特許第6046356号(P6046356)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6046356
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】屋根の基盤敷設構造
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/00 20060101AFI20161206BHJP
【FI】
   E04D13/00 Z
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-44264(P2012-44264)
(22)【出願日】2012年2月29日
(65)【公開番号】特開2013-136934(P2013-136934A)
(43)【公開日】2013年7月11日
【審査請求日】2014年9月30日
(31)【優先権主張番号】特願2011-263231(P2011-263231)
(32)【優先日】2011年12月1日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000184687
【氏名又は名称】小松精練株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105809
【弁理士】
【氏名又は名称】木森 有平
(72)【発明者】
【氏名】奥谷 晃宏
(72)【発明者】
【氏名】林 豊
(72)【発明者】
【氏名】富樫 宏介
(72)【発明者】
【氏名】金田 明久
(72)【発明者】
【氏名】大田 剛志
【審査官】 西村 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−336359(JP,A)
【文献】 特開2007−154426(JP,A)
【文献】 特開平08−144445(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/106724(WO,A1)
【文献】 特開2005−239467(JP,A)
【文献】 特開2011−182679(JP,A)
【文献】 特開平08−260637(JP,A)
【文献】 特開2009−144388(JP,A)
【文献】 特開2003−143939(JP,A)
【文献】 特開2006−336428(JP,A)
【文献】 特開2002−047075(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/00
E04D 3/30
E04D 3/35
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質セラミックス基盤を、凹凸状の折板屋根または波板スレート屋根においてその凸部と凸部間に架け渡すように直接敷設するか、又は所定間隔で取り付けた横下地部材に敷設するものであって、
前記多孔質セラミックス基盤は、孔径1ミリメートル〜30ミリメートルの大きい偏平状の気孔と10ナノメートル〜1000マイクロメートルの微細な気孔を有するとともに、大きい扁平状の気孔孔径1ミリメートル〜30ミリメートル程度の気孔の周りを約10ナノメートル〜1000マイクロメートル程度の微細な気孔が取り巻いた連続気孔構造であり、
前記折板屋根又は波板スレート屋根の凹部と多孔質セラミックス基盤で形成された面に凹部用の面戸が取り付けられていることを特徴とする屋根の基盤敷設構造。
【請求項2】
前記多孔質セラミックス基盤は、粘土と珪藻土及び/又は有機汚泥と、スラグの混合物を焼成したものであり、前記スラグは、鋳鉄スラグであり、スラグに起因する孔径1ミリメートル〜30ミリメートルサイズの大きい偏平状の気孔と、珪藻土が本来有するマイクロメートルサイズの気孔及び/又は有機汚泥に起因する10ナノメートル〜1000マイクロメートルサイズの微細な気孔を有するとともに、大きい扁平状の気孔孔径1ミリメートル〜30ミリメートル程度のスラグに起因する気孔の周りをマイクロメートルサイズの珪藻土及び/又は10ナノメートル〜1000マイクロメートルサイズの有機汚泥に起因する微細な気孔が取り巻いたスポンジ状の連続貫通気孔構造であることを特徴とする請求項1記載の屋根の基盤敷設構造。
【請求項3】
前記多孔質セラミックス基盤は、かさ比重0.5〜1.5g/cmであり、厚さ約15〜60mm、一辺の長さ約100〜1000mmの板状物であり、
前記多孔質セラミックス基盤の側面部が隣の前記多孔質セラミックス基盤の側面部と互いに接して敷設されるとともに、敷設された外周の前記多孔質セラミックス基盤の断面より雨水や雪水が排出されように敷設されていることを特徴とする請求項2記載の屋根の基盤敷設構造。
【請求項4】
