【文献】
ビッグデータ時代を牽引する “Beacon x ナンバープレート”の最強マーケティングツール,[online],Beacon協議会,2015年 5月31日,[平成28年3月22日検索],URL,http://beaconlabo.com/2015/05/1109/
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
一般に、駐車場のサービスにおいては、複数の駐車場を管理する管理者の立場からすると、各駐車場に設置することが必要な設備の低コスト化が要望される。
【0015】
しかし、特許文献1に開示された技術では、駐車場ごとに、専用の設備としての発券機を設置しなければらない。その発券機は、ユーザ識別番号を入力する機能と、入力されたユーザ識別番号を表すデータを記録する機能と、その記録されたデータを外部に出力する機能とを有するように設計しなければならず、発券機の設備コストを低減させるにも限界があった。
【0016】
したがって、この技術を採用する場合には、各駐車場に設置することが必要な設備の低コスト化が困難である。
【0017】
また、特許文献2に開示された技術によれば、駐車場に、カード発行機、入庫ゲート、入庫管理装置、出庫ゲートおよび出庫管理装置を設置することが必要である。これは、駐車場に発券機しか設置せずに済む場合より、駐車場の設備コスト(装置コストおよび設置作業コストを含む。)を増加させる要因となる。また、この技術によれば、入庫管理装置も出庫管理装置も、駐車カードから情報を読み取る機能を有することが必要である。このことは、入庫管理装置および出庫管理装置の設備コストの増加を招来し、このことも、駐車場の設備コストを増加させる要因となる。
【0018】
したがって、この技術を採用する場合にも、各駐車場に設置することが必要な設備の低コスト化が困難である。
【0019】
さらに、一般に、駐車場のサービスにおいては、そのサービスを利用するユーザの立場からすると、使い勝手がよいこと、すなわち、駐車場に対する入出庫の際にユーザに要求される作業(例えば、各駐車場に設置されている設備やユーザ自身の通信機器に対してユーザが行うことが必要な操作など)が簡単であることが要望される。
【0020】
よって、例えば、駐車場に対する入出庫の際にユーザが自身の携帯端末(例えば、携帯電話、PHS、PDA、スマートフォン、タブレット型コンピュータ、通信機能付きパソコンなど)を操作して管理センタとの通信(例えば、管理センタへの駐車場位置情報の伝達)を行うことを要求される場合には、ユーザが携帯端末に入力することが要求されるデータの量、種類などが最小化されることが望ましい。
【0021】
さらに、駐車場の管理方式として、各駐車場ごとに、その駐車場に設置された設備のみを用いて自立的に(個別的にないしは自己完結的に)管理される自立管理方式と、複数の駐車場が遠隔的にある管理サーバと通信することによってそれら駐車場を集中的に管理する集中管理方式とが存在する。
【0022】
後者の集中管理方式を採用する駐車場管理ビジネスにおいては、管理サーバが、ユーザによって利用される駐車場およびその利用状況(例えば、入庫時刻や出庫時刻)をユーザごとに、かつ、駐車場ごとに正確に把握することが、駐車料金を正しく計算したり、各駐車場における車両の駐車台数(例えば、稼働率、空室率など)を正しく監視するために必要である。
【0023】
よって、ユーザが、入庫時または出庫時に、不注意であるか意図的であるかを問わず、実際の駐車場の利用状況についての誤った情報を管理サーバに伝達してしまうことがないようにすることが重要である。
【0024】
したがって、複数の駐車場を集中的に管理する管理者の立場からすると、前述の駐車場用設備の低コスト化という要望に加えて、利用される駐車場から管理サーバに送信される駐車関連情報のセキュリティの向上も要望される。
【0025】
以上の知見を背景にして、本発明は、複数の駐車場を集中的に管理する
新たな技術を提供することを課題としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0026】
その技術を実現することを課題として、本発明の一側面によれば、地理的に異なる複数の駐車場であって複数の車室を有するものを集中的に管理する駐車場管理システムであって、
各駐車場の各車室に少なくとも1つずつ設置され、識別信号を局地的に発信する非接触式または接触式の発信機と、
いずれかの駐車場におけるいずれかの車室を利用するユーザの携帯端末であって前記発信機から前記識別信号を受信するもの
と無線通信することにより、前記複数の駐車場の前記複数の車室を集中的に管理する管理サーバと
を含み、
各発信機は、電池によって作動し、その電池の残量を推定し、その電池残量推定値をも表すように前記識別信号を生成し、その生成された識別信号を発信し、
ユーザの携帯端末は、いずれかの駐車場におけるいずれかの車室における発信機から受信した識別信号から前記電池残量推定値を抽出し、
前記管理サーバは、さらに、
ユーザの携帯端末から、前記抽出された電池残量推定値を、対応する発信機または車室に関連付けて受信し、その受信した電池残量推定値に基づき、対応する発信機の動作が保証されるか否かを診断する発信機診断部を含み、
当該駐車場管理システムは、さらに、同じ駐車場において、前記複数の車室に対応する複数の発信機に対して追加される予備発信機を含み、
その予備発信機は、前記複数の発信機がいずれも、動作が保証されると診断された動作保証発信機である場合には、いずれの車室にも割り当てられないが、いずれかの発信機が、動作が保証されないと診断された動作不保証発信機であると、その動作不保証発信機にもともと割り当てられていた車室に割り当てられ、それにより、その動作不保証発信機を代替する駐車場管理システムが提供される。
【0027】
本発明によって下記の各態様が得られる。各態様は、項に区分し、各項には番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、本発明が採用し得る技術的特徴の一部およびそれの組合せの理解を容易にするためであり、本発明が採用し得る技術的特徴およびそれの組合せが以下の態様に限定されると解釈すべきではない。すなわち、下記の態様には記載されていないが本明細書には記載されている技術的特徴を本発明の技術的特徴として適宜抽出して採用することは妨げられないと解釈すべきなのである。
【0028】
さらに、各項を他の項の番号を引用する形式で記載することが必ずしも、各項に記載の技術的特徴を他の項に記載の技術的特徴から分離させて独立させることを妨げることを意味するわけではなく、各項に記載の技術的特徴をその性質に応じて適宜独立させることが可能であると解釈すべきである。
【0029】
(1) 地理的に異なる複数の駐車場を集中的に管理する駐車場管理システムであって、
各駐車場に少なくとも1つずつ設置され、対応する駐車場に固有の駐車スペースIDを識別し得る識別信号を局地的に発信する非接触式または接触式の発信機と、
いずれかの駐車場を利用するユーザの携帯端末と無線通信することにより、前記複数の駐車場を集中的に管理する管理サーバと
を含み、
その管理サーバは、
いずれかの駐車場に居るユーザの携帯端末が前記発信機から前記識別信号を有効に受信すると、その受信した識別信号を、前記携帯端末から、前記いずれかの駐車場に対応する駐車スペースIDという形態で実質的にリアルタイムで受信するリアルタイム受信部と、
その受信した駐車スペースIDに基づき、ユーザが実際に居る駐車場を特定するとともに、前記駐車スペースIDを受信した時刻を、今回の駐車場への入庫時には入庫時刻、今回の駐車場からの出庫時には出庫時刻としてそれぞれ認識する情報認識部と
を含む駐車場管理システム。
【0030】
(2) 地理的に異なる複数の駐車場を集中的に管理する駐車場管理システムであって、
各駐車場の各車室に少なくとも1つずつ設置され、対応する車室に固有の駐車スペースIDを識別し得る識別信号を局地的に発信する非接触式または接触式の発信機と、
いずれかの駐車場におけるいずれかの車室を利用するユーザの携帯端末と無線通信することにより、前記複数の駐車場を集中的に管理する管理サーバと
を含み、
その管理サーバは、
いずれかの駐車場におけるいずれかの車室に居るユーザの携帯端末が前記発信機から前記識別信号を有効に受信すると、その受信した識別信号を、前記携帯端末から、前記いずれかの車室に対応する駐車スペースIDという形態で実質的にリアルタイムで受信するリアルタイム受信部と、
その受信した駐車スペースIDに基づき、ユーザが実際に居る車室を特定するとともに、前記駐車スペースIDを受信した時刻を、今回の駐車場への入庫時には入庫時刻、今回の駐車場からの出庫時には出庫時刻としてそれぞれ認識する情報認識部と
を含む駐車場管理システム。
【0031】
(3) 前記情報認識部は、ユーザの携帯端末が前記発信機から、同じ駐車スペースIDを表す識別信号を複数回、互いに異なる時刻に有効に受信したことをトリガーとして起動する(1)または(2)項に記載の駐車場管理システム。
【0032】
(4) 前記リアルタイム受信部は、ユーザの携帯端末が前記発信機から、同じ駐車スペースIDを表す識別信号を複数回、互いに異なる時刻に有効に受信すると、その受信した識別信号によって表される駐車スペースIDを前記携帯端末から実質的にリアルタイムで受信し、
前記情報認識部は、前記リアルタイム受信部がユーザの記携帯端末から前記駐車スペースIDを受信すると、起動する(3)項に記載の駐車場管理システム。
【0033】
(5) 前記リアルタイム受信部は、ユーザの携帯端末が前記発信機から前記識別信号を受信するごとに、その識別信号によって表される駐車スペースIDを表す識別信号を前記携帯端末から実質的にリアルタイムで受信し、
前記情報認識部が、前記リアルタイム受信部が前記携帯端末から、同じ駐車スペースIDを複数回、互いに異なる時刻に受信すると、起動する(3)項に記載の駐車場管理システム。
【0034】
(6) 前記管理サーバは、ユーザの携帯端末が前記発信機から前記識別信号を受信したという第1受信イベントに応答して、前記携帯端末との実質的な通信を開始し、その通信開始後、前記携帯端末が前記発信機から同じ駐車スペースIDを表す識別信号を再度受信したという第2受信イベントに応答して、前記携帯端末から前記駐車スペースIDを受信する(1)ないし(5)項のいずれかに記載の駐車場管理システム。
【0035】
(7) 前記管理サーバは、ユーザの携帯端末が前記発信機から前記識別信号を受信したという第1受信イベントが発生し、その後、前記携帯端末が前記発信機から同じ駐車スペースIDを表す識別信号を再度受信したという第2受信イベントが発生すると、その第2受信イベントに応答して、前記携帯端末との実質的な通信を開始し、その通信開始後、前記携帯端末から前記駐車スペースIDを受信する(1)ないし(5)項のいずれかに記載の駐車場管理システム。
【0036】
