(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
無励磁時にロボットのアームを拘束し、励磁時に前記アームの拘束を解除する無励磁作動形ブレーキのコイルの電源側が、ロボット制御装置内の内部電源に接続された内部電源供給回路及び前記内部電源とは別の非常用電源に接続された非常用電源供給回路に対して第1分岐点を介してそれぞれ接続され、
前記コイルの接地側に設けられた第2分岐点の一方の接地側には、手動により着脱可能な第1短絡配線で短絡されるコイル選択用の第1短絡コネクタを含む第1回路を有し、
前記第1回路の接地側には、非常用電源需要回路が接続され、
前記非常用電源供給回路及び前記非常用電源需要回路の少なくともいずれか一方には、非常用電源への切替用であって、手動により着脱可能な第2短絡配線で短絡される第2短絡コネクタを含み、
また、前記第2分岐点の他方の接地側には、手動により着脱可能な第3短絡配線で短絡される第3短絡コネクタを含んだ第2回路を有し、第2回路の接地側には、内部電源需要回路が接続され、前記内部電源供給回路及び前記内部電源需要回路の少なくともいずれか一方には、ロボット制御装置に含まれる制御部によりオンオフ制御されるスイッチング回路を含むことを特徴とする産業用ロボットのブレーキ解除回路。
前記非常用電源供給回路及び前記非常用電源需要回路の少なくともいずれか一方にはイネーブルスイッチが含まれることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の産業用ロボットのブレーキ解除回路。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、従来は、前記リレー又はスイッチの接点が溶着した場合には、内部電源と、非常用電源との間で電源短絡が発生しブレーキが解除できない問題がある。
また、リレー又はスイッチの接点の不良が発生した場合、非常用電源から、前記コイルへの電力供給が行われず、ブレーキが解除できない問題がある。
【0007】
本発明の目的は、内部電源から非常用電源への電源切替をリレー、スイッチを用いずにコネクタの切り替えにより内部電源とは独立した非常用電源に切替ることができ、容易にかつ確実にブレーキを解除することができる産業用ロボットのブレーキ解除回路及び産業用ロボットのブレーキ解除回路の使用方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、無励磁時にロボットのアームを拘束し、励磁時に前記アームの拘束を解除する無励磁作動形ブレーキのコイルの電源側が、ロボット制御装置内の内部電源に接続された内部電源供給回路及び前記内部電源とは別の非常用電源に接続された非常用電源供給回路に対して第1分岐点を介してそれぞれ接続され、前記コイルの接地側に設けられた第2分岐点の一方の接地側には、手動により着脱可能な第1短絡配線で短絡されるコイル選択用の第1短絡コネクタを含む第1回路を有し、前記第1回路の接地側には、非常用電源需要回路が接続され、前記非常用電源供給回路及び前記非常用電源需要回路の少なくともいずれか一方には、非常用電源への切替用であって、手動により着脱可能な第2短絡配線で短絡される第2短絡コネクタを含み、また、前記第2分岐点の他方の接地側には、手動により着脱可能な第3短絡配線で短絡される第3短絡コネクタを含んだ第2回路を有し、第2回路の接地側には、内部電源需要回路が接続され、前記内部電源供給回路及び前記内部電源需要回路の少なくともいずれか一方には、ロボット制御装置に含まれる制御部によりオンオフ制御されるスイッチング回路を含むことを特徴とする産業用ロボットのブレーキ解除回路を要旨としている。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1において、前記コイルと第1回路を含む直列回路は、複数個備えて、互いに並列に接続されるとともに、各コイルと各第2回路を含む直列回路を第3回路としたとき、前記第3回路を複数個備えて、互いに並列に接続されていることを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2において、前記非常用電源供給回路及び前記非常用電源需要回路の少なくともいずれか一方にはイネーブルスイッチが含まれることを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1に記載の産業用ロボットのブレーキ解除回路の使用方法において、前記内部電源を使用するときは、前記第3短絡コネクタを前記第3短絡配線で短絡するとともに前記第1短絡コネクタと前記第2短絡コネクタのうち、少なくとも第2短絡コネクタは前記第2短絡配線を外した状態にし、
