(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
一般的に、光結合半導体装置を封止する技術としてトランスファーモールド法が広く用いられている。また、トランスファーモールドは、一重トランスファーモールドタイプと、二重トランスファーモールドタイプの2つのタイプに大別できる。
【0003】
ここで、
図1−1には一重トランスファーモールドタイプの一例が表されている。また、
図1−2には二重トランスファーモールドタイプの一例が表されている。
【0004】
図1−1を参照すると一重トランスファーモールドタイプでは、遮光性を有する樹脂でモールド6が成形され、発光素子1を搭載した発光側リードフレーム3と受光素子2を搭載した受光側リードフレーム4を対向配置させ、その間にシリコーン樹脂5が充填されている。
【0005】
一方、
図1−2を参照すると二重トランスファーモールドタイプでは、発光素子1を搭載した発光側リードフレーム3と受光素子2を搭載した受光側リードフレーム4を対向配置させ、半透光性を有する樹脂で1次モールド7を成形している。更に、二重トランスファーモールドタイプでは、上記1次モールド7を、遮光性を有する樹脂で2次モールド8を成形し完全に覆う。
【0006】
そして、このような一重トランスファーモールドタイプ及び二重トランスファーモールドタイプの何れの場合であっても、トランスファーモールド処理の前処理として、発光素子を発光側リードフレームに搭載し、受光素子を受光側リードフレームに搭載し、この発光側リードフレームと受光側リードフレームとを対向配置に重ね合わせるという処理(以下、適宜「重ね合わせ処理」と呼ぶ。)が行われる。
【0007】
重ね合わせ処理を実行する方法としては、下述するような各種の方法が採用されている。
【0008】
まず、一般的な第1の方法について
図2を参照して説明する。
【0009】
第1の方法では、
図2に表されるような発光素子1がダイボンディングされた発光側ヘッダー部9を有した発光側リードフレーム3と、受光素子2がダイボンディングされた受光側ヘッダー部10を有した受光側リードフレーム4を
図3のように対向配置させる。そして、この際、フレーム枠13及びフレーム枠14に備えられた基準穴11を基準として、発光側リードフレーム3と受光側リードフレーム4を重ね合せることにより、発光側ヘッダー部9及び受光側ヘッダー部10を対向させる。その後、対向配置位置のバラつきの抑制、及び位置固定の為、
図4に表されるように、フレーム枠13又はタイバー部15に備えられている溶接ポイント12を上電極17と下電極18で挟み、高電圧で印加するスポット溶接にて溶接固着する。この溶接固着した箇所が
図4に表される溶接固着19である。
【0010】
また、第1の方法を発展させた第2の方法が特許文献1に記載されている。特許文献1に記載の第2の方法では、発光素子を搭載した発光側リードフレームと、受光素子を搭載した受光側リードフレームを対向配置に重ね合わせる際、両リードフレームを簡易的に嵌合させておく。そして、モールド時に金型の荷重で本嵌合し、前記嵌合部を樹脂でカバーする。
【0011】
更に、第1の方法を発展させた第3の方法が特許文献2に記載されている。特許文献2に記載の第3の方法では、発光素子を搭載したヘッダー部を備えたタイバー部と受光素子を搭載したヘッダー部を備えたタイバー部が交互に並んだ1枚のリードフレームの一方の素子側のタイバー部を切り取る。そして、切り取った部分を反転させ、もう一方の素子に対向配置させる。その際、位置ズレ抑制の為に、切り取ったタイバー部と一方のタイバー部を嵌合させ、溶接固着させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上述したような一般的な第1の方法や、上記特許文献1及び特許文献2に記載の方法を採用することにより重ね合わせ処理を実行することが可能となる。しかしながら、一般的な第1の方法や、上記特許文献1及び特許文献2に記載の方法には、以下に述べるような問題点があった。
【0014】
第1の方法では上述したように、発光素子1を搭載した発光側リードフレーム3と、受光素子2を搭載した受光側リードフレーム4を、
図3のように発光側ヘッダー部9、受光側ヘッダー部10を対向配置させる。そして、両リードフレーム(発光側リードフレーム3及び受光側リードフレーム4)を