(8) 各発信機は、電池によって作動し、その電池の残量を推定し、その電池残量推定値をも表すように前記識別信号を生成し、その生成された識別信号を発信し、
ユーザの携帯端末は、対応する発信機から受信した識別信号から前記電池残量推定値を抽出し、
前記管理サーバは、さらに、
ユーザの携帯端末から、前記抽出された電池残量推定値を、対応する発信機または駐車スペースIDに関連付けて受信し、その受信した電池残量推定値に基づき、対応する発信機の動作が保証されるか否かを診断する発信機診断部を含む(1)ないし(7)項のいずれかに記載の駐車場管理システム。
【0037】
(9) 各発信機は、電池によって作動し、その電池の残量を推定し、その電池残量推定値をも表すように前記識別信号を生成し、その生成された識別信号を発信し、
ユーザの携帯端末は、対応する発信機から受信した識別信号から前記電池残量推定値を抽出し、
前記管理サーバは、さらに、
ユーザの携帯端末から、前記抽出された電池残量推定値を、対応する発信機または駐車スペースIDに関連付けて受信し、その受信した電池残量推定値に基づき、対応する発信機の動作が保証されるか否かを診断する発信機診断部と、
同じ駐車場において、前記複数の発信機のうち、動作が保証されないと診断された動作不保証発信機に隣接する発信機であって動作が保証されると診断された動作保証発信機の前記駐車スペースIDが、その動作保証発信機にもともと割り当てられていた車室と、前記動作非保証発信機にもともと割り当てられていた車室との双方に共通に割り当てられるように、前記複数の駐車スペースIDと前記複数の車室との対応関係を、1対1の対応関係から1対多の対応関係に変更する対応関係変更部を含む(2)項に記載の駐車場管理システム。
【0038】
(10) 前記対応関係変更部は、同じ駐車場において、ある車室に設置されている前記発信機が動作不保証発信機である場合に、その車室の隣の車室に設置されている前記発信機が動作保証発信機であれば、その動作保証発信機が、それら2つの車室を同時にカバーするように、前記複数の駐車スペースIDと前記複数の車室との対応関係を、1対1の対応関係から1対多の対応関係に変更する(9)項に記載の駐車場管理システム。
【0039】
(11) 当該駐車場管理システムは、さらに、
各発信機は、電池によって作動し、その電池の残量を推定し、その電池残量推定値をも表すように前記識別信号を生成し、その生成された識別信号を発信し、
ユーザの携帯端末は、対応する発信機から受信した識別信号から前記電池残量推定値を抽出し、
前記管理サーバは、さらに、
ユーザの携帯端末から、前記抽出された電池残量推定値を、対応する発信機または駐車スペースIDに関連付けて受信し、その受信した電池残量推定値に基づき、対応する発信機の動作が保証されるか否かを診断する発信機診断部と、
同じ駐車場において、前記複数の発信機に対して追加される予備発信機と
を含み、
その予備発信機は、前記複数の発信機がいずれも、動作が保証されると診断された動作保証発信機である場合には、いずれの車室にも割り当てられないが、いずれかの発信機が、動作が保証されないと診断された動作不保証発信機となると、その動作不保証発信機にもともと割り当てられていた車室に割り当てられ、それにより、その動作不保証発信機を代替する(2)項に記載の駐車場管理システム。
【0040】
(12) 前記予備発信機は、前記複数の車室の駐車スペースIDとは異なる駐車スペースIDを識別し得る識別信号を局地的に発信する非接触式または接触式の発信機であり、
前記管理サーバは、さらに、
前記複数の駐車スペースIDと前記複数の車室との対応関係を、前記動作不保証発信機が検出されると、その動作不保証発信機にもともと割り当てられていた車室と、前記予備発信機に対応する駐車スペースIDとが互いに対応することを表すように変更する対応関係変更部を含む(11)項に記載の駐車場管理システム。
【0041】
(13) 各駐車場に駐車可能な車両は、自転車と、自動車と、自動二輪車とのうちの少なくとも1つを含む(1)ないし(12)項のいずれかに記載の駐車場管理システム。
【0042】
(14) 地理的に異なる複数の駐車場を管理する駐車場管理システムであって、
各駐車場に少なくとも1つずつ設置され、対応する駐車場に固有の駐車スペースIDを識別し得る識別信号を局地的に発信する非接触式または接触式の発信機と、
ユーザの携帯端末と無線通信することにより、前記複数の駐車場を集中的に管理する管理サーバと
を含み、
前記携帯端末は、いずれかの駐車場に設置されている前記発信機から前記識別信号を受信すると、その識別信号に基づき、前記いずれかの駐車場について前記駐車スペースIDを識別し、その識別された駐車スペースIDを前記管理サーバに送信し、
前記管理サーバは、
いずれかの駐車場への車両の入庫を処理する入庫処理部と、
いずれかの駐車場からの車両の出庫を処理する出庫処理部と
を含み、
前記入庫処理部は、
今回の入庫処理の期間中、前記携帯端末が同じ駐車スペースIDを表す識別信号を複数回、互いに異なる時刻に有効に受信したという第1の条件と、
前記管理サーバが前記携帯端末から、ユーザが、車両をいずれかの駐車場に入庫させて駐車することを希望する旨の入庫リクエストと、今回の識別信号を用いて識別された駐車スペースIDと、ユーザが入庫させたい車両の車台番号とを受信したという第2の条件と
が成立すると、今回の駐車スペースIDに対応する駐車場を今回の駐車場として認識することと、今回の駐車場への今回の車両の入庫時刻を記録することとを行い、
前記出庫処理部は、
今回の出庫処理の期間中、前記携帯端末が同じ駐車スペースIDを表す識別信号を複数回、互いに異なる時刻に有効に受信したという第3の条件と、
前記管理サーバが前記携帯端末から、ユーザが、今回の車両を今回の駐車場から出庫することを希望する旨の出庫リクエストと、今回の識別信号を用いて識別された駐車スペースIDと、ユーザが出庫させたい車両の車台番号とを受信したという第4の条件と
が成立すると、今回の駐車スペースIDに対応する駐車場を今回の駐車場として認識することと、今回の駐車場からの今回の車両の出庫時刻を記録することとを行う駐車場管理システム。
【0043】
(15) 地理的に異なる複数の駐車場を管理する駐車場管理システムであって、
各駐車場における各車室に少なくとも1つずつ設置され、対応する車室に固有の駐車スペースIDを識別し得る識別信号を局地的に発信する非接触式または接触式の発信機と、
ユーザの携帯端末と無線通信することにより、前記複数の駐車場における前記複数の車室を集中的に管理する管理サーバと
を含み、
前記携帯端末は、いずれかの車室に設置されている前記発信機から前記識別信号を受信すると、その識別信号に基づき、前記いずれかの車室について前記駐車スペースIDを識別し、その識別された駐車スペースIDを前記管理サーバに送信し、
前記管理サーバは、
いずれかの駐車場におけるいずれかの車室への車両の入庫を処理する入庫処理部と、
いずれかの駐車場におけるいずれかの車室からの車両の出庫を処理する出庫処理部と
を含み、
前記入庫処理部は、
今回の入庫処理の期間中、前記携帯端末が同じ駐車スペースIDを表す識別信号を複数回、互いに異なる時刻に有効に受信したという第1の条件と、
前記管理サーバが前記携帯端末から、ユーザが、車両をいずれかの車室に入庫させて駐車することを希望する旨の入庫リクエストと、今回の識別信号を用いて識別された前記駐車スペースIDと、ユーザが入庫させたい車両の車台番号とを受信したという第2の条件と
が成立すると、今回の駐車スペースIDに対応する車室を今回の車室として認識することと、今回の車室への今回の車両の入庫時刻を記録することとを行い、
前記出庫処理部は、
今回の出庫処理の期間中、前記携帯端末が同じ駐車スペースIDを表す識別信号を複数回、互いに異なる時刻に有効に受信したという第3の条件と、
前記管理サーバが前記携帯端末から、ユーザが、今回の車両を今回の車室から出庫することを希望する旨の出庫リクエストと、今回の識別信号を用いて識別された前記駐車スペースIDと、ユーザが出庫させた車両の車台番号とを受信したという第4の条件と
が成立すると、今回の駐車スペースIDに対応する駐車場を今回の駐車場として認識することと、今回の車室からの今回の車両の出庫時刻を記録することとを行う駐車場管理システム。
【0044】
(16) 地理的に異なる複数の駐車場を集中的に管理する駐車場管理方法であって、
各駐車場に少なくとも1つずつ、対応する駐車場に固有の駐車スペースIDを識別し得る識別信号を局地的に発信する非接触式または接触式の発信機が設置され、
いずれかの駐車場を利用するユーザは、携帯端末を介して、前記複数の駐車場を集中的に管理する管理サーバと無線通信し、
当該駐車場管理方法は、
いずれかの駐車場に居るユーザの携帯端末が前記発信機から前記識別信号を有効に受信すると、その受信した識別信号を、前記携帯端末から、前記いずれかの駐車場に対応する駐車スペースIDという形態で実質的にリアルタイムで受信するリアルタイムで受信工程と、
その受信した駐車スペースIDに基づき、ユーザが実際に居る駐車場を特定するとともに、前記駐車スペースIDを受信した時刻を、今回の駐車場への入庫時には入庫時刻、今回の駐車場からの出庫時には出庫時刻としてそれぞれ認識する情報認識工程と
を含む駐車場管理方法。
【0045】
(17) 地理的に異なる複数の駐車場を集中的に管理する駐車場管理方法であって、
各駐車場の各車室に少なくとも1つずつ、対応する車室に固有の駐車スペースIDを識別し得る識別信号を局地的に発信する非接触式または接触式の発信機が設置され、
いずれかの駐車場におけるいずれかの車室を利用するユーザは、携帯端末を介して、前記複数の駐車場を集中的に管理する管理サーバと無線通信し、
当該駐車場管理方法は、
いずれかの駐車場におけるいずれかの車室に居るユーザの携帯端末が前記発信機から前記識別信号を有効に受信すると、その受信した識別信号を、前記携帯端末から、前記いずれかの車室に対応する駐車スペースIDという形態で実質的にリアルタイムで受信するリアルタイム受信工程と、
その受信した駐車スペースIDに基づき、ユーザが実際に居る車室を特定するとともに、前記駐車スペースIDを受信した時刻を、今回の駐車場への入庫時には入庫時刻、今回の駐車場からの出庫時には出庫時刻としてそれぞれ認識する情報認識工程と
を含む駐車場管理方法。
【0046】
(18) (16)または(17)項に記載の方法を実施するためにユーザの携帯端末または管理サーバのコンピュータによって実行されるプログラム。
【0047】
本項に係るプログラムは、例えば、それの機能を果たすためにコンピュータにより実行される指令の組合せを意味するように解釈したり、それら指令の組合せのみならず、各指令に従って処理されるファイルやデータをも含むように解釈することが可能であるが、それらに限定されない。
【0048】
