特許第6046258号(P6046258)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6046258インバータのための作動状態切換装置およびインバータの作動状態を設定する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6046258
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】インバータのための作動状態切換装置およびインバータの作動状態を設定する方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20161206BHJP
【FI】
   H02M7/48 E
   H02M7/48 M
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-530322(P2015-530322)
(86)(22)【出願日】2013年7月22日
(65)【公表番号】特表2015-531581(P2015-531581A)
(43)【公表日】2015年11月2日
(86)【国際出願番号】EP2013065375
(87)【国際公開番号】WO2014037143
(87)【国際公開日】20140313
【審査請求日】2015年3月12日
(31)【優先権主張番号】102012216008.6
(32)【優先日】2012年9月10日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】エバーライン,エトヴィン
(72)【発明者】
【氏名】シェーンクネヒト,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ライケル,ダニエル
【審査官】 服部 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−312389(JP,A)
【文献】 特開2001−327006(JP,A)
【文献】 特表2010−524419(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれの切換装置(3a;....;3f)を備えるハーフ・ブリッジ(4a,4b,4c)によってインバータ(3)を制御するための作動状態切換装置(6)であって、インバータ(3)が、それぞれのハーフ・ブリッジ(4a,4b,4c)に割り当てられた相端子(5a,5b,5c)を介してn相の供給電圧をn相の電気機械(5)に供給し、n≧1である作動状態切換装置において、
一方ではインバータ(3)の相端子(5a,5b,5c)に接続されており、他方ではインバータ(3)の入力端子(2c,2d)に接続されており、インバータ(3)の入力電圧(U)およびインバータ(3)の相端子(5a,5b,5c)において相電流を検出するように設計された評価装置(8)と、
評価装置(8)に接続され、検出された入力電圧(U)に応じてインバータ(3)を短絡状態からフリー・ホイール・モードに切り換えるように設計された制御装置(7)と、
を含み、
評価装置(8)が、検出された入力電圧(U)が設定可能なフリー・ホイール閾値(U;U)よりも小さい場合には、フリー・ホイール・トリガ信号を生成し、制御装置(7)に出力するように設計されており、且つ
制御装置(7)が、フリー・ホイール・トリガ信号の受信後に、割り当てられた相端子(5a,5b,5c)において検出されたそれぞれの相電流がゼロ交差またはインバータ(3)から外側へ向いた電流方向を有している場合にはじめて、ハーフ・ブリッジ(4a,4b,4c)のそれぞれの切換装置(3a;....;3f)を開かれた状態に移行するように設計されている作動状態切換装置(6)において、
評価装置(8)が、インバータ(3)の出力電圧を相端子(5a,5b,5c)において検出し、検出された出力電圧に基づいて、電気機械(5)の回転数(n)を決定するように設計されており、且つ
設定可能なフリー・ホイール閾値(U;U)が、決定された回転数(n)が設定可能な回転数閾値(n)未満である場合の第1電圧閾値(U)と、第1電圧閾値(U)よりも小さく、決定された回転数(n)が設定可能な回転数閾値(n)を超えている場合の第2電圧閾値(U)とを有する作動状態切換装置(6)。
【請求項2】
請求項に記載の作動状態切換装置(6)において、
制御装置(7)がハードウェア回路(7b)を備え、該ハードウェア回路が、検出された入力電圧(U)が設定可能の短絡閾値よりも大きい場合に、インバータ(3)を短絡状態に保持するように設計されている作動状態切換装置(6)。
【請求項3】
請求項に記載の作動状態切換装置(6)において、
制御装置(7)がハードウェア回路(7b)を備え、該ハードウェア回路が、検出された入力電圧(U)が設定可能の短絡閾値よりも大きい場合に、インバータ(3)を短絡状態に保持するように設計され、