前記多孔質セラミックス基盤に、芝、コケ類やセダムなどの多肉植物が植栽されたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の屋根の基盤敷設構造。
【請求項5】
前記面戸は、下部側がスライド式に開くか、下部が蝶番で容易に開くか、雨水等を所定高さまで貯水できる隙間を設けるか、又は、空気が流れるための隙間を設けるかのうち少なくとも1つの機能を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の屋根の基盤敷設構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折板屋根や波板スレート屋根のように凹凸状の屋根の基盤敷設構造に関する。
【背景技術】
【0002】
折板屋根や波板スレート屋根は、施工が容易なことなどから仮設住宅や工場・倉庫の屋根などに多く用いられているが、屋根が薄くまた金属製であることとも相まって、夏季では室内の温度上昇が激しく、このため冷房費が嵩み、冬季では室内の暖房効果が失われる問題を有する。折板屋根の種類としては、シングル折板から断熱性を考慮したダブル折板、断熱グラスウールを貼った折板屋根などがある。波板スレートは、傾斜屋根に多く使用されているが、波板スレートに折板屋根を被せるような二重の使用例もある。
【0003】
また、折板屋根等の上を緑化することが検討され、例えば、特許文献1では、凹凸状の折板屋根の凹部を栽培容器として、この凹部内に植生マットをセットし、この植生マットの上にメッシュ板を載置し、このメッシュ板をフレームで押さえて固定する折板屋根緑化構造が記載されている。
また、特許文献2には、折板屋根及び波形スレート屋根等の凹凸を有する屋根の緑化システムであって、前記凹部に空気と水が流れ得る隙間を保持して屋根の上に薄肉マット状の無土壌培地を固定したものが開示されている。そして、特許文献2の段落0013には、「前記無土壌培地10としては、ヤシ殻などの繊維材から形成され、…防根シート22やフラットバー26上に敷設され、これらの無土壌培地10の上に飛散防止のための押え部材としてのビニール製ネット11が張られ、ボルト13cの上端に押え板13bを通してナット13aを螺合させることにより、ビニール製ネット11と共に押え板13bで無土壌培地10が押えられて固定される。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−166375号公報
【特許文献2】特開2004−137741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献のものでは、ヤシ殻などの繊維材からなる薄肉マットを用いているために、腐ったり、虫が発生したりする問題や、折板屋根の凹部には、空気が篭ると、悪臭が発生するおそれがある。また、上記特許文献のものでは、潅水が必要であり、一度建物の屋根などに敷設しても、定期的な管理が必要である。そして、火災への対応(難燃性)も十分でないと考えられる。
なお、従来の折板屋根では、断熱性を考慮したダブル折板、断熱グラスウールを貼った折板などがあるが、これらでは断熱効果を有するが、夏季の室内温度の上昇の防止には十分な効果を有さない。
【0006】
そこで、本発明の目的は、腐ったり、虫が発生したりするなど問題がなく、潅水などの水の管理も必要がなく、夏季においても冬季においても屋根構造として好適な屋根の基盤敷設構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の屋根の基盤敷設構造は、多孔質セラミックス基盤を、凹凸状の折板屋根または波板スレート屋根においてその凸部と凸部間に架け渡すように直接敷設するか、又は所定間隔で取り付けた横下地部材に敷設するものであって、 前記多孔質セラミックス基盤は、孔径1ミリメートル〜30ミリメートルの大きい偏平状の気孔と10ナノメートル〜1000マイクロメートルの微細な気孔を有するとともに、大きな扁平状の気孔孔径1ミリメートル〜30ミリメートル程度の気孔の周りを約10ナノメートル〜1000マイクロメートル程度の微細な気孔が取り巻いたスポンジ状の連続貫通気孔構造であり、 前記折板屋根又は波板スレート屋根の凹部と多孔質セラミックス基盤で形成された面に凹部用の面戸が取り付けられていることを特徴とする。
また、前記多孔質セラミックス基盤は、粘土と珪藻土及び/又は有機汚泥と、スラグの混合物を焼成したものであり、前記スラグは、鋳鉄スラグであり、スラグに起因する孔径1ミリメートル〜30ミリメートルサイズの大きい偏平状の気孔と、珪藻土が本来有するマイクロメートルサイズの気孔及び/又は有機汚泥に起因する10ナノメートル〜1000マイクロメートルの微細な気孔を有するとともに、大きい扁平状の気孔孔径1ミリメートル〜30ミリメートル程度のスラグに起因する気孔の周りをマイクロメートルサイズの珪藻土及び/又は10ナノメートル〜1000マイクロメートルの有機汚泥に起因する微細な気孔が取り巻いたスポンジ状の連続貫通気孔構造であることを特徴とする。
