(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6046263
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】外部パッチ電極におけるインピーダンス測定値を使用したインピーダンス・ベース医用デバイス・ナビゲーションにおけるシフトおよびドリフトの補正
(51)【国際特許分類】
A61B 5/06 20060101AFI20161206BHJP
A61B 5/0408 20060101ALI20161206BHJP
A61B 5/0478 20060101ALI20161206BHJP
A61B 5/0492 20060101ALI20161206BHJP
A61B 5/05 20060101ALI20161206BHJP
A61M 25/095 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
A61B5/06
A61B5/04 300J
A61B5/05 B
A61M25/095
【請求項の数】23
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2015-539970(P2015-539970)
(86)(22)【出願日】2013年11月22日
(65)【公表番号】特表2016-502424(P2016-502424A)
(43)【公表日】2016年1月28日
(86)【国際出願番号】US2013071501
(87)【国際公開番号】WO2014085256
(87)【国際公開日】20140605
【審査請求日】2015年4月27日
(31)【優先権主張番号】13/690,737
(32)【優先日】2012年11月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506257180
【氏名又は名称】セント・ジュード・メディカル・エイトリアル・フィブリレーション・ディヴィジョン・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハウック ジョン エー.
(72)【発明者】
【氏名】シュワイツァー ジェフリー エー.
(72)【発明者】
【氏名】コリヤーク レフ エー.
【審査官】
松本 隆彦
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2004/0254437(US,A1)
【文献】
特表2009−508582(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/04
A61B 5/06
A61M 25/095
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体内の医用デバイス上に設置されたデバイス電極の位置を決定するためのシステムであって、
電子制御ユニットを備えており、
前記電子制御ユニットは、
前記身体の外面にそれぞれ結合された複数の測定電極の中から選択された第1の対の能動電極間での電流の伝達を引き起こし、それによって、前記デバイス電極にかかる第1の電圧を生成すること、
複数の受動電極からインピーダンス信号を受け取ること、
前記インピーダンス信号に応答して前記身体内の基準位置における仮想基準電極を確立すること、
前記デバイス電極にかかる前記第1の電圧および前記仮想基準電極の前記基準位置に応答して位置値を生成すること、および
前記インピーダンス信号に応答して計算されたスケーリング値を使用して前記位置値をスケーリングすること
を行うように構成されており、
前記受動電極のそれぞれが前記第1の対の能動電極以外の複数の前記測定電極のうちから選択され、前記インピーダンス信号のそれぞれが前記複数の受動電極のうち1つにおけるインピーダンスを示す、
システム。
【請求項2】
前記電子制御ユニットが、前記デバイス電極におけるインピーダンスを決定するようにさらに構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記電子制御ユニットが、前記インピーダンスを決定する際に、前記デバイス電極によって生成された信号を示す第1のインピーダンスおよびインピーダンス基準電極によって生成された信号を示す第2のインピーダンスに応答して、前記インピーダンスを計算するようにさらに構成されており、
前記インピーダンス基準電極が前記身体内の別の医用デバイス上に配置される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記電子制御ユニットが、前記複数の受動電極のうち第1の受動電極によって生成された前記インピーダンス信号およびインピーダンス基準電極によって生成された信号を示すインピーダンスに応答して、前記第1の受動電極におけるインピーダンスを決定するようにさらに構成されており、
前記インピーダンス基準電極が前記身体内の別の医用デバイス上に配置される、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記別の医用デバイスが冠状静脈洞カテーテルを備える、請求項3又は4に記載のシステム。
【請求項6】
前記電子制御ユニットが、前記医用デバイスの前記位置を計算する際に、
前記デバイス電極にかかる前記第1の電圧および前記仮想基準電極の前記基準位置に応答して位置値を生成し、
前記インピーダンス信号に応答して計算されたスケーリング値を使用して前記位置値をスケーリングする
ようにさらに構成される、請求項1〜5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記電子制御ユニットが、前記位置値をスケーリングする際に、
前記複数の受動電極のうち1つにおけるインピーダンスの絶対値の平均を時刻の関数Pm(t)として連続的に算出し、
前記インピーダンスの前記絶対値の算出された初期平均をPaとして保存し、
前記位置値に比Pa/Pm(t)を乗算する
ようにさらに構成される、請求項1〜6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記電子制御ユニットが、前記基準位置において前記仮想基準電極を確立する際に、
前記身体を通って延びる第1の軸に沿って前記仮想基準電極の位置を決定し、
前記身体を通って延びる、前記第1の軸に垂直な第2の軸に沿って前記仮想基準電極の位置を決定し、
前記身体を通って延びる、前記第1の軸および前記第2の軸に垂直な第3の軸に沿って前記仮想基準電極の位置を決定する
ようにさらに構成される、請求項1〜7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記電子制御ユニットが、前記第1の軸に沿って前記仮想基準電極の位置を決定する際に、
前記複数の受動電極のうち受動電極のサブセットにおけるインピーダンスを合計して、累積インピーダンス値を取得し、
前記累積インピーダンス値を受動電極の前記サブセット内の前記受動電極の数で除算する
ようにさらに構成される、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
身体内の医用デバイス上に設置されたデバイス電極の位置を決定するコードを有するコンピュータ・プログラムであって、前記コンピュータ・プログラムが電子制御ユニットに、
前記身体の外面にそれぞれ結合された複数の測定電極の中から選択された第1の対の能動電極間での電流の伝達を引き起こし、それによって、前記デバイス電極にかかる第1の電圧を生成すること、
複数の受動電極からインピーダンス信号を受け取ること、
前記インピーダンス信号に応答して前記身体内の基準位置における仮想基準電極を確立すること、