また、このプログラムは、それ単独でコンピュータにより実行されることにより、所期の目的を達するものとしたり、他のプログラムと共にコンピュータにより実行されることにより、所期の目的を達するものとすることができるが、それらに限定されない。後者の場合、本項に係るプログラムは、データを主体とするものとすることができるが、それに限定されない。
【0049】
(19) (18)項に記載のプログラムをコンピュータ読み取り可能に記録した記録媒体。
【0050】
この記録媒体は種々な形式を採用可能であり、例えば、フレキシブル・ディスク等の磁気記録媒体、CD、CD−ROM等の光記録媒体、MO等の光磁気記録媒体、ROM等のアンリムーバブル・ストレージ等のいずれかを採用し得るが、それらに限定されない。
【発明を実施するための形態】
【0074】
以下、本発明のいくつかの例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0076】
まず、
図1および
図2を参照するに、本発明の例示的な第1の実施形態に従う駐車場管理システム(以下、単に「システム」という。)10は、各々、複数台の車両が駐車可能な複数の駐車場20(
図1には、それら駐車場20のうちの代表的な駐車場20のみが図示されている)を管理するためのシステムである。
【0077】
図1には、駐車場20が平面図で示されている。その駐車場20は、複数台の車両の同時駐車を可能にする複数の車室(前記駐車スペースの一例)22を有する。この駐車場20には、唯一の入出庫口24(入庫口でもあるし出庫口でもある)が存在する。
【0078】
この駐車場20は、無人式であり、さらに、この駐車場20には、駐車場20の入出庫口24からの不正車両の出庫を阻止するために適宜開閉するゲート装置も、車室22からの不正車両の出庫を阻止するために適宜出没する車止め装置も、運転者であるユーザに対し、駐車料金の支払いを条件に駐車券をユーザに対して発行する発券機および精算機も設置されていない。
【0079】
なお、「車両」なる用語の定義について付言するに、「車両」なる用語は、自動車のみならず、自転車、自動二輪車等、あらゆる種類の移動体を包含する用語として解釈すべきである。
【0080】
図1に示すように、駐車場20の敷地には、2種類の駐車区画が存在する。それは、各車両のユーザに対し、1日単位で車室22を貸し出すための区画(一時預り区画または日貸し用区画)と、各車両のユーザに対し、事前の契約を前提に、1月単位で車室22を貸し出すための区画(月極用区画)とである。以下、単に「駐車場20」というときには、この駐車場20のうち、一時預り区画のみを意味する。
【0081】
このシステム10は、その駐車場管理方式として前述の集中管理方式を採用している。具体的には、
図1および
図2に示すように、このシステム10は、複数の駐車場20の複数の車室22にそれぞれ設置される複数の発信機(駐車場側ユニットの一例)30と、複数の駐車場20を集中的に管理する管理センタ40に設置される管理サーバ(センタ側ユニットの一例)50とを備えている。
【0082】
本実施形態においては、1台の発信機30が、各駐車場20において各車室22ごとに、固有の駐車スペースIDを識別し得る局地的識別信号を発信するように構成される。1つの駐車スペースIDは、1つの車室22にとっても固有であると同時に、1台の発信機30にとっても固有である。もちろん、1つの駐車スペースIDが特定されれば、それに対応する車室22が属する1つの駐車場も特定される。
【0083】
その結果、各駐車場20には、そこに存在する車室22の数と同数の発信機30が設置され、さらに、少なくとも1つの予備発信機32も設置される。
【0084】
その予備発信機32は、いずれかの発信機30が故障したときに、それを代替するために臨時に使用される。この予備発信機32も、正規の発信機30と同様に、固有の駐車スペースIDを識別し得る局地的識別信号を発信するように構成される。
【0085】
図2および
図3に示すように、このシステム10においては、ユーザが、自身の携帯端末90を用いて、ユーザが現在滞在している1つの車室22に設置されている発信機30から前述の局地的識別信号を、発信機30との接触状態または非接触状態で受信する(近距離一方向無線通信を行う)とともに、管理センタ40の管理サーバ50との間で遠距離双方向無線通信を行う。
【0086】
ユーザは、さらに、正規の発信機30の故障時には、携帯端末90を介して、予備発信機32から前述の局地的識別信号を受信する。
【0087】
ユーザの携帯端末90は、ユーザによって携帯されるとともに無線通信機能を有するデバイス、例えば、携帯電話機、スマートフォン、ラップトップ型コンピュータ、タブレット型コンピュータ、PDAなどである。
【0088】
ここで、複数の車室22に設置される複数台の発信機30を代表する1台の発信機30につき、ハードウエア構成(
図4参照)およびソフトウエア構成(
図5参照)を説明する。なお、予備発信機32については、構成および機能が発信機30と共通するため、重複した説明を省略する。
【0089】
まず、概念的に説明するに、発信機30は、各車室22に少なくとも1台ずつ設置され、対応する車室22に固有の駐車スペースIDを識別し得る識別信号を局地的に発信する非接触式または接触式の通信デバイスである。
【0090】
発信機30は、通常、対応する車室22に移動不能に固定的に設置されるが、随時移動可能であるように可動的に設置することも可能である。また、発信機30は、少なくとも送信機能を有すれば足りるが、必要に応じ、受信機能をも併有するように構成してもよい。
【0091】
次に、作動方式を説明するに、発信機30は、固有の識別信号を外部からのトリガ信号を要することなく能動的に、局地的に、かつ、供給電力が不足しない限り永続的に発信する。
【0092】
発信機30は、一般に、識別信号としてのビーコン信号を発信するビーコン装置、無線標識などの名称でも知られている装置である。この発信機30は、一例においては、原信号を変調することにより、対応する駐車スペースIDを表す識別信号を生成し、その生成された識別信号を、IR信号、Bluetooth(登録商標)信号、NFC(近距離無線通信)信号などとして局地的に発信する。
【0093】
次に、機能ブロック図である
図4を参照してハードウエア構成を説明するに、発信機30は、プロセッサ100およびそのプロセッサ100によって実行される複数のアプリケーションを記憶するメモリ102を有するコンピュータ104を主体として構成されている。
【0094】
この発信機30は、さらに、電源としての交換可能な使い捨て電池106を有している。電池106に代えて、充電可能な電池を採用したり、外部電源としての商用電源を採用することが可能である。
【0095】
この発信機30は、さらに、識別信号を生成して発信する発信部108を有している。その発信部108は、電池106によって作動させられるとともに、コントローラ110によって制御される。そのコントローラ110は、コンピュータ100によって制御される。
【0096】
次に、
図5を参照して発信機30のソフトウエア構成を説明するに、発信機30のプロセッサ100は、
図5にフローチャートで概念的に表されているプログラムを反復的に実行する。
【0097】
このプログラムの各回の実行時には、まず、ステップS1において、メモリ102から駐車スペースID(すなわち、今回の発信機30が実際に設置されている車室22に割り当てられた固有の駐車スペースID)が読み込まれ、次に、ステップS2において、電池106の残量が推定される。
【0098】
続いて、ステップS3において、前記読み込まれた駐車スペースIDと、前記推定された電池残量とが反映されるように、原信号(例えば、搬送信号)を変調するための信号がコントローラ110に対して出力される。そのコントローラ110は、発信部108を制御し、その結果、発信部108は、今回発信すべき識別信号を生成する。その後、ステップS4において、その生成された識別信号が発信部108から発信される。続いて、ステップS1に戻る。
【0099】
なお付言するに、発信機30において、駐車スペースIDと電池残量とが反映されるように識別信号を生成するアルゴリズムまたは手順は、
図5に示すアルゴリズムまたは手順とは異なるものを採用することが可能である。
【0100】
ここで、この発信機30に関連付けてユーザの携帯端末90の一機能を説明するに、その携帯端末90は、発信機30から識別信号を受信している状態で、その携帯端末90のコンピュータに予めインストールされているあるプログラム、すなわち、発信機処理のための専用アプリケーション(以下、「発信機用アプリケーション」という。)を起動させる(ログイン)と、前記受信した識別信号を復調し、それにより、前記駐車スペースIDを解読する。携帯端末90は、さらに、その解読された駐車スペースIDを管理サーバ50に送信する。
【0101】
さらに、携帯端末90は、発信機30から識別信号を受信している状態で、前記発信機用アプリケーションを起動させると、前記受信した識別信号に基づき、その識別信号を発信したときの発信機30の位置と、その識別信号を受信したときの携帯端末90の位置との間の距離を測定することも行う。
【0102】
すなわち、携帯端末90は、発信機30から受信した識別信号に基づき、その発信機30が実際に設置されている車室22に固有の駐車スペースIDと、そのときの発信機30との距離との双方を獲得するようになっているのである。
【0103】
携帯端末90のユーザは、自身の携帯端末90を持ったまま発信機30に接近し、その携帯端末90を発信機30のうちの発信部108に完全にまたはほぼ接触させると、携帯端末90は、発信機30から識別信号を接触式で受信することができる。
【0104】
これに対し、携帯端末90のユーザが自身の携帯端末90を持ったまま特定の受信エリア内に進入すると、携帯端末90は、発信機30から識別信号を非接触式で受信することができる。
【0105】
図6に概念的に平面図で示すように、発信機30には、2種類の受信エリアが割り当てられる。それらは、受信可能エリアと有効受信エリアである。それらエリアは、いずれも、発信機30を発信源とする円で概して定義され、受信可能エリアは、最大受信半径を有するのに対し、有効受信エリアは、有効受信半径を有する。
【0106】
しかし、具体的には、受信可能エリアは、発信機30の電力供給が正常である場合に、その発信機30からの識別信号が到達可能なエリア、すなわち、そのエリア内に存在する限り、携帯端末90がその識別信号を受信可能なエリアを意味する。
【0107】
これに対し、有効受信エリアは、受信可能エリアの最大受信半径より小さい有効受信半径を有している。最大受信半径は、任意に設定することが不可能であるのに対し、有効受信半径は、任意に設定することが可能である。
【0108】
すなわち、最大受信半径は、ハードウエアによって決まる受信限度を意味するのに対し、有効受信半径は、ソフトウエアによって決まる受信限度を意味するということが可能なのである。