図4のようにスポット溶接にて溶接固着し、位置ズレを抑制している。
【0015】
もっとも、第1の方法では、溶接工程で生じる残留歪により、両リードフレームが反り、発光側ヘッダー部9及び受光側ヘッダー部10の間隔が安定せず、発光−受光間の光結合効率がばらつく。そのため、光結合半導体装置の電流伝達率もばらつき、品質的に問題となる。
【0016】
更に、光結合半導体装置をスポット溶接する機器を連続で稼働していると、溶接の為の上電極17及び下電極18が磨耗する。そして、この摩耗が原因となる両リードフレームへの接触の不安定さや、上電極17及び下電極18に対しての汚れの付着によって、溶接時にスパッタが発生し、溶接強度が満足に得られないという問題が発生しうる。
【0017】
そして、この問題を防止する為には、一定期間での電極の清掃が必要となり、その間、光結合半導体装置をスポット溶接する機器の稼動を止めなくてはならない。そのため、結果として生産性の悪化を招いていた。
【0018】
一方、特許文献1に記載の方法は、発光素子を搭載した発光側リードフレームと、受光素子を搭載した受光側リードフレームを対向配置に重ね合わせる際に嵌合させる。もっとも、重ね合わせる際の嵌合は強固ではなく、封入する際に金型の荷重で嵌合部を押し潰し、かつ樹脂モールドで封入することで初めて強固な嵌合となる。そのため、封入までの搬送中に両リードフレームの位置ズレが生じる可能性がある。
【0019】
他方、特許文献2に記載の方法は、一方の素子側をタイバー部から切り取り、もう一方の素子側と対向配置するように反転させ、切り取った部分とリードフレームを嵌合させるが、タイバー部を切り取る工程が増え効率が悪い。加えて、タイバー部を切り取る際に応力が生じてリードフレームが撓んでしまう可能性もある。また、切断したタイバー部とリードフレームの溶接固着することから、上記第1の方法と同様に、一定期間での電極の清掃が必要となるという問題も生じる。
【0020】
そこで、本発明は、発光素子を搭載した発光側リードフレームと、受光素子を搭載した受光側リードフレームを対向配置させ、重ね合わせ処理を行う際に、スポット溶接を用いることなく発光−受光間距離の安定化を図り、且つ、位置ズレを抑制することが可能な、半導体装置、半導体装置製造方法及び半導体装置製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の第1の観点によれば、半導体素子を搭載した第1のリードフレームと、半導体素子を搭載した第2のリードフレームを備え、前記第1のリードフレーム及び前記第2のリードフレームの何れか又は双方が、前記第1のリードフレームと前記第2のリードフレームを対向配置させた際に他方のリードフレーム側に折り曲げることにより前記第1のリードフレーム及び前記第2のリードフレームを嵌合固定する為の突起部を有
すると共に、前記第1のリードフレームと前記第2のリードフレームを対向配置させた際に他方のリードフレームと対向している面を第1の面とし、該第1の面の裏側の面を第2の面とした場合に、前記突起部が該突起部を有していない他方のリードフレームの第2の面に接触することにより前記嵌合固定がなされることを特徴とする半導体装置が提供される。
本発明の第2の観点によれば、
半導体素子を搭載した第1のリードフレームと、半導体素子を搭載した第2のリードフレームを備え、前記第1のリードフレーム及び前記第2のリードフレームの何れか又は双方が、前記第1のリードフレームと前記第2のリードフレームを対向配置させた際に他方のリードフレーム側に折り曲げることにより前記第1のリードフレーム及び前記第2のリードフレームを嵌合固定する為の平面視でT字形状の突起部と、該突起部を折り曲げる際に該突起部が入り込む為の平面視で凸字形状の開口部を有すると共に、前記第1のリードフレームと前記第2のリードフレームを対向配置させた際に他方のリードフレームと対向している面を第1の面とし、該第1の面の裏側の面を第2の面とした場合に、前記T字形状の突起部は、該T字形状の底部を前記開口部側に折り曲げると該T字形状の頂部が前記凸字形状の開口部の頂部の両端に隣接する部分の第2の面と咬止することを特徴とする半導体装置が提供される。
本発明の第3の観点によれば、