前記非常用電源を使用するときは、前記第3短絡コネクタから前記第3短絡配線を外し、かつ、前記第2短絡コネクタを前記第2短絡配線で短絡するとともに、前記第1短絡コネクタを前記第1短絡配線で短絡することを特徴とする産業用ロボットのブレーキ解除回路の使用方法を要旨としている。
【0012】
請求項5の発明は、請求項2に記載の産業用ロボットのブレーキ解除回路の使用方法において、前記内部電源を使用するときは、前記第3短絡コネクタの全部をそれぞれ前記第3短絡配線で短絡するとともに前記第1短絡コネクタと前記第2短絡コネクタのうち、少なくとも第2短絡コネクタは前記第2短絡配線を外した状態にし、前記非常用電源を使用するときは、前記第3短絡コネクタの全部からそれぞれ前記第3短絡配線を外し、前記第2短絡コネクタを前記第2短絡配線で短絡するとともに、少なくとも1つの第1短絡コネクタを前記第1短絡配線で短絡することを特徴とする産業用ロボットのブレーキ解除回路の使用方法を要旨としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、内部電源から非常用電源の電源切替を、リレーやスイッチを用いずにコネクタの切り替えにより行うことができ、ブレーキの強制解除が必要な緊急時に、容易にかつ確実に非常用電源からの電力を供給してブレーキを解除することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を、溶接ロボットを制御するロボット制御装置のブレーキ解除回路及びその使用方法に具体化した一実施形態を
図1〜
図5を参照して説明する。
図3に示すように、ロボット制御装置10は、ロボット20を制御する制御部30等を備えている。前記ロボット20は、図示しない複数のアームが関節を介して連結されたマニピュレータを備え、前記マニピュレータの先端に図示しない溶接トーチを備えたロボットである。本実施形態の関節は6軸であるが、6軸に限定されるものではない。
【0016】
各関節には、図示しない駆動モータが設けられて、前記制御部30により、駆動制御される。また、各関節には、メカブレーキ40が設けられている。
図3では、代表的に1つのメカブレーキ40が示されている。メカブレーキ40は、無励磁作動形ブレーキであって、無励磁時にロボット20の前記アームを拘束し、励磁時に前記アームの拘束を解除するコイル50(
図1参照)を有する。また、ロボット制御装置10内には、前記駆動モータのサーボ制御の電力及びメカブレーキのコイル50等に電力を供給する内部電源60が設けられている。また、ロボット制御装置10の外部には、前記メカブレーキのコイル50に電力を供給する非常用電源70が設けられている。この非常用電源70は、ロボット制御装置10の内部に備えても良い。内部電源60及び非常用電源70は、直流電源である。また、ロボット制御装置10のケースには操作者により外部から操作が可能な操作盤80が設けられている。操作盤80の操作面80aには、
図2に示すように、第1短絡コネクタ160a〜160f、第2短絡コネクタ150a、150b、第3短絡コネクタ120a〜120f及びイネーブルスイッチ170a,170b(
図1参照)の操作ボタン170が設けられている。イネーブルスイッチ170a、170bは操作ボタン170のオンオフ操作により、連動してオンオフする。
【0017】
次に、上記メカブレーキ40のブレーキ解除回路の一例を、
図1を参照して説明する。6軸分のメカブレーキ40のコイル50については、それぞれ50a〜50fの符号を使用する。
【0018】
まず、内部電源60を使用する際の回路について説明する。
