単一の材料から形成可能である。ハンドル130は、プラスチックのような絶縁材料から形成可能であり、ベース120に取り付けられて装置100の取り扱い及び位置決定を容易にすることが可能である。
図1に示された装置100は、必ずしも同一スケールで図示されていない。例えば、ベース120、突起部110及びギャップ140の一般的な寸法は、
図1に図示された比率に限定されない。1つの例示的な実施形態において、ベース120は、横方向の寸法と比較して、上部から底部まで比較的薄いプレートまたは基板として提供されることができ、ベースは例えば約3:1より大きく、約5:1より大きく、または約10:1より大きな厚さに対する長さの比を有する。さらなる例示的な実施形態において、突起部110の相対的な幅及び長さ並びにその間のギャップ140の幅は本明細書に説明されているように変更可能である。
【0028】
突起部110は、金属もしくは金属合金、または皮膚組織よりもずっと高い、例えば皮膚の熱拡散率の少なくとも10倍の熱拡散率を有するその他の材料から形成可能である。例えば、突起部110は、真鍮、銅、銀、アルミニウム、グラファイト、ダイヤモンド、ダイヤモンドライクカーボン、従来の接触冷却プローブに用いられるその他の材料、またはそれらの組み合わせから形成することができる。ベース120は、同一の材料または類似した熱物理的特性を有するその他の材料から形成することができる。例えば、皮膚組織よりもずっと高い熱伝導率を有する材料が、冷却された突起部110が接触する組織の部分から熱を奪うことを促進するために用いることができる。さらに、皮膚の組織よりもずっと高い熱拡散率、例えば皮膚の少なくとも10倍の熱拡散率を有する材料が、低温に保持され、冷却された突起部110が接触する皮膚の部分から熱を奪うことができる。装置100が処置される皮膚の領域に配置可能であるときに、皮膚組織に対して良好な熱的接触を提供できるように、突起部110の遠位端は、実質的に平面及び/またはわずかに曲面もしくは凸面とすることができる。
【0029】
1つの例示的な実施形態において、突起部110は、銅、銀またはアルミニウムのような金属から形成することができる。突起部110の材料よりもさらに高い熱拡散率を有する、ダイヤモンド、ダイヤモンドライクカーボンまたはその他の材料からなる層または被覆が、突起部110の遠位端上に任意に提供されることが可能である。例えば、ダイヤモンド及びダイヤモンドライクカーボンは、非常に高い熱拡散率を有し、突起部100の遠位端上のこれらの材料の1つの層は、冷却された突起部110と処置される皮膚との間の熱移送を改善することができる。
【0030】
装置100を特定の温度まで冷却するために低温環境を提供することができる。例えば、例示的な装置100は、突起部110及びベース120を特定の温度まで冷却する冷却容器、例えば冷凍室の内部に配置可能である。代替的に、突起部110及び/またはベース120は、液体窒素のような冷媒をスプレーすることによって、またはアルコール及び水の冷却された溶液もしくは低温塩水溶液のような冷浴槽内に浸漬することによって冷却することができる。好適には、槽は所定の温度に維持することができる。冷却後、次いで突起部110の遠位端が所定の時間、色を明るくする皮膚の領域に対して押し付けられて領域内の複数のスポットを局所的に冷却及び/または凍結させることができる。例えば、突起部110及びベース120は、好適には少なくとも−5℃またはそれよりも低い温度まで、例えば約−7℃から−10℃の間、または−15℃から−20℃にさえ冷却され、装置100が皮膚表面に接触した状態にされると、突起部110は皮膚組織を十分冷却し、皮膚組織の少なくとも一部を凍結させることができ、これによって色素沈着の減少反応も引き起こすことができる。
【0031】
さらなる実施形態において、装置100及び冷凍容器、冷却された溶液またはスラッシュを収容する冷浴槽、導管循環冷却液体もしくはガス、またはその類似のもののような、上述の冷却環境を含む皮膚凍結システムを提供することができる。低温環境は、装置100を特定の温度まで冷却または予冷するように構成されることができる。さらなる実施形態において、そのような低温環境及び本明細書で説明した例示的な装置のいずれかを含むシステムが提供可能であり、低温環境はそのような装置の少なくとも一部を冷却または予冷するように構成可能である。
【0032】
図2に示されるさらなる例示的な実施形態において、
図1に示された例示的な装置100に類似する装置200が提供される。装置200のベース120は、冷媒220を格納する中空リザーバー210を含むことができる。冷媒220は、例えば0℃よりも低い温度で凍結する材料とすることができる。そのような冷媒220は、リザーバー210内で凍結した場合、ベース120及び/または突起部110を、より長時間、より低い温度で冷却することを可能にすることができる。冷却されまたは凍結されるこれらの個々の領域の皮膚の表面に沿った最大寸法は、25mm、20mm、15mm、または10mmからなる群から選択することができる。
【0033】
本開示のある例示的な実施形態において、冷媒220は、特定の温度または温度範囲、例えば少なくとも約−5℃、例えば約−5℃または−7℃から−10℃の間または任意には約−15℃から−20℃で固液相変化を示すように選択することができる。例えば、例示的な装置200は、相変化温度まで温められると(初期にはより低い場合)、冷媒220はおよそ相変化温度で、または特定の相変化温度範囲内で、ベース120及び/または突起部110の温度をより長時間維持することができる(例えば、突起部110と処置される皮膚組織との間のより長い接触時間の間、または装置200の、処置される皮膚の複数の領域への適用の間)。皮膚組織から奪われた熱は、突起部110及びベース120を介して冷媒220に導かれることができ、冷媒220は、冷媒220の相変化が進む間比較的一定の温度で熱を吸収することができる。この例示的な構成は、装置200によって提供される温度差が実質的に一定に保たれるので、突起部100に接触する皮膚からの熱移送流率を予測可能かつ繰り返し可能なものとすることができる。この例示的な実施形態はまた、特定の温度または温度の狭い範囲内、例えば約−5または−7℃から約−10℃または−20℃の間で皮膚組織の上部の冷却及び/または凍結を提供することもできる。
【0034】
突起部110の遠位端とベース120との間の熱伝導は、突起部110が大きなアスペクト比(例えば、ベース120の底部から延設するそのような突起部110の長さに対する突起部110の幅または直径の比)を有する場合に、改善可能である。例えば、アスペクト比が1より大きく、または好適には約2よりも大きいことができる。そのような大きなアスペクト比は、突起部110の遠位端とベース120との間の熱伝導を改善することができ、突起部110の遠位端がベース120の低温に近い温度に維持されることができ、皮膚組織に接触する場合に顕著に温められにくくすることができる。突起部110の長さは、ベース120が皮膚表面に直接接するのを防ぐことができる程度に十分長く、しかし突起部110の遠位端とベース120との間の良好な熱的接触を提供できる程度に十分短くすることができる。