前記デバイス電極にかかる前記第1の電圧および前記仮想基準電極の前記基準位置に応答して位置値を生成すること、および
前記インピーダンス信号に応答して計算されたスケーリング値を使用して前記位置値をスケーリングすること、を実行させ、
前記受動電極のそれぞれが前記第1の対の能動電極以外の複数の前記測定電極のうちから選択され、前記インピーダンス信号のそれぞれが前記複数の受動電極のうち1つにおけるインピーダンスを示す、
コンピュータ・プログラム。
【請求項11】
前記電子制御ユニットに前記デバイス電極におけるインピーダンスを決定することを実行させるコードをさらに含む、請求項11に記載のコンピュータ・プログラム。
【請求項12】
前記インピーダンスを決定するための前記コードが、前記電子制御ユニットに前記デバイス電極によって生成された信号を示す第1のインピーダンスおよびインピーダンス基準電極によって生成された信号を示す第2のインピーダンスに応答して前記インピーダンスを計算するためのコードを含み、
前記インピーダンス基準電極が前記身体内の別の医用デバイス上に配置される、請求項11に記載のコンピュータ・プログラム。
【請求項13】
前記コンピュータ・プログラムが、前記電子制御ユニットに前記複数の受動電極のうち第1の受動電極によって生成された前記インピーダンス信号およびインピーダンス基準電極によって生成された信号を示すインピーダンスに応答して前記第1の受動電極におけるインピーダンスを決定することを実行させるコードをさらに含み、
前記インピーダンス基準電極が前記身体内の別の医用デバイス上に配置される、請求項10に記載のコンピュータ・プログラム。
【請求項14】
前記位置値をスケーリングするための前記コードが、前記電子制御ユニットに、
前記複数の受動電極のうち1つにおけるインピーダンスの絶対値の平均を時刻の関数Pm(t)として連続的に算出し、
前記インピーダンスの前記絶対値の算出された初期平均をPaとして保存し、
前記位置値に比Pa/Pm(t)を乗算する
ことを実行させるコードを含む、請求項10〜13のいずれか一項に記載のコンピュータ・プログラム。
【請求項15】
前記基準位置における前記仮想基準電極を確立するための前記コードが、前記電子制御ユニットに、
前記身体を通って延びる第1の軸に沿って前記仮想基準電極の位置を決定し、
前記身体を通って延びる、前記第1の軸に垂直な第2の軸に沿って前記仮想基準電極の位置を決定し、
前記身体を通って延びる、前記第1の軸および前記第2の軸に垂直な第3の軸に沿って前記仮想基準電極の位置を決定する
ことを実行させるコードを含む、請求項10〜14のいずれか一項に記載のコンピュータ・プログラム。
【請求項16】
前記第1の軸に沿って前記仮想基準電極の位置を決定するための前記コードが、前記電子制御ユニットに、
前記複数の受動電極のうち受動電極のサブセットにおけるインピーダンスを合計して、累積インピーダンス値を取得し、
前記累積インピーダンス値を受動電極の前記サブセット内の前記受動電極の数で除算する
ことを実行させるコードを含む、請求項15に記載のコンピュータ・プログラム。
【請求項17】
身体内の医用デバイス上に設置されたデバイス電極の位置を決定するためのシステムの作動方法であって、
前記身体の外面にそれぞれ結合された複数の測定電極の中から選択された第1の対の能動電極間での電流の伝達を引き起こし、それによって、前記デバイス電極にかかる第1の電圧を生成するステップと、
複数の受動電極からインピーダンス信号を受け取るステップと、
前記インピーダンス信号に応答して前記身体内の基準位置における仮想基準電極を確立するステップと、
前記デバイス電極にかかる前記第1の電圧および前記仮想基準電極の前記基準位置に応答して位置値を生成するステップと、
前記インピーダンス信号に応答して計算されたスケーリング値を使用して前記位置値をスケーリングするステップと
を含み、
前記受動電極のそれぞれが前記第1の対の能動電極以外の複数の前記測定電極のうちから選択され、前記インピーダンス信号のそれぞれが前記複数の受動電極のうち1つにおけるインピーダンスを示す、
システムの作動方法。
【請求項18】
前記デバイス電極におけるインピーダンスを決定するステップをさらに含む、請求項17に記載のシステムの作動方法。
【請求項19】
前記インピーダンスを決定するステップが、前記デバイス電極によって生成された信号を示す第1のインピーダンスおよびインピーダンス基準電極によって生成された信号を示す第2のインピーダンスに応答して、前記インピーダンスを計算するステップを含み、
前記インピーダンス基準電極が前記身体内の別の医用デバイス上に配置される、請求項18に記載のシステムの作動方法。
【請求項20】
前記複数の受動電極のうち第1の受動電極によって生成された前記インピーダンス信号およびインピーダンス基準電極によって生成された信号を示すインピーダンスに応答して、前記第1の受動電極におけるインピーダンスを決定するステップをさらに含み、
前記インピーダンス基準電極が前記身体内の別の医用デバイス上に配置される、請求項17に記載のシステムの作動方法。
【請求項21】
前記位置値をスケーリングするステップが、
前記複数の受動電極のうち1つにおけるインピーダンスの絶対値の平均を時刻の関数Pm(t)として連続的に算出するステップと、
前記インピーダンスの前記絶対値の算出された初期平均をPaとして保存するステップと、
前記位置値に比Pa/Pm(t)を乗算するステップと
を含む、請求項17〜20のいずれか一項に記載のシステムの作動方法。
【請求項22】
前記基準位置における前記仮想基準電極を確立するステップが、
前記身体を通って延びる第1の軸に沿って前記仮想基準電極の位置を決定するステップと、
前記身体を通って延びる、前記第1の軸に垂直な第2の軸に沿って前記仮想基準電極の位置を決定するステップと、
前記身体を通って延びる、前記第1の軸および前記第2の軸に垂直な第3の軸に沿って前記仮想基準電極の位置を決定するステップと
を含む、請求項17〜21のいずれか一項に記載のシステムの作動方法。
【請求項23】
前記第1の軸に沿って前記仮想基準電極の位置を決定するステップが、
前記複数の受動電極のうち受動電極のサブセットにおけるインピーダンスを合計して、累積インピーダンス値を取得するステップと、
前記累積インピーダンス値を受動電極の前記サブセット内の前記受動電極の数で除算するステップと
を含む、請求項22に記載のシステムの作動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2012年11月30日に出願された米国特許出願第13/690,737号の優先権を主張し、その内容は本明細書に完全に記載されているかのように参照により組み込まれる。
【0002】
本開示は、身体内の医用デバイス上のデバイス電極の1つ又は複数の特性を決定するためのシステム及び方法に関する。1つ又は複数の特性は、デバイス電極の位置及びデバイス電極の測定インピーダンスを含む。特に、本開示は、電場ベースの位置及びナビゲーション・システムにおける位置測定値及びインピーダンス測定値のドリフト及びシフトの補正を可能にするシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
様々な疾病を診断及び治療するために、多種多様な医用デバイスが身体内に挿入される。たとえば、カテーテルは、身体内で医薬品及び流体の送達、体液の除去、ならびに手術道具及び器具の輸送を含む様々な作業を実行するために使用される。たとえば、心房細動の診断及び治療では、カテーテルは、様々な作業の中でもとりわけ、心臓の表面の電気生理学的マッピングの目的で電極を心臓に送達するために、及びアブレーション・エネルギーを表面に送達するために使用されることがある。カテーテルは、一般的に、身体の血管系を通って関心領域に送られる。従来の手法では、イントロデューサを使用して皮膚表面を穿刺し、カテーテルの外径よりも大きい内径を有するシースを、脈管構造を通して関心領域に通す。次に、カテーテルを、臨床医によって手動で、又は電気機械的駆動システムの使用によって、シースを通して関心領域へと長手方向に移動させる。