半導体素子を搭載した第1のリードフレームと、半導体素子を搭載した第2のリードフレームを備え、前記第1のリードフレーム及び前記第2のリードフレームの双方が、前記第1のリードフレームと前記第2のリードフレームを対向配置させた際に他方のリードフレーム側に折り曲げることにより前記第1のリードフレーム及び前記第2のリードフレームを嵌合固定する為の突起部を有すると共に、前記第1のリードフレーム及び前記第2のリードフレームの双方が、他方の突起部を折り曲げる際に該突起部が入り込む開口部を有していることを特徴とする半導体装置が提供される。
【0022】
本発明の第
4の観点によれば、半導体装置の製造装置が行う半導体装置製造方法であって、半導体素子を搭載した第1のリードフレームと、半導体素子を搭載した第2のリードフレームを対向配置させるステップと
、前記第1のリードフレーム及び前記第2のリードフレームの何れか又は双方が有する突起部を、該突起部を有するリードフレームの他方のリードフレーム側に折り曲げることにより前記第1のリードフレーム及び前記第2のリードフレームを嵌合固定するステップと、を含
み、前記第1のリードフレームと前記第2のリードフレームを対向配置させた際に他方のリードフレームと対向している面を第1の面とし、該第1の面の裏側の面を第2の面とした場合に、前記突起部が該突起部を有していない他方のリードフレームの第2の面に接触するよう前記突起部を前記折り曲げることにより前記嵌合固定を行うことを特徴とする半導体装置製造方法が提供される。
【0023】
本発明の第
5の観点によれば、半導体装置を製造する半導体装置製造装置であって、半導体素子を搭載した第1のリードフレームと、半導体素子を搭載した第2のリードフレームを対向配置させる手段と
、前記第1のリードフレーム及び前記第2のリードフレームの何れか又は双方が有する突起部を、該突起部を有するリードフレームの他方のリードフレーム側に折り曲げることにより前記第1のリードフレーム及び前記第2のリードフレームを嵌合固定する手段と、を含
み、前記第1のリードフレームと前記第2のリードフレームを対向配置させた際に他方のリードフレームと対向している面を第1の面とし、該第1の面の裏側の面を第2の面とした場合に、前記突起部が該突起部を有していない他方のリードフレームの第2の面に接触するように前記突起部を前記折り曲げることにより前記嵌合固定を行うことを特徴とする半導体装置製造装置が提供される。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、発光素子を搭載した発光側リードフレームと、受光素子を搭載した受光側リードフレームを対向配置させ、重ね合わせ処理を行う際に、スポット溶接を用いることなく発光−受光間距離の安定化を図り、且つ、位置ズレを抑制することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
まず、本発明の実施形態の概略を説明する。本発明の実施形態は、発光素子を搭載した発光側リードフレームと、受光素子を搭載した受光側リードフレームを対向配置させ、対向配置後に発光側リードフレームと受光側リードフレームが嵌合する部分を含む。この嵌合する部分を含むことにより、本実施形態では、スポット溶接を用いることなく発光−受光間距離の安定化、及び位置ズレを抑制することが可能となる。以上が本発明の実施形態の概略である。
【0027】
次に、本発明の実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0028】
図1は、本実施形態における光結合半導体装置をトランスファーモールド法により封止することにより作成される、フォトカプラ等の光結合素子の概略を表す断面図である。
【0029】
この種の光結合素子には、
図1−1に表される一重トランスファーモールドタイプと、
図1−2に表される二重トランスファーモールドタイプがある。尚、一重トランスファーモールドタイプ及び二重トランスファーモールドタイプに関しての説明は[技術背景]の欄において既に記載しているので、ここでは記載を省略する。
【0030】
図5は、本実施形態の一構成例の平面及び側面を表す図である。
図5を参照すると本実施形態は、発光側リードフレーム20及び受光側リードフレーム21を含んでいる。ここで、発光側リードフレーム20は
図1の発光側リードフレーム3に相当する。同様に、受光側リードフレーム21は
図1の受光側リードフレーム4に相当する。
【0031】
