特許第6046410号(P6046410)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6046410タクシーメータの有料道路出入口名データ管理方法及びタクシーメータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6046410
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】タクシーメータの有料道路出入口名データ管理方法及びタクシーメータ
(51)【国際特許分類】
   G07B 13/00 20060101AFI20161206BHJP
   G07B 15/00 20110101ALI20161206BHJP
【FI】
   G07B13/00 L
   G07B15/00 510
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-171908(P2012-171908)
(22)【出願日】2012年8月2日
(65)【公開番号】特開2014-32492(P2014-32492A)
(43)【公開日】2014年2月20日
【審査請求日】2015年7月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】石井 宏明
【審査官】 佐々木 一浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−027053(JP,A)
【文献】 特開2005−188982(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07B 13/00
G07B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子料金収受システムの車載器から支払処理した有料道路の出入口のゲート番号が入力されるタクシーメータにおいて保持された、前記ゲート番号から対応する出入口名を特定するデータベースを管理する方法であって、
前記車載器及び前記タクシーメータを搭載した複数のタクシー車両に、遠隔地の車両管理者側から、該車両管理者側において前記データベースの内容が更新される都度、前記データベースの更新データを無線により一斉に送信する更新データ送信ステップと、
記各タクシー車両で受信した前記更新データが、各タクシー車両に搭載した前記タクシーメータのデータベースによって特定できない前記ゲート番号に対応する出入口名のデータを含んでいる場合に、前記タクシーメータのデータベースを前記受信した更新データで更新するデータ更新ステップと、
を含むことを特徴とするタクシーメータの有料道路出入口名データ管理方法。
【請求項2】
前記車載器から前記タクシーメータに入力された前記ゲート番号に対応する出入口名が前記データベースによって特定できない場合に、前記入力されたゲート番号を含む前記データベースの更新要求を、前記タクシー車両から前記車両管理者側に無線により送信する更新要求送信ステップをさらに含んでおり、
前記更新データ送信ステップでは、前記更新要求中の前記ゲート番号に対応する出入口名を含む前記更新データを、前記車両管理者側から、前記データベースの更新要求の送信元のタクシー車両を含む複数の前記タクシー車両に無線により一斉に送信する、
ことを特徴とする請求項1記載のタクシーメータの有料道路出入口名データ管理方法。
【請求項3】
電子料金収受システムの車載器から支払処理した有料道路の出入口のゲート番号が入力されるタクシーメータであって、
前記ゲート番号から対応する出入口名を特定するデータベースを記憶するデータベース記憶手段と、
前記車載器を搭載した複数のタクシー車両に遠隔地の車両管理者側から、該車両管理者側において前記データベースの内容が更新される都度、前記複数のタクシー車両に対して無線により一斉に送信され前記データベースの更新データを、該更新データを受信した前記通信手段から取得する更新データ取得手段と、
前記複数のタクシー車両に対して一斉に送信されて前記更新データ取得手段が取得した更新データが、前記データベースによって特定できない前記ゲート番号に対応する出入口名のデータを含んでいる場合に、前記取得した更新データにより前記データベースのデータを更新するデータ更新手段と、
を備えることを特徴とするタクシーメータ。
【請求項4】
前記車載器から入力された前記ゲート番号に対応する出入口名を前記データベースによって特定できない場合に、前記タクシー車両から前記車両管理者側に通信手段により無線で送信させる、前記データベースの更新要求を、前記通信手段に出力する更新要求出力手段をさらに備えており、
前記データ更新手段は、前記取得した更新データが、前記データベースによって特定できない前記ゲート番号に対応する出入口名のデータを含んでいるか否かを判別する判別手段を含んでおり、該判別手段が含んでいると判別した場合に、前記データベースのデータを前記取得した更新データで更新する、