【0109】
前述のように、携帯端末90は、それが受信した識別信号を発信したときの発信機30との距離を測定する。その距離測定値は、有効受信半径を超えることもあれば、超えないこともある。そして、その距離測定値が受信有効半径を超えないときは、携帯端末90が有効受信エリア内に存在するときであるのに対し、その距離測定値が受信有効半径を超えるときは、携帯端末90が受信可能エリア内には存在するが有効受信エリア内には存在しないときである。
【0110】
携帯端末90は、前記発信機処理用アプリケーションを起動させることにより、前記距離測定値が有効受信半径の設定値以下であるか否かを判定し、その設定値以下であると判定すると、携帯端末90が現在、有効受信エリア内に位置するから、携帯端末90は、「発信機30からの識別信号を有効に受信した(以下、単に「識別信号を受信した」ともいう。)」と判定する。
【0111】
これに対し、携帯端末90は、前記距離測定値が前記設定値より大きいと判定すると、携帯端末90が現在、有効受信エリア外に位置するから、携帯端末90は、「発信機30からの識別信号を有効に受信していない(以下、単に「識別信号を受信していない」ともいう。)」と判定する。
【0112】
すなわち、本実施形態においては、携帯端末90が有効受信エリア外に位置する場合には、実際には、携帯端末90が識別信号を受信しているにもかかわらず、みかけ上、携帯端末90は識別信号を受信していないこととしてソフトウエア上で取り扱われることになるのである。
【0113】
本実施形態においては、
図6に示すように、受信可能エリアも有効受信エリアも複数の発信機30の間で互いにオーバラップしないように、複数の発信機30の個別性能および相対的位置関係ならびに前記有効受信半径の設定値が設定されている。
【0114】
図7には、同じ車室22に位置する発信機30と携帯端末90との間における近距離一方向無線通信の内容が時系列的にかつ概念的に表されている。発信機30は、同じ識別信号を携帯端末90に発信し続ける。
【0115】
なお念のために識別信号の不変性について付言するに、識別信号は駐車スペースIDのみならず電池残量をも反映した信号であることから、識別信号は、駐車スペースIDが不変であっても、時間と共に変動することが想定される。
【0116】
しかし、電池残量が急に変化することはないから、携帯端末90に関連付けて想定される短い時間スパン内においては、電池残量は不変であるとみなすことが可能である。一方、駐車スペースIDが変化することは想定されていない。
【0117】
よって、識別信号は、短い時間スパン内においては、同じ情報を繰返し伝達しているから、その実体的な意味において、識別信号は、そもそも不変であるものとして取り扱うことが可能である。
【0118】
ところで、識別信号は、連続波である場合には、物理的に、複数個の信号として観察されないのに対し、断続波である場合には、複数個の信号として観察される。しかし、連続波であっても、識別信号が周期的である以上、複数個の周期信号が時系列的に並んだものとして把握することは可能である。よって、説明の便宜上、
図7に概念的に表すように、連続波であるか断続波であるかを問わず、識別信号は、複数の個別信号が時系列的に並んだものとして把握することが可能である。
【0119】
なお付言するに、
図7には、さらに、携帯端末90と、遠隔地にある管理サーバ50との間における遠距離双方向無線通信の内容も概念的に表されているが、これについては、後に詳述する。
【0120】
次に、機能ブロック図である
図8を参照して携帯端末90のハードウエア構成を説明するに、携帯端末90は、プロセッサ130およびそのプロセッサ130によって実行される複数のアプリケーションを記憶するメモリ132を有するコンピュータ134を主体として構成されている。
【0121】
この携帯端末90は、さらに、情報を表示する表示部(例えば、液晶ディスプレイ)136と、発信機30および管理サーバ50からの信号を受信する受信部138と、信号を生成してその信号を管理サーバ50に送信する送信部140とを有する。
【0122】
次に、
図9を参照して携帯端末90のソフトウエア構成を説明するに、携帯端末90のプロセッサ130は、複数のプログラムを実行する。それらプログラムの一つが、前述の発信機用アプリケーションであり、そのアプリケーションが
図9にフローチャートで概念的に表されている。
【0123】
携帯端末90のプロセッサ130は、その発信機用アプリケーション(以下、単に「プログラム」ともいう。)を反復的に実行する。各回のプログラムの実行時には、まず、ステップS101において、ユーザの操作に応答し、このプログラムが起動する。
【0124】
次に、ステップS102において、携帯電話90が発信機30から識別信号を有効に受信したか否かが判定される。
【0125】
携帯端末90が現在、前記受信可能エリア外に位置する場合には、携帯端末90は発信機30から識別信号を全く受信できないため、ステップS102の判定がNOとなる。
【0126】
その後、ステップS115において、操作エラーが存在することをユーザに告知するか、または操作方法を修正して再試行することをユーザに催促するためのメッセージが表示部136の画面上に表示される。このとき、携帯端末90と管理サーバ50との通信が終了する(ログアウト)。上記のメッセージの一例は、「発信機からの信号を正常に受信できません。お客様の携帯端末を発信機に十分に近づけるかまたは接触させた後、再度、アプリを起動させてください」旨のメッセージである。以上で、このプログラムの今回の実行が終了する。
【0127】
これに対し、携帯端末90が現在、前記受信可能エリア内に位置する場合には、携帯端末90は発信機30から識別信号を受信できる。この場合、ステップS102においては、その受信した識別信号に基づき、今回の発信機30との距離が測定される。このステップS102においては、さらに、その距離測定値が前記設定値より小さいか否か、すなわち、携帯端末90が現在、前記有効受信エリア内に位置するか否かが判定される。前記距離測定値が前記設定値以上である場合には、ステップS102の判定がNOとなり、ステップS115に移行する。
【0128】
これに対し、携帯端末90が現在、前記有効受信エリア内に位置する場合には、前記距離測定値が前記設定値より小さいため、ステップS102の判定がYESとなる。これにより、
図7に示すように、発信機30との関係において1回目の受信確認(これは、前記「第1受信イベント」の一例である)が完了する。その後、今回のセッション、すなわち、ユーザが今回の駐車サービスを利用するための管理サーバ50との1回分の双方向通信が開始する。
【0129】
本実施形態においては、管理サーバ50が、実際には、携帯端末90が発信機30から識別信号を有効に受信した事実を直接的に確認するようには設計されていない。しかし、発信機30から識別信号を有効に受信しない限り携帯端末90は管理サーバ50へのアクセス要求を行わないというプロトコルないしは事実を前提に、管理サーバ50は、携帯端末90からアクセス要求があったという事実のみから、携帯端末90が発信機30から識別信号を有効に受信した事実を推定する。
【0130】
よって、管理サーバ50は、事実上、携帯端末90が発信機30から識別信号を有効に受信した事実を確認するための動作を行っているのに等しい。
【0131】
今回のセッションが開始すると、まず、ステップS103において、ユーザの会員IDが管理サーバ50に送信される。次に、ステップS104において、ユーザのパスワードが管理サーバ50に送信される。
【0132】
続いて、ステップS105において、ユーザからの今回のリクエスト、すなわち、ある車室22への車両の入庫を希望する入庫リクエストと、車室22からの車両の出庫を希望する出庫リクエストとのうちのユーザが希望するものが管理サーバ50に送信される。その後、ステップS106において、ユーザが駐車したい車両に付されている固有の車台番号(例えば、いわゆるナンバープレートに付されている4桁の数字)が管理サーバ50に送信される。なお、このステップS106は省略可能である。
【0133】
続いて、ステップS107において、前記受信した識別信号が復調され、それにより、その識別信号によって表される駐車スペースIDが解読される。これにより、今回の車室22を一義的に特定する駐車スペースIDが識別される。この駐車スペースIDはメモリ132に保存される。
【0134】
このステップS107においては、さらに、前記受信した識別信号の復調により、その識別信号によって表される電池残量も解読される。この電池残量推定値もメモリ132に保存される。
【0135】
その後、ステップS108において、ステップS102の実行時において発信機30から受信した識別信号と同じ駐車スペースIDを表す識別信号(すなわち、実質的に同じ識別信号)を携帯端末90が有効に受信したか否かが判定される。その有効受信の有無を判定するためのアルゴリズムは、ステップS102について前述したものと同じである。
【0136】
今回は、携帯端末90が、今回のセッション中、同じ車室22の同じ有効受信エリア内に継続的に存在していると仮定すると、携帯端末90は、前回受信した識別信号と同じ駐車スペースIDを表す識別信号を受信するから、ステップS108の判定がYESとなる。これにより、
図7に示すように、発信機30との関係において2回目の受信確認(これは、前記「第2受信イベント」の一例である)が完了する。
【0137】
その後、ステップS109において、前記識別された駐車スペースIDが管理サーバ50に送信される。このステップS109は、ステップS108の判定がYESとなると、他の実質的な処理を行うことなく実行されるため、前記2回目の受信確認の後、速やかに、ステップS109が実行され、それにより、2回目に受信された識別信号であって1回目に受信されたものと同じものから変換された駐車スペースIDが携帯端末90から管理サーバ50に送信される。
【0138】
その結果、管理サーバ50は、事実上、携帯端末90が発信機30から2回目の識別信号を有効に受信すると、その後、意図的に延長された待ち時間なしで、すなわち、実質的にリアルタイムで、その識別信号を、それから変換された駐車スペースIDという形態で、受信することになる。それら識別信号と駐車スペースIDとは、情報としては、実質的に互いに同一である。
【0139】
したがって、管理サーバ50は、後述のように、その駐車スペースIDを受信した直後に現在時刻を計測すれば、その現在時刻を、車両の実際の入庫時刻または出庫時刻(ユーザが車両の入庫をリクエストする場合には入庫時刻、ユーザが車両の出庫をリクエストする場合には出庫時刻)を反映する時刻として精度よく認識できることになる。
【0140】