【0004】
たとえば、薬品及び他の形態の治療が適切な場所に投与され、医療処置をより効率的にかつ安全に完了することができるように、カテーテルなどの医用デバイスが身体内で移動するとき、臨床医はこれらのデバイスの位置を追跡する。身体内で医用デバイスの位置を追跡するための1つの従来の手段が蛍光透視イメージングである。しかしながら、蛍光透視法は、患者及び医師を望ましくないレベルの電磁放射にさらすので、不利である。その結果、身体内で医用デバイスの位置を追跡するために、医用デバイス・ナビゲーション・システムが開発されてきた。これらのシステムは、一般的に、電場又は磁場の生成ならびに医用デバイスに取り付けられた及び/又は身体の外部にある位置センサ上での誘導電圧及び誘導電流の検出に依拠する。次に、これらのシステムから得られる情報が、たとえば視覚的表示によって医師に提供される。
【0005】
1つの従来の医用デバイス・ナビゲーション・システムが、St.Jude Medical,Inc.によって「ENSITE NAVX」という商標で入手可能である。このシステムは、電流が胸部を通過するとき、電圧降下が心臓などの臓器全体で発生するという原理に基づいており、この電圧降下を測定することで、身体内での医用デバイスの位置を決定するために使用することができる。このシステムは、身体の対向する表面(たとえば、胸部と背部、胸部の左側と右側、及び首と脚)に置かれ、略直交するx軸、y軸、及びz軸を形成する3対のパッチ電極と、ならびに一般的に胃の近傍に置かれ、基準値を提供し、ナビゲーション・システムに関する座標系の原点として作用する基準電極とを含む。正弦波電流がパッチ電極の各対によって駆動され、医用デバイスに関連する1つ又は複数の電極の電圧測定値が取得される。測定される電圧は、パッチ電極からのデバイス電極の距離に比例する。測定された電圧が基準電極における電位と比較され、ナビゲーション・システムの座標系内でのデバイス電極の位置が決定される。
【0006】
上記で説明したシステムは、身体内での医用デバイスの位置をほぼ正確に指し示すために使用することができる。しかしながら、電場ベースのナビゲーション・システムは、位置測定の精度に影響を与え得る様々な種類の干渉を受けやすい。たとえば、患者の身体内における電気インピーダンスのレベルは、必ずしも一定でない。インピーダンスは、たとえば、医用デバイスの検出される位置のドリフト及び/又はシフトにつながり得る薬物治療の変更により緩やかに変動し、さらには一時的なシフトを経験することがある。潜在的なドリフト又はシフトを軽減するために、基準電極を有する固定基準カテーテルの使用及びバイオインピーダンスのスケーリングを含む様々な方法が提案されてきた。固定基準カテーテルの使用は、身体への追加カテーテルの挿入を必要とし、それによって、処置時間及び合併症のリスクを増加させる。さらに、基準カテーテルは、処置中に脱落することがある。バイオインピーダンスのスケーリングは、しばしばドリフトを補正するのに有効であるが、シフトを十分に補正しない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、身体内の医用デバイス上のデバイス電極の1つまたは複数の特性を決定するためのシステムおよび方法に関する。特に、本開示は、電場ベースの位置及びナビゲーション・システムにおける位置測定値及びインピーダンス測定値のドリフト及びシフトの補正を可能にするシステムおよび方法に関する。
【0008】
本教示の一実施形態による、身体内の医用デバイス上に設置されたデバイス電極の1つまたは複数の特性を決定するためのシステムは、1対の能動電極間での電流の伝達を引き起こすように構成された電子制御ユニットを含む。この1対の能動電極は、身体の外面にそれぞれ結合された複数の測定電極の中から選択される。能動電極間での電流の伝達によって、デバイス電極にかかる電圧が生成される。電子制御ユニットは、複数の受動電極からインピーダンス信号を受け取るようにさらに構成される。受動電極のそれぞれは、能動電極の対のうち1つ以外の、複数の測定電極のうち1つを備える。インピーダンス信号のそれぞれは、複数の受動電極のうち1つにおけるインピーダンスを示す。電子制御ユニットは、インピーダンス信号に応答して身体内の基準位置における仮想基準電極を確立するようにさらに構成される。電子制御ユニットは、デバイス電極にかかる第1の電圧および基準電極の基準位置に応答して位置値を生成し、インピーダンス信号に応答して計算されたスケーリング値を使用して位置値をスケーリングするようにさらに構成される。
【0009】
本教示の一実施形態による製造品は、電子制御ユニットによる実行時に、身体内の医用デバイス上に設置されたデバイス電極の1つまたは複数の特性を決定する、コード化されたコンピュータ・プログラムを有するコンピュータ可読記憶媒体を含む。このコンピュータ・プログラムは、1対の能動電極間での電流の伝達を引き起こすためのコードを含む。この1対の能動電極は、身体の外面にそれぞれ結合された複数の測定電極の中から選択される。能動電極間での電流の伝達によって、デバイス電極にかかる電圧が生成される。コンピュータ・プログラムは、複数の受動電極からインピーダンス信号を受け取るためのコードをさらに含む。受動電極のそれぞれは、能動電極の対のうち1つ以外の、複数の測定電極のうち1つを備える。インピーダンス信号のそれぞれは、複数の受動電極のうち1つにおけるインピーダンスを示す。コンピュータ・プログラムは、インピーダンス信号に応答して身体内の基準位置における仮想基準電極を確立するためのコードをさらに含む。コンピュータ・プログラムは、デバイス電極にかかる第1の電圧および基準電極の基準位置に応答して位置値を生成し、インピーダンス信号に応答して計算されたスケーリング値を使用して位置値をスケーリングするためのコードをさらに含む。
【0010】
本教示の一実施形態による、身体内の医用デバイス上に設置されたデバイス電極の1つまたは複数の特性を決定するための方法は、1対の能動電極間での電流の伝達を引き起こすことを含む。この1対の能動電極は、身体の外面にそれぞれ結合された複数の測定電極の中から選択される。能動電極間での電流の伝達によって、デバイス電極にかかる電圧が生成される。方法は、複数の受動電極からインピーダンス信号を受け取ることをさらに含む。受動電極のそれぞれは、能動電極の対のうち1つ以外の、複数の測定電極のうち1つを備える。インピーダンス信号のそれぞれは、複数の受動電極のうち1つにおけるインピーダンスを示す。方法は、インピーダンス信号に応答して身体内の基準位置における仮想基準電極を確立することをさらに含む。方法は、デバイス電極にかかる第1の電圧および基準電極の基準位置に応答して位置値を生成すること、およびインピーダンス信号に応答して計算されたスケーリング値を使用して位置値をスケーリングすることをさらに含む。
【0011】
本教示によるシステムおよび方法は、患者インピーダンス・レベルにおけるシフトまたはドリフトによる位置測定値およびインピーダンス測定値における一貫した誤差の補正を可能にする。さらに、システムおよび方法は、追加基準カテーテルの使用、ならびに結果として生じる処置時間およびリスクの増加を必要としない。
【0012】
