(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
JIS K7221−2:2006記載の方法に準じて測定した曲げ撓み量が20mm以上、かつ20mm撓み時の押圧が2〜100Nの合成樹脂発泡体からなる複数の棒状又は複数の平板状の支持体を備え、
前記支持体の下方に前記支持体が曲げ変形可能な空間部を形成し、
前記複数の支持体が、曲げ変形可能であるように列設された形態を有することを特徴とするクッション体。
前記支持体が、着座者又は仰臥者が接する面が略水平面の場合は平面視で、又は、着座者が接する面が略垂直面の場合は正面視で、直線形状、曲線形状、及び、直線を任意の角度で屈曲させた直線部分の組み合わせからなる屈曲形状、の内から少なくとも一つ以上の形状からなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のクッション体。
前記支持体を、同一又は異なる材料を積層して一体化した積層構造、又は部位ごとに同一又は異なる材料で形成し一体化させた構造とすることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のクッション体。
前記支持体の部位ごとに加えられる予測押圧の強さと荷重を支えるための望ましい変形量から、前記支持体の部位ごとに変形量を大とする場合には当該部分の断面係数を小とするため支持体の厚みを小とし、変形量を抑制する場合には当該部分の断面係数を大とするため厚みを大と設定することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のクッション体。
前記支持体が押圧される方向に、前記支持体と離隔させて、又は、当接させて、前記支持体の曲げ変形による撓み量を抑制する、弾性体からなる副支持体を配設したことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のクッション体。
前記支持体の裏面に、又は、前記支持体と対向する背面部の前記支持体側の面に、突起物及び/又は突条物を、該突起物及び/又は突条物の先端部が対向する前記背面部又は前記支持体裏面とは離間させて突設したことを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載のクッション体。
前記支持体の裏面に、又は、前記支持体と対向する背面部の前記支持体側の面に、前記脚体より圧縮時の反力が小さい柱状体を、該柱状体の先端部が対向する前記背面部又は前記支持体裏面と当接させて突設したことを特徴とする請求項2に記載のクッション体。
前記柱状体を、前記脚体より柔軟な材料とする手段、先端部を先細り形状とする形態とする手段、屈曲形状の形態とする手段、及び前記脚体より小さい断面積にする手段の内から少なくとも一つ以上の手段によって、前記脚体の圧縮時の反力より小さくすることを特徴とする請求項12に記載のクッション体。
前記脚体は、支持体側の一端は前記支持体により押止され、他端は着座者又は仰臥者により生ずる押圧方向への移動を抑制されて、前記脚体が支持体に接する一端側の支点と脚体の他端側の脚体先端の支点が支持体の押圧方向と同一線上にない形態を有する、略単一線形からなる脚体を、単独又は連続させて配設させたことを特徴とする請求項14に記載のクッション体。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の一般的な車両用シートクッションではクッション材としてウレタンフォームが使用されており、クッション性が極めて高く快適性に優れているため今も尚、多用されている。しかし、該ウレタンフォームはリサイクル性能に劣るという問題があった。さらに、車両用シートクッションは乗員の体重の軽重にかかわらず最適なクッション性を求められることの他に、自動車の運動に伴い乗員に加えられる上下の加速度に対し、乗員の身体に不快感を与えないクッション性が求められる。反面、長時間の乗車時の疲労を軽減するためには乗員の身体を正しい位置や姿勢で支える必要がある。このため非常に軟質なウレタンフォームのみでは機能を満足することができず、ある程度の剛性を確保するためウレタンフォームの密度を一定以上とする必要があり、大幅な軽量化が進まないという問題があった。
【0009】
特許文献1に記載の技術は、乗員による押圧を支えるネット素材がシートクッション周囲に設置されたシートフレームに引き込まれ強固に固定されており、乗員の着座により加えられた押圧はネット素材を通じ最終的にシートフレームの剛性により支えられていた。従ってシートフレームの構造は一定以上の強度を保たねばならず、このため従来のクッション材に相当するネット素材自体の重量は軽量であるものの、シートフレームの重量は増加傾向にあり全体としての重量軽減効果が十分ではないという問題があった。
【0010】
さらに、ネット素材のクッション性は主に素材の伸びによって得られるため限定されており、長期間の使用によりたるみが発生し商品性に劣る傾向にもあった。またシートフレームに平面的なネット素材を張架する構造であるため、基本的なシートクッションの形状は平面的であり、乗員の身体を最適な位置で支えるために必要な三次元形状を得ることが困難であり、その結果、乗員に不快感を与えるという問題があった。これは自動車の運動によって乗員へ横Gが加えられる際等、不安定なハンモック状のネット素材では乗員の身体を安定して支えることができないからである。
【0011】
次に、特許文献2の技術については、スプリングプレートは外形略矩形の板状発泡体であり該スプリングプレートの乗員が着座する側には横方向に複数の溝が形成されている。しかし、溝部が浅いと柔軟性を与えることができず、溝部が深ければクッション材が撓む際、わずかに残った溝部底部の連結部分へ過大な引っ張り力が集中し大きな伸び変形が発生するため復元不能な永久変形を生じる、あるいは破断する恐れが高かった。溝底部にある連結部分が一部でも破壊されれば支えを一気に失いクッション材全体の見かけ硬さが急激に低下し、クッション材としての機能が大きく損なわれる。従って破壊を回避するためクッション材の撓みを一定以上に設計することが事実上困難であり、十分な着座時のフィット感及び快適性を付与することが困難であった。
【0012】
また、特許文献2の技術は、乗員の体格に応じて、高さの異なるブロックを適宜選択することにより個人的に良好な着座感を得ることができるとの記載があるが、乗員は体重の軽重によって着座する前に自分に適する高さのブロックに変えなければならないという、現実的には実施困難な対応をしなければならないという問題があった。
【0013】
次に、特許文献3の技術は、従来の金属製スプリングを用いたマットレスに比べれば軽量であるものの、支持体2及び芯体にウレタンフォームを使用しているので、リサイクル性能に劣り軽量化にも限界があるという問題があった。
【0014】
そこで、本発明の目的は、人の着座時や仰臥時にクッション性、フィット性に富み、軽量化かつリサイクル性に優れるクッション体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明において、合成樹脂発泡体とは、柔軟で曲げ変形が可能であり、かつ復元性に優れたものであり、JIS K7221−2:2006記載の方法(23℃±2℃、相対湿度50±5%の雰囲気下でスキンを取り除いた長さ350mm