決定された回転数(n)が設定可能な回転数閾値(n)未満である場合に、前記設定可能な短絡閾値は設定可能なフリー・ホイール閾値(U)に対応しており、決定された回転数(n)が設定可能な回転数閾値(n)を超えた場合に、前記設定可能な短絡閾値は設定可能なフリー・ホイール閾値(n)よりも大きい作動状態切換装置(6)。
【請求項4】
電気駆動系(10)において、
高電圧源(1)から直流電圧を供給されるように設計された直流電圧中間回路(2)と、
それぞれの切換装置(3a;....;3f)を備えるハーフ・ブリッジ(4a,4b,4c)を有するインバータ(3)であって、直流電圧中間回路(2)に接続されており、n相の電気機械(5)のためのn相の供給電圧をn相端子(5a,5b,5c)に供給するように設計されており、n≧1である前記インバータと、
フリー・ホイール状態またアクティブ短絡を設定するためにインバータ(3)の多数の切換装置(3a;....;3f)を制御するように設計された請求項1から4までのいずれか一項に記載の作動状態切換装置(6)と、
を備える電気駆動系(10)。
【請求項5】
請求項に記載の電気駆動系(10)において、
インバータ(3)の相端子(5a,5b,5c)に出力端子が接続されたn相の電気機械(5)をさらに備える電気駆動系(10)。
【請求項6】
請求項またはに記載の電気駆動系(10)において、
直流電圧中間回路(2)が作動状態切換装置(6)に接続されており、作動状態切換装置(6)に電気エネルギーを供給するように設計されている電気駆動系(10)。
【請求項7】
インバータ(3)の作動状態を設定する方法(40)であって、インバータ(3)が、それぞれの切換装置(3a;....;3f)を備えるハーフ・ブリッジ(4a,4b,4c)を含み、それぞれのハーフ・ブリッジ(4a,4b,4c)に割り当てられた相端子(5a,5b,5c)を介してn相の供給電圧をn相の電気機械(5)に供給し、n≧1である方法において、
インバータ(3)の入力電圧(U)を検出するステップ(41)と、
インバータ(3)の相端子(5a,5b,5c)において相電流を検出するステップ(42)と、
検出された入力電圧(U)が設定可能なフリー・ホイール閾値(U;U)よりも小さい場合に、フリー・ホイール・トリガ信号を生成するステップ(43)と、
検出された入力電圧(U)に応じて、インバータ(3)を短絡状態からフリー・ホイール・モードへ切り換えるステップ(44)と、
を含み、
ハーフ・ブリッジ(4a,4b,4c)のそれぞれの切換装置(3a;....;3f)が、フリー・ホイール・トリガ信号の受信後に、割り当てられた相端子(5a,5b,5c)において検出されたそれぞれの相電流がゼロ交差またはインバータ(3)から外側へ向いた電流方向を有している場合にはじめて、開かれた状態に移行される方法において、
インバータ(3)の相端子(5a,5b,5c)において、インバータ(3)の出力電圧を検出するステップと、
検出された出力電圧に基づいて、電気機械(5)の回転数(n)を決定するステップと、
をさらに含み、
設定可能なフリー・ホイール閾値(U;U)が、決定された回転数(n)が設定可能な回転数閾値(n)未満である場合の第1電圧閾値(U)と、第1電圧閾値(U)よりも小さく、決定された回転数(n)が設定可能な回転数閾値(n)を超えている場合の第2電圧閾値(U)とを有する方法(40)。
【請求項8】
請求項に記載の方法(40)において、
検出された入力電圧(U)が設定可能なフリー・ホイール閾値(U;U)よりも大きい場合に、インバータ(3)を短絡状態に保持するステップを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に同期機に給電するインバータにおけるインバータのための作動状態切換装置およびインバータの作動状態を設定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド車または電気自動車の電気駆動装置は、永久励起型電気機械、特に、パルス・インバータによって交流電圧を供給する同期機を有していることがある。この場合、低電圧側にエラーが生じた場合、例えば、電子制御、エネルギー供給、様々なセンサ、データ通信または安全性に支障が生じた場合、インバータにおいて安全な状態を設定すること、すなわち、例えば事故発生時の救助人員などの車両を操作する人の安全性や電気系の正常動作が確保されたインバータの切換状態を設定することが不可欠となる場合がある。
【0003】
一般に、インバータの制御装置は車両の低電圧系によって給電される。低電圧供給が停止された場合、インバータの制御装置は、自動的にインバータを安全な状態に切り換えることができ、これにより、例えばインバータに給電する直流電圧中間回路に無制御にエネルギーが供給されることにより電気部品に起こり得る損傷を防止することができる。この場合、従来の方法で様々な切換状態を実現することができる。