ことを特徴とする請求項3記載のタクシーメータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子料金収受(ETC:Electronic Toll Collection)システムの車載器を接続したタクシーメータが保持する有料道路の出入口名のデータベースの登録内容を管理するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ETC車載器を搭載したタクシー車両では、有料道路の通行料金をETC車載器で支払処理し、タクシーメータで計算した運賃に加算して乗客に請求している。そのために、タクシーメータにはETC車載器が接続され、通行料金の支払処理が発生する度に、ETC車載器からタクシーメータに通行料金や出入口のゲート番号とが通知される。
【0003】
タクシーメータは、ETC車載器から有料道路の通行料金や出入口のゲート番号の通知を受けることで、それらを利用して、タクシーメータに接続したプリンタから発行する乗客向けの領収書や管理用の利用履歴上に、通行料金や出入口のゲート番号を印字させることができる(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−338312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した有料道路の出入口のゲート番号は単なる識別番号に過ぎないので、それを見ただけでは出入口名を把握することができない。そこで、近年では、タクシーメータ内にゲート番号から出入口名を特定するためのデータベースを設け、領収書や利用履歴をプリンタから発行する際に、ゲート番号の代わりにデータベースで照合した出入口名を印字するようにしている。
【0006】
このため、新規の有料道路や出入口が供用開始された場合は、それに応じたタクシーメータのデータベース更新を早急に行うことが好ましい。しかし、データベースの更新は、タクシーメータで収集した運行情報の書き込み等に利用されるメモリカードをタクシーメータに装填した際に、メモリカードから読み出した更新データを用いて行うので、データベースが更新されるタイミングがタクシー車両毎にばらついてしまう。
【0007】
このようなデータベースの更新タイミングのばらつきにより、更新が遅れたタクシー車両では、例えば、特定の出入口を利用した有料道路の通行料金を含む領収書や利用履歴をプリンタから発行させる際に、出入口名ではなくゲート番号を引き続き印字し続けなければならない事態が発生する。
【0008】
本発明は前記事情に鑑みなされたもので、本発明の目的は、タクシーメータの保持するデータベースに基づいて、タクシーメータに接続したプリンタから発行される領収書や利用履歴に有料道路の出入口がゲート番号でなく出入口名で印字されるようになるタイミングを、極力早めることができるタクシーメータの有料道路出入口名データ管理方法と、この方法を実行するのに用いて好適なタクシーメータとを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に記載した本発明のタクシーメータの有料道路出入口名データ管理方法は、
電子料金収受(ETC)システムの車載器から支払処理した有料道路の出入口のゲート番号が入力されるタクシーメータにおいて保持された、前記ゲート番号から対応する出入口名を特定するデータベースを管理する方法であって、
前記車載器及び前記タクシーメータを搭載した複数のタクシー車両に、遠隔地の車両管理者側から、該車両管理者側において前記データベースの内容が更新される都度、前記データベースの更新データを無線により一斉に送信する更新データ送信ステップと、
記各タクシー車両で受信した前記更新データが、各タクシー車両に搭載した前記タクシーメータのデータベースによって特定できない前記ゲート番号に対応する出入口名のデータを含んでいる場合に、前記タクシーメータのデータベースを前記受信した更新データで更新するデータ更新ステップと、
を含むことを特徴とする。
【0010】
なお、請求項1に記載した本発明のタクシーメータの有料道路出入口名データ管理方法を実施する際に、請求項3に記載した本発明のタクシーメータ、即ち、
電子料金収受(ETC)システムの車載器から支払処理した有料道路の出入口のゲート番号が入力されるタクシーメータであって、
前記ゲート番号から対応する出入口名を特定するデータベースを記憶するデータベース記憶手段と、
前記車載器を搭載した複数のタクシー車両に遠隔地の車両管理者側から、該車両管理者側において前記データベースの内容が更新される都度、前記複数のタクシー車両に対して無線により一斉に送信され前記データベースの更新データを、該更新データを受信した前記通信手段から取得する更新データ取得手段と、
前記複数のタクシー車両に対して一斉に送信されて前記更新データ取得手段が取得した更新データが、前記データベースによって特定できない前記ゲート番号に対応する出入口名のデータを含んでいる場合に、前記取得した更新データにより前記データベースのデータを更新するデータ更新手段と、