また、前記多孔質セラミックス基盤は、前記多孔質セラミックス基盤は、かさ比重0.5〜1.5g/cmであり、厚さ約15〜60mm、一辺の長さ約100〜1000mmの板状物であり、前記多孔質セラミックス基盤の側面部が隣の前記多孔質セラミックス基盤の側面部と接して敷設されるとともに、敷設された外周の前記多孔質セラミックス基盤の断面より雨水や雪水が排出されように敷設されているものであることを特徴とする。
【0008】
多孔質セラミックス基盤は、内層に無数の微細な孔(気孔ともいう。)が空いているセラミックスであり、多孔質セラミックス基盤は孔径10ナノメートルから30ミリメートル程度の多くの孔を持つことで大きな空気の層を持っているとよい。なお、孔の孔径とは、多孔質セラミックス基盤の断面にある孔をスケールや電子顕微鏡などを用いて測定した孔の最長径のことをいう。したがって、本発明によれば、多孔質セラミックス基盤を凹凸状の折板屋根等の凸部と凸部間に架け渡すように直接敷設することで、その建物の内部は、夏は涼しく冬は室内の熱を逃がさない屋根構造となる。また、有機物を用いたマットのように腐ったり、虫が発生したりする問題はほとんどない。
そして、多孔質セラミックス基盤は、多くの孔を有していることより保水性に優れ、雨などによる水を孔の中に蓄え、炎天下のときには少しずつその水を揮発させることにより(打ち水効果)、さらに屋根やその下に設けられた部屋などの室温の上昇を抑制することができる。
また、多孔質セラミックス基盤は、従来の有機物を用いたマットと異なり無機材料であることより、それ自体が難燃性が高いため、火災のリスクも軽減したものである。また、多孔質セラミックス基盤は、セラミックスであるため、有機物を用いたマットに比べ形状が安定しており、比重も大きいため、屋根に敷設する場合も安定しており、多孔質セラミックス基盤同士の接点や敷き詰めた多孔質セラミックス基盤の外周を取り付け金具等で固定することで敷設できるので作業効率もよく、強風に対しても安定している。また、セラミックスでありながら多孔質であるため、通常の瓦などに比べ軽い。従って、強度の低い仮設住宅などに敷設することができる。
【0009】
本発明の屋根の基盤敷設構造は、多孔質セラミックス基盤を、凹凸状の折板屋根または波板スレート屋根において横下地部材を所定間隔で取り付け、この所定間隔の横下地部材に前記多孔質セラミックス基盤を敷設することを特徴とする。
横下地部材は、折板屋根等の凸部と凸部間に架け渡すように取り付けたり、また、凹凸部と平行に取り付けることができる。多孔質セラミックス基盤と折板屋根等との間の空気の流れを作り折板屋根と多孔質セラミックス基盤で形成された空間全体で空気の流れを作るとの観点からは横下地部材は凸部と凸部間に架け渡すように取り付けるとよい。
【0010】
本発明によれば、多孔質セラミックス基盤を、凹凸状の折板屋根の凸部と凸部間に架け渡すように直接に敷設することで、その建物の内部は、夏は涼しく冬は熱を逃がさない屋根構造となるが、さらに折板屋根においてその凸部と凸部間に架け渡すように横下地部材を所定間隔で取り付けることで、多孔質セラミックス基盤の敷設状態が安定化するとともに、凹凸状の折板屋根等の凹部と凹部との空気の流れの連絡が図られるようになり、折板屋根等の屋根材と多孔質セラミックスとの間の空気の循環が図られる。
【0011】
本発明としては、前記多孔質セラミックス基盤は、珪藻土と、スラグと、粘土およびバイオマスケイクの混合物を焼成した多孔質セラミックス基盤であり、珪藻土が本来有するマイクロメートルサイズの気孔や有機汚泥が焼失して得られるナノメートルからマイクロメートルサイズの気孔とスラグが発泡することにより生じるミリメートルサイズの気孔との組み合わせにより、スラグに起因する大きい偏平状の気孔孔径1ミリメートル〜30ミリメートル程度の周りを約10ナノメートル〜1000マイクロメートル程度の微細な気孔の連続貫通気孔構造を有すると好ましい。
本発明としては、前記多孔質セラミックス基盤は、かさ比重が0.5〜1.5g/cmであり、かつ、飽和含水率が20〜85質量%であることが好ましい。
【0012】
本発明によれば、上記かさ比重と飽和含水率により、空隙率とそれによる保水性が高く、多孔質セラミックス基盤は、軽いため仮設住宅等の低強度の建物に敷設することができ、空気が多く含まれているため断熱性に優れ、また、保水性に優れ水を多く含むことができるので炎天下においても打ち水効果により温度上昇を抑制することができ、また、多孔質セラミックス基盤は、植物の育成にも優れ長期間水を与えなくとも植物を育成することができる。
【0013】