、幅100mm、厚さ25mmの試験片を支点6間距離300mm、試験速度20±1mm/minで撓みが最大90mmとなるまで押圧を加え、押圧撓み曲線を記録する。)に準じて測定した曲げ撓みが20mm以上、かつ20mm撓み時の押圧が2〜100Nの合成樹脂発泡成形体を指す。具体的には発泡ポリプロピレン、発泡ポリエチレン、その他ポリオレフィン系樹脂発泡体、あるいは改質ポリスチレン系樹脂発泡体などを指す。前記合成樹脂発泡体には、ビーズ発泡成形体が含まれ、ビーズ発泡成形体としては、ポリプロピレン系ビーズ発泡成形体、ポリエチレン系ビーズ発泡体などがあげられる。
【0016】
材料の具体的選定にあたっては、更に長さ400mm程度の棒状又は平板状の試験片の両端を支持し、中央を25mm前後押し下げ30分間保持し、その後押圧を解放した直後にサンプルの変形からの回復が90%以上あることが望ましい。あるいは従来のウレタンフォーム製のクッションで行なわれていた試験に準じ、両端を支持したサンプルの中央部を所定回数繰り返し押し下げ変形させ、その後に測定された残留歪み(残留変位量ともいう。)が所定量以下であることが望ましい。
【0017】
このような条件を満たす材料として、例えば発泡ポリプロピレンの密度0.06g/cm
3〜0.015g/cm
3、より好ましくは密度0.035g/cm
3〜0.015g/cm
3、または発泡ポリエチレンの密度0.08g/cm
3〜0.03g/cm
3などが好ましい。一方、柔軟性に乏しく曲げ変形により容易に破断の恐れがある硬質発泡ウレタンや発泡ポリスチレンなどは好ましくない。
【0018】
発明者らは軽量化を図るために材料の検討を進めた。連続気泡構造であるウレタンフォームに変わりうる素材の例として、一般に独立気泡構造を持つ合成樹脂発泡体は、従来からクッション材として一般に用いられてきたウレタンフォームに比し、軽量で剛性に富みリサイクルも容易である等の利点を持っていたが、圧縮方向での撓み、復元力をクッションとして使用する場合、内包する空気の反発力により発泡体の変形に伴い反力が急激に高まる傾向にあるため、クッション性に欠け硬く感じられ快適性に劣っていた。
【0019】
また一般に独立気泡構造を持つ合成樹脂発泡体は、ウレタンフォームと同様、圧縮方向に撓ませクッション材として使用する場合、長期間の使用に従い徐々に回復力を失いクリープが発生する。これは気泡を構成する樹脂皮膜の繰り返し変形による疲労と内包する空気の圧力低下によるところが大きい。従って長期間使用されるクッションの素材としては好ましいものではなかった。
【0020】
そこで、発明者らは合成樹脂発泡体の物性を様々な角度から分析することにより、従来の一般的なクッション材として使用されてきた圧縮方向に撓ませる構造ではなく、曲げ変形が可能で復元性に優れた合成樹脂発泡体からなる支持体の曲げ変形とその回復性をクッション材として利用する方法が最適であることを見出し本発明に至った。
【0021】
「発明が解決しようとする課題」に記載した課題を解決するために、請求項1に記載のクッション体1は、JIS K7221−2:2006記載の方法に準じて測定した曲げ撓み量が20mm以上、かつ20mm撓み時の押圧9が2〜100Nの合成樹脂発泡体からなる複数の棒状10又は複数の平板状11の支持体2を備え、前記支持体2の下方に前記支持体2が曲げ変形可能な空間部5を形成し、前記複数の支持体2が、曲げ変形可能であるように列設された形態を有することを特徴とする。
【0022】
請求項2に記載のクッション体1は、請求項1において、前記支持体2を支持する脚体3を備え、前記支持体2を、前記脚体3に嵌設し、前記脚体3に載設し、前記脚体3に固設し、又は前記脚体3と一体成形された形態であり、かつ、前記支持体2を片持ち梁の形態、両持ち梁の形態、又は、3箇所以上の複数点支持の形態であることを特徴とする。
【0023】
請求項3に記載のクッション体1は、請求項1において、前記支持体2を支持するフレーム50を備え、
前記支持体2を、前記フレーム50に嵌設し、前記フレーム50に載設し、又は前記フレーム50に固設し、かつ、前記支持体2を片持ち梁の形態、両持ち梁の形態、又は、3箇所以上の複数点支持の形態であることを特徴とする。
【0024】
請求項4に記載のクッション体1は、請求項1乃至3のいずれかにおいて、前記支持体2が、着座者又は仰臥者が接する面が略水平面の場合は平面視で、又は、着座者が接する面が略垂直面の場合は正面視で、直線形状、曲線形状、及び、直線を任意の角度で屈曲させた直線部分の組み合わせからなる屈曲形状、の内から少なくとも一つ以上の形状からなることを特徴とする。
【0025】
請求項5に記載のクッション体1は、請求項1乃至4のいずれかにおいて、前記支持体2を、同一又は異なる材料を積層して一体化した積層構造、又は部位ごとに同一又は異なる材料で形成し一体化させた構造とすることを特徴とする。
【0026】
請求項6に記載のクッション体1は、請求項1乃至5のいずれかにおいて、前記支持体2の部位ごとに加えられる予測押圧の強さと荷重を支えるための望ましい変形量から、前記支持体2の部位ごとに変形量を大とする場合には当該部分の断面係数を小とするため支持体2の厚みを小とし、変形量を抑制する場合には当該部分の断面係数を大とするため厚みを大と設定することを特徴とする。
【0027】
請求項7に記載のクッション体1は、請求項1乃至6のいずれかにおいて、前記支持体2に、前後方向、左右方向、又は上下方向に貫通孔8を設けたことを特徴とする。
【0028】
請求項8に記載のクッション体1は、請求項1乃至7のいずれかにおいて、前記支持体2の人が接する側の表面に、突起物15や突条物16を突設したことを特徴とする。
【0029】
請求項9に記載のクッション体1は、請求項1乃至8のいずれかにおいて、前記支持体2が押圧される方向に、前記支持体2と離隔させて、又は、当接させて、前記支持体2の曲げ変形による撓み量を抑制する、弾性体からなる副支持体4を配設したことを特徴とする。
【0030】
請求項10に記載のクッション体1は、請求項1乃至9のいずれかにおいて、前記支持体2を複層構造とし、前記層間に空隙43を設けたことを特徴とする。
【0031】
請求項11に記載のクッション体1は、請求項1乃至10のいずれかにおいて、前記支持体2の裏面に、又は、前記支持体2と対向する背面部の前記支持体2側の面に、突起物15及び/又は突条物16を、該突起物15及び/又は突条物16の先端部が対向する前記背面部又は前記支持体2裏面とは離間させて突設したことを特徴とする。
【0032】
請求項12に記載のクッション体1は、請求項
2において、前記支持体2の裏面に、又は、前記支持体2と対向する背面部の前記支持体2側の面に、前記脚体3より圧縮時の反力が小さい柱状体18を、該柱状体18の先端部が対向する前記背面部又は前記支持体2裏面と当接させて突設したことを特徴とする。
【0033】
請求項13に記載のクッション体1は、請求項12において、前記柱状体18を、前記脚体3より柔軟な材料とする手段、先端部を先細り形状とする形態とする手段、屈曲形状の形態とする手段、及び前記脚体3より小さい断面積にする手段の内から少なくとも一つ以上の手段によって、前記脚体3の圧縮時の反力より小さくすることを特徴とする。