を備えることを特徴とするタクシーメータ、
を用いることができる。
【0011】
そして、請求項1に記載した本発明のタクシーメータの有料道路出入口名データ管理方法によれば、車両管理者側から最新の内容で各タクシー車両に一斉送信されたデータベースの更新データが、タクシーメータのデータベースにおいて特定できないゲート番号に対応する出入口名のデータを含んでいると、そのタクシー車両においては、車両管理者側から送信された更新データによってタクシーメータのデータベースが更新される。
【0012】
このため、車両管理者側においてデータベースの内容が更新される都度、最新の内容のデータベースの更新データを各タクシー車両に送信することで、タクシーメータのデータベースを早いタイミングで最新の内容に更新することができる。これにより、タクシーメータのデータベースに基づいて、タクシーメータに接続したプリンタから発行される領収書や利用履歴に有料道路の出入口がゲート番号でなく出入口名で印字されるようになるタイミングを、極力早めることができる。
【0013】
また、請求項2に記載した本発明のタクシーメータの有料道路出入口名データ管理方法は、請求項1に記載した本発明のタクシーメータの有料道路出入口名データ管理方法において、
前記車載器から前記タクシーメータに入力された前記ゲート番号に対応する出入口名が前記データベースによって特定できない場合に、前記入力されたゲート番号を含む前記データベースの更新要求を、前記タクシー車両から前記車両管理者側に無線により送信する更新要求送信ステップをさらに含んでおり、
前記更新データ送信ステップでは、前記更新要求中の前記ゲート番号に対応する出入口名を含む前記更新データを、前記車両管理者側から、前記データベースの更新要求の送信元のタクシー車両を含む複数の前記タクシー車両に無線により一斉に送信する、
ことを特徴とする。
【0014】
なお、請求項2に記載した本発明のタクシーメータの有料道路出入口名データ管理方法を実施する際に、請求項4に記載した本発明のタクシーメータ、即ち、
前記車載器から入力された前記ゲート番号に対応する出入口名を前記データベースによって特定できない場合に、前記タクシー車両から前記車両管理者側に通信手段により無線で送信させる、前記データベースの更新要求を、前記通信手段に出力する更新要求出力手段をさらに備えており、
前記データ更新手段は、前記取得した更新データが、前記データベースによって特定できない前記ゲート番号に対応する出入口名のデータを含んでいるか否かを判別する判別手段を含んでおり、該判別手段が含んでいると判別した場合に、前記データベースのデータを前記取得した更新データで更新する、
ことを特徴とする請求項3記載のタクシーメータ、
を用いることができる。
【0015】
そして、請求項2に記載した本発明のタクシーメータの有料道路出入口名データ管理方法によれば、請求項1に記載した本発明のタクシーメータの有料道路出入口名データ管理方法において、データベースに出入口名が登録されていない出入口のゲート番号が車載器からタクシーメータに入力されると、データベースの更新要求が車両管理者側に送信される。更新要求を受け取った車両管理者側では、更新要求中のゲート番号から対応する出入口名を特定できる最新の内容としたデータベースの更新データをタクシー車両に送信する。
【0016】
また、車両管理者側からの更新データを受け取ったタクシー車両では、受け取った更新データが、タクシーメータのデータベースにより特定できないゲート番号に対応する出入口名を含んでいる場合に、更新データによってデータベースを更新する。
【0017】
このため、あるタクシー車両において、対応する出入口名がデータベースで特定できないゲート番号がETC車載器から入力されたことをきっかけにして、各タクシー車両のタクシーメータのデータベースを、そのゲート番号から対応する出入口名を特定できる最新の内容に更新させることができる。
【0018】
よって、全てのタクシー車両のタクシーメータのデータベースが、同時にかつ即座に最新の内容に更新されるようにして、例えば、ETC車載器から入力されたゲート番号に対応する出入口名を、プリンタから発行される領収書や利用履歴にいち早く印字させることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、タクシーメータの保持するデータベースに基づいて、タクシーメータに接続したプリンタから発行される領収書や利用履歴に有料道路の出入口がゲート番号でなく出入口名で印字されるようになるタイミングを、極力早めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係るデータ管理方法によって運用されるタクシーメータの有料道路出入口名データ管理システムの概略構成を示すブロック図である。