発光側リードフレーム20は、発光側ヘッダー部22、フレーム枠24、フレーム枠25、タイバー部26、リード27及び突起部28を含んでいる。一方、受光側リードフレーム21は、受光側ヘッダー部23、フレーム枠24、フレーム枠25、タイバー部26、リード27及び開口部29を含んでいる。
【0032】
発光側ヘッダー部22には、発光素子1がダイボンディングされている。また、同様に受光側ヘッダー部23には受光素子2がダイボンディングされている。なお、発光素子1は例えばLED(Light Emitting Diode)等の発光ダイオード等により実現される。また、受光素子2は例えばフォトダイオード(Photodiode)等により実現される。発光ダイオード及びフォトダイオードは何れも半導体により実現される素子である。そのため、発光素子1及び受光素子2は何れも本発明の「半導体素子」に相当する。また、本実施形態では、これら半導体素子を含んだリードフレームを嵌合する。そして、嵌合後のリードフレームを用いて半導体装置が作成される。そのため、これら半導体素子を含んだリードフレームは半導体装置の一部であり、本実施形態は本発明の「半導体装置」に相当する。また、発光素子1及び受光素子2は、半導体素子の一例である。半導体素子として、発光素子1及び受光素子2以外の半導体素子を用いても良い。
【0033】
そして、本実施形態では、
図2に表されるリードフレーム同様、両リードフレーム(発光側リードフレーム20及び受光側リードフレーム21)のフレーム枠内24及びフレーム枠内25に略直交してタイバー部26が延出し、前記タイバー部26からフレーム枠24及びフレーム枠25に略平行なリード27が延出し、そのリード27の先端に発光側ヘッダー部22及び受光側ヘッダー部23が接続されている。
【0034】
一方、本実施形態では溶接を行う必要がないため、
図2に表されるリードフレームが有しているような溶接部は設けられていない。更に、本実施形態では、発光側リードフレーム20および受光側リードフレーム21が後述する突起部28及び開口部29を含んでおり、これを、発光側リードフレーム20および受光側リードフレーム21を対向配置させる際の位置合わせの基準とすることが可能であるため、
図2に表されるリードフレームが有しているような基準穴も設けられていない。もっとも、これは基準穴を設けることを禁止する趣旨ではなく、基準穴を設けるようにしても良い。
【0035】
発光側リードフレーム20の突起部28は、受光側リードフレーム21と発光側リードフレーム20とを対向配置後、両リードフレームを嵌合固定させるために設けられている。また、受光側リードフレーム21の開口部29は、発光側リードフレーム20と受光側リードフレーム21とを対向配置させた際、発光側リードフレーム20に設けられた突起部28と同位置に、折り曲げた突起部28と干渉しないように設けられている。
【0036】
図6は、突起部28及び開口部29の拡大図である。
図6を参照すると、突起部28は、折曲部30を含んでいる。そして、折曲部30の端部には嵌合爪31が設けられている。
【0037】
また、開口部29は開口箇所32を含んでいる。
【0038】
折曲部30は、発光側リードフレーム20と受光側リードフレーム21とを対向配置後、受光側リードフレーム21の開口部29側への折り曲げ部分となる。折り曲げる際は折曲部30は、その根本(
図6では一例として破線で表される箇所。
図8を参照して後述するように、嵌合させる際の嵌合爪31と開口箇所32の縁との間の相対位置関係により決定される。)から折り曲げられる。また、嵌合爪31は発光側リードフレーム20と受光側リードフレーム21とを嵌合させる為の両側が鋭角な爪である。
【0039】
開口箇所32は、突起部28を折り曲げる際に干渉なく、且つ嵌合爪31がフレームに嵌合可能な形状となっている。また、開口箇所32は、折曲部30と同寸法としても良いが、リードフレームの寸法公差を考慮して、折曲部30の寸法より若干大きく開口していることが好ましい。
【0040】
続いて
図7を参照する。
図3と同様、
図7は発光側リードフレーム22と受光側リードフレーム23を重ね合せた状態を表す平面図である。
【0041】
図7を参照すると、本実施形態では発光側リードフレーム20と受光側リードフレーム21の発光側ヘッダー部22及び受光側ヘッダー部23を対向させ、両リードフレーム(発光側リードフレーム20及び受光側リードフレーム21)を重ね合わせる。そして、重ね合せ後、発光側リードフレーム20の突起部28を受光側リードフレーム21の開口部29の方向に折り曲げることにより、両リードフレーム(発光側リードフレーム20及び受光側リードフレーム21)を嵌合固定させる。