本開示の上記その他の態様、特徴、詳細、有用性、および利点は、以下の説明および特許請求の範囲を読めば、および添付の図面を検討すれば、明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本教示により身体内で医用デバイス上に設置されたデバイス電極の1つまたは複数の特性を決定するためのシステムの一実施形態の線図である。
【0014】
【
図2】本教示により身体内で医用デバイス上に設置されたデバイス電極の1つまたは複数の特性を決定するための方法の一実施形態を示す流れ図である。
【0015】
【
図3】シフト補償がない場合、バイオ・インピーダンスのスケーリングに基づいたシフト補償がある場合、および本教示によるシフト補償がある場合の、身体内で医用デバイス上に設置されたデバイス電極の位置を経時的に示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、様々な図において同一の構成要素を識別するために同じ参照番号が使用される図面を参照すると、
図1は、身体12内で医用デバイスに設けられている電極の1つ又は複数の特性を決定するためのシステム10の一実施形態を示す。図示の実施形態では、この医用デバイスは、カテーテル14、具体的には、身体12内で心臓組織16の診断又は治療において使用するためのイリゲーション・アブレーション・カテーテルを備える。しかしながら、本教示によるシステム10は、診断又は治療のために身体12内で使用される多種多様の医用デバイスに関連する用途を見つけられ得ることを理解されたい。さらに、システム10は、組織16以外の身体12の部分の診断又は治療で使用される医用デバイスとともに使用され得ることを理解されたい。
図1に示される実施形態では、システム10は、電場ベースの位置決めシステム18と、ディスプレイ20と、電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)22とを含む。
【0017】
カテーテル14は、心臓組織16などの体内組織の検査、診断、及び治療のために設けられる。一実施形態によれば、カテーテル14は、アブレーション・カテーテル、より具体的には、イリゲーション無線周波(RF:Radio Frequency)アブレーション・カテーテルを含む。しかしながら、カテーテル14は例示のためにのみ設けられ、システム10はたとえば、電気生理学マッピング・カテーテル及び心腔内心エコー法(ICE:Intracardiac Echocardiograph)カテーテルを含む様々なカテーテルとともに使用するために、ならびに異なる様々な種類のアブレーション・エネルギー(たとえば、冷凍切除、超音波など)を提供するカテーテルを含む他の種類のアブレーション・カテーテルとともに使用するために適合されてよいことも理解されたい。カテーテル14は、(たとえば、図示のように流体源24からの重力送りによる供給を有する固定速度ローラ・ポンプ又は容量可変シリンジ・ポンプを備えてよい)ポンプ26を通過して、灌注のために生理食塩水などの生体適合性流体を有する流体源24に接続される。カテーテル14は、RFエネルギーの送達のためにアブレーション・ジェネレータ28にも電気的に接続される。カテーテル14は、ケーブル・コネクタ又はインタフェース30と、ハンドル32と、近位端36と遠位端38を有するシャフト36と、1つ又は複数のデバイス電極40とを含むことができる。カテーテル14は、温度センサ、追加電極、及び対応する導体又はリード線などの、本明細書で図示されない他の従来の構成要素も含んでよい。
【0018】
コネクタ30は、ポンプ26から延びるコンジット又はケーブル、及びアブレーション・ジェネレータ30に、機械的接続、流体接続、及び電気接続を提供する。コネクタ30は当技術分野では慣習的であり、カテーテル14の近位端36に配置される。
【0019】
ハンドル32は、医師がカテーテル14を保持するための場所を提供し、身体12内でシャフト34を操作する又はこれを案内するための手段をさらに提供してよい。たとえば、ハンドル32は、遠位端38したがってシャフト34を操作するためにカテーテル14を通ってシャフト34の遠位端38へと延びるガイドワイヤの長さを変更するための手段を含むことができる。ハンドル32も当技術分野では慣習的であり、ハンドル32の構造が変化してよいことが理解されよう。
【0020】
シャフト34は、身体12内での移動のために構成された細長い可撓性部材である。シャフト34は、電極40,42、関連する導体、及び場合によっては信号処理又は条件付けに使用される追加の電子部品を支持する。シャフト34はまた、流体(灌注液及び体液を含む)、医薬品、及び/又は手術道具もしくは手術機器の輸送、送達、及び/又は除去を可能にしてもよい。シャフト34は、ポリウレタンなどの従来の材料から作製されてよく、電気導体、流体、又は手術道具を収容するかつ/又はこれを輸送するように構成された1つ又は複数の内腔を画定する。シャフト34は、従来のイントロデューサ・シースを通って身体12内の血管又は他の構造に差し込まれ得る。シャフト34は、次に、ガイドワイヤ又はプルワイヤ又は遠隔制御案内システムを含む当技術分野で知られている他の手段を使用して、身体12を通って組織16などの所望の場所に操作又は案内され得る。
【0021】
デバイス電極40,42は、たとえば、電気生理学的試験、カテーテルの識別及び位置特定、ペーシング、ならびに心臓マッピング及びアブレーションを含む様々な診断及び治療の目的のために設けられてよい。デバイス電極40,42はさらに、身体12内でカテーテル14の位置を決定するために設けられてもよい。図示の実施形態では、カテーテル14は、シャフト36の遠位端38にアブレーション先端電極40と、先端電極の近位に位置する1又は複数のリング電極42を含む。しかしながら、電極40,42の数、方向、及び目的は変更されてよいことを理解されたい。電極40,42は、身体14内で、及びシステム18で生成される電場内で移動するので、電極40,42からの読み取り電圧が変化し、それによって、電場内の電極40,42の位置を示し、座標系44がシステム18によって確立される。電極40,42は、従来のインタフェース(図示せず)によってECU22に信号を通信する。
【0022】
システム18は、身体12内でのカテーテル14及び類似のデバイスの位置及び方向を決定するために設けられる。システム18は、St.Jude Medical,Inc.によって「ENSITE NAVX」という商標で一部又は全てが入手可能であり、かつたとえば、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる「Method and Apparatus for Catheter Navigation and Location Mapping in the Heart」という名称の米国特許第7,263,397号に記載されているシステムを含むことができる。システム18は、低振幅電気信号が胸部を通過するとき、身体12は分圧器(又は電位差計又は加減抵抗器)として作用するという原理に基づいており、その結果、カテーテル14上のデバイス電極40,42のうち一方などの電極で測定される電位又は電場強度は、オームの法則及び(たとえば冠静脈洞内の)基準電極の相対的位置関係を使用して1対の外部測定電極に対する電極したがってカテーテル14の位置を決定するために使用され得る。一構成では、システムは、身体12の対向する表面(たとえば、胸部と背部、胸部の左側と右側、及び首と脚)に置かれ、略直交するx軸、y軸、及びz軸を形成する3対の測定電極46を含む。システム18はさらに、一般的には患者の胃の近傍に置かれ、インピーダンス基準値を提供し、ナビゲーション・システムに関する座標系44の原点として作用し得る基準電極/パッチを含む。しかしながら、以下に詳しく述べる本教示の一態様によれば、身体12内の仮想基準電極は、座標系44の起源として外部基準電極/パッチに置き換えてもよく、さらに、ドリフト及びシフトのより良い補償のために、インピーダンス基準は再配置され、さらには身体12内に設けられてもよい。正弦波電流が測定電極46の各対によって駆動され、カテーテル14に関連する1つ又は複数のデバイス電極40,42に関する電圧測定値が取得される。測定される電圧は、測定電極46からのデバイス電極40,42の距離の関数である。測定された電圧が、以下に詳しく記載する仮想基準電極のような位置基準と比較され、ナビゲーション・システムの座標系44内での電極40,42の位置が決定される。この例示的なシステムによれば、システム18は、測定電極46(すなわち46