【0004】
例えば、低電位に接続された全てのスイッチ、いわゆる「ロー・サイド・スイッチ」を閉じ、高電位に接続された全てのスイッチ、いわゆる「ハイ・サイド・スイッチ」を開くことができる。この作動形式は低電位への短絡状態とも呼ばれる。代替的に全てのハイ・サイド・スイッチを閉じ、全てのロー・サイド・スイッチを開くこともでき、これにより、高電位への短絡状態が生じる。他の切換方法では、パルス・インバータの全てのスイッチが開かれる。これは、フリー・ホイール・モードとも呼ばれる。
【0005】
例えば、刊行物独国特許出願公開第102006003254号明細書により、切換方法を組み合わせることが知られている。例えば、短絡状態に切り換えられた後に相電流がまだ短時間上昇することもあるので、既知の複数の切換作動形式を連続的に使用し、電気機械をまずフリー・ホイール・モードに切り換え、次いで短絡状態に切り換えることが提案される。
【0006】
刊行物独国特許出願公開第102009047616号明細書は、エラー発生時にアクティブ短絡の作動状態からフリー・ホイールの作動状態に移行することができる電気機械のためのインバータ回路を開示している。
【0007】
刊行物国際公開第2012/000710号は、自動車の駆動ユニットとして用いられる少なくとも三相の電気機械を作動する方法を開示している。この電気機械は、インバータ、特にパルス・インバータによって制御され、インバータはハーフ・ブリッジの形式の切換素子を含み、ハーフ・ブリッジはそれぞれ電気機械の位相に電気接続されている。第1位相に接続された第1ハーフ・ブリッジの第1切換素子が故障により持続的に閉じられている場合には、発明にしたがって第1ハーフ・ブリッジの第2切換素子が持続的に開かれ、第1位相により影響されてない電気回転の第1角度範囲で他のハーフ・ブリッジの全ての切換素子が従来の形式で制御される。
【0008】
短絡状態で、同期機の発電モードによりブレーキ・トルクが形成される。例えば、車両の牽引時にはこのブレーキ・トルクは妨げとなる。特に回転数が小さい場合には、短絡状態に基づいた電気機械のブレーキ・トルクは比較的大きい。例えば、刊行物特開昭60−005791号公報は、ブレーキ・トルクを制限するために、中間回路電圧に応じて制御可能なトルク制限器を使用し、中間回路コンデンサの過負荷を防止することを提案している。
【0009】
したがって、電気機械を備える電気駆動系においてインバータを制御し、低電圧供給が停止された場合にもインバータの作動状態を確実かつ効率的に設定することができる解決方法が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】独国特許出願公開102006003254号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開102009047616号明細書
【特許文献3】国際公開第2012/000710号
【特許文献4】特開昭60−005791号公報
【発明の概要】
【0011】
本発明の一態様にしたがって、それぞれの切換装置を備えるハーフ・ブリッジによってインバータを制御するための作動状態切換装置が得られ、インバータは、それぞれのハーフ・ブリッジに割り当てられた相端子を介してn相の供給電圧をn相の電気機械に供給し、この場合、n≧1である。作動状態切換装置は、一方ではインバータの相端子に接続されており、他方ではインバータの入力端子に接続された評価装置であって、インバータの入力電圧およびインバータの相端子において相電流を検出するように設計された評価装置と、評価装置に接続され、検出された入力電圧に応じてインバータを短絡状態からフリー・ホイール・モードに切り換えるように設計された制御装置と、を含み、評価装置は、検出された入力電圧が設定可能なフリー・ホイール閾値よりも小さい場合にはフリー・ホイール・トリガ信号を生成し、制御装置に出力するように設計されており、制御装置は、フリー・ホイール・トリガ信号の受信後に、割り当てられた相端子において検出されたそれぞれの相電流がゼロ交差またはインバータから外側へ向いた電流方向を有している場合にはじめて、ハーフ・ブリッジのそれぞれの切換装置を開かれた状態に移行するように設計されている。
【0012】
別の一態様によれば、本発明により、高電圧源から直流電圧を供給されるように設計された直流電圧中間回路と、それぞれの切換装置を備えるハーフ・ブリッジを有するインバータであって、直流電圧中間回路に接続されており、n相の電気機械のためのn相の供給電圧をn相端子に供給するように設計されており、n≧1であるインバータと、フリー・ホイール状態またアクティブ短絡を設定するためにインバータの多数の切換装置を制御するように設計された本発明による作動状態切換装置とを有する電気駆動系が得られる。
【0013】