【0042】
図8は、本実施形態における嵌合機構を表す拡大図である。
【0043】
図8の左図(a)のように両リードフレーム重ね合わせ後、嵌合爪31を含んだ折曲部30を、クランプ機構と90度湾曲駆動する機構を有した折り曲げ治具33でクランプする。
【0044】
そして、右図(b)のように、開口部29側に折曲部30を折曲部30の根元から折り曲げ、嵌合爪31と受光側リードフレーム21とを嵌合させる。この際、受光側リードフレーム21及び発光側リードフレーム20を対向配置させた際に他方のリードフレームと対向している面を第1の面とし、第1の面の裏側の面を第2の面とした場合に、嵌合爪31の先端が受光側リードフレーム21の第2の面に所定の圧力で接触する。嵌合爪31の形状は、どの程度の圧力で嵌合させたいかや、嵌合爪31の強度及び嵌合爪31の大きさ等に応じて任意の形状とすることが可能である。この点、嵌合時、嵌合爪31は受光側リードフレーム21に食い込む程度の形状が好ましい。
【0045】
以上説明した本実施形態は、嵌合爪を用いた嵌合が行えることから、発光素子を搭載した発光側リードフレームと、受光素子を搭載した受光側リードフレームを対向配置させ、重ね合わせ処理を行う際に、スポット溶接を用いることなく発光−受光間距離の安定化を図り、且つ、位置ズレを抑制することが可能となる。
【0046】
なお、
図5乃至
図8に表される各部の形状等は、1つの例示に過ぎない。本実施形態は、本実施形態の要旨を逸脱しない範囲において任意の形状等を選択することが可能である。例えば、発光側リードフレーム20及び受光側リードフレーム21に含まれる各部の形状や、個数及び配置等は任意のものを選択できる。
【0047】
また、今回は本実施形態を光結合半導体装置に適用することを想定して説明をするが、本実施形態は光結合半導体装置以外の任意の半導体装置に適用可能である。
【0048】
[動作の説明]
次に本発明の動作について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0049】
図5に表される嵌合用の突起部28を含んだ発光側リードフレーム20と、開口部29を備えた受光側リードフレーム21の発光側ヘッダー部22及び受光側ヘッダー部23を対向配置させ、両リードフレーム(発光側リードフレーム20及び受光側リードフレーム21)を重ね合わせる(ステップS101)。重ね合わせた際に、突起部28と開口部29は同位置に配置される。
【0050】
重ね合わせ後、
図8aに示すように突起部28の先端の嵌合爪31の中心を折り曲げ治具33でクランプする(ステップS102)。
【0051】
クランプした後は、折曲部30の根元から曲がる様に折り曲げ治具33を湾曲に移動させ、開口部29側へ折曲部30を折り曲げる(ステップS103)。折り曲げる際は、突起部28が切断されることないように、折り曲げ治具33の移動方向と移動速度を調整する。そして、折曲部30を折り曲げ進めると、突起部28が開口部29に入り、先端の嵌合爪31が受光側リードフレーム21の底面に接触する。
図8bに表されるように、更に突起部28の底面であって折り曲げにより開口部端面に面している面が開口部端面に接触するまで折り曲げることで嵌合爪31が受光側リードフレーム21に食い込み嵌合する。
【0052】
嵌合完了後、折り曲げ治具33のクランプを解除する(ステップS104)。そして、全ての突起部28の嵌合が完了していないのであれば(ステップS105においてNo)、次列の突起部28を折り曲げ治具33でクランプし(ステップS102)、この次列の突起部28を対象としてステップS103を実行する。
【0053】
全ての突起部の嵌合完了することで(ステップS105においてYes)、発光側リードフレーム20と受光側リードフレーム21の位置を嵌合固定させることが可能となる。
【0054】
なお、複数の折り曲げ治具33を用い、複数の折曲部30を同時に対象としてステップS102、S103およびステップS104を行うようにしても良い。
【0055】