X1、46
X2、46
Y1、46
Y2、46
Z1、46
Z2)と、スイッチ48と、信号発生器50とを含むことができる。
【0023】
測定電極46は、システム18の三次元座標系44内でのカテーテル14の位置を決定する際に使用される電気信号を生成するために設けられる。電極46は、組織16に関するEPデータを生成するために使用されてもよい。電極46は、接着テープを使って身体12の表面に張り付けられるフレキシブル基板を有するパッチ電極を備えていてもよい。電極46は、身体12の表面に直交するように置かれ、身体12内の電場に固有な軸を作るために使用される。電極46
X1、46
X2は第1の(x)軸に沿って置くことができる。同様に、電極46
Y1、46
Y2は第2の(y)軸に沿って置くことができ、電極46
Z1、46
Z2は第3の(z)軸に沿って置くことができる。電極46のそれぞれは多重化スイッチ48に結合されてよい。ECU24は、適切なソフトウェア及び/又はハードウェアによって、スイッチ48に制御信号を提供し、それによって、能動又は被駆動電極対を形成するために、電極46の対を信号発生器50に順次結合するように構成される。電極46の能動対の各々が励起されると、身体14内で、及び心臓などの関心領域内で、電磁場が生成される。パッシブ又は励起されていない電極46における電圧レベルは、基準値として使用するために、フィルタリングされ、変換され、ECU22に、特に以下で詳しく述べる仮想基準電極に提供されてよい。
【0024】
ディスプレイ20は、診断及び治療を助ける目的で情報を医師に伝えるために設けられる。ディスプレイ20は、1つ又は複数の従来のコンピュータ・モニタ又は他のディスプレイ・デバイスを含んでよい。ディスプレイ20は、医師にグラフィカル・ユーザ・インタフェース(GUI:graphical user interface)を示すことができる。GUIは、たとえば、組織16の外形の画像、組織16に関連する電気生理学的データ、様々な電極40,42に関する電圧レベルを経時的に示すグラフ、ならびにカテーテル14及び他の医用デバイスの画像ならびに組織16に対するカテーテル14及び他のデバイスの位置を示す関連情報を含む様々な情報を含むことができる。
【0025】
ECU22は、カテーテル14及びアブレーション・ジェネレータ28、システム18のスイッチ48を含むシステム10の様々な構成要素の動作を制御するための手段を提供する。ECU22は、組織16の外形、組織16の電気生理学的特性、ならびに組織16及び身体14に対するカテーテル12の位置及び方向を決定するための手段も提供することができる。ECU22は、ディスプレイ20を制御するために使用されるディスプレイ信号を生成するための手段も提供する。ECU22は、1つ又は複数のプログラム可能なマイクロプロセッサ又はマイクロコントローラを備えてもよいし、1つ又は複数の特定用途向け集積回路(ASIC)を備えてもよい。ECU22は、中央処理装置(CPU)と、アブレーション・ジェネレータ30によって生成される信号を含む複数の入力信号をECU22が受け取ることができる入/出力(I/O)インタフェースと、カテーテル14上のデバイス電極40,42及びシステム18の測定電極54とを含む。ECU22のCPU及び入/出力(I/O)インタフェースはまた、カテーテル14、ディスプレイ20、アブレーション・ジェネレータ28、システム18のスイッチ48、及びシステム20の発生器50を制御し、かつ/又はこれらにデータを提供するために使用される信号を含む複数の出力信号を生成するように構成される。
【0026】
本教示によれば、ECU22は、身体12内でカテーテル14などの医用デバイス上のデバイス電極40,42の1つ又は複数の特性を決定するための方法を実施するためにコンピュータ・プログラム(すなわちソフトウェア)からのプログラミング命令を有するように構成され得る。プログラムは、ECU22の内部にある又はECU22の外部にあるメモリ(図示せず)などのコンピュータ記憶媒体に保存されてよく、メモリにあらかじめインストールされてもよいし、様々な種類のポータブル・メディア(たとえば、コンパクト・ディスク、フラッシュ・ドライブなど)又はファイル・サーバ又は電気通信ネットワークを介してアクセス可能な他のコンピューティング・デバイスからを含めて、ECU22の外部にあるコンピュータ記憶媒体から取得されてもよい。
【0027】
図2は、医用デバイス上に設置されたデバイス電極の1つまたは複数の特性を決定するための方法の一実施形態を示す流れ図である。
図2に示されるように、方法51は、一般に、1対の測定電極46間での電流の伝達を引き起こすプロセス52から始まることができる。ECU22は、制御信号を生成し、これらの信号をスイッチ48に伝達して、電極46の選択された対を信号発生器50に結合することができる。以下では、所与の時点で電流が伝達される測定電極46は、能動電極または被駆動電極と呼ばれることがある。他の測定電極46は、受動電極または非駆動(non−driven)電極と呼ばれることがある。先に説明したように、所与の対の測定電極46にわたる電流の伝達によって、デバイス電極40、42にかかる電圧が生成される。電極40、42は、デバイス内の導体12を通り、インタフェース30を通って、最後にインタフェース30とECU22の間に延びる従来の導体を通ってECU22に伝達できる電圧を示す信号を生成する。
【0028】
方法は、複数の受動電極46からインピーダンス信号を受け取るプロセス54に進むことができる。インピーダンス信号は、能動電極46にわたる電流の伝達から生じる、受動電極46におけるインピーダンス測定値を示す。たとえば、電流が能動電極46
X1、46
X2にわたって駆動される場合、インピーダンスは、受動電極46
Y1、46
Y2、46
Z1、46
Z2で測定され得る。インピーダンス信号は、受動電極46から従来の導体を通ってECU22に伝達され得る。
【0029】
方法は、受動電極46から受け取ったインピーダンス信号に応答して身体14内の基準位置における仮想基準電極を確立するプロセス56に進むことができる。この仮想基準電極は、位置基準として作用することを意図したものであり、いくつかの実施形態では、一般にSt.Jude Medical, Inc.の商標「ENSITE NAVX」の下で利用可能になるシステム内で患者の腹部の近くに位置する外部基準パッチ電極に代わることができる。本教示の一態様によれば、仮想基準電極は、身体14内で、従来の外部基準パッチ電極に対して、電極40、42のより近くに位置する。その結果、基準電極は、電流が伝達される軸に対してより中央に位置し、電極40、42と、各軸に沿って変化する基準電極との間で身体の抵抗が低下するかまたはなくなり、それによって、測定誤差が減少する。
【0030】
プロセス56は、身体14を通って延びる軸に沿って仮想基準電極の位置を決定するサブプロセス58を含むことができる。このサブプロセスは、追加の軸に対して繰り返すことができる。