【0034】
請求項14に記載のクッション体1は、請求項2、12又は13において、前記脚体3が、支持体2に接する一端側の支点と他端側の脚体先端の支点とを結ぶ線上において、単数回又は複数回屈曲した形状を有することを特徴とする。
【0035】
請求項15に記載のクッション体1は、請求項14において、前記脚体3は、支持体2側の一端は前記支持体2により押止され、他端は着座者又は仰臥者により生ずる押圧方向への移動を抑制されて、前記脚体3が支持体2に接する一端側の支点と脚体3の他端側の脚体3先端の支点が支持体2の押圧方向と同一線上にない形態を有する、略単一線形からなる脚体3を、単独又は連続させて配設させたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0036】
請求項1に記載のクッション体1の発明は、いずれも従来一般的に使用されていたウレタンフォームを合成樹脂発泡体に置換することが可能なものであり、そのため軽量化、リサイクル性の向上が可能となるものである。また、比較的硬質でありクッション性、フィット性、耐クリープ性に劣っていた合成樹脂発泡体を使用するにもかかわらず、高いクッション性、フィット性を付与させることが可能であり、設計の自由度が高く着座者や仰臥者の身体を適切に支持し高い快適性を得ることができ、長期間の使用によっても従来のウレタンフォームと同等の良好な耐クリープ性を発揮するため高い商品性を有するという効果を奏する。
【0037】
請求項2に記載のクッション体1は、請求項1に記載の発明と同じ効果を奏するとともに、さらに、支持体2を該支持体2から延設された脚体3で支持する形態であり、脚体3によって支持体2の下方へ曲げ変形可能な空間を形成するという効果を奏する。
【0038】
請求項3に記載のクッション体1は、請求項1に記載の発明と同じ効果を奏するとともに、さらに、支持体2をフレーム50で支持する形態であり、フレーム50によって支持体2の下方へ曲げ変形可能な空間を形成するという効果を奏する。
【0039】
請求項4に記載のクッション体1は、請求項1乃至3のいずれかと同じ効果を奏する。さらに、小型のクッション体で支持体2の両端間の距離が十分に確保できず、着座者又は仰臥者による荷重で十分な撓みを得ることができない場合、支持体2を直線形状ではなく円弧形状、又は直線を任意の角度で屈曲させた直線部分の組み合わせからなる屈曲形状に形成することで曲げ変形を受ける際の実質的な支持体2の両端間の距離を大きくすることができ十分な撓みを得られるようにできるので、設計の自由度を高めることができる。
【0040】
請求項5に記載のクッション体1は、請求項1乃至4のいずれかと同じ効果を奏する。さらに、支持体2が積層構造の場合、例えば着座者側又は仰臥者側の支持体2をより柔軟性を有する材料にすることにより着座者や仰臥者が接する側のクッション性を高めることができ、着座者側又は仰臥者側の支持体2の形状を身体の形状に合わせれば着座時や仰臥時に身体の外形に適合させることができる。
【0041】
また、支持体2が部位ごとに設定した異種の材料の組み合わせからなる一体化させた構造の場合、例えば着座者又は仰臥者による押圧が強い部位と弱い部位に別れる場合、支持体2の押圧の強い部位には密度の高い合成樹脂発泡体を使用し、押圧の弱い部位には密度の低い合成樹脂発泡体を使用することによって、支持体2の撓み量を全域に亘り均一化でき、着座者や仰臥者の身体を好ましい位置に支えることができる。
【0042】
請求項6に記載のクッション体1は、請求項1乃至5のいずれかと同じ効果を奏する。さらに、クッション体1は脚体3により支持された支持体2が加えられる押圧に応じて曲げ変形し発生する反力で押圧を支える構造であるため、例えば両持ち梁形態の支持体2の場合、中央部分の撓み量が大きくなるが、その中央部分の断面積を両端部近傍より大きくすることによって中央部分の曲げ変形を生じにくい構造とすることができ、支持体2の部分的な撓み量を平均化することができ支持体2の全域に亘り一様なクッション性を得ることができる。
【0043】
したがって、支持体2の押圧を受ける表面の幅や押圧方向の厚みを部分的に変え、断面形状や断面寸法を変えて設定することによって、前記支持体2の撓み量を部位ごとに調整することができるという効果を奏する。
【0044】
請求項7に記載のクッション体1は、請求項1乃至6のいずれかと同じ効果を奏する。さらに、貫通孔8によって軽量化や通気性を高めることができる。
【0045】
請求項8に記載のクッション体1は、請求項1乃至7のいずれかと同じ効果を奏する。さらに、着座者又は仰臥者がクッション体1に接するときに、前記クッション体1を構成する支持体2より断面積の小さい突起物15又は突条物16の先端部が真っ先に当接し曲げ等の変形をするので、着座者は着座したときに又は仰臥者は仰臥したときに柔らかい接触感を感じることができるという効果を奏する。
【0046】
請求項9に記載のクッション体1は、請求項1乃至8のいずれかと同じ効果を奏する。さらに、支持体2と副支持体4とが離隔されて配設された形態の場合は、着座者又は仰臥者による押圧を受けた支持体2が空間部5に曲げ変形することによって撓み、一定以上の撓み量になった以降は、支持体2の曲げ方向側である裏面が対向する副支持体4に当接し、前記当接以降は支持体2の撓みによる反力と副支持体4の撓みによる反力によって支持力を高めることができ、必要以上に身体が沈み込むのを抑制することができ、着座者や仰臥者の身体を適切な位置で支えることができる。
【0047】
また、支持体2と副支持体4とが当接されて配設された形態の場合は、前記副支持体4が支持体2に当接している範囲は、前記副支持体4が支持体2に当接していない範囲に比較して、支持力を高めることができる。よって、着座者又は仰臥者による高い押圧が加えられると予測できる範囲に前記副支持体4を当接させて配設することによって、着座者又は仰臥者による沈み込み量を減少させることができる。
【0048】
請求項10に記載のクッション体1は、請求項1乃至9のいずれかと同じ効果を奏する。さらに、支持体2を2層や3層などの複層構造にしたことにより、例えば2層構造の場合においては、身体がまず第一層に当接して、第一層が柔軟に身体を受け止め、さらに押圧され撓み量が大となり、第一層が第二層に当接した以降、第二層の曲げ変形に対する反力が加わるため、身体の沈み込みを抑制し身体を適切な位置に止めることができる。
【0049】
また、第一層や第二層の形状や寸法を部分的に変化させることにより、支持体2の部位別に異なる硬さや撓み量を得ることができる。
【0050】
請求項11に記載のクッション体1は、請求項1乃至10のいずれかと同じ効果を奏する。さらに、突起物15や突条物16の先端を対向する面とは離間させている構造とすることから、身体が支持体2の表面に当接して、支持体2が柔軟に身体を受け止め、さらに押圧され撓み量が大となった以降、突起物15や突条物16が対向する面に当接し、突起物15や突条物16の圧縮変形に対する反力が加わるため、身体の沈み込みを抑制し身体を適切な位置に止めることができる。
【0051】