本発明としては、前記折板屋根又は波板スレート屋根の凹部と多孔質セラミックス基盤で形成された面に、凹部用の面戸が取り付けられていることが好ましい。面戸の種類としては、夏季では折板屋根等の凹部を塞ぎ暑い空気の流入を塞ぐものや、折板屋根等の凹部の空気の換気機能を有するものが好ましく、冬季では折板屋根の凹部を塞ぎ屋根材と多孔質セラミックスの間の暖かい空気の流出を防ぐ面戸や、また、寒風、雨、雪などの吹き込みを防ぐ面戸が好ましい。
本発明によれば、折板屋根等の凹部の空気の換気機能を発揮したり、室内の断熱効果を高めることができる。また、虫や鳥の侵入を防止することができる。
【0014】
本発明としては、前記多孔質セラミックス基盤は、粘土とスラグを含む混合物を焼成して得られたセラミックス焼結体であると好ましい。このような多孔質セラミックス基盤であれば、かさ比重が小さく、保水性に優れ、仮設住宅等に設置できる断熱性に優れ、打ち水効果による多孔質セラミックス焼結体の表面の温度上昇抑制効果に優れた多孔質セラミックス基盤が得られる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、多孔質セラミックス基盤を凹凸状の折板屋根または波板スレート屋根の凸部と凸部間に架け渡すように敷設すると、その建物の内部は、夏は温度上昇が抑制され、冬は暖房の熱を逃がさないようになる。そして、長期間使用しても、腐ったり、虫が発生したりすることを抑制することができる。また、保水性が高いので(雨水を保水するので)、炎天下には、保水した水が気化し、打ち水効果を生じさせて、多孔質セラミックス基盤の表面温度の上昇を抑制し、その建物の内部の温度上昇が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の多孔質セラミックス基盤の敷設状態の図であり、(a)は側面図であり、(b)は断熱用金具がある箇所の断面図である。
図2】本発明の横下地部材を用いた多孔質セラミックス基盤の敷設状態の図であり、(a)は横下地部材の上に多孔質セラミックス基盤を配した状態の上面図であり、(b)は横下地部材がある箇所(A−A線)の断面図であり、(c)は横下地部材がない箇所(B−B線)の断面図である。
図3】本発明の植栽していない多孔質セラミックス基盤の施工例を説明する図である。
図4(a)】本発明の多孔質セラミックス基盤を示す図である。
図4(b)】本発明の多孔質セラミックス基盤を圃場に敷設して植栽する工程を説明する図である。
図4(c)】本発明の植栽した多孔質セラミックス基盤を示す図である。
図4(d)】本発明の植栽した多孔質セラミックス基盤を折板屋根に敷設する工程を説明する図である。
図4(e)】本発明の植栽した多孔質セラミックス基盤を折板屋根に敷設する工程を説明する図である。
図4(f)】本発明の植栽した多孔質セラミックス基盤を折板屋根に敷設する工程を説明する図である。
図4(g)】本発明の植栽した多孔質セラミックス基盤を折板屋根に敷設する工程を説明する図である。
図4(h)】本発明の植栽した多孔質セラミックス基盤を折板屋根に敷設する工程を説明する図である。
図4(i)】本発明の植栽した多孔質セラミックス基盤を折板屋根に敷設する工程を説明する図である。
図4(j)】本発明の植栽した多孔質セラミックス基盤を折板屋根に敷設する工程を説明する図である。
図5】本発明に係る凹部用の面戸の例である。
図6】本発明に係る凹部用の面戸の例である。
図7】本発明に係る凹部用の面戸の施工例を示す斜視図である。
図8】本発明に係る凹部用の面戸の施工例を示す斜視図である。
図9】本発明に係る施工例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0018】
実施形態1
本実施の形態の折板屋根の基盤敷設構造は、図1(a)(b)に示すように、多孔質セラミックス基盤1を凹凸状の折板屋根11においてその凸部11aと凸部11a間に架け渡すように敷設するものである。ここで、多孔質セラミックス基盤1の側面部1aが折板屋根11の凸部11aに位置するように配置することが好ましい(図1(a))。
多孔質セラミックス基盤1は、任意の多孔質セラミックスの板状物を用いることができる。好ましくは、孔径10ナノメートルから30ミリメートル程度の多くの微細な孔を持つことで大きな空気の層を持っている多孔質セラミックス基盤1がよい。
このような多孔質セラミックス基盤1は、粘土とスラグを含む混合物を焼成して得られる。前記粘土とスラグを含む混合物は、粘土とスラグに加え珪藻土及び/又は有機汚泥(バイオマスケイクともいう。)を含むと、より微細な気孔を多数有する多孔質セラミックス基盤が得られる。図4(a)は、上記混合物(粘土、スラグ、珪藻土、有機汚泥)を原料として所定の温度で焼成して得られた多孔質セラミックス基盤1である。多孔質セラミックス基盤1は、粘土などの無機物を焼いて固めるが、本実施の形態の多孔質セラミックス基盤1は、珪藻土と、スラグ(特に限定されるものではないが、金属精錬時に発生する高炉スラグ、都市ゴミの溶融時に発生する都市ゴミスラグ、下水汚泥の溶融時に発生する下水汚泥溶融スラグ、ダグタイル鋳鉄等の鋳鉄時に発生する鋳鉄スラグなどのガラス質スラグ等が挙げられる。