図2図1に示すタクシーメータと車両管理者側との間で実行されるデータベースの更新処理の手順を概略的に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0022】
図1は本発明の一実施形態に係るデータ管理方法によって運用されるタクシーメータの有料道路出入口名データ管理システムの概略構成を示すブロック図である。図1に示すタクシーメータの有料道路出入口名データ管理システムは、タクシー車両1に搭載されたタクシーメータ10と、タクシー車両1の運行状態を管理する遠隔地の営業所等の車両管理者3(請求項中の遠隔地に相当)に設置したパーソナルコンピュータ(以下、「パソコン」と略記する。請求項中の管理装置に相当)31との間で、無線公衆電話回線網5やインターネット7を用いた通信を行うように構成されている。
【0023】
タクシーメータ10は、例えばマイクロコンピュータで構成される制御部101の制御によって動作する。制御部101はCPU(図示せず)を内蔵している。
【0024】
制御部101には、各種機器類が接続されるインタフェース(I/F)103,105,111,113,115と、タリフ状態の入力に用いられるタリフボタン106と、動作状態等を表示する液晶ディスプレイやLED等の表示部107とが接続されている。また、制御部101には、プログラム等が格納されたROM109と、制御部101のCPUが処理を行う際に作業領域等に用いられるRAM110と、メモリカード16に対するデータの読み出し、書き込みを行うカードリーダライタ(R/W)117と、現在時刻を計時する時計IC119とが接続されている。
【0025】
通信インタフェース(I/F)103には、無線公衆電話回線網5による通信を行うための通信モジュール11が接続され、GPSインタフェース(I/F)105には、タクシー車両1の現在位置を検出するためのGPS(全地球測位システム)モジュール12が接続されている。通信モジュール11とGPSモジュール12には、タクシーメータ10の外部に設けたそれぞれのアンテナ(通信アンテナ、GPSアンテナ)11a,12aが接続されている。
【0026】
通信モジュール11(請求項中の通信手段に相当)は、本実施形態では、無線公衆電話回線網5(携帯電話回線網)を用いたパケット通信により、インターネット7を介した無線通信で、車両管理者3のパソコン31との間でデータを送受信する。送受信するデータには、例えば、後述するRAM110のデータベースに関するパソコン31に対する更新要求のデータや、パソコン31からのデータベースの更新データが含まれる。
【0027】
ETCインタフェース(I/F)111には、タクシー車両1に搭載したETC(Electronic Toll Collection)車載器13が接続されている。ETC車載器13からは、タクシー車両1の有料道路(高速道路、有料自動車道路)に対する入出のデータ(出入口ゲート番号、通行料金等)が入力される。
【0028】
速度インタフェース(I/F)113には、タクシー車両1の走行速度を検出する速度センサ14が接続され、車速に関するデータが入力される。プリンタインタフェース(I/F)115には、領収書やタクシー車両1の運行情報レポート、ETC車載器13の利用履歴等をプリントするプリンタ15が接続されている。
【0029】
RAM110(請求項中のデータベース記憶手段に相当)には、ETC車載器13から入力される有料道路の出入口のゲート番号から対応する出入口名を特定するデータベースが構築されている。このデータベースは、例えば、ゲート番号と出入口名とを対応付けたテーブルによって構成することができる。このデータベースは、車両管理者3側から送信されて通信モジュール11を介して入力された更新データを用いて、最新の内容に更新することができる。
【0030】
上述した制御部101は、タクシーメータ10内に設けた電源部121からの給電を受けて動作する。電源部121は所謂定電圧電源であり、制御部101の動作に適した電圧の電源を供給する。電源部121は、タクシー車両1のバッテリ(車両電源)Bから電力供給を受けて定電圧の電力を制御部101に供給する。GPSモジュール12やETC車載器13は、別ルートでバッテリBからの電力供給を受けて動作する。
【0031】
また、制御部101は、ETC車載器13から有料道路の通行料金が入力されると、その通行料金を表示部107に運賃と共に表示させる。さらに、制御部101は、ETC車載器13から有料道路の出入口のゲート番号が入力されると、これに対応する出入口名をデータベースから特定する。特定した出入口名は、支払タリフにおいて領収書の発行操作が行われると、運賃や有料道路の通行料金と共にプリンタ15に送信され、プリンタ15が発行する領収書に印字される。
【0032】
なお、制御部101が特定した出入口名は、空車タリフにおいてタクシー車両1の運行情報レポートやETC車載器13の利用履歴等の発行操作が行われた場合にもプリンタ15に送信され、プリンタ15が発行する運行情報レポートや利用履歴に印字される。
【0033】