図1に示すように、コイル50aは内部電源60に接続された配線L1の第1分岐点100を介して接続されている。コイル50aの接地側は第2分岐点110a、第3短絡コネクタ120a、ダイオードDa及びスイッチングトランジスタ130を介して接地されている。前記第3短絡コネクタ120aは、後述するプラグ140の第3短絡配線122aにて短絡可能である。前記スイッチングトランジスタ130は、前記制御部30からの信号により、オンオフ制御可能である。スイッチングトランジスタ130はスイッチング回路の一例である。
【0019】
ここで、配線L1において、内部電源60と第1分岐点100間が内部電源供給回路の一例である。また、コイル50aの接地側の配線において、第3短絡コネクタ120aとダイオードDaの直列回路は第2回路の一例である。また、第2回路とコイル50aを巧む回路は第3回路の一例である。なお、ダイオードDaは省略してもよい。第2回路の接地側の配線に設けられたスイッチングトランジスタ130は、スイッチング回路の一例であり、該スイッチング回路を含む回路は内部電源需要回路の一例である。
【0020】
また、コイル50bについても、コイル50aと同様に電源側は内部電源60に接続された配線L1の第1分岐点100を介して接続され、コイル50bの接地側は第2分岐点110b、第3短絡コネクタ120b、ダイオードDb及び前記スイッチングトランジスタ130を介して接地されている。前記第3短絡コネクタ120bは、後述するプラグ140の第3短絡配線122bにて短絡可能である。ここで、コイル50bの接地側の配線において、第3短絡コネクタ120bとダイオードDbの直列回路は第2回路の一例である。なお、ダイオードDbは省略してもよい。
【0021】
上記コイル50b、第3短絡コネクタ120b、及びダイオードDbの直列回路は、コイル50a、第3短絡コネクタ120a、及びダイオードDaの直列回路と並列に接続されている。
【0022】
以下、同様にコイル50c〜50f、第2分岐点110c〜110f、第3短絡コネクタ120c〜120f、及びダイオードDc〜Dfの各直列回路は、コイル50a、第3短絡コネクタ120a、及びダイオードDaの直列回路と並列に接続されている。第3短絡コネクタ120c〜120fは、後述するプラグ140の第3短絡配線122c〜120fにて短絡可能である。ここで、コイル50c〜50fの接地側の配線において、第3短絡コネクタ120c〜120fとダイオードDc〜Dfの直列回路はそれぞれ第2回路の一例である。また、各第2回路と各コイル50b〜50fを含む直列回路はそれぞれ第3回路の一例である。なお、ダイオードDc〜Dfは省略してもよい。
【0023】
上記した内部電源60に接続される回路の等価回路は
図4に示されている。
第3短絡コネクタ120a〜120fは、
図1、
図2に示すように操作盤80の操作面80aに設けられている。また、前記第3短絡配線122a〜122fは、上記したように共通のプラグ140に設けられており、プラグ140を第3短絡コネクタ120a〜120fに対して差し込みすることにより、一括して第3短絡コネクタ120a〜120fをそれぞれ短絡可能である。
【0024】
次に、非常用電源を使用する際の回路について説明する。
図1に示すように非常用電源70は、第2短絡コネクタ150a、イネーブルスイッチ170a、第1分岐点100を介してコイル50aに接続されている。また、コイル50aの接地側は、第2分岐点110a、第1短絡コネクタ160a、イネーブルスイッチ170b、及び第2短絡コネクタ150bを介して接地されている。
【0025】
前記第1短絡コネクタ160aは、プラグ180の第1短絡配線180aにて短絡可能である。また、第2短絡コネクタ150a,150bは、共通のプラグ190に設けられた第2短絡配線190a,190bにより、短絡可能である。すなわち、プラグ190を第2短絡コネクタ150a,150bに対して差し込みすることにより、一括して第2短絡コネクタ150a,150bをそれぞれ短絡可能である。
【0026】
なお、
図2に示すように、前記プラグ190と前記プラグ140は、第3短絡コネクタ120a〜120f、及び第2短絡コネクタ150a,150bが設けられた操作面80aの差し込み口80bに対して嵌合可能な端部を有するとともに、プラグ190とプラグ140のいずれか一方が差し込み口80bに差し込みされた際、他方のプラグは差し込みが不能な大きさとされている。すなわち、プラグ190とプラグ140は、差し込み口80bに対しては排他的に差し込み可能となっている。なお、