別の一態様によれば、本発明は、インバータの作動状態を設定する方法であって、インバータがそれぞれの切換装置を備えるハーフ・ブリッジを含み、それぞれのハーフ・ブリッジに割り当てられた相端子を介してn相の電気機械にn相の供給電圧を供給し、n≧1である方法を提案する。この方法は、インバータの入力電圧を検出するステップと、インバータの相端子において相電流を検出するステップと、検出された入力電圧が設定可能なフリー・ホイール閾値よりも小さい場合にフリー・ホイール・トリガ信号を生成するステップと、検出された入力電圧に応じてインバータを短絡状態からフリー・ホイール・モードへ切り換えるステップと、を含む。この場合、ハーフ・ブリッジのそれぞれの切換装置は、フリー・ホイール・トリガ信号の受信後に、割り当てられた相端子において検出されたそれぞれの相電流がゼロ交差またはインバータから外側へ向いた電流方向を有している場合にはじめて開かれた状態に移行される。
【発明の利点】
【0014】
本発明の思想は、電気機械、特に同期機のインバータの作動状態をアクティブな短絡状態からフリー・ホイール・モードに切り換えた場合に、インバータにおける現在の相電流を監視し、インバータのハーフ・ブリッジを互いに独立して個別に制御することである。したがって、相電流がゼロ交差を有しているか、または作動状態切換の時点で相電流がインバータから電気機械へ流れた場合にはじめて、ハーフ・ブリッジの1つまたは複数の切換装置が導電状態から遮断状態に移行される。
【0015】
この方法の利点は、交流電圧中間回路へのエネルギー供給が行われず、したがってフリー・ホイール・モードをより長く保持できることである。フリー・ホイール・モードではブレーキ・トルクは生じないので、例えば、電動車両による走行時に誤動作が生じた場合に緩やかな惰行を行うことができる。さらに、電動車両の牽引に必要な出力が減じられる。エラー発生時、例えば低電圧供給が停止された場合、電気機械の極回転子(Polrad)の低電圧側の状態検出が停止された場合、その他の低電圧側の電子制御構成要素が停止された場合、または低電圧側のその他の誤動作発生時には、アクティブな短絡状態における電気機械のブレーキ・トルクを克服する必要なしに、電動車両を移動することができる。
【0016】
フリー・ホイール・モードでは短絡電流は生じないので、好ましくは、アクティブな短絡状態におけるインバータの負荷または熱による過負荷が減じられる。このことは、低電圧エネルギーが供給されないことによりインバータの冷却系が機能しない場合には特に好ましい。
【0017】
作動状態切換装置の一実施形態によれば、評価装置は、相端子においてインバータの出力電圧を検出し、特に検出された出力電圧に基づいて、電気機械の回転数を決定するように設計されていてもよい。この場合、設定可能なフリー・ホイール閾値は、決定された回転数が設定可能な回転数閾値未満である場合の第1電圧閾値と、第1電圧閾値よりも小さく、決定された回転数が設定可能な回転数閾値を超えている場合の第2閾値とを有していてもよい。回転数が高い場合、回転数が低い場合よりも電気機械によって生成されるブレーキ・トルクは小さく、したがって、入力電圧が小さい場合に既にアクティブな短絡状態が設定されることにより、設定可能な回転数閾値を超えると過電圧に対する直流電圧中間回路の保護を優先することができる。
【0018】
作動状態切換装置の別の実施形態によれば、制御装置はハードウェア回路を備えていてもよい。ハードウェア回路は、検出された入力電圧が設定可能な短絡閾値よりも大きい場合に、インバータを短絡状態に保持するように設計されている。これにより、好ましくは直流電圧中間回路の電圧が安全性を脅かす閾値を超過できないことが確保される。例えば、設定可能な短絡閾値は、安全域の分だけ低減された高電圧バッテリの最小バッテリ電圧に対応している。
【0019】
作動状態切換装置の別の実施形態によれば、決定された回転数が設定可能な回転数閾値未満である場合には、設定可能な短絡閾値は設定可能なフリー・ホイール閾値に対応しており、決定された回転数が設定可能な回転数閾値を超えた場合には、設定可能な短絡閾値は設定可能なフリー・ホイール閾値よりも大きい。これにより、設定可能なフリー・ホイール閾値は、インバータの切換装置の制御装置にエネルギーを供給するために最小限に必要な切換閾値と設定可能な短絡閾値との間で柔軟に変更することができ、これにより、低い回転数範囲でできるだけ長いフリー・ホイール継続時間、ひいては電気機械によるできるだけ小さい平均ブレーキ・トルクを保障することができる。
【0020】
本発明による電気駆動系の一実施形態によれば、さらに駆動系は、インバータの相端子に出力端子が接続されたn相の電気機械を含んでいてもよい。好ましくは、この電気機械は、永久励起型同期機であってもよい。
【0021】
