特許第6046384号(P6046384)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6046384
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】端末装置
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/00 20060101AFI20161206BHJP
   H04M 1/02 20060101ALI20161206BHJP
   G06F 3/048 20130101ALI20161206BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   H04M1/00 R
   H04M1/02 C
   G06F3/048
   G09G5/00 510V
   G09G5/00 510H
   G09G5/00 550C
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-135365(P2012-135365)
(22)【出願日】2012年6月15日
(65)【公開番号】特開2014-3349(P2014-3349A)
(43)【公開日】2014年1月9日
【審査請求日】2015年1月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】菊池 俊作
【審査官】 山岸 登
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/099581(WO,A1)
【文献】 特開2007−201727(JP,A)
【文献】 特開2010−193355(JP,A)
【文献】 特開2007−017596(JP,A)
【文献】 特開2009−071735(JP,A)
【文献】 特開2010−113693(JP,A)
【文献】 特開2011−141680(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
3/048−3/0482
3/0485
3/0487−3/0489
G09G 5/00− 5/36
5/377−5/42
H04B 7/24− 7/26
H04M 1/00− 1/82
99/00
H04W 4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の表面に配設され、画像を表示する表面表示部と、
前記筐体の裏面に配設され、画像を表示する裏面表示部と、
前記筐体の表面に配設され、第1の像を撮影する表面撮像部と、
前記筐体の裏面に配設され、第2の像を撮影する裏面撮像部と、
前記表面撮像部で撮影された前記第1の像および前記裏面撮像部によって撮影された前記第2の像に人物の顔が写っているか否かを認識し、該人物の顔が写っていた像を撮影した前記表面撮像部および前記裏面撮像部のうちいずれか一方の撮像部側の面をユーザが対面している面として検知する対面検知部と、
前記ユーザが対面している面に配設されている前記表面表示部および前記裏面表示部のうちいずれかの一方の表示部の画像表示を有効とし、他方の表示部の画像表示を無効とするディスプレイ制御部とを備え、
前記対面検知部は、前記表面撮像部によって撮影された前記第1の像および前記裏面撮像部によって撮影された前記第2の像の両方に人物の顔が写っていた場合には、該撮影された前記第1の像および前記第2の像に写っている人物の目の間隔をそれぞれ取得し、該目の間隔の差分が閾値以上であったら、該目の間隔が広い像を撮影した前記表面撮像部および前記裏面撮像部のうちいずれか一方の撮像部側の面を前記ユーザが対面している面として検知することを特徴とする端末装置。
【請求項2】
筐体の表面に配設され、画像を表示する表面表示部と、
前記筐体の裏面に配設され、画像を表示する裏面表示部と、
前記表面表示部に重畳され、接触を検出する表面タッチセンサと、
前記裏面表示部に重畳され、接触を検出する裏面タッチセンサと、
前記表面タッチセンサおよび前記裏面タッチセンサが検出した接触物の接触面の重心点座標をそれぞれ取得し、該接触面の重心点座標の分散をそれぞれ算出し、該算出されたそれぞれの分散の差分が閾値以上であったら、前記表面タッチセンサおよび前記裏面タッチセンサのうちいずれか一方の該分散が大きいタッチセンサ側の面をユーザが対面している面として検知する対面検知部と、
前記表面表示部および前記裏面表示部のうち、前記ユーザが対面している面に配設されている前記表面表示部および前記裏面表示部のうちいずれか一方の表示部の画像表示を有効とし、他方の表示部の画像表示を無効とするディスプレイ制御部と、
を備えることを特徴とする端末装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体の表面および裏面にそれぞれ配設され画像を表示する表面表示部および裏面表示部を備える端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
