(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6046293
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】シールエンドカートン
(51)【国際特許分類】
B65D 5/54 20060101AFI20161206BHJP
【FI】
B65D5/54 301Z
B65D5/54BRP
B65D5/54BSE
B65D5/54 301C
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-80407(P2016-80407)
(22)【出願日】2016年4月13日
(65)【公開番号】特開2016-193760(P2016-193760A)
(43)【公開日】2016年11月17日
【審査請求日】2016年9月30日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592100739
【氏名又は名称】小倉美術印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100166796
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 雅至
(72)【発明者】
【氏名】澤田 武秀
【審査官】
高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】
実開平2−87725(JP,U)
【文献】
特開2005−263279(JP,A)
【文献】
特開2007−153444(JP,A)
【文献】
特開2015−205705(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0017060(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D5/00−5/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正面板(1)、一対の側面板(2)及び背面板(3)が角筒状の周壁を形成し、前記一対の側面板(2)の下端に一対の内底フラップ(4)が、前記正面板(1)及び背面板(3)のいずれか一方の下端に中底板(5)が、他方の下端に外底板(6)がそれぞれ連設され、前記一対の側面板(2)の上端に一対の内蓋フラップ(7)が、前記正面板(1)及び背面板(3)のいずれか一方の上端に中蓋板(8)が、他方の上端に外蓋板(9)がそれぞれ連設され、
前記外蓋板(9)の基部両端間には、開封用の切目線(11)が押込部(11a)を形成するように入れられ、前記外底板(6)の基部両端間には、解体用の切目線(12)が入れられ、
前記一対の内底フラップ(4)、中底板(5)及び外底板(6)が順次折り重ねられ、中底板(5)と外底板(6)の貼着により底面が閉止されると共に、前記一対の内蓋フラップ(7)、中蓋板(8)及び外蓋板(9)が順次折り重ねられ、中蓋板(8)と外蓋板(9)の貼着により天面が閉止されて封緘されるシールエンドカートンにおいて、
前記解体用の切目線(12)は、押込部を形成することなく、前記外底板(6)の基部稜線に沿い、誘導部(12a)を有する切目が左右対称となるように断続するものとされ、
前記一対の内底フラップ(4)には、前記外底板(6)の基部寄りの部分に切欠部(13)が形成されると共に、前記中底板(5)の基部寄りの部分に角部から斜め方向に延びる谷折線(14)が入れられていることを特徴とするシールエンドカートン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、医薬品の包装に適したシールエンドカートンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、医薬品の包装には、
図7に示すようなシールエンドカートンが使用されている(下記特許文献1参照)。このシールエンドカートンは、正面板51、一対の側面板52及び背面板53が角筒状の周壁を形成し、一対の側面板52の下端に内底フラップ54が、背面板53の下端に中底板55が、正面板51の下端に外底板56がそれぞれ連設され、一対の側面板52の上端に内蓋フラップ57が、背面板53の上端に中蓋板58が、正面板51の上端に外蓋板59がそれぞれ連設された構成となっている。
【0003】
また、このシールエンドカートンでは、外蓋板59の基部両端間に開封用の切目線61が正面板51側に押込部61aを形成するように入れられ、外底板56の基部両端間に解体用の切目線62が押込部62aを形成するように入れられている。
【0004】