請求項12又は13に記載のクッション体1は、請求項1乃至10のいずれかと同じ効果を奏する。さらに、先端が尖った形状を有する柱状体18や、支持体2よりも密度を小さくし柔らかい材料を有する柱状体18の両端を、支持体2と背面部30のどちらかに一端側を固設し他端側を当接させる構造としている。よって、支持体2に係る押圧が高い部位や曲げ変形が大きいと予測される部位に前記柱状体18を配設すれば、発生する最大撓み量を一定以下にすることができる。
【0052】
請求項14又は15に記載のクッション体1は、請求項1乃至13のいずれかと同じ効果を奏する。さらに、脚体3を屈曲しやすくすることができるため、脚体3近傍の撓み量を大きくすることができるので、支持体2の脚体3と接する部位と脚体3と接していない部位との撓み量を平均化することができ支持体2の全域に亘り一様なクッション性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1】本発明の棒状の支持体と脚体(支持体と脚体は別物)を備えるクッション体の説明図である。
【
図2】本発明の棒状の支持体と脚体(一体成形)を備えるクッション体の説明図である。
【
図3】本発明の平板状の支持体と脚体(一体成形)を備えるクッション体の説明図である。
【
図4】本発明の棒状の支持体と脚体(支持体と脚体は別物)を備えるクッション体の説明図である。
【
図5】本発明の棒状の支持体と脚体(一体成形)を備えるクッション体の説明図である。
【
図6】本発明の棒状の支持体と脚体(支持体と脚体は別物)を備えるクッション体の説明図である。
【
図7】
図2のB−B断面で表皮を備えたクッション体の説明図である。
【
図8】
図1のA−A断面で、支持体を脚体に載設させたクッション体の説明図である。
【
図9】
図2のB−B断面で、支持体と脚体とを一体成形したクッション体の説明図である。
【
図10】
図1のA−A断面で、支持体と脚体とを固設したクッション体の説明図である。
【
図11】
図1のA−A断面で、脚体を複数設けた形態の説明図である。
【
図12】
図1のA−A断面で、支持体が片持ち梁の形態の説明図である。
【
図13】支持体の平面視又は正面視の形態を示す、(a)が直線状、(b)が曲線状、(c)が屈曲状の説明図である。
【
図14】略水平状態で使用した場合の略平板状の支持体であり、(a)が支持体同士を複数個所で部分的に連結した支持体、(b)が支持体同士を単数個所で部分的に連結した支持体の略平面説明図である。
【
図15】
図2のB−B断面で、支持体が異種の材料からなる積層構造の説明図である。
【
図16】
図2のB−B断面で、支持体を部位ごとに異種の材料で構成させて一体化させた構造の説明図である。
【
図17】支持体の幅を部位により変えた形態の説明斜視図である。
【
図18】
図2のB−B断面で、支持体の厚みを部位により変えた形態の説明図である。
【
図19】支持体の断面図で、(a)が四角形状、(b)が円形状、(c)がパイプ状の説明図である。
【
図20】支持体に貫通孔を設けた
図2のB−B断面図で、押圧方向に貫通孔を設けた説明図である。
【
図21】
図2のB−B断面で、支持体の表面に突起物を設けた説明図である。
【
図22】
図2のB−B断面で副支持体の形態を示す、(a)が支持体と離隔された帯状、(b)がコイル状、(c)が支持体に当接させた帯状の形態の説明図である。
【
図23】支持体が2層構造の場合であって、(a)が斜視概要図、(b)が(a)のW−W断面概要図である。
【
図24】支持体が2層構造の場合の、(a)が
図19のW−W断面で支持体の厚みを変えた形態を示し、(b)が
図19のW−W断面で支持体の面形状に変化を設けた形態を示し、(c)が
図19のX−X断面の一層目は一体化し2層目を分割させた説明図である。
【
図25】
図2のB−B断面で、突起物又は突条物を突設させた形態を示し、(a)が支持体の裏面に、(b)が背面部の空間部側にそれぞれ突起物を設けた説明図である。
【
図26】
図2のB−B断面で、柱状体を設けた形態を示し、(a)が支持体から突設させた形態、(b)が背面部から突設させた形態の説明図である。
【
図27】
図2のB−B断面で、脚体の形態を示し、(a)、(b)及び(c)が傾斜状、(d)及び(e)が屈曲状、(f)が3箇所以上の支点を有する形態の説明図である。
【
図28】JIS K7171、又は、ISO178に規格された曲げ試験方法を示す図で、(a)が無負荷時、(b)が荷重時の図である。
【
図29】支持体と、脚体又はフレームとの形態を例示する説明図で、(a)が支持体の両端底面を斜面形状にする形態、(b)が支持体を両側から抱えるような形態、(c)が支持体の両側に延設させた部位を支持する形態である。
【
図30】支持体と、脚体又はフレームとの形態を例示する説明図で、(a)が支持体の底面を棒状体で支持する形態、(b)が支持体の底面を平板状体又は棒状体で支持する形態、(c)が支持体の凹部に凸部を挿入して支持する形態である。
【
図31】支持体と、脚体又はフレームとの形態を例示する説明図で、(a)が支持体の両側を溝型のものに挿入させる形態、(b)が支持体の両側の凸状部を溝型のものに挿入させる形態、(c)が支持体の両側の凸状部を上下方向から挟む形態である。
【
図32】支持体と、脚体又はフレームとの形態を例示する説明図で、(a)が支持体の両側の凹部に凸部を挿入させる形態、(b)が支持体の両側を接着手段で固定化する形態、(c)が支持体の両側を締結手段で固定化する形態である。
【
図33】発泡体と無発泡体とのJIS K7221−2による曲げ試験の比較図である。
【
図34】
図22(a)に示す帯状の副支持体を設けた構造における圧縮―変位量線図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下、本発明に係るクッション体1の実施形態について説明する。
【0055】
本発明に係るクッション体1は、人の着座時や仰臥時に利用される、車両、船舶及び飛行機等の乗物用シート、ソファ、椅子、座布団、ベッド、寝台車、マットレス、敷布団、枕、マット等に、クッションとしての構成要素とすることができる。
【0056】
クッション体1は、
図1乃至
図6に示すように、JIS K7221−2:2006記載の方法に準じて測定した曲げ撓み量が20mm以上、かつ20mm撓み時の押圧9が2〜100Nの合成樹脂発泡体からなる複数の棒状10又は複数の平板状11の支持体2を備え、前記支持体2の下方に前記支持体2が曲げ変形可能な空間部5を形成し、前記複数の支持体2が、曲げ変形可能であるように列設された形態を有する。そして、クッション体1の使用時に加えられる荷重によって前記支持体2が曲げ変形するときに生じる支持体2の曲げ歪みが5%以内とすることもできる。
【0057】
そして、
図29乃至
図32に示す形態のように、支持体2は、脚体3やフレーム50に載設又は固定化されている。支持体2と脚体3との構成については、支持体2を、脚体3に載設し、嵌設し、固設し、又は前記脚体3と一体成形する。そして、前記支持体2と前記脚体3との固設形態が、前記支持体2を片持ち梁の形態、両持ち梁の形態、3箇所以上の複数点支持の形態、又は、前記支持体2と前記脚体3とを一体成形した形態を有している。フレーム50の材質としては、鉄等の金属、アルミニウム等の非鉄金属、プラスチック等の樹脂、カーボンファイバー、木材などが該当し、剛性を有する材質であればよい。