端末装置には、筐体の表面および裏面の両方に配設されたディスプレイ、いわゆる両面ディスプレイを有するものがある。これによりユーザの利便性を高めることができるものの、ユーザはいずれか一方のディスプレイしか見ることができないため、両方のディスプレイを有効(画像を表示している状態)にしていると、ユーザが見ることができないディスプレイにおいて無駄に電力を消費することとなる。そこで例えば特許文献1では、両面ディスプレイを備えた折り畳み式携帯端末装置において、重力センサによって携帯端末装置の角度(姿勢)を検出し、その検出結果によりディスプレイの表示のオンオフを制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−281864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら特許文献1のように重力方向と逆の方向にあるディスプレイをオン(有効)にする制御であると、ユーザが仰向けに寝た状態で上を向いて携帯端末装置を操作する場合に、ユーザが見ることができない上面側のディスプレイが有効になってしまう。このように特許文献1の携帯端末装置ではディスプレイのオンオフに誤判断が生じるため、ユーザは有効なディスプレイを切り替えるためにいちいち反転ボタンを押下しなければならず、煩わしい操作を強いられていた。また特許文献1の構成であると、携帯端末装置が、重力センサの出力値によるディスプレイのオンオフの判断範囲値の境界となる姿勢をとり続けた際に、ディスプレイのオンオフが切り替わり続けてしまう。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑み、有効にするディスプレイを正確に制御することができ、利便性の向上を図ることが可能な端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明にかかる端末装置の代表的な構成は、筐体の表面および裏面にそれぞれ配設され画像を表示する表面表示部および裏面表示部を備える端末装置であって、筐体の表面および裏面にそれぞれ配設され画像を撮影する表面撮像部および裏面撮像部と、表面撮像部および裏面撮像部によって撮影された画像に人物の顔が写っているか否かを認識し、人物の顔が写っていた画像を撮影した撮像部側の面をユーザが対面している面として検知する対面検知部と、表面表示部および裏面表示部のうち、ユーザが対面している面に配設されている表示部の画像表示を有効とし、ユーザが対面していない面に配設されている表示部の画像表示を無効とするディスプレイ制御部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
上記の対面検知部は、表面撮像部および裏面撮像部によって撮影された画像の両方に人物の顔が写っていた場合には、撮影されたそれぞれの画像に写っている人物の目の間隔を取得し、目の間隔の差分が閾値以上であったら、目の間隔が広かったほうの画像を撮影した撮像部側の面をユーザが対面している面として検知するとよい。
【0008】
上記課題を解決するために、本発明にかかる端末装置の他の構成は、筐体の表面および裏面にそれぞれ配設され画像を表示する表面表示部および裏面表示部を備える端末装置であって、表面表示部および裏面表示部それぞれに重畳されユーザの指の接触を検出する表面タッチセンサおよび裏面タッチセンサと、表面タッチセンサおよび裏面タッチセンサが検出したユーザの指の接触面積をそれぞれ取得し、接触面積の単位時間あたりの平均値をそれぞれ算出し、平均値の差分が閾値以上であったら、平均値が大きいタッチセンサ側の面をユーザが対面している面として検知する対面検知部と、表面表示部および裏面表示部のうち、ユーザが対面している面に配設されている表示部の画像表示を有効とし、ユーザが対面していない面に配設されている表示部の画像表示を無効とするディスプレイ制御部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
上記課題を解決するために、本発明にかかる端末装置の他の構成は、筐体の表面および裏面にそれぞれ配設され画像を表示する表面表示部および裏面表示部を備える端末装置であって、表面表示部および裏面表示部それぞれに重畳されユーザの指の接触を検出する表面タッチセンサおよび裏面タッチセンサと、表面タッチセンサおよび裏面タッチセンサが検出したユーザの指の接触面の重心点座標をそれぞれ取得し、接触面の重心点座標の分散をそれぞれ算出し、算出されたそれぞれの分散の差分が閾値以上であったら、分散が大きいタッチセンサ側の面をユーザが対面している面として検知する対面検知部と、表面表示部および裏面表示部のうち、ユーザが対面している面に配設されている表示部の画像表示を有効とし、ユーザが対面していない面に配設されている表示部の画像表示を無効とするディスプレイ制御部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、有効にするディスプレイを正確に制御することができ、利便性の向上を図ることが可能な端末装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態にかかる携帯電話の外観斜視図である。