【0035】
例えば、ベース120の下面から延設する突起部110の長さは、約1cmよりも小さいことができ、または約5mmよりも小さいことができる。そのような短い突起部の長さにより、処置される皮膚組織と接触するように配置される突起部110の遠位端とベース120との間の熱の流動を、熱の流動の経路をより短くすることによって容易にすることができる。従って、突起部110の遠位端に接触する皮膚の領域からより急速に熱が奪われ、組織の局所的な凍結をより急速に、より効率的に行うことができる。突起部110は、突起部110の遠位端が皮膚表面に対して配置されたときにベース120の下面が皮膚の表面に接触しないように十分長くすることができる。
【0036】
突起部110のそれぞれの遠位端の直径または幅は、少なくとも約2mmよりも大きくすることができ、または約5mmよりも大きくすることができる。本開示の特定の例示的な実施形態において、この直径または幅は、約8mmまたはそれより大きく、例えば20mmにもなるものであることができる。より大きな幅の突起部110は、依然として比較的皮膚の小さい非連続的な領域を冷却または凍結する一方で、例えば、ベース120とそのような大きな突起部110の遠位端との間のより大きな熱質量及び/または改善された熱伝導率に基づいて、皮膚組織のより急速な局所冷却及び/または突起部温度の制御の改善を容易にすることができ、全体的に穏やかな見た目の色素効果を提供しうる。このことによって、本明細書に記載されるように、皮膚組織の局所冷却または凍結の所望の程度及び/または持続時間を達成するためにより速い処置時間とすることができる。そのようなより大きな突起部の幅はまた、例えば、光学または抵抗センサのような様々なセンサを、本明細書に記載の通り、突起部110の遠位端上、遠位端部、または遠位端近傍に配置することを可能とし、その一方で、突起部110を通じた熱伝導の顕著な障害を防ぐ。
【0037】
ベース120から突出する突起部110の遠位端の例示的なアレイが
図3Aに、例示的な装置100または200の底面図において示されている。この実施形態における突起部110の遠位端はほぼ円形を有して提供することができる。突起部110の不規則な構成(例えば、ランダムまたは準ランダム)が、
図3Aに示されるように提供されることができる。そのような不規則なアレイは、例えば、
図1に示される例示的な装置100または
図2に示される例示的な装置200が皮膚の単一の領域に異なる方向で複数回適用される場合、処置される領域のクラスタ化の減少及びより均一な色素脱失の外観を提供することができる。さらなる実施形態において、突起部100は均一な正方形のアレイ、均一な六角形のアレイまたはそれに類似したものに配置されることが可能である。
【0038】
さらなる例示的な実施形態において、
図3Bに示されるように、ベース120の底面上に提供される突起部110の遠位端は、実質的に正方形または長方形の形状で提供されることができる。またさらなる実施形態において、
図3Cに示されるように、突起部110の遠位端は実質的に平行な、間に提供されたギャップを有する細長い長方形として提供することができる。
【0039】
断面形状は、突起部110が皮膚表面に接触しているときにベース120の下面に実質的に平行及び/または皮膚の表面に実質的に平行な部分の形状を参照することができる。様々な断面形状が、本開示の実施形態において突起部110に対して提供されうる。例えば、突起部110の遠位端の断面形状は
図3A、3B及び3Cにそれぞれ示されるように円形、正方形または長方形とすることができる。他の断面形状は、六角形、卵形、不規則及び類似のものなどで提供可能である。さらに、突起部110の断面形状は、ベース120に接触する近位端と、皮膚組織に接触するように構成された遠位端との間で、例えば円形から卵形へ、または正方形から円形へ変化するなどのように変化しうる。
【0040】
突起部は、
図3Aから3Cに示されるように、実質的に均一な面密度で提供可能である。この均一な間隔は、ベース120の底面上の隣接する突起部110の間の実質的に均一な距離に対応する。さらなる実施形態において、突起部110の平均的な間隔及び/または幅はベース120の底面に渡って変化することができる。例えば、複数の実質的に円形の突起部110が
図3Dに示されており、突起部110はベース120の中央に近い領域では一緒に近接しており、ベース120の外縁部に近い領域ではさらに離れて及び/またはより小さな幅を有している。そのような突起部110の「フェザリング」構成は、より広い面積の処置をより均一にすることができ、より暗い色からより明るい肌へ、より円滑な遷移を提供することができる。
【0041】
例えば、装置100または200が皮膚の隣接する領域に(本明細書で説明されたように所望の効果を達成するために十分な各配置の持続時間で)順に配置された場合、ベース120のエッジ近傍の突起部110のフェザリングは、例示的な装置100、200の隣接する配置の間にいくらかの重なりがある場合には冷却領域のより均一なパターンを提供できる。冷却された領域の密度(例えば、突起部100の遠位端に接触する皮膚表面のこれらの領域)は、それらが装置100、200の2つ以上の配置にさらされるので、重なる領域において幾分か増加しうる。しかしながら、皮膚に接触するように配置されるベース120のエッジ部は、突起部110の密度がより低いものでありえ、重なった処置領域の冷却される領域の全体的な密度はこのより低い密度に比較して増加しうる。そのような増加した密度は、ベース120の中心部に近い突起部110のより高い密度と同等でありうる。従って、ベース120の辺縁部近傍の突起部110の減少した密度または増加した間隔は、重なりあう領域における過剰冷却を避ける助けとなる。そのようなベース120の外側の部分近傍の突起部110のフェザリングは、例えば、
図3Dに示されるように、隣接する突起部110間の平均間隔を増加させることによって、及び/またはベース120の中央部分における遠位端の大きさに対してベース120の外側部分の近傍の突起部110の遠位端の平均の大きさを減少させることによって、達成することができる。
【0042】