【0058】
次に、支持体2とフレーム50との構成については、支持体2を、フレーム50に載設し、嵌設し、又は前記フレーム50に固設する。そして、前記支持体2と前記フレーム50との固設形態が、前記支持体を片持ち梁の形態、両持ち梁の形態、3箇所以上の複数点支持の形態を有している。
【0059】
支持体2と、前記支持体2を支持する脚体3又はフレーム50との形態については、前記支持体2と直接に脚体3又はフレーム50が接触する形態、前記支持体2とは介在物を介して脚体3又はフレーム50と接続される形態がある。いずれにしても支持体2を曲げ変形させるときの支点を構成するものであればよく、その形態の例示を
図29乃至
図32に示す。
【0060】
支持体2の底面で支える形態としては、
図29及び
図30に示すように、支持体2の両端底面を斜面形状にする形態(
図29(a))、支持体2を両側から抱えるような形態(
図29(b))、支持体2の両側に延設させた部位を支持する形態(
図29(c))、支持体2の底面を棒状体で支持する形態(
図30(a))、支持体2の底面を平板状体又は棒状体(
図30(a)とは90°方向が異なる)で支持する形態(
図30(b))、支持体2の凹部に凸部を挿入して支持する形態(
図30(c))などが例示される。嵌設手段とは、凹部に凸部を挿入して支持する形態などの、嵌め込んで拘束する形態が該当する。
【0061】
また、支持体2の両側で支持する形態としては、
図31又は
図32に示すように、支持体2の両側を溝型のものに挿入させる形態(
図31(a))、支持体2の両側の凸状部を溝型のものに挿入させる形態(
図31(b))、支持体2の両側の凸状部を上下方向から挟む形態(
図31(c))、支持体2の両側の凹部に凸部を挿入させる形態(
図32(a))、支持体2の両側を接着手段で固定化する形態(
図32(b))、支持体2の両側を締結手段で固定化する形態(
図32(c))などが例示される。
【0062】
支持体2を脚体3に載設する形態とは、
図10において支持体2と脚体3との境界gにおいて固設されていない状態をいう。また、変形が可能であるように列設された形態とは、複数の棒状10又は複数の平板状11の支持体2が、相互に干渉せずに曲げ変形可能であればよく、複数の棒状10又は複数の平板状11同士が接していてもよく、例えば
図2に示すように間隔12が設けられてもよい。
【0063】
そして、前記支持体2と前記脚体3との固設態様として、
図12に示すように前記支持体2を片持ち梁形態、
図10に示すように両持ち梁形態、又は
図11に示すように3箇所以上の複数点支持の形態で、前記支持体2を支持するように固定した態様がある。そして、
図9に示すように前記支持体2と前記脚体3とを一体成型した態様がある。さらに、図示はしていないが、
図12に示すように前記支持体2を片持ち梁形態、
図10に示すように両持ち梁形態、又は
図11に示すように3箇所以上の複数点支持の形態で、それぞれの固設個所を一体成形した形態がある。また、支持体2と脚体3とを固設する方法としては、
図9に示すように支持体2と脚体3とを一体成形する方法、
図10に示すように支持体2と脚体3との境界gに接着剤で固定する方法や、ボルトナット等で固定する方法などがある。
【0064】
本発明のクッション体1は、本発明の支持体2の材料である合成樹脂発泡体を使用するために支持体2が、ウレタンのように圧縮変形させるのでなく、曲げ変形によりクッション性を得ようとするものである。よって、支持体2の後方には空間部5を形成させることが必要である。人の着座時や仰臥時の押圧によって、合成樹脂発泡体からなる支持体2が空間部5側に曲げ変形して撓むことによって、本発明に係るクッション体1が着座者や仰臥者に高い座り心地や高い寝心地を感じさせることができる。また、前記空間部5に支持体2の曲げ変形を阻害しない物を充填材として充填してもよく、例えば繊維状物を充填材として充填してもよい。
【0065】
また、クッション体1は、空間部5には副支持体4を備える形態もある。また、クッション体1を車両用シートやベッドに使用する場合は、
図7に示すように、前記クッション体1の外周面は表皮7で被覆される。
【0066】
また、クッション体1の使用時に加えられる荷重によって前記支持体2に生じる曲げ歪みを5%以内に留めるように、支持体2の大きさ、断面形状、支点間距離等を設定する。
【0067】
クッション体1は長期間に亘る繰り返し荷重に対して合成樹脂発泡体の弾性域で使用させることが要求される。しかし、一般的に合成樹脂発泡体の弾性域は引張や圧縮の波形をとっても明確な降伏点が顕在化せず徐々に塑性変形が加わるため弾性域を正確に判断することが難しい。そこで発明者らは試作を繰り返すことにより、加えられる荷重が負荷される際に生じる曲げ歪みを5%以内に留まるようにすれば、一般に複数回使用されるクッション体1として要求される耐久復元性を満足させることが可能になることを見出した。クッション体1に生じる曲げ歪みを5%以内に留めれば長期間、あるいは繰り返し負荷される荷重に対しても耐久復元性を満足することができるという効果を奏する。
【0068】
クッション体1の使用時に加えられる荷重とは、様々な用途や形態のクッション体1を使用するときに一般的に考えられる荷重を意味する。例えば、乗用車であれば、JIS D0001−2001に規定された車両総重量算出に使用する乗員一人あたりの体重が55kgであることから55kgを設定して支持体2の大きさ、断面形状、支点間距離等を設定する。クッション体1の他の用途である、船舶や飛行機等の乗物用シート、ソファ、椅子、座布団、ベッド、寝台車、マットレス、敷布団、枕、マット等のそれぞれに応じて荷重を設定する。
【0069】
前記曲げ歪みは、硬質又は半硬質プラスチックの曲げ試験方法の規格であるJIS K7171、又は、ISO178により求めることができる。まず、使用者に相当する、使用状態に負荷される荷重のダミーを試験体であるクッション体1の正常位置に着座又は仰臥させ、クッション体1各部に負荷される荷重を測定する。この結果をもとに相応する各部位の支持体2に加わる荷重を求める。その後、相応する部分と等しい形状や支持形態とした実験用サンプルに、前記求めた荷重を負荷させて生じるたわみ量を測定し、支持体2の支点距離、支持体2の厚みとともに、JIS K7171に規定された計算式(式1)に代入し、曲げ歪みを求める。模式化した曲げ試験方法を
図28に示す。
図28(a)が無負荷時で、(b)が負荷時でsmmたわみが生じたことを示している。そして、曲げ歪みは以下の関係式(式1)から算出される。
【0070】
曲げ歪みε(%)=600sh/L
2 (式1)
なお、s:たわみ(mm)、h:試験片(支持体3)の厚み(mm)、L:支点間距離(支持体を支える支点間距離)(mm)である。前記支点6として支持体2と、支持体2を両端で支える脚体3又はフレーム50との接点部が該当する。
【0071】
一般的に合成樹脂発泡体の弾性域は引張や圧縮の波形をとっても明確な降伏点が顕在化せず徐々に塑性変形が加わるため弾性域を正確に判断することが難しい。
そこで発明者らは試作を繰り返すことにより、加えられる荷重が負荷される際に生じる曲げ歪みを5%以内に留まるようにすれば、一般に複数回使用されるクッション体1として要求される耐久復元性を満足させることが可能になることを見出した。