図1を参照すると、たとえば、座標系44内のx軸に沿った仮想基準電極の位置が、仮想基準電極の三次元座標に達するために、x軸に垂直なy軸およびx軸とy軸の両方に垂直なz軸に沿った位置と共に、決定され得る。任意の個別の軸に沿った仮想基準電極の位置は、受動電極46からのインピーダンス信号を使用して決定され得る。電極40、42のように、座標系44内の各個別の測定電極46の位置は、システム18を使用して位置づけてよい。しかしながら、電極46と身体14の皮膚表面の間のインタフェースにおけるインピーダンスが大きく、インタフェースを通過した一定の電流の印加から生じる大きな電位が生成されるために、電極46の測定される位置は、身体14内の電極46の幾何学的中心から比較的遠くに位置する。特に、各測定電極46の測定される位置は、特定の軸上の幾何学的中心から比較的遠いが、他の軸上の幾何学的中心から比較的近い。電極46
X1、46
X2の場合、測定される位置は、
図1のx軸に沿った中心から比較的遠いが、y軸およびz軸に沿った中心に比較的近い。同様に、電極46
Y1、46
Y2の場合、測定される位置は、
図1のy軸に沿った中心から比較的遠いが、x軸およびz軸に沿った中心に比較的近く、電極46
Z1、46
Z2の場合、測定される位置はz軸に沿った中心から比較的遠いが、x軸およびy軸に沿った中心に比較的近い。幾何学的中心に比較的近い各電極46の位置座標は、電極46が受動電極として作用しているときに測定されるそれらの位置座標と一致する。その結果、電極46が受動電極として作用しているときに様々な対の電極46に対して得られる測定値は、各軸に沿った中心点したがって身体14内の幾何学的中心における仮想基準電極を確立するために使用することができる。一般に、任意の個別の軸に沿った中心点を確立するために、2つ以上の測定電極46が受動電極として機能しているとき、そのような測定電極46(対象軸(subject axis)に沿って電流を伝達するために使用される測定電極46を除く)でインピーダンス測定値が得られ(しかし、時には、能動電極として機能しているときに得られる測定値が、以下のように使用されることがある)、次の式に示されるように平均化される。
【0032】
上式で、IMP[46
1]…IMP[46
1]は、N個の測定電極として測定されたインピーダンスを表す。たとえば、特定の一実施形態では、電極46
X1、46
X2が受動電極であるときに電極46
X1、46
X2上で得られる測定値は、z軸に沿って仮想位置を確立するために使用することができ、電極46
Z1、46
Z2が受動電極であるときに電極46
Z1、46
Z2上で得られる測定値は、x軸に沿って仮想位置を確立するために使用することができ、電極46
Z1、46
X1、46
X2が受動電極であるときに電極46
Z1、46
X1、46
X2上で得られる測定値は、y軸に沿って仮想位置を確立するために使用することができる。特に、次の式は、各軸に沿った仮想基準電極の位置を決定するために使用され得る。
【0036】
上式で、IMP[i][j]は、第1の列挙された電極から第2の列挙された電極への電極対jにわたる電流の伝達中に電極i上で測定されるインピーダンスを表し、Xscale、Yscale、およびZscaleは、測定の単位を距離の尺度(たとえばミリメートル)に変換するために使用されるスケーリング係数である。したがって、所与の軸に沿って位置を決定するサブプロセス58は、受動電極46のサブセットにおけるインピーダンスを合計して累積インピーダンス値を取得するサブプロセスと、この累積インピーダンス値をサブセット内の受動電極の数で除算するサブプロセスと、得られた値をスケーリングするサブプロセスとを含むことができる。上記の式は例示であり、様々な対の能動電極46の励起から生じた所与の軸に沿っていない受動電極46におけるインピーダンス測定値を使用して、任意の所与の軸に対して様々な異なる式が形成され得ることを理解されたい。たとえば、y軸に沿った仮想基準電極の位置は、別法として、次のように計算され得る。
【0038】
式(5)は、能動電極で測定されるインピーダンス(すなわちIMP[46
Z2][46
Y1:46
Z2]およびIMP[46
Z2][46
Y2:46
Z2])を含むが、これらのインピーダンスは事実上減算される。
【0039】
方法は、電極40または42にかかる電圧およびプロセス56で決定された仮想基準電極の基準位置に応答して医用デバイス14の位置を計算するプロセス60に進むことができる。プロセス60は、デバイス電極40または42にかかる電圧および基準電極の基準位置に応答して位置値を生成するサブプロセス62を含むことができる。一般に、所与の軸に沿った位置は、x軸に関する次の式に示されるように、その軸に沿ったデバイス電極40、42の位置からその軸に沿った仮想基準電極の位置を減算することによって決定され得る。
【0041】
上式で、Xは、電極40または42にかかる電圧によって決定されるデバイス電極40、42の、x軸に沿った補正されていない位置を表し、IMP[46
1]…IMP[46
N]は、上記の式(1)に記載したN個の測定電極46上でのインピーダンス測定値を表す。式(IMP[46
1]+IMP[46
2]+…IMP[46
N])/Nは、一実施形態では、本質的に、上記の式(2)のX
REFで置き換えることができる。したがって、たとえば、3つの軸に沿った位置値は、次の式を使用して計算することができる。
【0045】
上式で、X、Y、およびZは、電極40または42にかかる電圧によって決定されるデバイス電極40または42の、x軸、y軸、およびz軸に沿った補正されていない位置を表し、X
REF、Y
REF、およびZ
REFは、上記の式(2)〜(4)から決定される仮想基準電極のx軸、y軸、およびz軸に沿った位置を表し、X
REF[0]、Y
REF[0]、およびZ
REF[0]は、ナビゲーション領域の範囲を維持するために任意選択で追加されてよい初期値を表す。仮想基準電極の場所は、従来の位置基準とは異なり、デバイス電極40、42の測定される位置と同様にドリフトによる影響を受けるので、システムは、身体インピーダンスの変化によるドリフトを補償する。いくつかの実施形態では、より細かい範囲の補償は、ブロック60で一般的に示されるように、バイオ・インピーダンスのスケーリングを適用することによっても達成することができる。したがって、プロセス60は、インピーダンス信号に応答して計算されたスケーリング値を使用して位置値をスケーリングするサブプロセス64をさらに含むことができる。ECU22は、たとえば、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,885,707号に記載されている方法を使用して、スケーリング値BioZscaleを計算することができる。したがって、サブプロセス64は、受動電極46のうち1つにおけるインピーダンスの絶対値の平均を時刻の関数として連続的に算出して値Pm(t)を取得するサブプロセス66を含むことができる。サブプロセス64は、インピーダンスの絶対値の算出された初期平均を値Paとして保存するサブプロセス68をさらに含むことができる。サブプロセス64は、サブプロセス62で取得された位置値に比Pa/Pm(t)すなわちBioZscaleを乗算するサブプロセス70をさらに含むことができる。具体的には、上記の式(7)〜(9)は次のように修正することができる。
【0049】
式(10)〜(12)は、デバイス電極40、42の決定された位置と仮想基準電極の決定された位置との間のスケーリングの差を説明する。サブプロセス64、66、68は、インピーダンスの変化は身体12内で均一でないことがあるという理解の下で各対の能動電極に対する別個のスケーリング係数を生成するために、各対の能動電極に対して実行されてよい。あるいは、サブプロセス64、66、68は、任意の生物学的インピーダンスの変化は本質的に身体12内で均一であるという仮定の下で、共通スケーリング係数をもたらしてもよい。