図1で示すプラグ140とプラグ190の大きさは簡略化のために、モディファイされている。
【0027】
第2短絡コネクタ150a及びイネーブルスイッチ170aの直列回路は非常用電源供給回路の一例である。イネーブルスイッチ170b及び第2短絡コネクタ150bの直列回路は非常用電源需要回路の一例である。
【0028】
残りの各コイル50b〜50fについても、コイル50aと同様に、接地側は、第2分岐点110b〜110f、第1短絡コネクタ160b〜160fを含む各直列回路が設けられ、それらの直列回路は、コイル50a、第1短絡コネクタ160aの直列回路と並列に接続されている。前記第1短絡コネクタ160b〜160fは、プラグ180の第1短絡配線180aにより、選択的に、すなわち個別に短絡可能である。
【0029】
上記した非常用電源70に接続される回路の等価回路は
図5に示されている。
(実施形態の作用)
次に、上記のように構成されたブレーキ解除回路の使用方法について説明する。
【0030】
まず、内部電源60を使用する場合について説明する。
内部電源60を使用する場合は、作業者は、
図2に示すプラグ140を操作盤80の差し込み口80bに差し込みする。このプラグ140の差し込みにより、第3短絡コネクタ120a〜120fが、第3短絡配線122a〜122fにより短絡する。この状態で、
図4に示す等価回路が有効化される。
【0031】
この状態において、ロボット制御装置10の制御部30が各アームを駆動する図示しない前記駆動モータのサーボ制御中は、制御部30からスイッチングトランジスタ130にオン信号が出力されるため、スイッチングトランジスタ130がオンとなって内部電源60から電力が全コイル50a〜50fに供給されることにより全コイル50a〜50fが励磁され、メカブレーキ40が解除されている。また、制御部30が前記駆動モータのサーボ制御しないときは、制御部30からスイッチングトランジスタ130にオフ信号が出力されるため、スイッチングトランジスタ130がオフとなるとともに全コイル50a〜50fが無励磁(消磁)され、メカブレーキ40が作動して、前記各アームが拘束される。
【0032】
なお、内部電源60から電力を供給されていない場合においても、ロボット20の各アームはメカブレーキ40が作動して、前記各アームが拘束される。
次に、非常用電源70を使用する場合について説明する。
【0033】
ここでは、説明の便宜上、ロボット20の各アームがメカブレーキ40により、前記各アームが拘束された状態とする。
ここで、作業者が非常用電源70を使用して、拘束されている各アームの中で、特定のアームのメカブレーキ40を選択して解除したい場合、作業者は、
図2に示すプラグ180を、前記解除したい第1短絡コネクタ160a〜160fのいずれか1つに対して差し込みする。このことによって、選択された第1短絡コネクタ160a〜160fの1つが第1短絡配線180aにより短絡する。
【0034】
次に、作業者は、プラグ140を操作盤80の差し込み口80bから取り外してその代わりに、プラグ190を差し込み口80bに差し込みする。このプラグ190の差し込みにより、第2短絡コネクタ150a,150bがともに短絡する。この後、作業者は操作ボタン170をオン操作してイネーブルスイッチ170bをオンすると、非常用電源70から、選択されたコイルが励磁されて、選択されたアームのメカブレーキ40が解除される。この結果、作業者が選択したアームについて、手で作動することが可能となる。
【0035】
なお、プラグ180、190の差し込み順序は、限定するものではなく、プラグ180のプラグ190をプラグ180よりも先に差し込みしてもよい。
なお、上記説明では、第1短絡コネクタ160a〜160fの1つを1つのプラグ180で短絡したが、必要に応じて、2つ以上のプラグ180を使用して、第1短絡コネクタ160a〜160fのいずれか2つ以上を短絡するようにしてもよい。このような使用方法はロボットのアームの姿勢の如何によって適宜可能である。
【0036】
本実施形態によれば、下記の特徴がある。