これらの中でも気孔形成の安定性の観点から鋳鉄スラグが好ましい。)と、粘土およびバイオマスケイクの混合物を焼成した多孔質セラミックス基盤である。より詳細には、珪藻土が本来有するマイクロメートルサイズの気孔や有機汚泥が焼失して得られるナノメートルからマイクロメートルサイズの気孔とスラグが発泡することにより生じるミリメートルサイズの気孔との組合わせにより、スラグに起因する大きい偏平状の気孔(孔径1ミリメートル〜30ミリメートル程度)の周りを約10ナノメートル〜1000マイクロメートル程度の微細な気孔が取り巻いたスポンジ状の連続貫通気孔構造を持っている。そして、焼成の仕方(焼成温度、時間、昇温速度など)で上層と下層には内層と同等の気孔が形成されているものや、上層は内層と同等の気孔が形成されているもので、かつ、下層における気孔は上層や内層と比べ微細化されているもの、また、上層と下層は同等の気孔で、内層が上層や下層と比べ微細化されているものなどの製造が可能である。
【0019】
多孔質セラミックス基盤1としては、例えば、かさ比重0.5〜1.5g/cmであり、厚さ約15〜60mm、一辺の長さ約100〜1000mmの板状物であり、多孔質の連続気孔を持ち保水性を有する。また、飽和含水率が20〜85質量%であることが好ましい。本実施の形態では、かさ比重が0.5〜1.0g/cmであり、かつ、飽和含水率が30〜80質量%のものが更に好ましい。
このような多孔質セラミックス基盤1は、無機材料であり、有機物のようにそのものが腐ったりすることがなく、難燃性にも優れる。さらに、有機化学物質の揮発や重金属類等の溶出がなく、透水性、保水性、吸音性、断熱性、加工性、吸水性に優れている。
また、多孔質セラミックス基盤1が優れた保水性を有することから、植物を育成することが可能である。本実施の形態の多孔質セラミックス基盤1によれば、セダムなどの多肉植物3では通常は雨水の水分だけで育成可能であり、除草や剪定の作業も軽減できる。一旦植栽すると殆ど人手を必要とせず、1ケ月に一度程度の雨量でも育てることができる。
【0020】
上記多孔質セラミックス基盤1に対する植栽に際しては、例えば、芝やコケ類のほか、キリンソウ、常緑系キリンソウ、タイトゴメ、マルバマンネングサ、メノマンネングサなどが長期保存性に優れ好ましい。ここで、多肉植物3はさまざまな系統をもち、サボテン科、アロエ科、ハマミズナ科、ベンケイソウ科などのように多くの種が多肉化した科もある。これらの育成は、水分が十分に行き渡る圃場(田圃や水田のような状態の圃場)で植栽してから(図4(b))、建物の屋根上に搬入して敷設する(図4(e)〜(j))。ビニールハウス5内の上記圃場で植栽する場合、露地栽培よりも、早く安定した(抜け難い)植栽が可能で、基盤1全体を水に馴染ませる効果がある。
【0021】
図3(b)は、建物の金属製の折板屋根11上に、多肉植物3を植栽していない多孔質セラミックス基盤1を直接敷設した状態の図である。図3(a)に示す施工前の折板屋根11上に取り付け金具(図3では断熱性のある断熱用金具)4を取り付けることにより、多孔質セラミックス基盤1を折板屋根11全体に及ぶように配列して固定したものである。本実施の形態は、多孔質セラミックス基盤1を折板屋根11の凸部11aと凸部11aに架け渡すように直接敷設したものであるが、金属製の折板屋根11に対して滑り難くして敷設できる利点も有する。このように、本実施の形態の多孔質セラミックス基盤1は、屋根部材として使用できるものであり、断熱用金具などの取り付け金具4を用いて、新築または既設の折板屋根11の上に施工できる。ここで、直接敷設するとは、横下地部材7を用いないものをいい、折板屋根11と多孔質セラミックス基盤1の間には、シートやボードを挟むものも含むが、横下地部材7のみではなく、ボード等も挟まずに多孔質セラミックス基盤1を折板屋根11の凸部11aに取り付け金具4のみを用い直接敷設すると施工が容易で好ましい。なお、取り付け金具4は、金属製に限定されるものではなく、ポリカーボネート等の樹脂製であってもよい。また、取り付け金具4は、断熱性を有しないものであってもよい。
【0022】
図1(b)は、金属製の折板屋根11に多肉植物3を植栽していない多孔質セラミックス基盤1を直接敷設する場合の例であり、取り付け金具4がある箇所の図であり、図1(a)は、取り付け金具4がない箇所の図である。ここでの取り付け金具4は、断熱作用を発揮させる金具であり、その横H型の頭部を覆い隠すことがないように取り付けられている(図3(b))。
【0023】
図1(a)の符号6a,6bは、従来からある市販品の面戸であり、折板屋根11の凸部11aと桁にて形成される面(軒先側の側面)に蓋のように取り付ける。符号6aは通気孔等を有していない面戸であり、符号6bは換気機能付き面戸であり、換気のための隙間cが形成されている。