【0050】
上記で説明したシステム10および方法の一態様によれば、インピーダンス基準は、位置測定値に影響を与えることなくナビゲーション・フィールド内のどこかに位置することができる。仮想基準電極は、ここで位置基準として機能するので、単一デバイス内で組み合わされることがある位置基準機能とインピーダンス基準機能(上記で参照された外部基準(腹部)電極/パッチなど)は、もはや共存しない。インピーダンス基準の電位は、対象となるすべての量から減算されるので、式(6)は、たとえば、インピーダンス基準の電位に依存しないように次のように書き換えてもよい。
【0052】
式(13)のあらゆる項のあらゆる測定値は、インピーダンス基準に関して得られるので、インピーダンス基準の寄与は、あらゆる項で正確に無効にされる。したがって、インピーダンス基準は、位置測定値に影響を与えることなく移動させることができる。
【0053】
本教示による方法は、電極40または42などのデバイス14上の電極または測定電極46のいずれかなどのシステム18内の別の電極におけるインピーダンスを決定するプロセス72をさらに含むことができる。プロセス72は、電極40、42、または46によって生成された信号を示すインピーダンスおよびインピーダンス基準電極によって生成される信号を示す別のインピーダンスに応答してインピーダンスを計算するサブプロセスを含むことができる。前述のように、本発明の一態様によれば、インピーダンス基準は、場所の測定値に影響を与えることなくナビゲーション領域内のどこかに移動させることができる。したがって、インピーダンス基準は、たとえば冠状静脈洞カテーテルなどの別のカテーテルを含む、身体内の別の医用デバイス上に設置されてよい。ECU22は、デバイス電極40、42または測定電極46における、および冠状静脈洞カテーテル上の電極からの、インピーダンスを示す信号を受け取り、これらの信号に応答してデバイス電極40、42、または測定電極46におけるインピーダンスを決定することができる。
【0054】
本教示によるシステム10および方法は、患者インピーダンス・レベルにおけるシフトまたはドリフトによる位置測定値およびインピーダンス測定値における一貫した補正または誤差を可能にする。さらに、システム10および方法は、追加基準カテーテルの使用ならびに結果として処置時間およびリスクの増加を必要としない。
【0055】
開示するシステムおよび方法は、植え込まれた冠状静脈洞カテーテル電極に対する記録された位置情報に開示する方法を適用することによって試験された。開示方法を使用したカテーテル電極の位置値のドリフトを、ドリフトの補償を試みない位置値のドリフト、ドリフトの補償の試行においてバイオ・インピーダンスのスケーリングが使用された位置値のドリフト、およびバイオ・インピーダンスのスケーリングと仮想基準電極の両方が使用されたドリフトと比較した。ドリフトは、次の結果をもたらす、z軸に沿ったデータに適用された線形フィッティングの傾きによって推定した。
【0057】
図3は、シフト補償がない場合、バイオ・インピーダンスのスケーリングに基づいたシフト補償がある場合、および本教示によるシフト補償がある場合の、身体内で医用デバイス上に設置されたデバイス電極のいくつかの例示的なトレースを示すグラフ77である。
図3のトレースは、たとえば、測定電極46上でのインピーダンスのシフトによってx軸に沿ったデバイス電極の位置値のシフトがどのようにもたらされ得るかを表す。トレース78は、ドリフトまたはシフトに対する補償のない電極の位置を表す。トレース80は、バイオ・インピーダンスのスケーリングによる補償を有する電極の位置を表し、位置の比較的大きなシフトを引き続き示す。トレース82は、上記で説明したような仮想基準電極およびバイオ・インピーダンスのスケーリングの使用に基づいた補償を有する電極の位置を表す。表1の例および
図3に示される例示的なトレース78、80、82に示されるように、本発明のシステムの使用および方法によって、インピーダンス・シフトに対する補償の改善が達成される。
【0058】
本教示に伴ってシステムの複数の実施形態をある程度の特殊性とともに前述したが、当業者は、本発明の趣旨又は範囲を逸脱することなく、開示された実施形態に多くの変更を加えることができるだろう。すべての方向に関する言及(たとえば、上部、下部、上向き、下向き、左、右、左向き、右向き、最上部、底部、より上方に、より下方に、垂直の、水平の、時計回り、反時計回り)は、開示する実施形態についての読者の理解を助けるために、識別の目的で使用されているにすぎず、特に開示する実施形態の位置、向き又は使用に関して制限を与えるものではない。接合に関する言及(たとえば、取り付けられる、結合される、接続される等)は、広義に解釈されるべきであり、要素の接続と要素間の相対的な動きとの間の中間メンバを含む場合がある。このように、接合に関する言及は、2つの要素が直接的に接続され、かつ互いに固定した関係にあることを必ずしも意味するものではない。上記の説明に含まれ、又は添付図面に示されるすべての内容は、限定的なものとしてではなく、単に例示的なものとして解釈されるべきであることが意図されている。添付の特許請求の範囲で定義されている本教示の趣旨から逸脱することなく、細部又は構造に変更を加えることができる。
以下の項目は、国際出願時の特許請求の範囲に記載の要素である。
(項目1)
身体内の医用デバイス上に設置されたデバイス電極の1つまたは複数の特性を決定するためのシステムであって、
前記身体の外面にそれぞれ結合された複数の測定電極の中から選択された第1の対の能動電極間での電流の伝達を引き起こし、それによって、前記デバイス電極にかかる第1の電圧を生成すること、
複数の受動電極からインピーダンス信号を受け取ることであって、前記受動電極のそれぞれが、前記第1の対の能動電極のうち1つ以外の、前記複数の測定電極のうち1つを備え、前記インピーダンス信号のそれぞれが前記複数の受動電極のうち1つにおけるインピーダンスを示す、受け取ること、
前記インピーダンス信号に応答して前記身体内の基準位置における仮想基準電極を確立すること、
前記デバイス電極にかかる前記第1の電圧および前記基準電極の前記基準位置に応答して位置値を生成すること、および
前記インピーダンス信号に応答して計算されたスケーリング値を使用して前記位置値をスケーリングすること
を行うように構成された電子制御ユニット
を備えるシステム。
(項目2)
前記電子制御ユニットが、前記デバイス電極におけるインピーダンスを決定するようにさらに構成される、項目1に記載のシステム。
(項目3)
前記電子制御ユニットが、前記インピーダンスを決定する際に、前記デバイス電極によって生成された信号を示す第1のインピーダンスおよびインピーダンス基準電極によって生成された信号を示す第2のインピーダンスに応答して、前記インピーダンスを計算するようにさらに構成される、項目2に記載のシステム。
(項目4)
前記電子制御ユニットが、前記複数の受動電極のうち第1の受動電極によって生成された前記インピーダンス信号およびインピーダンス基準電極によって生成された信号を示すインピーダンスに応答して、前記第1の受動電極におけるインピーダンスを決定するようにさらに構成される、項目2に記載のシステム。
(項目5)
前記インピーダンス基準電極が前記身体内の別の医用デバイス上に配置される、項目4に記載のシステム。
(項目6)
前記別の医用デバイスが冠状静脈洞カテーテルを備える、項目5に記載のシステム。
(項目7)
前記電子制御ユニットが、前記医用デバイスの前記位置を計算する際に、