また、ステップS103においてリードフレームのフレーム枠24及びフレーム枠25に設けられている突起部28を折り曲げ嵌合する際は、フレーム枠24及びフレーム枠25に相対する突起部28を同時に折り曲げ治具33にてクランプし折り曲げ嵌合させることが好ましい。こうすることにより、両側(フレーム枠24側とフレーム枠25側)に同じ荷重が加わる為、荷重によるズレを相殺でき、安定した嵌合が可能となる。
【0056】
以上説明した本発明の実施形態は、以下に示すような多くの効果を奏する。
【0057】
第1の効果は、残留歪や反り、撓みを生じないことである。
【0058】
その理由は、スポット溶接やタイバー部を切り取る工程を要さず、発光側リードフレーム及び受光側リードフレームを対向配置させた後、両リードフレームを嵌合することにより、溶接で発生する熱の影響による残留歪や反り、タイバー部を切り取る際に生じる応力による撓みが生じることを防止できるからである。
【0059】
第2の効果は、強固な嵌合により搬送等での位置ズレを起こす心配がないことである。
【0060】
その理由は、発光側リードフレームと、受光側リードフレームを対向配置させた後に、両リードフレームを強固に嵌合させる為、搬送による振動等で生じる位置ズレを防止できるからである。
【0061】
第3の効果は、電極清掃による作業時間を削減できることである。
【0062】
その理由は、スポット溶接を使用することなく、嵌合により両リードフレームの対向位置を固定する方法を取る為、溶接固定の安定化の為に定期的に実施する必要があった電極の清掃時間を削減できるからである。
【0063】
第4の効果は、溶接工程による残留歪も無く位置固定ができ、溶接強度のばらつきを考慮する必要が無いことである。
【0064】
その理由は、嵌合により両リードフレームの対向位置を固定する方法を取る為、スポット溶接を使用しないからである。
【0065】
また、上述した実施形態は、本発明の好適な実施形態ではあるが、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。変更の一例を下記する。
【0066】
上述した実施形態では、発光側リードフレームと受光側リードフレームという二枚のリードフレームを対向配置させ嵌合固定している。しかし、これを変更し、1枚のリードフレームに発光側、受光側の双方を含むようにし、発光側又は受光側の一方を反転させて、他方と対向配置させる構成でも同様の結果が得られる。
図10の左側を参照すると一枚のリードフレーム100は、発光側リードフレーム20及び受光側リードフレーム21の双方を含んでいる。また、発光側リードフレーム20と受光側リードフレーム21との間には反転基準線101を設ける。
【0067】
そして、反転基準線101を中心として発光側リードフレーム20と受光側リードフレーム21の何れかを他方に対して折り曲げることにより反転させる。
図10の右側を参照すると反転後の形状が表されている。反転後は、
図9のステップS101乃至ステップS105の処理を行うことにより、上述した実施形態と同様に嵌合をすることが可能となる。
【0068】
なお、
図10に表される発光側リードフレーム20及び受光側リードフレーム21の構成要素は
図5に表される発光側リードフレーム20及び受光側リードフレーム21と同様であるので、
図10においては構成要素の図示を省略する。
【0069】
また、嵌合に関してであるが、上述した実施形態では突起部を発光側リードフレームに設け、開口部を受光側リードフレームに設けていた。しかし、これを逆に設けるように変更しても良い。つまり、突起部を受光側リードフレームに設け、開口部を発光側リードフレームに設けるようにしても上述の実施形態と同様の結果が得られる。
【0070】
更に、発光側リードフレーム及び受光側リードフレームの双方にそれぞれ突起部及び開口部の両方が設けられていても良い。この場合、発光側リードフレーム及び受光側リードフレームの一方のリードフレームに突起部が設けるのであれば、重ね合わせた場合にこの突起部と対向する位置の他方のリードフレームに開口部を設けるようにすればよい。
図11を参照すると発光側リードフレーム20及び受光側リードフレーム21が表されている。発光側リードフレーム20には、一例として左から右に突起部28、開口部29及び突起部28が設けられている。また、受光側リードフレーム21には、一例として左から右に開口部29、突起部28及び開口部29が設けられている。このように、発光側リードフレーム20及び受光側リードフレーム21の双方がそれぞれ突起部28及び開口部29の双方を含むようにしても良い。そして、