隣接する突起部110の遠位端の間の距離は、その直径または幅と同等とすることができ、または幾分か小さくすることができる。例えば、隣接する突起部110の遠位端の間の平均距離は、例えば、遠位端の平均直径または幅とほぼ同一またはこの平均的な幅の約2分の1もしくはより小さいものとすることができる。例えば、隣接する突起部110の遠位端の間のさらに小さい距離、例えば遠位端の幅の約4分の1またはそれより小さい距離を用いることも可能である。これらの例示的な構成、遠位端の大きさ及び遠位端間の分離間隔は、空間的に離隔した色素脱失した組織の部分を形成することができ、これらはその間の組織には実質的に影響を与えない。このことは処置される組織の領域を次第に明るくすることを提供することができ、その一方で突起部110の遠位端の大きさは、冷却手順の間冷却温度の制御及び安定性の増加を容易にし、並びに/または突起部110に近接するセンサの配置を容易にすることができる。
【0043】
本明細書に記載された突起部110の遠位端の例示的な大きさ、間隔及び構成は、皮膚の外観を全体的に明るくさせるように凍結した領域間の色素化領域を維持する一方で皮膚領域の制御された冷却または凍結及びそれに続く色素脱失を提供することができる。
【0044】
図3A及び3Dに示されたベース120の断面形状は、実質的に円形であり、その一方
図3B及び3Cに示されたベース120の形状は実質的に正方形である。その他の形状お及び形状の組み合わせが、本開示のさらなる実施形態に従って用いられてもよい。例えば、ベース120の断面形状は楕円形または長円形、正方形、長方形または不規則であることができる。ベース120の特定の形状が、処置される領域に基づいて選択可能である。例えば、細長い三日月形状のベース120が、目袋を明るくするのに用いることができる。
【0045】
ベース120の大きさはまた、処置される領域の大きさに基づいて選択することもできる。例えば、小さな領域の色素脱失は、突起部110のほとんどない相対的に小さなベース120を用いて達成することが可能である。より多くの突起部110を有するより大きなベース120が、一回の適用で皮膚のより大きな領域を処置し、隣接する皮膚の処置領域に対して装置の複数回配置を必要とするより大きな皮膚の領域に関して全体的な処理時間を減少させるために提供することができる。突起部の大きさ及び間隔は、ベース120の様々な大きさに関して本明細書に記載されるように提供することができる。
【0046】
一般に、突起部110の数および構成は、特定の処置に関する色素脱失スポットの適切なパターンを提供するように選択されうる。例えば、数が少なく近接した間隔の突起部110のみを有するデバイス(例えば、約10または15の突起部110よりも少なく、例えばその遠位端の間の間隔は、例えばこれらの遠位端の幅の約1倍から2倍である)が、小さな染みを明るくするために用いられることが可能である。より多い数の突起部110は、単一の処置で皮膚のより大きな領域を明るくするためのより大きなベース120に提供されることができる。
【0047】
例示的な装置100または例示的な装置200は、例えば装置全体を冷凍機内に配置することによって、及び/またはその他の低温材料または環境にさらすことによって冷却することが可能である。突起部110は、皮膚組織内の接触凍結を導入することができる温度まで冷却することが可能である。ベース120もまた、同じ温度まで冷却することができる。装置100の一部(例えば、突起部110の遠位端)が皮膚組織と接触している間、冷却されたベース120は、突起部110を冷却温度または冷却温度に近い状態に維持する助けとすることができる熱シンクまたはリザーバーを提供することができる。
【0048】
本開示のさらなる実施形態において、
図4Aに示されるように例示的な装置400が提供可能である。例示的な装置400のベース120は、それを通して1つ以上の流路420を含むことができる。冷却された冷媒は、流路を通って循環されてベース120及び突起部410を冷却することができ、任意にはそれらを特定の温度に維持することができる。例えば、従来の流体ポンプ(図示されない)を、ベース120内の流路420を通して冷却媒体を循環させるために用いることができる。そのようなポンプは、装置400から離した状態で位置させることができ、または特定の実施形態においては、装置400に取り付けることが可能である。冷媒はまた、従来の技術を用いて絶縁され及び/または能動的に冷却されることができるリザーバー(図示されない)内に提供されることができる。装置はさらに、例えば能動冷却構成部に接触して提供された1つ以上の温度センサを用いて、冷媒を特定の温度に維持するように構成された熱制御構成部を含むことができる。リザーバーはまた、装置400から離した状態で位置させることができ、または更なる実施形態においてこれに取り付けることができる。
【0049】
突起部410は
図4Aに示されるようにテーパー形状とすることができ、断面積は突起部410の長さ方向に沿って変化する。これらは本明細書で説明するように、大きな熱伝導率を有する材料を用いて形成することができる。例えば、突起部410は円錐形またはピラミッドの形状または類似する形状を有することができる。突起部410の近位端の直径または幅は、例えば、その遠位端の幅または直径の少なくとも2倍とすることができる。そのようなテーパー形状は、突起部410の遠位端と冷却されたベース120との間の効率的な熱的接触を提供することができる。例えば、テーパー形状の突起部410は、突起部410の近位端と熱的に接触するベース120のより広い面積を通して突起部410の遠位端と接触する組織の小さな領域から熱を奪う助けとすることができる。
【0050】
本開示のさらに他の例示的な実施形態において、例示的な装置450が
図4Bに示されるように提供可能である。高い熱伝導率を有する材料の層460は、ベース120の下面に取り付けることができ、それに対して良好な熱的接触を提供することができる。層460は、例えば、プレートとして、またはベース120の下面に成膜された膜として提供可能である。突起部410は本明細書に説明されるようにテーパー形状とすることができ、層460と熱的に接触して提供可能である。代替的に、層460及び突起部410は、高い伝導率の材料、例えば真鍮、アルミニウム、ダイヤモンドまたはその類似のものからなる単一の構成要素として形成することができる。
図4Aに示される例示的な装置400と類似して、テーパー形状の突起部410は、突起部410及びプレート460を通してベース120のより大きな領域と熱的に接触する突起部410の遠位端と接触する組織の小さな領域から容易に熱を奪うことが可能となる。
【0051】
本開示のまたさらなる例示的な実施形態において、
