特許第6046368号(P6046368)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6046368
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】車両用表示装置
(51)【国際特許分類】
   G01D 7/00 20060101AFI20161206BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20161206BHJP
   G02B 27/01 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   G01D7/00 K
   G01D7/00 303F
   B60K35/00 A
   G02B27/01
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-87877(P2012-87877)
(22)【出願日】2012年4月6日
(65)【公開番号】特開2013-217744(P2013-217744A)
(43)【公開日】2013年10月24日
【審査請求日】2015年3月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100105474
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 弘徳
(74)【代理人】
【識別番号】100108589
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 利光
(72)【発明者】
【氏名】増田 朗
(72)【発明者】
【氏名】山本 健蔵
(72)【発明者】
【氏名】杉山 哲也
(72)【発明者】
【氏名】松尾 美治
【審査官】 藤田 憲二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−179854(JP,A)
【文献】 特開2002−356118(JP,A)
【文献】 特開2009−058458(JP,A)
【文献】 特開2003−344114(JP,A)
【文献】 特開2009−036647(JP,A)
【文献】 特開平06−001161(JP,A)
【文献】 実開平02−132525(JP,U)
【文献】 特開平09−043531(JP,A)
【文献】 特開平04−274276(JP,A)
【文献】 実開昭62−197175(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 7/00
B60K 35/00
G02B 27/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出射口から表示光を出射する表示装置本体と、
該表示装置本体の上部に固定されて前記出射口から出射される表示光が投影されるコンバイナと、を備えた車両用表示装置であって、
前記コンバイナは、前記表示光が投影される表示領域と、この表示領域の少なくとも片側に設けられた透明透過部とを有し、
前記コンバイナの下部は、幅方向へわたって暗色化された有色領域とされ、
前記表示装置本体の前記出射口近傍における前記コンバイナの前記有色領域の背面側には、前記有色領域に画像を表示させる表示部が設けられ、前記表示部の上方に、前記透明透過部が位置しており、
前記コンバイナにおける前記表示領域及び前記透明透過部の上部には、前記コンバイナの上縁に沿って前記表示光の照射側に突出する暗色化されたフード部が設けられたことを特徴とする車両用表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバイナに虚像を投影し、その虚像を車両のアイポイントから視認させる車両用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、運転者が運転に際して求める情報の増加や多角化に伴って、特に、緊急度の高い情報などをコンバイナ上に虚像表示させて視認させる、ヘッドアップディスプレイ(HUD:Head Up Display)装置等の車両用表示装置が自動車、列車等の車両に搭載されている。
【0003】
この種の車両用表示装置としては、横長で比較的大きな虚像をコンバイナに投影するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平2−59027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の車両用表示装置によれば、コンバイナに投影された横長の虚像を視認して必要な情報を得ることができるが、近年、さらに視認性及びデザイン性に優れた車両用表示装置が要求されている。また、横長で比較的大きな虚像をコンバイナに投影する車両用表示装置では、表示光の出射口が目立ち、デザイン性を損ねやすいという問題があった。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、視認性及びデザイン性に優れた車両用表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するために、本発明に係る車両用表示装置は、下記(1)を特徴としている。
(1) 出射口から表示光を出射する表示装置本体と、
該表示装置本体の上部に固定されて前記出射口から出射される表示光が投影されるコンバイナと、を備えた車両用表示装置であって、
前記コンバイナは、前記表示光が投影される表示領域と、この表示領域の少なくとも片側に設けられた透明透過部とを有し、
前記コンバイナの下部は、幅方向へわたって暗色化された有色領域とされ、
前記表示装置本体の前記出射口近傍における前記コンバイナの前記有色領域の背面側には、前記有色領域に画像を表示させる表示部が設けられ、前記表示部の上方に、前記透明透過部が位置しており、