図2】第1実施形態にかかる携帯電話の機能ブロック図である。
図3】第1実施形態の携帯電話における画像表示の制御の制御について説明するフローチャートである。
図4】第1実施形態の動作を説明するイメージ図である。
図5】第2実施形態にかかる携帯電話の外観斜視図である。
図6】第2実施形態にかかる携帯電話の機能ブロック図である。
図7】第2実施形態の携帯電話における画像表示の制御の制御について説明するフローチャートである。
図8】第2実施形態の動作を説明するイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0013】
また理解を容易にするために、以下に説明する実施形態では、端末装置として携帯電話(以下、携帯電話100と称する)を例示するが、これに限定するものではない。本発明は、後述するように筐体102の表面102aおよび裏面102bの両方に表示部を有する端末装置であれば如何なるものにも適用可能であり、端末装置は、例えばPHS端末、ノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistant)、ハンディGPS、ナビゲーション装置、ネットブック等であってもよい。
【0014】
図1は、第1実施形態にかかる携帯電話100の外観斜視図であり、図1(a)は携帯電話100の表側の外観斜視図であり、図1(b)は携帯電話100の裏側の外観斜視図である。本実施形態の携帯電話100(スマートフォン)には、図1(a)に示すように筐体102の表面102aに表面表示部である表面ディスプレイ122が配設されていて、図1(b)に示すように筐体102の裏面102bに裏面表示部である裏面ディスプレイ132が配設されている。すなわち本実施形態の携帯電話100は、両面ディスプレイ(ダブルディスプレイ)を有する。
【0015】
また図1(a)および(b)に示すように、本実施形態の携帯電話100には、筐体102の表面102aおよび裏面102bそれぞれに、表面撮像部および裏面撮像部としてカメラ(以下、インカメラ140aおよびアウトカメラ140bと称する)が配設されている。更に、携帯電話100の表面102aおよび裏面102bには、かかる携帯電話100の電源のオンオフ、およびスリープ状態を解除する際に押下されるスイッチボタン104a・104b(物理キー)が配設されている。
【0016】
図2は、第1実施形態にかかる携帯電話100の機能ブロック図である。図2に示すように、携帯端末100は制御部110を有する。かかる制御部110は、中央処理装置(CPU)を含む半導体集積回路により携帯電話100全体の機能を管理および制御し、例えば記憶部(不図示)に記憶されているプログラムを用いて通話機能やメール送受信機能等を実行する。
【0017】
また本実施形態では、制御部202は対面検知部112およびディスプレイ制御部114としても機能する。対面検知部112は、インカメラ140aおよびアウトカメラ140bによって撮影された画像に人物の顔が写っているか否かを認識し、人物の顔が写っていた画像を撮影したカメラ側(撮像部側)の面をユーザが対面している面として検知する。ディスプレイ制御部114は、表面ディスプレイ122および裏面ディスプレイ132のうち、ユーザが対面している面に配設されているディスプレイ(表示部)の画像表示を有効とし、ユーザが対面していない面に配設されているディスプレイ(表示部)の画像表示を無効とする。なお、対面検知部112およびディスプレイ制御部114については、後にフローチャートを用いて詳述する。
【0018】
表面ディスプレイ122および裏面ディスプレイ132は、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro Luminescence)等で構成され、写真画像やアプリケーションの動作画面、通話における通話先や発信元などの情報をユーザに対して表示する。また本実施形態では、表面ディスプレイ122および裏面ディスプレイ132それぞれに、透明の素材で形成され、ユーザの指の接触を検出する表面タッチセンサ124および裏面タッチセンサ134が、かかる表面ディスプレイ122および裏面ディスプレイ132を視認可能に重畳されている。これにより、表面ディスプレイ122および表面タッチセンサ124によって表面タッチパネルディスプレイ120が、裏面ディスプレイ132および裏面タッチセンサ134によって裏面タッチパネルディスプレイ130が構成され、それらを、ユーザの指の接触によりユーザ入力を受け付ける入力部として機能させることができる。
【0019】
なお、表面タッチセンサ124および裏面タッチセンサ134によるユーザ入力の検知方式としては、静電容量式でもよいし、感圧式であってもよい。また本実施形態においては、表面タッチセンサ124および裏面タッチセンサ134を含む表面タッチパネルディスプレイ120および裏面タッチパネルディスプレイ130を入力部として例示したが、これに限定するものではない。入力部は、キーボード、十字キー、ジョイスティック等の可動スイッチであってもよいし、それらに加えて表面タッチパネルディスプレイ120および裏面タッチパネルディスプレイ130を備える構成としてもよい。例えば本実施形態では、上述したように表面タッチパネルディスプレイ120および裏面タッチパネルディスプレイ130に加えて、筐体102の表面102aおよび裏面102bにスイッチボタン104a・104bを設けている。