図5に示されるように例示的な装置500が提供可能である。ベース120は、装置500の一部を、例えば特定の温度まで冷却するように構成された1つ以上のペルチェデバイス510を含むことができる。ペルチェデバイス510の低温側は突起部410及び/またはベース120の下部と熱的に接触した状態で提供可能である。ペルチェデバイス510に電力を供給するための電源は、装置500の一部として提供可能であり、または代替的に外部電源がそれから離隔して提供可能である。ペルチェデバイス510の上部または高温側は、冷却された物体に接触することによって、空気もしくはその他のガスを少なくともその一部の上に流せるようにもしくは方向づけることによって、及び/またはその他の従来の冷却技術もしくは通風技術によって冷却することが可能である。
【0052】
ベース120または突起部410の下部に近い側に温度センサ520を提供することができる。温度センサは、例えば1つ以上の熱電対またはサーミスタもしくはその類似のものを含むことができる。そのような温度センサ510は、突起部110に近い装置500の温度を指示する表示部520に接続されることができる。温度センサ520はまた、ベース120及び/または突起部410を所定の温度または所定の温度に近い状態に維持するために、制御システムの一部としてペルチェデバイス510またはその他任意の能動冷却構成部に接続可能である。換言すれば、処置中の人に危険をもたらさないことを確保するために、センサ520に基づいてフィードバック制御が提供可能である。そのため、望ましくないまたは過剰な冷却が避けられるように、フィードバック信号が発生して冷却装置に送信されうる。このことは、高度に安全な処置を提供しうる。有線系通信または無線通信が、本開示の装置の構成要素間に提供されうる。このことは、
図6及び8に関連して以下により詳細に説明される。
【0053】
さらに別の例示的な実施形態において、ベース120、任意のハンドル130及び熱伝導層またはプレート460と熱的に接触した複数の熱伝導性の突起部410を含む
図6に示された例示的な装置600が提供可能である。突起部410及びプレート460は任意に、例えば金属またはその他の材料の単一片から突起部の形状をモールディング、研磨またはエッチングによって単一のユニットとしての形態に形成可能である。冷却構成部、例えばペルチェデバイス510、温度制御されたリザーバー210もしくは冷媒(図示されない)を循環させる流路420または類似のものは、プレート460及び/または突起部410と熱的に接触して提供可能である。1つ以上の熱センサ610は、1つ以上の突起部410の遠位端上にまたはその近傍に提供可能である。例えば、熱センサ610はサーミスタ、熱電対、抵抗温度検出器(RTD)または類似のものを含むことができる。
【0054】
1つ以上の温度センサ610が、1つ以上の突起部410の遠位端上に提供可能である。温度センサ610は、この遠位端の部分を覆うことができ、遠位端と皮膚表面との間の局所的な熱移送に対するセンサの質量及び材料の効果を低減することができる。代替的に、センサは突起部410の遠位端の全てを実質的に覆うように構成することができ、より安定し及び/または正確な信号を提供することができ、また局所的な熱移送について、より予測可能な効果も有する。特定の実施形態において、熱センサ610は、1つ以上の遠位端の全てを実質的に覆う高い熱伝導性を有する材料に埋め込まれまたはその材料を有して提供されることが可能である。さらなる実施形態において、1つ以上のセンサ610は1つ以上の突起部410の遠位端に近接して提供されまたは設置されることができる。これらの例示的な構成において、装置600が皮膚上に配置されたときに、センサ610は局所的な突起部の温度及び皮膚表面の温度の両方に依存する複合的な温度を検出するものであってもよい。
【0055】
配線625またはその他の通信構成部が、温度センサ610と熱制御構成部620との間及び熱制御構成部620と冷却構成部との間に提供可能である。配線625は、突起部410及び/またはプレート460の一部を通過させることができ、または任意に突起部410の間、例えばプレート460の近傍、またはその両方を通すことができる。熱制御構成部620は、装置600の外部に提供されることができ、または装置600上にもしくはその内部に設置することができ、さらに冷却構成部510内に集積することも任意に可能である。任意に、センサ610と熱制御構成部620との間の無線通信が、この実施形態において提供されることが可能である。その結果、1つまたは複数のセンサ610と組み合わされた熱制御構成部620は、突起部410の端部で検出された温度に基づいて温度フィードバック制御を提供することができる。このことは、装置及び対応する方法の安全性を増大しうる。
【0056】
熱制御構成部620は、冷却構成部の動作の特性を、例えば、1つ以上の熱センサ610から受け取った信号に基づいて制御するように構成されることができる。例えば、熱制御構成部620は、温度センサ610からの信号を検出し、これらの信号に基づいて、もし存在するならばペルチェデバイス510に提供される電力特性を変更する(例えば、電源をオン/オフする、電力を低下/増加させる、及び/または電源のデューティサイクル特性を切り替える)ように構成されることができる。熱制御構成部610は、例えば、所定の温度で突起部410の遠位端を維持するため、または時間経過に渡って所定の温度プロファイルを近似するために、ペルチェデバイス510の動作を制御するための比例、積分、及び/または微分フィードバックアルゴリズムを用いるように構成することができる。そのような制御アルゴリズムは当技術分野で知られている。上述のように、熱制御構成部620及びセンサ610は、例えば、(存在するならば)リザーバー210の温度を制御することによる、または流路420(存在するならば)を通過する冷媒の温度及び/もしくは循環率を制御することによる、または当技術分野で知られるさらにその他の種類の冷却構成部の温度を制御することによる、上述のその他の冷却構成部を有して提供され、使用されることもまた可能である。
【0057】
さらに、熱制御構成部620は、冷却構成部を、受け取った温度信号に基づいて制御し、設定温度、冷却時間、冷却パルス持続時間、冷却される突起部の数、冷媒の流量率及び/もしくは温度またはそれらの任意の組み合わせのような冷却構成部の少なくとも1つのパラメータを変更しまたはパラメータに影響を与えるように構成されてもよい。
【0058】
特定の温度まで特定の処置時間(組織の局所冷凍が始まる時間間隔として決定することができる)、皮膚の表面を冷却することによって、皮膚の基底層(例えば、真皮・上皮接合部の基部側)の冷却が観察された。従って、本明細書で説明された装置のいずれも、約−5℃またはそれよりも低い、例えば約−5℃から−10℃の間、または好適には約−7℃から−10℃の間の温度で1つ以上の表面(例えば、冷却された突起部110、410、610)を提供するように構成されることができる。これらの温度に対応する処置時間は、例えば、約1分未満、例えば、約45秒から1分、またはいくつかの実施形態において約30秒またはそれより短くすることができる。組織内の凍結を発生させる温度及び時間のそのような組み合わせは、色素脱失(すなわち、完全な色素の喪失)を引き起こすことなく、皮膚内に色素沈着減少の効果を発生させることができる。