本発明による電気駆動系の別の一実施形態によれば、直流電圧中間回路は作動状態切換装置に接続されており、作動状態切換装置に電気エネルギーを供給するように設計されている。これにより低電圧側からのエネルギー供給とは無関係に作動状態切換装置の自立的なエネルギー供給が可能となる。このことは、特に、低電圧エネルギー供給が停止された場合、例えば、本発明による電気駆動系を装備した電動車両が故障または誤動作した場合、あるいは牽引された場合に、インバータの作動状態制御が確実に実施されることを保証することができる。
【0022】
本発明による方法の一実施形態によれば、この方法はさらに、インバータの相端子においてインバータの出力電圧を検出するステップと、特に検出された出力電圧に基づいて電気機械の回転数を決定するステップとを含む。この場合、設定可能なフリー・ホイール閾値は、決定された回転数が設定可能な回転数閾値未満である場合の第1電圧閾値と、第1電圧閾値よりも小さく、決定された回転数が設定可能な回転数閾値を超えている場合の第2電圧閾値とを有する。
【0023】
本発明による方法の別の1実施形態によれば、さらにこの方法は、検出された入力電圧が設定可能なフリー・ホイール閾値よりも大きい場合に、インバータを短絡状態に保持するステップを含む。
【0024】
次に本発明の実施形態の他の特徴および利点を添付の図面に基づいて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施形態による電気駆動系を示す概略図である。
図2】本発明の別の実施形態による電気駆動系のインバータを制御するための概略的な作動状態線図である。
図3】本発明の別の一実施形態によるインバータの作動状態のインバータの相電流のための概略的な電流‐時間線図である。
図4】本発明の別の一実施形態によるインバータの作動状態を設定するための方法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図面において、同じおよび機能の等しい要素、特徴、および構成部材には、他に説明がない限りそれぞれ同じ符号を付す。当然ながら、図面の構成部材および要素は見やすくするために必ずしも縮尺にしたがって示されていない。
【0027】
本発明の他の可能な構成、実施形態、および手段は、前述または後述した本発明の特徴の明示的に述べていない組合せをも含む。
【0028】
図1は、電気駆動系10の概略図を示す。電気駆動系10は、高電圧エネルギー源1、例えば、供給電圧を提供できるトラクション・バッテリなどの高電圧源を含む。高電圧エネルギー源1は、電動車両の駆動系において、例えばエネルギー蓄積器1として設計されていてもよい。高電圧エネルギー源1はネットワークに基づいていることも可能である。すなわち、電気駆動系は、エネルギー供給ネットワークから電気エネルギーを受け取る。高電圧エネルギー源1の供給電圧は、中間回路コンデンサ2aを有する中間回路2を介して、インバータ3、例えばパルス・インバータの供給端子2cおよび2dに印加される。この場合、高電圧エネルギー源1の端子は高電位になっており、高電圧エネルギー源1のもう1つの端子は低電位になっており、例えば接地状態になっている。インバータ3は、例えば、出力端子を介して三相電気機械5に接続された相端子5a,5b,5cを有する三相出力部を備えていてもよい。電気機械5は、例えば同期機5もしくは同期モータ5であってもよい。
【0029】
図1の実施例において、インバータ3はフル・ブリッジ回路またはB6ブリッジとして設計されている。このために、インバータ3は、高電位に対応した切換装置3a,3c,3eを有する上方のハーフ・ブリッジ・スイッチおよび低電位に対応した切換装置3b,3d,3fを有する下方のハーフ・ブリッジ・スイッチを含む。2つのハーフ・ブリッジ・スイッチは、それぞれセンタ・タップを有するハーフ・ブリッジ4a,4b,4cとして構成されている。切換装置3a〜3fは、例えば、それぞれ電力半導体スイッチを備えていてもよい。切換装置3a〜3fは、例えば、n型MOSFET(n導電型酸化金属半導体電界効果トランジスタ、エンハンスメント型)、JFET(接合型電界効果トランジスタ)、またはp型MOSFET(p導電型酸化金属半導体電界効果トランジスタ)などの電界効果トランジスタスイッチを備えていてもよい。切換装置3a〜3fは、IGBT(絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ、絶縁ゲート電極を備えるバイポーラ・トランジスタ)を備えていてもよい。
【0030】
インバータ3は、切換装置3a〜3fの適宜な制御により、電気機械5を制御するための三相交流電圧を生成することができる。このために、インバータ3のそれぞれの相端子5a,5b,5cにおいて適宜な位相電圧が生成される。図1に示した実施例では、3つの相端子およびB6ブリッジが示されているが、対応した数のハーフ・ブリッジ分岐もしくはハーフ・ブリッジを備えるあらゆる数の相端子とすることも可能である。この場合、切換装置3a,3c,3eは、ハイ・サイド・スイッチと呼ばれ、切換装置3b,3d,3fはロー・サイド・スイッチと呼ばれる。