上記のようなシールエンドカートンは、一対の内底フラップ54、中底板55及び外底板56が順次折り重ねられ、中底板55と外底板56の貼着により底面が閉止されると共に、一対の内蓋フラップ57、中蓋板58及び外蓋板59が順次折り重ねられ、中蓋板58と外蓋板59の貼着により天面が閉止されて封緘される。
【0005】
このとき、シールエンドカートンの内部には、医薬品Mが収納され、その上部に被せるように、医薬品Mの効能や用法・用量、禁忌事項、副作用等の注意事項が記載された添付文書Dが収納される。
【0006】
上記シールエンドカートンを開封する際には、上方の押込部61aを押し込んで切目線61を切断し、中蓋板58と外蓋板59とを貼り合わされた状態で開き、一対の内蓋フラップ57を開いて、天面側を開口させ、その開口部から添付文書Dを取り出した後、医薬品Mを取り出す。
【0007】
また、上記シールエンドカートンを廃棄する際には、下方の押込部62aを押し込んで切目線62を切断し、中底板55と外底板56とを貼り合わされた状態で開き、一対の内底フラップ54を開いて、開封時に開いた天面側だけでなく底面側も開口させ、周壁を偏平に押し潰すことにより、嵩張らない折畳状態に解体する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2015−205705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記のようなシールエンドカートンでは、医薬品を使用しようとする者が開封する際、誤って下方の押込部62aを押し込んで底面側を開いてしまい、医薬品Mだけを取り出して、添付文書Dを読まないまま廃棄してしまう恐れがあり、医薬品Mの使用時の注意事項が守られない危険性がある。
【0010】
そこで、この発明は、医薬品の添付文書が確実に取り出され、廃棄時の解体も容易なシールエンドカートンを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、この発明は、正面板、一対の側面板及び背面板が角筒状の周壁を形成し、前記一対の側面板の下端に一対の内底フラップが、前記正面板及び背面板のいずれか一方の下端に中底板が、他方の下端に外底板がそれぞれ連設され、前記一対の側面板の上端に一対の内蓋フラップが、前記正面板及び背面板のいずれか一方の上端に中蓋板が、他方の上端に外蓋板がそれぞれ連設され、
前記外蓋板の基部両端間には、開封用の切目線が押込部を形成するように入れられ、前記外底板の基部両端間には、解体用の切目線が入れられ、
前記一対の内底フラップ、中底板及び外底板が順次折り重ねられ、中底板と外底板の貼着により底面が閉止されると共に、前記一対の内蓋フラップ、中蓋板及び外蓋板が順次折り重ねられ、中蓋板と外蓋板の貼着により天面が閉止されて封緘されるシールエンドカートンにおいて、
前記解体用の切目線は、押込部を形成することなく、前記外底板の基部稜線に沿い、誘導部を有する切目が左右対称となるように断続するものとされ、
前記一対の内底フラップには、前記外底板の基部寄りの部分に切欠部が形成されると共に、前記中底板の基部寄りの部分に角部から斜め方向に延びる谷折線が入れられているものとしたのである。
【発明の効果】
【0012】
この発明に係るシールエンドカートンでは、下方に位置する解体用の切目線が押込部を形成するものではないため、医薬品の使用者が開封しようとする際、誤って下方の切目線を切断して底面側を開いてしまうことがなく、必然的に、上方の押込部を押し込んで天面側を開口させ、医薬品を取り出そうとするので、添付文書が確実に取り出されることとなり、医薬品の使用前に添付文書を読むことを促すことができる。
【0013】
そして、廃棄に際し、天面が開口した状態で、正面板と背面板を互いに接近する方向へ押圧しつつ、左右いずれかの方向へずらすことにより、周壁を押し潰すだけで、解体用の切目線が切断され、内底フラップが切欠部の存在により正面板に干渉することなく、谷折線に沿った折れ曲がりに伴い、中底板に干渉することもなく開き、中底板と外底板とが貼り合わされた状態で開くので、嵩張らない折畳状態に容易に解体できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】この発明の実施形態に係るシールエンドカートンのブランクを示す図
【
図7】従来のシールエンドカートンの組立封緘状態を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0016】
このシールエンドカートンは、