さらに、本実施形態においては、携帯端末90が発信機30から受信した識別信号が、携帯端末90が管理サーバ50に送信する駐車スペースIDに変換される過程において、ユーザの意図的な介入、すなわち、ユーザによるデータ入力やデータ編集が存在しないため、ユーザは、駐車スペースIDを改ざんすることが不可能となる。その結果、携帯端末90を経由して発信機30から管理サーバ50に送信される車室位置関連情報(前記駐車関連情報の一例)のセキュリティが向上する。
【0141】
これに対し、今回は、携帯端末90が、今回のセッション中、ある車室22の有効受信エリアから、別の車室22の有効受信エリアに移動したと仮定すると、携帯端末90は、前回受信した識別信号とは異なる識別信号を受信するから、ステップS108の判定がNOとなる。
【0142】
この場合には、その後、図示しないが、携帯端末90の表示部136の画面上に警告メッセージが表示される。その警告メッセージは、例えば、「駐車の申込みが完了しないうちにユーザが最初の車室から別の車室に移動し、この行為により、この駐車サービスを利用する資格が喪失した」旨のメッセージが表示される。以上で、このプログラムの今回の実行が終了する。このとき、携帯端末90と管理サーバ50との通信が終了する(ログアウト)。
【0143】
ところで、発信機30が発信する識別番号は、その発信機30に固有であり、また、その発信機30が設置されている1つの車室22に固有でもある。さらに、1つの車室22に設置された発信機30の受信可能エリアは、別の車室22に設置された別の発信機30の受信可能エリアとオーバラップしない。よって、携帯端末90が同時に複数の発信機30から複数の識別信号を受信してしまうことはない。
【0144】
そうすると、「携帯端末が同じ駐車スペースIDを表す識別信号を同じセッション中に再度受信した」という事実は、「携帯端末90をもっているユーザが、その識別信号によって特定される1つの車室22内に、ある時間スパンの間、継続的に滞在していた」という事実を高い確度で推論できる。しかし、携帯端末90が発信機30から識別信号を1回受信しただけで、その識別信号に対応する駐車スペースIDを管理サーバ50に送信してしまう場合には、同じ推論を低い確度でしか遂行できない。
【0145】
ここに、「ある時間スパン」とは、具体的には、例えば、前記1回目の受信確認が行われた時刻から、前記2回目の受信確認が行われた時刻までの時間的隔たりを意味するが、その時間的隔たりは、例えば、1秒を下限値として有したり、5秒を上限値として有することが可能である。例えば、その時間的隔たりが1秒に設定された例においては、ユーザは、少なくとも1秒間、同じ車室22に、かつ、発信機30の有効受信エリア内に滞在することが、駐車サービスを受けるための条件となる。
【0146】
ステップS109において今回の駐車スペースIDが管理サーバ50に送信されると、ステップS110において、管理サーバ50からの返信が待たれる。後述のように、その返信されたデータには、車両の入庫のための処理が開始された(駐車が開始された)か否かを表すデータ、出庫のための処理が完了した(駐車が終了した)か否かを表すデータ、出庫後の精算を表す支払明細などを表すデータが含まれる。
【0147】
管理サーバ50からそのような返信があれば、ステップS111において、その返信されたデータが、車両の入庫のための処理が開始されたことを表す駐車開始データであったか否かが判定される。駐車開始データであった場合には、ステップS111の判定がYESとなる。以上で、このプログラムの今回の実行が終了する。これにより、ユーザは、今回の車室22に自身の車両を駐車し始めることが可能となる。
【0148】
その結果、今回のセッション、すなわち、今回の車室22への入庫のための管理サーバ50との1回分の双方向通信が終了する(ログアウト)。
【0149】
これに対し、管理サーバ50から今回返信されたデータが駐車開始データではなかった場合には、ステップS111の判定がNOとなり、ステップS113において、その返信されたデータが、出庫のための処理が完了したことを表す駐車終了データであったか否かが判定される。駐車終了データであった場合には、ステップS113の判定がYESとなる。
【0150】
今回は、管理サーバ50から前記支払明細が返信されているため、ステップS114において、その返信された支払明細が携帯端末90の表示部136の画面上に表示される。以上で、このプログラムの今回の実行が終了する。これにより、ユーザは、今回の駐車サービスの対価として支払った駐車料金の金額を知ることが可能となる。
【0151】
その結果、今回のセッション、すなわち、今回の車室22からの出庫のための管理サーバ50との1回分の双方向通信が終了する(ログアウト)。
【0152】
次に、機能ブロック図である
図10を参照して管理サーバ50のハードウエア構成を説明するに、管理サーバ50は、プロセッサ160およびそのプロセッサ160によって実行される複数のアプリケーションを記憶するメモリ162を有するコンピュータ164を主体として構成されている。
【0153】
この管理サーバ50は、さらに、情報を表示する表示部(例えば、液晶ディスプレイ)166と、携帯端末90からの信号を受信する受信部168と、信号を生成してその信号を携帯端末90に送信する送信部170と、時計172とを有する。この管理サーバ50は、発信機30からの受信を直接的には行わず、事実上、携帯端末90を介して行うことになる。
【0154】
次に、機能ブロック図である
図11を参照して管理サーバ50のコンピュータ164のソフトウエア構成を概念的に説明する。
【0155】
図11に示すように、管理サーバ50は、車両の入庫を処理するための入庫処理部200と、車両の出庫を処理するための出庫処理部202とを有する。
【0156】
この管理サーバ50は、さらに、リスト作成部204とリスト表示部206とを有する。リスト作成部204は、
図15に示す利用状況管理リストを作成する。これに対し、リスト表示部206は、管理サーバ50のオペレータからの表示リクエストに応答し、前記作成された利用状況管理リストをメモリ162から読み出して管理サーバ50の表示部166の画面上に表示する。
【0157】
管理サーバ50は、さらに、出庫催促部208を有する。この出庫催促部208は、前記利用状況管理リストに基づき、複数人のユーザから、車両の出庫が完了していない未出庫ユーザを反復的に抽出し、その抽出された未出庫ユーザの携帯端末90に、車両の出庫が完了していない旨のメッセージを送信する。
【0158】
管理サーバ50は、さらに、車両を駐車したユーザが支払うべき駐車料金を計算する駐車料金計算部210と、その駐車料金をユーザが支払うことを可能にする決済処理部212とを有する。
【0159】
具体的には、駐車料金計算部210は、前記入庫時刻から前記出庫時刻までの経過時間の長さをユーザの駐車時間の長さとして計算する。駐車料金の額は、その駐車時間の長さに応じて増額するように設定されており、その関係が料金テーブル(図示しない)としてメモリ162に予め記憶されている。
【0160】
この駐車料金計算部210は、さらに、前記計算された駐車時間の長さに基づき、前記料金テーブルを参照することにより、今回の駐車料金の額を計算する。
【0161】
また、決済処理部212は、今回のユーザに対して銀行決済、クレジット決済、プリペイド方式の決済などを行うことにより、今回の駐車料金をユーザから徴収する。
【0162】
次に、
図12および
図13を参照して管理サーバ50のソフトウエア構成を更に詳しく説明するに、管理サーバ50のプロセッサ160は、メモリ162に記憶されている複数のプログラムのうち、
図12および
図13にフローチャートで概念的に表されているメイン・プログラム(入庫および出庫を行うためのプログラム)を反復的に実行する。
【0163】
このメイン・プログラムの各回の実行は
図12に示すステップS201において開始され、そのステップS201においては、ユーザから、携帯端末90を介して、管理センタ40に対して出される今回のリクエストの種別が入庫リクエストと出庫リクエストとのいずれであるかを特定するための情報と、前記車台番号と、駐車スペースIDと、電池残量推定値とを、今回のユーザについて予め割り当てられた会員IDおよびパスワードと共に受信する。それらデータは、その後のアクセスに備えて、互いに関連付けてメモリ162に保存される。
【0164】
このシステム10によって提供される駐車サービスを享受するために、ユーザは、会員として事前に登録することを要求されており、その際、事後的な個人認証に必要なパスワードも併せて登録することを要求されている。
【0165】
このステップS201においては、さらに、ユーザの携帯端末90との通信が開始されてから設定時間が経過しないうちにユーザの携帯端末90から駐車スペースIDを受信した否かが判定され、前記設定時間内に駐車スペースIDを受信しなかった場合には、その判定がNOとなり、管理サーバ50は、ユーザの携帯端末90との今回の通信を遮断する。
【0166】
管理サーバ50が前記設定時間内にユーザの携帯端末90から駐車スペースIDを受信できなかったのは、ユーザの携帯端末90において、前述の1回目の受信確認が成立したために
図9のステップS102の判定がYESとなり、管理サーバ50との通信が開始されたが、ユーザの携帯端末90において、前述の2回目の受信確認が成立しなかったために同図のステップS108の判定がNOとなり、ステップS109がスキップされたからである。
【0167】
よって、前記設定時間内にユーザの携帯端末90から駐車スペースIDを受信した場合に限り、ステップS202に移行する。
【0168】
なお、前記設定時間内にユーザの携帯端末90から駐車スペースIDを受信したか否かの判定は、ステップS201においてではなく、そのステップS201より後であって、ステップS204より前に実行してもよい。例えば、ステップS202とS203との間において実行しても、ステップS203とS204との間において実行してもよい。
【0169】
また、本実施形態においては、ユーザの携帯端末90が、同じ駐車スペースIDを表す識別信号を発信機30から複数回受信したときに、その駐車スペースIDが、ユーザの携帯端末90から管理サーバ50に送信され、それをトリガーとして、管理サーバ50は本格的な処理を開始する。よって、管理サーバ50は、ユーザの携帯端末90から、同じ駐車スペースIDを複数回受信することはない。
【0170】
これに代えて、ユーザの携帯端末90が発信機30から識別信号を受信するごとに、各識別信号によって表される各駐車スペースIDを管理サーバ50に送信し、その管理サーバ50が、ユーザの携帯端末90から、同じ駐車スペースIDを複数回受信したときに、管理サーバ50が本格的な処理を開始する態様で、本発明を実施することも可能である。
【0171】
次に、ステップS202において、前記受信した会員IDおよびパスワードと、前記登録されている情報との照合結果から、今回のユーザについての個人認証が成功したか否かが判定される。その個人認証が成功すると、ステップS203において、ユーザからの今回のリクエストが入庫リクエストであるか否かが判定される。