さらに、折板屋根11の凹部11bと多孔質セラミックス基盤1,2で形成された面(軒先側の側面)には、図5(a)(b)に示すように、本発明に係る面戸9a,9b,9c,9d,9e,9f,9g,9h,9i,9jが配される。すなわち、本実施の形態の凹部用の面戸9a〜9jは、折板屋根11の凹部11bを塞ぐように配されるものであり、雨水や雪水などを排出する凹部用の面戸(図5(a)中の符号9a、図5(b)中の符号9g)や、下部側がスライド式に開く凹部用の面戸(図5(a)中の符号9c)や、メッシュ構造の凹部用の面戸(図5(a)中の符号9b)や、凹部からの空気の流入流出を防ぐ密封型の面戸(図5(a)中の符号9d)や、わずかに空気が流れるために隙間cを設けた面戸(図5(a)中の符号9e)などの構成を採用した面戸を挙げることができる。図5(a)中の符号9aや図5(b)中の符号9gの蝶番tで開閉部dが開閉する例では、折板屋根の凹部11bに雨水等が流れると、その水の力で開閉部dが容易に開くが、風などの外部からの力では開閉部dが開かないようになっている。また、上記蝶番tを用いるタイプとしては、外からの風で開閉部dが内側に開き外部空気を取り込めるようにすることもできる。なお、内側にも外側にも開閉部dが開く両開きにすることも可能である。
また、下方端に隙間cを設けた面戸(図5(b)中の符号9i,9j)により、空気の流れとともに、雨水などを排出させるためのものや、所定高さ位置に隙間cを設けた面戸(図5(b)中の符号9h)が使用可能である。図5(b)中の符号9iの例では、面戸9iに設けられる最下部の隙間cは、凹部11bの底部から0.5〜2cm程度が好ましい。図5(b)中の符号9jの例では、下方端の隙間cの他にその左右側にも隙間cが設けられて、全体でコ字状の隙間cが設けられている。図5(b)中の符号9hの例では、凹部11bの底部から1〜2cm程の高さ位置に隙間cを設けることで、雨水等を所定高さまで貯水でき、炎天下では、溜まった水が蒸発して、その気化熱により建物内の温度上昇を抑制する。また、本発明の面戸9a〜9jは、取り外しできるキャップのようなタイプ(周囲のテーパが中に入り込むことで蓋となる。)であっても螺子等で固定するタイプであってもよく、又、後述する断面L字状のものでも良い(図7図8図9)。
また、用いる面戸は、同一の種類のものを用いてもよいし、図5(a)(b)のように複数の種類の面戸9a〜9jを併用してもよい。折板屋根の凹部11bに到達した雨水などを排出するために、凹部11bを塞ぎつつも、凹部11bの底部(最下部)には隙間cを設けて雨水などが滞留しないようにすることもできる(図5(b)の符号9i,9j)。上記開閉部dを有する面戸9a,9c,9gの例では、風などの外からの力では開閉部dが開かず、内部からの力では簡単に開くものを用いれば、冬季では強い風が吹いても折板屋根の凹部11bの暖かくなった空気を逃がさずに凹部11bの底部に溜まった不要な水のみを排出する。また、符号9e,9hに示す例では、雨水等の排出及び貯水性を付与する場合、面戸9e,9hに設けられる最下部の隙間cは面戸の下面から1〜2cm程度の場所にあると好ましい。また、隙間cの厚みは、水が排出できて、鳥や虫などの浸入を抑制する観点から1〜5mm程度のものが好ましい。上記隙間cは空気の流れの観点からは、一つの面戸に対して複数有しているもの(9e)や、所定形状に形成されているものが(9j)が好ましいが、一つの面戸に対して一箇所のみ隙間cを設けても良い(9h)。
なお、折板屋根11の凹部11bに水が溜まった場合、開閉式のものは凹部用の面戸9a,9c,9gの開閉部dを開くことにより、また、取り外し可能なものは凹部用の面戸(9a〜9j)を外すことにより折板屋根11の凹部11bの側面(軒先側)から水を排出することになる(図7図8参照)。
また、本実施の形態の多孔質セラミックス基盤1を用いれば、前記のような気孔の構造を持っていることより、保水性に優れるとともに、雨水や雪水は、多孔質セラミックス基盤1の垂直方向よりも水平方向への拡散が速いため、雨水等は、多孔質セラミックス基盤1の側面部1aから隣の多孔質セラミックス基盤1の側面部1aへと拡散して行き(図1(a)、図4(j)参照)、敷設された外周の多孔質セラミックス基盤1の断面より排出され、折板屋根11と多孔質セラミックス基盤1の間に水が溜まることを抑制することができる。
【0024】
また、図6に示す面戸9fは、複数の凹部11bを同時に塞ぐための本発明に係る面戸9fであり、蝶番tを介して下方側(開閉部d)が開き、雨水等を排出する凹部用の面戸9gが複数(2個)連結されている。図6に示す凹部用の面戸9fは、複数の凹部11bを同時に塞ぐもので連結部rを介して連結されている。連結される面戸は、上記面戸9gに限定されるものではなく、上記各面戸9a〜9jを任意に用いることができ、さらに複数の種類の面戸9a〜9jを組み合わせてもよい。また、連結する面戸9a〜9jの数を2個又は3個以上にすることもできる。さらに、図5(a)(b)に示すように、本願の発明の面戸9a〜9jと従来からある面戸(符号6a,6b)とを併用することにより、折板屋根11の凹部11bと凸部11aの両方で(内側からと外側からの両方で)軒先側の折板屋根11の補強を図ることができる。