図1に示すような板紙のブランクから形成される。このブランクでは、横方向に並列するように正面板1の一側に側面板2が連設され、正面板1の他側に側面板2、背面板3及び継代片3aが順次連設されている。一対の側面板2の下端には内底フラップ4が、背面板3の下端には中底板5が、正面板1の下端には外底板6がそれぞれ連設され、一対の側面板2の上端には内蓋フラップ7が、背面板3の上端には中蓋板8が、正面板1の上端には外蓋板9がそれぞれ連設されている。
【0017】
外蓋板9の基部両端間には、開封用の切目線11が入れられている。切目線11は、切目がミシン目状に断続するものであり、外蓋板9の基部稜線に沿い、中間部が正面板1側に湾曲して半円状の押込部11aを形成している。
【0018】
外底板6の基部両端間には、解体用の切目線12が入れられている。切目線12は、押込部を形成することなく、外底板6の基部稜線に沿い、中央に位置する水平方向の切目を挟んで、誘導部12aを有する鉤状の切目が左右対称となるように断続するものとされている。誘導部12aは、各切目において切目線12の中央寄りに位置している。
【0019】
一対の内底フラップ4には、組立状態で外底板6の基部寄りとなる部分に斜縁を有する切欠部13が形成されると共に、中底板5の基部寄りとなる部分に角部から斜め方向に延びる谷折線14が入れられている。谷折線14は、表面側が窪む谷折りが可能となるように、押罫に断続する切目を入れたリード罫とされている。
【0020】
上記のようなブランクは、
図2に示すように、一方の側面板2と背面板3の境界に沿って折り曲げられると共に、正面板1と他方の側面板2の境界に沿って折り曲げられ、継代片3aが他方の側面板2の裏面に貼り付られた折畳状態として、紙器製造業者から医薬品製造業者に納入される。
【0021】
そして、医薬品製造業者の包装ラインにおいて、
図3に示すように、正面板1、一対の側面板2及び背面板3から角筒状の周壁が形成され、一対の内底フラップ4、中底板5及び外底板6を順次折り重ねられ、中底板5と外底板6の貼着により底面が閉止される。また、一対の内蓋フラップ7、中蓋板8及び外蓋板9が順次折り重ねられ、中蓋板8と外蓋板9の貼着により天面が閉止されて封緘される。
【0022】
このとき、シールエンドカートンの内部には、医薬品Mが収納され、その上部に被せるように、医薬品Mの効能や用法・用量、禁忌事項、副作用等の注意事項が記載された添付文書Dが収納される。
【0023】
そして、医薬品Mの使用者が上記シールエンドカートンを開封する際には、上方の押込部11aを押し込んで切目線11を切断し、
図4に示すように、中蓋板8と外蓋板9とを貼り合わされた状態で開き、一対の内蓋フラップ7を開いて、天面側を開口させ、その開口部から添付文書Dを取り出した後、医薬品Mを取り出す。
【0024】
この開封に際し、上記シールエンドカートンでは、下方に位置する解体用の切目線12が押込部を形成するものではないため、医薬品Mの使用者が、誤って下方の切目線12を切断して底面側を開いてしまうことがなく、必然的に上方の押込部11aを押し込んで天面側を開口させ、医薬品Mを取り出そうとするので、添付文書Dが確実に取り出されることとなり、医薬品Mの使用前に添付文書Dを読むことを促すことができる。
【0025】
一方、上記シールエンドカートンを廃棄する際には、天面が開口した状態で、
図5に示すように、正面板1と背面板3を互いに接近する方向へ押圧しつつ、左右いずれかの方向へずらして側面板2を倒すことにより、周壁を押し潰すと、解体用の切目線12が切断され、一方の内底フラップ4が谷折線14に沿って折れ曲がりつつ開き、中底板5と外底板6とが貼り合わされた状態で開く。
【0026】
この押し潰しに際し、内底フラップ4の正面板1に対する干渉は、切欠部13により回避され、内底フラップ4の中底板5に対する干渉は、谷折線14に沿った折れ曲がりにより回避されるので、内底フラップ4によって押し潰しが阻害されることがない。
【0027】
このように、上記シールエンドカートンは、側面板2を左右いずれの方向へ倒すように押し潰しても、
図6に示すように、偏平で嵩張らない折畳状態に容易に解体できるので、廃棄に際し、余計な手間がかかることもない。
【0028】
なお、上記実施形態では、背面板3に中底板5及び中蓋板8が連設され、正面板1に外底板6及び外蓋板9が連設されたものを例示したが、中底板5及び中蓋板8並びに外底板6及び外蓋板9は、それぞれ正面板1及び背面板3のいずれに連設されていてもよく、これらに互い違いに連設されていてもよい。
【符号の説明】
【0029】
1 正面板
2 側面板
3 背面板
3a 継代片
4 内底フラップ
5 中底板
6 外底板
7 内蓋フラップ
8 中蓋板
9 外蓋板
11 切目線
11a 押込部
12 切目線
12a 誘導部
13 切欠部
14 谷折線
D 添付文書
M 医薬品