【0172】
今回のリクエストが出庫リクエストである場合には、判定がNOとなり、続いて、
図13に示すステップ群に移行するが、今回のリクエストが入庫リクエストである場合には、判定がYESとなり、ステップS204に移行する。
【0173】
このステップS204においては、時計172を用いて現在時刻が計測され、その現在時刻と同じ時刻としてユーザの入庫時刻(駐車開始時刻)がメモリ162に記録される。
【0174】
このステップS204は、ステップS201において管理サーバ50が携帯端末90から駐車スペースIDを受信した時刻(これは、ユーザの入庫過程において、携帯端末90が発信機30から2回目の識別信号を有効に受信した時刻にほぼ一致する時刻である)の後、速やかに(1分とか、必要以上に長い時間が経過しないうちに)実行される。よって、入庫時刻が、ユーザの入庫過程において、携帯端末90が発信機30から2回目の識別信号を有効に受信した時刻にほぼ一致する時刻として認識されることになる。
【0175】
すなわち、このステップS204においては、管理サーバ50が携帯端末90から駐車スペースIDを受信した時刻、すなわち、ユーザの入庫過程において、携帯端末90が発信機30から2回目の識別信号を有効に受信した時刻にほぼ一致する時刻に基づき、ユーザの入庫時刻が認識されるのである。
【0176】
続いて、ステップS207において、ユーザが車両を今回の車室22に駐車することが許可される。その前提として、ユーザが、前記入庫時刻に、前記駐車スペースIDを有する車室22に実際に居ると認識される。
【0177】
その後、ステップS208において、
図16に示す対応関係テーブルに従い、駐車スペースIDに対応する車室22が取得され、それにより、今回の車室22およびそれが属する駐車場20が特定される。このステップS208において、さらに、後の使用に備えて、今回の入庫時刻と車室22とが、今回の会員と車台番号に関連付けてメモリ162に保存される。
【0178】
具体的には、このステップS208においては、
図15に示す利用状況管理リストが作成される。さらに具体的には、このステップS208においては、あるユーザについての入庫というイベントの発生を契機とし、1回の駐車サービスごとに、駐車スペース(駐車場20および車室22)と、入庫時刻と、出庫時刻と、ユーザを識別する情報(会員ID)と、車台番号とが互いに関連付けられ、さらには任意選択的に電池残量推定値にも関連付けられて成るデータブロック(例えば、紐づけされたデータ列)が作成される。複数の駐車サービスに対応する複数のデータブロックは、リスト化され、それにより、利用状況管理リストが作成される。
【0179】
図16に例示するように、メモリ162には予め、複数の駐車スペースIDと、複数の駐車場20と、複数の車室22との間の対応関係が記録されている。よって、各時点において、今回の駐車スペースIDが特定されれば、対応する1つの駐車場20の場所と、対応する1つの車室22の場所とがいずれも特定されることになる。
【0180】
図15に示す利用状況管理リストの一例においては、複数のデータブロックが時系列的に配列され、例えば
図15に示す例においては、入庫時刻が新しい順に複数のデータブロックが配列される。
【0181】
図15に示す例においては、上から1番目のデータブロックが、駐車場Aの車室No.1において会員「田中」に対して車両(車台番号:0123)の入庫が1月20日の10:00に行われたがその車両は未だ出庫されていない(駐車中である)ことを表す。
【0182】
上から2番目のデータブロックは、駐車場Aの車室No.2において会員「鈴木」に対して車両(車台番号:1234)の入庫が1月20日の9:00に行われたがその車両は未だ出庫されていない(駐車中である)ことを表す。
【0183】
上から3番目のデータブロックは、駐車場Aの車室No.3において会員「加藤」に対して車両(車台番号:2345)の入庫が1月20日の8:00に行われ、その車両は駐車場Aに1月20日の17:00に出庫され、駐車料金も支払われたことを表す。
【0184】
上から4番目のデータブロックは、駐車場Aの車室No.4において会員「小林」に対して車両(車台番号:3456)の入庫が1月19日の8:00に行われ、その車両は駐車場Bに1月19日の12:00に出庫され、駐車料金も支払われたことを表す。
【0185】
すなわち、管理サーバ50のうち、このステップS208を実行する部分が、リスト作成部204を構成しているのである。
【0186】
続いて、ステップS211において、
図14に示すリスト表示プログラム(後に詳述する)が実行されることにより、必要に応じ、前記利用状況管理リストが管理サーバ50の表示部166の画面上に表示され、これにより、管理サーバ50のオペレータに対して前記利用状況管理リストが可視化される。
【0187】
その後、ステップS212において、
図17に示す出庫催促プログラム(後に詳述する)が実行される。以上で、このメイン・プログラムのうち、車両の入庫を行う部分の実行が終了する。
【0188】
これに対し、ユーザから出された今回のリクエストが出庫リクエストである場合には、
図12のステップS203の判定がNOとなり、
図13に示すステップS213に移行する。このステップS213においては、時計172を用いて現在時刻が計測され、その現在時刻と同じ時刻としてユーザの出庫時刻(駐車終了時刻)がメモリ162に記録される。
【0189】
このステップS213は、ステップS201において管理サーバ50が携帯端末90から駐車スペースIDを受信した時刻(これは、ユーザの出庫過程において、携帯端末90が発信機30から2回目の識別信号を有効に受信した時刻にほぼ一致する時刻である)の後、速やかに(1分とか、必要以上に長い時間が経過しないうちに)実行される。よって、出庫時刻が、ユーザの出庫過程において、携帯端末90が発信機30から2回目の識別信号を有効に受信した時刻にほぼ一致する時刻として認識されることになる。
【0190】
すなわち、このステップS213においては、管理サーバ50が携帯端末90から駐車スペースIDを受信した時刻、すなわち、ユーザの出庫過程において、携帯端末90が発信機30から2回目の識別信号を有効に受信した時刻にほぼ一致する時刻に基づき、ユーザの出庫時刻が認識されるのである。
【0191】
続いて、ステップS215において、前記利用状況管理リストを参照することにより、出庫時の駐車スペースIDが、同じユーザの入庫時の駐車スペースIDと一致するか否かが判定される。不一致である場合には、ステップS215の判定がNOとなり、ステップS227において、ユーザから今回受信したデータに何らかの異常があるか、または、ユーザが間違ったレンタル・スペース20に滞在している可能性があるとして、ユーザへのデータの再入力、すなわち、管理サーバ50との通信の再試行が要求される。以上で、このメイン・プログラムの実行が終了する。
【0192】
これに対し、出庫時の駐車スペースIDが、同じユーザの入庫時の駐車スペースIDと一致する場合には、ステップS215の判定がYESとなり、続いて、ステップS217において、ユーザが今回の車室22から出庫することが許可される。その前提として、ユーザが、前記測定された出庫時刻に、前記復元された駐車スペースIDを有する車室22に実際に居ると認識される。その後、ステップS218において、今回の出庫対象である車両についての入庫時刻がメモリ162から読み出される。
【0193】
続いて、ステップS219において、前記入庫時刻から前記出庫時刻までの経過時間の長さが今回のユーザの駐車時間の長さとして計算される。その後、ステップS221において、前記計算された駐車時間の長さに基づき、前記料金テーブルを参照することにより、今回の駐車料金の額が計算される。その後、ステップS222において、その計算された駐車料金につき、今回のユーザに対して決済が行われ、それにより、今回の駐車料金がユーザから徴収される。
【0194】
続いて、ステップS223において、出庫が完了したことを表すメッセージと、今回の駐車料金についての支払明細とがユーザの携帯端末90に向けて送信される。
【0195】
その後、ステップS224において、出庫時刻の今回のデータが反映されるように、前記利用状況管理リストが更新される。続いて、ステップS225において、
図14に示すリスト表示プログラム(後に詳述する)が実行されることにより、必要に応じ、最新の利用状況管理リストが管理サーバ50の表示部166の画面上に表示され、これにより、管理サーバ50のオペレータに対して前記利用状況管理リストが可視化される。
【0196】
その後、ステップS226において、
図17に示す出庫催促プログラム(後に詳述する)が実行される。以上で、このメイン・プログラムのうち、車両の出庫を行う部分の実行が終了する。
【0197】
本実施形態においては、携帯端末90が車室22ごとに固有の局地的識別信号を発信機30から受信し、その識別信号を駐車スペースIDに変換して、その駐車スペースIDをユーザの携帯端末90が管理サーバ50に送信するが、これは、事実上、車室22ごとに固有の局地的識別信号をユーザの携帯端末90を経由して管理サーバ50が受信することと等価である。
【0198】
このように、発信機30からの識別信号が携帯端末90を経由して管理サーバ50に送信されるおかげで、ユーザが、特定されたいずれかの時刻に、かつ、特定されたいずれかの車室22に居ることを管理サーバ50が認識することが可能となる。
【0199】
ところで、本実施形態においては、ユーザの携帯端末90が同じ駐車スペースIDを表す識別信号を複数回有効に受信し、ユーザが滞在している車室22の同一性を確認した後に、携帯端末90が1回のみ、その識別信号に対応する駐車スペースIDを管理サーバ50に送信する。
【0200】
これに対し、携帯端末50が識別信号を受信するごとに、その識別信号を駐車スペースIDに変換して管理サーバ50に送信し、その管理サーバ50が、同じ駐車スペースIDを複数回受信し、ユーザが滞在している車室22の同一性(ユーザが、同じ車室22に居続けていること)を確認した後に、車両の入庫または出庫を処理する態様で本発明を実施することが可能である。
【0201】
しかし、この態様では、管理サーバ50が複数人のユーザとの間で駐車に関する複数のセッション(各セッションは、一連のインタラクティブな操作)を一括して処理することが通常であることを考慮すると、管理サーバ50の処理負担が増加する傾向がある。
【0202】
これに対し、本実施形態においては、ユーザの携帯端末90が、ユーザが滞在している車室22の同一性を確認するというイベントを管理サーバ50にではなくユーザの携帯端末90に行わせるため、管理サーバ50の負担軽減が容易となる。
【0203】
さらに、本実施形態においては、