前記デバイス電極にかかる前記第1の電圧および前記基準電極の前記基準位置に応答して位置値を生成し、
前記インピーダンス信号に応答して計算されたスケーリング値を使用して前記位置値をスケーリングする
ようにさらに構成される、項目1に記載のシステム。
(項目8)
前記電子制御ユニットが、前記位置値をスケーリングする際に、
前記複数の受動電極のうち1つにおけるインピーダンスの絶対値の平均を時刻の関数Pm(t)として連続的に算出し、
前記インピーダンスの前記絶対値の算出された初期平均をPaとして保存し、
前記位置値に比Pa/Pm(t)を乗算する
ようにさらに構成される、項目1に記載のシステム。
(項目9)
前記電子制御ユニットが、前記基準位置において前記仮想基準電極を確立する際に、
前記身体を通って延びる第1の軸に沿って前記仮想基準電極の位置を決定し、
前記身体を通って延びる、前記第1の軸に垂直な第2の軸に沿って前記仮想基準電極の位置を決定し、
前記身体を通って延びる、前記第1の軸および前記第2の軸に垂直な第3の軸に沿って前記仮想基準電極の位置を決定する
ようにさらに構成される、項目1に記載のシステム。
(項目10)
前記電子制御ユニットが、前記第1の軸に沿って前記仮想基準電極の位置を決定する際に、
前記複数の受動電極のうち受動電極のサブセットにおけるインピーダンスを合計して、累積インピーダンス値を取得し、
前記累積インピーダンス値を受動電極の前記サブセット内の前記受動電極の数で除算する
ようにさらに構成される、項目9に記載のシステム。
(項目11)
電子制御ユニットによる実行時に、身体内の医用デバイス上に設置されたデバイス電極の1つまたは複数の特性を決定する、コード化されたコンピュータ・プログラムを有するコンピュータ可読記憶媒体であって、前記コンピュータ・プログラムが、
前記身体の外面にそれぞれ結合された複数の測定電極の中から選択された第1の対の能動電極間での電流の伝達を引き起こし、それによって、前記デバイス電極にかかる第1の電圧を生成すること、
複数の受動電極からインピーダンス信号を受け取ることであって、前記受動電極のそれぞれが、前記第1の対の能動電極のうち1つ以外の、前記複数の測定電極のうち1つを備え、前記インピーダンス信号のそれぞれが前記複数の受動電極のうち1つにおけるインピーダンスを示す、受け取ること、
前記インピーダンス信号に応答して前記身体内の基準位置における仮想基準電極を確立すること、
前記デバイス電極にかかる前記第1の電圧および前記基準電極の前記基準位置に応答して位置値を生成すること、および
前記インピーダンス信号に応答して計算されたスケーリング値を使用して前記位置値をスケーリングすること
を行うためのコードを含む、コンピュータ可読記憶媒体
を備える製造品。
(項目12)
前記コンピュータ・プログラムが、前記デバイス電極におけるインピーダンスを決定するためのコードをさらに含む、項目11に記載の製造品。
(項目13)
前記インピーダンスを決定するための前記コードが、前記デバイス電極によって生成された信号を示す第1のインピーダンスおよびインピーダンス基準電極によって生成された信号を示す第2のインピーダンスに応答して前記インピーダンスを計算するためのコードを含む、項目12に記載の製造品。
(項目14)
前記コンピュータ・プログラムが、前記複数の受動電極のうち第1の受動電極によって生成された前記インピーダンス信号およびインピーダンス基準電極によって生成された信号を示すインピーダンスに応答して前記第1の受動電極におけるインピーダンスを決定するためのコードをさらに含む、項目11に記載の製造品。
(項目15)
前記位置値をスケーリングするための前記コードが、
前記複数の受動電極のうち1つにおけるインピーダンスの絶対値の平均を時刻の関数Pm(t)として連続的に算出し、
前記インピーダンスの前記絶対値の算出された初期平均をPaとして保存し、
前記位置値に比Pa/Pm(t)を乗算する
ためのコードを含む、項目11に記載の製造品。
(項目16)
前記基準位置における前記仮想基準電極を確立するための前記コードが、
前記身体を通って延びる第1の軸に沿って前記仮想基準電極の位置を決定し、
前記身体を通って延びる、前記第1の軸に垂直な第2の軸に沿って前記仮想基準電極の位置を決定し、
前記身体を通って延びる、前記第1の軸および前記第2の軸に垂直な第3の軸に沿って前記仮想基準電極の位置を決定する
ためのコードを含む、項目11に記載の製造品。
(項目17)
前記第1の軸に沿って前記仮想基準電極の位置を決定するための前記コードが、
前記複数の受動電極のうち受動電極のサブセットにおけるインピーダンスを合計して、累積インピーダンス値を取得し、
前記累積インピーダンス値を受動電極の前記サブセット内の前記受動電極の数で除算する
ためのコードを含む、項目16に記載の製造品。
(項目18)
身体内の医用デバイス上に設置されたデバイス電極の1つまたは複数の特性を決定するための方法であって、
前記身体の外面にそれぞれ結合された複数の測定電極の中から選択された第1の対の能動電極間での電流の伝達を引き起こし、それによって、前記デバイス電極にかかる第1の電圧を生成するステップと、
複数の受動電極からインピーダンス信号を受け取るステップであって、前記受動電極のそれぞれが、前記第1の対の能動電極のうち1つ以外の、前記複数の測定電極のうち1つを備え、前記インピーダンス信号のそれぞれが前記複数の受動電極のうち1つにおけるインピーダンスを示す、受け取るステップと、
前記インピーダンス信号に応答して前記身体内の基準位置における仮想基準電極を確立するステップと、
前記デバイス電極にかかる前記第1の電圧および前記基準電極の前記基準位置に応答して位置値を生成するステップと、
前記インピーダンス信号に応答して計算されたスケーリング値を使用して前記位置値をスケーリングするステップと
を含む方法。
(項目19)
前記デバイス電極におけるインピーダンスを決定するステップをさらに含む、項目18に記載の方法。
(項目20)
前記インピーダンスを決定するステップが、前記デバイス電極によって生成された信号を示す第1のインピーダンスおよびインピーダンス基準電極によって生成された信号を示す第2のインピーダンスに応答して、前記インピーダンスを計算するステップを含む、項目19に記載の方法。
(項目21)
前記複数の受動電極のうち第1の受動電極によって生成された前記インピーダンス信号およびインピーダンス基準電極によって生成された信号を示すインピーダンスに応答して、前記第1の受動電極におけるインピーダンスを決定するステップをさらに含む、項目18に記載の方法。
(項目22)
前記位置値をスケーリングするステップが、
前記複数の受動電極のうち1つにおけるインピーダンスの絶対値の平均を時刻の関数Pm(t)として連続的に算出するステップと、
前記インピーダンスの前記絶対値の算出された初期平均をPaとして保存するステップと、
前記位置値に比Pa/Pm(t)を乗算するステップと
を含む、項目18に記載の方法。
(項目23)
前記基準位置における前記仮想基準電極を確立するステップが、
前記身体を通って延びる第1の軸に沿って前記仮想基準電極の位置を決定するステップと、
前記身体を通って延びる、前記第1の軸に垂直な第2の軸に沿って前記仮想基準電極の位置を決定するステップと、
前記身体を通って延びる、前記第1の軸および前記第2の軸に垂直な第3の軸に沿って前記仮想基準電極の位置を決定するステップと
を含む、項目18に記載の方法。
(項目24)
前記第1の軸に沿って前記仮想基準電極の位置を決定するステップが、
前記複数の受動電極のうち受動電極のサブセットにおけるインピーダンスを合計して、累積インピーダンス値を取得するステップと、
前記累積インピーダンス値を受動電極の前記サブセット内の前記受動電極の数で除算するステップと
を含む、項目23に記載の方法。