また、制御部101は、ETC車載器13から入力された有料道路の出入口のゲート番号に対応する出入口名がRAM110のデータベースによって特定できない場合に、そのゲート番号を含んだデータベースの更新要求を、車両管理者3側のパソコン31に送信させるために、通信モジュール11に出力する。
【0034】
無線公衆電話回線網5には、接続センタ51を介して携帯電話回線事業者8のサーバ81やデータストレージとしてのデータベース83が接続されている。データベース83は、無線公衆電話回線網5側とインターネット7側との通信に必要なアドレスデータ等が蓄積されており、このアドレスデータ等を参照してサーバ81は、無線公衆電話回線網5側とインターネット7側との通信を制御する。
【0035】
携帯電話回線事業者8のサーバ81は、インターネットサービスプロバイダ(以下、「ISP」と略記する。)71を介してインターネット7に接続されている。このインターネット7には、ISP75を介して、車両管理者3側のパソコン31が不図示のモデムやルータ等を介して接続されている。
【0036】
車両管理者3側のパソコン31は、タクシーメータ10のRAM110に構築されたデータベース、つまり、有料道路の出入口のゲート番号から対応する出入口名を特定するデータベースを保持している。
【0037】
また、パソコン31は、携帯電話回線事業者8のサーバ81が無線公衆電話回線網5を介してタクシーメータ10から受信した、タクシー車両1からのデータベースの更新要求のデータ(パケット通信データ)を、インターネット7を介して受け取る。
【0038】
なお、パソコン31が保持しているデータベースは、タクシー車両1からの更新要求をパソコン31が受け取る度に、車両管理者3側のオペレータ等によって、その更新要求に含まれるゲート番号から対応する出入口名を特定できる最新の内容に更新される。そして、パソコン31は、自身のデータベースを最新の内容に更新する度に、そのデータベースのデータを更新データとして、各タクシー車両1に対してインターネット7及び無線公衆電話回線網5を介して送信する。
【0039】
次に、タクシーメータ10と車両管理者3側のパソコン31との間で実行される、タクシーメータ10のRAM110のデータベースの更新処理について、図2のフローチャートを参照して説明する。
【0040】
まず、タクシーメータ10の制御部101が、タクシー車両1がETC料金所ゲートを通過したか否かを確認する(ステップS1)。この確認は、ETC車載器13から通行料金やゲート番号が入力されたか否かによって行うことができる。通過していない場合は(ステップS1でNO)、後述するステップS19に移行する。
【0041】
一方、タクシー車両1がETC料金所ゲートを通過した場合は(ステップS1でYES)、制御部101が、ETC車載器13から入力されたゲート番号がRAM110のデータベースにおいて出入口名を特定できる番号であるか否かを確認する(ステップS3)。出入口名を特定できる番号である場合は(ステップS3でYES)、ステップS19に移行する。
【0042】
これに対して、出入口名を特定できる番号でない場合は(ステップS3でNO)、制御部101が、タクシー車両1の車両番号と料金所番号(出入口のゲート番号)を含むデータベースの更新要求を通信モジュール11に出力して、車両管理者3側のパソコン31に送信させる(ステップS5)。
【0043】
更新要求を受信したパソコン31では、更新要求としてタクシー車両1から送られてきた料金所番号(ゲート番号)から料金所名(出入口名)を作成し、その料金所番号(ゲート番号)から料金所名(出入口名)を特定できる最新の内容にデータベースを更新する(ステップS7)。そして、パソコン31は、更新した最新の内容のデータベースを、更新データとして、インターネット7及び無線公衆電話回線網5を介して各タクシー車両1に一斉送信する(ステップS9)。
【0044】
なお、送信データ量を小さくするために、このときの送信内容は、更新前後で変更された部分だけ抜粋した内容としてもよい。
【0045】
各タクシー車両1では、通信モジュール11を介して上述した更新データを受け取ると、タクシーメータ10の制御部101が、更新データ中の料金所番号(ゲート番号)に対応する料金所名(出入口名)が、RAM110のデータベースに既に登録されているか否かを確認する(ステップS13)。
【0046】
登録されていない場合は(ステップS13でNO)、制御部101が、RAM110のデータベース(タクシーメータ内ETCデータベース)を、受信した更新データの内容を含む最新の内容に更新し(ステップS15)、ステップS19に移行する。登録されている場合は(ステップS13でYES)、制御部101が、受信した更新データを破棄して(ステップS17)、ステップS19に移行する。
【0047】
ステップS19では、制御部101が、タクシーメータ10のタリフボタン106中の支払ボタンが押下(操作)されたか否かを確認する。押下されていない場合は(ステップS19でNO)、ステップS1にリターンし、押下された場合は(ステップS19でYES)、制御部101が、領収書の発行動作に応じてプリンタ15から、料金所名(出入口名)を漢字やかなで表記した領収書を発行させて(ステップS21)、一連の処理を終了する。