【0059】
さらなる例示的な実施形態において、冷却された突起部110、410、610の温度は、過剰冷却に起因する組織の望ましくない損傷を引き起こすことなく組織の十分な局所冷却及び凍結を発生させるために、対応する、より短い接触時間または処置時間とともに、−10℃よりも低い温度、例えば−15℃から−20℃の低さの温度とすることができる。例えば、処置時間は、約−15℃から−20℃の間のこれらの温度において、15秒程度の短さまたはそれより短いものとすることができ、例えば約5秒とすることができる。そのようなより低い温度は、例えば、より速い処置時間を容易にするために、並びに/または冷却された突起部110、410、610の遠位端を通る熱伝導における熱効率の悪さ及び/もしくは局所血流によって温められる可能性がある皮膚の加温効果のような効果を補償するために、使用することができる。
【0060】
温度は、好適には冷却された突起部110、410、610の遠位端が処置される皮膚の領域に接触している場合には、冷却された突起部110、410、610の遠位端に近い皮膚組織の表皮層の少なくとも一部を特定の時間間隔の間局所的に凍結させるのに十分低い。突起部110、410、610の遠位端は凍結領域の色素沈着の減少を引き続き発生させるのに十分な持続時間の間、処置される皮膚の領域に接触して配置されることができる。この持続時間は、皮膚組織の局所凍結の最初に続く時間間隔として決定されることができる。これらの温度で皮膚組織の上部層(例えば、基底層まで)の局所凍結を引き起こすことはまた、色素沈着の減少反応を改善することができる。上部真皮層の一部もまた凍結可能である。これらの温度で皮膚組織の上部層(例えば、基底層まで)の局所凍結を引き起こすことはまた、色素沈着の減少反応を改善することができる。上部真皮層の一部もまた凍結可能である。処置時間は、好適には過剰凍結及び冷却または凍結した組織の損傷を引き起こすほど長くない。従って、接触時間は、組織近傍の冷却または凍結に基づいて、顕著な程度の色素沈着減少を経ることのない冷却された突起部によって接触された皮膚の領域間の皮膚組織の部分を引き起こす過剰な実験をすることなく選択可能である。例えば、突起部110、410、610の遠位端が約−5℃から−10℃の間の温度で維持されている場合、約30秒から60秒の間の接触時間が、色素沈着の減少につながることのできる皮膚表面の領域の局所的な凍結を引き起こすのに十分でありうる。一般的に、接触の適切な時間は、本明細書で説明された装置の例示的な実施形態の幾何形状、材料及び初期冷却温度に基づいて決定することが可能である。一般に、用いられる時間及び温度は、特定の持続時間の間、突起部110、410、610のそれぞれに近い凍結した組織の小さな領域を発生させ、特定の持続時間の間それを持続するように選択することができ、その一方それらの間の皮膚組織の部分に凍結していない皮膚組織を維持する。
【0061】
特定の例示的な実施形態において、突起部110、410、610の材料および大きさ(例えば、直径、形状及び長さ115)は、対応する装置が最初に冷却され、突起部110、410、610が皮膚組織に長時間接触する間次第に加温されるように選択されることができる。従って、突起部110、410、610はより長い期間皮膚と接触するように提供することができ、突起部110、410、610を次第に加温することで、近接する皮膚の領域の過剰凍結を防ぐことができる。
【0062】
図7Aは、本開示の例示的な実施形態に従う皮膚組織における色素沈着の減少を発生させまたは引き起こすための冷却または凍結の量の制御を作り出すためのさらなる例示的な装置700を示している。例示的な装置700は、複数の熱伝導構成部710及び熱伝導性構成部710の少なくとも一部分の間に提供される絶縁材料720を含むことができる。熱材料720が、例えば熱伝導構成部710が通過することができるシートを通じて提供される穴を有する材料のシートの形態で提供可能である。代替的に、熱材料720は、硬化可能な発泡材または硬化発泡材もしくはポリマー、またはその場で形成可能でありもしくは成形することができるその他の柔軟な材料などの発泡体または硬化可能な材料として提供可能である。
【0063】
伝導性構成部710は、突起部110に関して本明細書で説明したような高い熱伝導性及び/または高い特定の熱容量を有する材料を少なくとも部分的に用いて形成可能である。伝導性構成部710は、ベース120または装置700のその他の構成部と熱的に接触して提供可能である。特定の例示的な実施形態において、伝導性構成部710及びベース120の少なくとも一部は、単一の材料から形成可能である。伝導性構成部710は本明細書で説明された様々な例示的な実施形態における手順または構成のいずれを用いても冷却可能である。例えば、伝導性構成部710は例えば
図4B及び6に示されるように、冷却プレート460と熱的に接触して提供可能であり、または伝導性構成部710及び冷却プレート460は、本明細書で説明されたように熱伝導性材料(例えば金属または金属合金)の単一片から形成可能である。
図4Aに示されるような導管420または
図5及び6に図示されるようなペルチェデバイス510などの冷却構成部が、さらなる例示的な実施形態において用いられることも可能である。ハンドル130は、ベース120に取り付けられて装置700を取り扱い、位置決めすることを容易にすることができる。
【0064】
例示的な装置700の下面は、実質的に平坦であることができ、または処置される皮膚の特定の領域に対応するように構成された湾曲したもしくは起伏のある形状を有してもよい。この下面は、処置される皮膚の領域に対して配置されうる。伝導性構成部710の遠位端は、そのため本明細書に詳細に説明したように、これらの領域の局所冷却または凍結を発生させる皮膚組織の空間的に分離した領域に接触しうる。絶縁材料720は、伝導性構成部710の遠位端間の皮膚組織から熱を奪うことを減少させまたは防ぐ熱バリアを提供することができる。
【0065】
伝導性構成部710の遠位端の大きさ、形状、構成要素及びまたは間隔は、本明細書で詳細に説明された突起部110の遠位端に関する対応するパラメータのいずれを含むものであってもよい。絶縁材料720の厚さ(及び伝導性構成部710の長さ)は、伝導性構成部710の間の皮膚表面の十分な熱的分離を提供するのに十分大きいものとすることができ、それらの実質的な冷却または凍結を防ぐ。絶縁材料720の厚さ及び伝導性構成部710の長さはまた、伝導性構成部710を通した皮膚組織の領域からの熱の効果的な抽出を容易にできるほど十分小さいものとすることができる。