前記コンバイナにおける前記表示領域及び前記透明透過部の上部には、前記コンバイナの上縁に沿って前記表示光の照射側に突出する暗色化されたフード部が設けられたこと。
【0008】
上記(1)の構成の車両用表示装置では、表示装置本体からの表示光が投影されるコンバイナは、表示光が投影される表示領域の少なくとも片側に透明透過部を有する。これにより、透明透過部の存在により、良好な視認性を確保しつつコンバイナに広がりを持たせることができ、表示領域の表示との一体感を生じさせてデザイン性を向上させることができる。
また、コンバイナの下部が、幅方向へわたって暗色化させた有色領域とされているので、表示領域に投影される表示に対する外光の影響を抑えることができ、しかも、外光が反射して車内へ照射されるような不具合を抑制することができる。
しかも、表示部によって有色領域に画像を表示させることで、表示領域へ投影する表示光の出射口から有色領域へ視線を向けさせることができる。これにより、視認性及びデザイン性を向上させるためにコンバイナを大型化させても、表示装置本体の表示光の出射口が目立ちづらくなり、デザイン性の低下を抑えることができる。
また、表示部の周囲は、黒色等からなる有色であるので、表示部を、違和感なくコンバイナに表示させることができ、良好なデザイン性を維持させることができる。
加えて、フード部が設けられたことによって、表示領域に投影される表示に対する外光の影響を抑えることができ、しかも、外光が反射して車内へ照射されるような不具合を抑制することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、視認性及びデザイン性に優れた車両用表示装置を提供できる。
【0010】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置の斜視図である。
図2図2は、実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置のコンバイナの正面図である。
図3図3は、実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置の断面図である。
図4図4は、実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る実施の形態の例を、図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置の斜視図、図2は、実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置のコンバイナの正面図、図3は、実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置の断面図、図4は、実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置の分解斜視図である。
【0014】
図1に示すように、本実施形態に係る車両用表示装置であるヘッドアップディスプレイ装置10は、表示装置本体11と、この表示装置本体11の上部に固定されたコンバイナ12とを備えている。
【0015】
表示装置本体11は、車両のダッシュボード内に収容されるもので、この表示装置本体11からコンバイナ12へ表示光が照射される。
【0016】
コンバイナ12は、車両のダッシュボード上に配置され、表示装置本体11から表示光が照射される。これにより、このコンバイナ12には、虚像が投影され、この虚像は、車両の運転者のアイポイントから視認される。
【0017】
コンバイナ12は、合成樹脂から成形されたもので、図2に示すように、透光性を有する透光部21を有している。この透光部21は、その中央部分が表示領域Aとされており、この表示領域Aに、表示装置本体11からの表示光が照射されて虚像が形成される。この虚像は、例えば、車両の走行速度、燃料やバッテリの残量、あるいは駆動機構部の温度等の情報表示H1である。
【0018】
また、このコンバイナ12の透光部21は、表示領域Aの外側である両側が透明透過部Bとされている。この透明透過部Bは、目視した際に、透明と認識可能な領域とされている。
【0019】
コンバイナ12における表示領域A及び透明透過部Bを有する透光部21の下方側であるコンバイナ12の下部は、幅方向へわたって暗色化された有色領域Cとされている。この有色領域Cは、例えば、印刷または塗装によって幅方向へわたって黒色に着色されている。また、コンバイナ12の透光部21の上部には、上縁に沿って表示光の照射側に突出するフード部23が一体成形されており、このフード部23は、例えば、黒色等に着色されている。このフード部23は、コンバイナ12を成形する際に、黒色の樹脂を用いて二色成形することで形成されている。
【0020】
そして、コンバイナ12は、黒色の有色領域C及び黒色のフード部23を設けたことで、表示領域Aに投影される情報表示H1に対する外光の影響が抑えられ、また、外光が反射して車内へ照射されることが抑制される。
【0021】
なお、有色領域C及びフード部23の色は、黒色に限らず、例えば、濃灰色等の暗色系の色でも良い。
【0022】
また、コンバイナ12の有色領域Cには、その一部に、画像を表示させる表示部25が設けられており、この表示部25には、各種の警告等のサブ表示H2が表示される。この表示部25は、表示装置本体11における表示光Lの出射口11aの近傍に配置されている。
【0023】
次に、ヘッドアップディスプレイ装置10の具体的な構造について説明する。
【0024】
図3及び図4に示すように、ヘッドアップディスプレイ装置10を構成する表示装置本体11は、合成樹脂等から成形されたケース30を有している。
【0025】
コンバイナ12は、その下端における両側部近傍に、水平方向へ向かって延在する結合ステー27が一体成形されている。これらの結合ステー27は、ネジ28によって表示装置本体11に結合されている。これにより、コンバイナ12は、表示装置本体11の上部に固定されている。なお、表示装置本体11へのコンバイナ12の固定構造としては、結合ステー27をネジ28で締結固定するものに限らず、他の固定構造でも良い。また、表示装置本体11に対するコンバイナ12の結合位置もコンバイナ12の両側部近傍に限らない。