【0072】
さらに好ましくは、曲げ歪みを求める式(式1)から、クッション体1の支点間距離Lとクッション体1の厚みhとの比率、すなわちL/hの値が4〜40の間にあることが好ましい。L/hの比率が4を下回る場合には、クッション体1の曲げ変形によって生じるたわみsがクッション体1の厚みhに対し極めて小となるためクッション体として一般に求められる十分な変形ストロークが得られず商品性に欠ける。一方、L/hの比率が40を超える場合には、クッション体の厚みhよりも大である曲げたわみを得ることができるが、その変形範囲において支持できる荷重が極めて小となり、クッション体が大きくなることと併せ、商品性に欠ける。
【0073】
次に、支持体2、脚体3及び副支持体4等の構成要素について説明する。本発明のクッション体1は、以下に説明する支持体2を基本的構成要素として、脚体3、フレーム50、副支持体4、突起物15、突状物16、柱状体18、積層構造の支持体2、部位ごとに異種材料からなる構造の支持体2、貫通孔を設けた支持体2、複層構造からなる支持体2、種々の形態の脚体3等の内から選択した組み合わせから構成することができる。
【0074】
まず、支持体2について説明する。支持体2は、材料が合成樹脂発泡体からなり、人の着座又は仰臥による押圧9で空間部5側に曲げ変形し撓みを生ずる。支持体2の形態として、
図3に示すように複数の平板状11の形態、及び、
図1、
図2、
図4乃至
図6に示すように複数の棒状10の形態があり、前記支持体2と脚体3との構成は、
図8に示すように支持体2の両端部を脚体3の上端部に載置させた形態、
図10に示すように支持体2と脚体3とはそれぞれ別体のものを固設した形態、及び
図9に示すように支持体2と脚体3とを一体成型した形態等がある。
【0075】
そして、複数の平板状11の支持体2又は複数の棒状10の支持体2と脚体3との固設構造は、支持体2の両端に配設された脚体3に対して
図12に示すように片持ち梁形態、又は
図10に示すように両持ち梁形態があり、あるいは、
図11に示すように支持体2の両端間に亘って3箇所以上の複数点支持の形態がある。
【0076】
次に、複数の棒状10又は複数の平板状11の支持体2の形状として、着座者又は仰臥者が接する面が略水平面の場合は平面視で、又は、着座者が接する面が略垂直面の場合は正面視で、
図13(a)に示すような直線形状、
図13(b)に示すような曲線形状、
図13(c)に示すような直線を任意の角度で屈曲させた直線部分の組み合わせからなる屈曲形状、
図14(a)に示すように示すように間隔12を設けて列設した複数の支持体2同士を複数個所で部分的に連結した形状、及び、
図14(b)に示すように間隔12を設けて列設した複数の支持体2同士を単数個所で部分的に連結した形状、等の形状の中から少なくとも一つ以上の組み合わせからなる形状がある。
【0077】
支持体2の形状を、直線形状、曲線形状及び屈曲形状の内から少なくとも一つ以上の形状からなる形態とすることによって、着座者又は仰臥者に対して接しさせたい部位に支持体2の位置を適応させることができ、前記形状によってクッション体1の部位ごとの撓み量を変えることができる。
【0078】
次に、支持体2の構造を、材料の異なる複数の支持体2又は同一材料の複数の支持体2からなる積層構造、又は部位ごとに異種の材料からなる構成部分を組み合わせて一体化させた構造とすることができる。
【0079】
支持体2の構造を積層構造とした場合は、同一材料又は異なる材料からなる支持体2を接着剤等で固定化して積層させた支持体2であり、例えば異なる材料からなる積層構造としては、
図15に示すように着座者又は仰臥者による押圧方向に対して、異硬度や異密度等の性質の異なる2種類の材料a40及び材料b41からなる層を積層させた2層からなる支持体2であり、材料の組み合わせによって支持体2の撓み量を調整することができる。
【0080】
また、支持体2の構造を、部位ごとに設定した異種の材料の組み合わせからなる一体化させた構造とする場合は、例えば
図16に示すように支持体2の部位によって異硬度や異密度等の性質の異なる2種類の材料a40及び材料b41で構成する支持体2であり、材料の組み合わせによって部位ごとに支持体2の撓み量を調整することができる。
【0081】
棒状10の支持体2の場合は、断面形状を
図19(a)に示すように四角形状、
図19(b)に示すように円形状、多角形状、台形状、楕円形状、
図19(c)に示すようにパイプ形状等任意に断面形状を設定してもよい。断面形状によって撓み量が変わるので、断面形状の選択により支持体2の撓み量を変えることができる。
【0082】
複数の平板状11の支持体2又は複数の棒状10の支持体2は、着座者や仰臥者の押圧方向の断面の形状、並びに幅や厚みの寸法を変えることによって曲げ変形に伴い発生する反力の大きさを変えることができる。曲げ変形に対する剛性は断面係数で表されるが、支持体2の断面形状が、長方形状、正方形状、円形状、パイプ形状等の形状によって断面係数が変わるし、支持体2の幅が広くなれば曲げに強くなって曲げ変形しにくくなり、支持体2の幅が狭くなれば曲げに弱くなって曲げ変形しやすくなり、支持体2の厚みが厚くなれば曲げに強くなって曲げ変形しにくくなり、支持体2の厚みが薄くなれば曲げに弱くなって曲げ変形しやすくなる。
【0083】
したがって、支持体2の断面形状や、幅や厚み等の断面の大きさにより撓み量を調整することができる。例えば、
図17に示すように着座者や仰臥者による押圧が高い部位に該当する支持体2の幅を広くすれば支持体2は撓みにくくなって撓み量を調整して着座者や仰臥者の沈み込み位置を適正化させることができ、また、
図18に示すように着座者や仰臥者による押圧が高い部位に該当する支持体2の押圧方向の厚みを厚くすれば支持体2は撓みにくくなって撓み量を調整して着座者や仰臥者の沈み込み位置を適正化させることができる。
【0084】
次に、複数の棒状10又は複数の平板状11の支持体2に、
図20に示すように前後方向、左右方向、又は上下方向に貫通孔8を設けてもよい。貫通孔8を設けることによって、クッション体1の軽量化、及びクッション体1の通気性を高めることができる。
【0085】
また、
図21に示すように、複数の棒状10又は複数の平板状11の支持体2の人が接する側の表面に、突起物15や突条物16を突設してもよい。突起物15の形態としては、円柱状や多角形柱状等の柱状であって、前記柱状の先端部形状が平面、凹面又は凸面形状等の任意の形状でよく、突条物16の形態としては縦、横、斜めのうち少なくとも一方向に直線状又は曲線状の複数の細長い突条が支持体2の表面に配設され、前記突条物16の断面形状が、長方形、台形又は波形等任意の形状でよく、着座者や仰臥者の押圧によって圧縮や曲げ変形する形態であればよい。突起物15や突条物16によって、着座者又は仰臥者はクッション体1に接したときに柔らかい接触感を感じることができるという効果を奏する。
【0086】
次に、
図25(a)に示すように複数の棒状10又は複数の平板状11の支持体2の裏面に、又は、
図25(b)に示すように前記支持体2と対向する背面部30の前記支持体2側の面に、突起物15及び/又は突条物16を、該突起物15及び/又は突条物16の先端部が対向する前記背面部30又は前記支持体2裏面とは離間させて突設してもよい。