(1) 本実施形態のブレーキ解除回路は、無励磁時にロボット20のアームを拘束し、励磁時に前記アームの拘束を解除する無励磁作動形ブレーキのコイル50a〜50fの電源側が、ロボット制御装置10内の内部電源60に接続された内部電源供給回路及び前記内部電源60とは別の非常用電源70に接続された非常用電源供給回路に対して第1分岐点100を介してそれぞれ接続されている。また、コイル50a〜50fの接地側に設けられた第2分岐点110a〜110fの一方の接地側には、手動により着脱可能な第1短絡配線180a〜180fで短絡されるコイル選択用の第1短絡コネクタ160a〜160fを含む第1回路を有する。また、前記第1回路の接地側には、非常用電源需要回路が接続されている。さらに、非常用電源供給回路及び前記非常用電源需要回路の両方には、非常用電源への切替用であって、手動により着脱可能な第2短絡配線190a、190bで短絡される第2短絡コネクタ150a,150bを含むようにしている。また、第2分岐点110a〜110fの他方の接地側には、手動により着脱可能な第3短絡配線122a〜122fで短絡される第3短絡コネクタ120a〜120fを含んだ第2回路を有する。さらに、第2回路の接地側には、内部電源需要回路が接続され、前記内部電源需要回路には、制御部30によりオンオフ制御されるスイッチングトランジスタ130(スイッチング回路)を含むようにした。
【0037】
この結果、本実施形態によれば、内部電源60から非常用電源70の電源切替をリレー、スイッチを用いずにコネクタにより非常用電源70に切替えることができ、容易にかつ確実に非常用電源70からの電力を供給してコイルを励磁することによりブレーキを解除することができる。
【0038】
また、コネクタを短絡する構成であるため、リレー又はスイッチを使用する場合に比して、溶着が生ずることがない。
また、本実施形態では、プラグによりコネクタを短絡することになるため、作業者が、プラグがどのコネクタに差し込まれたかを確認することにより、ブレーキを解除するために選択したメカブレーキ(すなわちアーム)を確認できる。
【0039】
(2) 本実施形態のブレーキ解除回路は、コイル50a〜50fと第1回路を含む直列回路は、複数個備えて、互いに並列に接続されている。
また、各コイル50a〜50fと各第2回路を含む直列回路を第3回路としたとき、第3回路を複数個備えて、互いに並列に接続されている。
【0040】
この結果、本実施形態によれば、複数のメカブレーキのいずれかを任意に選択して、選択したメカブレーキのコイルを非常用電源で励磁することにより、選択したアームのブレーキ解除ができる。
【0041】
(3) 本実施形態のブレーキ解除回路は、非常用電源供給回路及び前記非常用電源需要回路にそれぞれイネーブルスイッチ170a、170bを設けた。この結果、本実施形態によれば、いずれか一方のイネーブルスイッチに不具合があってオフしない場合でも、他法のイネーブルスイッチによりオフ作動できる。
【0042】
(4) 本実施形態のブレーキ解除回路の使用方法は、内部電源60を使用するときは、第3短絡コネクタ120a〜120fの全部をそれぞれ第3短絡配線122a〜122fで短絡するとともに、第1短絡コネクタ160a〜160fからは、第1短絡配線180aが外されるとともに第2短絡コネクタ150a、150bは第2短絡配線190a,190bを外した状態にする。また、非常用電源70を使用するときは、第3短絡コネクタ120a〜120fの全部からそれぞれ第3短絡配線122a〜122fを外し、第2短絡コネクタ150a、150bを第2短絡配線190a、190bで短絡するとともに、第1短絡コネクタ160a〜160fの少なくとも1つを第1短絡配線180aで短絡する。この結果、ブレーキ解除回路を好適に使用することができる。また、内部電源60から非常用電源70の電源切替をリレー、スイッチを用いずにコネクタの切り替えにより非常用電源70に切替えることができ、容易にかつ確実に非常用電源70からの電力を供給してコイルを励磁することによりブレーキを解除することができる。
【0043】
(5) 本実施形態によれば、プラグ140とプラグ190を排他的に使用する。この結果、内部電源60と非常用電源70の切替を確実に行うことができる。
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、下記のように構成してもよい。
【0044】