【0026】
また、ケース30には、前方側へ突出する車体取付部30aが形成されており、これらの車体取付部30aは、クリップ29によってダッシュボード内のブラケット等に保持される。
【0027】
ケース30には、画像形成アッシー31が組み付けられている。画像形成アッシー31は、ターンレンズ32、シールドケース34、LCDパネル36、拡散シート37、バックライトケース38、レンズアレイ39、ターンプリズム40、バックライト基板41、熱伝達シート42及びヒートシンク43を有しており、これらがケース30へ順に組み付けられてビス44によってケース30に固定されている。
【0028】
この画像形成アッシー31では、バックライト基板41に設けられたLED等の光源45で発光した光がレンズアレイ39で集光され、拡散シート37で拡散されてLCDパネル36へ照射される。これにより、このLCDパネル36の画像が表示光Lとしてケース30内へ照射される。
【0029】
ケース30には、表示光Lの照射方向前方側に、平面ミラー52が取り付けられている。この平面ミラー52は、画像形成アッシー31から照射された表示光Lを、ケース30の上部の開口部30b側へ向かって反射させる。また、ケース30の上部の開口部30bには、遮光板55及び表ガラス56がビス57によって固定されている。この表ガラス56で塞がれた開口部30bは、コンバイナ12へ向かって照射される表示光Lの出射口11aとされている。
【0030】
さらに、ケース30には、その底部側に、制御基板61が装着されており、この制御基板61は、ビス62によってケース30の底部に固定されるカバー63で覆われている。この制御基板61には、LCDパネル36及びバックライト基板41から延びる接続ケーブル36a,41aが接続されている。
【0031】
また、表示装置本体11のケース30におけるコンバイナ12の有色領域Cの背面側には、表示部25を構成する表示部アッシー71が組み付けられる。
【0032】
表示部アッシー71は、ゴムパッキン72、見返し枠73、レンズ板74、ランプケース75、表示用基板76及び表示部ケース77を有しており、これらがコンバイナ12側へ順に組み付けられ、ビス78によってケース30に固定されている。また、表示用基板76からは接続ケーブル76aが下方へ延ばされており、この接続ケーブル76aも制御基板61に接続されている。
【0033】
表示部アッシー71では、表示用基板76に設けられたLED等の光源79で発光された光がレンズ板74を介してコンバイナ12側へ照射され、コンバイナ12に画像が形成される。これにより、コンバイナ12の表示部25に、サブ表示H2が表示される。
【0034】
上記構成のヘッドアップディスプレイ装置10では、画像形成アッシー31から照射された表示光Lが、ケース30内の平面ミラー52で反射された後、ケース30の表ガラス56で塞がれた開口部30bからなる出射口11aからケース30の外部へ出射され、コンバイナ12の表示領域Aへ照射され、運転者のアイレンジに導かれる。
【0035】
これにより、運転者は、車両のアイポイントからコンバイナ12の表示領域Aに投影された虚像からなる情報表示H1を視認することができる。
【0036】
また、表示部25では、表示部アッシー71における表示用基板76の所定の光源79が発光し、その光がレンズ板74に照射される。これにより、レンズ板74の画像がコンバイナ12の有色領域Cの表示部25に映し出される。これにより、運転者は表示部25のサブ表示H2を視認することができる。
【0037】
以上、説明したように、上記の車両用表示装置であるヘッドアップディスプレイ装置によれば、表示装置本体11からの表示光Lが投影されるコンバイナ12は、表示光Lが投影される表示領域Aの少なくとも片側に透明透過部Bを有する。これにより、透明透過部Bの存在により、良好な視認性を確保しつつコンバイナ12に広がりを持たせることができ、表示領域Aの情報表示H1との一体感を生じさせてデザイン性を向上させることができる。
【0038】
また、コンバイナ12の下部が、幅方向へわたって暗色化させた有色領域Cとされているので、表示領域Aに投影される表示に対する外光の影響を抑えることができ、しかも、外光が反射して車内へ照射されるような不具合を抑制することができる。
【0039】
しかも、表示部25によって有色領域Cに画像を表示させることで、表示領域Aへ投影する表示光Lの出射口11aから有色領域Cへ運転者の視線を向けさせることができる。これにより、視認性及びデザイン性を向上させるためにコンバイナ12を大型化させても、表示装置本体11の表示光Lの出射口11aが目立ちづらくなり、デザイン性の低下を抑えることができる。
【0040】
また、表示部25の周囲は、黒色等からなる有色であるので、表示部25を、違和感なくコンバイナ12に表示させることができ、良好なデザイン性を維持させることができる。
【0041】
なお、上記実施形態では、コンバイナ12における表示領域Aの両側に透明透過部Bを設けたが、この透明透過部Bは、コンバイナ12における表示領域Aの少なくとも片側に設けても良い。
【0042】
また、上記実施形態では、画像形成アッシー31からの表示光Lを平面ミラー52で1回反射させてコンバイナ12へ投影する構成としたが、画像形成アッシー31からの表示光Lをコンバイナ12へ直接投影させる構成としても良く、または、画像形成アッシー31からの表示光Lを2回以上反射させてコンバイナ12へ投影させる構造としても良い。
【0043】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【符号の説明】
【0044】
10 ヘッドアップディスプレイ装置(車両用表示装置)
11 表示装置本体
11a 出射口
12 コンバイナ
25 表示部
A 表示領域
B 透明透過部
C 有色領域
L 表示光
図1
図2
図3
図4