【0031】
インバータ3は、切換装置3a〜3fの適宜な制御によって電気機械5の相端子5a,5b,5cを高い供給電位、例えば供給電圧、または低い参照電位、例えば接地電位に交互に切り換えるように設計されている。インバータ3は、電気機械5の出力および作動形式を決定し、制御装置7によって適宜に制御される。
【0032】
したがって、電気機械5は、例えば電気自動車またはハイブリッド車の電気駆動系において、電動機モードまたは発電機モードで選択的に作動することができる。電動機モードでは、電気機械5は、例えば加速段階において内燃機関を支援する付加的な駆動トルクを生成する。これに対して、発電機モードでは、機械的エネルギーを電気的エネルギーに変換し、エネルギー蓄積器1に蓄積するか、もしくは主電源に戻すことができる。
【0033】
電気駆動系は、制御装置7の他に評価装置8を含む。この場合、制御装置7および評価装置8は作動状態切換装置6、例えばマイクロコントローラに組み込まれていてもよい。作動状態切換装置6は、例えば、インバータ3の高電圧側から電気エネルギーが供給されるように、直流電圧中間回路2に接続されていてもよい。しかしながら、通常は、インバータ3の低電圧側から、すなわち、正常な制御モードで低電圧側から、作動状態切換装置6に電気エネルギーを供給する低電圧エネルギー供給装置(図示しない)が設けられている。
【0034】
インバータ3のフリー・ホイール・モードは、全ての切換装置3a〜3fが開かれている、すなわち遮断状態となっていることを特徴とし、場合によっては電気機械5に提供されている電流を、切換装置3a〜3fを介して付属のフリー・ホイール・ダイオードに伝送し、これにより低減するかまたは完全に消失させることができる。インバータ3の第1短絡状態では、ロー・サイド・スイッチ3b,3d,3fは閉じられており、ハイ・サイド・スイッチ3a,3c,3eは開かれている。したがって、この状態では、相端子5a,5b,5cはそれぞれ入力端子2dに接続されている。これにより、ロー・サイド・スイッチ3b,3d,3fのフリー・ホイール・ダイオードもしくはロー・サイド・スイッチ3b,3d,3fにより電流を流すことが可能になる。これに対して、インバータ3の第2短絡状態では、ロー・サイド・スイッチ3b,3d,3fは開かれており、ハイ・サイド・スイッチ3a,3c,3eは閉じられている。したがって、この状態では、相端子5a,5b,5cはそれぞれ入力端子2cに接続されている。これにより、ハイ・サイド・スイッチ3a,3c,3eのフリー・ホイール・ダイオードもしくはハイ・サイド・スイッチ3a,3c,3eにより電流を流すことが可能になる。
【0035】
低電圧エネルギー供給部または低電圧系が停止した場合には、インバータの高電圧側がインバータ3のための作動状態切換装置6、特に制御装置7のエネルギー供給を引き受ける。制御装置7が、アクティブ短絡の作動状態、すなわち、上述の第1および第2短絡状態のいずれか一方を設定することができるように、中間回路電圧は最小閾値を超え、切換装置3a〜3fを確実にスイッチ・オンする必要がある。意図的な制御対策なしには、中間回路電圧は、第1継続時間には最小閾値未満に降下するまで低下し、切換装置3a〜3fは自動的に開かれる。これにより、電気機械5は、この時点でステータ・インダクタンスに蓄積されているエネルギーによって中間回路を極めて迅速に充電し、これにより中間回路電圧は再び最小閾値を超えて上昇し、短絡状態を再び形成することができる。この手順は繰り返され、この場合、中間回路電圧は、周期的な間隔をおいて急激に充電されることにより、鋸刃状の経時変化を示す。インバータ3がこの状況で短絡状態となる総継続時間の比率は、インバータ3がフリー・ホイール・モードとなっている総継続時間に対して極めて高く、これにより車両はほぼ一定のブレーキ・トルクを加えられる。特に電気機械5の回転数が低い場合に、このブレーキ・トルクは比較的高い。
【0036】
図2は、電気駆動系のインバータを制御するための作動状態線図20を概略的に示す。例えば、作動状態線図20は、図1の電気駆動系10のインバータ3の制御対策のために使用することができる。この場合、図1の作動状態切換装置6による制御対策を実施することができる。
【0037】
このために、図1の評価装置8は、インバータ3の相端子5a,5b,5cに接続されており、インバータ3の出力電圧を検出するように設計されていてもよい。特に、評価装置8は、電気機械5において誘導された回転子電圧を検出するように設計されていてもよい。評価装置8は、例えば、同期電圧を電気機械5の現在の回転数nもしくは回転子周波数に変換するマイクロコントローラを含んでいてもよい。当然ながら、他のセンサまたは検出装置によって現在の回転数nを検出もしくは決定することもできる。さらに、評価装置8は、インバータ3の入力端子2c,2dにおける入力電圧Uを検出することもできる。これは、例えば、作動状態切換装置6に電気エネルギーを供給するためにいずれにせよ設けられている高電圧供給ライン6aを介して行うことができる。