・ 前記実施形態では、溶接ロボットを制御するロボット制御装置のブレーキ解除回路及びその使用方法に具体化したが、溶接ロボット以外のハンドリングロボット、組立ロボット、レーザ加工ロボット、シーリングロボット、塗装ロボット等のロボット制御装置のブレーキ解除回路及びその使用方法に適用してもよい。
【0045】
・ 前記実施形態では、スイッチング回路であるスイッチングトランジスタ130を、内部電源需要回路に設けたが、内部電源供給回路である内部電源60と第1分岐点100間の配線L1に設けてもよく、また、前記実施形態の内部電源供給回路及び内部電源需要回路の両方にスイッチング回路を設けてもよい。
【0046】
・ 前記実施形態では、非常用電源供給回路及び前記非常用電源需要回路にそれぞれイネーブルスイッチ170a、170bを設けたが、いずれか一方のイネーブルスイッチを省略してもよい。
【0047】
・ 前記実施形態では、非常用電源供給回路及び前記非常用電源需要回路にそれぞれ第2短絡コネクタ150a,150bを設けたが、いずれか一方の第2短絡コネクタを省略してもよい。
【0048】
・ 前記実施形態では、内部電源供給回路及び内部電源需要回路のうち、内部電源需要回路にスイッチングトランジスタ130(スイッチング回路)を設けたが、内部電源供給回路にスイッチングトランジスタ130(スイッチング回路)を設けても良く、或いは、両回路に設けてもよい。
【0049】
・ 前記実施形態では、ロボット20は6軸としたが6軸に限定されるものではなく6軸よりも軸数が少ないロボット或いは6軸よりも軸数が多いロボットのブレーキ解除回路に具体化してもよい。この場合、軸数と等しい数のコイルのそれぞれを励磁、無励磁を行うように回路を構成すればよい。
【0050】
この場合においても前記実施形態と同様に、軸数に応じて短絡配線を設けたプラグ140、180、190を使って、非常用電源70と内部電源60の電源切替を行って、ブレーキ解除回路を使用することが可能である。
【0051】
・ また、ロボットの軸数と等しい数のコイルのそれぞれを励磁、無励磁を行うように回路を構成するだけでなく、ロボットの軸数と関係なくブレーキ解除回路を構成してもよい。例えば、
図1の実施形態において、
図4の等価回路は、そのままとし、
図5の等価回路中、コイル50a、第2分岐点110a、第1短絡コネクタ160aの直列回路を残して、コイル50b〜50f、第2分岐点110b〜110f、第1短絡コネクタ160b〜160fの各直列回路を省略するようにしてもよい。
【0052】
もちろん、前記コイル50a、第2分岐点110a、第1短絡コネクタ160aの直列回路を残す代わりに、他の直列回路の1個のみを残したり、或いは2個〜5個を残すようにしてもよい。
【0053】
この場合においても前記実施形態と同様に、プラグ140、180、190を使って、非常用電源70と内部電源60の電源切替を行って、ブレーキ解除回路を使用することが可能である。
【0054】
なお、コイルを励磁する場合、該コイルに供給する電流は、大電流が必要であり、従来は、リレー又はスイッチの接点の容量も十分大きなものが必要となる。そのため、従来はリレー又はスイッチは、サイズ及び価格が高くなる。さらには、メカブレーキを解放するためのコイルに供給する電流が大きいため、非定常であるブレーキ強制開放の用途のためだけに、過大な容量の非常用電源が必要とされる。
【0055】
ところで、前述したように、例えばコイル50a、第2分岐点110a、第1短絡コネクタ160aの直列回路のみを残すように変更した場合には、メカブレーキを解放するためのコイルに供給する電流が、複数のコイルを非定常の場合の励磁電流に比して、総合的に少なくて済む利点がある。このため、過大な容量の非常用電源は必要でなく、小容量の非常用電源でよくなる。このような利点は、1軸のみに限定した場合に顕著である。
【0056】
・ 前記実施形態では、内部電源60を使用する場合、第1短絡コネクタ160a〜160fから、第1短絡配線180aを外すようにしたが、第1短絡配線180aは外さないようにしてもよい。この場合、第2短絡コネクタ150a,150bはプラグ190が外されるとともに、イネーブルスイッチ170a,170bがオフとなっているため、非常用電源70と、内部電源60とが短絡することはない。