図7に示すように、管理サーバ50が、ユーザの携帯端末90が発信機30から識別信号を受信したという第1受信イベントに応答して、携帯端末90との実質的な通信(1回分のセッション)を開始し、その通信開始後、携帯端末90が発信機30から同じ駐車スペースIDを表す識別信号を再度受信したという第2受信イベントに応答して、携帯端末90から、前記識別信号に対応する駐車スペースIDを受信する。
【0204】
本実施形態によれば、ユーザの携帯端末90の処理と管理サーバ50の処理とを互いに並行して行うことが可能となり、よって、それら処理が直列に行われる場合より迅速に、ユーザは、車両の入庫または出庫を行うことが可能となる。
【0205】
ここで、
図14を参照して前記リスト表示プログラムを詳細に説明する。
【0206】
このリスト表示プログラムは繰返し実行され、各回の実行時においては、まず、ステップS301において、管理サーバ50のオペレータからリスト表示リクエストが出されるのが待たれる。
【0207】
そのリスト表示リクエストが出されると、ステップS301の判定がYESとなり、ステップS302において、前記利用状況管理リストがメモリ162から読み出される。続いて、ステップS303において、その読み出された利用状況管理リストが管理サーバ50の表示部172の画面上に表示される。以上で、このリスト表示プログラムの今回の実行が終了する。
【0208】
ここで、
図17を参照して前記出庫催告プログラムを詳細に説明する。
【0209】
この出庫催告プログラムは繰返し実行され、各回の実行時においては、まず、ステップS401において、前記利用状況管理リストに、入庫というイベント単位で記録されている複数のデータブロックから、今回注目すべきデータブロックが選択される。
【0210】
続いて、ステップS402において、その選択されたデータブロックにおいて、出庫時刻の欄を参照することにより、そのデータブロックに対応する今回のユーザが車両を出庫した時刻が記録されていないか否か、すなわち、今回のユーザが未出庫のままであるか否かが判定される。
【0211】
今回のユーザが未出庫のままである場合には、ステップS402の判定がYESとなり、ステップS403において、管理サーバ50から今回のユーザの携帯端末90に、出庫を催促するためのメッセージが送信される。その後、ステップS401に戻り、別のデータブロックが実行対象として選択される。
【0212】
これに対し、今回のユーザが既に出庫していた場合には、ステップS402の判定がNOとなり、ステップS403がスキップされてステップS401に戻る。
【0213】
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、管理サーバ50のうち、ステップS201−S207およびS210を実行する部分が、入庫処理部200を構成し、ステップS201−S203およびS213−S223を実行する部分が、出庫処理部202を構成し、また、ステップS208およびS224を実行する部分が、リスト作成部204を構成し、また、ステップS211およびS225を実行する部分が、リスト表示部206を構成し、また、ステップS212およびS226を実行する部分が、出庫催促部208を構成しているのである。
【0214】
さらに、本実施形態においては、管理サーバ50のうち、ステップS201を実行する部分が、前記リアルタイム受信部および前記リアルタイム受信工程のそれぞれの一例を構成し、また、ステップS203−S205,S214およびS215を実行する部分が、前記情報認識部および前記情報認識工程のそれぞれの一例を構成しているのである。
【0215】
図11に示すように、管理サーバ50のコンピュータ164は、残量不足時バックアップ処理部214を有する。この残量不足時バックアップ処理部214は、電池残量推定部220と、発信機診断部222と、対応関係変更部224とを有する。
【0216】
管理サーバ50は、残量不足時バックアップ処理部214を構成するために、残量不足時バックアップ処理用プログラムを実行するが、本実施形態においては、2種類の残量不足時バックアップ処理用プログラムのうち管理センタ40によって予め選択されたものが実行される。
【0217】
概略的に説明するに、第1の残量不足時バックアップ処理用プログラムは、予備発信機32を用いないで、複数の発信機30のうち動作不保証発信機30を除くものと複数の車室22との間の対応関係を最適化することによって動作不保証発信機30のバックアップを行うものである。これに対し、第2の残量不足時バックアップ処理用プログラムは、動作不保証発信機30を予備発信機32によって代替することにより、動作不保証発信機30のバックアップを行うものである。
【0218】
図18には、第1の残量不足時バックアップ処理用プログラムがフローチャートで概念的に表されている。
【0219】
このプログラムは、管理サーバ50において、その管理サーバ50が管理している各駐車場20ごとに繰返し実行される。このプログラムの各回の実行時には、まず、ステップS601において、番号nが1にセットされ、その後、今回の駐車場20に属する複数の車室22にそれぞれ設置されている複数の発信機30のうち、それに付されている連続番号(対応する車室22に付されている連続番号と同じ)が、番号nの現在値(今回は、1)と等しいものが、今回の発信機30として選択される。
【0220】
図19(a)には、複数の発信機30と複数の車室22と動作保証の有無に関する情報とが、互いに関連付けて示されており、その対応関係は、対応関係テーブルとしてメモリ162に保存されている。
【0221】
次に、ステップS602において、今回の発信機30の電流残量推定値がメモリ162から読み込まれる。続いて、ステップS603において、その電池残量推定値が基準値より低いか否か、すなわち、今回の発信機30の電流残量が不足しているために動作が保証されない可能性があるか否かが判定される。
【0222】
今回は、電池残量推定値が前記基準値以上であると仮定すれば、ステップS603の判定がYESとなり、ステップS604において、今回の発信機30が動作保証発信機であると診断される。その診断結果が反映されるように、前記対応関係テーブルが更新され、それにより、診断結果がメモリ162に保存される。
【0223】
続いて、ステップS605において、番号nが最大値nmax(発信機30の総数と等しい)に達していないか否かが判定される。番号nが最大値nmaxより小さい場合には、ステップS605の判定がNOとなり、ステップS606において、番号nが1だけインクリメントされ、その後、ステップS602に移行する。
【0224】
これに対し、番号nが最大値nmaxに到達した場合には、ステップS605の判定がYESとなり、その後、ステップS601に戻り、番号nが1にリセットされる。
【0225】
今回は、電池残量推定値が前記基準値より低いと仮定すれば、ステップS603の判定がNOとなり、ステップS607において、今回の発信機30が動作不保証発信機であると診断される。その診断結果が反映されるように、前記対応関係テーブルが更新され、それにより、診断結果がメモリ162に保存される。
【0226】
その後、ステップS608において、前記対応関係テーブルが参照されることにより、(n−1)番目の発信機30が動作保証発信機であるか否かが判定される。今回は、(n−1)番目の発信機30が動作保証発信機であると仮定すれば、ステップS608の判定がYESとなり、ステップS609において、その結果を反映するように、前記対応関係テーブルが変更される。
【0227】
具体的には、(n−1)番目の発信機30が、n番目の車室22と、(n−1)番目の車室22との双方に割り当てられることが表現されるように、前記対応関係テーブルが変更される。この変更に合わせて、
図20に示すように、前記利用状況管理リストが更新される。
【0228】
その後、ステップS610において、今回の駐車場20を利用しようとしているすべてのユーザに対し、「n番目の車室22に設置されている発信機30は故障する可能性があるから、その代わりに(n−1)番目の発信機30を使用して、n番目の車室22を利用して欲しい」旨の案内メッセージがそれらユーザの携帯端末90に送信される。その後、ステップS605に移行する。
【0229】
これに対し、今回は、(n−1)番目の発信機30も動作不保証発信機であると仮定すれば、ステップS608の判定がNOとなり、ステップS611において、前記対応関係テーブルが参照されることにより、(n+1)番目の発信機30が動作保証発信機であるか否かが判定される。今回は、(n+1)番目の発信機30が動作保証発信機であると仮定すれば、ステップS611の判定がYESとなり、ステップS612において、その結果を反映するように、前記対応関係テーブルが変更される。
【0230】
具体的には、(n+1)番目の発信機30が、n番目の車室22と、(n+1)番目の車室22との双方に割り当てられることが表現されるように、前記対応関係テーブルが変更される。この変更に合わせて、
図20に示すように、前記利用状況管理リストが更新される。その後、ステップS610において、前述のようにしてユーザへの案内が行われる。
【0231】
例えば、
図19(b)に示すように、今回は1番目の発信機30が注目されており、その発信機30が動作不保証発信機であると診断されると、2番目の発信機30は動作保証発信機であると診断されているため、その2番目の発信機30が、1番目の車室22と2番目の車室22との双方に割り当てられる。その結果、1番目の発信機30の動作が保証されていないことが原因で1番目の車室22が空室のまま放置されることが回避され、それにより、駐車場20の稼働率が向上する。
【0232】
この例においては、さらに、
図20に示すように、前記利用状況管理リストが、1番目の車室22と2番目の車室22については、各車室22を利用しているユーザを個別に特定することなく、それら2つの車室22のいずれかを利用しているユーザを特定するように、更新される。
【0233】
図21には、前述の第2の残量不足時バックアップ処理用プログラムがフローチャートで概念的に表されている。
【0234】
このプログラムも、管理サーバ50において、その管理サーバ50が管理している各駐車場20ごとに繰返し実行される。このプログラムの各回の実行時には、まず、ステップS701において、番号nが1にセットされ、その後、複数の正規の発信機30のうちn番目のものが、今回の発信機30として選択される。
【0235】
図22(a)には、複数の発信機30と複数の車室22と動作保証の有無に関する情報とが、互いに関連付けて示されており、その対応関係は、対応関係テーブルとしてメモリ162に保存されている。
【0236】
次に、ステップS702において、今回の発信機30の電流残量推定値がメモリ162から読み込まれる。続いて、ステップS703において、その電池残量推定値が基準値より低いか否か、すなわち、今回の発信機30の電流残量が不足しているために動作が保証されない可能性があるか否かが判定される。