【0038】
インバータ3の入力端子2c,2dにおいて決定された回転数nおよび入力電圧Uに応じて、制御装置7は、インバータ3の切換装置3a〜3fを制御することができ、この場合、作動状態は図2に示した例示的な作動範囲22,23,24にしたがって設定される。この場合、経過21は、フリー・ホイール・モードにおいて電気機械3の回転数nに応じて設定することのできる最大の中間回路電圧を示す。この場合、例えばハイ・サイド・スイッチを常に遮断しておくことができる。
【0039】
回転数が低い場合には、電気機械5は高いブレーキ・トルクを生成することができ、制御装置7は、評価装置8において決定された現在の回転数nが予め設定された回転数閾値nを下回った場合に、フリー・ホイール状態を設定するように設計されている。これに対して、回転数が高い場合には、誘導された高い回転子電圧が直流電圧中間回路2の電圧を超え、インバータの高電圧側で高い負荷電流を生成するか、または危険な限界値(例えば、60ボルト)を超える場合があり、これにより、パワー・エレクトロニクスおよび高電圧エネルギー源1に障害が生じることもある。この場合、制御装置7は、評価装置8において決定された現在の回転数nが予め設定された回転数閾値nを超えた場合に、インバータ3においてアクティブな短絡状態を設定するように設計されていてもよい。
【0040】
範囲22では、直流電圧中間回路2の電圧、すなわち、インバータ3の入力電圧Uが予め規定された、もしくは予め規定可能な短絡閾値Uを超えている。この短絡閾値Uは、例えば、高電圧エネルギー源1の最小作動電圧に対して所定値だけ低減された値に相当していてもよい。例えば、短絡閾値Uを高電圧エネルギー源1の最小作動電圧の90%に規定することもできる。この短絡閾値Uを超えた場合には、直流電圧中間回路2における過電圧を防止するために、インバータ3は、制御装置7によって常にアクティブな短絡状態に保持される。このために、制御装置7は、検出された入力電圧Uが設定可能な短絡閾値Uを超えている場合には、インバータ3を短絡状態に保持するように設計されたハードウェア回路7bを備えていてもよい。この設定可能な短絡閾値Uは、安全性に基づいて電気機械5の実際の回転数nとは無関係に規定することができる。ハードウェア回路7bは、例えば、入力電圧Uと設定可能な短絡閾値Uとを比較し、インバータ3の他の全ての作動状態に対して短絡状態を優先する比較器回路として組み込まれていてもよい。この場合、短絡状態は、高電圧側によるエネルギー供給によって保障することができる。なぜなら、直流電圧中間回路2の電圧は常に十分に高いからである。
【0041】
設定可能な短絡閾値U未満では、電気機械5の回転数範囲に応じて2つの異なる制御範囲23および24を実施することができる。制御範囲23は、制御装置7が、インバータのハーフ・ブリッジ4a,4b,4cのそれぞれの切換装置3a〜3fをフリー・ホイール・モードで制御するように設計されている制御範囲である。このために、評価装置8は、検出された入力電圧Uが設定可能なフリー・ホイール閾値よりも小さい場合にはフリー・ホイール・トリガ信号を生成し、制御装置7に出力するように設計されていてもよい。この場合、設定可能なフリー・ホイール閾値は回転数の関数であってもよい。例えば、電気機械5の回転数閾値nを下回る下方の回転数範囲では、設定可能なフリー・ホイール閾値は設定可能な短絡閾値Uに対応している。電気機械5の回転数閾値nを上回る場合、設定可能なフリー・ホイール閾値は設定可能な短絡閾値Uに対して低減されたフリー・ホイール閾値Uに対応している。
【0042】
この場合、フリー・ホイール閾値Uは、インバータ3の切換装置3a〜3fを確実に制御するために不可欠な直流電圧中間回路2における最小電圧よりも少しだけ大きい電圧値に対応していてもよい。例えば、この不可欠な最小電圧は30ボルトであってもよい。この場合、フリー・ホイール閾値Uは、例えば約60ボルトに規定してもよい。
【0043】
制御装置7は、フリー・ホイール・トリガ信号の受信後に、対応する相端子5a,5b,5cにおいて検出されたそれぞれの相電流がゼロ交差またはインバータ3から外側へ向いた電流方向を有している場合にはじめて、ハーフ・ブリッジ4a,4b,4cのそれぞれの切換装置3a〜3fが開かれた状態に移行されるように設計されていてもよい。これにより、無電流切換(ZCS,ゼロ電流切換)のための条件が常に保障されていることを確保することができる。したがって、フリー・ホイール・モードへの切換時点では、切換装置3a〜3fの遮断により直ちに直流電圧中間回路2に放電されるエネルギーは、電気機械5のステータ・インダクタンスに蓄積されていない。これにより、直流電圧中間回路2の電圧は無制御に増大せず、フリー・ホイール・モードを比較的長く保持することができる。