【0087】
身体が支持体2の表面に当接して、支持体2が柔軟に身体を受け止め、さらに押圧され撓み量が大となった以降、突起物15や突条物16が対向する面に当接し、突起物15や突条物16の圧縮変形に対する反力が加わるため、身体の沈み込みを抑制し身体を適切な位置に止めることができる。
【0089】
前記脚体3は、支持体2に接する一端側の支点6と他端側の脚体3先端の支点6とを結ぶ線上において、単数回又は複数回屈曲した形状を有する。そして、前記脚体は、支持体側の一端は前記支持体により押止され、他端は着座者又は仰臥者により生ずる押圧方向への移動を抑制されて、前記脚体が支持体に接する一端側の支点と脚体の他端側の脚体先端の支点が支持体の押圧方向と同一線上にない形態を有する、略単一線形からなる脚体を、単独又は連続させて配設される。
【0090】
前記脚体3の、前記支持体2に接する一端側の支点6と他端側の脚体3先端の支点6とを結ぶ線上とは、前記脚体3の、支持体2に接する一端側の支点6から押圧方向で例えば背面部30に接する他端側の支点6に至るまでを結んだ1本の線上を意味し、例えば、
図27(a)において脚体3の支持体2との接する一端側の支点6と他端側の支点6を結ぶ線上を意味する。
【0091】
前記略単一線形からなる脚体3とは、支持体2に接する一端側の支点6から押圧方向で例えば背面部30に接する他端側の支点6に至るまでの1本の脚体3を意味する。そして、単独に配設された脚体3としては、例えば
図27(a)に示すような脚体3の形態を意味し、連続させて配設させた脚体3としては、例えば
図27(f)に示すような脚体3の形態を意味する。
【0092】
脚体3の具体的形態として、着座者又は仰臥者による押圧方向に対して
図1に示すような同一直線状の形態、
図27(a)、(b)又は(c)に示すように傾斜状の形態、
図27(d)又は(e)に示すように屈曲形状の形態、
図27(f)に示すように支持体2に対して多数点支持可能な略波形状の形態、又は断面が略U字形状のお椀型の突起を配設させた形態(図なし)を有する。
【0093】
脚体3は、材料としては、脚体3に押圧により変形をさせない場合には板製やフレーム等の剛性を有する材料からなり、脚体3に押圧による変形をさせる場合には合成樹脂発泡体、ゴム、ばね又は柔軟性を有するプラスチック等の弾性体からなる。
【0094】
脚体3と離隔した部位は比較的撓み量が大きくなり脚体3近傍の部位は比較的撓み量が小さくなる傾向があるが、脚体3の材料を弾性体とし屈曲しやすい形態とすると、支持体2と脚体3との支点部近傍の撓み量を大きくすることができるので、支持体2の脚体3近傍の部位と脚体3と離隔した部位との撓み量を平均化することができ、支持体2の全域に亘り一様なクッション性を得ることができる。
【0095】
次に、柱状体18について説明する。前記柱状体18は、支持体2と背面部30との間に介在させる形態を有し、
図26(a)に示すように、該柱状体18の先端部を対向する背面部30に当接させて、複数の棒状10又は複数の平板状11の支持体2の裏面に突設される形態、又は、
図26(b)に示すように前記柱状体18の先端部を対向する前記支持体2裏面に当接させて、前記支持体2と対向する背面部30の前記支持体2側の面に突設される形態を有する。
【0096】
前記柱状体18は、先端部の断面積を根元部より小さくした形態、及び/又は、支持体2の材料である合成樹脂発泡体の密度よりも密度を小さくした材料からなる。
【0097】
着座者又は仰臥者の押圧によって比較的大きく曲げ変形し撓む部位に、柱状体18を支持体2と背面部30間に介在させて、前記支持体2又は背面部30に固設させることによって、支持体2に発生する最大撓み量を一定以下にすることができる。
【0098】
そして、柱状体18の先端部の断面積を根元に対して小さくなるようにしたり、柱状体18の材料を支持体2よりの軟らかいものにすることにより、着座者が着座するときに又は仰臥者が仰臥するきにクッション体1の柔らかさが感じられる。
【0099】
次に、支持体2の複層構造について説明する。
【0100】
支持体2の複層構造は、
図23(a)や(b)に示すように、支持体2を、着座者又は仰臥者による押圧方向に対して、各層間に空隙43を設けて2層や3層などの複層構造とする。
【0101】
支持体2が1層構造の場合は、着座者や仰臥者の押圧を支えるように支持体2の厚みや幅の大きさを設定していたが、支持体2を2層以上の複層にすることによって、例えば2層構造の場合においては、身体がまず第一層に当接して、第一層が柔軟に身体を受け止め、さらに押圧され撓み量が大となり、第一層が第二層に当接した以降、第二層の曲げ変形に対する反力が加わるため、身体の沈み込みを抑制し身体を適切な位置に止めることができる。
【0102】
また、例えば
図24(a)に示すように、一層目の支持体2の厚みは均一で、二層目の支持体2の中央部を押圧方向において厚めにすれば支持体2の中央部が撓みにくくなり、前記構造を着座者や仰臥者による押圧が強い部位に設ければ着座者や仰臥者の着座時や仰臥時の沈み込みを抑制することができる。
【0103】
また、例えば
図24(b)に示すように、一層目の支持体2の厚みは均一で、二層目の支持体2の着座者や仰臥者側の面を着座者や仰臥者の身体の外形に合わせて形成すれば、着座者や仰臥者が着座や仰臥を完了したときに身体の外形にフィットするクッション体とすることができる。
【0104】
また、例えば
図24(c)に示すように、着座者や仰臥者が接する第一層の支持体2を分割せず一面とし、第二層の支持体2を数分割にした2層構造にすることができ、この場合は着座者や仰臥者に支持体2の分割されていることを感じにくくすることができる。
【0106】
複数の棒状10又は複数の平板状11の支持体2が押圧される方向に、
図22(a)や(b)に示すように前記支持体2と離隔させて、又は、
図22(c)に示すように当接させて、弾性体からなる副支持体4が配設され、前記副支持体4によって前記支持体2の曲げ変形による撓み量を抑制する。そして、前記副支持体4は、線状又は帯状の弾性体を枠体等に張架した形態、樹脂又は金属製からなるSばね板ばね、コイル状のばね体、ポリエステル等の合成繊維を高密度に紡織したもの、又はゴム等からなる。
【0107】
副支持体4を前記支持体2と離間させて配設した場合は、着座者又は仰臥者の押圧によって曲げ変形し撓んだ支持体2が副支持体4に当接後に、副支持体4が圧縮、屈曲又は曲げ変形する。したがって、前記副支持体4は、支持体2に対する着座者や仰臥者による押圧が低い場合は、支持体2の曲げ変形と脚体3の屈曲等により座り心地良さや寝心地良さを実現し、支持体2に対する着座者や仰臥者による押圧が高い場合は、支持体2の曲げ変形と脚体3の屈曲等に副支持体4の曲げ変形等を加えて座り心地良さや寝心地良さを実現する。
【0108】
図34は帯状31の副支持体4を設けた構造を有する試験体としてのクッション体1に実際に試験機で押圧した例を示す。クッション体1の表面を直径100mmの半球形の治具で100mm/minの速度で30mmまで押圧した際に発生した反力を示す。最下線Vは副支持体4である帯状31のベルトのみを押圧した際の反力、中央の線Eは合成樹脂発泡体からなる支持体2のみを押圧した場合の反力、最上線Gは本発明による構造を持った試験体を押圧した際の反力を示している。