これらの凹部用の面戸9a〜9jは、夏季では、折板屋根11の凹部11bを空気(風)が流れるようにすると良く(例えば、上記メッシュ構造の凹部用の面戸9bや隙間cを有する凹部用の面戸9e,9i,9jや、開閉式の面戸9a,9c,9gの開閉部dを開いて使用する。)、冬季では、折板屋根11の凹部11bの側面、すなわち折板屋根11の凹部11bと多孔質セラミックス基盤1,2で形成された面に本発明に係る密封型の面戸(蓋)9dや、開閉式の面戸9a,9c,9gの開閉部dを閉じるなどして用い、季節に応じて使い分けても良い。
また、本実施の形態の凹部用の面戸9a〜9jの施工例としては、図7図8のように、折板屋根11の外周(樋15が配される側)近傍の角柱フレーム13が配される位置まで多孔質セラミックス基盤1を敷設し、角柱フレーム13に連続して段差14aを有するフレーム14を配して、上記段差14aを介して、上記実施の形態の面戸9a〜9jをネジ留めしたり嵌め込むようにして取り付ける。上記面戸9a〜9jとして、断面L字状に形成されていれば、上記段差14aに断面L字状の面戸9a〜9jを重ね合わせるようにしてネジなどで留めることができ、施工が容易である。なお、面戸9a〜9jが上記隙間cを有する面戸9i,9jの場合は、これらの所定の隙間cはコーキング剤mなどで閉塞しても良い。なお、上記施工例の他方側は、図9のように、折板屋根11の凹部11bを軒先側に残す施工である。図9の例では上記凹部11bを一つ軒先側に残すものであるが、複数残す施工も可能である。そして、上記軒先側に残す凹部11bには、上記面戸9a〜9jは配されておらず、補強用の桟hが所定間隔で取り付けられている。
【0025】
以上のように、上記本実施の形態の植栽のない多孔質セラミックス基盤1を折板屋根11に敷設するには、図3(a)(b)に示すように、折板屋根11に多孔質セラミックス基盤1を取り付け金具(断熱用金具)4を用いるなどして、折板屋根11の凸部11aと凸部11a間に架け渡すように敷設する。すなわち、本実施の形態の場合は、横下地部材7を使用しないで、多孔質セラミックス基盤1を直接敷設する。なお、植栽のない多孔質セラミックス基盤1、植栽のある多孔質セラミックス基盤2のいずれも敷設することができ、これら両方の多孔質セラミックス基盤1,2を用いることももちろん可能である。
【0026】
実施形態2
図4は、凹凸を有する折板屋根11に横下地部材7を所定間隔で取り付け、これら横下地部材7と横下地部材7の間で多孔質セラミックス基盤2を敷設する例である。具体的には、折板屋根11の凸部11aと凸部11a間に架け渡すように横下地部材7を所定間隔で取り付け(図4(g)(j))、位置ずれしないように取り付け金具4を用い固定する(図4(h))。敷き詰めた多孔質セラミックス基盤2の外周は角柱フレーム13のコ字状の空間内に多孔質セラミックス基盤2が差し込まれる(図4(i))。図4(i)では、植栽した多孔質セラミックス基盤2を用いているが、植栽していない多孔質セラミックス基盤1や植栽していない多孔質セラミックス基盤1と植栽された多孔質セラミックス基盤2とを組み合わせて折板屋根11に敷設することも可能である。
【0027】
横下地部材7としては、L字状の棒状金具や、樹脂製又は木材でも良い。凹凸を有する折板屋根11の凸部11aと凸部11a間に架け渡すように横下地部材7を所定間隔で取り付け用いることにより、凸部11aと多孔質セラミックス基盤1との間に隙間が生じ、これらの下の空気の流れが図られ、折板屋根11と多孔質セラミックス基盤1で形成された空間全体での空気の流れが図られる(図2(c)参照)。また、横下地部材7を所定間隔で取り付けているので、シートなどを下にする場合と異なり、多孔質セラミックス基盤2の下面の気孔を塞ぐことなく、気孔からの空気の出し入れや水の出し入れの確保が図られる。
横下地部材7を用いた場合にも、凹凸状の折板屋根11と多孔質セラミックス基盤1にて形成された面に前記と同様の面戸9a,9b,9c,9d,9e,9f,9g,9h,9i,9jなどを取り付けることができる。これらの面戸9a〜9jは、前記と同様に取り外し可能なものであっても良いし、螺子などで固定するものであってもよい。また、敷設された多孔質セラミックス基盤2の外周部と折板屋根11等の間に横下地部材7が存在する場合には、多孔質セラミックス基盤2と折板屋根11で形成された面全体ではなく、横下地部材7と折板屋根11とで形成された面(開口部)のみに面戸9a〜9jなどを取り付けてもよい。
なお、折板屋根11は、金属製に限定されるものではなく、ポリカーボネート等の樹脂製などであってもよい。また、折板屋根11は凹凸を有する波板スレート(ストレート波板)が配される屋根であってもよい。