【0020】
インカメラ140aおよびアウトカメラ140bは、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の映像素子で構成され、静止画や動画を撮影する。本実施形態のようにインカメラ140aおよびアウトカメラ140bが表面ディスプレイ122および裏面ディスプレイ132と同じ面に配置されていることにより、携帯電話100において、表面ディスプレイ122および裏面ディスプレイ132と対面しているユーザの顔画像を撮影することが可能となる。
【0021】
加速度センサ150は、3軸加速度センサであって、XYZ軸の3方向の加速度を検知し、検知した加速度によって携帯電話100の重力方向、ひいては携帯電話100の姿勢を把握する。本実施形態では、加速度センサ150としてピエゾ抵抗型MEMS(Micro Electro echanical System)を例示するが、これに限定するものではなく、静電容量型や熱検知型等の加速度センサも好適に用いることができる。
【0022】
次に、本実施形態の携帯電話100の表面ディスプレイ122および裏面ディスプレイ132における画像表示の制御について説明しながら、上述した対面検知部112およびディスプレイ制御部114について詳述する。図3は第1実施形態の携帯電話100における画像表示の制御の制御について説明するフローチャート、図4は第1実施形態の動作を説明するイメージ図である。
【0023】
図3に示すように、スイッチボタン104a・104bのいずれか一方が押下されることにより、携帯電話100の電源がオンになった、またはスリープが解除されたら(ステップS302)、ディスプレイ制御部114は、押されたスイッチボタンが配設されている側の面のディスプレイの画像表示が有効となり、押されなかったスイッチボタンが配設されている側の面のディスプレイの画像表示が無効となるよう、表面ディスプレイ122および裏面ディスプレイ132を制御する(ステップS304)。これにより、携帯電話100の電源投入時またはスリープ解除時の有効ディスプレイが決定される。
【0024】
次に、制御部110はインカメラ140aおよびアウトカメラ140bを起動させ、インカメラ140aおよびアウトカメラ140bによって画像を撮影する(ステップS306)。画像が撮影されたら、対面検知部112はかかる画像に人物の顔が写っているか否かを認識する(ステップS308)。インカメラ140aおよびアウトカメラ140bによって撮影された画像のうち、いずれか一方のみに人物の顔が写っていたら(ステップS310のYES)、対面検知部112は、その画像を撮影したカメラ側の面をユーザが対面している面として検知する(ステップS312)。
【0025】
ステップS312においてユーザが対面している面が検知されたら、ディスプレイ制御部114は、ユーザが対面している面に配設されているディスプレイの画像表示を有効とし、ユーザが対面していない面に配設されているディスプレイの画像表示を無効になるよう、表面ディスプレイ122および裏面ディスプレイ132を制御する(ステップS314)。そして、電源の切断または携帯電話100がスリープ状態になるまで(ステップS332のNO)、ステップS306以降のステップを間欠的に繰り返す。
【0026】
上記構成により、携帯電話100(端末装置)が如何なる姿勢で使用されている場合であっても、ユーザが見ているディスプレイ、すなわち有効にするべきディスプレイを正確に制御することができる。例えば図4には、ユーザが寝そべって携帯電話100を操作していて、表面側がユーザに対面している状態を示している。このような状態ではインカメラ140aにユーザの顔が映り、アウトカメラ140bには天井が映ることになる。ここで上記の構成によれば、表面側が下方を向いている(裏面側の仰角が閾値以上である)にもかかわらず、表面ディスプレイ122をアクティブにすることができる。したがって、ユーザによるディスプレイを切り替えるための操作が不要になり、利便性を高めることが可能となる。
【0027】
一方、インカメラ140aおよびアウトカメラ140bによって撮影された画像のうち、人物の顔が写っていた画像が一方のみではなく(ステップS310のNO)、両方の画像において人物の顔が認識された場合(ステップS316のYES)、本実施形態では、対面検知部112はそれぞれの画像に写っている人物の目の間隔を取得する(ステップS308)。そして、対面検知部112は、それぞれの画像における目の間隔の差分を算出する(ステップS320)。
【0028】