【0066】
図7Bは、本開示の特定の例示的な実施形態に従うさらなる例示的な装置750を示しており、
図7Aに示された例示的な装置700と類似している。例示的な装置750における熱伝導性構成部710は、ベース120と直接熱的に接触する伝導性構成部710の近位端の面積が、皮膚組織の表面に直接接触するように配置されうる遠位端の面積よりも大きいようにテーパー形状を有して提供可能である。そのようなテーパー状の幾何形状は、伝導性構成部710を通して皮膚組織の空間的に分離された領域から冷却されたベース120内へより効率的な熱伝導を可能とする。熱伝導におけるテーパー形状のこの効果は、本明細書において
図4A及び4Bに示されたテーパー形状の突起部410に関してより詳細に説明されている。絶縁材料720は、例示的な装置700に関して上述したように、テーパー形状の伝導性構成部710の少なくとも一部の間に提供されて伝導性構成部710の遠位端の間の皮膚組織から奪う熱の量を低減することが可能である。本明細書に説明された様々な冷却構成部及びその他の特徴は例示的な装置750と共に用いられてもよい。
【0067】
本明細書で説明したように、1つ以上の低温突起部による皮膚表面の接触冷却に基づく色素沈着減少効果は、表面近位の組織の局所的な体積が凍結される場合に、より効果的なものとすることができる。皮膚組織の冷却は、0℃未満に冷却された、例えば約−5℃から−10℃、または本明細書に説明されたようにより低い温度に冷却された突起部に皮膚表面を接触させることによって得られる場合でさえも、常に局所的な組織の凍結を引き起こすわけではないことがありうる。そのような冷却手順は、その代わりに凍結していない局所的に過冷却された組織を引き起こす可能性がある。冷却手順中に組織の凍結の検出を可能とすることができる装置800が
図8に示されている。
【0068】
例示的な装置800は、ベース120の下面上に提供された複数の突起部820を含むことができる。突起部820は、例えば
図1、2、4A、4B及び5に示されたもののような、本明細書において説明された様々な例示的な実施形態におけるどのような手順または構成部を用いて冷却することもできる。ハンドル130は、ベース120に取り付けることができ、装置800の取り扱い及び位置決定を容易にする。1つ以上の光学導管810が装置800に提供されることができ、光学導管810の遠位端は1つ以上の突起部820に近接して配置することができる。光学導管810は、例えば光ファイバー、導波路または類似のものを含むことができる。
【0069】
特定の実施形態において、1つ以上の光学導管810の遠位端は、例えば、突起部820の一部を通して穴あけ加工された小さな穴の内部に、または類似の構成を用いて光学導管810の遠位部を位置させることによって、突起部820の辺縁部に近接して、または突起部820の遠位端に提供することができる。絶縁材料720が突起部820の間に、例えば
図7A及び7Bに示されるように提供される場合、1つ以上の光学導管810の遠位端は絶縁材料720を通して提供されることができ、遠位端は絶縁材料720の下面に露出する。光学導管810のその他の構成が、さらなる実施形態において提供されることも可能であり、装置800の底面が皮膚に対して配置される場合に、光学導管810の遠位端が、皮膚表面に近接し、及び/または皮膚表面に光学的に接触する(例えば、光学導管810の遠位端と皮膚表面との間に妨げるもののない光学経路が存在する)。
【0070】
本明細書で説明されるような冷却手順の間、皮膚表面の凍結を検出するために、少なくとも1つの光学導管810の近位端は、光源またはその他の光学エネルギー源(図示されない)に接触して提供されることができる。約600nmから約800nmの間の波長を有する赤色光を放出するLEDまたはその他の光源を用いることができる。光のその他の波長もまた、さらなる実施形態において用いられてもよい。例えば、近赤外光の範囲の光(例えば、約800nmから約2000nmの間の波長を有する光)を放出する光源が用いられてもよい。そのような近赤外光は、処置される皮膚領域のメラニンの水準の変化に比較的感受性の低いものであってもよく、それによって、様々な種類の皮膚の凍結を検出するために用いることができる。
【0071】
冷却手順の間、光は少なくとも1つの光学導管810の遠位端から、装置800直下の皮膚表面の領域に放出されることが可能である。皮膚によって反射され及び/または散乱される光は、少なくとも1つの光学導管810の遠位端に入り、光学導管810を通して光学検出器(図示されない)、例えば従来の露出計、電荷結合デバイス(CCD)、光学トランジスタまたは類似のものまで導かれることができ、光学検出器は光学導管810の近位端に提供されることができる。さらなる実施形態において、光学導管810の円周に向かう方向の光の検出を可能にするために、クラッディングが光学導管810の遠位端の代わりにまたは遠位端に加えて、光学導管810のその他の部分から除去されることができ、それによって皮膚に対する光学導管810のその他の方向を用いる光の検出を可能とする。
【0072】
光学的な光の強度またはその他の特性の例示的な変化は、局所的な組織凍結の発生を示すことができる。例えば、特定の実施形態において、散乱され及び/または反射された光を検出するのに用いられる光学導管810は、皮膚表面上に光を導くのに用いられる光学導管810と同じものとすることができ、または光を導くのに用いられる光学導管810に非常に近接して、例えば約1から2mm以内で配置されることができる。組織の凍結が発生すると、入射光の局所的な反射率が、検出する光学導管810によって受信される光の量を増大させることができる。光学信号のそのような増加は、装置800が特定の持続時間の間、皮膚上に配置される場合に、皮膚の組織の凍結を確認するのに用いることができる。さらなる実施形態において、光学導管810は、ファイバー端部及び組織表面からの鏡面反射を減少させまたは抑制させるために、1つ以上の分極要素を有して提供されることができ、このことは、局所的な組織凍結のより感度の高い検出を提供することができる。
【0073】
さらなる例示的な実施形態において、光を提供し及び検出するのに用いられる光学導管810は、例えば3から4mmよりも大きな間隔で、さらに離れて位置させることができる。組織凍結が発生すると、組織の反射率は増大し、皮膚に向けられる光のより多くが表面領域から反射して戻され、その一方組織を通して横方向に散乱される光は減少することとなる。従って、そのようなより遠い検出光学導管810から検出される光の信号の減少もまた、皮膚組織の局所的な凍結を示すことができる。
【0074】