【0028】
折板屋根11に横下地部材7を所定間隔で取り付け(図4(g))、これら横下地部材7と横下地部材7の間で多孔質セラミックス基盤2を敷設しても良い(図2(a)(b))。横下地部材7と7の間で多孔質セラミックス基盤2を敷設すると、図2(c)に示すように、横下地部材7の配されない位置では、凹部11bから凹部11bへの空気の流れが確保されることとなる。
また、植栽した多孔質セラミックス基盤2を敷設すると、折板屋根11または波板スレート屋根を緑化することが可能である。
なお、折板屋根11には、断熱材を介在させた二重構造の折板屋根等もあるが、本実施の形態と同じように適用可能である。また、折板屋根の凸部と軒桁の隙間を埋める面戸も同時に用いてもよいことはいうまでもない。
また、実施形態1、2ともに多孔質セラミックス基盤、取り付け金具、面戸、折板屋根等は同様のものを用いることができる。
【0029】
(実施例1)
植栽のない前記多孔質セラミックス基盤1を、横下地部材7を用いず、直接、仮設住宅の折板屋根11の凸部11aと凸部11a間に架け渡すように取り付け金具4を用い固定し敷設した。多孔質セラミックス基盤1は、一辺の長さが500mmの正方形、厚さ30mmであり、3.3N/mmの曲げ強度を有する。また、かさ比重が0.7g/cmであり、かつ、飽和含水率が50質量%であり、透水係数1×10−1cm/secである。3.3N/mmの曲げ強度であれば、雪の重みにも十分に耐え得る。
また、多孔質セラミックス基盤1は、吸音特性(垂直射吸音率)が300Hzで80%、500Hzで90%、1000Hzで91%である。熱伝導率は0.123W/(m・K)である。
敷設した多孔質セラミックス基盤1の外周部と折板屋根11の凹部11bにて形成された面全てに面戸9aを取り付けた。また、折板屋根11の凸部11aと軒桁の隙間にも面戸6aを取り付けた。室内は、保温性(断熱性)に優れるとともに、従来気になった折板屋根11に降り注ぐ雨の音が小さくなり防音効果も発揮することができた。そして、8月の炎天下の正午でその屋根の表面温度の測定をしたところ、多孔質セラミックス基盤1が敷設されていない屋根では、57℃であったのに対して、多孔質セラミックス基盤1を敷設した屋根では、37℃であった。多孔質セラミックス基盤1の打ち水効果により、屋根の温度の上昇が抑制されていることが確認でき、仮設住宅の室内も涼しく多孔質セラミックス基盤1及び面戸9aによる断熱効果も確認できた。
【0030】
(実施例2)
工場の折板屋根11の凸部11aと凸部11a間に横下地部材7を所定間隔で架け渡すように取り付け、横下地部材7と横下地部材7に架け渡すように上記多孔質セラミックス基盤1に多肉植物(セダム)3を植栽した多孔質セラミックス基盤2を敷設した。敷設した多孔質セラミックス基盤2の外周部と折板屋根11の間に横下地部材が設置されていたため、多孔質セラミックス基盤2と折板屋根11の凹部にて形成された面のうち、折板屋根11の凹部と横下地部材にて形成された面の全てに凹部用の面戸9aを取り付けた。また、折板屋根の凸部と軒桁の隙間も面戸6aを取り付けた。
【0031】
なお、上記の各種物性値は以下の方法で測定した。
<かさ比重>
多孔質セラミックス基盤をおおよそタテ15cm×ヨコ15cmに切除したものを試験片として用い、ノギスを用いてタテ、ヨコ、厚さを測定することにより試験片の体積(cm)を求め、さらに、その試験片の絶乾状態質量(g)を測定した。そして、[試験片の絶乾状態質量(g)]/[試験片の体積(cm)]の式よりかさ比重を求めた。
<飽和含水率>
かさ比重を測定した試験片を水に60分間浸漬した後、表面を上にして水から試験片を傾けず取り出し(傾けた際に試験片から水が流れ出すことを防ぐため)、試験片の表面に付着している余剰水分を布で拭き、直ちに質量を測定(飽和状態質量)し、[(飽和状態質量―絶乾状態質量)/(絶乾状態質量)]×100の式より飽和含水率を求めた。
<曲げ強度>
JIS R5201
<吸音特性>
「平成7年度建設技術評価制度」による吸音性能試験方法に準じる。
【符号の説明】
【0032】
1 多孔質セラミックス基盤、
2 植栽した多孔質セラミックス基盤、
3 植物(多肉植物)、
4 取り付け金具、
5 ビニールハウス、
6a,6b 折板屋根の凸部と桁にて形成される面に用いるための面戸、
7 横下地部材、
9a,9b,9c,9d,9e,9f,9g,9h,9i,9j 折板屋根の凹部と多孔質セラミックス基盤で形成された面に用いるための凹部用の面戸、
11 折板屋根、
11a 凸部、
11b 凹部、
13 角柱フレーム、
図1
図2
図3
図4(a)】
図4(b)】
図4(c)】
図4(d)】
図4(e)】
図4(f)】
図4(g)】
図4(h)】
図4(i)】
図4(j)】
図5
図6
図7
図8
図9