ステップS320において算出した目の間隔の差分が所定の閾値以上であったら(ステップS322のYES)、対面検知部112は、目の間隔が広かったほうの画像を撮影したカメラ側の面をユーザが対面している面として検知する(ステップS324)。そして、ディスプレイ制御部114は、上述したように表面ディスプレイ122および裏面ディスプレイ132の制御を行う(ステップS314)。これにより、インカメラ140aおよびアウトカメラ140bによって撮影された画像の両方に人物の顔が写っていた場合であっても、ユーザが対面している面を正確に検知することができる。したがって、有効にするべきディスプレイの誤判定が生じることがなく、ユーザの利便性を更に高めることが可能となる。
【0029】
更に本実施形態では、ステップS306においてインカメラ140aおよびアウトカメラ140bによって撮影された画像のいずれにも人物の顔が写っていなかった場合(ステップS316のNO)、およびステップS320において算出した目の間隔の差分が所定の閾値未満であったら(ステップS322のNO)、制御部110は、加速度センサ150によって携帯電話100の姿勢を検知する(ステップS326)。
【0030】
そして、ステップS326において検知された姿勢において携帯電話100の仰角が閾値以上であったら(ステップS328のYES)、対面検知部112は、上側の面をユーザが対面している面として検知し(ステップS330)、ディスプレイ制御部114は、上述したように表面ディスプレイ122および裏面ディスプレイ132の制御を行う(ステップS314)。これにより、ステップS306において撮影された画像によるユーザの対向している面の判断が困難な場合であっても、有効にするべきディスプレイを適切に決定することが可能となる。
【0031】
一方、携帯電話100の仰角が閾値未満であったら(ステップS328のNO)、ディスプレイ制御部114は、ステップS304において制御したディスプレイの設定を変更しない。そして、制御部110は、電源の切断または携帯電話100がスリープ状態になるまで(ステップS332のNO)、ステップS306以降のステップを繰り返す。
【0032】
上記説明したように第1実施形態にかかる携帯電話100によれば、インカメラ140aおよびアウトカメラ140bによって撮影された画像によってユーザが対面している面を判断することにより、携帯電話100(端末装置)の姿勢によることなくディスプレイを制御することができ、ユーザが見ているディスプレイを正確に有効にすることが可能となる。これにより、ユーザによるディスプレイを切り替えるための操作が不要になり、利便性を高めることが可能となる。
【0033】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態にかかる携帯電話200について説明する。図5は、第2実施形態にかかる携帯電話200の外観斜視図である。図6は、第2実施形態にかかる携帯電話200の機能ブロック図である。図7は第2実施形態の携帯電話200における画像表示の制御の制御について説明するフローチャート、図8は第2実施形態の動作を説明するイメージ図である。なお、第2実施形態では、第1実施形態の携帯電話100の説明と重複する構成要素および動作については、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0034】
図5に示すように、第2実施形態の携帯電話200も、筐体102の表面102aおよび裏面102bのそれぞれに表面ディスプレイ122および裏面ディスプレイ132が配設された両面ディスプレイ(ダブルディスプレイ)を有する。また第1実施形態の携帯電話100では筐体102の表面102aおよび裏面102bのそれぞれにスイッチボタン104a・104b(物理キー)が配設されていたのに対し、本実施形態の携帯電話200では、筐体の側面102cにスイッチボタン104cが配設されている。
【0035】
更に本実施形態の特徴として、図6に示す対面検知部212は、表面タッチセンサ124および裏面タッチセンサ134が検出したユーザの指の接触面の重心点座標や接触面積を参照することにより、ユーザが対面している面を検知する。以下、その詳細について図7を参照して説明する。
【0036】
図7に示すように、スイッチボタン104cが押下されることにより、携帯電話100の電源がオンになった、またはスリープが解除されたら(ステップS402)、ディスプレイ制御部114は、表面ディスプレイ122および裏面ディスプレイ132の画像表示を有効にし、表面ディスプレイ122および裏面ディスプレイ132の両方に、図5に示すロック解除画面を表示する(ステップS404)。そして、表面タッチセンサ124または裏面タッチセンサ134のうち、ロック解除操作を受け付けたタッチセンサが重畳されている側の面のディスプレイの画像表示が有効となり、他方の面のディスプレイの画像表示が無効となるよう、表面ディスプレイ122および裏面ディスプレイ132を制御する(ステップS406)。これにより、携帯電話200の電源投入時またはスリープ解除時の有効ディスプレイが決定される。
【0037】
次に、対面検知部212は、表面タッチセンサ124および裏面タッチセンサ134が検出したユーザの指の接触面の重心点座標をそれぞれ取得し(ステップS408)、それぞれの接触面の重心点座標の分散を算出し、それぞれの分散の差分を算出する(ステップS410)。