【0237】
今回は、電池残量推定値が前記基準値以上であると仮定すれば、ステップS703の判定がYESとなり、ステップS704において、今回の発信機30が動作保証発信機であると診断される。その診断結果が反映されるように、前記対応関係テーブルが更新され、それにより、診断結果がメモリ162に保存される。
【0238】
続いて、ステップS705において、番号nが最大値nmax(発信機30の総数と等しい)に達していないか否かが判定される。番号nが最大値nmaxより小さい場合には、ステップS705の判定がNOとなり、ステップS706において、番号nが1だけインクリメントされ、その後、ステップS702に移行する。
【0239】
これに対し、番号nが最大値nmaxに到達した場合には、ステップS705の判定がYESとなり、その後、ステップS701に戻り、番号nが1にリセットされる。
【0240】
今回は、電池残量推定値が前記基準値より低いと仮定すれば、ステップS703の判定がNOとなり、ステップS707において、今回の発信機30が動作不保証発信機であると診断される。その診断結果が反映されるように、前記対応関係テーブルが更新され、それにより、診断結果がメモリ162に保存される。
【0241】
その後、ステップS708において、前記対応関係テーブルが参照されることにより、n番目の発信機30が予備発信機32によって代替される。その代替を反映するように、前記対応関係テーブルが変更される。
【0242】
その後、ステップS709において、今回の駐車場20を利用しようとしているすべてのユーザに対し、n番目の車室22に設置されている発信機30は故障する可能性があるから、予備発信機32を代わりに使用して、n番目の車室22を利用して欲しい旨の案内メッセージがそれらユーザの携帯端末90に送信される。その後、ステップS705に移行する。
【0243】
例えば、
図20(b)に示すように、今回は1番目の発信機30が注目されており、その発信機30が動作不保証発信機であると診断されると、1番目の発信機30が予備発信機32(連続番号として「100」が付されている)によって代替される。その結果、1番目の発信機30の動作が保証されていないことが原因で1番目の車室22が空室のまま放置されることが回避され、駐車場20の稼働率が向上する。
【0245】
次に、
図23を参照することにより、本発明の例示的な第2の実施形態に従う駐車場管理システム10を説明する。ただし、本実施形態は、前述の第1の実施形態と共通する要素が多いため、異なる要素についてのみ詳細に説明し、共通する要素については、同じ名称または同じ符号を使用して引用することにより、重複した説明を省略する。
【0246】
前述のように、第1の実施形態においては、発信機30と、ユーザの携帯端末90と、管理サーバ50との間の信号のやりとりに際し、
図7に時系列的に示すように、携帯端末90の処理と管理サーバ50の処理とを部分的に互いに並行して行われる。
【0247】
これに対し、本実施形態においては、
図23に時系列的に示すように、携帯端末90の処理と管理サーバ50の処理とが直列的に行われる。
【0248】
具体的には、管理サーバ50が、携帯端末90が発信機30から識別信号を受信したという第1受信イベントが発生してから、携帯端末90が発信機30から同じ駐車スペースIDを表す識別信号を再度受信したという第2受信イベントが発生するまでの間は、携帯端末90と実質的な通信を行わず、その第2受信イベントの発生後にはじめて、その第2受信イベントに応答して、携帯端末90との実質的な通信(1回分のセッション)を開始し、その後、携帯端末90から、前記識別信号に対応する駐車スペースIDを受信する。
【0249】
この実施形態によれば、管理サーバ50は、1回のセッションが開始された後、携帯端末90の作動状態によって時期的に影響されるイベントの出現を待つことなく、必要な処理を実施できる。よって、管理サーバ50は、携帯端末90の都合で、処理を中断される心配がなくなり、高い効率で処理を完了することが容易となる。
【0250】
[いくつかの実施形態によるいくつかの効果]
【0251】
以上、本発明のいくつかの実施形態を図面に基づいて詳細に説明したが、それら実施形態によれば、例えば次のようないくつかの効果が得られる。
【0252】
1.駐車場20に設置される駐車サービス用設備の低コスト化
【0253】
既に種々のデバイス・メーカから、外部に送出または発信したい情報を指定すると、その情報を識別信号に変換、変調または暗号化し、その識別信号を局地的に発信する非接触式または接触式の発信機が市販されている。
【0254】
この市販品を用いて本実施形態のうちの発信機30を実現することが可能である。すなわち、発信機30を実現するために、専用の発信機を設計して製造することは不可欠ではないのである。
【0255】
よって、本実施形態によれば、各車室22に設置することが必要な駐車サービス用設備の低コスト化が容易となる。
【0256】
2.ユーザが実際に、いずれの車室22に居るのかを認識する精度の向上
【0257】
本実施形態によれば、車室22ごとに固有の局地的識別信号であって発信機30から発信されたものをユーザの携帯端末90を経由して管理サーバ50が、事実上、受信することによって駐車サービスが行われる。
【0258】
ここに、発信機30から発信する識別信号は、一種の暗号化信号であるから、ユーザがみだりに改変することは不可能である。また、管理サーバ50は、ユーザが現在居る車室22の場所を、発信機30からの識別信号を用いて特定する。
【0259】
さらに、携帯端末90が発信機30から受信した識別信号が、携帯端末90が管理サーバ50に送信する駐車スペースIDに変換される過程において、ユーザの意図的な介入、すなわち、ユーザによるデータ入力やデータ編集が存在しない。よって、ユーザは、駐車スペースIDを改ざんすることが不可能となる。その結果、利用される車室22から管理サーバ50に送信される駐車関連情報のセキュリティが向上する。
【0260】
よって、本実施形態によれば、ユーザが実際、いずれの車室22に居るのかを認識する精度が向上する。
【0261】
3.ユーザが実際に、いずれの時刻に、ある車室22において入庫または出庫を行うのかを認識する精度の向上
【0262】
本実施形態によれば、車室22ごとに固有の局地的識別信号が発信機30からユーザの携帯端末90を経由して管理サーバ50に、駐車スペースIDという形態で実質的にリアルタイムで送信される。管理サーバ50は、例えば、その駐車スペースIDを受信した時刻を参照して、車室22への入庫を開始した時刻や、車室22からの出庫が終了した時刻を認識する。よって、ユーザは、それら時刻を改ざんすることは不可能である。
【0263】
したがって、本実施形態によれば、ユーザが、実際に、いずれの時刻に、ある車室22において入庫または出庫を行うのかを認識する精度が向上する。よって、このことによっても、利用する車室22からから管理サーバ50に送信される駐車関連情報のセキュリティが向上する。
【0264】
4.ユーザが、本当に駐車目的で、ある車室22に居たのか、偶然にある車室22の近傍に居たに過ぎないのかという観点でのユーザ行動の分別的監視
【0265】
本実施形態によれば、ユーザの携帯端末90が同じ駐車スペースIDを表す識別信号を複数回、互いに異なる時刻に有効に受信するというイベント、すなわち、同じ駐車スペースIDを表す識別信号をある時間的スパンにわたって実質的に継続的に受信するのを待って、管理サーバ50が、駐車のための処理を行う。
【0266】
すなわち、本実施形態によれば、ある識別信号の瞬間的受信すなわちある車室22へのユーザの瞬間的滞在を必要条件とするのではなく、同じ駐車スペースIDを表す識別信号の継続的受信すなわち同じ車室22へのユーザの継続的滞在を十分条件として、管理サーバ50が、ユーザが現在、本当に滞在している車室22の位置すなわち駐車スペースIDを推定ないしは特定するのである。
【0267】
その結果、本実施形態によれば、ユーザの携帯端末90の位置すなわちユーザの位置を瞬間的にではなく継続的に観察し、それにより、ユーザが本当に車両の入庫または出庫という目的である車室22に居たのか、それとも、偶然にある車室22の近傍に居たに過ぎないのかという観点で、ユーザの行動を区別して観察することが可能となる。
【0268】
さらに、本実施形態によれば、ユーザが偶然にある車室22の近傍に居たに過ぎない可能性が判明した場合に、管理サーバ50が、駐車のための処理を開始しないか、開始しても中止し、最終的に、無駄な処理が行われないようにすることが可能である。
【0269】
したがって、本実施形態によれば、ユーザの携帯端末90が識別信号を最初に有効に受信したという1回のイベントのみに応答して、管理サーバ50が、駐車の処理を行う場合より精度よく、無断な駐車のための処理を回避することが可能となる。
【0270】
例えば、ユーザの携帯端末90において、駐車サービスのためのアプリケーションが誤って起動してしまい、そのときに偶然にユーザがいずれかの車室22の近傍に居たために、そこに設置されている発信機30からの識別信号を受信してしまったとしても、次の瞬間にユーザがその車室22から遠ざかっている限り、ユーザは、知らないうちに、管理サーバ50に対して誤った駐車の申込みをせずに済む。よって、誤った駐車料金が管理サーバ50によってユーザに請求されずに済む。
【0271】
なお付言するに、上述のいくつかの実施形態は、本発明を、自転車を駐車対象とする駐車サービスに適用した場合のいくつかの具体例であるが、これに代えて、本発明は、例えば、自動車を駐車対象とする駐車サービスに適用したり、自動二輪車を駐車対象とする駐車サービスに適用することが可能である。
【0272】
以上、本発明のいくつかの実施形態を図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、前記[発明の概要]の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【解決手段】ユーザの携帯端末90が、いずれかの駐車場20におけるいずれかの車室22における発信機30から識別信号を受信し、携帯端末90は、その識別信号から発信機30の電池残量推定値を抽出し、管理サーバ50が、携帯端末90から、前記抽出された電池残量推定値を受信し、その受信した電池残量推定値に基づき、対応する発信機30の動作が保証されるか否かを診断し、複数の発信機30がいずれも、動作が保証されると診断された動作保証発信機である場合には、管理サーバ50は、予備発信機32を、いずれの車室22にも割り当てないが、いずれかの発信機30が、動作が保証されないと診断された動作不保証発信機であると、その動作不保証発信機にもともと割り当てられていた車室22に割り当て、それにより、その動作不保証発信機を代替する。