【0044】
フリー・ホイール・モードでインバータ3を作動することができる継続時間を最大限にすることにより、電気機械5から電気駆動系のシャフトに伝達され得る時間的に平均的なブレーキ・トルクが同時に最小限となる。図3は、インバータの作動状態が切り換えられる場合のインバータの相電流Iに関する電流‐時間線図30を概略的に示す。電流‐時間線図30は、例えば図1に示すような三相インバータ3の相電流経過31,32および33にあてはめることができる。この場合、電流‐時間線図30は、例えば制御範囲22または24から制御範囲23への切換にあてはまり、制御装置7はインバータ3をアクティブな短絡状態からフリー・ホイール・モードに移行させる。
【0045】
時点tでは、例えば、インバータ3の決定された回転数nおよび/または決定された入力電圧Uに応じた適宜な作動状態切換条件が満たされた場合に、評価装置8によるフリー・ホイール・トリガ信号の出力が行われる。この時点で、両方の相電流経過32および33は、電気機械5からインバータ3に流れる相電流値Iを有する。両方の相電流経過32および33に対応したインバータ3のハーフ・ブリッジの切換装置が時点tで閉じられた状態に移行された場合には、電気機械5の対応したステータ・インダクタンスに蓄積された電気エネルギーが直流電圧中間回路2に直ちに放電され、これにより直流電圧中間回路2において無制御な、したがって不都合な電圧上昇が生じる。したがって、制御装置7は、時点tで、すなわち、評価装置8からのフリー・ホイール・トリガ信号の受信後に、両方の相電流経過32および33に対応したハーフ・ブリッジの切換装置を差し当たりまだ導電状態に保持する。
【0046】
これに対して、相電流経過31は、インバータ3から電気機械5に流れる相電流値Iを示す。したがって、制御装置7は、相電流経過31に対応したインバータ3のハーフ・ブリッジもしくはハーフ・ブリッジの切換装置を既に時点tで閉じられた状態に移行する。後の時点で相電流が完全に電気機械5のステータ・インダクタンスに流れた後、相電流は、ハーフ・ブリッジで設定されたフリー・ホイール状態に基づいてゼロに保持される。
【0047】
制御装置7は、時点tに続いて、すなわち、評価装置8からのフリー・ホイール・トリガ信号の受信後に、両方の相電流経過32および33を監視する。相電流経過32および33が相電流のゼロ交差を示すそれぞれの時点tおよびtでは、それぞれ対応したハーフ・ブリッジもしくはハーフ・ブリッジの切換装置をフリー・ホイール・モードに切り換えることができる。フリー・ホイール・トリガ信号の出力とインバータ3におけるフリー・ホイール・モードの完全な作動との間の典型的な時間的遅れは、この場合、数ミリ秒である。しかしながら、これに対して、直流電圧中間回路2は、短絡状態の迅速な設定を不可欠にする高電圧には充電されない。このような電圧の消失に2秒までかかることもある。すなわち、フリー・ホイール・モードは、時間平均で著しく長く保持することもでき、その結果、時間平均で電気機械5によって生成されるブレーキ・トルクも同様に最小となる。
【0048】
図4は、インバータを作動するための方法40の概略図を示す。方法40は、特に相端子5a,5b,5cを介してn相の供給電圧をn相の電気機械5に供給する図1のインバータ3の作動状態を設定するために使用することができる。方法40は、第1ステップ41においてインバータ3の入力電圧Uを検出するステップを含む。第2ステップ42では、インバータ3の相端子5a,5b,5cにおいて相電流を検出することができる。ステップ43では、検出された入力電圧Uが設定可能なフリー・ホイール閾値UもしくはUよりも小さい場合に、例えば図1に示された評価装置8によってフリー・ホイール・トリガ信号を生成することができる。次いでステップ44では、検出された入力電圧Uに応じて短絡状態からフリー・ホイール・モードへのインバータの切換を行うことができる。
【0049】
フリー・ホイール・モードへ切り換える場合に、ハーフ・ブリッジ4a,4b,4cのそれぞれの切換装置3a〜3fは、フリー・ホイール・トリガ信号の受信後に、対応した相端子5a,5b,5cにおいて検出されたそれぞれの相電流がゼロ交差またはインバータ3から外側へ向いた電流方向を有している場合にはじめて開かれた状態に移行される。
【0050】
随意に、方法40はさらに、インバータ3の相端子5a,5b,5cにおけるインバータ3の出力電圧を検出するステップと、特に検出された出力電圧に基づいて電気機械5の回転数nを決定するステップと、を含む。設定可能なフリー・ホイール閾値は、この場合、図2に示すように、決定された回転数nの回転数範囲に応じて第1および第2電圧閾値の間で変更することができる。さらに、随意に、検出された入力電圧Uが設定可能なフリー・ホイール閾値よりも大きい場合には、検出された回転数nとは無関係に、インバータ3を短絡状態に保持することができる。
図1
図2
図3
図4