組織凍結を検出するためにまたは本明細書で説明されるように皮膚の凍結をより詳細に得るために、光学導管810の異なる構成が、さらなる実施形態において提供可能である。例えば、複数の光学導管810のそれぞれが、装置直下の皮膚の表面上に光を導き、皮膚組織によって散乱されまたは反射された光を検出するように構成可能である。複数のそのような光学導管810(例えば、3つ以上)は、組織の凍結の深さについて情報を提供するために用いることができる。代替的に、複数の離隔された光学導管810が、本明細書で説明されるように皮膚上に光を導きまたは光を検出するように構成されることが可能である。光学検出器は、1つ以上の光学導管810の遠位端に近接する凍結を示す光学信号レベルの閾値変化を検出するように構成され、較正されることができる。特定の実施形態において、指示部、例えばLEDまたは電球、音声発生器、デジタルディスプレイまたは類似のものが、装置800が皮膚表面に接触された状態に保持されている間に組織の凍結の発生を確認するために提供可能である。
【0075】
さらなる例示的な実施形態において、例えば
図6に示されたもののような、温度センサ610が、局所組織凍結の発生を検出するように構成されることができる。例えば、典型的な冷却手順において、温度センサ610によって検出される温度は、接触する低温突起部410の温度に対応することとなる。装置600が皮膚表面上に配置されると、突起部410の遠位端が皮膚によってわずかに温められるため、検出される温度は上昇することとなる。突起部410による皮膚の伝導性冷却が進むと、測定される温度は低下することとなる。そのような低下の率及び程度は、いくつかの因子、例えば突起部610の初期温度、材料及び幾何形状、突起部410を冷却するのに用いられる冷却構成部の効率などに依存しうる。組織の凍結が突起部410の遠位端に近接して発生すると、凍結相転移の間に放出される潜熱から発生する局所温度のわずかな一時的な上昇が検出されることがある。検出される温度は、次いで凍結組織のさらなる冷却が進むにつれて低下し続ける可能性がある。従って、温度センサ610によって経時的な冷却曲線において検出される「凸部」は、局所組織凍結の発生を示すことができる。
【0076】
本開示の実施形態に従う、組織内の凍結の開始を検出する光学センサの使用を示す、例示的な研究がなされた。20mm×20mmの平坦なアルミニウム接触プレートが−7.5℃の温度まで冷却された。2つの1mmの光ファイバーがプレート内に穴あけ加工された穴の内部に挿入され、本明細書に記載のように、一方のファイバーは冷却された組織を照射するように構成され、第2のファイバーは組織からの光を検出するように構成された。冷却プレートは、メスのシンクレアブタの脇腹の部分の体毛を剃った皮膚表面に60秒間接触して配置された。冷却プレート及び皮膚表面の接触点における温度をモニターするために熱電対が使用された。この冷却手順において検出された光信号もまたモニターされ記録された。
【0077】
この冷却手順に関する例示的な1組のデータが、
図9に示される。最初に冷却プレートがより暖かい皮膚表面に接触されたときには、測定された温度(
図9では破線で示されている)は最初は急速に(約5から6秒において)上昇するのが観察された。次いで、プレートが熱伝導によって隣接する皮膚を冷却するにつれて、温度が低下した。この冷却は、
図9に示されるデータプロットでは約6から15秒の間で発生した。光学出力(光学トランジスタを用いて、電圧で測定され、
図9の実線で示された)は、この冷却プロセスの間、かなり一定の状態を保った。約15秒において、温度の小さな上昇が検出され、これは局所的な組織凍結の開始および皮膚の凍結の潜熱の放出を示している。この組織凍結の開始は、検出された光学信号の増加を伴った。光学信号は、凍結された皮膚が冷却され続ける間、上昇し続けた。冷却プレートが除去されると、皮膚の表面領域が凍結していることが確認された。この研究は、皮膚表面が低温の物体に接触されるときに検出される反射レベルの変化に基づいて組織凍結の開始を検出するための、本明細書で記載された光学センサの使用、及び凍結時の潜熱の放出に関連する局所温度の小さなプラトーまたは過渡上昇の存在によって、組織凍結の開始を検出するための温度センサの使用を実証するものである。
【0078】
またさらなる例示的な実施形態において、センサは、電気的または機械的インピーダンスの測定に基づいて、組織凍結の検出を可能にするように提供されることができる。例えば、電気的インピーダンスは、水及び組織を含む様々な材料の凍結の開始において変化することが示されている。例えば、A.A.Gage著、Cryobiology 16,pp.56−62(1979)、B.Rubinsky著、Ann.Rev.Biomed.Eng.02,pp.157−87(2000)及びT.H.Yuら著、Intl.J.Thermophysics,24(2)(March 2003)を参照のこと。1つの実施形態において、皮膚表面に接触する冷却プレート110の底面に沿った2つ以上の位置の間で、電気的インピーダンスが測定可能である。代替的に、離隔された表面電極が、冷却された領域に近接して配置され、皮膚の局所的な電気的インピーダンスを測定するのに用いられることができる。皮膚の電気的インピーダンスを検出するそのようなセンサは、本明細書で説明されたどのような実施形態とも共に用いることができる。代替的にまたは追加的に、力センサが皮膚組織の局所的な機械的インピーダンスを測定するために提供可能である。例えば、力はそのような力センサで組織の変位の関数として局所的に測定可能である。加速度計またはその他のセンサもまた、低水準の衝撃または動的な事象に対する動的変化を測定するのに用いることができる。これらの種類のどの例示的なセンサも(熱、光学、機械、力など)、単独でまたはどのような組み合わせでも、本明細書で説明された発明の様々な実施形態において使用することができる。
【0079】
またさらなる例示的な実施形態において、組織凍結を検出するのに用いることができる、本明細書で説明された任意のセンサ及び装置と通信する指示構成部が提供可能である。そのような指示部は、例えば、指示ライト、ブザーまたはその他の音声発生器、ディスプレイパネルまたは類似のものを含むことができる。指示構成部は、皮膚凍結が検出されたときに指示するための第1の信号を使用者に提供するように構成されることができる。そのような信号は、所定の処置時間の開始を決定するのに用いることができる。例示的なタイミング構成部もまた、局所的な組織凍結の開始が検出されてからの経過時間を示すように提供されることができる。任意に、タイミング構成部は、局所凍結の開始から所定のまたはあらかじめプログラムされた時間間隔が経過すると、第2の信号を提供するように構成されることができる。この第2の信号は、局所冷却処置が終了したときに指示し、使用している装置の皮膚表面への接触を終了するように使用者に促すために使用することができる。さらなる実施形態において、タイミング構成部は、装置が皮膚から除去されるべきであるときを指示する第2の信号のみを提供し、局所凍結の開始を指示する第1の信号を提供しないものであってもよい。