【0109】
副支持体4を備えたクッション体1なる試験体は、合成樹脂発泡体からなる支持体2の裏面側方向15mmの位置に副支持体4である帯状31のベルトを設けてあるため、合成樹脂発泡体からなる支持体2単体と、本発明の構造による試験体は試験用治具で15mm押圧するまでは全く同じ反力を発生するが、その後、合成樹脂発泡体からなる支持体2が帯状31状の副支持体4に当接し、以降は合成樹脂発泡体からなる支持体2と帯状31の副支持体4がそれぞれ発生する反力が合わさり、段階的に剛性が高まることを示している。
【0110】
次に、合成樹脂発泡体について説明する。本発明における合成樹脂発泡体は、柔軟で曲げ変形が可能であり、かつ復元性に優れたものであり、JIS K7221−2:2006記載の方法(23℃±2℃、相対湿度50±5%の雰囲気下でスキンを取り除いた長さ350mm、幅100mm、厚さ25mmの試験片を支点6間距離300mm、試験速度20±1mm/minで最大90mmまで荷重を加え、荷重撓み曲線を記録する。)に準じて測定した曲げ撓みが20mm以上、かつ20mm撓み時の荷重が2〜100Nの合成樹脂発泡成形体を指す。曲げ撓みが20mm未満で破壊を生じるような合成樹脂発泡成形体は、耐久性面から不適である。身体による押圧を支えるため必要となる支持体2の断面が非常に大きくなり、20mm撓み時の荷重が100N超の場合、好ましい撓み量を発生させることが困難となり、ともに好ましい設計が困難となる。具体的には発泡ポリプロピレン、発泡ポリエチレン、その他ポリオレフィン系樹脂発泡体、あるいは改質ポリスチレン系樹脂発泡体などを指す。なお、上記発泡体の中でも樹脂発泡粒子の型内成形体が、フィット感を考慮した形状自由度(設計容易性)の観点から好ましい。
【0111】
本発明で用いられる発泡粒子を構成するポリオレフィン系樹脂は、オレフィン成分単位を主成分とするポリオレフィン系樹脂であり、具体的にはポリプロピレン系樹脂やポリエチレン系樹脂、さらにそれらの2種以上の混合物などが挙げられる。なお、上記「主成分とする」とは、オレフィン成分単位がポリオレフィン系樹脂中に50重量%以上含まれることを意味し、その含有量は好ましくは75重量%以上であり、より好ましくは85重量%以上であり、さらに好ましくは90重量%以上である。
【0112】
ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレン成分単位が50重量%以上の樹脂が挙げられ、例えば、プロピレン単独重合体、またはプロピレンと共重合可能な他のオレフィンとの共重合体等が挙げられる。プロピレンと共重合可能な他のオレフィンとしては、例えば、エチレンや、1−ブテン、イソブチレン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、3,4−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、3−メチル−1−ヘキセンなどの炭素数4〜10のα−オレフィンが例示される。また上記共重合体は、ランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよく、さらに二元共重合体のみならず三元共重合体であってもよい。なお、上記共重合体中のプロピレンと共重合可能な他のオレフィンは、25重量%以下、特に15重量%以下の割合で含有されていることが好ましく、下限値としては0.3重量%であることが好ましい。また、これらのポリプロピレン系樹脂は、単独または2種以上を混合して用いることができる。ポリプロピレン系樹脂は、JIS K7161:1994(試験片:JIS K 7162(1994)記載の試験片1A形(射出成形で直接成形)、試験速度:1mm/min)に規定する引張弾性率(E)の値で600MPa以上の基材樹脂を発泡してなる樹脂発泡体であることがのぞましい。
【0113】
ポリエチレン系樹脂としては、エチレン成分単位が50重量%以上の樹脂が挙げられ、例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン1共重合体、エチレン−ブテン1共重合体、エチレン−ヘキセン1共重合体、エチレン−4メチルペンテン1共重合体、エチレン−オクテン1共重合体等、さらにそれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0114】
そして、前記合成樹脂発泡体の具体的選定にあたっては、長さ400mm程度の棒状の試験片の両端を支持し、中央を25mm前後押し下げ30分間保持し、その後押圧を解放した後にサンプルの変形からの回復が90%以上ある材料、又は、従来のウレタンフォーム製のシートクッションで行なわれていた試験に準じ、両端を支持したサンプルの中央部を所定回数繰り返し押し下げ変形させ、その後に測定された残留歪みが所定量以下である材料が望ましい。該所定回数又は該所定量は各メーカーが従来材料を選定するときに任意に定めていた仕様に従う。
【0115】
このような条件を満たす材料として、例えば発泡ポリプロピレンの密度0.06g/cm
3〜0.015g/cm
3、より好ましくは密度0.035g/cm
3〜0.015g/cm
3、又は発泡ポリエチレンの密度0.08g/cm
3〜0.03g/cm
3などが好ましい。このような材料はJIS K7221−2:2006記載の方法(23℃±2℃、相対湿度50±5%の雰囲下でスキンを取り除いた長さ350mm、幅100mm、厚さ25mmの試験片を支点6間距離300mm、試験速度20±1mm/minで最大90mmまで荷重を加え、荷重撓み曲線を記録する。)に準じて行う試験において、曲げ撓み20mm時の荷重が2〜100Nであり曲げに対する柔軟性と共に曲げ剛性にも優れているが、一方従来から一般に用いられていた軟質ウレタンフォームは曲げ剛性が0.46Nと大きく劣るため、本発明のクッション体1を構成する材料としては適切でない。
【0116】
次に、
図33は合成樹脂発泡体の例として発泡ポリプロピレンを選択し、同等の樹脂からなる無発泡の樹脂板(厚み1mm)からなるサンプルと、発泡ポリプロピレン45倍発泡品からなるサンプル(厚み45mm)をJIS K7221−2:2006(23℃±2℃、相対湿度50±5%の雰囲気下でスキンを取り除いた長さ350mm、幅25mm、サンプル重量同等、厚さ任意の試験片を支点6間距離300mm、試験速度20±1mm/minで最大90mmまで押圧を加え、押圧撓み曲線を記録した。)に準じ両端支持し、この中央部を押し下げた場合の押圧―変位量線図である。幅を25mmに一定にし、サンプル重量が同等になるように厚みを調整した。無発泡の樹脂板の場合を押圧―変位量線
図Mで表し、発泡ポリプロピレン45倍発泡品からなるサンプルの場合を押圧―変位量線
図Hで表している。
【0117】
図33より、共にサンプルの重量は等しいが、発泡体とすることによって曲げ剛性が大きく高まることが示されている。従来、発泡体を曲げ変形させクッション材として使用することは一般的ではなかったが、発泡体を使用することにより同等の曲げ剛性を獲得するに必要な部品重量を減少させうる、すなわちクッション体1の軽量化が図れることが示されている。