図7に表されるように対向配置をし、
図9のステップS101乃至ステップS105の処理を行うことにより、上述した実施形態と同様に嵌合をすることが可能となる。
【0071】
なお、
図11に表される発光側リードフレーム20及び受光側リードフレーム21の構成要素は
図5に表される発光側リードフレーム20及び受光側リードフレーム21と同様であるので、
図11においては構成要素の一部について図示を省略する。
【0072】
更に、一方のリードフレームに突起部を設け、重ね合せ後にこの突起部を折り曲げて、もう一方のリードフレームをこの突起部で挟み込んで固定する構成としても良い。この場合、嵌合爪を設けなくとも良い。
図12を参照して、この構成について説明する。
図12は発光側リードフレーム20及び受光側リードフレーム21を対向配置した状態の側面を表す図である。
図12の最上部に表されるように発光側リードフレーム20は突起部28を含んでいる。そして、
図12の中部に表されるように発光側リードフレーム20の突起部28を受光側リードフレーム21側に90度折り曲げる。ここまでは
図8を参照して上述した方法と同様である。もっとも、本構成においては突起部28を受光側リードフレーム21更に90度折り曲げる。このようにすることにより突起部28が受光側リードフレーム21を挟み込むこととなり、嵌合爪を設けなくとも受光側リードフレーム21を固定することが可能となる。なお、本構成例を採用する場合には開口部29を設けても良いが、開口部29を設けなくとも良い。
【0073】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0074】
(付記1)
半導体素子を搭載した第1のリードフレームと、
半導体素子を搭載した第2のリードフレームを備え、
前記第1のリードフレーム及び前記第2のリードフレームの何れか又は双方が、前記第1のリードフレームと前記第2のリードフレームを対向配置させた際に他方のリードフレーム側に折り曲げることにより前記第1のリードフレーム及び前記第2のリードフレームを嵌合固定する為の突起部を有していることを特徴とする半導体装置。
【0075】
(付記2)
付記1に記載の半導体装置であって、
前記第1のリードフレーム及び前記第2のリードフレームの何れか又は双方が、前記突起部を折り曲げる際に該突起部が入り込む開口部を備えていることを特徴とする半導体装置。
【0076】
(付記3)
付記1又は2に記載の半導体装置であって、
前記第1のリードフレームと前記第2のリードフレームを対向配置させた際に他方のリードフレームと対向している面を第1の面とし、該第1の面の裏側の面を第2の面とした場合に、前記突起部が該突起部を有していない他方のリードフレームの第2の面に接触することにより前記嵌合固定がなされることを特徴とする半導体装置。
【0077】
(付記4)
付記3に記載の半導体装置であって、
前記突起部には前記第2の面と咬止する為の爪が含まれていることを特徴とする半導体装置。
【0078】
(付記5)
前記第1のリードフレームは発光素子を搭載した発光側リードフレームであり、前記第2のリードフレームは受光素子を搭載した受光側リードフレームであることを特徴とする半導体装置。
【0079】
(付記6)
半導体装置の製造装置が行う半導体装置製造方法であって、
半導体素子を搭載した第1のリードフレームと、半導体素子を搭載した第2のリードフレームを対向配置させるステップと、
前記前記第1のリードフレーム及び前記第2のリードフレームの何れか又は双方が有する突起部を、該突起部を有するリードフレームの他方のリードフレーム側に折り曲げることにより前記第1のリードフレーム及び前記第2のリードフレームを嵌合固定するステップと、
を含むことを特徴とする半導体装置製造方法。
【0080】
(付記7)
半導体装置を製造する半導体装置製造装置であって、
半導体素子を搭載した第1のリードフレームと、半導体素子を搭載した第2のリードフレームを対向配置させる手段と、
前記前記第1のリードフレーム及び前記第2のリードフレームの何れか又は双方が有する突起部を、該突起部を有するリードフレームの他方のリードフレーム側に折り曲げることにより前記第1のリードフレーム及び前記第2のリードフレームを嵌合固定する手段と、
を含むことを特徴とする半導体装置製造装置。