【0038】
重心点座標とは、接触を検知した領域全体ではなく、接触を検知した領域の重心(点)の座標である。すなわち、手のひらによって大きな面積で接触していた場合にも、1点の座標として変換される。例えば図8には、表面側がユーザに対面していて、裏面側を把持している状態を示している。図においてタッチパネル124・134上の枠線は接触している領域の境界線を示し、十字は重心点座標を示している。表面側は操作のために指先で多数回接触し、裏面側は把持する手が大きな面積で接触している。このとき操作のための接触は頻繁に離接するため、重心点座標は表面タッチパネル124上の様々な位置に分散する。一方、裏面タッチパネル134においては、たまに持ち替えることがあったとしても、接触面積は大きいものの、重心点座標はほとんど変動しない。このことから、重心点座標の分散を比較することによって、ユーザに対面している面を判断することが可能である。
【0039】
ステップS410において算出された差分が閾値以上であったら(ステップS412のYES)、対面検知部212は、分散が大きいタッチセンサ側の面をユーザが対面している面として検知する(ステップS414)。そして、ディスプレイ制御部114は、ユーザが対面している面に配設されているディスプレイの画像表示を有効とし、ユーザが対面していない面に配設されているディスプレイの画像表示を無効になるよう、表面ディスプレイ122および裏面ディスプレイ132を制御する(ステップS314)。
【0040】
一方、ステップS410において算出された差分が閾値未満であったら(ステップS412のNO)、対面検知部212は次に、表面タッチセンサ124および裏面タッチセンサ134が検出したユーザの指の接触面積をそれぞれ取得し(ステップS416)、それぞれの接触面積の単位時間あたりの平均値を算出し、それぞれの平均値の差分を算出する(ステップS418)。ステップS418において算出された差分が閾値以上であったら(ステップS420のYES)、対面検知部212は、接触面積の平均値が小さいタッチセンサ側の面をユーザが対面している面として検知する(ステップS422)。そして、ディスプレイ制御部114は、上述したように表面ディスプレイ122および裏面ディスプレイ132の制御を行う(ステップS314)。
【0041】
上述したステップS418において算出された接触面積の平均値の差分が閾値未満であったら(ステップS420のNO)、ディスプレイ制御部114は、加速度センサ150によって検知した携帯電話100の姿勢(仰角)を参照することによりユーザが対面している面を検知する(ステップS326〜S330)。そして、制御部110は、電源の切断または携帯電話200がスリープ状態になるまで(ステップS332のNO)、ステップS408以降のステップを繰り返す。
【0042】
上記説明したように、第2実施形態にかかる携帯電話200によれば、表面タッチセンサ124および裏面タッチセンサ134によってユーザが対面している面を判断することができ、携帯電話200(端末装置)の姿勢によることなくディスプレイを制御することが可能である。このような構成によっても、有効にするべきディスプレイを正確に制御することができ、利便性を高めながらも、省電力やプライバシー保護という利点を得ることが可能となる。
【0043】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。なお、本明細書の携帯端末の動作における各処理は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいはサブルーチンによる処理を含んでもよい。
【0044】
なお、上述した実施形態では、対面検知部112・212は、ステップS320において算出した目の間隔の差分、ステップS410において算出された分散の差分、ステップS418において算出された接触面積の平均値の差分を、それぞれ閾値以上であるか判断している。これらの閾値は、ユーザが対面している面を検知することができる値であればよく、適宜設定することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、筐体の表面および裏面にそれぞれ配設され画像を表示する表面表示部および裏面表示部を備える端末装置として利用可能である。
【符号の説明】
【0046】
100…携帯電話、102…筐体、102a…表面、102b…裏面、102c…側面、104a…スイッチボタン、104b…スイッチボタン、104c…スイッチボタン、110…制御部、112…対面検知部、114…ディスプレイ制御部、120…表面タッチパネルディスプレイ、122…表面ディスプレイ、124…表面タッチセンサ、130…裏面タッチパネルディスプレイ、132…裏面ディスプレイ、134…裏面タッチセンサ、140a…インカメラ、140b…アウトカメラ、150…加速度センサ、200…携帯電話、212…対面検知部
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