【0080】
例えば光学、電気的及び/または機械的特性及び/または
図5、6、8及び9に示され、上述されたような信号に基づいた組織凍結の検出、温度制御及び/またはプロセスフィードバックに関する本開示の詳細は、本開示の他の本明細書で説明された実施形態の全てに実装されうる。
【0081】
加熱構成部が、本明細書で説明される例示的な装置のいずれにも提供されることができる。加熱構成部は、特定の処置時間が経過した後に凍結した組織を急速に温め及び/または解凍するために使用されることができ、例えば局所組織凍結の持続時間のより正確な制御を可能とする。そのような加熱構成部は、例えば、皮膚に接触し冷却するように構成された本明細書で説明されたどのような装置の低温表面上にも、低温表面内にもまたは低温表面に近接しても提供される電気抵抗加熱素子を含むことができる。代替的に、加熱構成部は、電磁(EM)エネルギーを冷却または凍結された組織上に導きエネルギー吸収プロセスによって温めるように構成された電磁(EM)エネルギー源(例えば、石英ランプ又はその他の赤外線放出器、低出力レーザーなど)を含むことができる。加熱構成部はまた、暖かい流体を循環してそれにより低温表面及び隣接する冷却された組織を温めるように構成された、本明細書で説明されたどのような装置の低温表面にも近接する1つ以上の導管を含むこともできる。対流によって組織を温めることができる、暖かい空気の移動源(例えば、ヒートガンまたはヘアードライヤーに類似した構成部)などの、その他の従来の加熱構成部も使用可能である。冷却装置が皮膚の表面に接触している間も、または装置が皮膚表面から除去された後も、使用される加熱構成部及び冷却装置の種類に応じて、加熱構成部が使用可能である。
【0082】
本明細書で説明された任意の例示的な実施形態に従って、複数回の分割された低温治療処置が、皮膚をさらに明るくするために、皮膚の特定領域において実施可能である。複数回の処置は、好適には次の処置が実施される前に、特定の処置からの色素沈着効果が可視的に明らかになることができるように、より長い時間間隔、例えば数日または数週間で実施されることができる。そのような例示的な複数回の処置は、処置された領域の皮膚の外観を次第に明るくするために使用可能である。色素脱失した個所は空間的に離隔されるため、複数回の処置は識別可能な白い箇所を生成することなく、単一の領域に適用されてもよい。
【0083】
本開示のさらなる例示的な実施形態において、低温技術を用いて色素沈着の減少を発生させることにより、皮膚組織の外観を次第にかつ制御可能に明るくするための方法が提供可能である。表皮皮膚組織の複数の空間的に分離された小さな領域は、冷却または凍結されて色素沈着の減少を発生させる。空間的に分離された凍結した領域の大きさは、約2mmより大きいものとすることができ、より好適には約5mmよりも大きいものとすることができる。凍結した表皮領域の下にある上部真皮層の部分もまた、そのような例示的な手順において凍結または冷却されることが可能である。
【0084】
皮膚の隣接する凍結した領域の間の距離は、皮膚表面に沿った、凍結した領域の直径または横方向寸法の約3倍よりも大きいものとすることができ、またはこの直径の約5倍よりも大きいものとすることができる。これらの例示的な距離の比は、凍結した領域の間の皮膚の、影響がなく通常の色素沈着した部分を残すことを可能とする。従って、本明細書で説明された例示的な冷却色素沈着減少の方法は、容易に識別できる色素脱失したスポットを発生することなく、処置される皮膚の領域を次第に明るくすることができる。皮膚組織の凍結は、例えば、本明細書で説明された例示的な装置を用いて、接触冷却によって達成することが可能である。代替的に、そのような色素脱失は、低温スプレーをスプレーすることによって、または処置される皮膚表面の特定の領域を保護し、その一方で低温スプレーが皮膚表面の空間的に分離した領域に接触し凍結させることを可能とするマスクを通して低温物質を適用することによって発生させることができる。
【0085】
本明細書で説明された例示的な手順は、皮膚の特定の領域において、皮膚をさらに明るくするために繰り返すことが可能である。好適には、連続した手順の間隔は色素沈着の減少効果が視覚的に明らかとなり、得られる明るさの全般的な程度をより良好に制御できるようになる程度に十分長くすることができる。望む場合、例えば皮膚の第1の領域において第2の領域に比べて色素沈着の減少の全般的な程度を向上させるために、接触冷却することができる特定の大きさ及び間隔の突起部を有する特定の装置を用いて、複数の手順がより短い間隔で繰り返されてもよい。
【0086】
突起部の形状及び特性、冷却構成部、温度及び/または凍結検出器並びに本明細書で説明されたその他の装置や特徴の様々な組み合わせもまた、ある組み合わせが本明細書で単一の実施形態において明示的に図示または記載されていないとしても、本開示のさらなる例示的な実施形態において用いられてもよい。
【0087】
上記は単に本発明の原理を示すに過ぎない。開示された実施形態のその他の変更は、図面、開示及び添付された特許請求の範囲の研究から請求された発明を実施するうえで、当業者によって理解され、効果的なものとされることができる。特許請求の範囲において、「含む」との語句はその他の要素または段階を除外するものではなく、「1つの」との不定的な記載は、複数を除外するものではない。単一のプロセッサまたはその他のユニットは、特許請求の範囲に記載されたいくつかの項目または段階の機能を満たしうる。特定の手段が相互に異なる従属請求項において記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないということを意味しない。コンピュータプログラムは、その他のハードウェアと共にまたはその他のハードウェアの一部として供給される光学保存媒体または半導体媒体のような適切な媒体上に保存され、配布されてもよいが、インターネットまたはその他の有線もしくは無線遠隔通信システムを介するなど、その他の形態で配布されることもできる。特許請求の範囲における参照符号はいずれも、特許請求の範囲を限定するものと解釈されるべきでない。説明された実施形態に対する様々な改良及び代替は、本明細書の教示を考慮すれば当業者に明らかになるであろう。従って当業者は、本明細書に明示的には説明されていないが、本発明の原理を実施し、そのため本発明の思想及び範囲内にある多数の技術を考案することが可能となることは了解されるであろう。本明細書に引用されたすべての特許および出版物は参照によりその全体が本明細書に組み込まれている。