【0048】
以上の説明からも明らかなように、本実施形態では、タクシーメータ10の制御部101が行う図2のフローチャートにおけるステップS3及びステップS5の処理が、請求項中の更新要求送信ステップと更新要求出力手段に対応する処理となっている。また、本実施形態では、車両管理者3側のパソコン31が行う図2中のステップS9の処理が、請求項中の更新データ送信ステップに対応する処理となっている。
【0049】
さらに、本実施形態では、タクシーメータ10の制御部101が行う図2中のステップS11の処理が、請求項中の更新データ取得手段に対応する処理となっている。また、本実施形態では、タクシーメータ10の制御部101が行う図2中のステップS13が、請求項中の判別手段に対応する処理となっている。そして、このステップS13とステップS15の処理が、請求項中のデータ更新ステップとデータ更新手段に対応する処理となっている。
【0050】
以上に説明したように、本実施形態によれば、データベースに名が登録されていない出入口のゲート番号がETC車載器13からタクシーメータ10に入力されると、そのゲート番号を含むデータベースの更新要求がパソコン31に送信される。更新要求を受け取ったパソコン31では、車両管理者3側のオペレータが、更新要求中のゲート番号に対応する出入口名を生成して、その出入口名をデータ番号から特定できる最新の内容に、パソコン31のデータベースを更新する。そして、パソコン31は、タクシーメータ10のRAM110のデータベースを更新するための更新データをタクシー車両1に送信する。
【0051】
この更新データを受け取ったタクシー車両1のタクシーメータ10では、受け取った更新データが、RAM110のデータベースにより特定できないゲート番号に対応する出入口名を含んでいる場合に、更新データによってデータベースを更新する。
【0052】
このため、あるタクシー車両1において、対応する出入口名がデータベースで特定できないゲート番号がETC車載器13から入力されたことをきっかけにして、各タクシー車両1のタクシーメータ10のデータベースを、そのゲート番号から対応する出入口名を特定できる最新の内容に更新させることができる。
【0053】
よって、全てのタクシー車両1のタクシーメータ10のデータベースが、同時にかつ即座に最新の内容に更新されるようにして、例えば、ETC車載器13から入力されたゲート番号に対応する出入口名を、プリンタから発行される領収書や利用履歴にいち早く印字させることができる。
【0054】
なお、タクシー車両1(のタクシーメータ10)と車両管理者3側のパソコン31との間で行う無線通信は、タクシー無線等、無線公衆電話回線網5やインターネット7以外のインフラを用いて行ってもよい。
【0055】
また、本実施形態では、ETC車載器13からタクシーメータ10にRAM110のデータベースにおいて出入口名を特定できないゲート番号が入力されたタクシー車両1が送信した更新要求を、車両管理者3側のパソコン31が受信したのをきっかけに、ゲート番号から出入口名を特定できる最新の内容にデータベースを更新するための更新データを、パソコン31が生成して各タクシー車両1に送信するものとした。
【0056】
しかし、車両管理者3側において、各タクシー車両1のタクシーメータ10のデータベースにおいて出入口名を特定できないゲート番号が発生したことを独自に把握し、そのタイミングで、データベースの更新データの生成及び各タクシー車両1への送信を自主的に行うようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、電子料金収受(ETC)システムの車載器を接続したタクシーメータが保持する有料道路の出入口名のデータベースの登録内容を管理する際に用いて好適である。
【符号の説明】
【0058】
1 タクシー車両
3 車両管理者(遠隔地)
5 無線公衆電話回線網
7 インターネット
8 携帯電話回線事業者
10 タクシーメータ
11 通信モジュール(通信手段)
11a 通信アンテナ
12 GPSモジュール
12a GPSアンテナ
13 ETC車載器(車載器)
14 速度センサ
15 プリンタ
16 メモリカード
31 パーソナルコンピュータ(インターネット端末)
51 接続センタ
71,75 インターネットサービスプロバイダ
81 サーバ
83 データベース
101 制御部(更新要求出力手段、更新データ取得手段、判別手段、データ更新手段)
103 通信インタフェース
105 GPSインタフェース
106 タリフボタン
107 表示部
109 ROM
110 RAM
111 ETCインタフェース
113 速度インタフェース
115 プリンタインタフェース
117 カードリーダライタ
119 時計IC
121 電源部
B バッテリ(車両電源)
図1
図2